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Title:
DEVICE AND METHOD FOR DETECTING ABNORMALITY OF ELECTRIC STORAGE DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/096771
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is an abnormality detecting device for detecting an abnormality of electric storage devices such as a battery pack. Comparators (140-1) to (140-n) detect timing in which a voltage reaches a prescribed voltage, for each block of a battery pack (100). A judging section (160) detects a current at a time when the voltage reaches the prescribed voltage, and a representative current value is calculated for each block. The deviation of the representative current value of each block is compared with the threshold value, and when the deviation is large, it is judged that there are abnormalities such as short-circuiting, minute short-circuiting, IR (internal resistance) increase, capacitance reduction, and the like.

Inventors:
NAKANISHI TOSHIAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/051911
Publication Date:
August 14, 2008
Filing Date:
February 06, 2008
Export Citation:
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Assignee:
PANASONIC EV ENERGY CO LTD (JP)
NAKANISHI TOSHIAKI (JP)
International Classes:
G01R31/36; G01R31/00; H01G11/00; H01G11/10; H01G11/14; H01G13/00; H01G15/00; H01M10/48; H02J7/00; H02J7/02
Foreign References:
JPH0634727A1994-02-10
JPH0363582A1991-03-19
JP2005195604A2005-07-21
JP2005195604A2005-07-21
JP2000150002A2000-05-30
EP1463144A12004-09-29
JPH10255856A1998-09-25
JPH10106631A1998-04-24
Other References:
See also references of EP 2110679A4
Attorney, Agent or Firm:
YOSHIDA, Kenji et al. (Kichijoji-honcho 1-chomeMusashino-shi, Tokyo 04, JP)
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Claims:
 直列に接続された複数のブロックからなり、該ブロックは1つあるいは複数の蓄電器からなる蓄電装置の異常を検出する検出装置であって、
 各ブロック毎に、ブロックの電圧が所定電圧に等しくなるタイミングにおける電流値を計測する計測手段と、
 計測した各ブロック毎の電流値の偏差に基づいて前記蓄電装置の異常を検出する検出手段と、
 を有することを特徴とする蓄電装置の異常検出装置。
 請求項1記載の装置において、
 前記検出手段は、
 計測した各ブロック毎の複数の電流値から所定の統計処理により各ブロック毎の代表電流値を算出する演算手段と、
 算出された各ブロック毎の代表電流値の偏差を所定値と比較することで前記蓄電装置の異常を検出する比較手段と、
 を有することを特徴とする蓄電装置の異常検出装置。
 請求項2記載の装置において、
 前記代表値は、各ブロック毎の複数の電流値の平均値、中間値、最小値、最大値のいずれかであることを特徴とする蓄電装置の異常検出装置。
 請求項1記載の装置において、
 前記検出手段は、前記異常として、短絡、内部抵抗上昇、容量低下の少なくともいずれかを検出することを特徴とする蓄電装置の異常検出装置。
 請求項1記載の装置において、
 前記蓄電装置は、電池あるいはキャパシタのいずれかであることを特徴とする蓄電装置の異常検出装置。
 直列に接続された複数のブロックからなり、該ブロックは1つあるいは複数の蓄電器からなる蓄電装置の異常を検出する方法であって、
 各ブロック毎に、ブロックの電圧が所定電圧に等しくなるタイミングにおける電流値を計測するステップと、
 計測した各ブロック毎の電流値の偏差をしきい値と比較することで前記蓄電装置の異常を検出するステップと、
 を有することを特徴とする蓄電装置の異常検出方法。
 直列に接続された複数のブロックからなり、該ブロックは1つあるいは複数の蓄電器からなる蓄電装置の異常を検出するためのコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記プログラムはコンピュータに対して、
 各ブロック毎に、ブロックの電圧が所定電圧に等しくなるタイミングにおける電流値を計測させ、
 計測した各ブロック毎の電流値を順次メモリに記憶させ、
 前記メモリに記憶された各ブロック毎の複数の電流値から所定の統計処理により各ブロック毎の代表電流値を演算装置に演算させ、
 演算して得られた各ブロック毎の代表電流値の偏差を前記演算装置に演算させ、
 演算して得られた偏差をしきい値と大小比較させることで前記蓄電装置の異常を検出させる
 ことを特徴とするコンピュータプログラムを格納した記録媒体。
 請求項1記載の装置において、
 前記所定電圧は、第1所定電圧及び第2所定電圧の少なくとも2つ設定され、
 前記検出手段は、前記第1所定電圧に等しくなるタイミングにおける各ブロック毎の電流値の偏差、及び前記第2所定電圧に等しくなるタイミングにおける各ブロック毎の電流値の偏差に基づいて前記蓄電装置の異常を検出する
 ことを特徴とする蓄電装置の異常検出装置。
 請求項1記載の装置において、
 前記計測手段は、前記ブロックの電圧が前記所定電圧に等しくなるタイミングにおける電流値として、100msec以内の時間ずれを有する電流値を計測する
 ことを特徴とする蓄電装置の異常検出装置。
 請求項2記載の装置において、
 前記演算手段は、計測した各ブロック毎の複数の電流値のうち、一定の範囲内にある電流値のみを抽出して前記所定の統計処理により各ブロック毎の前記代表値を算出する
 ことを特徴とする蓄電装置の異常検出装置。
 請求項2記載の装置において、
 前記演算手段は、計測した各ブロック毎の複数の電流値のうち、分布度合いが一定値以下の複数の電流値に対してのみ前記代表電流値を算出する
 ことを特徴とする蓄電装置の異常検出装置。
 直列に接続された複数のブロックからなり、該ブロックは1つあるいは複数の蓄電器からなる蓄電装置の異常を検出する検出装置であって、
 前記複数のブロックのうちの互いに隣接するブロック間の電圧差が所定電圧に等しくなるタイミングにおける電流値を計測する計測手段と、
 計測した電流値の大きさに基づいて前記蓄電装置の異常を検出する検出手段と、
 を有することを特徴とする蓄電装置の異常検出装置。
 請求項12記載の装置において、
 前記検出手段は、前記異常として、短絡、内部抵抗上昇、容量低下の少なくともいずれかを検出する蓄電装置の異常検出装置。
 請求項12記載の装置において、
 前記蓄電装置は、電池あるいはキャパシタのいずれかであることを特徴とする蓄電装置の異常検出装置。
Description:
蓄電装置の異常検出装置及び方

