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Title:
COLORING RESIN COMPOSITION FOR COLOR FILTER, COLOR FILTER, ORGANIC EL DISPLAY AND LIQUID CRYSTAL DISPLAY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/107734
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a coloring resin composition capable of forming a blue pixel of a color filter having excellent light resistance, which has heat resistance sufficient for the production process of a color display. Also disclosed are a color filter having a blue pixel with excellent color purity and transmittance by using the coloring resin composition, and an organic EL display and a liquid crystal display each having good blue color purity. The coloring resin composition for color filters contains (a) a binder resin, (b) a solvent, and a triarylmethane dye having a specific structure represented by general formula (I). The color filter, organic EL display and liquid crystal display are obtained by using this coloring resin composition for color filters.

Inventors:
SAKO NAOKI (JP)
AKIYAMA SEIJI (JP)
SHODA TAKAYUKI (JP)
MAKINO SAE (JP)
SHIGA YASUSHI (JP)
YOKOO TOSHIAKI (JP)
ISHIDA MIO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/053579
Publication Date:
September 03, 2009
Filing Date:
February 26, 2009
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI CHEM CORP (JP)
SAKO NAOKI (JP)
AKIYAMA SEIJI (JP)
SHODA TAKAYUKI (JP)
MAKINO SAE (JP)
SHIGA YASUSHI (JP)
YOKOO TOSHIAKI (JP)
ISHIDA MIO (JP)
International Classes:
G02B5/20; C09B1/32; C09B11/00; C09B11/26; C09B47/24; C09B67/20; C09B67/22; G02F1/1335; G03F7/004; H01L51/50; H05B33/12
Foreign References:
JP2003255124A2003-09-10
JP2003119172A2003-04-23
JP2001520637A2001-10-30
JP2002350632A2002-12-04
JP2005049847A2005-02-24
JP2002228830A2002-08-14
JP2002258030A2002-09-11
JP2002174714A2002-06-21
JPH0894826A1996-04-12
JPS5323624A1978-03-04
JPS52130701A1977-11-02
Attorney, Agent or Firm:
OGURI, Shohei et al. (JP)
Shohei Oguri (JP)
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Claims:
 (a)バインダー樹脂、(b)溶剤および(c)色材を含有し、(c)色材が下記一般式(I)で表される化合物を含有する、カラーフィルター用着色樹脂組成物。
(上記一般式(I)において、Zはアントラキノン骨格またはフタロシアニン骨格を有するm価のアニオンを表す。mは1~4の整数を表す。
 Rは水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~8のアルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基を表すか、或いは隣接するR同士が結合して環を形成する。該環は置換基を有していてもよい。それぞれのRは同一でも異なっていてもよい。
 R 101 は置換基を有していてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~6のアルケニル基、置換基を有していてもよいフェニル基、またはフッ素原子を表す。
 R 102 は水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2~6のアルケニル基、置換基を有していてもよいフェニル基、またはフッ素原子を表す。
 或いはR 101 とR 102 とが結合し、環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。
 また、上記一般式(I)のカチオン部分における3つのベンゼン環は、いずれも、-N
R 2 、-R 101 および-R 102 以外の基で置換されていてもよい。
 なお、1分子中に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であっても、異なる構造であってもよい。)
 前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(I’)で表される化合物である、請求項1に記載のカラーフィルター用着色樹脂組成物。
(上記一般式(I’)において、Z、m、R、R 101 およびR 102 は、前記一般式(I)におけると同義である。
 R 103 およびR 104 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1~8のアルキル基を表す。
 なお、1分子中に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であっても、異なる構造であってもよい。)
 前記一般式(I’)で表される化合物が、下記一般式(II)で表される化合物である、請求項2記載のカラーフィルター用着色樹脂組成物。
(上記一般式(II)において、Mは2個の水素原子、Cu、Mg、Al、Ni、Co、Fe、Zn、Ge、Mn、Si、Ti、VまたはSnを表し、各金属原子には、酸素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基またはアリールオキシ基が配位していてもよい。
 式中の-SO 3 - 基は、フタロシアニン骨格におけるベンゼン環を構成するいずれかの炭素原子に結合している。これら4つのベンゼン環を構成する炭素原子のうち、-SO 3 - 基が結合していない炭素原子は、任意の基で置換されていてもよい。
 m、R、R 101 ~R 104 は一般式(I’)におけると同義であり、1分子中に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であっても、異なる構造であってもよい。)
 前記一般式(II)で表される化合物が、下記一般式(III)で表される化合物である、請求項3記載のカラーフィルター用着色樹脂組成物。
(上記一般式(III)において、-SO 3 - 基は、フタロシアニン骨格におけるベンゼン環を構成するいずれかの炭素原子に結合しており、該フタロシアニン骨格は-SO 3 - 基以外に置換基を有さない。
 m、M、R、R 103 およびR 104 は一般式(I’)におけると同義であり、1分子中に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であっても、異なる構造であってもよい。)
 前記一般式(I’)で表される化合物が、下記一般式(IV)で表される化合物である、請求項2記載のカラーフィルター用着色樹脂組成物。
(上記一般式(IV)において、アントラキノン骨格が有する置換基のうち、
 R 31 は水素原子、または置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
 R 32 、R 33 、R 34 は、各々独立に、水素原子、水酸基、-NHR 41 (R 41 はR 31 と同義である。)、-SO 3 - 、ハロゲン原子、-CO 2 R 42 (R 42 は炭素数1~3のアルキル基を表す。)のいずれかであるが、R 32 ~R 34 のうち、少なくとも一つは-NHR 41 基である。
 R 35 、R 36 、R 37 、R 38 は、各々独立に、水素原子、-SO 3 - 、ハロゲン原子、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、炭素数1~12のアルコキシル基、-CO 2 R 43 、フェニル基、-SO 3 R 44 、または-SO 2 NHR 45 (但し、R 43 ~R 45 は、各々独立に、炭素数1~6のアルキル基を表す。)を表す。
 なお、1つのアントラキノン骨格中に、-SO 3 - 基はm個結合している。
 m、R、R 101 ~R 104 は一般式(I’)におけると同義であり、1分子中に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であっても、異なる構造であってもよい。)
 前記一般式(IV)で表される化合物が、下記一般式(IV’)で表される化合物である、請求項5に記載のカラーフィルター用着色樹脂組成物。
(上記一般式(IV’)において、m、R、R 31 ~R 38 、R 103 およびR 104 は前記一般式(IV)におけると同義であり、1分子中に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であっても、異なる構造であってもよい。)
 前記一般式(I)で表される化合物を、全固形分中1~50重量%含有する、請求項1ないし6のいずれか一項に記載のカラーフィルター用着色樹脂組成物。 
 (a)バインダー樹脂、(b)溶剤および(c)色材を含有し、(c)色材が下記一般式(V)で表される化合物を含有する、カラーフィルター用着色樹脂組成物。
(上記一般式(V)において、Zはアントラキノン骨格またはフタロシアニン骨格を有するm価のアニオンを表す。mは1~4の整数を表す。
 Rは水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~8のアルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基を表すか、或いは隣接するR同士が結合して環を形成する。該環は置換基を有していてもよい。それぞれのRは同一でも異なっていてもよい。
 R 201 は水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~8のアルキル基、ベンジル基、置換基を有していてもよいフェニル基、または置換基を有していてもよいナフチル基を表す。
 R 202 は置換基を有していてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
 R 203 、R 204 、R 205 、R 206 は、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~8のパーフルオロアルキル基、炭素数1~12のアルコキシル基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、フッ素原子、置換基を有していてもよいフェニル基、-CO 2 R 46 、-SO 3 R 47 、または-SO 2 NHR 48 (但し、R 46 ~R 48 は、各々独立に、炭素数1~6のアルキル基を表す。)を表す。
 また上記一般式(V)のカチオン部分における2つのベンゼン環は、いずれも-NR 2 以外の基で置換されていてもよい。
 なお、1分子中に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であっても、異なる構造であってもよい。)
 前記一般式(V)で表される化合物が、下記一般式(V’)で表される化合物である、請求項8に記載のカラーフィルター用着色樹脂組成物。
(上記一般式(V’)において、Z、m、R、R 201 ~R 206 は、いずれも前記一般式(V)におけると同義である。
 R 207 およびR 208 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1~8のアルキル基を表す。
 なお、1分子中に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であっても、異なる構造であってもよい。)
 前記一般式(V’)で表される化合物が、下記一般式(VI)で表される化合物である、請求項9記載のカラーフィルター用着色樹脂組成物。
(上記一般式(VI)において、Mは2個の水素原子、Cu、Mg、Al、Ni、Co、Fe、Zn、Ge、Mn、Si、Ti、VまたはSnを表し、各金属原子には、酸素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基またはアリールオキシ基が配位していてもよい。
 式中の-SO 3 - 基は、フタロシアニン骨格におけるベンゼン環を構成するいずれかの炭素原子に結合している。これら4つのベンゼン環を構成する炭素原子のうち、-SO 3 - 基が結合していない炭素原子は、任意の基で置換されていてもよい。
 m、R、R 201 、R 202 、R 207 、R 208 は一般式(V’)におけると同義であり、1分子中に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であっても、異なる構造であってもよい。)
 前記一般式(VI)において、-SO 3 - 基は、フタロシアニン骨格におけるベンゼン環を構成するいずれかの炭素原子に結合しており、該フタロシアニン骨格は-SO 3 - 基以外に置換基を有していない、請求項10記載のカラーフィルター用着色樹脂組成物。
 前記一般式(V’)で表される化合物が、下記一般式(VII)で表される化合物である、請求項9記載のカラーフィルター用着色樹脂組成物。
(上記一般式(VII)において、アントラキノン骨格が有する置換基のうち、
 R 31 は水素原子、または置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
 R 32 、R 33 、R 34 は、各々独立に、水素原子、水酸基、-NHR 41 (R 41 はR 31 と同義である。)、-SO 3 - 、ハロゲン原子、-CO 2 R 42 (R 42 は炭素数1~3のアルキル基を表す。)のいずれかであるが、R 32 ~R 34 のうち、少なくとも一つは-NHR 41 基である。
 R 35 、R 36 、R 37 、R 38 は、各々独立に、水素原子、-SO 3 - 、ハロゲン原子、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、炭素数1~12のアルコキシル基、-CO 2 R 43 、フェニル基、-SO 3 R 44 、または-SO 2 NHR 45 (但し、R 43 ~R 45 は、各々独立に、炭素数1~6のアルキル基を表す。)を表す。
 なお、1つのアントラキノン骨格中に、-SO 3 - 基はm個結合している。
 m、R、R 201 、R 202 、R 207 、R 208 は一般式(V’)におけると同義であり、1分子中に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であっても、異なる構造であってもよい。)
 前記一般式(V)で表される化合物を、全固形分中1~50重量%含有する、請求項8ないし12のいずれか一項に記載のカラーフィルター用着色樹脂組成物。
 (a)バインダー樹脂、(b)溶剤および(c)色材を含有し、
 (c)色材が、カチオン系青色色素(色素1)とアニオン系色素(色素2)からなる化合物を含有し、
 該化合物における色素1および色素2が、以下の(イ)または(ロ)を満たすことを特徴とする、カラーフィルター用着色樹脂組成物。
(イ)色素2が偶数電子系化合物であり、時間依存密度汎関数(B3LYP/6-31G(d,p))計算により得られる、色素1の最低一重項励起状態(S 1 状態)の励起エネルギー(δE S1 (色素1))と、色素2の最低一重項励起状態(S 1 状態)の励起エネルギー(δE S1 (色素2))が下記式(i)を満たし、かつ色素2の最低三重項励起状態(T 1 状態)の励起エネルギー(δE T1 (色素2))が下記式(ii)を満たす。
(ロ)色素2が奇数電子系化合物であり、時間依存密度汎関数(B3LYP/6-31G(d,p))計算により得られる、色素1の最低一重項励起状態(S 1 状態)の励起エネルギー(δE S1 (色素1))と、色素2のエネルギー的に最も低い励起状態の励起エネルギー(δE lowest (色素2))が、下記式(iii)を満たす。
 前記色素1が、骨格内にカチオン部位を有するか、もしくは置換基としてカチオン性置換基を有する、カチオン性色素であり、
 前記色素2が、アニオン性置換基を有するアニオン性色素である、請求項14記載のカラーフィルター用着色樹脂組成物。
 前記色素2が、フタロシアニン骨格またはアントラキノン骨格を有するアニオン性色素である、請求項14又は15記載のカラーフィルター用着色樹脂組成物。
 さらに(d)モノマーを含有する、請求項1ないし16のいずれか一項に記載のカラーフィルター用着色樹脂組成物。
 さらに(e)光重合開始系および熱重合開始系のうち少なくとも1つを含有する、請求項1ないし17のいずれか一項に記載のカラーフィルター用着色樹脂組成物。
 さらに(f)顔料を含有する、請求項1ないし18のいずれか一項に記載のカラーフィルター用着色樹脂組成物。
 請求項1ないし19のいずれか一項に記載のカラーフィルター用着色樹脂組成物を用いて形成された画素を有するカラーフィルター。
 請求項20記載のカラーフィルターを備える、有機ELディスプレイ。
 請求項20記載のカラーフィルターを備える、液晶表示装置。
Description:
カラーフィルター用着色樹脂組 物、カラーフィルター、有機ELディスプレ および液晶表示装置

 本発明は、分光特性に優れたカラーフィ ターの青色画素を提供しうる着色樹脂組成 、これを用いて形成された画素を有するカ ーフィルター、並びに該カラーフィルター 用いて形成された有機ELディスプレイおよ 液晶表示装置に関する。

 近年、フラットディスプレイとして、カラ の液晶表示装置や有機ELディスプレイが注 されており、これらのディスプレイにはカ ーフィルターが用いられている。
 例えば、カラー液晶表示装置には、一例と て、ブラックマトリックス、複数の色(通常 、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色)からなる着色層 透明電極および配向層を備えたカラーフィ ター基板と、薄膜トランジスタ(TFT素子)、 素電極および配向層を備えた対向電極基板 、これら両基板を所定の間隙をもたせて対 させ、シール部材で密封して、上記間隙に 晶材料を注入して形成された液晶層とから 略構成された透過型の液晶表示装置がある また、上記のカラーフィルターの基板と着 層との間に反射層を設けた反射型の液晶表 装置もある。

 有機ELディスプレイは、原理的には、陽 と陰極との間に有機EL発光層をはさんだ構造 の有機EL素子を有するものであるが、実際に 有機EL素子を用いてカラー表示の可能な有 ELディスプレイとするには、(1)三原色の各色 をそれぞれ発光する有機EL素子どうしを配列 る方式、(2)白色光に発光する有機EL素子を 原色のカラーフィルター層と組み合わせる 式、並びに(3)青色発光する有機EL素子と、青 →緑、および青→赤にそれぞれ色変換する色 変換層(CCM層)とを組み合わせるCCM方式等があ 。

 (1)の方式は言うまでもなく、各色の有機EL 子を使用するため、高い色再現性を発現し るのが特徴である。従って、各色の有機EL素 子に対応してカラーフィルターを載置するこ とにより、色再現性の向上や、反射光を吸収 することによるコントラスト向上が期待でき るため、有望な方式の一つとされている。
 また、(2)の白色有機ELとカラーフィルター の組み合わせ方式および(3)のCCM方式は、同 色に発光する有機EL素子を一種類使用すれば よいので、上記(1)の方式の有機ELディスプレ におけるように、各色の有機EL素子の特性 揃える必要が無く、工程数および材料の削 等が可能となり、製造コスト面でも注目を めているフルカラー化方式である。

 カラーフィルターおよび色変換フィルタ と有機発光体を構成要素とする色変換方式 用いた有機EL素子において、カラーディス レイの製造工程で要求される耐熱性や、デ スプレイとして使用される際の耐候性、並 に高精細度の画像が要求されるものについ は、顔料分散法で作成されたカラーフィル ーを用いるのが主流となっており、感光性 脂溶液中に赤色、青色または緑色の顔料を 径1μm以下に微分散したものをガラス基板上 塗布した後、フォトリソグラフィーにより 望のパターンで画素を形成している(特許文 献1,2)。

 カラーフィルターに関しては、色純度、 度、光透過量の向上が求められており、従 は、光透過量の向上を目的として、画像形 用材料中の感光性樹脂に対する着色顔料の 有量を減らすか、もしくは画像形成用材料 より形成される画素の形成膜厚を薄くする いうような方法が採られてきた。しかしな ら、これらの方法ではカラーフィルター自 の彩度が低下し、ディスプレイ全体が白っ くなって表示に必要な色の鮮やかさが犠牲 なってしまい、逆に彩度を優先して着色顔 含有量を増加させるとディスプレイ全体が くなり、この場合には、明るさを確保する めにバックライトの光量を大きくしなけれ ならず、ディスプレイの消費電力増大を招 てしまうという問題がある。

 これに対して、光透過量の向上を目的と て、顔料粒子の粒径をその呈色波長の1/2以 にまで微分散する方法が知られているが(非 特許文献1)、青色顔料は他の赤色、緑色顔料 比較して呈色波長が短いため、この場合に さらなる微分散を必要とし、コストアップ びに分散後の安定性が問題となる。

 一方で、着色剤として染料を使用したカラ フィルターも依然開発が進められている。 えば特許文献3には、シー・アイ・アシッド ・ブルー83(トリアリルアミン系色素)と、シ ・アイ・ソルベント・ブルー67(銅フタロシ ニン系色素)を含む青色フィルター層を設け カラーフィルターが記載されている。
 しかし、該文献記載の染料を使用したカラ フィルターは、分光特性、耐熱性、耐光性 もに不十分であるという問題があった。

 また、特許文献4には、下記式で表される重 合性トリフェニルメタン染料を含むポリマー を用いたカラーフィルターが記載されている 。
 しかし、該文献記載の染料を使用したカラ フィルターは、分光特性には優れるものの 光性が不十分であるという問題があった。

(上記式におけるR 1 のうち、少なくとも一つは炭素-炭素二重結 を含む特定の重合性基)

特公平4-37987号公報

特公平4-39041号公報

特開2002-14222号公報

特開2000-162429号公報

橋爪清「色材協会誌」(1967年12月、p608)

 本発明は、耐光性に優れたカラーフィル ーの青色画素を提供することができ、かつ 述したカラーディスプレイ製造工程で要求 れる耐熱性をも満たす着色樹脂組成物を提 することを目的とする。また、このような 色樹脂組成物を用いることにより、青色画 の色純度および透過率に優れたカラーフィ ター、および青色純度の良い有機ELディス レイ並びに液晶表示装置を提供することを 的とする。

 本発明者らは、カラーフィルターの青色画 形成用の色材として、特定の化合物からな 塩を使用することにより、上記課題を解決 きることを見出し、本発明に至った。
 すなわち本発明の要旨は、以下に存する。

[1] (a)バインダー樹脂、(b)溶剤および(c)色 を含有し、(c)色材が下記一般式(I)で表され 化合物を含有するカラーフィルター用着色 脂組成物。

(上記一般式(I)において、Zはアントラキノン 格またはフタロシアニン骨格を有するm価の アニオンを表す。mは1~4の整数を表す。
 Rは水素原子、置換基を有していてもよい炭 素数1~8のアルキル基、または置換基を有して いてもよいフェニル基を表すか、或いは隣接 するR同士が結合して環を形成する。該環は 換基を有していてもよい。それぞれのRは同 でも異なっていてもよい。
 R 101 は置換基を有していてもよい炭素数1~8のアル キル基、置換基を有していてもよい炭素数2~6 のアルケニル基、置換基を有していてもよい フェニル基、またはフッ素原子を表す。
 R 102 は水素原子、置換基を有していてもよい炭素 数1~8のアルキル基、置換基を有していてもよ い炭素数2~6のアルケニル基、置換基を有して いてもよいフェニル基、またはフッ素原子を 表す。
 或いはR 101 とR 102 とが結合し、環を形成していてもよく、該環 は置換基を有していてもよい。
 また、上記一般式(I)のカチオン部分におけ 3つのベンゼン環は、いずれも、-NR 2 、-R 101 および-R 102 以外の基で置換されていてもよい。
 なお、1分子中に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であって も、異なる構造であってもよい。)

[2] 前記一般式(I)で表される化合物が、下 一般式(I’)で表される化合物である[1]に記 のカラーフィルター用着色樹脂組成物。

(上記一般式(I’)において、Z、m、R、R 101 およびR 102 は、前記一般式(I)におけると同義である。
 R 103 およびR 104 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ま たは炭素数1~8のアルキル基を表す。
 なお、1分子中に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であって も、異なる構造であってもよい。)

[3] 前記一般式(I’)で表される化合物が、 記一般式(II)で表される化合物である[2]に記 載のカラーフィルター用着色樹脂組成物。

(上記一般式(II)において、Mは2個の水素原子 Cu、Mg、Al、Ni、Co、Fe、Zn、Ge、Mn、Si、Ti、Vま たはSnを表し、各金属原子には、酸素原子、 ロゲン原子、水酸基、アルコキシ基または リールオキシ基が配位していてもよい。
 式中の-SO 3 - 基は、フタロシアニン骨格におけるベンゼン 環を構成するいずれかの炭素原子に結合して いる。これら4つのベンゼン環を構成する炭 原子のうち、-SO 3 - 基が結合していない炭素原子は、任意の基で 置換されていてもよい。
 m、R、R 101 ~R 104 は一般式(I’)におけると同義であり、1分子 に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であって も、異なる構造であってもよい。)

[4] 前記一般式(II)で表される化合物が、下 記一般式(III)で表される化合物である[3]に記 のカラーフィルター用着色樹脂組成物。

(上記一般式(III)において、-SO 3 - 基は、フタロシアニン骨格におけるベンゼン 環を構成するいずれかの炭素原子に結合して おり、該フタロシアニン骨格は-SO 3 - 基以外に置換基を有さない。
 m、M、R、R 103 およびR 104 は一般式(I’)におけると同義であり、1分子 に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であって も、異なる構造であってもよい。)

[5] 前記一般式(I’)で表される化合物が、 記一般式(IV)で表される化合物である[2]に記 載のカラーフィルター用着色樹脂組成物。

(上記一般式(IV)において、アントラキノン骨 が有する置換基のうち、
 R 31 は水素原子、または置換基を有していてもよ いフェニル基を表す。
 R 32 、R 33 、R 34 は、各々独立に、水素原子、水酸基、-NHR 41 (R 41 はR 31 と同義である。)、-SO 3 - 、ハロゲン原子、-CO 2 R 42 (R 42 は炭素数1~3のアルキル基を表す。)のいずれ であるが、R 32 ~R 34 のうち、少なくとも一つは-NHR 41 基である。
 R 35 、R 36 、R 37 、R 38 は、各々独立に、水素原子、-SO 3 - 、ハロゲン原子、フェノキシ基、ナフチルオ キシ基、炭素数1~12のアルコキシル基、-CO 2 R 43 、フェニル基、-SO 3 R 44 、または-SO 2 NHR 45 (但し、R 43 ~R 45 は、各々独立に、炭素数1~6のアルキル基を表 す。)を表す。
 なお、1つのアントラキノン骨格中に、-SO 3 - 基はm個結合している。
 m、R、R 101 ~R 104 は一般式(I’)におけると同義であり、1分子 に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であって も、異なる構造であってもよい。)

[6] 前記一般式(IV)で表される化合物が、下 記一般式(IV’)で表される化合物である[5]に 載のカラーフィルター用着色樹脂組成物。

(上記一般式(IV’)において、m、R、R 31 ~R 38 、R 103 およびR 104 は前記一般式(IV)におけると同義であり、1分 中に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であって も、異なる構造であってもよい。)

[7] 前記一般式(I)で表される化合物を、全 形分中1~50重量%含有する[1]~[6]のいずれかに 載のカラーフィルター用着色樹脂組成物。

[8] (a)バインダー樹脂、(b)溶剤および(c)色 を含有し、(c)色材が下記一般式(V)で表され 化合物を含有する、カラーフィルター用着 樹脂組成物。

(上記一般式(V)において、Zはアントラキノン 格またはフタロシアニン骨格を有するm価の アニオンを表す。mは1~4の整数を表す。
 Rは水素原子、置換基を有していてもよい炭 素数1~8のアルキル基、または置換基を有して いてもよいフェニル基を表すか、或いは隣接 するR同士が結合して環を形成する。該環は 換基を有していてもよい。それぞれのRは同 でも異なっていてもよい。
 R 201 は水素原子、置換基を有していてもよい炭素 数1~8のアルキル基、ベンジル基、置換基を有 していてもよいフェニル基、または置換基を 有していてもよいナフチル基を表す。
 R 202 は置換基を有していてもよい炭素数1~8のアル キル基、置換基を有していても
よいフェニル基、置換基を有していてもよい ナフチル基、または置換基を有していてもよ い芳香族複素環基を表す。
 R 203 、R 204 、R 205 、R 206 は、各々独立に、水素原子、置換基を有して いてもよい炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~8 のパーフルオロアルキル基、炭素数1~12のア コキシル基、フェノキシ基、ナフチルオキ 基、フッ素原子、置換基を有していてもよ フェニル基、-CO 2 R 46 、-SO 3 R 47 、または-SO 2 NHR 48 (但し、R 46 ~R 48 は、各々独立に、炭素数1~6のアルキル基を表 す。)を表す。
 また上記一般式(V)のカチオン部分における2 つのベンゼン環は、いずれも-NR 2 以外の基で置換されていてもよい。
 なお、1分子中に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であって も、異なる構造であってもよい。)

[9] 前記一般式(V)で表される化合物が、下 一般式(V’)で表される化合物である[8]に記 のカラーフィルター用着色樹脂組成物。

(上記一般式(V’)において、Z、m、R、R 201 ~R 206 は、いずれも前記一般式(V)におけると同義で ある。
 R 207 およびR 208 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ま たは炭素数1~8のアルキル基を表す。
 なお、1分子中に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であって も、異なる構造であってもよい。)

[10] 前記一般式(V’)で表される化合物が、 下記一般式(VI)で表される化合物である[9]に 載のカラーフィルター用着色樹脂組成物。

(上記一般式(VI)において、Mは2個の水素原子 Cu、Mg、Al、Ni、Co、Fe、Zn、Ge、Mn、Si、Ti、Vま たはSnを表し、各金属原子には、酸素原子、 ロゲン原子、水酸基、アルコキシ基または リールオキシ基が配位していてもよい。
 式中の-SO 3 - 基は、フタロシアニン骨格におけるベンゼン 環を構成するいずれかの炭素原子に結合して いる。これら4つのベンゼン環を構成する炭 原子のうち、-SO 3 - 基が結合していない炭素原子は、任意の基で 置換されていてもよい。
 m、R、R 201 、R 202 、R 207 、R 208 は一般式(V’)におけると同義であり、1分子 に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であって も、異なる構造であってもよい。)

