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Patent Searching and Data


Title:
BIPOLAR PULSE POWER SOURCE AND POWER SOURCE DEVICE FORMED BY A PLURALITY OF BIPOLAR PULSE POWER SOURCES
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/145091
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a bipolar pulse power source which can effectively limit a current increase upon generation of arc discharge which causes generation of splash and particles and prevent generation of overvoltage upon polarity inversion. The bipolar pulse power source includes a bridge circuit (22) formed by switching elements (SW1 to SW4) connected between the positive and the negative DC output from a DC power supply source (1) and controls operation of the switching elements so as to perform a bipolar pulse-shaped output with a predetermined frequency to a pair of electrodes in contact with plasma.  An output characteristic switching circuit is provided for switching the output so that the output to the electrode has a constant voltage characteristic at the first stage and then the output to the electrode has a constant current characteristic.

Inventors:
HORISHITA YOSHIKUNI (JP)
MATSUBARA SHINOBU (JP)
ONO ATSUSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/059271
Publication Date:
December 03, 2009
Filing Date:
May 20, 2009
Export Citation:
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Assignee:
ULVAC INC (JP)
HORISHITA YOSHIKUNI (JP)
MATSUBARA SHINOBU (JP)
ONO ATSUSHI (JP)
International Classes:
H02M7/48; C23C14/34; H02M7/5387
Foreign References:
JPH06113561A1994-04-22
Attorney, Agent or Firm:
SEIGA PATENT AND TRADEMARK CORPORATION (JP)
SEIGA Patent and Trademark Corporation (JP)
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Claims:

 直流電力供給源からの正負の直流出力間に接続されたスイッチング素子から構成されるブリッジ回路を備え、スイッチング素子の作動を制御してプラズマに接触する一対の電極に所定の周波数でバイポーラパルス状に出力するバイポーラパルス電源において、

 前記電極に出力する際に、その当初は前記電極への出力が定電圧特性を有し、その後に前記電極への出力が定電流特性を有するように前記出力を切り換える出力特性切換回路を備えたことを特徴とするバイポーラパルス電源。

 前記出力特性切換回路は、前記直流電力供給源からブリッジ回路への正負の直流出力のうち少なくとも一方に配置されたインダクタと、前記インダクタに並列接続された他のスイッチング素子とを備え、前記スイッチング素子の切換え当初に前記他のスイッチング素子を所定時間作動させてインダクタを短絡することを特徴とする請求項1記載のバイポーラパルス電源。

 前記出力特性切換回路は、前記直流電力供給源からブリッジ回路への正負の直流出力のうち少なくとも一方に配置されたインダクタと、前記インダクタに直列接続され、過電圧発生時に前記インダクタを短絡するダイオードとを備えることを特徴とする請求項1記載のバイポーラパルス電源。

 前記他のスイッチング素子またはダイオードに直列に抵抗を接続したことを特徴とする請求項2または請求項3記載のバイポーラパルス電源。

 前記電極は、スパッタリング法を実施する処理室内に配置した一対のターゲットであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のバイポーラパルス電源。

 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のバイポーラパルス電源を複数台並列接続してなる電源装置であって、各バイポーラパルス電源を同期させて同一の処理室内に配置した少なくとも一対の電極に対しバイポーラパルス状に出力するように構成したことを特徴とする電源装置。

 
Description:
バイポーラパルス電源及び複数 バイポーラパルス電源からなる電源装置


 本発明は、プラズマ及び表面処理装置にバ ポーラパルス状に電力供給するバイポーラ ルス電源及び複数のバイポーラパルス電源 らなる電源装置に関する。


 この種のバイポーラパルス電源は、例えば 理基板表面に所定の薄膜を形成するスパッ リング装置に用いられ、直流電力を供給す 整流回路と、この整流回路の正負の出力間 接続され、4個のスイッチング素子からなる MOSFETブリッジ回路とを有するものが知られて いる。そして、制御手段によって各スイッチ ング素子を適宜作動させて、出力端(電極)で る一対のターゲットに所定の周波数で交互 極性を切換えて任意のパルス電圧を印加し ターゲットをアノード電極、カソード電極 交互にそれぞれ切換えてアノード電極及び ソード電極間にグロー放電を生じさせてプ ズマ雰囲気を形成し、各ターゲットをスパ タリングする。これにより、ターゲット表 に蓄積する電荷が反対の位相電圧を印加し とき打ち消され、安定的な放電が得られる いう利点がある(例えば、特許文献1)。