 本発明は蓄電装置の異常検出装置及び方 並びにプログラムに関し、特に直列に接続 れた複数のブロックから構成される組電池 の蓄電装置の異常を検出する技術に関する

 従来より、1つあるいは複数の電池が直列 に接続されてブロックを構成し、ブロックを 複数直列に接続されて構成される組電池がハ イブリッド自動車や電気自動車に搭載されて おり、組電池を構成する各ブロックの電圧や 電流を計測して異常を検出する装置が開発さ れている。異常検出の基本的な方法は、各ブ ロック毎に電圧と電流を計測し、内部抵抗(IR :Internal Resistance)を最小二乗法により算出す 。そして、IRの増大あるいは偏差に基づいて 異常を検出する。

 図12に、横軸を電流、縦軸を電圧(ブロッ 電圧)として計測して得られたブロックの( 流,電圧)をプロットした結果を示す。図にお いて、×印が個々の計測ポイントを示す。ま 直線50は複数の計測ポイントから最小二乗 で得られた直線であり、その傾きはIRを表す 。組電池を構成する各ブロック毎に直線が算 出され、これらの直線群が許容範囲内にあれ ば組電池は正常と判定される。一方、図13に すように、各ブロック毎に最小二乗法で直 を算出した場合、あるブロックの直線60が のブロックの直線50群に対して大きな偏差を 有する場合、寿命や気密漏れ等によりIRが上 したとして組電池の異常を検出する。

 特開2001-196102号公報には、ブロック電圧と 流に基づいて各ブロックのIRを演算し、IRと 定のしきい値とを比較することで電池の異 昇温を検出する技術が開示されている。図1 4に、この従来技術に開示された組電池制御 置の構成を示す。組電池制御装置はハイブ ット自動車に搭載される。組電池制御装置 、組電池10の入出力を制御する。組電池10は 直列に接続された複数のブロック10Aを含む 複数のブロック10Aのそれぞれは、直列に接 された複数の単電池10Bを含む。組電池制御 置は、組電池10の電力の入出力を制御する 池電力入出力部1と、複数のブロック10Aのそ ぞれのブロック電圧を検出するブロック電 検出部2と、組電池10の電池電流を検出する 池電流検出部3と、ブロック電圧と電池電流 とに基づいて、単電池10Bの異常昇温を検出す る異常昇温検出部4と、異常昇温検出部4によ 異常昇温の検出結果に基づいて、電池電力 出力部1を制御する車両制御部5と組電池10の 電池温度を検出する電池温度検出部6とを備 る。異常昇温検出部4は、ブロック電圧と電 電流とに基づいて複数のブロック10Aのそれ れの内部抵抗を演算する内部抵抗演算部4A 、組電池10の電池温度に基づいてしきい値を 設定するしきい値設定部4Bと、複数のブロッ 10Aのそれぞれのブロック電圧の平均値と分 σ 2 とを演算する分散演算部4Cと、複数のブロッ 10Aのそれぞれのブロック電圧と平均値と分 σ 2 とに基づいて単電池10Bの異常昇温を検出する 分散異常昇温検出部4Dと、複数のブロック10A それぞれの残存容量に基づいて単電池10Bの 常昇温を検出する残存容量異常昇温検出部4 Eとを含む。電池電力入出力部1は、ハイブリ ド自動車のインバータ1Aとモータジェネレ タ1Bとを含む。モータジェネレータ1Bは、ト ンスミッション11を介してエンジン12を駆動 する。エンジン制御部13は、車両制御部5の出 力に基づいてエンジン12を制御する。車両制 部5は、アクセルペダル7、ブレーキペダル8 シフトレバー9および電池残存容量検出部14 接続される。車両制御部5は、異常昇温検出 4による異常昇温の検出結果に基づいて、電 電力入出力部1を制御する。

 また、特開2005-195604号公報には、組電池 複数の電池のそれぞれの電圧を所定のタイ ングで計測するとともに、組電池を流れる 流を同一タイミングで計測し、計測して得 れたそれぞれの電圧の最大値と最小値との 差を演算し、電流と偏差との対の値に基づ て組電池の異常を検出する技術が開示され いる。

 しかしながら、各ブロック毎にブロック 圧及び電流を計測する構成では、ブロック 圧のA/D変換が必要となりコスト増大を招く 題がある。また、ブロック電圧と電流に基 いて最小二乗法によりIRを演算するため、 算量増大による処理時間の増大や処理プロ ラムの負荷増大を招く問題がある。また、 のような状態下で演算速度を高速化すれば 発熱を伴い、検出装置の小型化の妨げにな 問題がある。

 本発明は、簡易な構成でありながら迅速 つ正確に組電池やキャパシタ等の蓄電装置 異常を検出することができる装置及び方法 提供する。

 本発明は、直列に接続された複数のブロ クからなり、該ブロックは1つあるいは複数 の蓄電器からなる蓄電装置の異常を検出する 検出装置であって、各ブロック毎に、ブロッ クの電圧が所定電圧に等しくなるタイミング における電流値を計測する計測手段と、計測 した各ブロック毎の電流値の偏差に基づいて 前記蓄電装置の異常を検出する検出手段とを 有する。

 また、本発明は、直列に接続された複数 ブロックからなり、該ブロックは1つあるい は複数の蓄電器からなる蓄電装置の異常を検 出する方法であって、各ブロック毎に、ブロ ックの電圧が所定電圧に等しくなるタイミン グにおける電流値を計測するステップと、計 測した各ブロック毎の電流値の偏差をしきい 値と比較することで前記蓄電装置の異常を検 出するステップとを有する。