[11] 前記一般式(VI)において、-SO 3 - 基は、フタロシアニン骨格におけるベンゼン 環を構成するいずれかの炭素原子に結合して おり、該フタロシアニン骨格は-SO 3 - 基以外に置換基を有していない[10]に記載の ラーフィルター用着色樹脂組成物。

[12] 前記一般式(V’)で表される化合物が、 下記一般式(VII)で表される化合物である[9]に 載のカラーフィルター用着色樹脂組成物。

(上記一般式(VII)において、アントラキノン骨 格が有する置換基のうち、
 R 31 は水素原子、または置換基を有していてもよ いフェニル基を表す。
 R 32 、R 33 、R 34 は、各々独立に、水素原子、水酸基、-NHR 41 (R 41 はR 31 と同義である。)、-SO 3 - 、ハロゲン原子、-CO 2 R 42 (R 42 は炭素数1~3のアルキル基を表す。)のいずれ であるが、R 32 ~R 34 のうち、少なくとも一つは-NHR 41 基である。
 R 35 、R 36 、R 37 、R 38 は、各々独立に、水素原子、-SO 3 - 、ハロゲン原子、フェノキシ基、ナフチルオ キシ基、炭素数1~12のアルコキシル基、-CO 2 R 43 、フェニル基、-SO 3 R 44 、または-SO 2 NHR 45 (但し、R 43 ~R 45 は、各々独立に、炭素数1~6のアルキル基を表 す。)を表す。
 なお、1つのアントラキノン骨格中に、-SO 3 - 基はm個結合している。
 m、R、R 201 、R 202 、R 207 、R 208 は一般式(V’)におけると同義であり、1分子 に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であって も、異なる構造であってもよい。)

[13] 前記一般式(V)で表される化合物を、全 固形分中1~50重量%含有する [8]ないし[12]のい れかに記載のカラーフィルター用着色樹脂 成物。 

[14] (a)バインダー樹脂、(b)溶剤および(c)色材 を含有し、
 (c)色材が、カチオン系青色色素(色素1)とア オン系色素(色素2)からなる化合物を含有し 該化合物における色素1および色素2が、以 の(イ)または(ロ)を満たすことを特徴とする ラーフィルター用着色樹脂組成物。
(イ)色素2が偶数電子系化合物であり、時間依 存密度汎関数(B3LYP/6-31G(d,p))計算により得られ る、色素1の最低一重項励起状態(S 1 状態)の励起エネルギー(δE S1 (色素1))と、色素2の最低一重項励起状態(S 1 状態)の励起エネルギー(δE S1 (色素2))が下記式(i)を満たし、かつ色素2の最 三重項励起状態(T 1 状態)の励起エネルギー(δE T1 (色素2))が下記式(ii)を満たす。
(ロ)色素2が奇数電子系化合物であり、時間依 存密度汎関数(B3LYP/6-31G(d,p))計算により得られ る、色素1の最低一重項励起状態(S 1 状態)の励起エネルギー(δE S1 (色素1))と、色素2のエネルギー的に最も低い 起状態の励起エネルギー(δE lowest (色素2))が、下記式(iii)を満たす。

[15] 前記色素1が、骨格内にカチオン部位 有するか、もしくは置換基としてカチオン 置換基を有する、カチオン性色素であり、 記色素2が、アニオン性置換基を有するアニ ン性色素である[14]に記載のカラーフィルタ ー用着色樹脂組成物。

[16] 前記色素2が、フタロシアニン骨格ま はアントラキノン骨格を有するアニオン性 素である[14] 又は[15]に記載のカラーフィル ー用着色樹脂組成物。

[17] さらに(d)モノマーを含有する[1]ないし [16]のいずれかに記載のカラーフィルター用 色樹脂組成物。

[18] さらに(e)光重合開始系および熱重合開 始系のうち少なくとも1つを含有する[1]ない [17]のいずれかに記載のカラーフィルター用 色樹脂組成物。

[19] さらに(f)顔料を含有する[1]ないし[18] いずれかに記載のカラーフィルター用着色 脂組成物。

[20] [1]ないし[19]のいずれかに記載のカラ フィルター用着色樹脂組成物を用いて形成 れた画素を有するカラーフィルター。

[21] [20]に記載のカラーフィルターを備え 有機ELディスプレイ。

[22] [20]に記載のカラーフィルターを備え 液晶表示装置。

 本発明によれば、カラーフィルターの長 信頼性のうち極めて重要な項目である耐光 を満たし、かつカラーディスプレイ製造工 で要求される耐熱性を有し、青色画素の色 度および透過率に優れたカラーフィルター 得ることができる。このようなカラーフィ ターを使用することにより、有機ELディス レイの発光や、カラーフィルターのバック イトの発光を効率良く取り出すことができ 高色再現性および高輝度を両立した有機ELデ ィスプレイや液晶表示装置を提供することが できる。また、液晶表示装置のコントラスト を向上させることもできる。

実施例における耐光性試験の際に用い UVカットフィルターの透過スペクトルを示 チャートである。 実施例における耐光性試験の際に用い 偏光板の透過スペクトルを示すチャートで る。 本発明の青色カラーフィルターを備え 有機EL素子の一例を示す断面概略図である 実施例で作成した有機電界蛍光発光素 の構造を示す模式的断面図である。

符号の説明

 1、10 透明支持基板
 2、50 透明陽極
 3、52 正孔輸送層
 4、53 発光層
 5 電子輸送層
 6、55 陰極
 100 有機EL素子
 20 青色画素
 30 有機保護層
 40 無機酸化膜
 500 有機発光体
 51 正孔注入層
 54 電子注入層

 以下に本発明の実施の形態を詳細に説明 るが、以下の記載は本発明の実施態様の一 であり、本発明はこれらの内容に限定され ものではない。

 なお、本発明において「(メタ)アクリル」 「(メタ)アクリレート」等は、「アクリルお よび/またはメタクリル」、「アクリレート よび/またはメタクリレート」等を意味する のとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「 クリル酸および/またはメタクリル酸」を意 するものとする。
 また「全固形分」とは、後記する溶剤成分 外の本発明のカラーフィルター用着色樹脂 成物の全成分を意味するものとする。

 本発明のカラーフィルター用着色樹脂組 物は、(a)バインダー樹脂、(b)溶剤および(c) 材を含有し、(c)色材が下記(1)~(3)のいずれか であることを特徴とする。いずれも、従来の 色材化合物より耐光性に優れることを特徴と する。

(1) 下記一般式(I)で表される化合物を含有 る。

(上記一般式(I)において、Zはアントラキノン 格またはフタロシアニン骨格を有するm価の アニオンを表す。mは1~4の整数を表す。
 Rは水素原子、置換基を有していてもよい炭 素数1~8のアルキル基、または置換基を有して いてもよいフェニル基を表すか、或いは隣接 するR同士が結合して環を形成する。該環は 換基を有していてもよい。それぞれのRは同 でも異なっていてもよい。
 R 101 は置換基を有していてもよい炭素数1~8のアル キル基、置換基を有していてもよい炭素数2~6 のアルケニル基、置換基を有していてもよい フェニル基、またはフッ素原子を表す。
 R 102 は水素原子、置換基を有していてもよい炭素 数1~8のアルキル基、置換基を有していてもよ い炭素数2~6のアルケニル基、置換基を有して いてもよいフェニル基、またはフッ素原子を 表す。
 或いはR 101 とR 102 とが結合し、環を形成していてもよく、該環 は置換基を有していて
もよい。
 また、上記一般式(I)のカチオン部分におけ 3つのベンゼン環は、いずれも、-NR 2 、-R 101 および-R 102 以外の基で置換されていてもよい。
 なお、1分子中に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であって も、異なる構造であってもよい。)

(2) 下記一般式(V)で表される化合物を含有 る。

(上記一般式(V)において、Zはアントラキノン 格またはフタロシアニン骨格を有するm価の アニオンを表す。mは1~4の整数を表す。
 Rは水素原子、置換基を有していてもよい炭 素数1~8のアルキル基、または置換基を有して いてもよいフェニル基を表すか、或いは隣接 するR同士が結合して環を形成する。該環は 換基を有していてもよい。それぞれのRは同 でも異なっていてもよい。
 R 201 は水素原子、置換基を有していてもよい炭素 数1~8のアルキル基、ベンジル基、置換基を有 していてもよいフェニル基、または置換基を 有していてもよいナフチル基を表す。
 R 202 は置換基を有していてもよい炭素数1~8のアル キル基、置換基を有していてもよいフェニル 基、置換基を有していてもよいナフチル基、 または置換基を有していてもよい芳香族複素 環基を表す。
 R 203 、R 204 、R 205 、R 206 は、各々独立に、水素原子、置換基を有して いてもよい炭
素数1~8のアルキル基、炭素数1~8のパーフルオ ロアルキル基、炭素数1~12のアルコキシル基 フェノキシ基、ナフチルオキシ基、フッ素 子、置換基を有していてもよいフェニル基 -CO 2 R 46 、-SO 3 R 47 、または-SO 2 NHR 48 (但し、R 46 ~R 48 は、各々独立に、炭素数1~6のアルキル基を表 す。)を表す。
 また上記一般式(V)のカチオン部分における2 つのベンゼン環は、いずれも-NR 2 以外の基で置換されていてもよい。
 なお、1分子中に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であって も、異なる構造であってもよい。)

(3) カチオン系青色色素(色素1)とアニオン系 素(色素2)からなる化合物(以下、この化合物 を「色素1-色素2化合物」と称す場合がある。 )を含有し、この色素1-色素2化合物における 素1および色素2が以下の(イ)または(ロ)を満 す。
(イ)色素2が偶数電子系化合物であり、時間依 存密度汎関数(B3LYP/6-31G(d,p))計算により得られ る、色素1の最低一重項励起状態(S 1 状態)の励起エネルギー(δE S1 (色素1))と、色素2の最低一重項励起状態(S 1 状態)の励起エネルギー(δE S1 (色素2))が下記式(i)を満たし、かつ色素2の最 三重項励起状態(T 1 状態)の励起エネルギー(δE T1 (色素2))が下記式(ii)を満たす。
(ロ)色素2が奇数電子系化合物であり、時間依 存密度汎関数(B3LYP/6-31G(d,p))計算により得られ る、色素1の最低一重項励起状態(S 1 状態)の励起エネルギー(δE S1 (色素1))と、色素2のエネルギー的に最も低い 起状態の励起エネルギー(δE lowest (色素2))が、下記式(iii)を満たす。

 本発明の着色樹脂組成物において、(c)色 以外の成分としては、カラーフィルター形 材料として使用できるものであれば、特に 限無く使用できる。例えば、特開昭60-184202 公報などに記載された熱硬化性樹脂組成物 後述する光重合性樹脂組成物など、いずれ タイプの樹脂組成物であってもよい。フォ リソグラフィー法にてカラーフィルター用 素を形成する場合には、熱硬化性樹脂組成 を用いるとパターン形成のために、更にポ 型レジスト層などを1層設けて画像形成を行 う必要があるため、プロセスの簡便性の点か らは、光重合性樹脂組成物であることが好ま しい。一方、インクジェット法にて画素形成 を行う場合には、露光工程等が不要となるこ とから、熱硬化性樹脂組成物が好ましい。

 本発明のカラーフィルター用着色樹脂組 物は、(a)バインダー樹脂、(b)溶剤、および( c)色材を必須成分とし、好ましくは更に(d)モ マー、(e)光重合開始系および/または熱重合 開始系、(f)顔料を含み、更に必要に応じて配 合されるその他の成分を含む。

[(c)色材]
 まず、本発明のカラーフィルター用着色樹 組成物に含有される(c)色材について、態様 に説明する。

<第1の態様に係る(c)色材>
 本発明の第1の態様に係る(c)色材は、下記一 般式(I)で表される化合物を含有するものであ り、一般式(I)で表される化合物のうち、特に 、R 101 とR 102 とが結合して環を形成していない化合物の場 合、耐熱性、耐光性、色味のいずれもバラン スよく良好な画素を形成し得るカラーフィル ター用着色樹脂組成物を提供し、また、R 101 とR 102 とが結合して後述の一般式(III)におけるよう ナフタレン環を形成している化合物の場合 色味が著しく良好な画素を形成し得るカラ フィルター用着色樹脂組成物を提供する。

(上記一般式(I)において、Zはアントラキノン 格またはフタロシアニン骨格を有するm価の アニオンを表す。mは1~4の整数を表す。
 Rは水素原子、置換基を有していてもよい炭 素数1~8のアルキル基、または置換基を有して いてもよいフェニル基を表すか、或いは隣接 するR同士が結合して環を形成する。該環は 換基を有していてもよい。それぞれのRは同 でも異なっていてもよい。
 R 101 は置換基を有していてもよい炭素数1~8のアル キル基、置換基を有していてもよい炭素数2~6 のアルケニル基、置換基を有していてもよい フェニル基、またはフッ素原子を表す。
 R 102 は水素原子、置換基を有していてもよい炭素 数1~8のアルキル基、置換基を有していてもよ い炭素数2~6のアルケニル基、置換基を有して いてもよいフェニル基、またはフッ素原子を 表す。
 或いはR 101 とR 102 とが結合し、環を形成していてもよく、該環 は置換基を有していてもよい。
 また、上記一般式(I)のカチオン部分におけ 3つのベンゼン環は、いずれも、-NR 2 、-R 101 および-R 102 以外の基で置換されていてもよい。
 なお、1分子中に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であって も、異なる構造であってもよい。)

 一般式(I)におけるRは、水素原子、置換基 を有していてもよい炭素数1~8のアルキル基、 または置換基を有していてもよいフェニル基 を表すか、或いは隣接するRが結合して環を 成する。一般式(I)において、複数あるRは同 であっても異なるものであってもよい。従 て、-NRR基は左右対称であっても、左右非対 称であってもよい。

 隣接するRが結合して環を形成する場合、 これらはヘテロ原子で架橋された環であって もよい。この環の具体例として、例えば以下 のものが挙げられる。これらの環は置換基を 有していてもよい。

 化学的安定性の点から、Rとして好ましく は、各々独立に、水素原子、置換基を有して いてもよい炭素数2~8のアルキル基または置換 基を有していてもよいフェニル基であるか、 或いは隣接するRが結合して環を形成する場 であり、より好ましくは置換基を有してい もよい炭素数2~8のアルキル基または置換基 有していてもよいフェニル基である。

 R 101 は置換基を有していてもよい炭素数1~8のアル キル基、置換基を有していてもよい炭素数2~6 のアルケニル基、置換基を有していてもよい フェニル基、またはフッ素原子を表す。特に R 101 として水素原子以外の基を有するか、または R 102 と結合して環の一部を構成することにより、 トリアリールメチン構造の中心にあるsp2炭素 と隣接するベンゼン環からなる平面に対して 、R 101 が結合するベンゼン環がねじれの位置関係に なるため、青色の吸収を有するようになり、 これを用いたカラーフィルター用着色組成物 の分光特性が向上し、青色表示部材のコント ラストが改善されるため、好ましい。

 R 102 は水素原子、置換基を有していてもよい炭素 数1~8のアルキル基、置換基を有していてもよ い炭素数2~6のアルケニル基、置換基を有して いてもよいフェニル基、またはフッ素原子を 表す。隣接するアミノ基の平面性を維持する の点から、R 102 として好ましくは水素原子、置換基を有して いてもよい炭素数1~8のアルキル基、置換基を 有していてもよい炭素数2~6のアルケニル基、 或いはR 101 と結合して環の一部を構成するものであり、 より好ましくは水素原子、或いはR 101 と結合して環の一部を構成するものである。

 なお、R 101 とR 102 が結合し、環を形成していても良い。R 101 とR 102 が結合して形成される環の具体例としては、 例えば以下のものが挙げられる。該環は置換 基を有していてもよい。

 Rがアルキル基またはフェニル基である場合 、並びにR 101 およびR 102 が各々独立してアルキル基、アルケニル基ま たはフェニル基である場合、これらの基は更 に置換基を有していてもよい。また、隣接す るR同士や、R 101 とR 102 とが結合して形成される環についても置換基 を有していてもよい。
 該置換基としては、例えば、以下の置換基 Wに例示したものが挙げられる。

(置換基群W)
 フッ素原子、塩素原子、炭素数1~8のアルキ 基、炭素数1~8のアルケニル基、炭素数1~8の ルコキシル基、フェニル基、メシチル基、 リル基、ナフチル基、シアノ基、アセチル キシ基、炭素数2~9のアルキルカルボキシル 、スルホン酸アミド基、炭素数2~9のスルホ アルキルアミド基、炭素数2~9のアルキルカ ボニル基、フェネチル基、ヒドロキシエチ 基、アセチルアミド基、炭素数1~4のアルキ 基が結合してなるジアルキルアミノエチル 、トリフルオロメチル基、炭素数1~8のトリ ルキルシリル基、ニトロ基、炭素数1~8のア キルチオ基、ビニル基。

 これらの内、R、R 101 、R 102 が有する置換基としては、炭素数2~8のアルキ ル基、炭素数2~8のアルコキシル基、シアノ基 、アセチルオキシ基、炭素数2~8のアルキル
カルボキシル基、スルホン酸アミド基、炭素 数2~8のスルホンアルキルアミド基が好ましい 。
 また、隣接するR同士、或いはR 101 とR 102 が結合して形成される環が有する置換基とし ては、好ましくは炭素数1~8のアルキル基、炭 素数1~8のアルコキシル基、シリル基、カルボ キシル基、シアノ基、スルホン酸アミド基な どが挙げられる。

 なお、一般式(I)で表される化合物において そのカチオン部分における3つのベンゼン環 は、いずれも-NR 2 、-R 101 および-R 102 以外の基で置換されていてもよい。つまり、 本発明の効果を損なわない範囲で、一般式(I) 中に明記した以外の置換基を有していてもよ い。
 このような置換基としては、例えばハロゲ 原子、置換基を有していてもよい炭素数1~8 アルキル基、置換基を有していてもよい炭 数1~8のアルコキシ基、シアノ基などが挙げ れる。
 これらアルキル基及びアルコキシ基が有し る置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1 ~8のアルコキシ基、炭素数2~9のアシル基、炭 数2~9のアルコキシカルボニル基、シアノ基 上記いずれかの基で置換されていてもよい ェニル基、及び上記いずれかの基で置換さ ていてもよいナフチル基などが挙げられる
 なお、これらのベンゼン環において、トリ リールメチン構造の中央に位置する炭素原 との結合に対し、o-位にあまり嵩高い基が 合すると、後述するように分子の平面性が 害され、化合物の色純度が低下する傾向が る。従って、o-位には置換基を有さないか、 またはハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基 で置換されていることが好ましい。

 また、一般式(I)において、mは1~4の整数を 表す。mの値が大きいと、得られる化合物が 色を帯びてくる傾向があるため、コントラ トの点から好ましくはmは1または2であり、 に好ましくはm=2である。

 一般式(I)で表される化合物は、好ましくは 記一般式(I’)で表される化合物である。

(上記一般式(I’)において、Z、m、R、R 101 およびR 102 は、前記一般式(I)におけると同義である。
 R 103 およびR 104 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ま たは炭素数1~8のアルキル基を表す。
 なお、1分子中に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であって も、異なる構造であってもよい。)

 一般式(I’)において、R 103 およびR 104 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ま たは炭素数1~8のアルキル基を表す。なおR 103 およびR 104 があまり嵩高い基であると、分子の平面性が 阻害され、化合物の色調が変化するため、該 化合物は色純度の高い青色を示さなくなる傾 向がある。従って、R 103 およびR 104 が水素原子でない場合には、ハロゲン原子で あるか、或いは炭素数1~4程度のアルキル基で あることが好ましい。すなわち、R 103 およびR 104 として、より好ましくは各々独立に、ハロゲ ン原子、または炭素数1~4のアルキル基である 。色純度及び耐熱性の点から特に好ましくは 各々独立に、水素原子、塩素原子またはメチ ル基である。中でも、R 103 およびR 104 のうち少なくとも一方が水素原子以外である 化合物は、耐熱性がより高いため好ましい。
 なお、高い色純度と、高い耐熱性を併せも 点から、R 103 およびR 104 のうち一方が水素原子であり、他方がそれ以 外の基である化合物が特に好ましい。

 一般式(I’)で表される化合物は、好まし は下記一般式(II)で表される化合物、または 、下記一般式(IV)で表される化合物である。 般式(II)で表される化合物のうち、下記一般 (III)で表される化合物が特に好ましい。ま 一般式(IV)で表される化合物のうち、下記一 式(IV’)で表される化合物が特に好ましい。

(上記一般式(II)において、Mは2個の水素原子 Cu、Mg、Al、Ni、Co、F
e、Zn、Ge、Mn、Si、Ti、VまたはSnを表し、各金 原子には、酸素原子、ハロゲン原子、水酸 、アルコキシ基またはアリールオキシ基が 位していてもよい。
 式中の-SO 3 - 基は、フタロシアニン骨格におけるベンゼン 環を構成するいずれかの炭素原子に結合して いる。これら4つのベンゼン環を構成する炭 原子のうち、-SO 3 - 基が結合していない炭素原子は、任意の基で 置換されていてもよい。
 m、R、R 101 ~R 104 は一般式(I’)におけると同義であり、1分子 に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であって も、異なる構造であってもよい。)

(上記一般式(III)において、-SO 3 - 基は、フタロシアニン骨格におけるベンゼン 環を構成するいずれかの炭素原子に結合して おり、該フタロシアニン骨格は-SO 3 - 基以外に置換基を有さない。
 m、M、R、R 103 およびR 104 は一般式(I’)におけると同義であり、1分子 に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であって も、異なる構造であってもよい。)

(上記一般式(IV)において、アントラキノン骨 が有する置換基のうち、
 R 31 は水素原子、または置換基を有していてもよ いフェニル基を表す。
 R 32 、R 33 、R 34 は、各々独立に、水素原子、水酸基、-NHR 41 (R 41 はR 31 と同義である。)、-SO 3 - 、ハロゲン原子、-CO 2 R 42 (R 42 は炭素数1~3のアルキル基を表す。)のいずれ であるが、R 32 ~R 34 のうち、少なくとも一つは-NHR 41 基である。
 R 35 、R 36 、R 37 、R 38 は、各々独立に、水素原子、-SO 3 - 、ハロゲン原子、フェノキシ基、ナフチルオ キシ基、炭素数1~12のアルコキシル基、-CO 2 R 43 、フェニル基、-SO 3 R 44 、または-SO 2 NHR 45 (但し、R 43 ~R 45 は、各々独立に、炭素数1~6のアルキル基を表 す。)を表す。
 なお、1つのアントラキノン骨格中に、-SO 3 - 基はm個結合している。
 m、R、R 101 ~R 104 は一般式(I’)におけると同義であり、1分子 に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であって も、異なる構造であってもよい。)

(上記一般式(IV’)において、m、R、R 31 ~R 38 、R 103 およびR 104 は前記一般式(IV)におけると同義であり、1分 中に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であって も、異なる構造であってもよい。)

 一般式(II),(III)において、Mは2個の水素原 、Cu、Mg、Al、Ni、Co、Fe、Zn、Ge、Mn、Si、Ti、 VまたはSnを表し、各金属原子には、酸素原子 、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基また はアリールオキシ基が配位していてもよい。 Mは、好ましくは2個の水素原子、Cu、AlCl、AlOH 、NiまたはCoであり、中でも、青色表示部材 コントラスト向上の点から、より好ましく Cuである。

 前記一般式(II)における-SO 3 - 基は、フタロシアニン骨格におけるベンゼン 環を構成するいずれかの炭素原子に結合して いる。これら4つのベンゼン環を構成する炭 原子のうち、-SO 3 - 基が結合していない炭素原子は、任意の基で 置換されていてもよい。
 この「任意の基」の例としては、Rがアルキ ル基またはフェニル基である場合に有してい てもよい置換基として例示した前記置換基群 Wが挙げられ、好ましい基も前述したものと 様である。
 なお、フタロシアニン骨格における各ベン ン環は、無置換であるか、-SO 3 - 基以外に置換基を有さない場合が特に好まし い。

 前記一般式(IV)および(IV’)において、アン ラキノン骨格が有する置換基のうち、R 31 は水素原子、または置換基を有していてもよ いフェニル基を表す。該置換基は、本発明の 効果を損なわない限り、特に制限はないが、 カチオン色素の色相を補助する役割も担って おり、好ましくは炭素数1~8のアルキル基、-SO 3 - 、ベンジル基または-NHCOR 40 (R 40 は炭素数1~3のアルキル基を表す。)である。R 31 としてより好ましくは、水素原子、炭素数1~5 のアルキル基、-SO 3 - 、または-NHCOR 40 である。

 また、R 32 、R 33 、R 34 は、各々独立に、水素原子、水酸基、-NHR 41 (R 41 はR 31 と同義である。)、-SO 3 - 、ハロゲン原子、-CO 2 R 42 (R 42 は炭素数1~3のアルキル基を表す。)のいずれ であり、R 32 ~R 34 のうち、少なくとも一つは-NHR 41 基を表すが、カチオン色素の色相を補助する 役割も担っていることから、好ましくは水素 原子、水酸基または-NHR 41 である。

 また、R 35 、R 36 、R 37 、R 38 は、各々独立に、水素原子、-SO 3 - 、ハロゲン原子、フェノキシ基、ナフチルオ キシ基、炭素数1~12のアルコキシル基、-CO 2 R 43 、フェニル基、-SO 3 R 44 、または-SO 2 NHR 45 (但し、R 43 ~R 45 は、各々独立に、炭素数1~6のアルキル基を表 す。)を表すが、カチオン色素の色相を補助 る役割も担っていることから、好ましくは 素原子または-SO 3 - である。

 なお、前記一般式(I)~(IV’)および後述する 般式(V)~(VII)のいずれかで表される化合物の で、前記一般式(III)または(IV’)で表される 合物、すなわちトリアリールメチン構造に けるベンゼン環の一つがナフタレン環であ 化合物の場合に、R 103 およびR 104 のうち少なくとも一方に、水素原子以外の基 を有することによる耐熱性向上効果が、特に 顕著に顕れる。

 前記一般式(I)で表される化合物は、例え J.Chem.Soc.,PerkinTrans.1998,2,297.、WO2006/120205号公 に記載の方法に準じて合成することができ 。なお、前記一般式(I)で表される化合物は その製造プロセスより、必然的にmの値が異 なる複数種の化合物の混合物として得られる 。本発明のカラーフィルター用着色樹脂組成 物においては、前記一般式(I)で表される化合 物は、混合物のまま使用しても、単離した単 一化合物を使用してもよい。混合物の場合、 前述した「好ましい」mの値を満たす化合物 、最も大きな割合を占める混合物であるこ が好ましい。

 前記一般式(I)で表される化合物の具体例と ては、以下の化合物が挙げられるが、本発 はその主旨を超えない限り、これらに限定 れるものではない。なお、以下の例示にお て、C 6 H 5 -はフェニル基であり、T S はトシル基を示す。

