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Title:
DIELECTRIC CERAMIC AND LAMINATED CERAMIC CAPACITOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/123377
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a dielectric ceramic comprising crystal grains having a core-shell structure composed mainly of barium titanate and a solid solution of calcium, vanadium, magnesium, manganese, and at least one rare earth element selected from, yttrium, dysprosium, holmium, erbium, and terbium, and a grain boundary phase present among the crystal grains. A dielectric ceramic having a high permittivity, a small change in specific permittivity depending upon the temperature, and, at the same time, no significant dependence of insulating resistance upon voltage can be produced by incorporating vanadium, magnesium, rare earth element, and manganese in a predetermined ratio into the crystal grains and bringing a Curie temperature to a range of 95 to 105ºC.

Inventors:
OSUZU HIDEYUKI (JP)
YAMAZAKI YOUICHI (JP)
FUJIOKA YOSHIHIRO (JP)
FUKUDA DAISUKE (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/055951
Publication Date:
October 16, 2008
Filing Date:
March 27, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KYOCERA CORP (JP)
OSUZU HIDEYUKI (JP)
YAMAZAKI YOUICHI (JP)
FUJIOKA YOSHIHIRO (JP)
FUKUDA DAISUKE (JP)
International Classes:
C04B35/46; H01B3/12; H01G4/12; H01G4/30
Foreign References:
JP2007031273A2007-02-08
Attorney, Agent or Firm:
FUKAI, Toshikazu (7-31 Otemae 1-chome, Chuo-k, Osaka-shi Osaka 91, JP)
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Claims:
 チタン酸バリウムを主成分とし、カルシウムと、バナジウムと、マグネシウムと、マンガンと、イットリウム、ディスプロシウム、ホルミウム、エルビウムおよびテルビウムから選ばれる少なくとも1種の希土類元素とが固溶したコア・シェル構造の結晶粒子と、該結晶粒子間に存在する粒界相とを有する誘電体磁器であって、
 前記結晶粒子はカルシウム濃度が0.4原子%以上であるとともに、前記チタン酸バリウムを構成するバリウムおよびカルシウムの合計量100モルに対して、バナジウムをV 2 O 5 換算で0.1~0.2モル、マグネシウムをMgO換算で0.55~0.75モル、イットリウム、ディスプロシウム、ホルミウム、エルビウムおよびテルビウムから選ばれる少なくとも1種の希土類元素をRE 2 O 3 換算で0.55~0.75モル、およびマンガンをMnO換算で0.25~0.6モル含有し、キュリー温度が95~105℃であることを特徴とする誘電体磁器。
 前記マンガンをMnO換算で0.25~0.35モル含有することを特徴とする請求項1に記載の誘電体磁器。
 前記結晶粒子の平均粒径が0.25~0.35μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の誘電体磁器。
 請求項1乃至3のうちいずれかに記載の誘電体磁器からなる誘電体層と内部電極層との積層体から構成されていることを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
 
Description:
誘電体磁器および積層セラミッ コンデンサ

 本発明は、チタン酸バリウムを主成分と る結晶粒子により構成される誘電体磁器と それを誘電体層として用いる積層セラミッ コンデンサに関する。

 近年、携帯電話などモバイル機器の普及 、パソコンなどの主要部品である半導体素 の高速、高周波化に伴い、このような電子 器に搭載される積層セラミックコンデンサ 、小型、高容量化の要求がますます高まっ おり、積層セラミックコンデンサを構成す 誘電体層は薄層化と高積層化が求められて る。

 ところで、積層セラミックコンデンサを 成する誘電体層用の誘電体磁器として、従 より、カルシウムを固溶させたチタン酸バ ウム(以下、チタン酸バリウムカルシウムと いう。)を主成分とする誘電体材料が用いら ている。近年、このチタン酸バリウムカル ウムの粉末に、マグネシウムや希土類元素 の酸化物粉末を添加して、チタン酸バリウ カルシウムを主成分とする結晶粒子の表面 近に、さらにマグネシウムや希土類元素を 溶させた、いわゆるコア・シェル構造の結 粒子から構成された誘電体磁器が開発され 積層セラミックコンデンサとして実用化さ ている(例えば、特許文献1、2参照)。

 ここで、結晶粒子のコア・シェル構造とは 結晶粒子の中心部であるコア部と外殻部で るシェル部とが物理的、化学的に異なる相 形成している構造をいい、チタン酸バリウ やチタン酸バリウムカルシウムを主成分と る結晶粒子については、コア部は正方晶系 結晶構造を有するチタン酸バリウムやチタ 酸バリウムカルシウムで占められており、 ェル部は立方晶系の結晶構造を有するチタ 酸バリウムやチタン酸バリウムカルシウム より占められている状態をいう。

