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Patent Searching and Data


Title:
COOKING HEATER AND COOKING METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/151019
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a cooking heater for heating and cooking ingredients without causing heat denaturation which brings about deterioration in function, quality and tolerance of food while causing heat denaturation required for making the ingredients edible. A cooking heater (10) comprises a cooking compartment (12) provided with a cooking space (S) for containing ingredients (F), a boiler (14) for generating steam, first and second steam introduction pipes (41, 42) for spouting steam from the boiler (14) into the cooking compartment (12), and a control apparatus (55) for controlling introduction of steam into the cooking compartment (12).  The cooking compartment (12) has an opening (38) communicating with the cooking space (S) and opening to the outside.  The steam introduction pipes (41, 42) have a first spout (47) for spouting steam directly into the cooking space (S), and a second spout (48) for spouting steam to the vicinity of the opening (38), respectively.  The control apparatus (55) regulates the flow rate of steam spouted from the spouts (47, 48) such that the cooking space (S) is filled with saturated moist air while maintaining the temperature in the cooking space (S) between 20-100°C.

Inventors:
YAMAKAWA HIROO (JP)
TSUNEMI TAKASHI (JP)
TAKAHASHI MANABU (JP)
HIGUCHI SEIICHI (JP)
SEKINE MASAHIRO (JP)
KAWAI SUNAO (JP)
ISHIDA MITSUYOSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/060429
Publication Date:
December 17, 2009
Filing Date:
June 08, 2009
Export Citation:
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Assignee:
T M L CO LTD (JP)
SAITAMA PREFECTURE (JP)
UNIV WASEDA (JP)
YAMAKAWA HIROO (JP)
TSUNEMI TAKASHI (JP)
TAKAHASHI MANABU (JP)
HIGUCHI SEIICHI (JP)
SEKINE MASAHIRO (JP)
KAWAI SUNAO (JP)
ISHIDA MITSUYOSHI (JP)
International Classes:
F22B35/00; F24C1/00
Foreign References:
JP3077598U2001-05-25
JPS6334906U1988-03-07
JP2008051489A2008-03-06
JPS5642020A1981-04-20
JP2005069550A2005-03-17
JP2005315449A2005-11-10
Attorney, Agent or Firm:
ENOMOTO Hidetoshi (JP)
Hidetoshi Enomoto (JP)
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Claims:
 加熱調理される食材が収容される調理空間が設けられた調理庫と、蒸気を発生させる蒸気発生手段と、当該蒸気発生手段からの蒸気を前記調理庫内に導く蒸気流路と、前記蒸気発生手段から前記調理庫内への蒸気の導入を制御する制御手段とを備えた加熱調理装置において、
 前記調理庫は、前記調理空間に通じて外部に開放する開口部を備え、
 前記蒸気流路は、前記蒸気を前記調理空間内に直接噴出する第1の噴出口と、前記蒸気を前記開口部の近傍に噴出する第2の噴出口とを備え、
 前記制御手段は、前記調理空間内の温度及び湿度を検出する温湿度検出部と、当該温湿度検出部で検出された温度及び湿度に応じて、前記第1及び第2の噴出口からの蒸気の噴出流量を調整する流量調整部とを備え、
 前記流量調整部では、前記調理空間内の温度を20℃以上100℃未満の予め設定された温度に維持しながら、前記調理空間内を飽和湿り空気で満たされた状態に維持するように、前記第1及び第2の噴出口からの蒸気の噴出流量を調整することを特徴とする加熱調理装置。
 前記流量調整部では、前記第1の噴出口からの蒸気の噴出流量を調整することで、前記調理空間内の湿度を制御し、前記第2の噴出口からの蒸気の噴出流量を調整することで、前記調理空間内の温度を制御することを特徴とする請求項1記載の加熱調理装置。
 前記第1及び第2の噴出口からの蒸気の噴出流量の調整は、時間差で行われることを特徴とする請求項2記載の加熱調理装置。
 前記調理庫には、前記開口部と前記調理空間との間に邪魔部材が設けられ、当該邪魔部材は、前記第2の噴出口からの蒸気を当ててから当該蒸気を前記調理空間に導くように配置されていることを特徴とする請求項1記載の加熱調理装置。
 不活性ガスを前記調理空間に導入する不活性ガス導入部を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の加熱調理装置。
 前記開口部は、前記調理空間の下側に設けられる一方、前記不活性ガス導入部は、前記調理空間の上側に設けられることを特徴とする請求項5記載の加熱調理装置。
 蒸気を凝縮することで生成された20℃以上100℃未満の飽和湿り空気中に食材を置き、前記凝縮時の熱エネルギーで前記食材を加熱調理することを特徴とする加熱調理方法。
Description:
加熱調理装置及び加熱調理方法

