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Title:
FATTY ACID METHYL ESTER MANUFACTURING METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/107739
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method whereby fatty acid methyl esters can be manufactured in a short time at high yield by an ester substitution reaction between a glyceride and methanol. A fatty acid methyl ester is manufactured by causing an ester substitution reaction between a glyceride and methanol in the presence of calcium methoxide powder with a mean grain size in the range of 0.10 to 10 µm. Calcium methoxide powder is supplied in the form of a calcium methoxide fluid dispersion or in a form in which said calcium methoxide fluid dispersion is diluted with methanol. The calcium methoxide fluid dispersion is prepared by pulverizing calcium oxide powder with a mean grain size in the range of 1 to 100 µm, a BET ratio surface area in the range of 1 to 10 m2/g, and a total pore volume of pores with diameters in the range of 2 to 100 nm in the range of 0.010 to 0.10 mL/g in methanol, causing calcium methoxide powder with a mean grain size that is 70% or less of the mean grain size of said calcium oxide powder to be produced in said methanol.

Inventors:
KANEKO KEIICHI (JP)
WATANABE TAKAYUKI (JP)
MISHIMA TAKUYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/053586
Publication Date:
September 03, 2009
Filing Date:
February 26, 2009
Export Citation:
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Assignee:
UBE MAT IND LTD (JP)
KANEKO KEIICHI (JP)
WATANABE TAKAYUKI (JP)
MISHIMA TAKUYA (JP)
International Classes:
C11C3/10; C07F3/04
Domestic Patent References:
WO2007088702A12007-08-09
Foreign References:
JP2008212772A2008-09-18
Other References:
LIU ET AL.: "Calcium methoxide as a solid base catalyst for the transesterification of soybean oil to biodiesel with methanol", FUEL, vol. 87, no. 7, 2008, pages 1076 - 1082
MARTYANOV ET AL.: "Comparative study of triglyceride transeste rification in the presence of catalytic amounts of sodium, magnesium, and calcium methoxides", APPLIED CATALYSIS A: GENERAL, vol. 339, no. 1, 2008, pages 45 - 52
KAWASHIMA F. ET AL.: "3-72 Kotei Shokubaiho ni yoru Bio Diesel Nenryo no Seizo Gijutsu Kaihatsu", THE JAPAN INSTITUTE OF ENERGY KOEN YOSHISHU, 2007, pages 242 - 243
GRYGLEWICZ: "Rapeseed oil methyl esters preparation using hetero geneous catalysts", BIORESOURCE TECHNOLOGY, vol. 70, no. 3, 1999, pages 249 - 253
WITHUM ET AL.: "Treatment of Hydrated Lime with Methanol for In-Duct Desulfurization Sorbent Improvement", ENVIRONMENTAL SCIENCE & TECHNOLOGY, vol. 23, no. 7, 1989, pages 821 - 827
Attorney, Agent or Firm:
YANAGAWA, YASUO (JP)
Yasuo Yanagawa (JP)
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Claims:
 グリセリドとメタノールとをカルシウムメトキシド粉末の存在下でエステル交換反応させることにより、脂肪酸メチルエステルを製造する方法において、上記カルシウムメトキシド粉末は、平均粒子径が0.10~10μmの範囲にあって、カルシウムメトキシド分散液の形態もしくは該カルシウムメトキシド分散液がメタノールで希釈された形態で供給され、該カルシウムメトキシド分散液は、平均粒子径が1~100μmの範囲、BET比表面積が1~10m 2 /gの範囲、そして直径が2~100nmの範囲にある細孔の全細孔容積が0.010~0.10mL/gの範囲にある酸化カルシウム粉末をメタノール中で粉砕し、該酸化カルシウム粉末の平均粒子径の70%以下の平均粒子径を持つカルシウムメトキシド粉末を該メタノール中で生成させることにより調製されたことを特徴とする脂肪酸メチルエステルの製造方法。
 カルシウムメトキシド粉末が、BET比表面積が20~60m 2 /gの範囲、そして直径が2~100nmの範囲にある細孔の全細孔容積が0.10~1.0mL/gの範囲にある請求項1に記載の脂肪酸メチルエステルの製造方法。
 カルシウムメトキシド粉末が、直径が10~100nmの範囲にある細孔の全細孔容積が0.060~0.80mL/gの範囲にある請求項2に記載の脂肪酸メチルエステルの製造方法。
 酸化カルシウム粉末が重質炭酸カルシウムを大気下で焼成することにより得られた酸化カルシウム粉末である請求項1に記載の脂肪酸メチルエステルの製造方法。
 平均粒子径が0.10~10μmの範囲にあるカルシウムメトキシド粉末がメタノール中に分散されてなり、平均粒子径が1~100μmの範囲、BET比表面積が1~10m 2 /gの範囲、そして直径が2~100nmの範囲にある細孔の全細孔容積が0.010~0.10mL/gの範囲にある酸化カルシウム粉末をメタノール中で粉砕し、該酸化カルシウム粉末の平均粒子径の70%以下の平均粒子径を持つカルシウムメトキシド粉末を該メタノール中で生成させることにより調製されたカルシウムメトキシド分散液。
 カルシウムメトキシド粉末が、BET比表面積が20~60m 2 /gの範囲、そして直径が2~100nmの範囲にある細孔の全細孔容積が0.10~1.0mL/gの範囲にある請求項5に記載のカルシウムメトキシド分散液。
 カルシウムメトキシド粉末が、直径が10~100nmの範囲にある細孔の全細孔容積が0.060~0.80mL/gの範囲にある請求項6に記載のカルシウムメトキシド分散液。
 グリセリドとメタノールとのエステル交換反応用触媒である請求項5に記載のカルシウムメトキシド分散液。
Description:
脂肪酸メチルエステルの製造方