特開2000-58377号公報

特開2004-79686号公報

 しかしながら、上述のようなコア・シェ 構造の結晶粒子から構成された誘電体磁器 、比誘電率の向上および比誘電率の温度特 の安定性に優れているものの、誘電体磁器 直流電圧を印加し、その直流電圧を増加さ たときに絶縁抵抗の低下(以下、絶縁抵抗の 電圧依存性という。)が大きくなるという問 があった。

 そして、上述のように、コア・シェル構 の結晶粒子から構成された誘電体磁器を誘 体層として備えた積層セラミックコンデン は、誘電体磁器における上述のような絶縁 抗の電圧依存性に起因して高温負荷試験で 寿命特性を向上させることが困難となって た。

 従って本発明は、高誘電率かつ比誘電率 温度特性の安定性に優れるとともに、絶縁 抗の電圧依存性の小さい誘電体磁器と、こ ような誘電体磁器を誘電体層として備え、 温負荷試験での寿命特性に優れた積層セラ ックコンデンサを提供することを目的とす 。

 本発明の誘電体磁器は、チタン酸バリウム 主成分とし、カルシウムと、バナジウムと マグネシウムと、マンガンと、イットリウ 、ディスプロシウム、ホルミウム、エルビ ムおよびテルビウムから選ばれる少なくと 1種の希土類元素とが固溶したコア・シェル 構造の結晶粒子と、該結晶粒子間に存在する 粒界相とを有する誘電体磁器であって、前記 結晶粒子はカルシウム濃度が0.4原子%以上で るとともに、前記チタン酸バリウムを構成 るバリウムおよびカルシウムの合計量100モ に対して、バナジウムをV 2 O 5 換算で0.1~0.2モル、マグネシウムをMgO換算で0. 55~0.75モル、イットリウム、ディスプロシウ 、ホルミウム、エルビウムおよびテルビウ から選ばれる少なくとも1種の希土類元素をR E 2 O 3 換算で0.55~0.75モル、およびマンガンをMnO換算 で0.25~0.6モル含有し、キュリー温度が95~105℃ あることを特徴とする。

 また、上記誘電体磁器では、前記マンガ をMnO換算で0.25~0.35モル含有することが望ま い。

 上記誘電体磁器では、前記結晶粒子の平 粒径が0.25~0.35μmであることが望ましい。

 本発明の積層セラミックコンデンサは、 記の誘電体磁器からなる誘電体層と内部電 層との積層体から構成されていることを特 とする。

 本発明の誘電体磁器によれば、チタン酸 リウムに対して、カルシウム、バナジウム マグネシウム、希土類元素およびマンガン それぞれ所定の割合で含有させるとともに 誘電体磁器の結晶粒子をコア・シェル構造 し、キュリー温度を95~105℃の範囲としたこ により、高誘電率でかつ比誘電率の温度変 率を小さくできるとともに、電圧を印加し ときの絶縁抵抗の低下が小さい(絶縁抵抗の 電圧依存性の小さい)誘電体磁器を得ること できる。

 また、本発明の誘電体磁器に対して、マ ガンをMnO換算で0.25~0.35モル含有させたとき は絶縁抵抗の電圧依存性がほとんど無い誘 体磁器を得ることができる。

 本発明の誘電体磁器に対して、さらに、 タン酸バリウムを主成分とする結晶粒子の 均粒径を0.25~0.35μmとしたときには、印加す 直流電圧の所定の範囲において、絶縁性が 加する傾向を示す誘電体磁器を得ることが きる。

 また、本発明の積層セラミックコンデン によれば、誘電体層として、上記の誘電体 器を適用することにより、誘電体層を薄層 しても高い絶縁性を確保でき、このため高 負荷試験においても寿命特性に優れた積層 ラミックコンデンサを得ることができる。

(a)は、本発明の誘電体磁器を構成する ア・シェル構造を有するチタン酸バリウム ルシウムを主成分とする結晶粒子の断面模 図であり、(b)は、(a)の断面における希土類 素またはマグネシウムの濃度変化を示した 式図である。 本発明の積層セラミックコンデンサの を示す縦断面図である。

 本発明の誘電体磁器は、実質的にコア・シ ル構造を有し、チタン酸バリウムを主成分 し、カルシウムと、バナジウムと、マグネ ウムと、マンガンと、イットリウム、ディ プロシウム、ホルミウム、エルビウムおよ テルビウムから選ばれる少なくとも1種の希 土類元素とが固溶した結晶粒子と、この結晶 粒子間に存在する粒界相とを有し、前記結晶 粒子はカルシウム濃度が0.4原子%以上である ともに、バリウムおよびカルシウムの合計 100モルに対して、バナジウムをV 2 O 5 換算で0.1~0.2モル、マグネシウムをMgO換算で0. 55~0.75モル、イットリウム、ディスプロシウ 、ホルミウム、エルビウムおよびテルビウ から選ばれる少なくとも1種の希土類元素をR E 2 O 3 換算で0.55~0.75モル、およびマンガンをMnO換算 で0.25~0.6モル含有する。