 本発明は、加熱調理装置及び加熱調理方 に係り、更に詳しくは、食材に対し最適な 度で穏和な熱変性を起こさせ、高栄養、高 質な食品を得ることのできる加熱調理装置 び加熱調理方法に関する。

 従来、100℃以上の過熱水蒸気を使って食 を加熱調理する加熱調理器が知られている( 例えば、特許文献1参照)。この加熱調理器に れば、過熱水蒸気中に食材を置くことによ 、食材の表面に過熱水蒸気が接触して生じ 凝縮熱により食材を加熱する過程と、食材 表面から水分を除去する過程とを経て、前 食材が加熱調理される。

 また、100℃以下の飽和蒸気に満たされた空 内に食品を置き、当該食品を加熱する方法 開示されている(特許文献2参照)。

特開2006-212037号公報

特開2005-69550号公報

 しかしながら、特許文献1の加熱調理器に あっては、100℃以上の過熱水蒸気を使ってい るため、加熱調理前に存在していた食材中の 組織や細胞の損壊が発生し、水分や栄養機能 成分が分解流出するとともに、食材表面の水 分が除去されて乾燥してしまうことから、加 熱調理によって、最良となる食品品質が得ら れないという問題がある。本発明者らが鋭意 実験研究を行った結果、食材を加熱する場合 、可食化に必要な食材の熱変性が100℃未満で 十分である一方、100℃以上になると、食材中 の組織や細胞の損壊や栄養機能性成分の分解 等の不必要な熱変性をもたらすことを知見し た。更に詳述すると、100℃未満では、でんぷ んの糊化、繊維組織の軟化、毒素(酵素)の分 や失活、タンパク変性による成形等をもた す熱変性が起こり、100℃以上になると、有 成分の分解や失活、組織崩壊による食感の 下、輸送や貯蔵時の安定性の低下等をもた す熱変性を起こすことが実証された。

 ところで、特許文献2に開示された手法で は、100℃以下で食品を加熱するものの、微小 水滴が混在しない飽和蒸気での加熱処理であ ることから、食材表面が乾燥し易くなり、当 該表面付近の組織や細胞の損壊や栄養機能成 分の分解損失を招来する虞がある。

 本発明は、以上の課題と知見に基づいて 出されたものであり、その目的は、加熱調 する食材に対し、可食化に必要な熱変性を こさせつつも、食品の機能、品質及び輸送 蔵時の安定性の低下をもたらす熱変性を起 させずに、高栄養、高品質及び高耐性の食 を得ることができる加熱調理装置及び加熱 理方法を提供することにある。

 (1)前記目的を達成するため、本発明は、加 調理される食材が収容される調理空間が設 られた調理庫と、蒸気を発生させる蒸気発 手段と、当該蒸気発生手段からの蒸気を前 調理庫内に導く蒸気流路と、前記蒸気発生 段から前記調理庫内への蒸気の導入を制御 る制御手段とを備えた加熱調理装置におい 、
 前記調理庫は、前記調理空間に通じて外部 開放する開口部を備え、
 前記蒸気流路は、前記蒸気を前記調理空間 に直接噴出する第1の噴出口と、前記蒸気を 前記開口部の近傍に噴出する第2の噴出口と 備え、
 前記制御手段は、前記調理空間内の温度及 湿度を検出する温湿度検出部と、当該温湿 検出部で検出された温度及び湿度に応じて 前記第1及び第2の噴出口からの蒸気の噴出 量を調整する流量調整部とを備え、
 前記流量調整部では、前記調理空間内の温 を20℃以上100℃未満の予め設定された温度 維持しながら、前記調理空間内を飽和湿り 気で満たされた状態に維持するように、前 第1及び第2の噴出口からの蒸気の噴出流量を 調整する、という構成を採っている。