 本発明は、グリセリド(油脂)とメタノー とのエステル交換反応を利用する脂肪酸メ ルエステルの製造方法に関するものである

 植物油あるいは飲食店や一般家庭から回 した廃食用油などの油脂を、脂肪族アルコ ルとエステル交換反応させて、脂肪酸アル ルエステルとして利用することが行なわれ いる。特に、油脂とメタノールとのエステ 交換反応によって得られる脂肪酸メチルエ テルは、バイオディーゼル燃料とも呼ばれ 石油系燃料と比べて硫黄分や芳香族分の混 が少ないことから、環境への負荷が小さい 料として注目されている。

 油脂とメタノールとのエステル交換反応 際して用いる触媒としては、油脂や脂肪族 ルコールに対する溶解性が高いアルカリ金 の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリ ウム)が知られている。しかし、アルカリ金 の水酸化物を触媒に用いた場合には、生成 た脂肪酸アルキルエステルにアルカリ金属 水酸化物が混入するため、脂肪酸アルキル ステルを洗浄してアルカリ金属の水酸化物 除去する必要があること、さらに洗浄によ て発生するアルカリ排水の処理が必要とな という問題がある。このため、エステル交 反応用触媒として油脂や脂肪族アルコール 対する溶解性が低い固体触媒を用いること 検討されている。

 特許文献1には、固体触媒に酸化カルシウム 粉末やカルシウムメトキシド粉末を用いた脂 肪酸メチルエステルの製造方法が記載されて いる。この特許文献1の図6には、メタノール での撹拌により活性化させた酸化カルシウ (「0.05g活性化」及び「0.005g活性化」と記載 れている)、酸化カルシウム粉末をメタノー ルに加えてスラリーとし、5時間熱還流した 、これをろ過、乾燥することによって得ら た白色粉末(「Ca(OH)(OCH 3 )0.05g」と記載されている)、及び市販のカル ウムメトキシド粉末(「Ca(OCH 3 ) 2 0.005g」と記載されている)を、固体触媒に用 て脂肪酸メチルエステルを製造したときの 反応時間と脂肪酸メチルエステルの収率と 関係がグラフで示されている。この図6のグ フによれば、反応時間が3時間での脂肪酸メ チルエステルの収率は、「0.05g活性化」が約9 0%で最も高く、次に「0.005g活性化」が高く、 に「Ca(OH)(OCH 3 )0.05g」が高く、そして「Ca(OCH 3 ) 2 0.005g」が最も低い。但し、「0.05g活性化」の 肪酸メチルエステル収率は反応時間1時間で 約30%程度である。