 また、本発明の誘電体磁器では、キュリ 温度が95~105℃である。なお、本発明におけ キュリー温度は比誘電率の温度特性を測定 た範囲(-60~150℃)において比誘電率が最大と る温度である。

 上記組成およびキュリー温度の範囲である 、室温(25℃)における比誘電率を3300以上に き、また、比誘電率の温度特性がX5R(-55~85℃ 温度範囲において、25℃に対する比誘電率 変化率が±15%以内)を満足し、さらに、単位 み(1μm)当たりに印加する直流電圧の値を12.5V としたときの絶縁抵抗を10 10 ω以上にできるという利点がある。

 図1(a)は、本発明の誘電体磁器を構成する コア・シェル構造を有するチタン酸バリウム を主成分とする結晶粒子の断面模式図であり 、図1(b)は、(a)の断面における希土類元素ま はマグネシウムの濃度変化を示した模式図 ある。

 図1(a)(b)に見られるように、本発明の誘電 体磁器を構成する結晶粒子は、チタン酸バリ ウムを主成分とするコア部1と、このコア部1 周囲に形成されたチタン酸バリウムを主成 とするシェル部3とから構成されている。

 結晶粒子中には、カルシウム、バナジウ 、マグネシウム、希土類元素およびマンガ が固溶しており、特に、マグネシウムや希 類元素の固溶状態を見ると、シェル部3はコ ア部1よりもマグネシウムまたは希土類元素 濃度勾配が高くなっている。

 図1(b)に示すように、結晶粒子の最表面SS らコア部1側に向けた希土類元素やマグネシ ウムの濃度変化が、コア部1の表面Sからコア 1の中心部Cに向けた希土類元素またはマグ シウムの濃度変化よりも大きくなっている

 本発明の誘電体磁器を構成するコア・シ ル構造を有する結晶粒子では、シェル部3に おける希土類元素やマグネシウムの濃度変化 が結晶粒子の最表面SSを最高濃度として、こ 最表面SSから内部にかけて0.05原子%/nm以上の 濃度変化を有するものをいい、一方、コア部 1は希土類元素またはマグネシウムの濃度変 がシェル部3よりも小さいものをいう。なお この測定は元素分析機器を付設した透過電 顕微鏡装置を用いて測定する。この場合、 晶粒子の表面側から中心部Cにかけて所定の 間隔でエネルギー分散型分析器(EDS)を用いて 素分析を行うことにより希土類元素または グネシウムの濃度変化を求める。

 そして、本発明の誘電体磁器では、チタ 酸バリウムに対して、カルシウム、バナジ ム、マグネシウム、マンガン、およびイッ リウム、ディスプロシウム、ホルミウム、 ルビウムおよびテルビウムから選ばれる少 くとも1種の希土類元素の一部または全部を 固溶させるとともに、これらの成分が固溶し たチタン酸バリウムを主成分とする結晶粒子 により形成された誘電体磁器のキュリー温度 を95~105℃と、キュリー温度を室温側にシフト させる。

 このことでキュリー温度が140℃付近にあ コア・シェル構造を有したチタン酸バリウ を主成分とする結晶粒子を持つ従来の誘電 磁器に対して高誘電率化が図れるとともに コア・シェル構造を有する結晶粒子におい 、従来に比較してコア部1の割合が減少し、 シェル部3の体積割合が増加し、その結果、 い絶縁抵抗を有する誘電体磁器を得ること できる。

 従来の誘電体磁器においては、コア部1を 形成しているチタン酸バリウム中にはマグネ シウムや希土類元素の固溶量が少ないために 、結晶粒子中に酸素空孔などの欠陥を多く含 んだ状態となっている。このため直流電圧を 印加した場合に、誘電体磁器を構成する結晶 粒子の内部において酸素空孔などが電荷を運 ぶキャリアになりやすく、誘電体磁器の絶縁 性を低下させる原因となっている。

 これに対して、本発明の誘電体磁器は、 晶粒子の内部におけるコア部1の割合を減少 させることによりコア部1を形成しているチ ン酸バリウムに由来する酸素空孔などのキ リア密度を減少させ、希土類元素やマグネ ウムを多く含み、酸素空孔の少ないシェル 3の割合を高めることができるために高い絶 性を得ることができると考えられる。