 (2)また、前記流量調整部では、前記第1の 噴出口からの蒸気の噴出流量を調整すること で、前記調理空間内の湿度を制御し、前記第 2の噴出口からの蒸気の噴出流量を調整する とで、前記調理空間内の温度を制御する、 いう構成を採っている。

 (3)ここで、前記第1及び第2の噴出口から 蒸気の噴出流量の調整を時間差で行うとよ 。

 (4)また、前記調理庫には、前記開口部と 記調理空間との間に邪魔部材が設けられ、 該邪魔部材は、前記第2の噴出口からの蒸気 を当ててから当該蒸気を前記調理空間に導く ように配置される、という構成を併せて採用 することが好ましい。

 (5)更に、不活性ガスを前記調理空間に導 する不活性ガス導入部を備える、という構 を併せて採用することが好ましい。

 (6)ここで、前記開口部は、前記調理空間 下側に設けられる一方、前記不活性ガス導 部は、前記調理空間の上側に設ける、とい 構成を採るとよい。

 (7)また、本発明に係る加熱調理方法は、 気を凝縮することで生成された20℃以上100 未満の飽和湿り空気中に食材を置き、前記 縮時の熱エネルギーで前記食材を加熱調理 る、という手法を採っている。

 なお、本明細書及び本請求の範囲におい 、「飽和湿り空気」とは、大気圧下におい 、湿度90%~100%の範囲内となる微小水滴を含 湿り空気を意味し、換言すると、水蒸気の 部が凝縮し、蒸気と微小水滴が混在した状 の空気であり、且つ、湿度が90%~100%の範囲内 になる空気を意味する。

 前記(1)の構成によれば、第2の噴出口から 噴出された蒸気は、開口部を通じて外気にさ らされるため、温度が低下し、蒸気の一部が 凝縮され微小水滴を含んだ状態で調理空間内 に導入される。調理空間内では、第1及び第2 噴出口からの蒸気の噴出流量を調整するこ で、比較的簡単な構成で20℃以上100℃未満 予め設定された温度での飽和湿り空気の生 が可能になる。このように生成された飽和 り空気を使って食材を加熱調理すると、食 との接触部での蒸気の凝縮時に順次生じた 縮熱である多量の熱エネルギーが微小水滴 介して順次食材に伝達されることになる。 火等や蒸気等を使った従来の伝熱加熱では 効率的に熱伝達を行うために伝熱界面の温 差が相当必要であり、食材の内部まで可食 に必要な熱変性をさせるためには100℃以上 熱源を食材に接する必要がある。ところが 本発明によれば、食材との接触部で順次生 される凝縮熱エネルギーによる加熱調理が われるため、従来の伝熱加熱に比べ伝熱界 の温度差を低くしても、食材内部まで可食 に必要な熱変性をさせることができ、食材 対し効率的な熱伝達を行うことができる。 の結果、100℃未満の飽和湿り空気でも、食 の内部まで可食化に必要な熱変性をもたら ことができ、しかも、蒸気中に微小水滴が 在しているため、食材表面が乾燥しにくく り、当該表面付近の組織や細胞の損壊や栄 機能成分の分解損失を防ぎ、高栄養、高品 の食品を提供することができる。加えて、 来に比べ、食材の表面が高温にさらされず 当該表面組織が損壊しないため、経時的な 質劣化を抑制し、食品の品質を長期間保持 ることができる。また、加熱調理後の食品 凍結時に、細胞破壊が発生しにくくなり、 凍時の離水が生じない等、冷凍耐性の向上 期待できる。