 なお、特許文献1には、カルシウムメトキシ ドの製法については記載がない。非特許文献 1には、カルシウムのアルコキシドはカルシ ム金属をアルコールに溶かすと得られると 載されている。

国際公開第2007/088702号パンフレット 化学大辞典編集委員会編,「化学大辞典1 ,初版,共立出版株式会社,昭和35年3月30日,p.39 4

 上記特許文献1に開示されている方法によれ ば、脂肪酸メチルエステルを反応時間3時間 の収率が約90%となる生成速度にて製造する とは可能である。しかしながら、工業的に 量の脂肪酸メチルエステルを製造するため は、脂肪酸メチルエステルのさらなる生成 度の高速化と収率の向上とが望まれる。
 従って、本発明の目的は、固体触媒を用い 、より短時間で、かつ高収率にて脂肪酸メ ルエステルを製造することができる方法を 供することにある。本発明の目的はまた、 脂と脂肪族アルコールとのエステル交換反 に対して高い触媒作用を発揮する新規な固 触媒を提供することにある。

 本発明者は、油脂(すなわちグリセリド)と タノールとのエステル交換反応用の固体触 に、メタノール中にて、平均粒子径が1~100μm の範囲、BET比表面積が1~10m 2 /gの範囲、そして直径が2~100nmの範囲にある細 孔の全細孔容積が0.010~0.10mL/gの範囲にある酸 カルシウム粉末を、その平均粒子径が当初 値の70%以下の値となるまで粉砕して、酸化 ルシウム粉砕生成物とメタノールとを反応 せてカルシウムメトキシドを生成させるこ により得られた、平均粒子径が0.10~10μmの範 囲にあるカルシウムメトキシド粉末を用いる と、従来のメタノール中での撹拌により活性 化させた酸化カルシウムを用いた場合と比べ て、脂肪族メチルエステルの生成速度が著し く速くなることを見出し、本発明を完成した 。

 従って、本発明は、グリセリドとメタノー とをカルシウムメトキシド粉末の存在下で ステル交換反応させることにより、脂肪酸 チルエステルを製造する方法において、上 カルシウムメトキシド粉末は、平均粒子径 0.10~10μmの範囲にあって、カルシウムメトキ シド分散液の形態もしくは該カルシウムメト キシド分散液がメタノールで希釈された形態 で供給され、該カルシウムメトキシド分散液 は、平均粒子径が1~100μmの範囲、BET比表面積 1~10m 2 /gの範囲、そして直径が2~100nmの範囲にある細 孔の全細孔容積が0.010~0.10mL/gの範囲にある酸 カルシウム粉末をメタノール中で粉砕し、 酸化カルシウム粉末の平均粒子径の70%以下 平均粒子径を持つカルシウムメトキシド粉 を該メタノール中で生成させることにより 製されたことを特徴とする脂肪酸メチルエ テルの製造方法にある。

 本発明の脂肪酸メチルエステルの製造方法 好ましい態様は、次の通りである。
(1)カルシウムメトキシド粉末のBET比表面積が 20~60m 2 /gの範囲、そして直径が2~100nmの範囲にある細 孔の全細孔容積が0.10~1.0mL/gの範囲にある。
(2)カルシウムメトキシド粉末の直径が10~100nm 範囲にある細孔の全細孔容積が0.060~0.80mL/g 範囲にある。
(3)酸化カルシウム粉末が重質炭酸カルシウム を大気下で焼成することにより得られた酸化 カルシウム粉末である。

 本発明はまた、平均粒子径が0.10~10μmの範囲 にあるカルシウムメトキシド粉末がメタノー ル中に分散されてなり、平均粒子径が1~100μm 範囲、BET比表面積が1~10m 2 /gの範囲、そして直径が2~100nmの範囲にある細 孔の全細孔容積が0.010~0.10mL/gの範囲にある酸 カルシウム粉末をメタノール中で粉砕し、 酸化カルシウム粉末の平均粒子径の70%以下 平均粒子径を持つカルシウムメトキシド粉 を該メタノール中で生成させることにより 製されたカルシウムメトキシド分散液にも る。