 ただし、バリウムおよびカルシウムの合計 100モルに対するバナジウムの含有量がV 2 O 5 換算で0.1モルよりも少ないか、または0.2モル よりも多い場合、また、バリウムおよびカル シウムの合計量100モルに対するマグネシウム の含有量がMgO換算で0.55モルよりも少ないか または0.75モルよりも多い場合、また、バリ ムおよびカルシウムの合計量100モルに対す イットリウム、ディスプロシウム、ホルミ ム、エルビウムおよびテルビウムから選ば る少なくとも1種の希土類元素の含有量がRE 2 O 3 換算で0.55モルよりも少ないか、または0.75モ よりも多い場合、また、バリウムおよびカ シウムの合計量100モルに対するマンガンの 有量がMnO換算で0.25モルよりも少ない場合に は、いずれも単位厚み当たりの直流電圧12.5V おける絶縁抵抗が10 10 ωよりも低下し、さらにバリウムおよびカル ウムの合計量100モルに対するマンガンの含 量がMnO換算で0.6モルよりも多い場合には比 電率が低下する。

 そのため、バリウムおよびカルシウムの合 量100モルに対して、バナジウムをV 2 O 5 換算で0.1~0.2モル、マグネシウムをMgO換算で0. 55~0.75モル、イットリウム、ディスプロシウ 、ホルミウム、エルビウムおよびテルビウ から選ばれる少なくとも1種の希土類元素をR E 2 O 3 換算で0.55~0.75モル、およびマンガンをMnO換算 で0.25~0.6モル含有するものである。

 好ましい組成としては、バリウムおよびカ シウムの合計量100モルに対して、バナジウ をV 2 O 5 換算で0.1~0.2モル、マグネシウムをMgO換算で0. 55~0.75モル、イットリウム、ディスプロシウ 、ホルミウム、エルビウムおよびテルビウ から選ばれる少なくとも1種の希土類元素をR E 2 O 3 換算で0.55~0.75モルに、マンガンをMnO換算で0.2 5~0.35モル含有するものが良く、この範囲の誘 電体磁器は、単位厚み当たりに印加する直流 電圧の値を3.15Vと12.5Vとして絶縁抵抗を評価 たときに、絶縁抵抗の低下のほとんど無い 電体磁器を得ることができる。なお、希土 元素としては、より高い比誘電率が得られ 絶縁抵抗が高いという点で、特に、イット ウムが好ましい。

 また、本発明の誘電体磁器ではキュリー温 が95~105℃である。即ち、マンガンの含有量 多くなりキュリー温度が95℃よりも低い場 には比誘電率が低下し、一方、キュリー温 が105℃よりも高い場合には、いずれも誘電 磁器の単位厚み(1μm)当たりに印加する直流 圧を3.15Vおよび12.5Vとしたときの絶縁抵抗が1 0 10 ωよりも低くなる。そして、上述したように 本発明では、結晶粒子におけるコア部1の割 合を少なくし、シェル部3の割合の多い構造 でき、これによりキュリー温度を95~105℃と ることができ、その結果、比誘電率が高く つ絶縁抵抗の高いものとなる。

 結晶粒子中におけるカルシウム濃度は0.4 子%以上である。結晶粒子中におけるカルシ ウム濃度が0.4原子%よりも低い場合にはキュ ー温度が95℃よりも低くなり、比誘電率が低 下するおそれがある。

 なお、結晶粒子中のカルシウム濃度(以下 、Ca濃度ということもある。)については、誘 電体磁器の断面を研磨した研磨面に存在する 結晶粒子に対して、元素分析機器を付設した 透過型電子顕微鏡を用いて元素分析を行う。 このとき電子線のスポットサイズは5nmとし、 分析する箇所は結晶粒子の粒界付近から中心 へ向けて引いた直線上のうち粒界からほぼ等 間隔に4~5点とし、各測定点から検出されるBa Ti、Ca、V、Mg、RE(希土類元素)およびMnの全量 を100%としたときのカルシウムの割合を求め 各測定点で求めたカルシウムの割合の平均 をCa濃度として求める。

 また、本発明の誘電体磁器では、高誘電 化を可能にするという点で結晶粒子のサイ は大きくてもよいが、静電容量のばらつき 小さくするという点で0.5μm以下が好ましく さらには、結晶粒子の平均粒径が0.25~0.35μm あることが望ましい。結晶粒子の平均粒径 0.25~0.35μmであると、印加する直流電圧が誘 体磁器の単位厚み(1μm)当たりに3.15Vと12.5Vと の間で絶縁抵抗が増加する傾向(正の変化)を す高絶縁性の誘電体磁器を得ることができ という利点がある。