 このようなグロー放電中では、何らかの原 によりアーク放電(異常放電)が発生するこ が知られている。アーク放電が発生すると プラズマ負荷側のインピーダンスが急激に さくなるため、急激な電圧低下が起こり、 れに伴って電流が増加する。ここで、ター ットが、特にアルミニウム等の金属製であ 場合、高いアーク電流値のアーク放電がタ ゲット間で局所的に発生すると、ターゲッ が溶かされて放出されたものが処理基板表 に付着するというパーティクルやスプラッ ュ(数μm~数百μmの塊)が発生し、良好な成膜 できない。


 このことから、上記特許文献1記載のバイポ ーラパルス電源では、ブリッジ回路からの出 力電流を検出する検出回路と、アーク放電発 生時の電流上昇を抑制するインダクタとを設 け、この検出回路で検出した出力電流が定常 出力電流値を超えたときに、作動中のスイッ チング素子を切換え、その電極への出力を一 旦遮断する。そして、過電流が鎮静してその 値が定常出力電流値近くになると、その電極 への出力を再開するようにしている。この場 合、出力電流が一定の範囲を超えて変化する と、異常放電の前段現象(マイクロアーク)と て捉え、その消弧処理を行うことで電流変 量の多いアーク放電の発生を抑制すること できる。


 ここで、直流電力供給源からの出力が定電 特性を有していれば、インダクタンス成分 り容量成分(キャパシタンス)成分が支配的 なる。このため、アーク放電発生時に、プ ズマ負荷側のインピーダンスが小さくなる( 合によっては、数オーム以下まで小さくな )ことで、出力とプラズマ(負荷)とが結合さ て容量成分から急激に出力側に放出される その結果、インダクタンス値の小さなイン クタを設けも、電流上昇を効率よく抑制で ず、短時間(数μSの間)で過電流が流れる(つ り、アーク放電発生時の単位時間当たりの 流上昇率が高い)という問題がある。


 単位時間当たりの電流上昇率が高い場合、 流変化量が比較的小さい状態を捕らえてマ クロアーク処理を行うときですら、電圧変 に遅れて発生する電流変化に基づくアーク 電検出からプラズマへの電力供給の遮断ま の時間内で大きなアーク電流が流れる場合 あり、放出されるアークエネルギが大きく って(定常電流値の2倍程度の電流が流れる) スプラッシュやパーティクルが発生し易く り、特に、アーク放電が連続して発生して るときには、スプラッシュやパーティクル 発生を実質的に抑制できない。


 他方で、プラズマのインダクタンス成分よ 一桁以上大きいインダクタンス値のインダ タを設けると、直流電源供給源からの出力 定電流特性となり、アーク放電の発生時の 位時間当たりの電流上昇率が制限される。 し、ブリッジ回路の各スイッチング素子を 換えるとき、通常の放電電圧より高い電圧 発生する場合がある。つまり、プラズマに ンダクタンス成分が発生することで、各タ ゲットでの極性反転時に過電圧が生じる。 のように過電圧が生じると、アーク放電を 発する虞がある。

特許第3639605号公報


 そこで、本発明、以上の点に鑑み、スプラ シュやパーティクルの発生に直結するアー 放電発生時の電流上昇を効果的に制限しつ 、極性反転時に過電圧が生じることを防止 きるようにしたバイポーラパルス電源及び 数のバイポーラパルス電源からなる電源装 を提供することをその課題とする。


 上記課題を解決するために、本発明のバイ ーラパルス電源は、直流電力供給源からの 負の直流出力間に接続されたスイッチング 子から構成されるブリッジ回路を備え、ス ッチング素子の作動を制御してプラズマに 触する一対の電極に所定の周波数でバイポ ラパルス状に出力するバイポーラパルス電 において、前記電極に出力する際に、その 初は前記電極への出力が定電圧特性を有し その後に前記電極への出力が定電流特性を するように前記出力を切り換える出力特性 換回路を備えたことを特徴とする。