 その他、一般式(I)で表される化合物のう 、一般式(IV),(IV’)で表される化合物として 次のようなものも挙げられる。

 本発明の第1態様に係るカラーフィルター用 着色樹脂組成物は、前記一般式(I)で表される 化合物を、好ましくは全固形分中1~50重量%、 り好ましくは3~40重量%、特に好ましくは5~30 量%含む組成物である。
 この範囲よりも一般式(I)で表される化合物 含有量が多いと塗膜の硬化性が低下し、膜 度が不充分になる可能性があり、少ないと 色力が不充分となり、充分な濃度の色度が られないか、膜厚が厚くなりすぎる場合が る。
 なお、前記一般式(I)で表される化合物の、 色樹脂組成物(特に該組成物中に含まれる溶 剤)への溶解性が低い場合には、後述する任 成分である顔料と同様に、分散剤などを使 して組成物中へ分散させて使用してもよい しかし、液晶表示装置に適用した場合のコ トラストの高さ等の点からは、前記一般式(I )で表される化合物は、着色樹脂組成物中に 解した状態で存在することが好ましい。

 なお、本発明のカラーフィルター用着色 脂組成物中には、(c)色材として、一般式(I) 表される化合物の1種のみが含まれていても よく、2種以上が含まれていてもよく、更に の色材の1種または2種以上が含まれていても よいが、本発明のカラーフィルター用着色樹 脂組成物中の全(c)色材の含有割合は、該組成 物中1~30重量%であることが好ましい。

<第2の態様に係る(c)色材>
 本発明の第2の態様に係る(c)色材は、下記一 般式(V)で表される化合物を含有するものであ り、耐光性、耐熱性がいずれも特に良好な画 素を形成し得るカラーフィルター用着色樹脂 組成物を提供する。

(上記一般式(V)において、Zはアントラキノン 格またはフタロシアニン骨格を有するm価の アニオンを表す。mは1~4の整数を表す。
 Rは水素原子、置換基を有していてもよい炭 素数1~8のアルキル基、または置換基を有して いてもよいフェニル基を表すか、或いは隣接 するR同士が結合して環を形成する。該環は 換基を有していてもよい。それぞれのRは同 でも異なっていてもよい。
 R 201 は水素原子、置換基を有していてもよい炭素 数1~8のアルキル基、ベンジル基、置換基を有 していてもよいフェニル基、または置換基を 有していてもよいナフチル基を表す。
 R 202 は置換基を有していてもよい炭素数1~8のアル キル基、置換基を有していてもよいフェニル 基、置換基を有していてもよいナフチル基、 または置換基を有していてもよい芳香族複素 環基を表す。
 R 203 、R 204 、R 205 、R 206 は、各々独立に、水素原子、置換基を有して いてもよい炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~8 のパーフルオロアルキル基、炭素数1~12のア
ルコキシル基、フェノキシ基、ナフチルオキ シ基、フッ素原子、置換基を有していてもよ いフェニル基、-CO 2 R 46 、-SO 3 R 47 、または-SO 2 NHR 48 (但し、R 46 ~R 48 は、各々独立に、炭素数1~6のアルキル基を表 す。)を表す。
 また上記一般式(V)のカチオン部分における2 つのベンゼン環は、いずれも-NR 2 以外の基で置換されていてもよい。
 なお、1分子中に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であって も、異なる構造であってもよい。)

 一般式(V)におけるRは、水素原子、置換基 を有していてもよい炭素数1~8のアルキル基、 または置換基を有していてもよいフェニル基 を表すか、或いは隣接するRが結合して環を 成する。一般式(V)において、複数あるRは同 であっても異なるものであってもよい。従 て、-NRR基は左右対称であっても、左右非対 称であってもよい。

 隣接するRが結合して環形成する場合、こ れらはヘテロ原子で架橋された環であっても よい。この環の具体例として、例えば以下の ものが挙げられる。これらの環は置換基を有 していてもよい。

 化学的安定性の点から、Rとして好ましく は、各々独立に、水素原子、置換基を有して いてもよい炭素数2~8のアルキル基または置換 基を有していてもよいフェニル基であるか、 或いは隣接するRが結合して環を形成する場 であり、より好ましくは置換基を有してい もよい炭素数2~8のアルキル基または置換基 有していてもよいフェニル基である。

 R 201 は水素原子、置換基を有していてもよい炭素 数1~8のアルキル基、ベンジル基、置換基を有 していてもよいフェニル基、または置換基を 有していてもよいナフチル基を表すが、(b)溶 剤への溶解性が高まることにより、好ましく は炭素数1~8のアルキル基、またはベンジル基 である。

 R 202 は置換基を有していてもよい炭素数1~8のアル キル基、置換基を有していてもよいフェニル 基、置換基を有していてもよいナフチル基、 または置換基を有していてもよい芳香族複素 環基を表すが、トリアリールメチン構造の中 心にあるsp2炭素を主体的に保護する役割を果 たすことから、好ましくは置換基を有してい てもよいフェニル基、または置換基を有して いてもよいナフチル基である。

 R 203 、R 204 、R 205 、R 206 は、各々独立に、水素原子、置換基を有して いてもよい炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~8 のパーフルオロアルキル基、炭素数1~12のア コキシル基、フェノキシ基、ナフチルオキ 基、フッ素原子、置換基を有していてもよ フェニル基、-CO 2 R 46 、-SO 3 R 47 、または-SO 2 NHR 48 (但し、R 46 ~R 48 は、各々独立に、炭素数1~6のアルキル基を表 す。)を表すが、(b)溶剤への溶解性が向上す ことより、好ましくは水素原子、炭素数1~8 アルキル基、炭素数1~8のパーフルオロアル ル基、またはフッ素原子である。

 R、R 201 、R 203 ~R 206 が、各々独立に、アルキル基またはフェニル 基である場合、並びにR 202 がアルキル基、フェニル基またはナフチル基 である場合、これらの基は更に置換基を有し ていてもよい。また、隣接するR同士が結合 て形成される環についても置換基を有して てもよい。
 該置換基としては、例えば、以下の置換基 Wに例示したものが挙げられる。

(置換基群W)
 フッ素原子、塩素原子、炭素数1~8のアルキ 基、炭素数1~8のアルコキシル基、フェニル 、メシチル基、トリル基、ナフチル基、シ ノ基、アセチルオキシ基、アルキルカルボ シル基、スルホン酸アミド基、スルホンア キルアミド基、アルキルカルボニル基、フ ネチル基、ヒドロキシエチル基、アセチル ミド基、ジアルキルアミノエチル基、トリ ルオロメチル基、トリアルキルシリル基、 トロ基、アルキルチオ基、ビニル基。

 これらの内、R、R 201 、R 202 が有する置換基としては、(b)溶剤への溶解性 が向上することから、炭素数1~8のアルキル基 、トリフロオロメチル基、または炭素数1~8の アルコキシ基が好ましく、R 203 ~R 206 が有する置換基としては、(b)溶剤への溶解性 が向上することから、炭素数1~8のアルキル基 が好ましい。また、隣接するR同士が結合し 形成される環が有する置換基としては、好 しくはアルキル基、アルコキシル基、シリ 基、カルボキシル基、シアノ基、スルホン アミド基などが挙げられる。

 なお、一般式(V)で表される化合物において そのカチオン部分における2つのベンゼン環 は、いずれも-NR 2 以外の基で置換されていてもよい。つまり、 本発明の効果を損なわない範囲で、一般式(V) 中に明記した以外の置換基を有していてもよ い。
 このような置換基としては、例えばハロゲ 原子、炭素数1~8のアルキル基などが挙げら る。
 なお、これらのベンゼン環において、トリ リールメチン構造の中央に位置する炭素原 との結合に対し、o-位にあまり嵩高い基が 合すると、後述するように分子の平面性が 害され、化合物の色純度が低下する傾向が る。従って、o-位には置換基を有さないか、 またはハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基 などで置換されていることが好ましい。

 また、一般式(V)において、mは1~4の整数を表 す。mの値が大きいと、得られる
化合物が緑色を帯びてくる傾向があるため、 コントラストの点から好ましくはmは1または2 であり、特に好ましくはm=2である。

 一般式(V)で表される化合物は、好ましく 下記一般式(V’)で表される化合物である。

(上記一般式(V’)において、Z、m、R、R 201 ~R 206 は、いずれも前記一般式(V)におけると同義で ある。
 R 207 およびR 208 は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、ま たは炭素数1~8のアルキル基を表す。
 なお、1分子中に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であって も、異なる構造であってもよい。)

 一般式(V’)におけるR 207 およびR 208 としては、前記一般式(I’)におけるR 103 およびR 104 として挙げた基と同様の基が挙げられる。好 ましい基と、該基が好ましい理由も前述と同 様である。

 一般式(V’)で表される化合物は、好まし は下記一般式(VI)で表される化合物、または 下記一般式(VII)で表される化合物である。

(上記一般式(VI)において、Mは2個の水素原子 Cu、Mg、Al、Ni、Co、Fe、Zn、Ge、Mn、Si、Ti、Vま たはSnを表し、各金属原子には、酸素原子、 ロゲン原子、水酸基、アルコキシ基または リールオキシ基が配位していてもよい。
 式中の-SO 3 - 基は、フタロシアニン骨格におけるベンゼン 環を構成するいずれかの炭素原子に結合して いる。これら4つのベンゼン環を構成する炭 原子のうち、-SO 3 - 基が結合していない炭素原子は、任意の基で 置換されていてもよい。
 m、R、R 201 、R 202 、R 207 、R 208 は一般式(V’)におけると同義であり、1分子 に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であって も、異なる構造であってもよい。)

(上記一般式(VII)において、アントラキノン骨 格が有する置換基のうち、
 R 31 は水素原子、または置換基を有していてもよ いフェニル基を表す。
 R 32 、R 33 、R 34 は、各々独立に、水素原子、水酸基、-NHR 41 (R 41 はR 31 と同義である。)、-SO 3 - 、ハロゲン原子、-CO 2 R 42 (R 42 は炭素数1~3のアルキル基を表す。)のいずれ であるが、R 32 ~R 34 のうち、少なくとも一つは-NHR 41 基である。
 R 35 、R 36 、R 37 、R 38 は、各々独立に、水素原子、-SO 3 - 、ハロゲン原子、フェノキシ基、ナフチルオ キシ基、炭素数1~12のアルコキシル基、-CO 2 R 43 、フェニル基、-SO 3 R 44 、または-SO 2 NHR 45 (但し、R 43 ~R 45 は、各々独立に、炭素数1~6のアルキル基を表 す。)を表す。
 なお、1つのアントラキノン骨格中に、-SO 3 - 基はm個結合している。
 m、R、R 201 、R 202 、R 207 、R 208 は一般式(V’)におけると同義であり、1分子 に複数の
が含まれる場合、それらは同じ構造であって も、異なる構造であってもよい。)

 一般式(VI)において、Mは2個の水素原子、C u、Mg、Al、Ni、Co、Fe、Zn、Ge、Mn、Si、Ti、Vま はSnを表し、各金属原子には、酸素原子、ハ ロゲン原子、水酸基、アルコキシ基またはア リールオキシ基が配位していてもよい。Mは 好ましくは2個の水素原子、Cu、AlCl、AlOH、Ni たはCoであり、中でも、青色表示部材のコ トラスト向上の点から、好ましくはCuである 。

 前記一般式(VI)における-SO 3 - 基は、フタロシアニン骨格におけるベンゼン 環を構成するいずれかの炭素原子に結合して いる。これら4つのベンゼン環を構成する炭 原子のうち、-SO 3 - 基が結合していない炭素原子は、任意の基で 置換されていてもよい。
 この「任意の基」の例としては、Rがアルキ ル基またはフェニル基である場合に有してい てもよい置換基として例示した前記置換基群 Wが挙げられ、好ましい基も前述したものと 様である。なお、フタロシアニン骨格にお る各ベンゼン環は、無置換であるか、-SO 3 - 基以外に置換基を有さない場合が特に好まし い。

 前記一般式(VII)において、アントラキノン 格が有する置換基のうち、R 31 は水素原子、または置換基を有していてもよ いフェニル基を表す。該置換基は、本発明の 効果を損なわない限り、特に制限はないが、 カチオン色素の色相を補助する役割も担って おり、好ましくは炭素数1~8のアルキル基、-SO 3 - 、ベンジル基または-NHCOR 40 (R 40 は炭素数1~3のアルキル基を表す。)である。R 31 としてより好ましくは、水素原子、炭素数1~5 のアルキル基、-SO 3 - 、または-NHCOR 40 である。

 また、R 32 、R 33 、R 34 は、各々独立に、水素原子、水酸基、-NHR 41 (R 41 はR 31 と同義である。)、-SO 3 - 、ハロゲン原子、-CO 2 R 42 (R 42 は炭素数1~3のアルキル基を表す。)のいずれ であり、R 32 ~R 34 のうち、少なくとも一つは-NHR 41 基を表すが、カチオン色素の色相を補助する 役割も担っていることから、好ましくは水素 原子、水酸基または-NHR 41 である。

 また、R 35 、R 36 、R 37 、R 38 は、各々独立に、水素原子、-SO 3 - 、ハロゲン原子、フェノキシ基、ナフチルオ キシ基、炭素数1~12のアルコキシル基、-CO 2 R 43 、フェニル基、-SO 3 R 44 、または-SO 2 NHR 45 (但し、R 43 ~R 45 は、各々独立に、炭素数1~6のアルキル基を表 す。)を表すが、カチオン色素の色相を補助 る役割も担っていることから、好ましくは 素原子または-SO 3 - である。

 前記一般式(V)で表される化合物は、例え J.Chem.Soc.,PerkinTrans.1998,2,297.、WO2006/120205号公 に記載の方法に準じて合成することができ 。なお、前記一般式(V)で表される化合物は その製造プロセスより、必然的にmの値が異 なる複数種の化合物の混合物として得られる 。本発明のカラーフィルター用着色樹脂組成 物においては、前記一般式(V)で表される化合 物は、混合物のまま使用しても、単離した単 一化合物を使用してもよい。混合物の場合、 前述した「好ましい」mの値を満たす化合物 、最も大きな割合を占める混合物であるこ が好ましい。

 前記一般式(V)で表される化合物の具体例と ては、以下の化合物が挙げられるが、本発 はその主旨を超えない限り、これらに限定 れるものではない。なお、以下の例示にお て、C 6 H 5 -、Ph-はフェニル基であり、T S はトシル基を示す。

 その他、一般式(V)で表される化合物のう 、一般式(VII)で表される化合物として、次 ようなものも挙げられる。

 本発明の第2態様に係るカラーフィルター用 着色樹脂組成物は、前記一般式(V)で表される 化合物を、好ましくは全固形分中1~50重量%、 り好ましくは3~40重量%、特に好ましくは5~30 量%含有する組成物である。
 この範囲よりも一般式(V)で表される化合物 含有量が多いと塗膜の硬化性が低下し、膜 度が不充分になる可能性があり、少ないと 色力が不充分となり、充分な濃度の色度が られないか、膜厚が厚くなりすぎる場合が る。
 なお、前記一般式(V)で表される化合物の、 色樹脂組成物(特に該組成物中に含まれる溶 剤)への溶解性が低い場合には、後述する任 成分である顔料と同様に、分散剤などを使 して組成物中へ分散させて使用してもよい しかし、液晶表示装置に適用した場合のコ トラストの高さ等の点からは、前記一般式(V )で表される化合物は、着色樹脂組成物中に 解した状態で存在することが好ましい。

 なお、本発明のカラーフィルター用着色 脂組成物中には、(c)色材として、一般式(V) 表される化合物の1種のみが含まれていても よく、2種以上が含まれていてもよく、更に の色材の1種または2種以上が含まれていても よいが、本発明のカラーフィルター用着色樹 脂組成物中の全(c)色材の含有割合は、該組成 物中1~30重量%であることが好ましい。

<第3の態様に係る(c)色材>
 本発明の第3の態様に係る(c)色材は、カチオ ン系青色色素(色素1)とアニオン系色素(色素2) からなる化合物(色素1-色素2化合物)を含有し この色素1-色素2化合物における色素1および 色素2が以下の(イ)または(ロ)を満たすもので り、耐光性の高い画素を形成し得るカラー ィルター用着色樹脂組成物を提供する。
 なお、色素1と色素2とからなる化合物の形 はカチオン系化合物である色素1とアニオン 化合物である色素2からなる塩である。また 、色素1-色素2化合物を構成する色素1および 素2の数には特に制限はない。

(イ)色素2が偶数電子系化合物であり、時間依 存密度汎関数(B3LYP/6-31G(d,p))計算により得られ る、色素1の最低一重項励起状態(S 1 状態)の励起エネルギー(δE S1 (色素1))と、色素2の最低一重項励起状態(S 1 状態)の励起エネルギー(δE S1 (色素2))が下記式(i)を満たし、かつ色素2の最 三重項励起状態(T 1 状態)の励起エネルギー(δE T1 (色素2))が下記式(ii)を満たす。
(ロ)色素2が奇数電子系化合物であり、時間依 存密度汎関数(B3LYP/6-31G(d,p))計算により得られ る、色素1の最低一重項励起状態(S 1 状態)の励起エネルギー(δE S1 (色素1))と、色素2のエネルギー的に最も低い 起状態の励起エネルギー(δE lowest (色素2))が、下記式(iii)を満たす。

 このような関係を満たす色素1および色素2 選択することにより、得られる色素1-色素2 合物は、色素1の光励起に伴う活性酸素の発 を抑制し、光酸化反応による分解を制御出 るため、好ましい。また、色素1と色素2か なる化合物においては、色素1と色素2の間で の分子間相互作用が充分に働く。従って、こ のような色素1-色素2化合物ではない単独色素 化合物、もしくは色素1に相当する化合物と 素2に相当する化合物との混合物では得られ かった、高い耐光性や、独自の色彩を達成 ることも可能となる。
 なお本発明において、色素のエネルギー準 は、分子構造の構造最適を行った後、B3LYP/6 -31G、TDDF計算により求めることができる。
 この第3の態様における関係を満たす組み合 わせの色素よりなる化合物で、このような効 果が得られることの理由の詳細は明らかでは ないが、次のように推定される。

 式(i)満たすことにより、カチオンの光吸収 よる最低一重項励起状態(S 1 状態)の励起エネルギーがアニオンに効率よ エネルギー移動し、カチオンの一重項励起 態から三重項への緩和を経由して起こる基 状態の酸素へのエネルギー移動のパスを潰 効果がある。その結果、カチオンの励起状 からのエネルギー移動による、一重項酸素( 1 δ g 状態の酸素)の生成が抑制される点で好まし 。
 計算によるアニオンの最低三重項励起状態( T 1 状態)への励起エネルギーが式(ii)を満たすこ は、アニオンのT 1 状態が酸素の 1 δ g 状態への励起エネルギーより小さいことに対 応しており、アニオンの最低三重項励起状態 からの基底状態の酸素へのエネルギー移動が 起こらないことになり、一重項酸素( 1 δ g 状態の酸素)の生成が抑制される点で好まし 。

 また、アニオンが奇数電子系の場合、式(iii )を満たすことはカチオンの光吸収による最 一重項励起状態(S 1 状態)の励起エネルギーがアニオンに効率よ エネルギー移動し、カチオンの一重項励起 態から三重項への緩和を経由して起こる基 状態の酸素へのエネルギー移動のパスを潰 効果がある。さらにアニオンが奇数電子系 ので最低励起状態は三重項にはならないた 、三重項状態である酸素の基底状態とは相 作用が大きくならずアニオンの励起状態か 基底状態酸素へのエネルギー移動の確率は さく、一重項酸素( 1 δ g 状態の酸素)の生成が抑制される点で好まし 。
 系中の一重項酸素( 1 δ g 状態の酸素)は活性酸素の一種であり、色素1- 色素2化合物を攻撃し結果的に色素1-色素2化 物が破壊されると考えられるが、本発明で 色素1-色素2化合物の構造を工夫することに り、一重項酸素( 1 δ g 状態の酸素)の発生を防ぎ、組成物の耐光性 向上させた。

 なお、式(i)におけるδE S1 (色素1)とδE S1 (色素2)の差、および式(iii)におけるδE S1 (色素1)とδE lowest (色素2)の差は、各々、0.2eV程度以上であるこ が好ましい。

 上記色素1としては、骨格内にカチオン部位 を有するか、もしくは置換基としてカチオン 性置換基を有する、カチオン性色素が好まし い。
 また、色素2としては、アニオン性置換基を 有するアニオン性色素が好ましい。
 なお、本発明において、カチオン性色素と 、分子全体が正に荷電している色素を意味 、アニオン性色素とは、分子全体が負に荷 している色素を意味する。

 カチオン性色素としては、カチオンが分子 体に非局在化しやすいπ共役系の構造を有 ており、かつ可視広域に吸収をもち、分子 光度がアニオン色素に比べて大きい方が好 しい。
 また、このようなカチオン性色素と塩を形 するアニオン性色素としては、カチオン性 素のLUMOよりも低いLUMOを有し、かつ、カチ ン性色素の一重項エネルギーのバンドギャ プより、狭いバンドギャップを有するもの 組み合わせることが好ましい。なお、カチ ン色素よりも長波長領域に吸収を有し、ス ホ基などの酸性度の高い置換基を有するア オン色素であることが望ましい。

 より具体的には、カチオン性色素としては 例えばポリエン系、ポリメチン系、トリア
リールメチン系、キサンテン系など骨格内に カチオンを有するものや、アンモニウムカチ オンを置換基として有するアントラキノン系 、インジゴ系、フタロシアニン系、アゾ系な どの中性色素が挙げられる。中でも分子吸光 度の大きさから、骨格内にカチオンを有する ものが好ましく、溶解性の観点から放射状の 分子構造をしている化合物が好ましい。具体 的には、トリアリールメチン系色素がより好 ましい。

 またアニオン性色素としては、カルボン 、リン酸、スルホン酸などの酸性度の高い 性基を有し、分子全体として、アニオン性 有するアゾ系、キノリン系、キサンテン系 フタロシアニン系、アントラキノン系、イ ジゴ系、トリアリールメチン系、金属錯体 などの色素が挙げられる。中でも励起状態 おける三重項励起エネルギー準位が小さい から、好ましくはフタロシアニン系(フタロ シアニン骨格を有する)色素、またはアント キノン系(アントラキノン骨格を有する)色素 が挙げられる。

 Cuなどとの金属錯体化が容易である点か は、より好ましくは酸性基を有するフタロ アニン系色素である。溶解性が高く、化学 飾が可能である点からは、より好ましくは ントラキノン系色素である。

 なお、上述の説明から分かるように、同 骨格でも有する置換基によってカチオン性 たはアニオン性とすることができる。

 本発明における、色素1および色素2からな 色素1-色素2化合物として、特に好ましくは 前記一般式(I)で表される化合物または前記 般式(V)で表される化合物が挙げられる。
 なお、前記一般式(I)で表される化合物のう 、より好ましくは前記一般式(I’)で表され 化合物であり、更に好ましくは前記一般式( II)または(IV)で表される化合物である。前記 般式(II)で表される化合物のうち、特に好ま くは前記一般式(III)で表される化合物であ 。前記一般式(IV)で表される化合物のうち、 に好ましくは前記一般式(IV’)で表される化 合物である。
 また、前記一般式(V)で表される化合物のう 、より好ましくは前記一般式(V’)で表され 化合物であり、特に好ましくは前記一般式( VI)または(VII)で表される化合物である。

 この場合、本発明のカラーフィルター用 色樹脂組成物中には、(c)色材として、一般 (I)または(V)で表される化合物の1種のみが含 まれていてもよく、一般式(I)で表される化合 物の1種または2種以上と一般式(V)で表される 合物の1種または2種以上が含まれていても く、更に他の色材の1種または2種以上が含ま れていてもよい。

[(a)バインダー樹脂]
 (a)バインダー樹脂としては、前述したよう 、どのような手段により硬化する着色樹脂 成物とするかにより、好ましい樹脂は異な 。

 本発明の着色樹脂組成物が光重合性樹脂 成物である場合、(a)バインダー樹脂として 、例えば特開平7-207211号、特開平8-259876号、 特開平10-300922号、特開平11-140144号、特開平11- 174224号、特開2000-56118号、特開2003-233179号など の各公報等に記載される公知の高分子化合物 を使用することができるが、好ましくは以下 の(a-1)~(a-5)の樹脂などが挙げられる。

 (a-1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと 他のラジカル重合性単量体との
共重合体に対し、該共重合体が有するエポキ シ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付 加させてなる樹脂、或いは該付加反応により 生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無 水物を付加させて得られる、アルカリ可溶性 樹脂(以下「樹脂(a-1)と称す場合がある。)
 (a-2):カルボキシル基含有直鎖状アルカリ可 性樹脂(a-2)(以下「樹脂(a-2)と称す場合があ 。)
 (a-3):前記樹脂(a-2)のカルボキシル基部分に エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた 脂(以下「樹脂(a-3)と称す場合がある。)
 (a-4):(メタ)アクリル系樹脂(以下「樹脂(a-4) 称す場合がある。)
 (a-5):カルボキシル基を有するエポキシアク レート樹脂(以下「樹脂(a-5)と称す場合があ 。)
 以下、これら各樹脂について説明する。

(a-1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、 のラジカル重合性単量体との共重合体に対 、該共重合体が有するエポキシ基の少なく も一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる 脂、或いは該付加反応により生じた水酸基 少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加さ て得られるアルカリ可溶性樹脂
 この樹脂(a-1)の特に好ましい樹脂の一つと て、エポキシ基含有(メタ)アクリレート5~90 ル%と、他のラジカル重合性単量体10~95モル% の共重合体に対し、該共重合体が有するエ キシ基の10~100モル%に不飽和一塩基酸を付加 させてなる樹脂、或いは該付加反応により生 じた水酸基の10~100モル%に多塩基酸無水物を 加させて得られるアルカリ可溶性樹脂が挙 られる。

 そのエポキシ基含有(メタ)アクリレート しては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレ ート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート 、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ) クリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アク リレートグリシジルエーテル等が例示できる 。中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好 しい。これらのエポキシ基含有(メタ)アク レートは1種を単独で用いてもよく、2種以上 を併用してもよい。

 上記エポキシ基含有(メタ)アクリレート 共重合させる他のラジカル重合性単量体と ては、下記一般式(1)で表される構造を有す モノ(メタ)アクリレートが好ましい。

 式(1)中、R 1 ~R 6 は各々独立して、水素原子、または炭素数1~3 のアルキル基を示し、R 7 およびR 8 は各々独立して、水素原子、炭素数1~3のアル キル基、または連結して環を形成していても よい。
 式(1)において、R 7 とR 8 が連結して形成される環は、脂肪族環である のが好ましく、飽和または不飽和の何れでも よく、又、炭素数が5~6であるのが好ましい。

 中でも、一般式(1)で表される構造としては 下記式(1a)、(1b)、または(1c)で表される構造 好ましい。
 バインダー樹脂にこれらの構造を導入する とによって、本発明の着色樹脂組成物をカ ーフィルターや液晶表示素子に使用する場 に、該着色樹脂組成物の耐熱性を向上させ り、該着色樹脂組成物を用いて形成された 素の強度を増すことが可能である。