 また、本発明は、直列に接続された複数 ブロックからなり、該ブロックは1つあるい は複数の蓄電器からなる蓄電装置の異常を検 出するためのコンピュータプログラムを記録 した記録媒体であって、前記プログラムはコ ンピュータに対し、各ブロック毎に、ブロッ クの電圧が所定電圧に等しくなるタイミング における電流値を計測させ、計測した各ブロ ック毎の電流値を順次メモリに記憶させ、前 記メモリに記憶された各ブロック毎の複数の 電流値から所定の統計処理により各ブロック 毎の代表電流値を演算装置に演算させ、演算 して得られた各ブロック毎の代表電流値の偏 差を前記演算装置に演算させ、演算して得ら れた偏差をしきい値と大小比較させることで 前記蓄電装置の異常を検出させる。

 さらに、本発明は、直列に接続された複 のブロックからなり、該ブロックは1つある いは複数の蓄電器からなる蓄電装置の異常を 検出する検出装置であって、前記複数のブロ ックのうちの互いに隣接するブロック間の電 圧差が所定電圧に等しくなるタイミングにお ける電流値を計測する計測手段と、計測した 電流値の大きさに基づいて前記蓄電装置の異 常を検出する検出手段とを有する。

 本発明によれば、(電流、電圧)の組を検 することなく、小型で簡易な構成により、 定タイミングにおける電流値に基づいて蓄 装置の異常を検出することができる。

実施形態の異常検出装置の全体構成図 ある。 実施形態の処理フローチャートである 電流サンプリングタイミングを示すタ ミングチャートである。 短絡時の電流-電圧特性を示すグラフ図 である。 微小短絡時の電流-電圧特性を示すグラ フ図である。 IR上昇時のグラフ図である。 短絡時の電流-電圧特性を示すグラフ図 である。 微小短絡時の電流-電圧特性を示すグラ フ図である。 IR上昇時のグラフ図である。 容量低下時(過充電)の電流-電圧特性を 示すグラフ図である。 電流のばらつきと異常モードとの関係 を示す表図である。 従来のIR算出方法を示すグラフ図であ 。 従来のIR異常検出方法を示すグラフ図 ある。 従来装置の全体構成図である。 同時性の精度と電流値分布の関係を示 すグラフ図である。 同時性の精度と電流値分布の関係を示 すシミュレーションに用いた電流プロファイ ル図である。 他の実施形態の異常検出装置の構成図 である。 さらに他の実施形態の異常検出装置の 構成図である。 正常時の電流-電圧差特性を示すグラ 図である。 短絡時の電流-電圧差特性を示すグラ 図である。 微小短絡時の電流-電圧差特性を示す ラフ図である。 IR上昇時の電流-電圧差特性を示すグラ フ図である。 容量低下時(過充電)の電流-電圧差特性 を示すグラフ図である。

 以下、本発明の実施形態について説明す 。

 図1に、本実施形態における組電池の異常 検出装置の構成を示す。異常検出装置は図14 示す組電池制御装置と同様にハイブリッド 動車に搭載され、組電池の異常を検出する 図1には、図14における電池電力入出力部1や 車両制御部5、エンジン制御部13等が図示され ていないが、これらは図14と同一構成である めその説明は省略する。

 図1において、蓄電装置としての組電池100 は、複数のブロックB1~Bnから構成され、各ブ ックB1~Bnは直列接続される。各ブロックは1 または複数の単電池が直列接続されて構成 れる。各電池は例えばニッケル水素電池や チウムイオン電池である。

 電圧センサ120-1~120-nは、組電池100を構成 る各ブロックB1~Bnのそれぞれのブロック電圧 VB1~VBnを検出する。検出したブロック電圧VB1~V Bnは、それぞれ比較器140-1~140-nに供給される

 比較器140-1~140-nは、それぞれ入力された ロック電圧VB1~VBnを所定電圧と比較し、それ れのブロック電圧VB1~VBnが所定電圧に達した か否かを判定する。ブロック電圧VB1~VBnが所 電圧に一致する場合、各比較器140-1~140-0nは れぞれ一致信号を判定部160に供給する。各 較器140-1~140-nにおける判定用の所定電圧は同 一値である。したがって、各ブロック電圧VB1 ~VBnがほとんど等しい値であれば、各比較器14 0-1~140-nからほぼ等しいタイミングで一致信号 が出力される。一方、各ブロック電圧VB1~VBn 等しくない場合、各比較器140-1~140-nからはブ ロック電圧の値に応じたタイミングで一致信 号が出力される。各比較器140-1~140nから出力 れる一致信号は、組電池の電流をサンプリ グするタイミングを規定するサンプリング 号として機能する。

 電流センサ180は、組電池100の電流IBを検 する。検出された電流IBは判定部160に供給さ れる。

 判定部160は、各比較器140-1~140-nから供給 れた一致信号のタイミングで電流センサ180 ら供給された電流IBをサンプリングしメモリ に記憶する。したがって、メモリにはブロッ クB1のブロック電圧VB1が所定電圧に達したタ ミングにおける電流群、ブロックB2のブロ ク電圧VB2が所定電圧に達したタイミングに ける電流群、・・・、ブロックBnのブロック 電圧VBnが所定電圧に達したタイミングにおけ る電流群がそれぞれ記憶される。判定部160は 、各ブロック毎にメモリに記憶されたサンプ リング電流群を統計処理してそのブロックの 代表電流値とする。例えば、統計処理として 平均値とし、ブロックB1についてサンプリン 電流群の平均値を算出してブロックB1の代 電流値I1とし、ブロックB2についてサンプリ グ電流群の平均値を算出してブロックB2の 表電流値I2とし、ブロックBnについてサンプ ング電流群の平均値を算出してブロックBn 代表電流値Inとする。また、判定部160は、以 上のようにして算出された各ブロック毎の代 表電流値I1~Inに基づき、これらのばらつきの 度により組電池100に異常が生じているか否 を判定して判定結果を出力する。