 本発明によれば、出力特性切換回路を設け ことで、何らかの原因でアーク放電が発生 た場合、プラズマのインピーダンスが急激 小さくなることに起因して急激な電圧低下 起こり、それに伴って電流が増加する。こ とき、直流電源供給源から電極への出力が 電流特性であるため、アーク放電の発生時 単位時間当たりの電流上昇率が制限される 他方で、各電極での極性反転時にのみ定電 特性となっていることで、その極性反転時 過電圧が生じることが防止され、過電流に 因したアーク放電の発生が抑制される。  


 本発明においは、前記出力特性切換回路が 前記直流電力供給源からブリッジ回路への 負の直流出力のうち少なくとも一方に配置 れたインダクタと、前記インダクタに並列 接続された他のスイッチング素子とを備え 前記スイッチング素子の切換え当初に前記 のスイッチング素子を所定時間作動させて ンダクタを短絡する構成を採用すれば、定 圧特性から定電流特性に切り換わる構成を 単に実現できる。この場合、上記スイッチ グ素子の切換のタイミングは、プラズマの 生空間の容積(即ち、プラズマのインピーダ ンス)に応じて適宜設定することができ、ま 、マイクロアーク処理時には、アーク放電 発生時の電流上昇率が制限されるように上 スイッチング素子がオフに制御される。 


 他方で、前記出力特性切換回路は、前記直 電力供給源からブリッジ回路への正負の直 出力のうち少なくとも一方に配置されたイ ダクタと、前記インダクタに直列接続され 過電圧発生時に前記インダクタを短絡する イオードとを備える構成を採用すれば、極 反転時に過電圧が生じている間、ダイオー がオン状態となってインダクタが短絡され ことで、その間だけ定電圧特性になる。こ によれば、切換えを制御する必要があるス ッチング素子を用いないため、回路構成や の制御を簡素化できてよい。


 本発明においては、前記他のスイッチング 子またはダイオードに直列に抵抗を接続し 構成を採用し、極性反転時に生じる過電圧 らスイッチング素子やダイオードを保護す ようにしてもよい。


 なお、本発明においては、前記電極は、ス ッタリング法を実施する処理室内に配置し 一対のターゲットである場合に、特に有効 ある。


 また、上記課題を解決するために、本発明 電源装置は、請求項1乃至請求項5のいずれ 1項に記載のバイポーラパルス電源を複数台 列接続してなる電源装置であって、各バイ ーラパルス電源を同期させて同一の処理室 に配置した少なくとも一対の電極に対しバ ポーラパルス状に出力するように構成した とを特徴とする。


 以下に図面を参照して本発明のバイポーラ ルス電源Eを説明する。図1に示すように、 イポーラパルス電源Eは、例えばスパッタリ グ装置内の処理基板に対向させて配置され プラズマPに接触する電極である一対のター ゲットT1、T2に対し、所定の周波数でバイポ ラパルス状に電力供給(出力)するために用い られる。バイポーラパルス電源Eは、直流電 の供給を可能とする直流電力供給部1と、各 ーゲットT1、T2への出力を制御する発振部2 から構成される。出力電圧の波形は、略方 波や略正弦波であってもよい。


 直流電力供給部1は、その作動を制御する第 1のCPU回路11と、商用の交流電力(3相AC200V又は4 00V)が入力される入力部12と、入力された交流 電力を整流して直流電力に変換する6個のダ オード13aからなる整流回路13とを有し、正負 の直流電力ライン14a、14bを介して直流電力を 発振部2に出力する。また、直流電力供給部1 は、直流電力ライン14a、14b間に設けたスイ チングトランジスタ15と、第1のCPU回路11に 信自在に接続され、スイッチングトランジ タ15のオン、オフを制御する出力発振用のド ライバー回路16とが設けられている。直流電 ライン14a、14b間には、その電流、電圧を検 する検出回路17aが接続され、検出回路17aで 出された電流、電圧は、AD変換回路17bを介 て第1のCPU回路11に入力されるようになって る。


 発振部2には、第1のCPU回路11に通信自在に接 続された第2のCPU回路21と、正負の直流電力ラ イン14a、14b間に接続された4個の第1乃至第4の スイッチングトランジスタSW1乃至SW4からなる ブリッジ回路22と、第2のCPU回路21に通信自在 接続され、各スイッチングトランジスタSW1 至SW4のオン、オフの切換を制御する出力発 用のドライバー回路23とが設けられている