 尚、一般式(1)で表される構造を有するモ (メタ)アクリレートは、1種を単独で用いて よく、2種以上を併用してもよい。

 バインダー樹脂にこれらの構造を導入す ことによって、本発明の着色樹脂組成物を ラーフィルターや液晶表示素子に使用する 合に、該着色樹脂組成物の耐熱性を向上さ たり、該着色樹脂組成物を用いて形成され 画素の強度を増すことが可能である。

 尚、一般式(1)で表される構造を有するモノ( メタ)アクリレートは、1種を単独で用
いてもよく、2種以上を併用してもよい。

 前記一般式(1)で表される構造を有するモ (メタ)アクリレートとしては、当該構造を する限り公知の各種のものが使用できるが 特に下記一般式(2)で表されるものが好まし 。

 式(2)中、R 9 は水素原子またはメチル基を示し、R 10 は前記一般式(1)の構造を示す。

 前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと 他のラジカル重合性単量体との共重合体に いて、前記一般式(1)で表される構造を有す モノ(メタ)アクリレートに由来す
る繰返し単位は、「他のラジカル重合性単量 体」に由来する繰返し単位中、5~90モル%含有 るものが好ましく、10~70モル%含有するもの 更に好ましく、15~50モル%含有するものが特 好ましい。

 尚、前記一般式(1)で表される構造を有す モノ(メタ)アクリレート以外の、「他のラ カル重合性単量体」としては、特に限定さ るものではない。具体的には、例えば、ス レン、スチレンのα-、o-、m-、p-アルキル、 トロ、シアノ、アミド、エステル誘導体等 ビニル芳香族類;ブタジエン、2,3-ジメチルブ タジエン、イソプレン、クロロプレン等のジ エン類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アク ル酸エチル、(メタ)アクリル酸-n-プロピル (メタ)アクリル酸-iso-プロピル、(メタ)アク ル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸-sec-ブチル (メタ)アクリル酸-tert-ブチル、(メタ)アクリ ル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチ 、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アク リル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸-2-エチル キシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ) アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シク ペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシ 、(メタ)アクリル酸-2-メチルシクロヘキシル 、(メタ)アクリル酸ジシクロヘキシル、(メタ )アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸 アダマンチル、(メタ)アクリル酸プロパギル (メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル 酸ナフチル、(メタ)アクリル酸アントラセニ 、(メタ)アクリル酸アントラニノニル、(メ )アクリル酸ピペロニル、(メタ)アクリル酸 リチル、(メタ)アクリル酸フリル、(メタ)ア クリル酸フルフリル、(メタ)アクリル酸テト ヒドロフリル、(メタ)アクリル酸ピラニル (メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル フェネチル、(メタ)アクリル酸クレジル、( タ)アクリル酸-1,1,1-トリフルオロエチル、( タ)アクリル酸パーフルオルエチル、(メタ) クリル酸パーフルオロ-n-プロピル、(メタ) クリル酸パーフルオロ-iso-プロピル、(メタ) クリル酸トリフェニルメチル、(メタ)アク ル酸クミル、(メタ)アクリル酸3-(N,N-ジメチ アミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸-2-ヒド キシエチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシ プロピル等の(メタ)アクリル酸エステル類;( タ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N,N- メチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N-ジエチ アミド、(メタ)アクリル酸N,N-ジプロピルア ド、(メタ)アクリル酸N,N-ジ-iso-プロピルア ド、(メタ)アクリル酸アントラセニルアミド 等の(メタ)アクリル酸アミド類;(メタ)アクリ 酸アニリド、(メタ)アクリロイルニトリル アクロレイン、塩化ビニル、塩化ビニリデ 、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、N-ビニ ルピロリドン、ビニルピリジン、酢酸ビニル 等のビニル化合物類;シトラコン酸ジエチル マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、 タコン酸ジエチル等の不飽和ジカルボン酸 エステル類;N-フェニルマレイミド、N-シクロ ヘキシルマレイミド、N-ラウリルマレイミド N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド等のモ マレイミド類;N-(メタ)アクリロイルフタル ミド等が挙げられる。

 これら「他のラジカル重合性単量体」の で、着色樹脂組成物に優れた耐熱性および 度を付与させるためには、スチレン、ベン ル(メタ)アクリレート、およびモノマレイ ドから選択された少なくとも1種を使用する とが有効である。特に「他のラジカル重合 単量体」に由来する繰返し単位中、これら チレン、ベンジル(メタ)アクリレート、お びモノマレイミドから選択された少なくと 1種に由来する繰返し単位の含有割合が、1~70 モル%であるものが好ましく、3~50モル%である ものが更に好ましい。

 尚、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレ トと、前記他のラジカル重合性単量体との 重合反応には、公知の溶液重合法が適用さ る。使用する溶剤はラジカル重合に不活性 ものであれば特に限定されるものではなく 通常用いられている有機溶剤を使用するこ ができる。

 その溶剤の具体例としては、酢酸エチル 酢酸イソプロピル、セロソルブアセテート ブチルセロソルブアセテート等のエチレン リコールモノアルキルエーテルアセテート ;ジエチレングリコールモノメチルエーテル アセテート、カルビトールアセテート、ブチ ルカルビトールアセテート等のジエチレング リコールモノアルキルエーテルアセテート類 ;プロピレングリコールモノアルキルエーテ アセテート類;ジプロピレングリコールモノ ルキルエーテルアセテート類等の酢酸エス ル類;エチレングリコールジアルキルエーテ ル類;メチルカルビトール、エチルカルビト ル、ブチルカルビトール等のジエチレング コールジアルキルエーテル類;トリエチレン リコールジアルキルエーテル類;プロピレン グリコールジアルキルエーテル類;ジプロピ ングリコールジアルキルエーテル類;1,4-ジオ キサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類 ;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイ ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケト 類;ベンゼン、トルエン、キシレン、オクタ 、デカン等の炭化水素類;石油エーテル、石 油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフ サ等の石油系溶剤;乳酸メチル、乳酸エチル 乳酸ブチル等の乳酸エステル類;ジメチルホ ムアミド、N-メチルピロリドン等が挙げら る。

 これらの溶剤は1種を単独で用いてもよく、 2種以上を併用してもよい。
 これらの溶剤の使用量は得られる共重合体1 00重量部に対し、通常30~1000重量部、好ましく は50~800重量部である。溶剤の使用量がこの範 囲外では共重合体の分子量の制御が困難とな る。

 又、共重合反応に使用されるラジカル重 開始剤は、ラジカル重合を開始できるもの あれば特に限定されるものではなく、通常 いられている有機過酸化物触媒やアゾ化合 触媒を使用することができる。

 その有機過酸化物触媒としては、公知のケ ンパーオキサイド、パーオキシケタール、 イドロパーオキサイド、ジアリルパーオキ イド、ジアシルパーオキサイド、パーオキ エステル、パーオキシジカーボネートに分 されるものが挙げられる。その具体例とし は、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミル ーオキサイド、ジイソプロピルパーオキサ ド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチル ーオキシベンゾエート、t-ヘキシルパーオキ シベンゾエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチ ヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2- チルヘキサノエート、1,1-ビス(t-ブチルパー キシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5- メチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシ -3,3-イソプロピルヒドロパーオキサイド、t- ブチルヒドロパーオキサイド、ジクミルパー オキサイド、ジクミルヒドロパーオキサイド 、アセチルパーオキサイド、ビス(4-t-ブチル クロヘキシル)パーオキシジカーボネート、 ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、 イソブチルパーオキサイド、3,3,5-トリメチル ヘキサノイルパーオキサイド、ラウリルパー オキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3, 5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキ シルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキ ン等が挙げられる。
 また、アゾ化合物触媒としては、アゾビス ソブチロニトリル、アゾビスカルボンアミ 等が挙げられる。

 これらの中から、重合温度に応じて、適当 半減期のラジカル重合開始剤の1種または2 以上使用される。
 ラジカル重合開始剤の使用量は、共重合反 に使用される単量体の合計100重量部に対し 、通常0.5~20重量部、好ましくは1~10重量部で ある。

 共重合反応は、共重合反応に使用される単 体およびラジカル重合開始剤を溶剤に溶解 、攪拌しながら昇温して行ってもよいし、 ジカル重合開始剤を添加した単量体を、昇 、攪拌した溶剤中に滴下して行ってもよい また、溶剤中にラジカル重合開始剤を添加 て昇温した中に単量体を滴下して行っても い。
 反応条件は目標とする分子量に応じて自由 変えることができる。

 本発明において、前記エポキシ基含有(メ タ)アクリレートと前記他のラジカル重合性 量体との共重合体としては、エポキシ基含 (メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5~9 0モル%と、他のラジカル重合性単量体に由来 る繰返し単位10~95モル%と、からなるものが ましく、前者20~80モル%と、後者80~20モル%と らなるものが更に好ましく、前者30~70モル% 、後者70~30モル%とからなるものが特に好ま い。

 共重合体中のエポキシ基含有(メタ)アク レートに由来する繰返し単位が少なすぎる 、後述する重合性成分およびアルカリ可溶 成分の付加量が不十分となるおそれがあり 一方、エポキシ基含有(メタ)アクリレートに 由来する繰返し単位が多すぎて、他のラジカ ル重合性単量体に由来する繰返し単位が少な すぎると、耐熱性や強度が不十分となる可能 性がある。

 続いて、エポキシ樹脂含有(メタ)アクリ ートと、他のラジカル重合性単量体との共 合体のエポキシ基部分に、不飽和一塩基酸( 合性成分)と、更に多塩基酸無水物(アルカ 可溶性成分)とを反応させる。

 ここで、エポキシ基に付加させる不飽和一 基酸としては、公知のものを使用すること でき、例えば、エチレン性不飽和二重結合 有する不飽和カルボン酸が挙げられる。
 具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロ ン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸、α-位がハ アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原 、ニトロ基、またはシアノ基などで置換さ た(メタ)アクリル酸等のモノカルボン酸等が 挙げられる。中でも好ましくは(メタ)アクリ 酸である。これらは1種を単独で用いてもよ く、2種以上を併用してもよい。
 このような成分を付加させることにより、 発明で用いるバインダー樹脂に重合性を付 することができる。

 これらの不飽和一塩基酸は、通常、前記 重合体が有するエポキシ基の10~100モル%に付 加させるが、好ましくは30~100モル%、より好 しくは50~100モル%に付加させる。不飽和一塩 酸の付加割合が少なすぎると、着色樹脂組 物の経時安定性等に関して、残存エポキシ による悪影響が懸念される。尚、共重合体 エポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させる 法としては、公知の方法を採用することが きる。

 更に、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩 酸を付加させたときに生じる水酸基に付加 せる多塩基酸無水物としては、公知のもの 使用できる。
 例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、 水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒド 無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸 無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水 トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベン ゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェ ニルテトラカルボン酸無水物等の三塩基以上 の酸の無水物が挙げられる。中でも、テトラ ヒドロ無水フタル酸、および/または無水コ ク酸が好ましい。これらの多塩基酸無水物 1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用し てもよい。
 このような成分を付加させることにより、 発明で用いるバインダー樹脂にアルカリ可 性を付与することができる。

 これらの多塩基酸無水物は、通常、前記 重合体が有するエポキシ基に、不飽和一塩 酸を付加させることにより生じる水酸基の1 0~100モル%に付加させるが、好ましくは20~90モ %、より好ましくは30~80モル%に付加させる。 この付加割合が多すぎると、現像時の残膜率 が低下するおそれがあり、少なすぎると溶解 性が不十分となる可能性がある。尚、当該水 酸基に多塩基酸無水物を付加させる方法とし ては、公知の方法を採用することができる。

 更に、光感度を向上させるために、前述の 塩基酸無水物を付加させた後、生成したカ ボキシル基の一部にグリシジル(メタ)アク レートや重合性不飽和基を有するグリシジ エーテル化合物を付加させてもよい。
 また、現像性を向上させるために、生成し カルボキシル基の一部に、重合性不飽和基 有さないグリシジルエーテル化合物を付加 せてもよい。
 また、この両方を付加させてもよい。

 重合性不飽和基を有さないグリシジルエ テル化合物の具体例としては、フェニル基 アルキル基を有するグリシジルエーテル化 物等が挙げられる。市販品として、例えば ナガセ化成工業社製の商品名「デナコールE X-111」、「デナコールEX-121」、「デナコールE X-141」、「デナコールEX-145」、「デナコールE X-146」、「デナコールEX-171」、「デナコールE X-192」等がある。

 尚、このような樹脂の構造に関しては、 えば特開平8-297366号公報や特開2001-89533号公 に記載されている。

 上述のバインダー樹脂(a-1)の、GPC(ゲルパー エーションクロマトグラフィー)で測定した ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、30 00~100000が好ましく、5000~50000が特に好ましい 分子量が3000未満であると、耐熱性や膜強度 劣る可能性があり、100000を超えると現像液 対する溶解性が不足する傾向がある。また 分子量分布の目安として、重量平均分子量( Mw)/数平均分子量(Mn)の比は、2.0~5.0が好ましい 。
 なお、バインダー樹脂(a-1)の酸価は、通常10 ~200mg-KOH/g、好ましくは15~150mg-KOH/g、更に好ま くは25~100mg-KOH/gである。酸価が低くなりす ると、現像液に対する溶解性が低下する場 がある。逆に、高
すぎると、膜荒れが生じることがある。

(a-2):カルボキシル基含有直鎖状アルカリ可溶 性樹脂
 カルボキシル基含有直鎖状アルカリ可溶性 脂としては、カルボキシル基を有していれ 特に限定されず、通常、カルボキシル基を 有する重合性単量体を重合して得られる。

 カルボキシル基含有重合性単量体として 、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸 クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、2-(メ )アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メ )アクリロイルオキシエチルアジピン酸、2-( メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸 2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒ ロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエ チルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシ ロピルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキ プロピルアジピン酸、2-(メタ)アクリロイル オキシプロピルマレイン酸、2-(メタ)アクリ イルオキシプロピルヒドロフタル酸、2-(メ )アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2-( タ)アクリロイルオキシブチルコハク酸、2-( メタ)アクリロイルオキシブチルアジピン酸 2-(メタ)アクリロイルオキシブチルマレイン 、2-(メタ)アクリロイルオキシブチルヒドロ フタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシブチ フタル酸等のビニル系単量体;アクリル酸に -カプロラクトン、β-プロピオラクトン、γ- チロラクトン、δ-バレロラクトン等のラク ン類を付加させた単量体;ヒドロキシアルキ ル(メタ)アクリレートにコハク酸、マレイン 、フタル酸、或いはそれらの無水物等の酸 いは無水物を付加させた単量体等が挙げら る。これらは1種を単独で用いてもよく、2 以上を併用してもよい。

 中でも好ましいのは、(メタ)アクリル酸 2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸 あり、更に好ましいのは、(メタ)アクリル である。

 また、カルボキシル基含有直鎖状アルカリ 溶性樹脂は、上記のカルボキシル基含有重 性単量体に、カルボキシル基を有さない他 重合性単量体を共重合させたものであって よい。
 この場合、他の重合性単量体としては、特 限定されないが、メチル(メタ)アクリレー 、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メ )アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリ ート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチ ル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アク レート、フェニル(メタ)アクリレート、シク ロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシ チル(メタ)アクリレート、フェノキシメチ (メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ )アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレ ート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー 、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、テ トラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等 (メタ)アクリル酸エステル類;スチレンおよ その誘導体等のビニル芳香族類;N-ビニルピ リドン等のビニル化合物類;N-シクロヘキシ マレイミド、N-フェニルマレイミド、N-ベン ジルマレイミド等のN-置換マレイミド類;ポリ メチル(メタ)アクリレートマクロモノマー、 リスチレンマクロモノマー、ポリ2-ヒドロ シエチル(メタ)アクリレートマクロモノマー 、ポリエチレングリコールマクロモノマー、 ポリプロピレングリコールマクロモノマー、 ポリカプロラクトンマクロモノマー等のマク ロモノマー類等が挙げられる。これらは1種 単独で用いてもよく、2種以上を併用しても い。

 これらのうち、特に好ましいのは、スチ ン、メチル(メタ)アクリレート、シクロヘ シル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)ア リレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリ レート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート 、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メ タ)アクリレート、N-シクロヘキシルマレイミ ド、N-ベンジルマレイミド、N-フェニルマレ ミドである。

 カルボキシル基含有直鎖状アルカリ可溶 樹脂は、さらに水酸基を有していてもよい 水酸基含有単量体として、例えば、2-ヒド キシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ プロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシ チル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアル キル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ( メタ)アクリレート等を、上述の各種単量体 共重合させることにより、カルボキシル基 よび水酸基を有する樹脂(a-2)を得ることがで きる。

 カルボキシル基含有直鎖状アルカリ可溶 樹脂(a-2)として、具体的には、例えば、(メ )アクリル酸と、メチル(メタ)アクリレート ベンジル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ) アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレー 、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シ ロヘキシルマレイミド等の水酸基を含まな 重合性単量体と、2-ヒドロキシエチル(メタ) クリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)ア リレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリ ート等の水酸基含有単量体との共重合体;( タ)アクリル酸と、メチル(メタ)アクリレー 、ベンジル(メタ)アクリレート、ブチル(メ )アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレ ト、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート の(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体;( メタ)アクリル酸とスチレンとの共重合体;(メ タ)アクリル酸とスチレンとα-メチルスチレ との共重合体;(メタ)アクリル酸とシクロヘ シルマレイミドとの共重合体等が挙げられ 。

 顔料分散性に優れる点からは、樹脂(a-2) しては特にベンジル(メタ)アクリレートを含 む共重合体樹脂が好ましい。

 本発明におけるカルボキシル基含有直鎖 アルカリ可溶性樹脂の酸価は、通常30~500KOH- mg/g、好ましくは40~350KOH-mg/g、さらに好ましく は50~300KOH-mg/gである。

 また、GPCで測定したポリスチレン換算の 量平均分子量(Mw)は、通常2000~80000、好まし は3000~50000、さらに好ましくは4000~30000である 。重量平均分子量が小さすぎると、着色樹脂 組成物の安定性に劣る傾向があり、大きすぎ ると、後述するカラーフィルターや液晶表示 装置に使用する場合に、現像液に対する溶解 性が悪化する傾向がある。

(a-3):樹脂(a-2)のカルボキシル基部分に、エポ シ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂
 樹脂(a-3)において、前記カルボキシル基含 直鎖状アルカリ可溶性樹脂(a-2)の、カルボキ シル基部分に付加させるエポキシ基含有不飽 和化合物としては、分子内にエチレン性不飽 和基およびエポキシ基を有するものであれば 特に限定されるものではない。

 このエポキシ基含有不飽和化合物として 、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート アリルグリシジルエーテル、グリシジル-α- チルアクリレート、クロトニルグリシジル ーテル、(イソ)クロトン酸グリシジルエー ル、N-(3,5-ジメチル-4-グリシジル)ベンジルア クリルアミド、4-ヒドロキシブチル(メタ)ア リレートグリシジルエーテル等の非環式エ キシ基含有不飽和化合物を挙げることがで るが、耐熱性や、後述する顔料の分散性の 点から、脂環式エポキシ基含有不飽和化合 が好ましい。

 ここで、脂環式エポキシ基含有不飽和化合 としては、その脂環式エポキシ基として、 えば、2,3-エポキシシクロペンチル基、3,4- ポキシシクロヘキシル基、7,8-エポキシ〔ト シクロ[5.2.1.0]デシ-2-イル〕基等が挙げられ 。また
、エチレン性不飽和基としては、(メタ)アク ロイル基に由来するものが好ましく、好適 脂環式エポキシ基含有不飽和化合物として 、下記一般式(3a)~(3m)で表される化合物が挙 られる。

 式(3a)~(3m)中、R 11 は水素原子またはメチル基を、R 12 はアルキレン基を、R 13 は2価の炭化水素基をそれぞれ示し、nは1~10の 整数である。
 一般式(3a)~(3m)における、R 12 のアルキレン基は、炭素数1~10であるものが ましい。具体的には、メチレン基、エチレ 基、プロピレン基、ブチレン基等が例示で るが、好ましくはメチレン基、エチレン基 プロピレン基である。また、R 13 の炭化水素基としては、炭素数が1~10である のが好ましく、アルキレン基、フェニレン 等が挙げられる。

 これらの脂環式エポキシ基含有不飽和化 物は、1種類を単独で使用してもよく、2種 上を併用してもよい。

 中でも、一般式(3c)で表される化合物が好ま しく、3,4-エポキシシクロヘキシル
メチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。

 前記樹脂(a-2)のカルボキシル基部分に、 記エポキシ基含有不飽和化合物を付加させ には、公知の手法を用いることができる。 えば、樹脂(a-2)とエポキシ基含有不飽和化合 物とを、トリエチルアミン、ベンジルメチル アミン等の3級アミン;ドデシルトリメチルア モニウムクロライド、テトラメチルアンモ ウムクロライド、テトラエチルアンモニウ クロライド、テトラブチルアンモニウムク ライド、ベンジルトリエチルアンモニウム ロライド等の4級アンモニウム塩;ピリジン トリフェニルホスフィン等の触媒の存在下 有機溶剤中、反応温度50~150℃で数時間~数十 間反応させることにより、樹脂(a-2)のカル キシル基にエポキシ基含有不飽和化合物を 入することができる。

 樹脂(a-2)にエポキシ基含有不飽和化合物 導入したカルボキシル基含有樹脂(a-3)の酸価 は、通常10~200KOH-mg/g、好ましくは20~150KOH-mg/g より好ましくは30~150KOH-mg/gである。

 また、GPCで測定したポリスチレン換算の 量平均分子量(Mw)は、通常2000~100000、好まし は4000~50000、更に好ましくは5000~30000である 重量平均分子量が小さすぎると、着色樹脂 成物の安定性に劣る傾向があり、大きすぎ と、後述するカラーフィルターや液晶表示 置に使用する場合に、現像液に対する溶解 が悪化する傾向がある。

(a-4):(メタ)アクリル系樹脂
 (メタ)アクリル系樹脂(a-4)は、下記一般式(4) で表される化合物を必須とする単量体成分を 重合してなるポリマー(以下「樹脂(a-4)と称す 場合がある。)である。

 上記一般式(4)中、R 1a およびR 2a は、それぞれ独立して、水素原子または置換 基を有していてもよい炭素数1~25の炭化水素 を表す。

 まず、一般式(4)で表される化合物について 明する。
 一般式(4)で表されるエーテルダイマーにお て、R 1a およびR 2a で表される置換基を有していてもよい炭素数 1~25の炭化水素基としては、特に制限はない 、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イ ソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチ 、t-アミル、ステアリル、ラウリル、2-エチ ヘキシル等の直鎖状または分岐状のアルキ 基;フェニル等のアリール基;シクロヘキシ 、t-ブチルシクロヘキシル、ジシクロペンタ ジエニル、トリシクロデカニル、イソボルニ ル、アダマンチル、2-メチル-2-アダマンチル の脂環式基;1-メトキシエチル、1-エトキシ チル等のアルコキシで置換されたアルキル ;ベンジル等のアリール基で置換されたアル ル基;等が挙げられる。これらの中でも特に 、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジ ル等のような酸や熱で脱離しにくい1級また 2級炭素の置換基が耐熱性の点で好ましい。 お、R 1a およびR 2a は、同種の置換基であってもよいし、異なる 置換基であってもよい。

 前記エーテルダイマーの具体例としては 例えば、ジメチル-2,2″-[オキシビス(メチレ ン)]ビス-2-プロペノエート、ジエチル-2,2″-[ キシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート ジ(n-プロピル)-2,2″-[オキシビス(メチレン)] ビス-2-プロペノエート、ジ(イソプロピル)-2,2 ″-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエ ト、ジ(n-ブチル)-2,2″-[オキシビス(メチレ )]ビス-2-プロペノエート、ジ(イソブチル)-2,2 ″-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエ ト、ジ(t-ブチル)-2,2″-[オキシビス(メチレ )]ビス-2-プロペノエート、ジ(t-アミル)-2,2″- [オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエー 、ジ(ステアリル)-2,2″-[オキシビス(メチレ )]ビス-2-プロペノエート、ジ(ラウリル)-2,2″ -[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエー 、ジ(2-エチルヘキシル)-2,2″-[オキシビス( チレン)]ビス-2-プロペノエート、ジ(1-メトキ シエチル)-2,2″-[オキシビス(メチレン)]ビス-2 -プロペノエート、ジ(1-エトキシエチル)-2,2″ -[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエー 、ジベンジル-2,2″-[オキシビス(メチレン)] ス-2-プロペノエート、ジフェニル-2,2″-[オ シビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、 シクロヘキシル-2,2″-[オキシビス(メチレン )]ビス-2-プロペノエート、ジ(t-ブチルシクロ キシル)-2,2″-[オキシビス(メチレン)]ビス-2- プロペノエート、ジ(ジシクロペンタジエニ )-2,2″-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペ エート、ジ(トリシクロデカニル)-2,2″-[オ シビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、 (イソボルニル)-2,2″-[オキシビス(メチレン)] ビス-2-プロペノエート、ジアダマンチル-2,2 -[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエー ト、ジ(2-メチル-2-アダマンチル)-2,2″-[オキ ビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート等が げられる。これらの中でも特に、ジメチル-2 ,2″-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノ ート、ジエチル-2,2″-[オキシビス(メチレン) ]ビス-2-プロペノエート、ジシクロヘキシル-2 ,2″-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノ ート、ジベンジル-2,2″-[オキシビス(メチレ )]ビス-2-プロペノエートが好ましい。これ エーテルダイマーは、1種のみ単独で使用し もよいし、2種以上併用してもよい。

 樹脂(a-4)を得る際の、単量体成分中にお る一般式(4)で表されるエーテルダイマーの 合は、特に制限されないが、全単量体成分 、通常2~60重量%、好ましくは5~55重量%、さら 好ましくは5~50重量%である。このエーテル イマーの量が多すぎると、重合の際、低分 量のものを得ることが困難になったり、あ いはゲル化し易くなったりするおそれがあ 、一方、少なすぎると、透明性や耐熱性な の塗膜性能が不充分となるおそれがある。

 樹脂(a-4)は、酸基を有することが好まし 。酸基を有することにより、得られる着色 脂組成物が、酸基とエポキシ基が反応して ステル結合を形成する架橋反応(以下、酸-エ ポキシ硬化と略する)により硬化が可能な着 樹脂組成物、あるいは未硬化部をアルカリ 像液で顕像可能な組成物、とすることがで る。前記酸基としては、特に制限されない 、例えば、カルボキシル基、フェノール性 酸基、カルボン酸無水物基等が挙げられる 樹脂(a-4)中のこれらの酸基は、1種のみであ てもよいし、2種以上であってもよい。