 従来技術では、ブロック電圧とブロック 流の組データを検出し、最小二乗法あるい 回帰分析により各ブロックのIRを算出して 常の有無を判定しているが、本実施形態で 各ブロック毎の代表電流値I1~Inに基づいて異 常の有無を判定していることに留意されたい 。

 判定部160はマイクロコンピュータにより 成でき、比較器140-1~140-nを含めてICで構成し てもよい。

 図2に、本実施形態の異常判定処理フロー チャートを示す。まず、各比較器140-1~140-nで ロック電圧VB1~VBnと比較する所定電圧である しきい電圧Vthを設定する(S101)。しきい電圧Vth の設定方法は任意であるが、短時間に多くの 電流サンプリングを可能とするために組電池 100が車両の走行に伴って充放電を繰り返す際 の電圧変動範囲内の所定値に設定することが 好適である。しきい電圧Vthは絶対値として設 定してもよく、あるいは組電池100の基準SOC( 電状態)に対する比率に基づいて設定しても い。所定電圧としてのしきい電圧Vthは予め 較器140-1~140-nに供給してもよく、レジスタ 登録して各比較器140-1~140-nに供給する構成と してレジスタの内容を書き換えることでしき い電圧Vthを適宜調整できるように構成しても よい。

 しきい電圧Vthを設定した後(S101)、各比較 140-1~140-nでブロック電圧VB1~VBnをそれぞれし い電圧Vthと比較し、各ブロック電圧VB1~VBnが しきい電圧Vthに達した時点における電流値を 取得する(S102)。取得した電流は各ブロック毎 に順次メモリに記憶していく。そして、各ブ ロック毎に電流の代表値を算出する(S103)。取 得する電流のサンプル数は任意であり、所定 値に固定してもよい。あるいは、サンプリン グ時間を固定してもよい。サンプリング時間 を固定した場合、ブロック毎にサンプル数が 異なる場合もあり得る。サンプル数は少なく とも2個であり、数十サンプルとすることが きる。各ブロック毎の代表値は、一般には 記のように平均値であるが、中間値あるい 最大値あるいは最小値を採用することも可 である。但し、全てのブロックで同一基準 従い代表値を算出することが望ましい。

 各ブロック毎に代表電流値を算出した後 各ブロック毎の代表電流値のばらつきの度 いに応じて異常か否かを判定する(S104)。判 結果は従来と同様に車両制御部に供給され 車両制御部は組電池100の電力入出力部を制 し、あるいは車両乗員に組電池の異常を報 する。

 図2の処理は、判定部160を構成する、あるい は判定部160と比較器140-1~140-nを含んで構成す マイクロコンピュータがROMに記憶された異 診断プログラムを順次実行することで実現 きる。異常診断プログラムはCD-ROM等の記録 体に格納されてコンピュータにインストー されてもよい。異常診断プログラムを格納 る記録媒体の種類は問わず、CD-ROMやDVD-ROM、 フラッシュメモリ等の任意の媒体でよい。S10 2で取得した各ブロック毎の電流値はマイク コンピュータのワークメモリに順次格納さ る。S103ではマイクロコンピュータのプロセ サがメモリに格納した各ブロック毎の複数 電流値を読み出して所定の統計処理、例え 平均値算出処理を行い各ブロック毎に代表 流値を算出する。算出された代表電流値は びワークメモリに格納される。S104ではマイ クロコンピュータのプロセッサがワークメモ リに格納された各ブロック毎の代表電流値を 読み出してその偏差を算出する。偏差の算出 方法にもいくつかあるが、例えば代表電流値 のうちの最小値と最大値を抽出してその差を 演算する、あるいは分散σ 2 を演算する等である。代表電流値の平均を算 出し、当該平均値からの最大差分値を算出し てもよい。そして、算出した偏差をワーキン グメモリに記憶されたしきい値と大小比較し 、しきい値を超える代表電流値を有するブロ ックに異常が生じていると判定し、入出力イ ンタフェースを介して外部に判定結果を出力 する。判定結果として、異常の有無の他、異 常が生じているブロックを特定する情報を出 力してもよい。

 図3に、組電池100を構成する任意のブロッ クBiについての電流サンプリングタイミング 示す。図3(a)は電圧センサ120-iで検出される ロック電圧の時間変化である。横軸は時間( s)であり、縦軸は電圧値(V)である。充放電を り返すことでブロック電圧も約6V~約10Vにわ って変化する。同図に、設定されたしきい 圧Vthも併せて示す。図ではしきい電圧Vthは 7Vに設定される。図中、黒丸で示すタイミ グでブロック電圧としきい電圧Vthとが一致 る。

 図3(b)は比較器140-iでブロック電圧としき 電圧Vthとを比較した結果の信号波形である 比較器140-1~140-nは、ブロック電圧としきい 圧とを比較し、ブロック電圧≧しきい電圧Vt hであればHiレベル、ブロック電圧<しきい 圧であればLowレベルの電圧信号を出力する すると、同図のような矩形信号が出力され 。矩形信号の立ち上がりタイミング及び立 下がりタイミングがブロック電圧としきい 圧Vthが等しいタイミングであることを示す したがって、判定部160は、図3(b)に示すよう 矩形信号が入力された場合、その立ち上が タイミングと立ち下がりタイミングに同期 たタイミングで電流IBをサンプリングする とで、ブロック電圧がしきい電圧Vthに達し タイミングにおける電流を取得することが きる。

 図3(c)は電流センサ180で検出される電流の 時間変化である。充放電を繰り返すことで電 流もプラス側及びマイナス側に変化する(プ ス側を充電とするとマイナス側は放電を示 )。判定部160は、比較器140-iからの矩形信号 立ち上がり及び立ち下がりのタイミングで 流IBをサンプリングし、I1~I8を取得する。取 した電流値はメモリに順次記憶され、これ の電流値I1~I8の代表値が算出される。ブロ クBiにおける代表電流値をIBiと称するものと する。