 この場合、誘電体層を構成する結晶粒子 平均粒径は走査型電子顕微鏡(SEM)により求 る。まず、研磨した誘電体磁器の研磨面を ッチングし、電子顕微鏡写真内の結晶粒子 任意に20個選択し、インターセプト法により 各結晶粒子の最大径を求め、それらの平均値 から求める。また、誘電体粉末の平均粒径に 対する結晶粒子の平均粒径の比から粒成長率 を評価する。

 なお、本発明の誘電体磁器では所望の誘 特性を維持できる範囲であれば焼結性を高 るための助剤としてガラス成分を含有させ も良い。

 次に、本発明の誘電体磁器を製造する方法 ついて説明する。まず、原料粉末として、 タン酸バリウムにカルシウムを固溶させた タン酸バリウムカルシウム粉末(純度99%以上 )に対し、添加剤として、V 2 O 5 粉末とMgO粉末、さらに、Y 2 O 3 粉末、Dy 2 O 3 粉末、Ho 2 O 3 粉末、Er 2 O 3 粉末およびTb 2 O 3 粉末から選ばれる少なくとも1種の希土類元 の酸化物粉末およびMnCO 3 粉末を添加、混合する。

 チタン酸バリウムカルシウム粉末としては チタン酸バリウムのBaサイトの一部がCaで置 換されたペロブスカイト型のチタン酸バリウ ムであり、化学式(Ba 1-x Ca x )TiO 3 で表される。なお、本発明において、Baサイ 中のCa置換量は、X=0.01~0.2であることが好ま い。Ca置換量がこの範囲内であれば、コン ンサとして使用する温度範囲において優れ 温度特性およびDCバイアス特性を確保できる 。

 また、チタン酸バリウムカルシウム粉末 含まれるカルシウムは、そのチタン酸バリ ムカルシウム中に均一に分散した状態で固 しているものが良く、分析値としてのカル ウム濃度が0.4原子%以上であるものを用いる 。チタン酸バリウムカルシウム粉末に含まれ るCaの置換量が少なくなると、結晶粒子中に けるカルシウム濃度が0.4原子%よりも低下し 、キュリー温度が95℃よりも低くなり、比誘 率が低下する原因となる。

 また、チタン酸バリウムカルシウム粉末 平均粒径は0.05~0.15μmが好ましい。チタン酸 リウムカルシウム粉末の平均粒径が0.05μm以 上であると、結晶粒子中にコア・シェル構造 を形成し易くなりコア部1の割合を所定量確 することができるために比誘電率の向上を れるという利点がある。

 一方、チタン酸バリウムカルシウム粉末 平均粒径が0.15μm以下であると、上記添加剤 を結晶粒子の内部にまで固溶させることが容 易となり、また、後述するように、焼成前後 における、チタン酸バリウムカルシウム粉末 から結晶粒子への粒成長の比率を高められる という利点がある。

 また、添加剤であるY 2 O 3 粉末、Dy 2 O 3 粉末、Ho 2 O 3 粉末、Er 2 O 3 粉末およびTb 2 O 3 粉末から選ばれる少なくとも1種の希土類元 の酸化物粉末、V 2 O 5 粉末、MgO粉末およびMnCO 3 粉末についても平均粒径はチタン酸バリウム カルシウム粉末と同等、もしくはそれ以下の ものを用いることが好ましい。

 次いで、これらの原料粉末を、チタン酸バ ウムカルシウム粉末を構成するバリウムお びカルシウムの合計量100モルに対して、V 2 O 5 粉末を0.1~0.2モル、MgO粉末を0.55~0.75モル、希 類元素の酸化物粉末を0.55~0.75モル、およびMn CO 3 粉末をMnOとして0.25~0.6モルの割合で配合し、 らに焼結助剤としてガラス粉末を添加し、 れに有機ビヒクルを加えてボールミルを用 て混合し、所定の形状に成形し、この成形 を脱脂したのち還元雰囲気中にて焼成する

 焼成温度は、本発明におけるチタン酸バ ウムカルシウム粉末への添加剤の固溶と結 粒子の粒成長を制御するという理由から1100 ~1150℃が好ましい。

 本発明では、かかる誘電体磁器を得るた に、微粒のチタン酸バリウムカルシウム粉 を用い、これに上述の添加剤を所定量添加 、上記温度で焼成することで、各種の添加 を含ませたチタン酸バリウムカルシウム粉 を、その平均粒径が焼成前後で2倍以上にな るように焼成する。焼成後における結晶粒子 の平均粒径がバナジウムや他の添加剤を含ま せたチタン酸バリウムカルシウム粉末の平均 粒径の2倍以上になるように焼成することで 結晶粒子は添加成分の固溶が高まり、その 果、コア部1の割合が減少し、シェル部3の体 積割合が増加する。