 樹脂(a-4)に酸基を導入するには、例えば 酸基を有するモノマーおよび/または「重合 に酸基を付与しうるモノマー」(以下「酸基 を導入するための単量体」と称することもあ る。)を、単量体成分として使用すればよい なお「重合後に酸基を付与しうるモノマー を単量体成分として使用する場合には、重 後に、後述するような酸基を付与するため 処理が必要となる。

 前記酸基を有するモノマーとしては、例 ば、(メタ)アクリル酸やイタコン酸等のカ ボキシル基を有するモノマー;N-ヒドロキシ ェニルマレイミド等のフェノール性水酸基 有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタ ン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノ ー等が挙げられるが、これらの中でも特に (メタ)アクリル酸が好ましい。

 前記重合後に酸基を付与しうるモノマー しては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ) アクリレート等の水酸基を有するモノマー; リシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基 を有するモノマー;2-イソシアナートエチル( タ)アクリレート等のイソシアネート基を有 るモノマー等が挙げられる。

 これら酸基を導入するための単量体は、1種 を単独で用いてもよく、2種以上を併用して よい。
 樹脂(a-4)を得る際の単量体成分が、前記酸 を導入するための単量体をも含む場合、そ 含有割合は特に制限されないが、通常は全 量体成分中5~70重量%、好ましくは10~60重量%で ある。

 また樹脂(a-4)は、ラジカル重合性二重結合 有するものであってもよい。
 前記樹脂(a-4)にラジカル重合性二重結合を 入するには、例えば「重合後にラジカル重 性二重結合を付与しうるモノマー」(以下「 ジカル重合性二重結合を導入するための単 体」と称することもある。)を、単量体成分 として重合した後に、後述するようなラジカ ル重合性二重結合を付与するための処理を行 えばよい。

 重合後にラジカル重合性二重結合を付与 うるモノマーとしては、例えば、(メタ)ア リル酸、イタコン酸等のカルボキシル基を するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコ 酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマ ;グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキ シシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート o-(またはm-、またはp-)ビニルベンジルグリ ジルエーテル等のエポキシ基を有するモノ ー等が挙げられる。これらラジカル重合性 重結合を導入するための単量体は、1種を単 で用いてもよく、2種以上を併用してもよい 。

 樹脂(a-4)を得る際の単量体成分が、前記 ジカル重合性二重結合を導入するための単 体をも含む場合、その含有割合は特に制限 れないが、通常は全単量体成分中5~70重量%、 好ましくは10~60重量%である。

 また、樹脂(a-4)は、エポキシ基を有する とが好ましい。

 エポキシ基を導入するには、例えば、エポ シ基を有するモノマー(以下「エポキシ基を 導入するための単量体」と称することもある 。)を、単量体成分として重合すればよい。
 前記エポキシ基を有するモノマーとしては 例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3, 4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アク レート、o-(またはm-、またはp-)ビニルベンジ ルグリシジルエーテル等が挙げられる。これ らエポキシ基を導入するための単量体は、1 を単独で用いてもよく、2種以上を併用して よい。

 樹脂(a-4)を得る際の単量体成分が、前記 ポキシ基を導入するための単量体をも含む 合、その含有割合は特に制限されないが、 常は全単量体成分中5~70重量%、好ましくは10~ 60重量%であるのがよい。

 樹脂(a-4)を得る際の単量体成分は、上記 須の単量体成分のほかに、必要に応じて、 の共重合可能なモノマーを含んでいてもよ 。

 他の共重合可能なモノマーとしては、例 ば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリ ル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、( タ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリ 酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、 (メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸 メチル2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸 クロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、 (メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル等の(メ )アクリル酸エステル類;スチレン、ビニル ルエン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニ 化合物;N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキ シルマレイミド等のN-置換マレイミド類;ブタ ジエン、イソプレン等のブタジエンまたは置 換ブタジエン化合物;エチレン、プロピレン 塩化ビニル、アクリロニトリル等のエチレ または置換エチレン化合物;酢酸ビニル等の ニルエステル類等が挙げられる。

 これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル (メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)ア リル酸ベンジル、スチレンが、透明性が良 で、耐熱性を損ないにくい点で好ましい。 れら共重合可能な他のモノマーは、1種のみ 用いても2種以上を併用してもよい。
 また、特に樹脂(a-4)の一部または全部を、 述するように分散剤として用いる場合は、( タ)アクリル酸ベンジルを用いることが好ま しく、その含有量は、通常全単量体成分中1~7 0重量%、好ましくは5~60重量%であるのがよい

 前記樹脂(a-4)を得る際の単量体成分が、 記共重合可能な他のモノマーをも含む場合 その含有割合は特に制限されないが、通常 単量体成分中95重量%以下が好ましく、85重量 %以下がより好ましい。

 なお、樹脂(a-4)は、例えば国際公開パン レットWO2008/156148A1に記載の方法により製造 ることができる。

 樹脂(a-4)の重量平均分子量は、特に制限 れないが、好ましくはGPCにて測定したポリ チレン換算の重量平均分子量(Mw)が2000~200000 より好ましくは4000~100000である。重量平均分 子量が200000を超える場合、高粘度となりすぎ 塗膜を形成しにくくなる場合があり、一方200 0未満であると、十分な耐熱性を発現しにく なる傾向がある。

 また、樹脂(a-4)が酸基を有する場合、好 しい酸価は30~500mg-KOH/g、より好ましくは50~400 mg-KOH/gである。酸価が30mg-KOH/g未満の場合、ア ルカリ現像に適用することが難しくなる場合 があり、500mg-KOH/gを超える場合、高粘度とな すぎ塗膜を形成しにくくなる傾向がある。

 尚、前記樹脂(a-4)の例としては、例えば 特開2004-300203号公報および特開2004-300204号公 に記載の化合物を挙げることが出来る。

(a-5):カルボキシル基を有するエポキシアクリ レート樹脂
 エポキシアクリレート樹脂(a-5)は、エポキ 樹脂にα,β-不飽和モノカルボン酸またはエ テル部分にカルボキシル基を有するα,β-不 和モノカルボン酸エステルを付加させ、さ に、多塩基酸無水物を反応させることによ 合成される。かかる反応生成物は化学構造 、実質的にエポキシ基を有さず、かつ「ア リレート」に限定されるものではないが、 ポキシ樹脂が原料であり、かつ「アクリレ ト」が代表例であるので、慣用に従いこの うに命名したものである。

 原料となるエポキシ樹脂として、例えばビ フェノールA型エポキシ樹脂(例えば、油化 ェルエポキシ社製の「エピコート828」、「 ピコート1001」、「エピコート1002」、「エピ コート1004」等)、ビスフェノールA型エポキシ 樹脂のアルコール性水酸基とエピクロルヒド リンの反応により得られるエポキシ樹脂(例 ば、日本化薬社製の「NER-1302」(エポキシ当 323,軟化点76℃))、ビスフェノールF型樹脂(例 ば、油化シェルエポキシ社製の「エピコー 807」、「EP-4001」、「EP-4002」、「EP-4004等」) 、ビスフェノールF型エポキシ樹脂のアルコ ル性水酸基とエピクロルヒドリンの反応に り得られるエポキシ樹脂(例えば、日本化薬 製の「NER-7406」(エポキシ当量350,軟化点66℃) )、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェ ルグリシジルエーテル(例えば、油化シェル エポキシ社製の「YX-4000」)、フェノールノボ ック型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製 の「EPPN-201」、油化シェルエポキシ社製の「E P-152」、「EP-154」、ダウケミカル社製の「DEN- 438」)、(o,m,p-)クレゾールノボラック型エポキ シ樹脂(例えば、日本化薬社製の「EOCN-102S」 「EOCN-1020」、「EOCN-104S」)、トリグリシジル ソシアヌレート(例えば、日産化学社製の「 TEPIC」)、トリスフェノールメタン型エポキシ 樹脂(例えば、日本化薬社製の「EPPN-501」、「 EPN-502」、「EPPN-503」)、フルオレンエポキシ 脂(例えば、新日鐵化学社製のカルドエポキ 樹脂「ESF-300」)、脂環式エポキシ樹脂(ダイ ル化学工業社製の「セロキサイド2021P」、 セロキサイドEHPE」)、ジシクロペンタジエン とフェノールの反応によるフェノール樹脂を グリシジル化したジシクロペンタジエン型エ ポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「XD-1000 、大日本インキ社製の「EXA-7200」、日本化 社製の「NC-3000」、「NC-7300」)、および下記 造式で示されるエポキシ樹脂(特許第2878486号 公報参照)、等を好適に用いることができる
 これらは1種を単独で用いてもよく、2種以 を併用してもよい。

 エポキシ樹脂の他の例としては共重合型 ポキシ樹脂が挙げられる。共重合型エポキ 樹脂としては、例えば、グリシジル(メタ) クリレート、(メタ)アクリロイルメチルシク ロヘキセンオキサイド、ビニルシクロヘキセ ンオキサイドなど(以下「共重合型エポキシ 脂の第1成分」と称す。)と、これら以外の1 能エチレン性不飽和基含有化合物(以下、「 重合型エポキシ樹脂の第2成分」と称す。) 例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル (メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレ ト、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート 2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、 (メタ)アクリル酸、スチレン、フェノキシエ ル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アク リレート、α-メチルスチレン、グリセリンモ ノ(メタ)アクリレート、下記一般式(8)で表さ る化合物から選ばれる1種または2種以上、 を反応させて得られた共重合体が挙げられ 。

 式(8)中、R 61 は水素原子またはエチル基を表し、R 62 は水素原子または炭素数1~6のアルキル基を表 し、rは2~10の整数である。

 一般式(8)で表される化合物としては、例 ば、ジエチレングリコールモノ(メタ)アク レート、トリエチレングリコールモノ(メタ) アクリレート、テトラエチレングリコールモ ノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリ ールモノ(メタ)アクリレート;メトキシジエ レングリコールモノ(メタ)アクリレート、 トキシトリエチレングリコールモノ(メタ)ア クリレート、メトキシテトラエチレングリコ ールモノ(メタ)アクリレート、等のアルコキ ポリエチレングリコール(メタ)アクリレー 等が挙げられる。これらは1種を単独で用い もよく、2種以上を併用してもよい。

 また、上記共重合型エポキシ樹脂の第1成 分の使用量は、上記共重合型エポキシ樹脂の 第2成分に対して好ましくは10重量%以上、特 好ましくは20重量%以上であり、好ましくは70 重量%以下、特に好ましくは50重量%以下であ 。

 このような共重合型エポキシ樹脂として 、具体的には日本油脂社製の「CP-15」、「CP -30」、「CP-50」、「CP-20SA」、「CP-510SA」、「C P-50S」、「CP-50M」、「CP-20MA」等が例示される 。

 原料エポキシ樹脂の分子量は、GPCで測定 たポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と して、通常200~20万、好ましくは300~100000の範 である。重量平均分子量が上記範囲未満で ると被膜形成性に問題を生じる場合が多く 逆に、上記範囲を超えた樹脂ではα,β-不飽 モノカルボン酸の付加反応時にゲル化が起 りやすく製造が困難となるおそれがある。

 エポキシ樹脂に付加させるα,β-不飽和モ カルボン酸としては、イタコン酸、クロト 酸、桂皮酸、アクリル酸、メタクリル酸等 挙げられ、好ましくは、アクリル酸および タクリル酸であり、特にアクリル酸が反応 に富むため好ましい。

 エポキシ樹脂に付加させるエステル部分 カルボキシル基を有するα,β-不飽和モノカ ボン酸エステルとしては、アクリル酸-2-サ シノイルオキシエチル、アクリル酸-2-マレ ノイルオキシエチル、アクリル酸-2-フタロ ルオキシエチル、アクリル酸-2-ヘキサヒド フタロイルオキシエチル、メタクリル酸-2- クシノイルオキシエチル、メタクリル酸-2- レイノイルオキシエチル、メタクリル酸-2- タロイルオキシエチル、メタクリル酸-2-ヘ サヒドロフタロイルオキシエチル、クロト 酸-2-サクシノイルオキシエチル等が挙げら 、好ましくは、アクリル酸-2-マレイノイル キシエチルおよびアクリル酸-2-フタロイル キシエチルであり、特にアクリル酸-2-マレ ノイルオキシエチルが好ましい。これらは1 種を単独で用いてもよく、2種以上を併用し もよい。

 上記α,β-不飽和モノカルボン酸またはそ エステルとエポキシ樹脂との付加反応は、 知の手法を用いることができ、例えば、エ テル化触媒存在下、50~150℃の温度で反応さ ることにより実施することができる。エス ル化触媒としてはトリエチルアミン、トリ チルアミン、ベンジルジメチルアミン、ベ ジルジエチルアミン等の3級アミン;テトラ チルアンモニウムクロライド、テトラエチ アンモニウムクロライド、ドデシルトリメ ルアンモニウムクロライド等の4級アンモニ ム塩等1種または2種以上を用いることがで る。

 α,β-不飽和モノカルボン酸またはそのエ テルの使用量は、原料エポキシ樹脂のエポ シ基1当量に対し0.5~1.2当量の範囲が好まし 、さらに好ましくは0.7~1.1当量の範囲である α,β-不飽和モノカルボン酸またはそのエス ルの使用量が少ないと不飽和基の導入量が 足し、引き続く多塩基酸無水物との反応も 十分となる。また、多量のエポキシ基が残 することも有利ではない。一方、該使用量 多いとα,β-不飽和モノカルボン酸またはそ エステルが未反応物として残存する。いず の場合も硬化特性が悪化する傾向が認めら る。

 α,β-不飽和カルボン酸またはそのエステ が付加したエポキシ樹脂に、更に付加させ 多塩基酸無水物としては、無水マレイン酸 無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタ 酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキ ヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、無 トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカ ボン酸二無水物、無水メチルヘキサヒドロ タル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロ タル酸、無水クロレンド酸、無水メチルテ ラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカル ン酸二無水物等が挙げられ、好ましくは、 水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコ 酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタ 酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ピロ リット酸、無水トリメリット酸、ビフェニ テトラカルボン酸二無水物であり、特に好 しい化合物は、無水テトラヒドロフタル酸 よびビフェニルテトラカルボン酸二無水物 ある。これらは1種を単独で用いてもよく、 2種以上を併用してもよい。

 多塩基酸無水物の付加反応に関しても公 の手法を用いることができ、α,β-不飽和カ ボン酸またはそのエステルの付加反応と同 な条件下で継続反応させることにより実施 ることができる。

 多塩基酸無水物の付加量は、生成するエ キシアクリレート樹脂(a-5)の酸価が10~150mg-KO H/gの範囲となるような量が好ましく、更に20~ 140mg-KOH/gの範囲が特に好ましい。樹脂(a-5)の 価が小さすぎるとアルカリ現像性に乏しく る場合があり、また、樹脂(a-5)の酸価が大き すぎると硬化性能に劣る傾向が認められる。

 その他、カルボキシル基を有するエポキ アクリレート樹脂(a-5)としては、例えば特 平6-49174号公報記載のナフタレン含有樹脂;特 開2003-89716、特開2003-165830、特開2005-325331、特 2001-354735号公報記載のフルオレン含有樹脂; 開2005-126674、特開2005-55814、特開2004-295084号 報等に記載の樹脂を挙げることができる。

 また、市販のカルボキシル基を有するエ キシアクリレート樹脂(a-5)を用いることも き、市販品としては例えばダイセル社製の ACA-200M」等を挙げることが出来る。

 本発明において、(a)バインダー樹脂とし は、また、例えば特開2005-154708号公報など 記載のアクリル系のバインダー樹脂も用い ことができる。

 上述した各種バインダー樹脂のうち、特 好ましいのは、樹脂(a-1)、即ち、エポキシ 含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重 合性単量体との共重合体に対し、該共重合体 が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽 和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該 付加反応により生じた水酸基の少なくとも一 部に多塩基酸無水物を付加させて得られるア ルカリ可溶性樹脂である。

 本発明における(a)バインダー樹脂として 、前述の各種バインダー樹脂のうち1種を単 独で用いてもよく、2種以上を併用してもよ 。前述の各種バインダー樹脂は、特に後述 る任意成分である分散剤等との併用で、基 上の非画像部に未溶解物が残存することな 、基板との密着性に優れた、高濃度の色画 を形成し得るといった効果を奏し、好まし 。

 本発明の着色樹脂組成物において、(a)バ ンダー樹脂の含有割合は、全固形分中、通 0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上であり また、通常80重量%以下、好ましくは60重量% 下である。(a)バインダー樹脂の含有量がこ 範囲よりも少ないと、膜が脆くなり、基板 の密着性が低下することがある。逆に、こ 範囲よりも多いと、露光部への現像液の浸 性が高くなり、画素の表面平滑性や感度が 化する場合がある。

[(b)溶剤]
 本発明の着色樹脂組成物は、(b)溶剤を必須 分とする。溶剤は、着色樹脂組成物に含ま る各成分を溶解または分散させ、粘度を調 する機能を有する。
 かかる(b)溶剤としては、着色樹脂組成物を 成する各成分を溶解または分散させること できるものであればよく、沸点が100~200℃の 範囲のものを選択するのが好ましい。より好 ましくは120~170℃の沸点をもつものである。

 このような溶剤としては、例えば、次のよ なものが挙げられる。
 エチレングリコールモノメチルエーテル、 チレングリコールモノエチルエーテル、エ レングリコールモノプロピルエーテル、エ レングリコールモノブチルエーテル、プロ レングリコールモノメチルエーテル、プロ レングリコール-モノt-ブチルエーテル、ジ チレングリコールモノメチルエーテル、ジ チレングリコールモノエチルエーテル、メ キシメチルペンタノール、プロピレングリ ールモノエチルエーテル、ジプロピレング コールモノエチルエーテル、ジプロピレン リコールモノメチルエーテル、3-メチル-3- トキシブタノール、トリプロピレングリコ ルモノメチルエーテルのようなグリコール ノアルキルエーテル類;
 エチレングリコールジメチルエーテル、エ レングリコールジエチルエーテル、ジエチ ングリコールジメチルエーテル、ジエチレ グリコールジエチルエーテル、ジエチレン リコールジプロピルエーテル、ジエチレン リコールジブチルエーテルのようなグリコ ルジアルキルエーテル類;
 エチレングリコールモノメチルエーテルア テート、エチレングリコールモノエチルエ テルアセテート、プロピレングリコールモ メチルエーテルアセテート、プロピレング コールモノエチルエーテルアセテート、プ ピレングリコールモノプロピルエーテルア テート、メトキシブチルアセテート、3-メ キシブチルアセテート、メトキシペンチル セテート、ジエチレングリコールモノエチ エーテルアセテート、ジエチレングリコー モノブチルエーテルアセテート、ジプロピ ングリコールモノメチルエーテルアセテー 、3-メチル-3-メトキシブチルアセテートのよ うなグリコールアルキルエーテルアセテート 類;
 ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、 イソプロピルエーテル、ジアミルエーテル エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエ テルのようなエーテル類;
 アセトン、メチルエチルケトン、メチルア ルケトン、メチルイソプロピルケトン、メ ルイソアミルケトン、ジイソプロピルケト 、ジイソブチルケトン、メチルイソブチル トン、シクロヘキサノン、エチルアミルケ ン、メチルブチルケトン、メチルヘキシル トン、メチルノニルケトンのようなケトン ;
 エタノール、プロパノール、ブタノール、 キサノール、シクロヘキサノール、エチレ グリコール、プロピレングリコール、ジエ レングリコール、ジプロピレングリコール グリセリンのような1価または多価アルコー ル類;
 n-ペンタン、n-オクタン、ジイソブチレン、 n-ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペン ン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
 シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、 チルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルの うな脂環式炭化水素類;
 ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンの うな芳香族炭化水素類;
 アミルホルメート、エチルホルメート、酢 エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸 ミル、メチルイソブチレート、エチレング コールアセテート、エチルプロピオネート プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪 イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプ レート、ブチルステアレート、エチルベン エート、3-エトキシプロピオン酸メチル、3- エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプ ピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸 チル、3-メトキシプロピオン酸プロピル、3- トキシプロピオン酸ブチル、γ-ブチロラク ンのような鎖状または環状エステル類;
 3-メトキシプロピオン酸、3-エトキシプロピ オン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
 ブチルクロライド、アミルクロライドのよ なハロゲン化炭化水素類;
 メトキシメチルペンタノンのようなエーテ ケトン類;
 アセトニトリル、ベンゾニトリルのような トリル類:

 上記に該当する市販の溶剤としては、ミネ ルスピリット、バルソル#2、アプコ#18ソル ント、アプコシンナー、ソーカルソルベン No.1およびNo.2、ソルベッ
ソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトー 、エチルカルビトール、ブチルカルビトー 、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、 チルセロソルブアセテート、メチルセロソ ブアセテート、ジグライム(いずれも商品名) などが挙げられる。

 これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよ く、2種以上を併用してもよい。

 上記溶剤中、前述の本発明に係る(c)色材 溶解性の点から、グリコールモノアルキル ーテル類が好ましい。中でも、特に組成物 の各種構成成分の溶解性の点からプロピレ グリコールモノメチルエーテルが特に好ま い。

 また、例えば任意成分として後述する(f) 料を含む場合には、塗布性、表面張力など バランスが良く、組成物中の構成成分の溶 度が比較的高い点からは、溶剤としてさら グリコールアルキルエーテルアセテート類 混合して使用することがより好ましい。な 、(f)顔料を含む組成物中では、グリコール ノアルキルエーテル類は極性が高く、顔料 凝集させる傾向があり、着色樹脂組成物の 度を上げる等、保存安定性を低下させる場 がある。このため、グリコールモノアルキ エーテル類の使用量は過度に多くない方が ましく、(b)溶剤中のグリコールモノアルキ エーテル類の割合は5~50重量%が好ましく、5~ 30重量%がより好ましい。

 また、最近の大型基板等に対応したスリ トコート方式への適性という観点からは、1 50℃以上の沸点をもつ溶剤を併用することも ましい。この場合、このような高沸点溶剤 含有量は、(b)溶剤全体に対して3~50重量%が ましく、5~40重量%がより好ましく、5~30重量% 特に好ましい。高沸点溶剤の量が少なすぎ と、例えばスリットノズル先端で色材成分 どが析出・固化して異物欠陥を惹き起こす 能性があり、また多すぎると組成物の乾燥 度が遅くなり、後述するカラーフィルター 造工程における、減圧乾燥プロセスのタク 不良や、プリベークのピン跡といった問題 惹き起こすことが懸念される。

 なお、沸点150℃以上の溶剤は、グリコー アルキルエーテルアセテート類であっても またグリコールアルキルエーテル類であっ もよく、この場合は、沸点150℃以上の溶剤 別途含有させなくてもかまわない。

 本発明の着色樹脂組成物は、インクジェ ト法によるカラーフィルター製造に供して 良いが、インクジェット法によるカラーフ ルター製造においては、ノズルから発せら るインクは数~数十pLと非常に微小であるた 、ノズル口周辺あるいは画素バンク内に着 する前に、溶剤が蒸発してインクが濃縮・ 固する傾向がある。これを回避するために 溶剤の沸点は高い方が好ましく、具体的に 、(b)溶剤が沸点180℃以上の溶剤を含むこと 好ましい。特に、沸点が200℃以上、とりわ 沸点が220℃以上の溶剤を含有することが好 しい。また、沸点180℃以上である高沸点溶 は、(b)溶剤中50重量%以上であることが好ま い。このような高沸点溶剤の割合が50重量% 満である場合には、インク液滴からの溶剤 蒸発防止効果が十分に発揮されないおそれ ある。

 本発明の着色樹脂組成物において、(b)溶 の含有割合に特に制限はないが、その上限 通常99重量%とする。組成物中の(b)溶剤の含 割合が99重量%を超える場合は、(b)溶剤を除 各成分の濃度が小さくなり過ぎて、塗布膜 形成するには不適当となるおそれがある。 方、(b)溶剤の含有割合の下限値は、塗布に した粘性等を考慮して、通常75重量%、好ま くは80重量%、更に好ましくは82重量%である

[(d)モノマー]
 本発明の着色樹脂組成物は、(d)モノマーを 有することが好ましい。(d)モノマーは、重 可能な低分子化合物であれば特に制限はな が、エチレン性二重結合を少なくとも1つ有 する付加重合可能な化合物(以下、「エチレ 性化合物」と言う場合がある。)が好ましい

 エチレン性化合物は、本発明の着色樹脂 成物が活性光線の照射を受けた場合、後述 る光重合開始系の作用により付加重合し、 化するようなエチレン性二重結合を有する 合物である。尚、本発明における(d)モノマ は、いわゆる高分子物質に相対する概念を 味し、狭義の単量体以外に二量体、三量体 オリゴマーも包含する。

 エチレン性化合物としては、例えば、(メ タ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸;モノヒ ロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエス ル;脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カ ルボン酸とのエステル;芳香族ポリヒドロキ 化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;不 和カルボン酸と多価カルボン酸および前述 脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリ ドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物 のエステル化反応により得られるエステル; ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロ ル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させた レタン骨格を有するエチレン性化合物;等が 挙げられる。

 脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カ ボン酸とのエステルとしては、エチレング コールジ(メタ)アクリレート、トリエチレ グリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチ ロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ト メチロールエタントリ(メタ)アクリレート ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート 、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレ ト、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)ア リレート、ジペンタエリスリトールテトラ( タ)アクリレート、ジペンタエリスリトール ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリス トールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセ ール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル エステルが挙げられる。また、これら(メタ )アクリル酸エステルの(メタ)アクリル酸部分 を、イタコン酸部分に代えたイタコン酸エス テル、クロトン酸部分に代えたクロトン酸エ ステル、或いは、マレイン酸部分に代えたマ レイン酸エステル等が挙げられる。

 芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カ ボン酸とのエステルとしては、ハイドロキ ンジ(メタ)アクリレート、レゾルシンジ(メ )アクリレート、ピロガロールトリ(メタ)ア リレート等が挙げられる。

 不飽和カルボン酸と多価カルボン酸およ 多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応 より得られるエステルは、必ずしも単一物 はなく、混合物であってもよい。代表例と ては、(メタ)アクリル酸、フタル酸、およ エチレングリコールの縮合物;(メタ)アクリ 酸、マレイン酸、およびジエチレングリコ ルの縮合物;(メタ)アクリル酸、テレフタル 、およびペンタエリスリトールの縮合物;(メ タ)アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオー 、およびグリセリンの縮合物等が挙げられ 。

 ポリイソシアネート化合物と(メタ)アク ロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応さ たウレタン骨格を有するエチレン性化合物 しては、ヘキサメチレンジイソシアネート トリメチルヘキサメチレンジイソシアネー 等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサ ジイソシアネート、イソホロンジイソシア ート等の脂環式ジイソシアネート;トリレン ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソ シアネート等の芳香族ジイソシアネートと、 2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒ ドロキシ〔1,1,1-トリ(メタ)アクリロイルオキ メチル〕プロパン等の(メタ)アクリロイル 含有ヒドロキシ化合物との反応物が挙げら る。