 そして、出力発振用のドライバー回路23に って、例えば第1及び第4のスイッチングトラ ンジスタSW1、SW4と、第2及び第3のスイッチン トランジスタSW2、SW3とのオン、オフのタイ ングが反転するように各スイッチングトラ ジスタSW1乃至SW4の切換えを制御すると、ブ ッジ回路22からの出力ライン24a、24bを介し 一対のターゲットT1、T2にバイポーラパルス に出力される。出力ライン24a、24bには、一 のターゲットT1、T2への出力電流及び出力電 圧を検出する検出回路25が接続され、この検 回路25で検出された出力電流及び出力電圧 、AD変換回路26を介して第2のCPU回路21に入力 れるようになっている。


 ここで、上記構成のバイポーラパルス電源E において、直流電力供給部1から直流電力を 力した状態で各スイッチングトランジスタSW 1乃至SW4を切換えたのでは、それらのスイッ ング損失が多大となるため、各スイッチン トランジスタSW1乃至SW4の耐久性が向上する うに構成する必要がある。そこで、直流電 供給部1からの正負の直流出力ライン14a、14b に、出力発振用のドライバー回路23によっ オン、オフの切換が制御される出力短絡用 スイッチングトランジスタSW5を設け、出力 絡用のスイッチトランジスタSW5の短絡状態( ーゲットT1、T2への出力が遮断される状態) 、ブリッジ回路22の各スイッチングトランジ スタSW1乃至SW4の切換えを行うように構成して いる。


 つまり、図2に示すように、一対のターゲッ トT1、T2にバイポーラパルス状に出力する場 、スイッチングトランジスタSW5の短絡状態( ン)で、例えば第1及び第4のスイッチングト ンジスタSW1、SW4をオンし、その後、スイッ ングトランジスタSW5の短絡を解除(オフ)し 一方のターゲットT1に出力する(ターゲットT1 に負の電位が印加される)。次いで、スイッ ングトランジスタSW5を再度短絡し、第1及び 4のスイッチングトランジスタSW1、SW4をオフ すると共に、第2及び第3のスイッチングトラ ジスタSW2、SW3をオンし、その後、スイッチ グトランジスタSW5をオフして他方のターゲ トT2に出力する(ターゲットT2に負の電位が 加される)。


 そして、各スイッチングトランジスタSW1乃 SW4のオン、オフのタイミングが反転する上 制御を繰り返すことで、一対のターゲットT 1、T2の間に所定の周波数でバイポーラパルス 状に出力される。その際、所定圧力に保持さ れた装置内にArなどのスパッタガスを導入し 状態で、所定の周波数で交互に極性をかえ 電力投入される一対のターゲットT1、T2がア ノード電極、カソード電極に交互に切換わり 、アノード電極及びカソード電極間にグロー 放電を生じさせてプラズマ雰囲気が形成され 、各ターゲットT1、T2がスパッタリングされ 。


 これにより、ターゲットT1、T2への出力する 際に発生するスイッチング損失は、スイッチ ングトランジスタSW5でのみ発生し、各スイッ チングトランジスタSW1乃至SW4にはスイッチン グ損失が殆ど発生しない。その結果、高機能 のスイッチング素子を用いることなく、高い 耐久性を達成でき、しかも、4個のスイッチ グ素子でスイッチング損失が発生する場合 ような十分な放熱機構が不要になり、低コ ト化が図れる。


 ここで、直流電力供給部1からの出力が定電 圧特性であると、インダクタンス成分より容 量成分(キャパシタンス)成分が支配的になる このように容量成分(キャパシタンス)成分 支配的であると、アーク放電発生時にプラ マ負荷側のインピーダンスが小さくなるこ で、出力とプラズマ負荷とが結合されて容 成分から急激に出力側に放出される。この め、検出手段によるアーク放電の検出から 極への出力遮断までの時間内で大きなアー 電流が流れる。その結果、一度の処理でア ク放電を消弧できないと、マイクロアーク 理を行う毎にアーク電流値が高くなり(放出 れるアークエネルギが大きくなる)、スプラ ッシュやパーティクルが発生し易くなる(図3 照)。