 本発明のカルシウムメトキシド分散液の好 しい態様は、次の通りである。
(1)カルシウムメトキシド粉末のBET比表面積が 20~60m 2 /gの範囲、そして直径が2~100nmの範囲にある細 孔の全細孔容積が0.10~1.0mL/gの範囲にある。
(2)カルシウムメトキシド粉末の直径が10~100nm 範囲にある細孔の全細孔容積が0.060~0.80mL/g 範囲にある。
(3)グリセリドとメタノールとのエステル交換 反応用触媒である。

 本発明の脂肪酸メチルエステルの製造方法 利用することによって、従来のメタノール での撹拌により活性化させた酸化カルシウ を固体触媒に用いた場合と比較して、短時 でかつ高い収率にて脂肪酸メチルエステル 製造することが可能となる。
 また、本発明のカルシウムメトキシド分散 は、重質炭酸カルシウムを大気下で焼成し 得られる酸化カルシウム粉末を原料に用い も、高活性触媒として容易にかつ効率よく 造できるので、油脂とメタノールとのエス ル交換反応用触媒としての有用性が非常に い。

発明を実施するための形態

 本発明の脂肪酸メチルエステルの製造方法 は、固体触媒として、メタノール中にて、 化カルシウム粉末を粉砕して、酸化カルシ ム粉砕生成物とメタノールとを反応させる とによって生成した平均粒子径が0.10~10μmの 範囲にあるカルシウムメトキシド粉末を用い る。カルシウムメトキシド粉末の平均粒子径 は、0.50~5.0μmの範囲にあることが好ましく、1 .0~3.0μmの範囲にあることが更に好ましい。ま た、カルシウムメトキシド粉末のBET比表面積 は20~60m 2 /gの範囲、更には20~50m 2 /gの範囲にあることが好ましく、直径が2~100nm の範囲にある細孔の全細孔容積は0.10~1.0mL/gの 範囲、更には0.10~0.50mL/gの範囲にあることが ましい。そして、直径が10~100nmの範囲にある 細孔の全細孔容積は0.060~0.80mL/gの範囲、更に 0.060~0.40mL/gの範囲にあることが好ましい。 お、カルシウムメトキシド粉末のBET比表面 及び細孔容積は、カルシウムメトキシド分 液から分離回収したカルシウムメトキシド 末での値である。

 カルシウムメトキシド粉末の製造原料とな 酸化カルシウム粉末は、平均粒子径が1~100μ mの範囲、好ましくは1~50μmの範囲にある。BET 表面積は1~10m 2 /gの範囲にある。そして直径が2~100nmの範囲に ある細孔の全細孔容積は、0.010~0.10mL/gの範囲 ある。

 原料の酸化カルシウム粉末としては、重 炭酸カルシウム(石灰石を粉砕・分級したも の)、軽質炭酸カルシウム(石灰乳を炭酸化し ものなど)、加熱によって酸化カルシウムに 転化するカルシウム化合物(水酸化カルシウ 又は消石灰など)を大気下で焼成して得られ ものを用いることができる。その中では経 性の面から重質炭酸カルシウムを大気下で 成して得られたものが好ましい。また、酸 カルシウム又は生石灰を再焼成したものや 上記炭酸カルシウムやカルシウム化合物を 活性ガス下で焼成したものを用いることも きる。

 本発明において、メタノール中にて、酸 カルシウム粉末を粉砕するとは、メタノー 中に分散されている個々の酸化カルシウム 子に、圧縮、衝撃、摩砕及び剪断などの力 機械的に付与して、その酸化カルシウム粒 を破壊することを意味する。本発明では、 化カルシウム粉末の粉砕を、その平均粒子 が当初の値の70%以下、好ましくは60%以下、 に好ましくは1~60%の範囲となるまで行なう

 酸化カルシウム粉末の粉砕には、メディ ミル、ロッキングミル及び擂潰機などの粉 装置を使用することができる。粉砕装置の で好ましいものは、メディアミル及びロッ ングミルなどの媒体を利用した粉砕装置で る。媒体の種類や粒子径は所望のカルシウ メトキシド分散液を得ることができる範囲 あれば特に制限されない。