 その他、本発明に用いられるエチレン性 合物の例としては、エチレンビス(メタ)ア リルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;フ ル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニ フタレート等のビニル基含有化合物等が挙 られる。

 これらの中では脂肪族ポリヒドロキシ化 物と不飽和カルボン酸とのエステルが好ま く、ペンタエリスリトールまたはジペンタ リスリトールの(メタ)アクリル酸エステル より好ましく、ジペンタエリスリトールヘ サ(メタ)アクリレートが特に好ましい。

 また、エチレン性化合物は酸価を有するモ マーであってもよい。酸価を有するモノマ としては、例えば、脂肪族ポリヒドロキシ 合物と不飽和カルボン酸とのエステルであ 、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応の ドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物 反応させて酸基を持たせた多官能単量体が ましく、特に好ましくは、このエステルに いて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペン エリスリトールおよび/またはジペンタエリ スリトールであるものである。
 これらの単量体は1種を単独で用いてもよい が、製造上、単一の化合物を得ることは難し いことから、2種以上の混合物を使用しても い。
 また、必要に応じて(d)モノマーとして酸基 有しない多官能モノマーと酸基を有する多 能モノマーを併用してもよい。

 酸基を有する多官能モノマーの好ましい 価としては、0.1~40mg-KOH/gであり、特に好ま くは5~30mg-KOH/gである。この多官能モノマー 酸価が低すぎると現像溶解特性が低下する 向があり、高すぎると製造や取扱いが困難 なる場合があり、また光重合性能が落ちた 、画素の表面平滑性等の硬化性が劣る場合 ある。従って、異なる酸基の多官能モノマ を2種以上併用する場合、或いは酸基を有し い多官能モノマーを併用する場合、全体の 官能モノマーとしての酸基が上記範囲に入 ように調整することが好ましい。

 本発明において、より好ましい酸基を有 る多官能モノマーは、東亞合成社製の「TO13 82」として市販されているジペンタエリスリ ールヘキサアクリレート、ジペンタエリス トールペンタアクリレート、ジペンタエリ リトールペンタアクリレートのコハク酸エ テルを主成分とする混合物である。この多 能モノマーと他の多官能モノマーを組み合 せて使用することもできる。

 本発明の着色樹脂組成物において、これ の(d)モノマーの含有割合は、全固形分中、 常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に 好ましくは10重量%以上であり、また、通常80 量%以下、好ましくは70重量%以下、更に好ま しくは50重量%以下、特に好ましくは40重量%以 下である。また、(d)モノマーの前述の(c)色材 に対する比率は、通常1重量%以上、好ましく 5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、 に好ましくは20重量%以上であり、また、通 200重量%以下、好ましくは100重量%以下、更に 好ましくは80重量%以下である。

 着色樹脂組成物中の(d)モノマー量が少な ぎると、光硬化が不十分となり現像時に密 不良を誘起する要因となるおそれがあり、 に多すぎると、光硬化が強すぎて現像後の 面が逆テーパー形状となったり、また、溶 性が低下して剥離現像を起こしたり、抜け 良を発生させる原因となることがある。

[(e)光重合開始系および/または熱重合開始系]
 本発明の着色樹脂組成物は、塗膜を硬化さ る目的で、(e)光重合開始系および/または熱 重合開始系を含むことが好ましい。ただし、 硬化の方法はこれらの開始剤によるもの以外 でもよい。

 特に、本発明の着色樹脂組成物が、(a)成 としてエチレン性二重結合を有する樹脂を む場合や、(d)成分としてエチレン性化合物 含む場合には、光を直接吸収し、または光 感されて分解反応または水素引き抜き反応 起こし、重合活性ラジカルを発生する機能 有する光重合開始系および/または熱によっ て重合活性ラジカルを発生する熱重合開始系 を含有することが好ましい。なお、本発明に おいて光重合開始系としての(e)成分とは、光 重合開始剤(以下、任意に(e1)成分と称する)に 重合加速剤(以下、任意に(e2)成分と称する)、 増感色素(以下、任意に(e3)成分と称する)など の付加剤が併用されている混合物を意味する 。

<光重合開始系>
 本発明の着色樹脂組成物に含有されていて よい光重合開始系は、通常、(e)光重合開始 、および必要に応じて添加される(e3)増感色 素、(e2)重合加速剤等の付加剤との混合物と て用いられ、光を直接吸収し、或いは光増 されて分解反応または水素引き抜き反応を こし、重合活性ラジカルを発生する機能を する成分である。

 光重合開始系を構成する(e1)光重合開始剤 としては、例えば、特開昭59-152396号、特開昭 61-151197号各公報等に記載のチタノセン誘導体 類;特開平10-300922号、特開平11-174224号、特開20 00-56118号各公報等に記載されるヘキサアリー ビイミダゾール誘導体類;特開平10-39503号公 等に記載のハロメチル化オキサジアゾール 導体類、ハロメチル-s-トリアジン誘導体類 N-フェニルグリシン等のN-アリール-α-アミ 酸類、N-アリール-α-アミノ酸塩類、N-アリー ル-α-アミノ酸エステル類等のラジカル活性 、α-アミノアルキルフェノン誘導体類;特開2 000-80068号公報等に記載のオキシムエステル系 誘導体類等が挙げられる。

 具体的には、例えば、チタノセン誘導体 としては、ジシクロペンタジエニルチタニ ムジクロライド、ジシクロペンタジエニル タニウムビスフェニル、ジシクロペンタジ ニルチタニウムビス(2,3,4,5,6-ペンタフルオ フェニ-1-イル)、ジシクロペンタジエニルチ ニウムビス(2,3,5,6-テトラフルオロフェニ-1- ル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビ ス(2,4,6-トリフルオロフェニ-1-イル)、ジシク ペンタジエニルチタニウムジ(2,6-ジフルオ フェニ-1-イル)、ジシクロペンタジエニルチ ニウムジ(2,4-ジフルオロフェニ-1-イル)、ジ( メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビ (2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニ-1-イル)、ジ( チルシクロペンタジエニル)チタニウムビス (2,6-ジフルオロフェニ-1-イル)、ジシクロペン タジエニルチタニウム〔2,6-ジ-フルオロ-3-(ピ ロ-1-イル)-フェニ-1-イル〕等が挙げられる。

 また、ビイミダゾール誘導体類としては 2-(2’-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミ ゾール2量体、2-(2’-クロロフェニル)-4,5-ビ (3’-メトキシフェニル)イミダゾール2量体、 2-(2’-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミ ゾール2量体、2-(2’-メトキシフエニル)-4,5- フェニルイミダゾール2量体、(4’-メトキシ フエニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体 が挙げられる。

 また、ハロメチル化オキサジアゾール誘 体類としては、2-トリクロロメチル-5-(2’- ンゾフリル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリ ロロメチル-5-〔β-(2’-ベンゾフリル)ビニル 〕-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチ ル-5-〔β-(2’-(6''-ベンゾフリル)ビニル)〕-1,3, 4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5- リル-1,3,4-オキサジアゾール等が挙げられる

 また、ハロメチル-s-トリアジン誘導体類 しては、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(ト クロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ フチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリ ジン、2-(4-エトキシナフチル)-4,6-ビス(トリ ロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシカ ボニルナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル) -s-トリアジン等が挙げられる。

 また、α-アミノアルキルフェノン誘導体 としては、2-メチル-1〔4-(メチルチオ)フェ ル〕-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベン ジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェ ニル)-ブタノン-1、2-ベンジル-2-ジメチルアミ ノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン 4-ジメチルアミノエチルベンゾエ-ト、4-ジメ チルアミノイソアミルベンゾエ-ト、4-ジエチ ルアミノアセトフェノン、4-ジメチルアミノ ロピオフェノン、2-エチルヘキシル-1,4-ジメ チルアミノベンゾエート、2,5-ビス(4-ジエチ アミノベンザル)シクロヘキサノン、7-ジエ ルアミノ-3-(4-ジエチルアミノベンゾイル)ク リン、4-(ジエチルアミノ)カルコン等が挙げ られる。

 また、オキシムエステル系誘導体類とし は、1,2-オクタンジオン、1-〔4-(フェニルチ )フェニル〕、2-(o-ベンゾイルオキシム)、エ タノン、1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)- 9H-カルバゾール-3-イル〕、1-(o-アセチルオキ ム)等が挙げられる。

 その他に、ベンゾインメチルエーテル、 ンゾインフェニルエーテル、ベンゾインイ ブチルエーテル、ベンゾインイソプロピル ーテル等のベンゾインアルキルエーテル類; 2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラ ノン、2-t-ブチルアントラキノン、1-クロロ ントラキノン等のアントラキノン誘導体類;2 ,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2 -ジエトキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシ クロへキシルフェニルケトン、α-ヒドロキシ -2-メチルフェニルプロパノン、1-ヒドロキシ- 1-メチルエチル-(p-イソプロピルフェニル)ケ ン、1-ヒドロキシ-1-(p-ドデシルフェニル)ケ ン、2-メチル-(4’-メチルチオフェニル)-2-モ ホリノ-1-プロパノン、1,1,1-トリクロロメチ -(p-ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェ ン誘導体類;チオキサントン、2-エチルチオ サントン、2-イソプロピルチオキサントン、 2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキ サントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4- イソプロピルチオキサントン等のチオキサ トン誘導体類;p-ジメチルアミノ安息香酸エ ル、p-ジエチルアミノ安息香酸エチル等の 息香酸エステル誘導体類;9-フェニルアクリ ン、9-(p-メトキシフェニル)アクリジン等の クリジン誘導体類;9,10-ジメチルベンズフェ ジン等のフェナジン誘導体類;ベンズアンス ン等のアンスロン誘導体類等も挙げられる

 これら光重合開始剤の中では、α-アミノ ルキルフェノン誘導体類およびチオキサン ン誘導体類がより好ましい。

 必要に応じて用いられる(e2)重合加速剤と しては、例えば、N,N-ジメチルアミノ安息香 エチルエステル等のN,N-ジアルキルアミノ安 香酸アルキルエステル類;2-メルカプトベン チアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾ ル、2-メルカプトベンゾイミダゾール等の複 素環を有するメルカプト化合物;脂肪族多官 メルカプト化合物等のメルカプト化合物類 が挙げられる。

 これらの(e1)光重合開始剤および(e2)重合加 剤は、それぞれ1種を単独で用
いてもよく、2種以上を併用してもよい。

 また、必要に応じて感応感度を高める目 で、(e3)増感色素が用いられる。増感色素は 、画像露光光源の波長に応じて、適切なもの が用いられるが、例えば特開平4-221958号、特 平4-219756号各公報等に記載のキサンテン系 素;特開平3-239703号、特開平5-289335号各公報等 に記載の複素環を有するクマリン系色素;特 平3-239703号、特開平5-289335号各公報等に記載 3-ケトクマリン系色素;特開平6-19240号公報等 に記載のピロメテン系色素;特開昭47-2528号、 開昭54-155292号、特公昭45-37377号、特開昭48-84 183号、特開昭52-112681号、特開昭58-15503号、特 昭60-88005号、特開昭59-56403号、特開平2-69号 特開昭57-168088号、特開平5-107761号、特開平5-2 10240号、特開平4-288818号各公報等に記載のジ ルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等 挙げることができる。

 これらの増感色素のうち好ましいものは アミノ基含有増感色素であり、更に好まし ものは、アミノ基およびフェニル基を同一 子内に有する化合物である。増感色素とし 特に好ましいのは、例えば、4,4’-ジメチル アミノベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミ ベンゾフェノン、2-アミノベンゾフェノン、 4-アミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベン ゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン 3,4-ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェ ン系化合物;2-(p-ジメチルアミノフェニル)ベ ンゾオキサゾール、2-(p-ジエチルアミノフェ ル)ベンゾオキサゾール、2-(p-ジメチルアミ フェニル)ベンゾ〔4,5〕ベンゾオキサゾール 、2-(p-ジメチルアミノフェニル)ベンゾ〔6,7〕 ベンゾオキサゾール、2,5-ビス(p-ジエチルア ノフェニル)-1,3,4-オキサゾール、2-(p-ジメチ アミノフェニル)ベンゾチアゾール、2-(p-ジ チルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2-( p-ジメチルアミノフェニル)ベンズイミダゾー ル、2-(p-ジエチルアミノフェニル)ベンズイミ ダゾール、2,5-ビス(p-ジエチルアミノフェニ )-1,3,4-チアジアゾール、(p-ジメチルアミノフ ェニル)ピリジン、(p-ジエチルアミノフェニ )ピリジン、(p-ジメチルアミノフェニル)キノ リン、(p-ジエチルアミノフェニル)キノリン (p-ジメチルアミノフェニル)ピリミジン、(p- エチルアミノフェニル)ピリミジン等のp-ジ ルキルアミノフェニル基含有化合物等であ 。このうち最も好ましいものは、4,4’-ジメ チルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジエチル ミノベンゾフェノン等の4,4’-ジアルキルア ノベンゾフェノンである。

 (e3)増感色素もまた1種を単独で用いても く、2種以上を併用してもよい。

 本発明の着色樹脂組成物において、これ の(e)光重合開始系の含有割合は、全固形分 、通常0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以 、更に好ましくは0.5重量%以上、また、通常4 0重量%以下、好ましくは30重量%以下、更に好 しくは20重量%以下の範囲である。この含有 合が著しく低いと、露光光線に対する感度 低下する原因となることがあり、反対に著 く高いと、未露光部分の現像液に対する溶 性が低下し、現像不良を誘起することがあ 。

<熱重合開始系>
 本発明の着色樹脂組成物に含有されていて よい熱重合開始系(熱重合開始剤)の具体例 しては、アゾ系化合物、有機過酸化物およ 過酸化水素等を挙げることができる。これ のうち、アゾ系化合物が好適に用いられる

 アゾ系化合物としては、2,2’-アゾビスイソ ブチロニトリル、2,2’-アゾビス
(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シ クロヘキセン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾ ス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、1-[(1-シア -1-メチルエチル)アゾ]ホルムアミド(2-(カル モイルアゾ)イソブチロニトリル)、2,2-アゾ ス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2- ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’- アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオ アミド]、2,2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2- チルプロピオンアミド]、2,2’-アゾビス[N-ブ チル-2-メチルプロピオンアミド]、2,2’-アゾ ス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンア ド)、2,2’-アゾビス(ジメチル-2-メチルプロ オンアミド)、2,2’-アゾビス(ジメチル-2-メ ルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(2,4,4-ト メチルペンテン)等を挙げることができ、こ れらのうちでも、2,2’-アゾビスイソブチロ トリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロ トリル)等が好ましい。

 有機過酸化物としては、過酸化ベンゾイ 、過酸化ジ-t-ブチル、クメンハイドロパー キシド等が挙げられる。具体的には、ジイ ブチリルパーオキシド、クミルパーオキシ オデカノエート、ジ-n-プロピルパーオキシ カルボネート、ジイソプロピルパーオキシ カルボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジ ルボネート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパー オキシネオデカノエート、ジ(4-t-ブチルシク ヘキシル)パーオキシジカルボネート、1-シ ロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシネオ カノエート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキ シジカルボネート、ジ(2-エチルヘキシル)パ オキシジカルボネート、t-ヘキシルパーオキ シネオデカノエート、ジメトキシブチルパー オキシジカルボネート、t-ブチルパーオキシ オデカノエート、t-ヘキシルパーオキシピ レート、t-ブチルパーオキシピバレート、ジ (3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド ジ-n-オクタノイルパーオキシド、ジラウロ ルパーオキシド、ジステアロイルパーオキ ド、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2 -エチルヘキサノエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2 -エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t -ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエー 、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキシド、t- チルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、 ベンゾイルパーオキシド、t-ブチルパーオキ シイソブチレート、1,1-ジ(t-ブチルパーオキ )-2-メチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-ヘキシル パーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン 1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサ 、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン 、2,2-ジ(4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘ シル)プロパン、t-ヘキシルパーオキシイソ ロピルモノカルボネート、t-ブチルパーオキ シマレイン酸、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリ メチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ ウレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(3-メチルベン イルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオ シイソプロピルモノカルボネート、t-ブチ パーオキシ-2-エチルヘキシルモノカルボネ ト、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5 -ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキ ン、t-ブチルパーオキシアセテート、2,2-ジ( t-ブチルパーオキシ)ブタン、t-ブチルパーオ シベンゾエート、n-ブチル-4,4-ジ(t-ブチルパ ーオキシ)バレレート、ジ(2-t-ブチルパーオキ シイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオ シド、ジ-t-ヘキシルパーオキシド、2,5-ジメ ル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ- t-ブチルパーオキシド、p-メンタンハイドロ ーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパ オキシ)ヘキシン-3、ジイソプロピルベンゼ ハイドロパーオキシド、1,1,3,3-テトラメチル ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイド ロパーオキシド、t-ブチルハイドロパーオキ ド、t-ブチルトリメチルシリルパーオキシ 、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、ジ(3- チルベンゾイル)パーオキシドとベンゾイル( 3-メチルベンゾイル)パーオキシドとジベンゾ イルパーオキシドの混合物等を挙げることが できる。

 これらの熱重合開始剤は、1種を単独で用 いてもよく、2種以上を併用してもよい。

 着色樹脂組成物中の熱重合開始剤の割合 少な過ぎると膜の硬化が不十分であり、カ ーフィルターとしての耐久性が不足する場 がある。多過ぎると熱収縮の度合が大きく り、熱硬化後にヒビ割れ、クラックの発生 起こるおそれがある。また、保存安定性が 下する傾向が見られる。従って、熱重合開 剤の含有割合は、本発明の着色樹脂組成物 全固形分中0~30重量%、特に0~20重量%の範囲と することが好ましい。

[(f)顔料]
 本発明の着色樹脂組成物は、耐熱性を向上 せるため等の目的で、本発明の効果を損な ない範囲で(f)顔料を含有していてもよい。

 (f)顔料としては、例えばカラーフィルタ の画素等を形成する場合には、青色、紫色 各種の色の顔料を使用することができる。 た、その化学構造としては、例えばフタロ アニン系、キナクリドン系、ベンツイミダ ロン系、ジオキサジン系、インダンスレン 、ペリレン系等の有機顔料が挙げられる。 の他に種々の無機顔料等も利用可能である 以下、使用できる顔料の具体例をピグメン ナンバーで示す。以下に挙げる「C.I.」は、 カラーインデックス(C.I.)を意味する。

 青色顔料としては、例えばC.I.ピグメント ブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4 15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56 、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72 73、74、75、76、78、79などを挙げることがで る。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメン トブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6などで り、更に好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6 である。

 紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメント バイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5: 1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、3 9、42、44、47、49、50などを挙げることができ 。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメント バイオレット19、23などであり、更に好まし はC.I.ピグメントバイオレット23である。

 又、無機顔料として、硫酸バリウム、硫 鉛、酸化チタン、黄色鉛、ベンガラ、酸化 ロム等が挙げられる。

 上記の各種の顔料は、複数種を併用するこ もできる。例えば、色度の調整のために、 料として、青色顔料と紫色顔料とを併用し りすることができる。
 尚、これらの顔料は、着色樹脂組成物中の 均粒径が通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下 、更に好ましくは0.3μm以下となるよう分散処 理して使用する。

 本発明の着色樹脂組成物において、これ (f)顔料の含有割合は、全固形分中、通常80 量%以下、好ましくは50重量%以下である。ま 、前述の(c)色材100重量部に対する含有量は 通常2000重量部以下、好ましくは1000重量部 下である。(f)顔料の割合が多過ぎると、本 明に係る(c)色材による高色再現性と高輝度 両立という効果が薄れる。

[任意成分]
 本発明の着色樹脂組成物は、前記各成分の に、界面活性剤、有機カルボン酸および/ま たは有機カルボン酸無水物、可塑剤、前記本 発明に係る前述の(c)色材以外の染料、熱重合 防止剤、保存安定剤、表面保護剤、密着向上 剤、現像改良剤等を含有していてもよい。ま た、着色剤として(f)顔料を含有する場合には 、分散剤や分散助剤を含有してもよい。これ ら任意成分としては、例えば特開2007-113000号 報記載の各種化合物を使用することができ 。

[着色樹脂組成物の調製方法]
 次に、本発明の着色樹脂組成物を調製する 法を説明する。
 先ず前述の本発明に係る(c)色材を、必須成 である(a)バインダー樹脂、および(b)溶剤、 合によっては、任意成分である(d)モノマー (e)光重合開始系および/または熱重合開始系 、界面活性剤、およびそれら以外の成分と混 合し、均一な溶液とすることにより、着色樹 脂組成物を得る。混合に際しては、(c)色材が 十分に溶解するまで撹拌することが好ましい 。また、混合等の各工程において、微細なゴ ミが混入することがあるため、得られたイン キ状液体をフィルター等によって濾過処理す ることが好ましい。

 また、着色剤として(f)顔料を併用する場 には、まず前述の本発明に係る(c)色材、(f) 料、(b)溶剤、および任意成分である分散剤 分散助剤などを各所定量秤量し、分散処理 程において、(f)顔料を十分に分散させてイ キ状液体とする。この分散処理工程では、 イントシェイカー、サンドグラインダー、 ールミル、ロールミル、ストーンミル、ジ ットミル、ホモジナイザー等を使用するこ ができる。この分散処理を行なうことによ て(f)顔料が微粒子化されるため、着色樹脂 成物の塗布特性が向上し、製品のカラーフ ルター基板等の透過率が向上する。

 (f)顔料を分散処理する際には、(a)バイン ー樹脂の一部を分散剤として使用したり、 散助剤等を適宜併用したりすることが好ま い。また、ペイントシェイカーまたはサン グラインダーを用いて分散処理を行なう場 は、0.1~数mm径のガラスビーズ、またはジル ニアビーズを用いることが好ましい。分散 理する際の温度は、通常0℃以上、好ましく は室温以上、また、通常100℃以下、好ましく は80℃以下の範囲に設定する。尚、分散時間 、インキ状液体の組成、およびサンドグラ ンダーの装置の大きさ等により適正時間が なるため、適宜調整する必要がある。

 上記分散処理によって得られたインキ状 体に、更に必須成分である(a)バインダー樹 、および(b)溶剤、場合によっては、任意成 である(d)モノマーや(e)光重合開始系および/ または熱重合開始系、界面活性剤、およびそ れら以外の成分を混合し、均一な分散溶液と することにより、着色樹脂組成物を得る。尚 、分散処理工程および混合の各工程において 、微細なゴミが混入することがあるため、得 られたインキ状液体をフィルター等によって 濾過処理することが好ましい。

[着色樹脂組成物の応用]
 本発明の着色樹脂組成物は、通常、すべて 構成成分が溶剤中に溶解或いは分散された 態である。このような着色樹脂組成物が基 上へ供給され、カラーフィルターや液晶表 装置、有機ELディスプレイなどの構成部材 形成される。
 以下、本発明の着色樹脂組成物の応用例と て、カラーフィルターの画素としての応用 およびそれらを用いた液晶表示装置(パネル )および有機ELディスプレイについて、説明す る。

<カラーフィルターの画素>
 カラーフィルターの画素は、後述するよう 様々な方法で形成することができる。ここ は光重合性の着色樹脂組成物を使用してフ トリソグラフィ法にて形成する場合を例に 詳細に説明するが、製造方法はこれに限定 れるものではない。

 カラーフィルターの透明基板としては、 明で適度の強度のものであれば、その材質 特に限定されるものではない。材質として 、例えば、ポリエチレンテレフタレート等 ポリエステル系樹脂;ポリプロピレン、ポリ エチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカ ボネート系樹脂;ポリメチルメタクリレート のアクリル系樹脂;ポリスルホン系樹脂等の 熱可塑性樹脂製シート;エポキシ樹脂、不飽 ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂シート; たは各種ガラス等が挙げられる。この中で 、耐熱性の観点からガラス、耐熱性樹脂が ましい。これらの透明基板には、接着性等 表面物性の改良のため、必要に応じ、コロ 放電処理やオゾン処理等の表面処理、シラ カップリング剤やウレタン系樹脂等の各種 脂等による薄膜形成処理等を行なってもよ 。透明基板の厚さは、通常0.05mm以上、好ま くは0.1mm以上、また、通常10mm以下、好まし は7mm以下の範囲とされる。また、各種樹脂 よる薄膜形成処理を行なう場合、その膜厚 、通常0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上、 た、通常10μm以下、好ましくは5μm以下の範 である。

 上述の透明基板上にブラックマトリック を設け、更に通常は赤色、緑色、青色の各 素画像を形成することにより、カラーフィ ターを作製することができる。

 ブラックマトリックスは、遮光金属薄膜、 たは本発明の着色樹脂組成物を利用して、 明基板上に形成される。
 その遮光金属材料としては、金属クロム、 化クロム、窒化クロム等のクロム化合物、 ッケルとタングステンの合金等が用いられ これらを複数層状に積層させたものであっ もよい。これらの遮光金属薄膜は、一般に パッタリング法によって形成され、ポジ型 ォトレジストにより、膜状に所望のパター を形成する。

 クロムに対しては硝酸第二セリウムアン ニウムと過塩素酸および/または硝酸とを混 合したエッチング液を用い、その他の材料に 対しては、材料に応じたエッチング液を用い て蝕刻され、最後にポジ型フォトレジストを 専用の剥離剤で剥離することによって、ブラ ックマトリックスを形成することができる。 この場合、先ず、蒸着またはスパッタリング 法等により、透明基板上にこれら金属または 金属・金属酸化物の薄膜を形成する。次いで 、この薄膜上にポジ型フォトレジスト用樹脂 組成物の塗布膜を形成する。次いで、ストラ イプ、モザイク、トライアングル等の繰り返 しパターンを有するフォトマスクを用いて、 塗布膜を露光・現像し、画像を形成する。そ の後、この塗布膜にエッチング処理を施して ブラックマトリックスを形成することができ る。

 また、黒色の(f)顔料を含有する光重合性 色樹脂組成物を使用して、ブラックマトリ クスを形成してもよい。例えば、カーボン ラック、黒鉛、鉄黒、チタンブラック等の 色顔料を単独または複数、もしくは、無機 たは有機の顔料の中から適宜選択される赤 、緑色、青色等の顔料を混合して得られる 色顔料を含有する着色樹脂組成物を使用し 後述する赤色、緑色、青色の画素画像を形 する方法と同様にして、ブラックマトリッ スを形成することができる。

 黒色の着色樹脂組成物に関しては透明基 上に、赤色、緑色、青色の着色樹脂組成物 関しては、透明基板上に形成された樹脂ブ ックマトリックス形成面上、または、クロ 化合物その他の遮光金属材料を用いて形成 れた金属ブラックマトリックス形成面上に 塗布、加熱乾燥、画像露光、現像および熱 化の各処理を経て、各色の画素画像が形成 れる。