 そこで、負の直流出力ライン14bに、プラズ のインダクタンス成分より大きいインダク ンス値を有するインダクタ28を設けること した(図1参照)。ここで、マイクロアーク処 時の電流上昇率が、定常電流値の200%より小 く、より好ましくは、150%以下に制限する場 合、アーク放電発生時の出力電流上昇率(δi) 、インダクタ28のインダクタンス値をL、タ ゲットT1、T2への出力電圧をV及び電流変化 間δtとすると、δi=δt・V/Lで算出される。そ 際、一対のターゲットT1、T2への出力電圧を 500V、出力電流を100Aとし、マイクロアーク処 (出力遮断)時間を200μSとし、過電流を検出 て出力を遮断するまでの電流上昇率を150%に るには、δiは50Aとなる。このような場合に 2mHのインダクタンス値を持つインダクタ28 負の直流出力ライン14bに接続すればよい。 、本実施の形態では、負の直流出力ライン14 bに所定値のインダクタ28を設けることとした が、インダクタ28の接続位置はこれに限定さ るものではなく、正の直流出力ライン14aま は正負の両直流出力ライン14a、14bにそれぞ 設けてもよい。


 上記のように、例えば2mHの値を持つインダ タ28を設けた場合、ブリッジ回路22の各スイ ッチング素子SW1乃至SW4を所定の周波数(例え 、5kHz)で切換えるときに通常の放電電圧Vcよ 高い電圧Vaが発生する(図4(a)参照)。つまり プラズマPにインダクタンス成分が発生し、 対のターゲットT1、T2への出力を交互に切り 換える毎(極性反転時)に過電圧が生じる。こ ように過電圧が生じると、アーク放電を誘 する虞がある。なお、図4では、一方のター ゲットT1での出力電圧及び出力電流の変化の を示している。


 そこで、直流電力供給部1からの正負の直流 出力ライン14a、14bに、上記インダクタ28及び 該インダクタ28に並列接続された他のスイ チング素子SW6とを備える出力特性切換回路 設けることとした(図1参照)。スイッチング 子SW6は、FETなど公知の構造を有するもので り、ドライバー回路23によってオン、オフの 切換が制御される。また、過電圧を防止する 際に、スイッチング素子SW6を保護するため当 該スイッチング素子SW6に直列に例えば数ω~数 百ωの抵抗値を有する抵抗(図示せず)を接続 た構成を採用してもよい。


 そして、スイッチングトランジスタSW5の短 状態(オン)で、例えば第1及び第4のスイッチ ングトランジスタSW1、SW4をオンし、その後、 スイッチングトランジスタSW5の短絡を解除( フ)して一方のターゲットT1に出力する場合 、スイッチング素子SW6を一定期間オンする とでインダクタ28を短絡する。次に、スイッ チングトランジスタSW5を再度短絡し、第1及 第4のスイッチングトランジスタSW1、SW4をオ すると共に、第2及び第3のスイッチングト ンジスタSW2、SW3をオンし、その後、スイッ ングトランジスタSW5をオフした後にも、ス ッチング素子SW6を一定期間オンすることで ンダクタ28を短絡する(図2参照)。尚、スイッ チング素子SW6の切換のタイミング(スイッチ グ素子SW6をオンさせる時間)、プラズマの発 空間の容積(即ち、プラズマのインピーダン ス)に応じて適宜設定することができ、また 後述するマイクロアーク処理時には、アー 放電の発生時の電流上昇率が制限されるよ にスイッチング素子SW6がオフに制御される


 このように極性反転時にスイッチング素子S W6を作動させてインダクタ28を所定時間だけ 絡することで、インダクタ28が短絡されてい る間、ターゲットT1、T2への出力が定電圧特 となり、出力電流Icが徐々に増加する(つま 、出力電流は0Aから始まるランプ出力となる )。そして、スイッチング素子SW6をオフに戻 と、定電流特性となり、各ターゲットT1、T2 の極性反転時に過電圧が生じることが防止 れ、過電流に起因したアーク放電の発生を 制がされる(図4(b)参照)。