 酸化カルシウム粉末の粉砕に際して、メ ノール中の酸化カルシウム量は3~40質量%の 囲にあることが好ましい。また、粉砕の際 メタノールの液温は10~50℃の範囲にあること が好ましい。酸化カルシウム粉末の粉砕時間 は、これらの条件以外に、粉砕対象の酸化カ ルシウム粉末の粒子径や粉砕装置などによっ ても異なるが、所望のカルシウムメトキシド 分散液を得ることができる範囲であればよい 。

 以上のように、前記酸化カルシウム粉末 メタノール中で粉砕して酸化カルシウム粉 粉砕物とメタノールとを反応させることに り、酸化カルシウム粉砕生成物はカルシウ メトキシドに変化する。得られるカルシウ メトキシドは平均粒子径が前記の範囲にあ が、更に、BET比表面積が大きく、全細孔容 も大きくかつ細孔直径の大きい細孔を多く することがエステル交換反応用触媒として ましい。なお、カルシウムメトキシドが得 れたことはX線回折パターンにより確認する ことができる。

 本発明で使用するカルシウムメトキシド 、酸化カルシウム及び水酸化カルシウムな のカルシウム化合物が混入していてもよい カルシウム化合物の混入は、カルシウムメ キシドのX線回折パターンにより確認するこ とができる。酸化カルシウムの混入量は、カ ルシウムメトキシドの(001)面の回折ピークの 度を100としたときに、酸化カルシウムの(200 )面の回折ピークの相対強度が40、更には30を えない量であることが好ましい。水酸化カ シウムの混入量は、カルシウムメトキシド (001)面の回折ピークの強度を100としたとき 、水酸化カルシウムの(101)面の回折ピークの 相対強度が20、更には10を超えない量である とが好ましい。

 メタノール中での酸化カルシウム粉末の 砕によって得られるカルシウムメトキシド 散液は、そのままの状態で、あるいはさら メタノールで希釈したメタノール希釈液と て、エステル交換反応用触媒として利用す ことができる。

 本発明の脂肪酸メチルエステルの製造方 において、油脂とメタノールとのエステル 換反応を行なうに際しては、油脂とメタノ ルとの割合は、油脂1モルに対して、メタノ ールが4~150モル、更には5~50モルの範囲にある ことが好ましい。カルシウムメトキシド粉末 の量は、油脂1000gに対して、酸化カルシウム 算で0.5~10gの範囲にあることが好ましい。油 脂とメタノールの反応温度は30℃以上であれ よく、例えば常圧下では30℃(好ましくは50 )からメタノールの沸点までの範囲とするこ ができる。勿論、加圧下でも反応は可能で る。

 本発明で用いることができる油脂の例と ては、植物油脂、動物油脂及びこれらの混 物を挙げることができる。植物油脂の例と ては、米油、菜種油、胡麻油、大豆油、玉 黍油、向日葵油、パーム油、パーム核油、 子油、綿実油、落花生油、椿油、亜麻仁油 桐油、大風子油、オリーブ油、サフラワー 、アーモンドナッツ油を挙げることができ 。動物油脂の例としては、牛脂、馬脂、羊 、豚脂、鶏油、魚油、鯨油、イルカ油、サ 類肝油を挙げることができる。油脂は、廃 脂又は廃食用油であってもよい。

 次に、本発明を利用した脂肪酸メチルエ テルの工業的な生産プロセスの例を、図1を 参照しながら説明する。

 図1において、油脂は油脂貯留タンク1に メタノールはメタノール貯留タンク2に、酸 カルシウム粉末は酸化カルシウム粉末貯留 ンク3にそれぞれ一旦貯留される。メタノー ル貯留タンク2内のメタノールと酸化カルシ ム粉末貯留タンク3内の酸化カルシウム粉末 は粉砕装置4に送られ、粉砕装置4にて、酸 カルシウム粉末はメタノール中にて粉砕さ 、カルシウムメトキシド分散液が生成する 生成したカルシウムメトキシド分散液は、 応容器5に送られる。反応容器5において、油 脂貯留タンク1から送られた油脂と、メタノ ル貯留タンク2から送られたメタノールと、 ルシウムメトキシド分散液とが混合され、 脂とメタノールとがエステル交換反応して 脂肪酸メチルエステルとグリセリンとが生 する。