 図4に、縦軸にブロック電圧、横軸に電流 として各ブロック毎に算出された代表電流値 をプロットした図を示す。電流-電圧特性は 従来においても各ブロックのIRを算出するた めに用いられているが、本実施形態では各代 表値はある特定の電圧であるしきい電圧Vthに おける電流値がプロットされることに留意さ れたい。図では、ブロックB1の代表電流値IB1 ブロックB2の代表電流値IB2、ブロックB3の代 表電流値IB3、ブロックBiの代表電流値IBiが例 されている。電流-電圧特性の傾きはIRであ 、各ブロック毎に固有のIRを有するから、 ブロック毎にプロットした代表電流値を通 直線(あるいは曲線)を想定することができる 。図において、プロットした各代表電流値を 通る直線を示す。従来では、図12に示すよう 、複数の(電流,電圧)を検出してプロットし これらを回帰分析して直線50を算出し、直 50の傾きをIRとして算出しているが、本実施 態では単に代表電流値を通る直線を想定し いる。想定直線の傾きはIRを示すことにな が、一応所定の傾きを有するものと仮定し 直線を想定する。そして、想定した直線群 ばらつき、本質的には各ブロックの代表電 値のばらつきに応じて異常の有無を判定す 。

 組電池100の異常モードとしては、例えば以 のものがある。
(1)自己短絡(ショート)
(2)微小短絡(自己放電、内部放電の増加)
(3)IR上昇(寿命や気密漏れによる)
(4)容量低下
(5)温度上昇

 これらのうち、(1)の自己短絡ではブロック の単電池(単セル)の内部の極板同士が接触 短絡しているのでOCV(Open Circuit Voltage:開放 電圧)も低下する。電流-電圧特性では、電流 が0における電圧値であるOCVに相当する切片 小さくなる。図4において、直線群150及び直 200は同一の傾きを有しているが、直線群150 切片と直線200の切片は大きく異なる。代表 流値IB1、IB2、IB3と代表電流値IBiとのばらつ が大きいことに起因するものである。この 合、代表電流値IBiのブロックBiに自己短絡 生じている可能性が高いとして異常と判定 る。具体的には、ばらつき(偏差)を所定値と 大小比較し、ばらつきが所定値以下であれば 正常と判定し、所定値を超えていれば異常と 判定する。各代表電流値のばらつきの程度は 任意の評価式で評価でき、例えば分散σ 2 を所定値と大小比較することでばらつきの程 度を評価してもよく、代表電流値の最大値と 最小値の差を所定値と大小比較することでば らつきの程度を評価してもよい。

 また、(2)の微小短絡は電池内部の金属が 出して正負極間の導電パスが形成されるも であり、自己放電、内部放電が増加する。 5に、微小短絡の場合の電流-電圧特性を示 。放電時に電圧が低下するため、正常な直 群150に対して直線300のように電圧が低下す 。この場合にも、代表電流値IB1、IB2、IB3と 表電流値IBiのばらつきが大きいことが原因 あり、代表電流値IBiのブロックBiに微小短絡 が生じている可能性が高いとして異常と判定 する。

 また、(3)のIR上昇では電流-電圧特性の傾 が増大する。図6に、IR上昇の場合の電流-電 圧特性を示す。正常な直線群150に対して直線 400のように傾きが増大する。この場合にも、 代表電流値IB1、IB2、IB3と代表電流値IBiのばら つきが大きいことが原因であり、代表電流値 IBiのブロックBiに寿命や気密漏れによるIR上 が生じている可能性が高いとして異常と判 する。

 また、(4)の容量低下は充放電を繰り返す とで生じるものであり、(2)の微小短絡の場 と同様に図5に示すように正常な直線群150に 対して直線300のような特性を示す。この場合 にも代表電流値IB1、IB2、IB3に対する代表電流 値IBiのばらつきが大きいとして把握すること が可能であり、代表電流値IBiのブロックBiに 量低下が生じている可能性が高いとして異 と判定する。

 また、(5)の温度上昇は(3)のIR上昇の結果 して生じるものであり、図6に示すように正 な直線群150に対して直線400のように傾きが 大する。この場合にも代表電流値IB1、IB2、I B3に対する代表電流値IBiのばらつきが大きい して把握することが可能であり、代表電流 IBiのブロックBiに温度上昇が生じている可 性が高いとして異常と判定する。

 このように、(1)~(5)のいずれの異常モード も、各ブロックの代表電流値IB1~IBnのばらつ (偏差)の大きさで評価することができ、代表 電流値IB1~IBnのばらつきが所定の範囲内にあ ば異常は生じておらず、代表電流値B1~Bnのば らつきが所定の範囲内を超えているのであれ ば、範囲を超えた代表電流値の当該ブロック に(1)~(5)のいずれかの異常が生じていると判 することができる。本実施形態では、各ブ ックの代表電流値自体を対象としてしきい と比較して正常/異常を判定するのではなく 代表電流値のばらつきを対象として正常/異 常を判定している。その理由は、組電池の各 ブロックの電気化学反応は温度により影響を 受けやすく、また、いわゆるメモリ効果によ りブロックには初期状態からの変化が生じ得 るがこの変化の完全予測が困難であるため、 異常判定のしきい値を適当に設定することが 困難だからである。

 なお、本実施形態では、各ブロックの代 電流値B1~Bnのばらつきの程度により(1)~(5)の ずれかの異常が生じていると簡易かつ迅速 判定することができ、さらに組電池100を構 するブロックB1~Bnのうちどのブロックに異 が生じているかを判定することができるが どの異常モードが生じているかを特定する とはできない。そこで、いずれかの異常が じていると判定した後に、さらに他のパラ ータを用いてどの異常が生じているかを特 してもよい。

 また、本実施形態では、蓄電装置として 池を用いているが、蓄電装置としてのキャ シタにも適用することができる。キャパシ の異常モードとしては上記(1)~(5)の異常モー ドのうち(4)の容量低下が生じ得るが、同様に キャパシタを構成する各ブロックの代表電流 値のばらつき(偏差)の大きさを所定範囲と比 し、ばらつきが大きく所定範囲を超える場 に異常が生じていると判定することができ 。