 次に、本発明のバイポーラパルス電源にお るアーク処理について説明する。即ち、上 のようなグロー放電中では、何らかの原因 よりアーク放電が発生する場合があり、ア ク放電が発生すると、プラズマ負荷側のイ ピーダンスが急激に小さくなるため、急激 電圧低下が起こり、それに伴って電流が増 する。このことから、検出回路25で検出さ た出力電流及び出力電圧が入力されるアー 検出制御回路27を第2のCPU回路21に通信自在に 設けた(図1参照)。そして、ターゲットT1、T2 の出力が定電圧特性のときには出力電流が 定の範囲を超えて変化すると、また、ター ットT1、T2への出力が定電流特性を有してい 場合には出力電圧が規定電圧より一定の範 を超えて変化すると、アーク放電の前段現 (マイクロアーク)として捉え、その消弧処 を行うことでアーク電流の大きなアーク放 の発生を抑制する。


 図5及び図6を参照して説明すれば、検出回 25で検出した出力電流Iaが、定常出力電流値I cを超えたとき、または、出力電圧が規定電 より小さくなったときに(図示せず)、アーク 検出制御回路27によってアーク放電発生の前 現状として捕え、第2のCPU回路21及びアーク 出制御回路27を介して出力発振用のドライ ー回路23によって出力短絡用のスイッチング トランジスタSW5が短絡(オン)される。このと 、直流出力ライン14bにインダクタ28を設け いることで、直流電源供給部1からの出力が 電流特性となり、アーク放電の発生時の電 上昇率が制限される。出力短絡用のスイッ ングトランジスタSW5が短絡(オン)されたと 、ブリッジ回路22の各スイッチングトランジ スタSW1乃至SW4は、いずれか一方のターゲット T1、T2への出力状態に保持されているが、ス ッチングトランジスタSW0が短絡されること ターゲットT1、T2への出力が遮断される(マイ クロアーク処理)。


 次いで、所定時間経過後(数μS~数mS)に、出 短絡用のスイッチングトランジスタSW5の短 を解除(オフ)し、各スイッチングトランジス タSW1乃至SW4の作動状態に応じていずれか一方 のターゲットT1、T2への出力を再開する。こ とき、スイッチング素子SW6を一定期間オン ることでインダクタ28が短絡され、上記同様 に、インダクタ28が短絡されている間、ター ットT1、T2への出力が定電圧特性となり、一 方のターゲットT1、T2への出力再開時に、過 圧が生じることが防止される。そして、ア ク検出制御回路27によって出力電流Vaが定常 力電流値Vcを超えているか、または、出力 圧が規定電圧より小さくなっているかを判 し、定常出力電流値Vcを未だ超えているか、 または、出力電圧が規定電圧より小さい場合 に、出力発振用ドライバー回路23によって出 短絡用のスイッチングトランジスタSW5を再 短絡する。


 この一連のマイクロアーク処理を複数回繰 返しても出力電流Iaが定常出力電流値Icを超 えた状態のままであるか、または、出力電流 Iaが予め設定された所定値を超えると、スプ ッシュやパーティクルの発生を誘発するア ク放電が発生すると判断し、第1のCPU回路11 らの制御によってスイッチングトランジス 15をオフし、直流電力供給部1からの出力を 止する(ハードアーク処理)。この処理の間 も、アーク電流値は、定常電流値の200%より さく保持されることと(図6参照)、出力中の2 個のスイッチングトランジスタSW1乃至SW4を切 換えてアーク放電の消弧処理を行う場合より 、応答性よくその出力遮断の制御ができるこ ととが相俟って、放出されるアークエネルギ が小さくして、スプラッシュやパーティクル の発生を効果的に抑制できる。この処理の間 、ブリッジ回路22の各スイッチングトランジ タSW1乃至SW4にはスイッチング損失が殆ど発 しないため、その耐久性を一層向上できる


 なお、本実施の形態では、バイポーラパル 電源Eにより電極たるターゲットT1、T2に出 (マイクロアーク処理の際に出力を再開する 合を含む)する際に、その当初は前記各電極 への出力が定電圧特性を有し、その後に前記 各電極への出力が定電流特性を有するように 切り換える出力特性切換回路として、インダ クタ28及びスイッチング素子SW6を設けたもの 例に説明したがこれに限定されるものでは い。


 例えば、FET等のスイッチング素子に代えて 過電圧発生時にインダクタ28を短絡するダ オード(図示せず)をインダクタ28に並列接続 て出力特性切換回路とする構成を採用でき 。これにより、簡単な構成で出力特性切換 路を実現でき、その上、スイッチング素子 用いた場合のような制御が不要になってよ 。この場合、直流電力供給部1からの正負の 直流出力ライン14a、14bに接続されたキャパシ タCと、インダクタ28に並列であって相互に直 列接続されたダイオードD及び抵抗Rとから構 される出力クランプ回路で出力特性切換回 としてもよい。キュパシタCとしては、5~20μ Fのものが用いられ、抵抗Rとしては、数ω~10ω の範囲のものを用いればよい。