 前記(2)のように構成することで、比較的 単な構成で、100℃未満の飽和湿り空気の生 が可能になる。

 前記(3)の構成によれば、第1の噴出口によ る湿度制御のタイミングと、第2の噴出口に る温度制御のタイミングがずれる無干渉制 が行われるため、湿度制御と温度制御が相 に干渉し合って、調理空間内の湿度や温度 コントロールしにくくなるという問題を回 できる。

 前記(4)の構成により、簡単な構成で、第2 の噴出口からの蒸気が調理空間に直接噴射さ れることが阻止され、第2の噴出口から噴出 れた蒸気と開口部を通じて導入された外気 の接触時間を長くすることができ、低温化 れた空気を確実に調理空間内に導入させる とができる。しかも、低温となった湿り空 が、調理空間内に穏やかに導入されて拡散 ることになり、調理空間内の環境を均質化 つ安定化させることができる。

 前記(5)の構成により、調理空間に不活性 スが導入されるため、調理空間を低酸素状 にすることができ、食材の加熱調理時にお る化学的酸化、酵素による着色、臭い物質 生成等を防ぎ、加熱調理後の食材の品質劣 を防止することができる。

 前記(6)の構成によれば、調理空間の上側 ら不活性ガスが供給され、低比重の不活性 スが調理空間の上部から充満することによ 、調理空間に存在する比較的比重の高い酸 を含んだ空気を開口部から排出することが き、不活性ガスを調理空間に効率的に充満 せることができる。

 前記(7)の手法によれば、蒸気を用いた従 の伝熱加熱と異なり、蒸気に微小水滴が混 した飽和湿り空気中の食材が、当該飽和湿 空気の生成に際して生じた凝縮熱で加熱さ るため、前述したように、加熱調理する食 に対し、可食化に必要な熱変性を起こさせ つも、食品の機能、品質及び耐性の低下を たらす熱変性を起こさせずに、高栄養、高 質及び高耐性となる食品を得ることができ 。

本実施形態に係る加熱調理装置の概略 成図。 前記加熱調理装置を構成する調理庫の 略正面図。 図1のA-A線に沿う概略断面図。 開放部付近の飽和蒸気の流れを説明す ための概略部分拡大図。 変形例に係る加熱調理装置の左側ほぼ 分の領域を示す概略断面正面図。 図5のB-B線に沿う概略断面図。

 以下、本発明の実施形態について図面を 照しながら説明する。

 図1には、本実施形態に係る加熱調理装置 の概略構成図が示されている。この図におい て、前記加熱調理装置10は、加熱調理される 材Fが収容される調理空間Sが設けられた調 庫12と、調理庫12内に供給される蒸気を発生 せる蒸気発生手段としてのボイラ14と、ボ ラ14からの蒸気を調理庫12内に導く蒸気流路1 6と、ボイラ14から調理庫12への蒸気の導入を 御する制御手段17とを備えて構成されてい 。

 前記調理庫12は、図1~図3に示されるよう 、底側が開放する中空箱型の本体19と、この 本体19を下方から支持する脚体20と、本体19の 底側に配置されるとともに、加熱調理対象の 食材Sが設置される食材設置体22と、この食材 設置体22を昇降させる昇降手段23とを備えて る。

 前記本体19は、上端側に位置する頂壁25と 、頂壁25の左右両端側に連なる側壁26,26と、 壁25及び側壁26の前後両端側に連なる前壁27 び後壁28とからなり、底側が開放空間30とな ている。

 前記食材設置体22は、食材Fが載る平面視 ぼ方形板状のテーブル33と、テーブル33の外 周に沿って固定された板状の端部材34と、端 材34の外周に沿って固定された板状の邪魔 材36とにより構成されている。この邪魔部材 36は、端部材34におけるテーブル33と反対側の 面の上下複数箇所に固定されており、それぞ れ、水平方向に延びるように配置されている 。