 以上、本発明の実施形態について説明し が、本発明はこれに限定されず種々の変更 可能である。本発明の要旨は、各ブロック に計測された(電流,電圧)の組を用いて異常 検出するのではなく、各ブロック毎の所定 タイミング(すなわち、ある電圧に達するタ イミング)における電流のブロック間のばら きの程度を用いて異常を検出することにあ 、各ブロック毎の所定タイミングにおける 流のブロック間ばらつきに加え、他のパラ ータを複合的に用いる任意の異常検出技術 含むものである。また、本実施形態では各 ロック毎の所定のタイミングにおける電流 してある電圧に達するタイミングとしたが しきい電圧を2つあるいはそれ以上設け、各 ロック毎の第1しきい電圧に達するタイミン グにおける電流のブロック間のばらつき、及 び各ブロック毎の第2しきい電圧に達するタ ミングにおける電流のブロック間のばらつ を用いて総合的に異常を検出してもよい。 なわち、各ブロック毎の第1しきい電圧に達 るタイミングにおける電流のブロック間の らつき、及び各ブロック毎の第2しきい電圧 に達するタイミングにおける電流のブロック 間のばらつきのいずれもしきい値を超える場 合に異常と判定する。あるいは各ブロック毎 の第1しきい電圧に達するタイミングにおけ 電流のブロック間のばらつき、及び各ブロ ク毎の第2しきい電圧に達するタイミングに ける電流のブロック間のばらつきの少なく もいずれかがしきい値を超える場合に異常 判定する等である。第1しきい電圧及び第2 きい電圧の設定方法は任意であるが、第1し い電圧を放電側のしきい値、第2しきい電圧 を充電側のしきい値としてもよい。

 以下、しきい電圧を2つ設けて異常を検出 する場合の一例を示す。しきい電圧を1つ設 して異常を検出する場合、(1)~(5)のどの異常 ードが生じているかを特定することはでき いが、しきい電圧を2つ設けることで、どの 異常モードが生じているかを特定することが 可能となる。

 具体的には、放電側のしきい電圧に加え 充電側のしきい電圧を設定する。放電側の きい電圧をVth1、充電側のしきい電圧をVth2 する。そして、しきい電圧Vth1、Vth2に達した 時点の電流を検出し、放電側、充電側におい てそれぞればらつきの度合いを評価する。ば らつきとして、各ブロックの代表電流間のば らつきの大きさの最大値δI、及びばらつきが 最大となる当該ブロックBiのブロック間平均 からのばらつきδIdif=σIBj/n-IBiを用いる。放 側のしきい電圧Vth1に対するばらつきをそれ ぞれδI1、δIdif1とし、充電側のしきい電圧Vth2 に対するばらつきをそれぞれδI2、δIdif2とす 。放電側、充電側それぞれにおいて、δI、 Idifをしきい値と大小比較して異常の有無、 び異常のモードを識別する。

 図7に、(1)の短絡の場合の電流-電圧特性 示す。図4とほぼ同様であるが、図4との相違 は充電側(電流のプラス側)にもしきい電圧Vth2 が設定され、各ブロック毎に電流が検出され る点である。放電側に着目すると、IB1~IBnの ち、IBiとIB3の差分の絶対値が最大であると るとδI1は|IB3-IBi|であり、これとしきい値と 大小比較してしきい値を超える場合に異常 検出することができる。また、充電側につ ても同様であり、δI2=|IB3-IBi|であり、これ しきい値とを大小比較してしきい値を超え 場合に異常と判定することができる。一方 δIdifに着目すると、その定義から、異常ブ ックBiの代表電流値が全ブロックの平均電流 値より大きい場合にはマイナス、小さい場合 にはプラスとなる。図7において、放電側で 異常ブロックの代表電流値IBiは他の正常ブ ック群よりもプラス側に位置しており、従 てδIdif1はマイナスとなる。また、充電側に いても同様にδIdif2はマイナスとなる。

 図8に、(2)の微小短絡及び(4)の容量低下の 場合の過放電時の電流-電圧特性を示す。図5 ほぼ同様であるが、図5との相違は充電側に もしきい電圧Vth2が設定され、各ブロック毎 電流が検出される点である。放電側に着目 ると、δI1はしきい値を超えてブロックBiの 常が検出されるがδI2はしきい値以内となる また、δIdif1は図7と同様にマイナスとなる 、δIdif2はδI2がしきい値以内であるため正常 の範囲内である。

 図9に、(3)のIR上昇の場合、(5)の温度上昇 場合、及びキャパシタの容量低下の場合の 流-電圧特性を示す。図6とほぼ同様である 、図6との相違は充電側にもしきい電圧Vth2が 設定され、各ブロック毎に電流が検出される 点である。放電側では、δI1はしきい値を超 てブロックBiの異常が検出され、δIdif1はマ ナスとなる。一方、充電側に着目すると、δ I2もしきい値を超えてブロックBiの異常が検 され、δIdif2はIBiがマイナス側にシフトして るためプラスとなる。すなわち、δIdif1とδI dif2の符号は反対極性となる。

 図10に、容量低下の場合であって過充電 の電流-電圧特性を示す。図7~図9と同様に放 側のしきい電圧Vth1に加え充電側にもしきい 電圧Vth2が設定される。符号500はブロックBiの 特性を示す。放電側ではδI1はしきい値の範 内であり正常であるが、充電側ではδI2がし い値を超えてブロックBiの異常が検出され 。また、充電側においてIBiがマイナス側に フトしているためδIdif2はプラスとなる。