 ブラックマトリックスを設けた透明基板上 、赤色、緑色、青色のうち一色の色材を含 する着色樹脂組成物を塗布し、乾燥した後 塗布膜の上にフォトマスクを重ね、このフ トマスクを介して画像露光、現像、必要に じて熱硬化または光硬化により画素画像を 成させ、着色層を作成する。この操作を、 色、緑色、青色の三色の着色樹脂組成物に いて各々行うことによって、カラーフィル ー画像を形成することができる。
 本発明の着色樹脂組成物は、ここで青色画 の形成に特に好適に使用される。

 着色樹脂組成物の基板への供給方法とし は、従来公知の方法、例えば、スピナー法 ワイヤーバー法、フローコート法、スリッ ・アンド・スピン法、ダイコート法、ロー コート法、スプレーコート法等が挙げられ 。中でも、スリット・アンド・スピン法、 よびダイコート法が好ましい。本発明の着 樹脂組成物は、ディスペンスノズル先端に 集異物が発生しにくいため、歩留まりを低 させることなく、平滑で美しい表面を有す 塗布膜を提供することができる。また、そ 塗布の際の塗布ムラや、その後の乾燥工程 おける乾燥ムラ等も生じず、露光工程、現 工程、熱処理工程等を経て、極めて平滑な 面を有する層を形成することができる。

 スリット・アンド・スピン法、およびダイ ート法による塗布条件は、着色樹脂組成物 組成や、作製するカラーフィルターの種類 によって適宜選択すればよい。例えば、両 法のいずれにおいても、ノズル先端のリッ 幅は50~500μmとし、ノズル先端と基板面との 隔は30~300μmとするのが好ましい。
 ダイコート法において、塗布膜の厚さを調 するためには、リップの走行速度、および ップからの液状の着色樹脂組成物の吐出量 調整すればよく、スリット・アンド・スピ 法においては、主にスリット塗布後のスピ 回転数および回転時間によって調整すれば い。

 塗布膜の厚さは、厚過ぎるとパターン現 が困難となるとともに、液晶セル化工程で ギャップ調整が困難となることがある一方 、薄過ぎると顔料濃度を高めることが困難 なり、所望の色発現が不可能となることが る。塗布膜の厚さは、乾燥後の膜厚として 通常0.2μm以上、好ましくは0.5μm以上、より ましくは0.8μm以上、また、通常20μm以下、 ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下 範囲である。

 基板に着色樹脂組成物を塗布した後の塗布 の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、 ンベクションオーブンを使用した乾燥法に るのが好ましい。通常は、予備乾燥の後、 度加熱させて乾燥させる。
 予備乾燥の温度および乾燥時間などの条件 、溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能 に応じて適宜選択されるが、具体的には、 燥温度は通常40℃以上、好ましくは50℃以上 、また、通常80℃以下、好ましくは70℃以下 範囲であり、乾燥時間は通常15秒以上、好ま しくは30秒以上、また、通常5分間以下、好ま しくは3分間以下の範囲である。
 また、再加熱乾燥の温度条件は、予備乾燥 度より高い温度が好ましく、具体的には、 常50℃以上、好ましくは70℃以上、また、通 常200℃以下、好ましくは160℃以下、特に好ま しくは130℃以下の範囲である。また、乾燥時 間は、加熱温度にもよるが、通常10秒以上、 ましくは15秒以上、また、通常10分以下、好 ましくは5分以下の範囲とするのが好ましい 乾燥温度は、高いほど透明基板に対する接 性が向上するが、高過ぎるとバインダー樹 が分解し、熱重合を誘発して現像不良を生 る場合がある。尚、この塗布膜の乾燥工程 しては、温度を高めず減圧チャンバー内で 燥を行なう減圧乾燥法を用いてもよい。

 画像露光は、着色樹脂組成物の塗布膜上 、ネガのマトリックスパターンを重ね、こ マスクパターンを介し、紫外線または可視 線の光源を照射して行う。この際、必要に じ、着色樹脂組成物により形成された光重 性層の酸素による感度の低下を防ぐため、 重合性層上にポリビニルアルコール層等の 素遮断層を形成した後に露光を行ってもよ 。

 上記の画像露光に使用される光源は、特 限定されるものではない。光源としては、 えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、 ングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水 灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、 圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等 ランプ光源;アルゴンイオンレーザー、YAGレ ーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、 ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レー ザー等のレーザー光源等が挙げられる。特定 の波長の光を照射して使用する場合には、光 学フィルターを利用することもできる。

 カラーフィルターは、着色樹脂組成物の 布膜に対し、上記の光源によって画像露光 行なった後、有機溶剤、または、界面活性 とアルカリ性化合物とを含む水溶液を用い 現像を行うことによって、基板上に画像を 成して作製することができる。この水溶液 は、更に有機溶剤、緩衝剤、錯化剤、染料 たは顔料を含ませることができる。

 ここで、アルカリ性化合物としては、水 化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リ ウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭 水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、珪酸 トリウム、珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリ ム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸 素ナトリウム、燐酸水素カリウム、燐酸二 素ナトリウム、燐酸二水素カリウム、水酸 アンモニウム等の無機アルカリ性化合物;モ ノ-・ジ-・またはトリ-エタノールアミン、モ ノ-・ジ-・またはトリ-メチルアミン、モノ- ジ-・またはトリ-エチルアミン、モノ-・ま はジ-イソプロピルアミン、n-ブチルアミン モノ-・ジ-・またはトリ-イソプロパノール ミン、エチレンイミン、エチレンジイミン テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH )、コリン等の有機アルカリ性化合物が挙げ れる。これらのアルカリ性化合物は、1種を 独で用いてもよく、2種以上を併用してもよ い。

 界面活性剤としては、例えば、ポリオキ エチレンアルキルエーテル類、ポリオキシ チレンアルキルアリールエーテル類、ポリ キシエチレンアルキルエステル類、ソルビ ンアルキルエステル類、モノグリセリドア キルエステル類等のノニオン系界面活性剤; アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキル ナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩 類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク 酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤; ルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性界 活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤 、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用 してもよい。

 有機溶剤としては、例えば、イソプロピ アルコール、ベンジルアルコール、エチル ロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセ ソルブ、プロピレングリコール、ジアセト アルコール等が挙げられる。有機溶剤は、1 種を単独で用いても、2種以上の混合溶剤と て用いてもよく、また、水溶液と併用して 用することもできる。

 現像処理の条件には特に制限はないが、 像温度は通常10℃以上、中でも15℃以上、更 には20℃以上、また、通常50℃以下、中でも45 ℃以下、更には40℃以下の範囲が好ましい。

 現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像 、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れか 方法によることができる。

 現像の後のカラーフィルターには、熱硬 処理を施す。この際の熱硬化処理条件は、 度は通常100℃以上、好ましくは150℃以上、 た、通常280℃以下、好ましくは250℃以下の 囲で選ばれ、時間は5分間以上、60分間以下 範囲で選ばれる。

 これら一連の工程を経て、一色のパター ング画像形成は終了する。この工程を順次 り返し、ブラック(着色樹脂組成物を用いて ブラックマトリックスを形成する場合)、赤 、緑色、青色をパターニングし、カラーフ ルターを形成する。尚、赤色、緑色、青色 3色のパターニングの順番は、上記した順番 限定されるものではない。

 尚、本発明におけるカラーフィルターは 上記した作製方法の他に、(1)溶剤、色材、 インダー樹脂としてのポリイミド系樹脂を む着色樹脂組成物を、基板に塗布し、エッ ング法により画素画像を形成する方法によ ても作製することができる。また、(2)色材 含む着色樹脂組成物を着色インキとして用 、印刷機によって、透明基板上に直接画素 像を形成する方法、(3)色材を含む着色樹脂 成物を電着液として用い、基板をこの電着 に浸漬させ所定パターンにされたITO電極上 、着色膜を析出させる方法、更に、(4)色材 含む着色樹脂組成物を塗布したフィルムを 透明基板に貼りつけて剥離し、画像露光、 像し画素画像を形成する方法、(5)色材を含 着色樹脂組成物を着色インキとして用い、 ンクジェットプリンターにより基板上に画 画像を形成する方法、等によっても作製す ことができる。カラーフィルターの作製方 は、本発明の着色樹脂組成物の組成に応じ これに適した方法が採用される。

 このようにして作製されたカラーフィル ーを液晶表示装置に使用する場合には、こ ままの状態で画像上にITO等の透明電極を形 して、カラーディスプレー、液晶表示装置 の部品の一部として使用されるが、表面平 性や耐久性を高めるため、必要に応じ、画 上にポリアミド、ポリイミド等のトップコ ト層を設けることもできる。また、一部、 面配向型駆動方式(IPSモード)等の用途にお ては、透明電極を形成しないこともある。 た、垂直配向型駆動方式(MVAモード)では、リ ブを形成することもある。また、ビーズ散布 型スペーサに代わり、フォトリソによる柱構 造(フォトスペーサー)を形成することもある

<液晶表示装置(パネル)>
 本発明に係る液晶表示装置は、上述したカ ーフィルター(以下、「本発明のカラーフィ ルター」と称す場合がある。)を備えてなり 例えば、上述した本発明のカラーフィルタ と、薄膜トランジスタ(TFT)等の対向基板とを 、液晶層を介して対向した構造とすることに より構成することができる。より具体的には 、本発明のカラーフィルター上に配向膜を形 成し、この配向膜上にスペーサを散布した後 、対向基板と周辺シール材を介して貼り合わ せて液晶セルを形成し、形成した液晶セルに 液晶を注入し、対向電極に結線して作製され る。

 配向膜は、ポリイミド等の樹脂膜が好適 ある。配向膜の形成には、通常、グラビア 刷法および/またはフレキソ印刷法が採用さ れ、塗布後、熱焼成によって配向膜の硬化処 理を行った後、紫外線の照射やラビング布に よる処理によって表面処理し、液晶の傾きを 調整しうる表面状態に加工される。このよう にして形成される配向膜の厚さは通常数10nm 度とされる。

 スペーサは、対向基板とのギャップ(隙間 )に応じた大きさのものが用いられ、通常2~8μ mの大きさのものが好適である。カラーフィ ターに、フォトリソグラフィ法によって透 樹脂膜のフォトスペーサー(PS)を形成し、こ をスペーサの代わりに活用することもでき 。

 対向基板としては、通常、アレイ基板が いられ、特にTFT(薄膜トランジスタ)基板が 適である。また、対向基板との貼り合わせ ギャップは、液晶パネルの用途によって異 るが、通常2μm以上、8μm以下の範囲で選ばれ る。

 カラーフィルターを対向基板と貼り合わ た後、液晶注入口以外の部分は、エポキシ 脂等のシール材によって封止する。シール は、紫外線(UV)照射および/または加熱する とによって硬化させ、液晶セル周辺がシー される。

 周辺をシールされた液晶セルは、パネル単 に切断した後、真空チャンバー内で減圧と 、上記液晶注入口を液晶に浸漬した後、チ ンバー内をリークすることによって、液晶 液晶セル内に注入する。この場合、液晶セ 内の減圧度は、通常1×10 -2 Pa以上、好ましくは1×10 -3 以上、また、通常1×10 -7 Pa以下、好ましくは1×10 -6 Pa以下の範囲である。また、減圧時に液晶セ を加温するのが好ましく、その加温温度は 常30℃以上、好ましくは50℃以上、また、通 常100℃以下、好ましくは90℃以下の範囲であ 。減圧時の加温保持時間は、通常10分間以 、60分間以下の範囲とされ、その後、液晶中 に浸漬される。

 液晶を注入した液晶セルは、液晶注入口 例えばUV硬化樹脂を硬化させて封止するこ によって、液晶表示装置が完成する。

 尚、用いる液晶の種類には特に制限がな 、芳香族系、脂肪族系、多環状化合物等、 来から知られている液晶であって、リオト ピック液晶、サーモトロピック液晶等の何 でもよい。サーモトロピック液晶には、ネ ティック液晶、スメクティック液晶および レステリック液晶等が知られているが、こ らの何れであってもよい。

<有機ELディスプレイ>
 本発明のカラーフィルターを備えてなる有 ELディスプレイを作成する場合、例えば図3 示すように、透明支持基板10上に、本発明 着色樹脂組成物により青色画素20が形成され た青色カラーフィルター上に有機保護層30お び無機酸化膜40を介して有機発光体500を積 することによって多色の有機EL素子を作製す ることができる。有機発光体500の積層方法と しては、カラーフィルター上面へ透明陽極50 正孔注入層51、正孔輸送層52、発光層53、電 注入層54、および陰極55を逐次形成していく 方法や、別基板上へ形成した有機発光体500を 無機酸化膜40上に貼り合わせる方法などが挙 られる。このようにして作製された有機EL 子100は、パッシブ駆動方式の有機ELディスプ レイにもアクティブ駆動方式の有機ELディス レイにも適用可能である。

 次に、合成例、実施例および比較例を挙 て本発明をより具体的に説明するが、本発 はその要旨を超えない限り以下の実施例に 定されるものではない。

{合成例}
[1]染料の合成
[合成例1]

 フェニルイミダゾール(3.86g,20mmol、東京化 成工業社製)にジメチルホルムアミド(DMF)(100mL 、関東化学社製)を加え、室温でゆっくりと 素化ナトリウム(1g,21mmol、和光純薬工業社製) を加え、水素が発生しなくなるまで撹拌した 。その後、ベンジルクロライド(2.5g,20mmol、東 京化成工業社製)を加え、室温で撹拌した。 応終了後、水を加え、トルエンで抽出し、 機層を炭酸カルシウムで乾燥し、濾過濃縮 行った。得られた生成物をカラムクロマト ラフィーにより精製し、化合物2を3.5g、62%の 収率で得た。

 窒素ライン接続三方コック、ジムロート 温度計、回転子を取り付けた100ml四口フラ コの窒素置換・減圧乾燥を行った。ここへ 記で得られた化合物2(1.13g,4.0mmol,1.0e.q.)、缶 しトルエン10ml(純正化学社製)を入れ、室温 撹拌した。そこにオキシ塩化リン(613mg,4.0mmol ,1.0e.q.、和光純薬工業社製)を加えしばらく撹 拌した。次いで、化合物1(1.30g,4.0mmol,1.0e.q.、 京化成工業社製)を加え、加熱撹拌を約5時 行い、放冷させてクロロホルム抽出を行っ 。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ク ロホルム:メタノール=15:1→10:1)で精製し、 合物3を2.15g,85.5%の収率で得た。

 200mlの三角フラスコに化合物3(1.0g,1.6mmol,2. 0e.q.)を加え、メタノール(20ml、純正化学社製) で溶解させ、それに化合物4(銅フタロシアニ スルホン酸ナトリウム)(620mg,0.8mmol,1.0e.q.)を えて、しばらく撹拌した。脱塩水40mlを加え 、さらに室温で1時間撹拌した。その後、反 液を濾過し、濾取したものを取り出し、脱 水を加え超音波洗浄をした後、濾過して、 られた固体を80℃の真空乾燥機で乾燥させ、 目的物V-A(830mg,収率54.3%)を得た。

[合成例2]

 フェニルイミダゾール(5.8g,30mmol、東京化 工業社製)、ヨードトルエン(9.8g,45mmol、東京 化成工業社製)、ヨウ化銅(2.2g,12mmol、関東化 社製)、1,9-フェナントロリン(2.4g,12mmol、東京 化成工業社製)、リン酸カリウム(9.5g,45mmol、 東化学社製)にトルエン100mLを加え、6時間加 還流を行った。反応終了後、濾過し、沈殿 塩化メチレンで洗浄し、濾液を濃縮した。 られた粗生成物をカラムクロマトグラフィ により精製し、化合物5を2.0g、23%の収率で た。

 窒素ライン接続三方コック、ジムロート 温度計、回転子を取り付けた100ml四口フラ コの窒素置換・減圧乾燥を行った。ここへ 記で得られた化合物5(850mg,3.0mmol,1.0e.q.)、缶 しトルエン10ml(純正化学社製)を入れ、室温 撹拌した。そこにオキシ塩化リン(460mg,3.0mmol ,1.0e.q.、和光純薬工業社製)を加えしばらく撹 拌した。次いで、化合物1(973mg,3.0mmol,1.0e.q.、 京化成工業社製)を加え、加熱撹拌を約5時 行い、放冷させてクロロホルム抽出を行っ 。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ク ロホルム:メタノール=15:1→10:1)で精製し、 合物6を1.85g、98.5%の収率で得た。

 200mlの三角フラスコに化合物6(925mg,1.64mmol, 2.0e.q.)を加え、メタノール(15ml、純正化学社 )で溶解させ、それに化合物4(636mg,0.82mmol,1.0e. q.)を加えて、しばらく撹拌した。脱塩水40ml 加え、さらに室温で1時間撹拌した。その後 反応液を濾過し、濾取したものを取り出し 純水を加え超音波洗浄をした後、濾過して 得られた固体を80℃の真空乾燥機で乾燥さ 、目的物V-B(1.17g,収率78.4%)を得た。

[合成例3]

 窒素ライン接続三方コック、ジムロート 温度計、回転子を取り付けた100ml四口フラ コの窒素置換・減圧乾燥を行った。ここへ 化合物7(1.55g,7.0mmol,1.0e.q.、東京化成工業社製 )、缶だしトルエン15ml(純正化学社製)を入れ 室温で撹拌した。そこにオキシ塩化リン(1.07 g,7.0mmol,1.0e.q.、和光純薬工業社製)を加えしば らく撹拌した。次いで、化合物1(2.27g,7.0mmol,1. 0e.q.、東京化成工業社製)を加え、加熱撹拌を 約5時間行い、放冷させてクロロホルム抽出 行った。シリカゲルカラムクロマトグラフ ー(クロロホルム:メタノール=15:1→10:1)で精 し、化合物8を3.82g、96.7%の収率で得た。

 200mlの三角フラスコに化合物8(1.0g,1.6mmol,2. 0e.q.)を加え、メタノール(15ml、純正化学社製) で溶解させ、それに化合物4(620mg,0.8mmol,1.0e.q.) を加えて、しばらく撹拌した。脱塩水40mlを え、さらに室温で3時間撹拌した。その後、 応液を濾過し、濾取したものを取り出し、 水を加え超音波洗浄をした後、濾過して、 られた固体を80℃の真空乾燥機で乾燥させ 目的物V-C(1.25g,収率80.4%)を得た。

[合成例4]

 窒素ライン接続三方コック、ジムロート 温度計、回転子を取り付けた100ml四口フラ コの窒素置換・減圧乾燥を行った。ここへ ェニルイミダゾール(3.87g,20.0mmol,1.0e.q.、東京 化成工業社製)を入れ、脱水DMF(20ml、関東化学 社製)で室温で溶解させて、氷冷した。次い 、水素化ナトリウム(960mg,22.0mmol,1.1e.q.、和光 純薬工業社製)をゆっくり加え、撹拌した。 こへ、ブロムヘキサン(3ml,3.63g,22.0mmol,1.1e.q. 和光純薬工業社製)をゆっくり滴下した後、 温して室温で約2時間撹拌した。反応容器を 氷冷し、水でクエンチしてエーテル抽出を行 った後、シリカゲルカラムクロマトグラフィ ー(ヘキサン:酢酸エチル=40:1)で精製して、化 物9を3.91g、70.5%の収率で得た。

 窒素ライン接続三方コック、ジムロート 温度計、回転子を取り付けた100ml四口フラ コの窒素置換・減圧乾燥を行った。ここへ 上記で得られた化合物9(832mg,3.0mmol,1.0e.q.)、 だしトルエン8ml(純正化学社製)を入れ、室温 で撹拌した。そこにオキシ塩化リン(506mg,3.3mm ol,1.1e.q.、和光純薬工業社製)を加えしばらく 拌した。次いで、化合物1(973mg,3.0mmol,1.0e.q. 東京化成工業社製)を加え、加熱撹拌を約6.5 間行い、放冷させてクロロホルム抽出を行 た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー( クロロホルム:メタノール=15:1→10:1)で精製し 化合物10を1.67g、89.7%の収率で得た。

 200mlの三角フラスコに化合物10(800mg,1.29mmol ,2.0e.q.)を加え、メタノール(20ml、純正化学社 )で溶解させ、それに化合物4(500mg,0.65mmol,1.0e .q.)を加えて、しばらく撹拌した。脱塩水40ml 加え、さらに室温で1.5時間撹拌した。その 、反応液を濾過し、濾取したものを取り出 、純水を加え超音波洗浄をした後、濾過し 、得られた固体を80℃の真空乾燥機で乾燥 せ、目的物V-D(820mg,収率65.8%)を得た。

[合成例5]

 窒素ライン接続三方コック、ジムロート 温度計、回転子を取り付けた100ml四口フラ コの窒素置換・減圧乾燥を行った。4-フルオ ロフェニルイミダゾール(6.3g,30mmol,1.0e.q.、東 化成工業社製)を入れ、脱水DMF(100ml、関東化 学社製)で室温で溶解させて、氷冷した。次 で、水素化ナトリウム(2.16mg,45mmol、和光純薬 工業社製)をゆっくり加え、撹拌した。ここ 、ブロムヘキサン(6.6g,40mmol、和光純薬工業 製)をゆっくり滴下した。昇温して室温で約3 時間撹拌した。反応容器を氷冷し、水でクエ ンチしてヘキサン抽出を行い、濃縮した。得 られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー (ヘキサン:塩化メチレン=9:1)で精製し、化合 11を4.6g、52%の収率で得た。

 窒素ライン接続三方コック、ジムロート 温度計、回転子を取り付けた100ml四口フラ コの窒素置換・減圧乾燥を行った。ここへ 上記で得られた化合物11(975mg,3.3mmol,1.0e.q.)、 だしトルエン10ml(純正化学社製)を入れ、室 で撹拌した。そこにオキシ塩化リン(557mg,3.6 3mmol,1.1e.q.、和光純薬工業社製)を加えしばら 撹拌した。次いで、化合物1(1.07g,3.3mmol,1.0e.q .、東京化成工業社製)を加え、加熱撹拌を約4 時間行い、放冷させてクロロホルム抽出を行 った。シリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム:メタノール=15:1→10:1)で精製し 、化合物12を1.27g、60.3%の収率で得た。

 100mlの三角フラスコに化合物12(638mg,1.0mmol, 2.0e.q.)を加え、メタノール(15ml、純正化学社 )で溶解させ、それに化合物4(388mg,0.5mmol,1.0e.q .)を加えて、しばらく撹拌した。脱塩水50mlを 加え、さらに室温で3時間撹拌した。その後 反応液を濾過し、濾取したものを取り出し 純水を加え超音波洗浄をした後、濾過して 得られた固体を80℃の真空乾燥機で乾燥させ 、目的物V-E(790mg,収率80.3%)を得た。

[合成例6]

 N-エチルアニリン(10g,90mmol)のDMF(100ml、関 化学社製)溶液に0℃で水素化ナトリウム(4.3g, 90mmol、関東化学社製)を加え、水素が発生し くなるまで撹拌した。その後、4,4’-ジフル ロベンゾフェノン(6.5g,30mmol、東京化成工業 製)を少しずつ加え、室温まで昇温し、5時 撹拌を行った。反応終了後、水を加え、ジ ロロメタンで抽出を行い、有機層を炭酸カ シウムで乾燥し、濾過濃縮した。得られた 生成物をカラムクロマトグラフィーにより 製し、化合物13を3.1g、24%の収率で得た。

 窒素ライン接続三方コック、ジムロート 温度計、回転子を取り付けた100ml四口フラ コの窒素置換・減圧乾燥を行った。ここへ 化合物14(622mg,3.0mmol,1.0e.q.、東京化成工業社 )、缶だしトルエン15ml(純正化学社製)を入れ 室温で撹拌した。そこにオキシ塩化リン(506 mg,3.3mmol,1.1e.q.、和光純薬工業社製)を加えし らく撹拌した。次いで、上記で得られた化 物13(1.26g,3.0mmol,1.0e.q.)を加え、加熱撹拌を約4 .5時間行い、放冷させてクロロホルム抽出を った。シリカゲルカラムクロマトグラフィ (クロロホルム:メタノール=15:1→10:1)で精製 、化合物15を1.48g、76.3%の収率で得た。

 100mlの三角フラスコに化合物15(982mg,1.52mmol ,2.0e.q.)を加え、メタノール(15ml、純正化学社 )で溶解させ、それに化合物4(590mg,0.76mmol,1.0e .q.)を加えて、しばらく撹拌した。脱塩水50ml 加え、さらに室温で3時間撹拌した。その後 、反応液を濾過し、濾取したもの取り出し、 純水を加え超音波洗浄をした後、濾過して、 得られた固体を80℃の真空乾燥機で乾燥させ 目的物V-F(980mg,収率65.0%)を得た。

[合成例7]

 3-アミノビフェニル(5g,30mmol、東京化成工 社製)のエタノール溶液30mlにヨードブタン(1 1.6g,63mmol、東京化成工業社製)と、炭酸カリウ ム(8.7g,63mmol、純正化学社製)を加え、3日間加 還流した。その後、濾過し、無機塩をトル ンで洗浄した後、カラムクロマトグラフィ により化合物16を7g、83%の収率で得た。

 窒素ライン接続三方コック、ジムロート 温度計、回転子を取り付けた100ml四口フラ コの窒素置換・減圧乾燥を行った。ここへ 上記で得られた化合物16(1.13g,4.0mmol,1.0e.q.)、 だしトルエン10ml(純正化学社製)を入れ、室 で撹拌した。そこにオキシ塩化リン(675mg,4.4 mmol,1.1e.q.、和光純薬工業社製)を加えしばら 撹拌した。次いで、化合物1(1.30g,4.0mmol,1.0e.q. 、東京化成工業社製)を加え、加熱撹拌を約2. 5時間行い、放冷させてクロロホルム抽出を った。シリカゲルカラムクロマトグラフィ (クロロホルム:メタノール=15:1→10:1)で精製 、化合物17を1.46g、58.5%の収率で得た。

 200mlのナスフラスコに化合物17(1.24g,2.0mmol, 2.0e.q.)を加え、メタノール(10ml、純正化学社 )で溶解させ、それに化合物4(782mg,1.0mmol,1.0e.q .)を加えて、しばらく撹拌した。脱塩水55mlを 加え、さらに室温で1時間撹拌した。その後 反応液を濾過し、濾取したものを取り出し 脱塩水を加え超音波洗浄をした後、濾過し 、得られた固体を80℃の真空乾燥機で乾燥さ せた。さらに固体に脱塩水を加え、超音波洗 浄を行って目的物I-A(900mg,収率47%)を得た。

[合成例8]

 100mlの三角フラスコに合成例6で得られた化 物15(343mg,0.2mmol)を加え、メタノール(15ml、純 正化学社製)で溶解させ、それに化合物18(
acid blue 80)(169mg,0.2mmol,1.0e.q.)を加えて、しば く撹拌した。脱塩水40mlを加え、さらに室温 で3時間撹拌した。その後、反応液を濾過し 濾取したものを取り出し、純水を加え超音 洗浄をした後、濾過して、得られた固体を80 ℃の真空乾燥機で乾燥させ、目的物V-G(300mg, 率80%)を得た。