 このように構成された食材設置体22は、 降手段23の動作により、開放空間30を通じ、 体19の内部に位置する食材Fの加熱調理位置( 図1参照)と、本体19の下方となる外部に位置 る食材Fの出し入れ位置(図2参照)との間で昇 するようになっている。また、食材設置体2 2は、開放空間30の平面サイズよりも小さい平 面サイズとなっており、図1の加熱調理位置 あるときに、本体19の内外間で開放する開口 部38が本体19の底部側の内周に沿って形成さ るようになっている。従って、前記加熱調 位置では、本体19の各壁25~28と食材設置体22 の間に囲まれた空間が前記調理空間Sとなり 調理空間Sは、開口部38を通じて外部に開放 、開口部38により、調理空間Sへの外気導入 、調理空間S内の空気の排出が可能になる。 なお、本体19の内周部分と食材設置体22の外 縁部分との間には、開口部38から調理空間S 繋がる開放流路40が形成されることになり、 前記邪魔部材36は、開放流路40の途中に配置 れ、当該開放流路40を完全に閉塞しないよう なサイズとなっている。

 前記昇降手段23は、図示省略したモータ シリンダ等のアクチュエータを使って食材 置体22を上下動可能にする公知の装置が用い られており、当該装置構成は、本発明の要旨 ではないため、詳細な説明を省略する。なお 、昇降手段23として、アクチュエータを用い 電動タイプの他に、ハンドル、ベルト、歯 等の機構を使った手動タイプのものを採用 ることも可能である。

 前記ボイラ14は、公知の構造のものが用 られ、飽和水蒸気を発生させるようになっ いる。なお、蒸気発生手段としては、飽和 蒸気を発生させることができる限りにおい 、ボイラ14以外の他の機器や装置に代替する ことも可能である。

 前記蒸気流路16は、図1に示されるように 本体19の内部における上下両側に配置され 第1及び第2の蒸気導入管41,42と、ボイラ14と 1及び第2の蒸気導入管41,42の間に接続された 1及び第2の管路44,45とを備えている。

 前記第1及び第2の蒸気導入管41,42は、それ ぞれ、本体19の内周に沿って延びる枠状に設 られており、ボイラ14からの飽和蒸気を本 19の内部に噴出する第1及び第2の噴出口47,48 一定間隔で形成されている。つまり、本体19 の上側に位置する第1の蒸気導入管41に形成さ れた第1の噴出口47は、調理空間Sの上方から 接飽和蒸気を噴出するように設けられてお 、本体19の下側に位置する第2の蒸気導入管42 に形成された第2の噴出口48は、図4に示され ように、邪魔部材36に向かって開放流路40内 飽和蒸気を噴出するように設けられている

 前記制御手段17は、図1に示されるように 本体19内に配置されて調理空間S内の温度及 湿度を検出する温湿度検出部としての温湿 センサ50と、第1及び第2の管路44,45の途中に けられた第1及び第2の弁52,53と、温湿度セン サ50の検出値に基づいて第1及び第2の弁52,53の 動作制御を行う制御機器55とを備えて構成さ ている。ここで、第1及び第2の弁52,53と制御 機器55は、温湿度センサ50で検出された温度 び湿度に応じて、第1及び第2の噴出口47,48か の飽和蒸気の噴出流量を調整する流量調整 として機能する。

 前記制御機器55は、ソフトウェア及び/又 ハードウェアによって構成され、プロセッ 等、複数のプログラムモジュール及び/又は 処理回路より成り立っている。この制御機器 55では、調理空間S内の温度を20℃以上100℃未 の予め設定された温度(以下、「設定温度」 と称する。)に維持しながら、調理空間S内を 和湿り空気で満たされた状態を維持するよ に、第1及び第2の弁52,53を適宜切り換え、第 1及び第2の噴出口47,48からの飽和蒸気の噴出 量を調整する。