 このように、異常のモードに応じてδIdif1 、δIdif2の符号が変化するため、この符号の 化を用いて異常モードを識別することがで る。図11に、δI1、δI2、δIdif1、δIdif2としき 値Aとの大小比較の結果をまとめて示す。図 おいて、例えばδI1がしきい値Aを超え(YES)、 δI2もしきい値Aを超える(YES)場合であって、δ Idif1の符号がマイナス、つまりδIdif<-Aの場 であり、かつ、δIdif2の符号がマイナス、つ まりδIdif2<-Aであるのは図7に示す短絡が生 ているためと判定し、δI1及びδI2が同様に きい値を超える場合であっても、δIdif1の符 がマイナスであり、かつ、δIdif2の符号がプ ラス、つまりδIdif>Aであるのは図9に示すIR 昇あるいは温度上昇あるいはキャパシタの 量低下が生じているためであると判定する 一方、δI1のみがしきい値を超えてδI2は正 の範囲内である場合には図8に示す微小短絡 るいは容量低下により過放電状態にあると 定し、逆にδI2のみがしきい値を超えてδI1 正常の範囲内である場合には図10に示す容量 低下による過充電状態にあると判定する。な お、δI1、δI2及びδIdif1、δIdif2のしきい値と て同じ値Aを用いたが、検出する不具合に応 てそれぞれ異なった値を採用してもよい。

 当業者であれば、図11を参照することで 異常モードを識別するための種々のアルゴ ズムを想定することが可能であろう。本実 形態には、δI1、δI2、δIdif1、δIdif2を組み合 せて異常のモードを識別する任意のアルゴ ズムが含まれる。図11から明らかなように δI1、δI2を用いることなく、δIdif1及びδIdif2 みを用いて異常モードを識別することも可 である。

 本実施形態において、各ブロック毎に、 ロックの電圧が所定電圧に等しくなるタイ ングにおける電流値を取得しており、具体 には、図2のS102で各ブロック電圧VB1~VBnがし い電圧Vthに達した時点における電流値を取 しているが、しきい値電圧Vthに達した時点 おける電流値は、もちろん厳密な意味での 時性を要求するものではなく、ある許容値 範囲内における同時性を意味することは言 までもない。蓄電池の異常を判定するため 必要とされる同時性は、100msec以内の同時性 で十分であろう。もちろん、蓄電池の異常判 定に要求される精度に応じて同時性の許容範 囲も定まることになろう。蓄電池がハイブリ ッド車両に搭載される場合、ハイブリッドモ ータの駆動キャリア周波数はKHzオーダであり 、ナイキスト定理によれば理論的には同時性 は1msec以下が望まれるが、経験的にはこれほ の同時性は必要ではなく上記のように100msec 程度でよい。蓄電池の各種異常モードのうち 、最もプライオリティの高い異常モードを確 実に判定するために必要な精度を確保する観 点から同時性の許容範囲を設定してもよい。 例えば、異常モードの中で特にIR上昇のプラ オリティが高い場合、IRの所定量以上の上 (例えば通常値に対する変化量δIR=10%)を確実 検出するために必要な同時性を設定すれば い。

 さらに、本実施形態では、図2のS103で各ブ ック毎の代表値を算出しているが、各ブロ クの代表値を算出する際に、精度の低い電 値サンプルを除去して代表値を算出するこ で、同時性の精度を高めることも可能であ 。具体的には、各ブロック毎の電流値群の 布を用いて各電流値サンプルを採用するか かを判別する。具体的には、
(a)電流値群の分布に対して電流値の偏差が所 定値以上大きい電流値サンプルを代表値算出 のサンプルから除去する
(b)電流値分布自体の偏差が大きい場合にその 代表値自体を算出しない
等である。(b)の条件は、電流値分布自体の偏 差が所定値以下の場合にのみその代表値を算 出すると言い換えることもできる。図15に、 時性の精度と電流値分布との関係を示すシ ュレーション結果を示す。また、図16に、 ミュレーションに用いた電流プロファイル 示す。図15において、ブロック電圧がしきい 電圧Vthに達するタイミングに対して全く遅れ のないタイミング(no delay)、10msecずれたタイ ング、50msecずれたタイミング、100msecずれた タイミング、1secずれたタイミングでの電流 布をそれぞれ示す。全く遅れのないタイミ グは標準偏差1.83、分散3.35であるのに対し、 1secでは標準偏差13.00、分散168.88であり、同時 性の精度が低下するほど分布が増大する。上 記の(a)または(b)のいずれかを用いて電流値サ ンプルを除去することで、各ブロック毎の代 表値の精度、すなわち同時性の精度を簡易に 、つまりハードウェアの処理能力を高めるこ となく向上させることができ、これにより異 常判定の精度を向上させることができる。

 なお、ブロック電圧がしきい電圧Vthに達 るタイミングにおける電流は、具体的には 1における比較器140-1等からの出力を判定部1 60に供給し、判定部160では比較器出力及び電 センサ180からの電流値をともにレジスタに り込み、比較器出力が変化する時点におい レジスタに記憶されている電流値をメモリ 転送して順次記憶すればよい。比較器出力 例えば8ビットとして前回値と今回値が一致 するか否かを判定し、前回値と今回値が一致 しない場合に比較器出力が変化した、つまり ブロック電圧がしきい値電圧Vthに達したもの と判定する。比較器出力が変化したタイミン グにおける電流値とは、厳密には、比較器出 力が変化する直前の電流値、比較器出力が変 化する直後のタイミングのいずれでもよく、 あるいは、比較器出力が変化する直前のタイ ミングにおける電流値と比較器出力が変化す る直後のタイミングにおける電流値の平均値 でもよい。いずれの場合でも、上記のように 許容値の範囲内における同時性が確保されて いればよい。

 本実施形態では、ブロック電圧がしきい 圧Vthに達するタイミングにおける電流を用 て組電池100の異常を検出しているが、各ブ ックのブロック電圧ではなく、隣接ブロッ 間の電圧差を用いて組電池100の異常を検出 ることもできる。