[合成例9]

 200mlの三角フラスコに化合物19(Basic Blue 7 )(1.03g,2.0mmol、東京化成工業社製)を加え、メ ノール(20ml、純正化学社製)に溶解させ、そ に化合物4(776mg,1.0mmol)を加えて、均一になる で30分程度撹拌した。ここに脱塩水70mlを加 、さらに室温で1時間撹拌した。得られた反 応液を濾過し、濾取した固体を取り出し、水 を加えて超音波洗浄をした。さらに濾過して 、得られた固体を80℃の真空乾燥機で乾燥さ 、目的物I-B(1.32g,収率78.2%)を得た。

[合成例10]

 化合物19(Basic Blue 7)(東京化成工業社製)(CI-4 2595)
5.14重量部を水500重量部に溶解し、撹拌しな ら1-ナフタレンスルホン酸ナトリウム4.60重 部を加え、室温で1時間撹拌した。氷冷し、 殿を濾取し、水で洗浄した。得られたケー を風乾した後、減圧乾燥して、上記構造式 表される目的物X-A(6.11重量部、収率89%)を得 。

[合成例11]

 1-アミノナフタレン11.5gをN-メチル-2-ピロ ドン120gに溶解し、室温で撹拌しながらナト リウムアミド3.74gを加えた。さらに触媒とし ヨウ化ナトリウム1.20g、重合禁止剤として2, 5-ジ-t-ブチルヒドロキノン0.89gを加えた後、p- クロロメチルスチレン13.4gを30分かけて添加 、室温で2時間撹拌した。撹拌後、クロロホ ム200mlを加えて溶解し、水洗を3回行った。 ロロホルム層を分離し溶媒留去して残留物 得た。これをシリカゲルカラムクロマトグ フィーで精製し、中間物であるp-ビニルベ ジルナフチルアミン10.8gを得た。

 得られた中間体10.8g、4,4’-ビス(ジエチル アミノ)ベンゾフェノン17.6g、重合禁止剤とし て2,5-ジ-t-ブチルヒドロキノン0.46gおよびトル エン140gを溶媒として加え、窒素雰囲気下45℃ に加熱し、オキシ塩化リン8.31gを10分かけて 加した。滴下終了後1時間かけて100℃まで昇 し、100℃で1時間撹拌した。撹拌終了後、室 温まで冷却し、トルエンを減圧留去した。そ こにクロロホルム200mlを加えて溶解し、水洗 3回行った。クロロホルム層を分離し、溶媒 を留去して残留物を得、これをシリカゲルカ ラムクロマトグラフィーで精製し、目的物X-B (5.9g)を得た。

[合成例12]

 200mlの三角フラスコに化合物19(Basic Blue 7 )(1.03g,2.0mmol、東京化成工業社製)を加え、メ ノール(20ml、純正化学社製)で溶解させ、そ に化合物4(776mg,1.0mmol)を加えて、しばらく撹 した。脱塩水70mlを加え、さらに室温で1時 撹拌した。その後、反応液を濾過し、濾取 たものを取り出し、脱塩水を加え超音波洗 をした後、濾過して、得られた固体を80℃の 真空乾燥機で乾燥させ、目的物I-C(1.32g,収率78 .2%)を得た。

[合成例13]

 200mlの三角フラスコに化合物19(Basic Blue 7 )(874g,1.7mmol、東京化成工業社製)を加え、メタ ノール(20ml、純正化学社製)で溶解させ、それ に化合物20(Acid blue 40)(805mg,1.7mmol)を加えて、 しばらく撹拌した。脱塩水70mlを加え、さら 室温で1時間撹拌した。その後、反応液を濾 し、濾取したものを取り出し、脱塩水を加 超音波洗浄をした後、濾過し、得られた固 を80℃の真空乾燥機で乾燥させ、目的物I-D(9 60mg,収率60%)を得た。

[合成例14]

 300mlの三角フラスコに化合物19(Basic Blue 7 )(2.06g,4.0mmol)と化合物18(Acid Blue 80)(2.47g,2.0mmol )を加え、メタノール(20ml、純正化学社製)で 解させ、室温で3時間攪拌した。ここに脱塩 200mlを加え、更に室温で3時間攪拌した。そ 後、反応液を濾過し、濾取したものを取り し、脱塩水を加えて超音波洗浄した後、再 濾過し、母液が透明になるまで、脱塩水に 洗浄を繰り返した。得られた固体を80℃の 空乾燥機で6時間以上乾燥させ、目的物I-E(2.8 7g,収率90%)を得た。

[合成例15]

 ジイソブチルアミン(1.62g,12.5mmol,2.5e.q.)を 水トルエン20mlに溶解させ、t-ブトキシナト ウム(1.2g,12.5mmol,2.5e.q.)、4,4-ジフルオロベン フェノン(1.26g,5mmol,1.0e.q.)、酢酸パラジウム( 168mg,0.75mmol,0.15e.q.)、トリt-ブチルホスフィン( 303mg,1.5mmol,0.3e.q.)を加え、100℃で5時間攪拌し 。その後室温に戻し、1N塩酸水溶液、1N水酸 化ナトリウム水溶液を加えpHを調整後、トル ンで抽出した。飽和食塩水で洗浄後、無水 酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した 濃縮物を、シリカゲルカラムクロマトグラ ィー(ヘキサン:酢酸エチル=12:1)で精製し、 合物21を1.86g(収率85%)得た。

 化合物14(573mg,2.77mmol,1.3e.q.)をトルエンに 解し、オキシ塩化リン(652mg,4.3mmol,2.0e.q.)、化 合物21(929mg,2.1mmol,1.0e.q.)を加え、120℃で5時間 熱還流させた。その後室温に戻し、1N塩酸 加え、クロロホルムで抽出し、無水硫酸ナ リウムで乾燥した後、減圧濃縮した。濃縮 をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ク ロホルム:メタノ-ル=12:1)で精製し、ヘキサ で洗浄して化合物22を1.34g(収率96%)得た。

 300mlの三角フラスコに化合物22(662mg,1.0mmol, 2.0e.q.)と化合物18(365mg,0.5mmol,1.0e.q.)を加え、メ タノール20mlで溶解させ、室温で3時間攪拌し 。脱塩水200mlを加え、更に室温で3時間攪拌 た。その後、反応液を濾過し、濾取したも を取り出し、脱塩水を加えて超音波洗浄し 後、再度濾過し、母液が透明になるまで、 塩水にて洗浄を繰り返した。得られた固体 80℃の真空乾燥機で6時間以上乾燥させ、目 物V-H(789mg,収率84%)を得た。

[合成例16]

 化合物23と化合物14を原料として用い、化 合物22の合成法と同様に化合物24を合成し、 の800mg(収率71%)を得た。

 化合物24と化合物18を原料として用い、目 的物V-Hの合成法と同様に目的物V-Iを合成し、 その990mg(収率91%)を得た。

[合成例17]

 4-ジエチルアミノ安息香酸(25g,129mmol)とト エン(100ml)の混合物に塩化チオニル(14ml,200mmo l)を加え80℃で1時間攪拌後、減圧濃縮し、酸 ロリドを得た。別容器に無水塩化アルミニ ム(20.4g,155mmol)および1,2-ジクロロエタン(100ml )の混合物を取り氷浴で冷却し、酸クロリド 1,2-ジクロロエタン(50ml)溶液を滴下した。15 攪拌後、N,N-ジエチル-m-トルイジン(21.1g,129mmo l)を滴下し、室温にした後、氷水に注いだ。4 N水酸化ナトリウム水溶液でpH10以上として、 ロロホルムで抽出した。クロロホルム層を1 N水酸化ナトリウム水溶液で洗い、セライト 過して不溶物を除いた。このものを飽和食 水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し 後、減圧濃縮した。濃縮物をシリカゲルカ ムクロマトグラフィー(シリカゲル800g,ヘキ ン/酢酸エチル4/1)で精製し、生じた結晶をヘ キサンにて洗浄して化合物23を得た(14.6g,収率 33%)。

 化合物23(3.38g,10mmol)、N-エチル-1-ナフチル ミン(1.71g,10mmol)およびトルエン(15ml)の混合 にオキシ塩化リン(1.4ml,15mmol)を加え、120℃で 2時間攪拌した。室温に冷却後、1N塩酸水溶液 を加えて15分攪拌し、クロロホルムで抽出し 。クロロホルム層を水および飽和食塩水で 浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、 圧濃縮し、濃縮物をシリカゲルカラムクロ トグラフィー(関東化学、シリカゲル60球状, 400g,クロロホルム/メタノ-ル15/1→7/1)で精製し 、固体をヘキサンで洗浄して化合物26(3.21g,収 率61%)を得た。

 化合物26(1.06g,2.0mmol)、化合物18(0.70g,1.03mmol )、およびメタノール(10ml)の混合物を室温で1. 5時間攪拌した。水(20ml)を加え、生じた塊を 砕した後、室温で1.5時間攪拌した。その後 吸引濾過し、得られた固体を乾燥した。乾 固体にメタノール(30ml)と水(60ml)の混合物を え、2時間攪拌し、沈殿を濾取し、水で洗浄 て目的物I-F(1.34g,収率83%)を得た。

[合成例18]

 N,N-ジエチル-m-トルイジン(408mg,2.5mmol,1.0e.q .)を脱水トルエンに溶解させ、オキシ塩化リ (575mg,3.75mmol,1.5e.q.)と化合物1(973mg,3mmol,1.2e.q.) を加え、120℃で5時間加熱還流させた。その 室温に戻し、1N飽和食塩水を加え、クロロホ ルムで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し た後、減圧濃縮した。濃縮物をシリカゲルカ ラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタ -ル=15:1)で精製し、ヘキサンで洗浄して化合 物27(485mg,収率38%)を得た。

 化合物27と化合物18を原料として用い、目 的物V-Hの合成法と同様に目的物I-Gを合成し、 その578mg(収率91%)を得た。

[合成例19]

 1-アミノナフタレン(14.3g,100mmol)、2-エチル ヘキシルブロミド(19.2g,100mmol)、炭酸カリウム (15.2g,110mmol)、およびN-メチル-2-ピロリドン(100 ml)の混合物を120℃で2時間、次いで140℃で2時 攪拌した。室温に冷却後、トルエン(100ml)加 え、吸引濾過して沈殿を除去した。母液にト ルエンと水を加えて分液し、トルエン層を水 で4回洗浄した後、減圧濃縮してカラムクロ トグラフィー(Merck7734,300g,ヘキサン/酢酸エチ ル100/1→50/1→30/1)で精製して化合物28(8.88g,収 37%)を得た。

 化合物23と化合物28を原料に用い、化合物 26の合成と同様にして化合物29を合成した。

 化合物29と化合物18を原料に用い、目的物 V-Hの合成と同様にして目的物I-Hを合成し、そ の739mg(収率92%)を得た。

[合成例20]
 WO2008/003604A2に記載の方法にて得られた下記 合物30と、市販の4,4’-ビス(ジエチルアミノ )ベンゾフェノンを原料に用い、目的物I-Fの 成(合成例17)と同様にして目的物I-Iを合成し (収量4.17g,収率61%)。

[合成例21]

 m-トルイジン(18.6g,174mmol)、ヨウ化イソブ ル(50ml,434mmol)、炭酸カリウム(60g,435mmol)、及 N-メチルピロリドン(200ml)の混合物を120℃で3 間、次いで140℃で14時間攪拌した。室温に 却後、トルエン(400ml)で希釈し、吸引濾過し トルエン(100ml)で洗い込んだ。濾液に水を加 え、分液し、トルエン層を水で4回洗浄した トルエン層を減圧濃縮し、シリカゲルカラ クロマトグラフィー(Merck7734,800g,ヘキサン/酢 酸エチル100/0→100/1→50/1→30/1)で精製してN,N- イソブチル-m-トルイジン24.4g(収率64%)を得た 。

 500ml反応容器にジムロートをセットして 窒素置換し、氷冷した。そこに塩化アルミ ウム(8.75g,65.6mmol)と1,2-ジクロロエタン(10ml)を 入れた。ここへ、4-ブロモ安息香酸クロリド( 12.0g,54.7mmol)の1,2-ジクロロエタン(20ml)溶液を15 分かけて滴下した(内温0℃以下)。20分撹拌し 次にN,N-ジイソブチル-m-トルイジン(12.0g,54.7m mol)の1,2-ジクロロエタン(20ml)溶液を10分かけ 滴下し、そのまま1時間撹拌した。室温に昇 しながら、約2.5時間撹拌し続けた。このも を氷水に注ぎ、クロロホルムで洗い込んだ 次いで、4N水酸化ナトリウム水溶液でpH10以 にし(氷冷下)、クロロホルムで抽出した。 ロロホルム層を1N水酸化ナトリウム水溶液で 3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した 、減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマト ラフィー(ヘキサン/酢酸エチル15/1-10/1)で精 し、化合物31(8.85g,収率40%)を黄色粉末として た。

 500ml反応容器にジムロートをセットして 窒素置換した。そこに化合物31(8.5g,21.1mmol)を 取り、脱水トルエン(100ml)で溶解させた。次 ジイソブチルアミン(7.3ml,42.2mmol,東京化成)、 t-ブトキシナトリウム(4.06g,42.2mmol)、酢酸パラ ジウム(II)(284mg,1.27mmol)、およびトリ-t-ブチル スフィン(10%ヘキサン溶液,552mg,2.53mmol)を加 、5.5時間加熱還流した。室温に冷却後、水 少量加えセライトで濾過し、トルエンで洗 込み、濾液をトルエンで抽出した。

 トルエン層を飽和食塩水で3回洗浄し、無 水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮し 、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘ サン/酢酸エチル15/1→10/1)で精製し、化合物3 2(8.3g,収率88%)を黄色オイルとして得た。

 化合物32と1-イソブチルアミノナフタレン を原料に用い、目的物I-Fの合成(合成例17)と 様にして目的物I-Jを合成した(収量386mg,収率9 2%)。

[合成例22]
 化合物23とWO2008/003604A2に記載の方法で得ら た化合物30を原料に用い、目的物I-Fの合成( 成例17)と同様にして目的物I-Kを合成した(収 791mg,収率88%)。

 以上の合成例3、5~10、12~22で得られた各目的 物を構成する色素1および2について、偶数電 系のカチオン系青色色素(色素1)と偶数電子 のアニオン系色素(色素2)について、時間依 密度汎関数(B3LYP/6-31G(d,p))計算により得られ 、色素1の最低一重項励起状態(S 1 状態)の励起エネルギー(δE S1 (色素1))と、色素2の最低一重項励起状態(S 1 状態)の励起エネルギー(δE S1 (色素2))と、色素2の最低三重項励起状態(T 1 状態)の励起エネルギー(δE T1 (色素2))および式(i)、式(ii)を満たしているか かを、以下の表41に示す。
 また奇数電子系の色素2に関しては最低励起 状態の励起エネルギー(δE lowest (色素2))と、式(iii)を満たしているかどうかを 表41に示す。
 なお、目的物において、色素2はフタロシア ニン化合物またはアントラキノン化合物部分 であり、色素1はトリアリールメチン化合物 分である。

<参考例1>
 前記合成例10にて得られた目的物X-A 1mgを、 プロピレングリコールモノメチルエーテルア セテート/プロピレングリコールモノメチル ーテル混合溶剤(重量比4/6)に溶解し、得られ た溶液の吸光スペクトルを、(株)日立ハイテ ノロジーズ製 日立分光光度UV-3500(Xe光源)に て測定した。
 溶液の極大吸収波長λ max は630nmであり、励起エネルギー(δE obs )への換算式 δE obs (eV)=1239.8/λ max (nm) を用いて計算すると、目的物X-Aの実測の 励起エネルギーは1.97eVであった。

 一方、時間依存密度汎関数(B3LYP/6-31G(d,p))計 による、目的物X-Aの強吸収励起状態の励起 ネルギーは2.52eVであった。よって、本発明 は実測値と計算値のシフト量を2.52eV-1.92eV=0. 55eVと見積もった。
 一重項酸素を発生させるための励起エネル ーの実測値0.92eVに、このシフト量0.55eVを足 た値、すなわち1.5eV(少数第2位を四捨五入) り、計算により求められたT 1 状態の励起エネルギーが小さいアニオンを有 する薄膜(例えばカラーフィルター用画素)で 、アニオンのT 1 状態の励起エネルギーが一重項酸素の励起エ ネルギーより小さくなることが期待され、励 起エネルギー移動による一重項酸素の発生が 抑制されることが期待できる。

[2]バインダー樹脂の合成
[合成例23]
 プロピレングリコールモノメチルエーテル セテート145重量部を窒素置換しながら撹拌 、120℃に昇温した。ここにスチレン20重量 、グリシジルメタクリレート57部およびトリ シクロデカン骨格を有するモノアクリレート (日立化成(株)製FA-513M)82重量部を滴下し、更 120℃で2時間撹拌し続けた。次に、反応容器 を空気置換し、アクリル酸27重量部にトリ ジメチルアミノメチルフェノール0.7重量部 よびハイドロキノン0.12重量部を投入し、120 で6時間反応を続けた。その後、テトラヒド ロ無水フタル酸(THPA)52重量部、トリエチルア ン0.7重量部を加え、120℃で3.5時間反応させ 固形分濃度62重量%の樹脂溶液を得た。こう て得られたバインダー樹脂aのGPCにより測定 した重量平均分子量(Mw)は約15000であった。バ インダー樹脂aの構造は以下に示す通り(以下 4種の繰り返し単位を含む高分子化合物)で った。

{実施例および比較例}
[着色樹脂組成物の調製]
<染料系組成物の調製(実施例1~8,10~18および 較例1~4)>
 表42に、実施例1~8,10~18、および比較例1~4に 有される染料(色材)を示す。

 表42記載の各染料および合成例23で得られ たバインダー樹脂aに他の成分を混合して、 43に表す配合で着色樹脂組成物を調製した。 混合に際しては、染料が十分に溶解するまで 1時間以上撹拌し、最後に孔径5μmの駒型フィ ターによって濾過し、異物を取り除いた。

<溶剤に対する溶解度の低い色材(染料およ 顔料)系組成物の調製(実施例9および比較例5 )>
 色材として表44に記載の色材11.36重量部(比 例5については2種類の合計量)、溶剤として ロピレングリコールモノメチルエーテルア テート57.5重量部、分散剤として実施例9につ いてはアビシア社製「ソルスパース55000」、 較例5についてはビックケミー社製「ディス パービック2000」をそれぞれ固形分換算で3.02 量部、径0.5mmのジルコニアビーズ215.7重量部 をステンレス容器に充填し、ペイントシェー カーにて6時間分散させてブルー色材分散液 調製した。

 得られた色材分散液に、合成例23で得ら たバインダー樹脂aと他の成分を混合して表4 5に表す配合で着色樹脂組成物を調製した。

<分光特性および耐熱性・耐光性評価>
 5cm角に切断したガラス基板上に、上記各着 樹脂組成物をスピンコート法により乾燥膜 1.8μmとなるように塗布し、減圧乾燥させた 、ホットプレート上にて80℃で3分間プリベ クした。その後、60mJ/cm 2 の露光量にて全面露光した後、日立製作所製 分光光度計「U-3310」にて、分光透過率を測定 し、XYZ表色系における色度(C光源)を算出した 。これらの結果を表46、表47に示す。
 次に、上記基板を2枚の偏光板の間に、隙間 を空けずに密着して挟み、色彩輝度計(トプ ン社製「BM-5A」)を用いて偏光板が直交の時 光量A(cd/cm 2 )と平行の時の光量B(cd/cm 2 )の比(B/A)から、コントラスト比を算出した。 この結果を表48に示した。

 表46~48より次のことが分かる。
 有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイの 方で要求される輝度(Y)については、同一色 (y)座標での比較では、比較例3が最も高く、 下、実施例14、10、9、16、17、15、13、12、8、 11、比較例4、実施例18、7、3、比較例5、実施 1、5、6、4、2の順となっている。比較例5が 来使われている顔料系であるから、実施例1 、5、6、4、2は、従来品より低く使いづらい しかし一方、液晶ディスプレイにおいて極 て重要な特性であるコントラストに関して 、実施例1~8,10~18、および比較例1~4で、比較 5の従来顔料系に比べて極めて高い値を示し おり、輝度が低いものであっても補って余 あるほどの特性と言える。

 尚、特許文献3に記載の染料(比較例1、2) の比較においては、同一染料濃度、同一膜 において実施例に記載の着色樹脂組成物が い青色を表現しているのに対し、比較例1、2 の着色樹脂組成物は淡い青緑色を表現してい るに過ぎない(表47の色度データ参照)ことか 、色再現性の点で圧倒的な優位性を示して るといえる。

 続いて、上記基板について、クリーンオ ブンにて200℃および230℃にて30分焼成した 、上記と同様、分光透過率を測定し、色差( E*ab)を測定した結果を表49に示す。また、同 板をクリーンオーブンにて180℃で30分焼成 た後、キセノンフェードメーターにて紫外 を16時間照射した際の、照射前後の色差(δE*a b)を測定した結果を表50に示す。尚、照射条 としては基板に直接照射した場合と、図1に した透過スペクトルを有するUVカットフィ ター乃至図2に示した透過スペクトルを有す 偏光板を介して照射した場合の計3条件につ いて耐光性評価を実施した。

 表49,50より、実施例の着色樹脂組成物は 分光特性が比較的良好であった比較例3、4の 組成物(比較例3は特許文献4に記載の染料に類 似の構造)に比べて、極めて高い耐熱性、耐 性を有することがわかる。

 次に、上記塗布基板を、有機電界蛍光発光( EL)素子と組合せて色度測定を行った。<有 電界蛍光発光素子の作成>
 図4に示す有機電界蛍光発光素子を以下の方 法で作製した。
 ガラス基板1の上にインジウム・スズ酸化物 (ITO)透明導電膜を150nm堆積したもの(スパッタ 製膜品;シート抵抗15ω)を通常のフォトリソ ラフィ技術と塩酸エッチングを用いて2mm幅 ストライプにパターニングして陽極2を形成 した。パターン形成したITO基板を、アセトン による超音波洗浄、純水による水洗、イソプ ロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗 浄後、窒素ブローで乾燥し、最後に紫外線オ ゾン洗浄を行った。続いて、正孔輸送層3と て、下記構造式に示す9,9-ビス[4-(N,N-ビスナ チルアミノ)フェニル]-9H-フルオレン(LT-N121,Lu minescentTechnology社製)をるつぼ温度285~310℃とし て、蒸着速度0.1nm/秒で40nmの膜厚で積層した 蒸着時の真空度は1.7×10 -4 Paであった。

 次に、発光層4として、下記構造式に示す 2,2’-ジペリレニル-9,9’-スピロビフルオレン (LT-N428,LuminescentTechnology社製)と2,7-ビス[9,9’- ピロビフルオレニル]-9,9’-スピロビフルオ ン(LT-N628、Luminescent Technology社製)とを、以下 の条件で共蒸着した。

 (発光層の蒸着条件)
 LT-N428のるつぼ温度:320~330℃
 LT-N628のるつぼ温度:450~455℃
 LT-N428の蒸着速度 :0.1nm/秒
 LT-N628の蒸着速度 :0.05nm/秒

 上記の条件により、30nmの膜厚で積層して発 光層4を形成した。蒸着時の真空度は1.7~1.9×10 -4 Paであった。

 続いて、発光層4の上に、電子輸送層5とし 下記構造式に示す1,3-ビス[2-(2,2’-ビピリジ ル)-1,3,4-オキサジアゾイル]-ベンゼン(LT-N820,L uminescent Technology社製)を同様にして30nmの膜厚 で蒸着した。このときのLT-N820のるつぼ温度 255~260℃、蒸着速度は0.08~0.1nm/秒の範囲で制 し、蒸着時の真空度は1.2×10 -4 Paとした。

 なお上記の正孔輸送層3、発光層4および 子輸送層5を真空蒸着する際の基板温度は室 に保持した。

 ここで、電子輸送層5まで形成した素子を、 一旦、真空蒸着装置内より大気中に取り出し た。次に、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅の ストライプ状シャドーマスクを、陽極2のITO トライプと直交するように素子に密着させ 。続いて、この素子を別の真空蒸着装置内 設置し、有機層を形成した場合と同様に、 空蒸着装置内の真空度が2.3×10 -5 Pa以下になるまで排気した。

 次に、陰極6として、先ず、フッ化リチウム (LiF)を、モリブデンボートを用いて、蒸着速 0.008~0.01nm/秒、真空度3.7×10 -6 Paで、0.5nmの膜厚で電子輸送層5の上に製膜し 。続いて、同様に、アルミニウムをモリブ ンボートにより加熱し、蒸着速度0.1~0.2nm/秒 、真空度2.7×10 -6 ~2.5×10 -6 Paで膜厚80nmのアルミニウム層を形成して陰極 6を完成させた。以上の2層型の陰極6を形成す る際の蒸着時の基板温度は室温に保持した。

 以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面 部分を有する有機電界蛍光発光素子を調製 た。
 この素子に6Vの電圧を印加した際の発光の 無と発光色を評価した。この時のEL発光スペ クトルの極大波長は436nmであり、CIE色度座標( 正面輝度10~1000cd/m 2 時のCIE色度座標)は(0.16、0.15)であった。

<分光特性評価>
 上記有機電界蛍光発光素子と、実施例1~18、 比較例1~5の塗布基板を組合せて色度を測定し た。結果を表51に示す。

 表51より、有機電界蛍光発光素子を光源と た場合の比較においても、上記C光源での比 との序列は変わらないが、コントラストの 念が存在しないため、従来顔料系である比 例5に対して優位性を示す実施例は、実施例 7~18であるといえる。(なお、表51によると実 例11及び12のYの値は比較例5より低い。しか 実施例11及び12のyの値を、比較例5と同じ値 換算すると、実施例11及び12の方が優位にな 。)
 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照 て説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱 ることなく様々な変更や修正を加えること できることは当業者にとって明らかである
 本出願は、2008年2月27日出願の日本特許出願 (特願2008-046323)、及び2008年10月09日出願の日本 特許出願(特願2008-262952)に基づくものであり その内容はここに参照として取り込まれる

 本発明によれば、カラーフィルターの長 信頼性のうち極めて重要な項目である耐光 を満たし、かつカラーディスプレイ製造工 で要求される耐熱性を有し、青色画素の色 度および透過率に優れたカラーフィルター 得ることができる。このようなカラーフィ ターを使用することにより、有機ELディス レイの発光や、カラーフィルターのバック イトの発光を効率良く取り出すことができ 高色再現性および高輝度を両立した有機ELデ ィスプレイや液晶表示装置を提供することが できる。また、液晶表示装置のコントラスト を向上させることもできる。