 次に、前記加熱調理装置10の作用につい 説明する。

 先ず、テーブル33を図2の食材Fの出し入れ 位置まで下降した状態とし、加熱調理する食 材Fをテーブル33の上に載せる。そして、昇降 手段23を動作させると、テーブル33が上昇し 本体19内に入り込み、図1の食材Fの加熱調理 置に達したところで上昇を停止させる。こ 状態では、図1及び図3に示されるように、 体19の底側部分のうち、テーブル33を含む食 設置体22の周囲に、外側に開放する開口部38 が形成されることになる。従って、後述する ように、食材Fを加熱調理している最中も、 体19内の調理空間Sと外部との間で開口部38を 介した通気が可能になる。

 以上のように食材Fのセットを終了した後 、加熱調理中の調理空間内の温度が20℃以上1 00℃未満となる温度設定を行い、図示しない イッチを投入すると、ボイラ14からの飽和 気が第1及び第2の管路44,45を通って、第1及び 第2の蒸気導入管41,42に導かれ、第1及び第2の 出口47,48から噴出されることになる。この き、上側に位置する第1の噴出口47からの飽 蒸気は、調理空間Sに直接噴出されるが、下 に位置する第2の噴出口48からの飽和蒸気は 図4中二点鎖線で示されるように、開放流路 40内の邪魔部材36に向かって噴出され、邪魔 材36に当たった上で、本体19の内周部分と邪 部材36との隙間Aから、調理空間Sに噴出され る。この過程で、開放流路40は、開口部38か 外気が導入されることになり、第2の噴出口4 8から噴出された飽和蒸気は、開放流路40内で 冷却されて凝縮し、微小水滴を含んだ飽和湿 り空気として調理空間Sに供給される。この 、第2の噴出口48から噴出された飽和蒸気は 調理空間Sに直接噴出されずに、邪魔部材36 当たって、低温雰囲気の開放流路40内である 程度の時間滞留する。このため、前述の凝縮 が効果的に行われることになり、しかも、飽 和湿り空気として穏やかに調理空間S内に供 され、調理空間Sの雰囲気の均質化に寄与す ことになる。このように調理空間Sに導かれ た飽和湿り空気は、第1の噴出口47から噴出さ れた飽和蒸気と適度に混合し、100℃未満の設 定温度の飽和湿り空気が調理空間S内に生成 れることになる。この際、前記制御機器55で は、調理空間Sの湿度調整を行う湿度制御と 調理空間Sの温度調整を行う温度制御とが行 れる。具体的に、前記湿度制御は、温湿度 ンサ50で検出された調理空間Sの相対湿度に じ、第1の弁52を操作して第1の噴出口47から 飽和蒸気の噴出流量を調整することにより 調理空間S内の相対湿度を90%~100%の間の規定 に維持する。つまり、調理空間Sの飽和湿り 空気の微小水滴が過剰になった場合に、第1 噴出口47から飽和蒸気を噴出させ、調理空間 S内の空気の湿り度合いを低下させて前記規 値に維持する。一方、前記温度制御は、温 度センサ50で検出された調理空間S内の温度 応じ、第2の弁53を操作して第2の噴出口48か の飽和蒸気の噴出流量を調整することによ 、調理空間Sを前記設定温度に維持する。つ り、温湿度センサ50で検出された温度が前 設定温度よりも上昇した場合には、第2の噴 口48からの飽和蒸気の噴出流量を減少させ 逆に、温湿度センサ50で検出された温度が前 記設定温度よりも下降した場合には、第2の 出口48からの飽和蒸気の噴出流量を増加させ るように機能する。なお、これら湿度制御と 温度制御は、相互に干渉しないように時間差 で行われる他、第2の噴出口48からの噴出流量 が、第1の噴出口47からの噴出流量よりも相対 的に多くなるように行われる。

 従って、このような実施形態によれば、 1の噴出口47よりも相対的に多い第2の噴出口 48から噴出される飽和蒸気は、邪魔部材36で れ方向を変えながら、飽和湿り空気として 理空間Sに穏和に供給されるため、調理空間S の雰囲気が安定化し、比較的簡単な構成で、 20℃以上100℃未満の飽和湿り空気を調理空間S 内に生成できるという効果を得る。