 次に、図7及び図8を参照して、本発明のバ ポーラパルス電源Eを複数台並列接続してな 電源装置について説明する。ESは、本発明 電源装置であり、この電源装置ESは、例えば 次の構成を有するマグネトロンスパッタリン グ装置(以下、「スパッタ装置」という)3に用 いられている。


 スパッタ装置3は、ロータリーポンプ、ター ボ分子ポンプなどの真空排気手段(図示せず) 介して所定の真空圧(例えば、10 -5 Pa)に保持できる真空チャンバ31を有し、スパ タ室(処理室)32を構成する。真空チャンバ31 上部には、例えばFPD製造の際に用いられる 面積の処理基板Sを電位的にフローティング 状態で保持する基板ホルダー33が設けられて る。真空チャンバ31にはまた、プロセスガ をスパッタ室32内に導入するガス導入管(図 せず)が設けられ、Ar等の希ガスからなるス ッタガスや反応性スパッタにより所定の薄 を形成する場合に処理基板S表面に形成しよ とする薄膜の組成に応じて適宜選択されるO 2 、N 2 やH 2 Oなどの反応性ガスとが処理室32に導入できる 。


 スパッタ室32には、処理基板Sに対向させて 複数枚(本実施の形態では8枚)のターゲット4 1a乃至41hが等間隔で並設されている。各ター ット41a乃至41hは、Al、Ti、Mo、インジウム及 錫の酸化物(ITO)やインジウム及び錫の合金 ど、処理基板S表面に形成しようとする薄膜 組成に応じて公知の方法で作製され、例え 略直方体(上面視において長方形)など同形 に形成されている。


 各ターゲット41a乃至41hは、スパッタ中、タ ゲット41a乃至41hを冷却するバッキングプレ トに、インジウムやスズなどのボンディン 材を介して接合されている。各ターゲット4 1a乃至41hは、未使用時のスパッタ面が処理基 Sに平行な同一平面上に位置するように、絶 縁部材を介して真空チャンバ31に設けられる また、ターゲット41a乃至41hの後方(スパッタ 面と背向する側)には、公知の構造を有する 石組立体(図示せず)が配置され、各ターゲッ ト41a乃至41hの前方(スパッタ面)側で電離した 子及びスパッタリングによって生じた二次 子を捕捉することで、各ターゲット41a乃至4 1h前方での電子密度を高くしてプラズマ密度 高まり、スパッタレートを高くできる。


 各ターゲット41a乃至41hは、隣り合う2枚で一 対のターゲット(41aと41b、41cと41d、41eと41f、41 gと41h)を構成し、一対のターゲット41a乃至41h に割当てて上記実施の形態のパイポーラパ ス電源E1乃至E4が設けられ、パイポーラパル ス電源E1乃至E4からの出力ライン24a、24bが各 対のターゲット41a、41b(41c及び41d、41e及び41f 41g及び41h)に接続されている。これにより、 パイポーラパルス電源E1乃至E4によって、各 対のターゲット41a乃至41hに対し交互に極性 バイポーラパルス状の電力供給が可能にな 。


 本実施の形態では、安定してターゲット41a 至41hの前方にプラズマを生成するために、 互に隣接するターゲット41a乃至41hの極性が 互に反転するように、各パイポーラパルス 源E1乃至E4を同期させて電力供給される(図5 照)。この同期運転のために、各パイポーラ パルス電源E1乃至E4の第2のCPU回路21に通信自 に接続されたCPUからなる統括制御手段5が設 られている。


 そして、各バイポーラパルス電源E1乃至E4の 出力短絡用のスイッチングトランジスタSW5の 短絡状態で、各バイポーラパルス電源E1乃至E 4毎に、第1及び第4のスイッチングトランジス タSW1、SW4と、第2及び第3のスイッチングトラ ジスタSW2、SW3とのオン、オフのタイミング 反転すると共に、相互に隣合うターゲット4 1a乃至41hへの極性が反転するように各スイッ ングトランジスタSW1乃至SW4を作動させた後 統括制御手段5からの出力でスイッチングト ランジスタSW5の短絡が解除され、一対のター ゲットのうち各一方のもの41a、41c、41e、41gに 出力する。