 反応容器5内の反応混合物は、分離塔6に られて、比重分離によって脂肪酸メチルエ テルを主成分とする軽液部と、グリセリン カルシウムメトキシドを主成分とする重液 とに分離される。軽液部は、蒸留塔7に送ら 、未反応のメタノールが蒸留回収される。 液部は、次いで精製カラム8に送られ、精製 された後、高純度の軽液部(脂肪酸メチルエ テル)は、脂肪酸メチルエステル貯留タンク9 に送られ、バイオディーゼル燃料として有効 に利用される。

 実施例において、平均粒子径、X線回折パ ターン、BET比表面積及び全細孔容積は、下記 の方法により測定した。

[平均粒子径の測定方法]
 レーザー回折式粒度分布測定装置(MICROTRAC H RA9320-X100、日機装(株)製)を用いて測定した。

[X線回折パターンの測定方法]
 粉末X線回折装置(Rigaku RINT2100Ultima/PC、(株) ガク製、X線源:Cu-Kα)を用いて、50kV、30mAの条 件で測定した。

[BET比表面積及び全細孔容積の測定方法]
 全自動ガス吸着量測定装置(Autosorb-3B、Quantac hrome(株)製)を用いて窒素ガス吸着法により測 した。全細孔容積は、窒素ガスの脱離等温 からBJH法により累積細孔容積曲線を算出し その曲線から直径2~100nmの細孔、及び直径10~ 100nmの細孔の全細孔容積を求めた。

[実施例1]
(1)カルシウムメトキシド分散液の調製
 重質炭酸カルシウムを大気下で焼成するこ により製造した酸化カルシウム(宇部マテリ アルズ(株)製生石灰)の粉末3.75g(平均粒子径:5. 4μm、BET比表面積:2m 2 /g、直径2~100nmの細孔の全細孔容積:0.014mL/g、X 回折パターン:図2参照)を、ロッキングミル( 平均粒子径3mmのジルコニア製ビーズ入り)に り、室温下、メタノール30g中で2時間粉砕処 して分散液を調製した。得られた分散液中 粒子の平均粒子径は1.6μmであった。

 得られた分散液を室温下で減圧乾燥して粉 を得た。得られた粉末のX線回折パターンは 図3に示すように、カルシウムメトキシドのX 回折パターンに一致しており、得られた粉 はカルシウムメトキシド粉末であることが 認された。即ち、重質炭酸カルシウムの大 下焼成による酸化カルシウム粉末をメタノ ル中で粉砕処理することによって、酸化カ シウム粉砕生成物はカルシウムメトキシド 変化して、カルシウムメトキシド分散液が 成することが確認された。また、X線回折パ ターンにはカルシウムメトキシド以外のX線 折ピークとして、僅かに水酸化カルシウム (101)面に相当する回折ピークが見られた。但 し、カルシウムメトキシドの(001)面の回折ピ クの強度を100としたとき、水酸化カルシウ の(101)面の回折ピークの相対強度は5であっ 。なお、カルシウムメトキシド粉末のBET比 面積は31.3m 2 /gであり、直径2~100nmの細孔の全細孔容積は0.1 85mL/g、直径10~100nmの細孔の全細孔容積は0.160mL /gであった。

(2)脂肪酸メチルエステルの製造
 撹拌機及び還流冷却機を備えた容量1000mLの パラブルフラスコに、菜種油750g、メタノー ル133.6gを入れて液温を64℃に維持した後、上 (1)と同様にして別途調製したカルシウムメ キシド分散液33.75g(酸化カルシウム換算の触 媒量として菜種油1000gに対して5.0g)を投入し 反応を開始した。