 また、本発明では、焼成後に、再度、弱 元雰囲気にて熱処理を行う。この熱処理は 元雰囲気中での焼成において還元された誘 体磁器を再酸化し、焼成時に還元されて低 した絶縁抵抗を回復するために行うもので り、その温度は結晶粒子の更なる粒成長を えつつ再酸化量を高めるという理由から900~ 1100℃が好ましい。こうして結晶粒子中にお て高絶縁性のシェル部3の体積割合が増加し 95~105℃のキュリー温度を示す誘電体磁器を 成することができる。

 図2は本発明の積層セラミックコンデンサ の例を示す断面模式図である。本発明の積層 セラミックコンデンサは、コンデンサ本体10 両端部に外部電極9が設けられたものであり 、また、コンデンサ本体10は誘電体層5と内部 電極層7とが交互に積層された積層体10Aから 成されている。そして、誘電体層5は上述し 本発明の誘電体磁器によって形成される。

 このような本発明の積層セラミックコン ンサによれば、誘電体層5として、上記の誘 電体磁器を適用することにより、誘電体層5 薄層化しても高い絶縁性を確保でき、高温 荷試験での寿命特性に優れた積層セラミッ コンデンサを得ることができる。

 ここで、誘電体層5の厚みは3μm以下、特 、2.5μm以下であることが積層セラミックコ デンサを小型高容量化する上で好ましく、 らに本発明では静電容量のばらつきを小さ しつつ、容量温度特性の安定化のために、 電体層5の厚みは1μm以上であることがより望 ましい。

 内部電極層7は高積層化しても製造コスト を抑制できるという点で、ニッケル(Ni)や銅(C u)などの卑金属が望ましく、特に、本発明に ける誘電体層5との同時焼成が図れるという 点でニッケル(Ni)がより望ましい。

 外部電極9は、例えば、CuもしくはCuとNiの 合金ペーストを焼き付けて形成される。

 次に、積層セラミックコンデンサの製造 法について説明する。上記の素原料粉末に 用の有機ビヒクルを加えてセラミックスラ を調製し、次いで、セラミックスラリをド ターブレード法やダイコータ法などのシー 成形法を用いてセラミックグリーンシート 形成する。この場合、セラミックグリーン ートの厚みは誘電体層の高容量化のための 層化、高絶縁性を維持するという点で1~4μm 好ましい。

 次に、得られたセラミックグリーンシー の主面上に矩形状の内部電極パターンを印 して形成する。内部電極パターンとなる導 ペースト用の材料としてはNi、Cuもしくはこ れらの合金粉末が好適である。

 次に、内部電極パターンが形成されたセ ミックグリーンシートを所望枚数重ねて、 の上下に内部電極パターンを形成していな セラミックグリーンシートを複数枚、上下 が同じ枚数になるように重ねてシート積層 を形成する。この場合、シート積層体中に ける内部電極パターンは、長手方向に半パ ーンずつずらしてある。

 次に、シート積層体を格子状に切断して 内部電極パターンの端部が露出するように ンデンサ本体成形体を形成する。このよう 積層工法により、切断後のコンデンサ本体 形体の端面に内部電極パターンが交互に露 されるように形成できる。

 次に、コンデンサ本体成形体を脱脂した ち、上述した誘電体磁器と同様の焼成条件 よび弱還元雰囲気での熱処理を行うことに りコンデンサ本体を作製する。

 次に、このコンデンサ本体の対向する端 に、外部電極ペーストを塗布して焼付けを い外部電極を形成する。また、この外部電 の表面には実装性を高めるためにメッキ膜 形成しても構わない。

 まず、素原料粉末として、2種類のチタン酸 バリウムカルシウム粉末(以下、BCT粉末とい 。組成:Ba 0.95 Ca 0.05 TiO 3 またはBa 0.98 Ca 0.02 TiO 3 )、MgO粉末、Y 2 O 3 粉末、Dy 2 O 3 粉末、Ho 2 O 3 粉末、Er 2 O 3 粉末、Tb 2 O 3 粉末、MnCO 3 粉末およびV 2 O 5 粉末を準備し、これらの各種粉末を表1に示 割合で混合した。これらの原料粉末は純度 99.9%のものを用いた。なお、BCT粉末の平均粒 径は表1に示した。MgO粉末、Y 2 O 3 粉末、Dy 2 O 3 粉末、Ho 2 O 3 粉末、Er 2 O 3 粉末、Tb 2 O 3 粉末、MnCO 3 粉末およびV 2 O 5 粉末は平均粒径が0.1μmのものを用いた。BCT粉 末のBa/Ti比は1.005とした。焼結助剤はSiO 2 =55、BaO=20、CaO=15、Li 2 O=10(モル%)組成のガラス粉末を用いた。ガラ 粉末の添加量はBCT粉末100質量部に対して1質 部とした。