 次いで、統括制御手段5からの出力で各バイ ポーラパルス電源E1乃至E4の出力短絡用のス ッチングトランジスタSW5を短絡し、各スイ チングトランジスタSW1乃至SW4を切換えた後 、統括制御手段からの出力でスイッチング ランジスタSW5の短絡が解除し、他方の各タ ゲット41b、41d、41f、41hに出力する。そして 上記制御を繰り返すことで、各ターゲット41 a乃至41hに所定の周波数でバイポーラパルス に電力供給されて同期運転される。


 この同期運転の際、統括制御手段5によって 各バイポーラパルス電源E1乃至E4の出力短絡 のスイッチング素子SW5のオン、オフの切換 のタイミングのみを同期させれば良いため 各バイポーラパルス電源E1乃至E4のスイッチ グ素子SW1乃至SW4を十分な余裕を持って作動 せることができ、各バイポーラパルス電源 スイッチング素子や制御回路に個体差があ ても、その同期運転は容易である。


 また、各バイポーラパルス電源E1乃至E4は、 スパッタリング中に、いずれか1個のバイポ ラパルス電源において検出回路25で検出した 出力電流Iaが、定常出力電流値Icを超えたと 、そのバイポーラパルス電源のアーク検出 御回路23による出力短絡用のスイッチングト ランジスタSW5の切換えで上述したマイクロア ーク処理を行うように構成されている。


 いずれか1個のバイポーラパルス電源でマイ クロアーク処理を行う際、このバイポーラパ ルス電源からの出力ケーブル24a、24bが接続さ れた一対のターゲットと、この一対のターゲ ットに隣合う他のバイポーラパルス電源から の出力ケーブル24a、24bが接続された他のター ゲットとの電位が相互に一致していると、ア ーク放電を消弧し易くできる。


 本実施の形態では、いずれか1個のバイポー ラパルス電源E1乃至E4においてマイクロアー 処理を開始したとき、それが統括制御手段5 介して、隣合うターゲットに出力している イポーラパルス電源の第2のCPU回路21にそれ 出力される。この場合、その第2のCPU回路21 介して、出力発振用のドライバー回路23に って出力短絡用のスイッチングトランジス SW5が一旦短絡され、各スイッチングトラン スタSW1乃至SW4の作動状態に応じて、電位が 互に一致するように各スイッチングトラン スタSW1乃至SW4の作動のタイミングが変更さ 、出力短絡用のスイッチングトランジスタSW 5の短絡が解除され、ターゲットに出力され ようにしている。


 尚、本実施の形態では、各パイポーラパル 電源E1乃至E4を同期運転するため統括制御手 段を設けたものについて説明したが、いずれ か1個の第2のCPU回路21を統括制御手段として 成し(マスター電源)、この統括制御手段の出 力によって、他のパイポーラパルス電源E2乃 E4(スレーブ電源)の作動が制御されるように してもよい。また、上記のものでは、一つの パイポーラパルス電源E1乃至E4で一対のター ットに出力するものを例に説明したが、複 台のパイポーラパルス電源E1乃至E4で一対の ーゲットに出力するような場合にも本発明 適用できる。


本発明のバイポーラパルス電源の構成 概略的に示す図。 本発明のバイポーラパルス電源の出力 御を説明する図。 従来のバイポーラパルス電源でのマイ ロアーク処理時の電流変化を説明する図。 (a)及び(b)は、一対の電極への出力電圧 び出力電流の波形を説明する図。 本発明のバイポーラパルス電源でのマ クロアーク処理を説明する図。 本発明のバイポーラパルス電源でのマ クロアーク処理時の電流変化を説明する図 本発明の電源装置を用いたスパッタリ グ装置を概略的に説明する図。 本発明の電源装置の出力制御を説明す 図。


1 直流電力供給部

2 発振部 

22 ブリッジ回路

24a、24b 出力ケーブル

25 出力電流、電圧検出回路

27 アーク検知制御回路

28 インダクタ

E バイポーラパルス電源

SW1乃至SW6 スイッチング素子

T1、T2 電極(ターゲット)