 図17に、隣接ブロック間の電圧差を用い 組電池100の異常を検出する場合の構成を示 。ブロックB1の電圧を検出する電圧センサ120 -1からの検出電圧VB1及びブロックB1に隣接す ブロックB2の電圧を検出する電圧センサ120-2 らの検出電圧VB2はともに減算器130-1に供給 れる。減算器130-1は、ブロックB1とブロックB 2の電圧差VB1-VB2を演算して比較器140-1に供給 る。減算器130-1は、隣接ブロック間の電圧差 としてVB2-VB1を演算してもよく、VB1-VB2あるい VB2-VB1の絶対値を演算してもよい。比較器140 -1は、減算器130-1から供給された電圧差を所 のしきい値VTHと比較し、電圧差が所定のし い値VTHと一致するか否かを判定する。そし 、電圧差がしきい値VTHと一致するタイミン で一致信号を判定部160に供給する。減算器13 0-1及び比較器140-1はそれぞれ複数設けられる とは言うまでもない。比較器140-1から判定 160に供給される一致信号は、組電池100の電 をサンプリングするタイミングを規定する ンプリング信号として機能する。

 図18に、隣接ブロック間の電圧差を用い 組電池100の異常を検出する場合の他の構成 示す。ブロックB1の電圧を検出する電圧セン サ120-1からの検出電圧及びブロックB1に隣接 るブロックB2の電圧を検出する電圧センサ120 -2からの検出電圧VB2はともに減算器130-1に供 される。また、ブロックB2の電圧を検出する 電圧センサ120-2からの検出電圧VB2は分岐して 算器130-2にも供給される。また、ブロックB2 に隣接するブロックB3の電圧を検出する電圧 ンサ120-3からの検出電圧VB3は減算器130-2に供 給される。減算器130-1は、電圧VB1と電圧VB2の 圧差を演算して比較器140-1に供給する。減 器130-2は、電圧VB2と電圧VB3の電圧差を演算し て比較器140-2に供給する。比較器140-1は、減 器130-1から供給された電圧差を所定のしきい 値VTHと比較し、電圧差が所定のしきい値VTHと 一致するか否かを判定する。そして、電圧差 がしきい値VTHと一致するタイミングで一致信 号を判定部160に供給する。また、比較器140-2 、減算器130-2から供給された電圧差を所定 しきい値VTHと比較し、電圧差が所定のしき 値VTHと一致するか否かを判定する。そして 電圧差がしきい値VTHと一致するタイミング 一致信号を判定部160に供給する。この構成 は、仮にブロックB2に異常がある場合、その 異常は減算器130-1で演算される電圧差だけで く、減算器130-2で演算される電圧差にも影 を与えることになる。

 図19に、隣接ブロック間の電圧差が所定 しきい値VTHとなるタイミングで電流値をサ プリングした結果(電流と電圧差の関係を示 特性図)を示す。図において、横軸は電流値 であり、縦軸は電圧差である。組電池100が正 常な場合、図に示すように電圧差は0を通る 線であり、電圧差がしきい値VTHと一致する イミングにおける電流値I1やI2の値(絶対値) 基準電流値Irefよりも大きくなる。

 図20に、組電池100に自己短絡が生じた場 の特性図を示す。図4に示すように、自己短 が生じると直線群150と直線200は同一の傾き 有しているため電圧差はほぼ一定となり、 圧差がしきい値VTHと一致するタイミングに ける電流値はI1、I2、I3、I4、I5等と検出され 、基準電流値Irefよりも絶対値の小さい電流 が検出される。

 図21に、組電池100に微小短絡が生じた場 の特性図を示す。図5に示すように微小短絡 生じると放電時に電圧が低下するため、電 差は放電側において徐々に増大する特性と る。電圧差がしきい値VTHと一致するタイミ グにおける電流値はI1(放電側)と検出され、 基準電流値Irefよりも絶対値の小さい電流値I1 が検出される。

 図22に、組電池100にIR上昇が生じた場合の 特性図を示す。図6に示すようにIR上昇が生じ ると正常な直線群150に対して直線400のように 傾きが増大する。電圧差は正常な場合と同様 に0を通る直線であるが、IR上昇に伴いその傾 きが増大するため、電圧差がしきい値VTHと一 致するタイミングにおける電流値I1やI2の絶 値は徐々に小さくなる。すなわち、電流値I1 やI2の絶対値によりIR上昇の程度を評価する とができる。

 図23に、組電池100に容量低下(過充電)が生 じた場合の特性図を示す。図10に示すように 量低下(過充電)が生じると充電側において 圧が増大するため、電圧差は充電側におい 徐々に増大する特性となる。電圧差がしき 値VTHと一致するタイミングにおける電流値 I1(充電側)と検出され、基準電流値Irefよりも 絶対値の小さい電流値I1が検出される。

 以上のように、電圧差がしきい値VTHに一 するタイミングにおける電流値の大きさ(絶 対値)と基準電流値Irefとを大小比較し、基準 流値Irefよりも検出電流値の絶対値が大きい 場合には組電池100は正常と判定し、検出電流 値の絶対値が基準電流値Irefよりも小さい場 には組電池100は異常と判定できる。また、 出電流値の絶対値が基準電流値Irefよりも大 い場合でも、その値が小さい場合(基準電流 値に近い場合)には内部抵抗が上昇している 判定することができる。

 なお、図17の回路構成では仮にブロックB2 に異常が生じてもブロックB1とブロックB2の ずれに異常が生じたかを判別することはで ないが、図18の構成では電圧差VB1-VB2だけで く電圧差VB2-VB3も演算されているので、ブロ クB1ではなくブロックB2に異常が生じたと判 別することができる。

 このように、隣接ブロック間の電圧差が 定のしきい値VTHとなるタイミングにおける 流値を検出し、基準電流値Irefと大小比較す ることで、組電池100の異常を検出することが できる。図19~図23では、電圧差としてVB1-VB2等 を用いているが、絶対値を用いてもよいのは 言うまでもない。隣接ブロック間の電圧差を 用いる場合、電圧差を検出するための回路が 新たに必要となるが、組電池100をリチウムイ オン電池としてハイブリッド車両に搭載する 場合、単一のICで複数ブロックを管理する構 となるので、IC内部に電圧差検出回路を設 ればよい。