 次に、これらの原料粉末を直径5mmのジル ニアボールを用いて、溶媒としてトルエン アルコールとの混合溶媒を添加し湿式混合 た。

 湿式混合した粉末にポリビニルブチラー 樹脂およびトルエンとアルコールの混合溶 を添加し、同じく直径5mmのジルコニアボー を用いて湿式混合しセラミックスラリを調 し、ドクターブレード法により厚み2.5μmの ラミックグリーンシートを作製した。

 このセラミックグリーンシートの上面にN iを主成分とする矩形状の内部電極パターン 複数形成した。内部電極パターンに用いた 体ペーストは、平均粒径が0.3μmのNi粉末と、 共材としてグリーンシートに用いたBCT粉末と を含むものであり、BCT粉末はNi粉末100質量部 対して30質量部添加した。

 次に、内部電極パターンを印刷したセラミ クグリーンシートを360枚積層し、その上下 に内部電極パターンを印刷していないセラ ックグリーンシートをそれぞれ20枚積層し プレス機を用いて温度60℃、圧力10 7 Pa、時間10分の条件で一括積層し、所定の寸 に切断した。

 次に、積層成形体を脱バインダ処理し、次 で、水素-窒素中、1100~1145℃で2時間焼成し あと、さらに、窒素雰囲気中1000℃で4時間再 酸化処理をして、コンデンサ本体を作製した 。このコンデンサ本体の大きさは0.95×0.48×0.4 8mm 3 、誘電体層の厚みは2μm、内部電極層の1層の 効面積は0.3mm 2 であった。なお、有効面積とは、コンデンサ 本体の異なる端面にそれぞれ露出するように 積層方向に交互に形成された内部電極層同士 の重なる部分の面積のことである。

 次に、焼成したコンデンサ本体をバレル 磨した後、コンデンサ本体の両端部にCu粉 とガラスを含んだ外部電極ペーストを塗布 、850℃で焼き付けを行い外部電極を形成し 。その後、電解バレル機を用いて、この外 電極の表面に、順にNiメッキ及びSnメッキを い、積層セラミックコンデンサを作製した

 次に、これらの積層セラミックコンデン について以下の評価を行った。以下の評価 いずれも試料数10個とし、平均値を求めた 比誘電率は静電容量を温度25℃、周波数1.0kHz 、測定電圧1Vrmsの測定条件で測定し、誘電体 の厚みと内部電極層の有効面積から求めた また、比誘電率の温度特性は静電容量を温 -55~85℃の範囲で測定した。キュリー温度は 誘電率の温度特性を測定した範囲において 誘電率が最大となる温度として求めた。絶 抵抗は直流電圧6.3Vおよび25Vにて評価した。

 高温負荷試験は温度85℃において、印加 圧9.45Vおよび12.6Vの条件で行い、1000時間まで 不良なしを良品とした。高温負荷試験での試 料数は各試料20個とした。

 また、誘電体層を構成する結晶粒子の平 粒径は走査型電子顕微鏡(SEM)により求めた 研磨面をエッチングし、電子顕微鏡写真内 結晶粒子を任意に20個選択し、インターセプ ト法により各結晶粒子の最大径を求め、それ らの平均値を求め、また、誘電体粉末からの 平均粒径をD1、結晶粒子の平均粒径をD2とし D2/D1の比からの粒成長率を評価した。

 また、カルシウム濃度については、研磨 た誘電体磁器中に存在する結晶粒子に対し 、透過電子顕微鏡およびエネルギー分散分 器(EDS)を用いて、結晶粒子の中心部近傍の 意の場所を分析して求めた。このとき、結 粒子から検出されるBa、Ti、Ca、V、Mg、希土 元素およびMnの全量を100%として、その含有 を求めた。評価した結晶粒子は各試料につ て100点とし平均値を求めた。

 また、希土類元素の濃度勾配の測定を、 素分析機器(EDS)を付設した透過電子顕微鏡 用いて測定した。この場合、積層セラミッ コンデンサの積層方向の断面を研磨し、各 料の結晶粒子の最表面側から中心部にかけ 5nmの間隔でEDSを用いて元素分析を行うこと より各測定点での希土類元素の濃度を求め 。次に、各測定点での希土類元素の濃度を 横軸を結晶粒子の最表面から内部への距離 縦軸を希土類元素の濃度とする座標上にプ ットし、次いで、各プロットを直線で結び 晶粒子中の希土類元素の濃度変化のグラフ 作成した。そして、このグラフにおいて、 きの大きく変わる点を境界と定め、境界よ も結晶粒子の最表面側をシェル部、境界よ も内部側をコア部とし、コア・シェル構造 判定を行った。この評価における希土類元 の濃度勾配は、30000倍にて撮影した誘電体磁 器の所定の面積内にある測定可能な結晶粒子 から5個の結晶粒子を任意に抽出して測定し それらの平均値より求めた。