 また、本発明者らが行った実験研究によ ば、前記加熱調理装置10を使った加熱調理 法、すなわち、20℃以上100℃未満の飽和湿り 空気中に食材Fを置いて加熱調理を行う加熱 理方法は、食材Fのデンプン、繊維、タンパ 質の可食化が十分なされるとともに、他の 理方法に比べ、組織や細胞の損壊、栄養機 成分の分解損失を防ぐことができ、長期保 性が良好で、高栄養、高品質の食品を作り せることが実証された。これを以下に詳述 る。

 (実施例1)
 本実施形態と同等の原理の加熱調理装置10 使い、ほうれん草188グラムについて、可食 に必要な時間と温度で加熱調理した後、冷 保存し、調理から1日後、5日後、10日後の質 をそれぞれ測定し、調理前の質量(188グラム )に対する質量比(%)を求めた。

 (比較例1)
 実施例1と同量のほうれん草について、可食 化に必要な時間、茹でた後、実施例1と同様 、調理から1日後、5日後、10日後の質量をそ ぞれ測定し、調理前の質量に対する質量比( %)を求めた。

 (比較例2)
 実施例1と同量のほうれん草について、可食 化に必要な時間、蒸した後、実施例1と同様 、調理から1日後、5日後、10日後の質量をそ ぞれ測定し、調理前の質量に対する質量比( %)を求めた。

 以上の結果を次表に示す。
 

 以上の結果により、本実施形態の加熱調 装置10による加熱調理方法で加熱調理され 実施例1における食材の質量変化の割合が、 の調理方法で加熱調理された比較例1、2に ける食材の質量変化の割合よりも少ないこ は明らかである。つまり、本発明の加熱調 方法は、他の調理方法よりも、加熱調理に って、組織や細胞の損壊や水分及び栄養機 成分の流出による質量変化が少なくなって り、このことから、食材の水分や栄養機能 分の経時的な損失を抑制することができ、 養素を損ねない高品質の食品を提供できる とが分かる。なお、人参や大根についても 同様の実験を行ったところ同等の結果が得 れた。

 つまり、本発明に係る加熱調理方法では 100℃未満で食材が加熱調理され、食材の表 が100℃以上の高温にさらされることがない め、当該表面側の細胞、組織、栄養機能成 等を壊さずに、食材を調理することができ 。また、本発明では、飽和湿り空気を生成 る際に発生した凝縮熱が、飽和湿り空気中 微小水滴を介して食材に伝達されることで 食材が加熱調理される。このため、従来の 熱加熱による調理方法では、食材の内部を 食化するために、表面側をどうしても100℃ 上の高温にしなければならなかったが、従 よりも効率的な熱伝達が可能になり、100℃ 満の温度の飽和湿り空気でも、食材の内部 可食化させるのに十分となる。

 なお、前記加熱調理装置10において、第2 噴出口48は、前記実施形態の位置や態様に 定されるものではなく、外気に触れ易いよ に開口部38の近傍で蒸気を噴出できる限り、 本体19の内外を問わず、種々の位置や態様と ることができる。

 また、図5及び図6に示されるように、邪 部材36がテーブル33と別体となるように、邪 部材36の配置態様を変更することもできる この変形例での邪魔部材36は、端部材34に取 付けられずに、当該端部材34に沿ってその 方に配置された枠体からなる支持部材61に取 り付けられている。この支持部材61は、開口 38内に配置され、上下数カ所が固定部材62で 側壁26に固定されている。邪魔部材36は、支 部材61から側壁26方向にほぼ水平に延びてお 、前記開放流路40を完全に閉塞しないよう なっている。なお、図5中実線で示されたテ ブル33の位置、すなわち、食材Fの加熱調理 置では、端部材34と支持部材61との間には、 僅かな隙間63が形成され、端部材34と支持部 61との干渉によってテーブル33の昇降が阻害 れないようになっている。隙間63の幅は、 理空間S内の温度及び湿度の制御に支障をき さないように最小限にされる。なお、テー ル33の昇降を阻害しない限りにおいて、図 しないシール材で隙間63をシールし、隙間63 通じた調理空間Sの空気の流れを阻止しても よい。

 この構成によれば、邪魔部材36は、側壁26 に固定されており、テーブル33と別体となっ いるため、テーブル33の昇降に伴って移動 ない。従って、図5中二点鎖線で示されるよ に、テーブル33が食材Fの出し入れ位置にあ ときに、テーブル33の近傍で邪魔部材36が表 出せず、当該表出による食材Fの不意な損傷 邪魔部材36を含む装置の破損を防止すること ができ、食材Fの出し入れ時における操作上 支障を低減できる。また、テーブル33の高さ 位置を調整可能とした場合、テーブル33の高 位置に拘らず、邪魔部材36と第2の噴出口48 の相対位置関係を常に一定にすることがで 、テーブル33が図5実線の位置よりも上下何 かに多少移動しても、当該移動に関係なく 2の噴出口48から飽和蒸気を同じ状態で開放 路40に導くことができる。

 その他、前記邪魔部材36としては、第2の 出口48からの飽和蒸気を調理空間S内に直接 出させないように、当該飽和蒸気の流れ方 を変えることができる限りにおいて、前記 施形態と異なる形状及び配置とすることが きる。又は、第2の噴出口48からの飽和蒸気 本体19の内壁に当てる等により、前述と同 の作用効果が得られる場合には、邪魔部材36 を省略することもできる。

 また、図5及び図6に示されるように、加 された不活性ガスを調理空間Sに導入可能な 活性ガス導入管64(不活性ガス導入部)を調理 空間Sの上側に配置することもできる。不活 ガス導入管64は、図示しないガス供給装置か ら供給された窒素ガス、アルゴンガス等の不 活性ガスをガス噴出口66から調理空間Sに向か って噴出するようになっている。また、不活 性ガス導入管64は、調理空間Sの上側に配置さ れた第1の蒸気導入管41の近傍に配置され、第 1の蒸気導入管41との間を熱交換板67で仕切る うになっている。熱交換板67は、第1の蒸気 入管41に接触若しくは近接するように頂壁25 に固定され、第1の蒸気導入管41で加熱される ようになっており、ガス噴出口66から噴出し 不活性ガスは、熱交換板67からの放熱によ 、食材Fを加熱する温度まで加温される。こ ように調理空間Sの上部から、加温された不 活性ガスが噴出されると、当該不活性ガスよ りも高比重となる酸素を含んだ低温の空気が 調理空間Sの下方の開口部38から排出され、調 理空間Sに不活性ガスが充満し、調理空間Sが 酸素状態となる。この低酸素状態で食材Fの 加熱調理を行うと、当該食材Fについて、化 的酸化、酵素による着色、臭い物質の生成 を抑制することができる。調理空間Sへの不 性ガスの導入は、食材Fの加熱調理前に行う ことはもとより、加熱調理中も一定量行うこ ともでき、この場合、加熱調理中における調 理空間Sの低酸素状態が維持可能になる。な 、図示しない熱交換器等の他の熱交換手段 採用し、食材Fの加熱温度まで不活性ガスを 温する構成としても良い。

 なお、図5及び図6の加熱調理装置10では、 図1等の前記実施形態に対し、邪魔部材36の配 置を変えた態様と、不活性ガス導入管64を新 した態様とが適用されているが、これら二 様を併存させる必然性はなく、何れか一方 態様を適用することもできる。

 その他、本発明における装置各部の構成 図示構成例に限定されるものではなく、実 的に同様の作用を奏する限りにおいて、種 の変更が可能である。

 10 加熱調理装置
 12 調理庫
 14 ボイラ(蒸気発生手段)
 16 蒸気流路
 17 制御手段
 36 邪魔部材
 38 開口部
 47 第1の噴出口
 48 第2の噴出口
 50 温湿度センサ(温湿度検出部)
 52 第1の弁(流量調整部)
 53 第2の弁(流量調整部)
 55 制御機器(流量調整部)
 64 不活性ガス導入管(不活性ガス導入部)
 S 調理空間