 また、得られた焼結体である試料の組成分 はICP(Inductively Coupled Plasma)分析もしくは原 吸光分析により行った。この場合、得られ 誘電体磁器を硼酸と炭酸ナトリウムと混合 溶融させたものを塩酸に溶解させて、まず 原子吸光分析により誘電体磁器に含まれる 素の定性分析を行い、次いで、特定した各 素について標準液を希釈したものを標準試 として、ICP発光分光分析にかけて定量化し 。また、各元素の価数を周期表に示される 数として酸素量を求めた。調合組成と焼成 度を表1-a,1-bに、焼結体中の各元素の組成を 表2-a,2-bに、および特性の結果を表3-a,3-bにそ ぞれ示した。
 
 表1~3の結果から明らかなように、磁器中に ナジウム、マグネシウム、イットリウム、 ィスプロシウム、ホルミウム、エルビウム よびテルビウムから選ばれる少なくとも1種 の希土類元素およびマンガンを所定量含有さ せて、キュリー温度を95~105℃の誘電体磁器か らなる誘電体層とした試料No.2~4、8~10、16~18、 24~28、30~34および38~43では、印加電圧を6.3Vお び25Vとしたときの直流電圧の増加に対する 縁抵抗の低下が小さく、印加電圧25Vにおけ 絶縁抵抗が10 10 ω以上を示し、比誘電率が3300以上であった。 これらの試料はいずれも焼成前のBCT粉末の平 均粒径と焼成後の結晶粒子の平均粒径の変化 率である焼成前後の粒成長率が225%以上であ た。また、これら本発明の誘電体磁器を誘 体層とする積層セラミックコンデンサにつ て、温度85℃、印加電圧9.45Vの条件で高温負 試験を行ったところ、いずれも1000時間経過 後も不良ゼロであった。

 また、試料No.2~4、8~10、16~18、24~28、30~34お よび38~43の誘電体磁器については、結晶粒子 シェル部における希土類元素の濃度勾配が0 .05原子%/nm以上であり、一方、コア部におけ 濃度勾配はシェル部における希土類元素の 度勾配よりも小さいものであった。この結 から上記試料の誘電体磁器はコア・シェル 造を有していることを確認した。

 また、マンガンの含有量を0.25~0.35モルと た試料No.2~4、8~10、16~18、24~25、30~34および38~ 43では、いずれも直流電圧の増加に対する絶 抵抗の低下が無く、また、これらの試料は 度85℃、印加電圧12.6V、1000時間の高温負荷 験を満足するものであった。

 さらに、結晶粒子の平均粒径が0.25~0.35μm ある試料No.2、3、9、10、24、25、31~32および38 ~41では、いずれも直流電圧の増加に対する絶 縁抵抗の変化が増加する傾向を示し、絶縁特 性に優れた誘電体磁器が得られた。

 これに対して、本発明の範囲外の試料No.1、 5~7、11~15および19~23では、印加電圧を6.3Vおよ 25Vとしたときの直流電圧の増加に対する絶 抵抗が低下する傾向を示し、かつ直流電圧2 5Vにおける絶縁抵抗が10 10 ωよりも低かった。

 また、マンガンを0.8モル含有させた試料N o.29ではキュリー温度が91℃となり、比誘電率 が3100と本発明の誘電体磁器よりも低くかっ 。

 また、焼成前のBCT粉末の平均粒径と焼成後 結晶粒子の平均粒径の変化率である焼成前 の粒成長率が105%~210%であり、キュリー温度 115℃~140℃である試料No.35~37では比誘電率が2 400~2700であった。また、これら試料No.35~37に いては直流電圧の増加に対して絶縁抵抗が 下する傾向を示し、直流電圧25Vにおける絶 抵抗が10 10 ωよりも低かった。

 また、Caの置換量をX=0.02としたチタン酸 リウム粉末を用いて作製した試料No.44は結晶 粒子中に含まれるCa濃度が0.2原子%となり、キ ュリー温度が85℃となり、比誘電率が3100と低 かった。

 また、本発明の範囲外の試料では、温度8 5℃、印加電圧9.45Vの条件での高温負荷試験の 寿命が1000時間を満足しなかった。