 反応開始から30分毎にセパラブルフラス 内の反応混合物の一部を採取して、脂肪酸 チルエステル、トリグリセリド、ジグリセ ド及びモノグリセリドの量をガスクロマト ラフィーにより分析し、これら4成分の合計 を100としたときの脂肪酸メチルエステルの 合を、脂肪酸メチルエステルの収率(%)とし 算出した。その結果、脂肪酸メチルエステ の収率は、反応時間0.5時間で17.4%、1時間で5 3.8%、1.5時間で93.5%、2時間で97.0%、3時間で99.8% であった。

[実施例2]
(1)カルシウムメトキシド分散液の調製
 ロックキングミルによる粉砕処理時間を5分 に変えたこと以外は、実施例1と同様にして 散液を調製した。得られた分散液中の粒子 平均粒子径は2.9μmであった。

 得られた分散液を室温下で減圧乾燥して粉 を得た。得られた粉末のX線回折パターンは 図4に示すように、カルシウムメトキシドのX 回折パターンに一致しており、得られた粉 はカルシウムメトキシド粉末であること、 ち上記分散液はカルシウムメトキシド分散 であることが確認された。また、X線回折パ ターンには酸化カルシウムの(200)面と水酸化 ルシウムの(101)面に相当する回折ピークが かに見られた。カルシウムメトキシドの(001) 面の回折ピークの強度を100としたとき、酸化 カルシウムの(200)面に相当する回折ピークの 対強度は25であり、水酸化カルシウムの(101) 面に相当する回折ピークの相対強度は6であ た。なお、カルシウムメトキシド粉末のBET 表面積は26.4m 2 /gで、直径2~100nmの細孔の全細孔容積は0.150mL/g 、直径10~100nmの細孔の全細孔容積は0.091mL/gで った。

(2)脂肪酸メチルエステルの製造
 カルシウムメトキシド分散液の代わりに、 記(1)と同様にして別途調製したカルシウム トキシド分散液33.75gを用いたこと以外は、 施例1と同様にして反応を行なった。その結 果、脂肪酸メチルエステルの収率は、反応時 間0.5時間で26.1%、1時間で74.8%、1.5時間で95.0% 2時間で97.1%、3時間で99.6%であった。

[比較例1]
 前記特許文献1(国際公開第2007/088702号パンフ レット)に記載の方法に準じて、下記の方法 より調製した活性化した酸化カルシウム分 液を用いて、脂肪酸メチルエステルを製造 た。

(1)活性化した酸化カルシウム分散液の調製
 実施例1で使用したのと同様の酸化カルシウ ム粉末3.75gを、室温下、メタノール150g中でマ グネティックスターラーにより2時間強撹拌 て、活性化した酸化カルシウム分散液を調 した。得られた分散液中の粒子の平均粒子 は2.7μmであった。

 得られた分散液を室温下で減圧乾燥して粉 を得た。得られた粉末のX線回折パターンは 、図5に示すように、原料の酸化カルシウム 末のX線回折パターン(図2)と一致しており、 ルシウムメトキシドに起因する回折ピーク 見られなかった。また、この活性化した酸 カルシウム粉末のBET比表面積は17.9m 2 /gで、直径2~100nmの細孔の全細孔容積は0.080mL/g 、直径10~100nmの細孔の全細孔容積は0.045mL/gで った。

(2)脂肪酸メチルエステルの製造
 カルシウムメトキシド分散液の代わりに、 記(1)と同様にして別途調製した酸化カルシ ム分散液153.75g(触媒量として菜種油1000gに対 して5.0g)を使用し、メタノール量を13.6gに変 たこと以外は、実施例1と同様にして、反応 行なった。その結果、脂肪酸メチルエステ の収率は、反応時間0.5時間で10.1%、1時間で1 5.6%、1.5時間で20.7%、2時間で37.7%、3時間で52.4% であった。

[比較例2]
(1)酸化カルシウム分散液の調製
 実施例1で使用したのと同様の酸化カルシウ ム粉末3.75gを、マグネティックスターラーで 拌することなくそのままメタノール30g中に 散させて、酸化カルシウム分散液を調製し 。

(2)脂肪酸メチルエステルの製造
 カルシウムメトキシド分散液の代わりに、 記(1)で調製した酸化カルシウム分散液33.75g( 触媒量として菜種油1000gに対して5.0g)を使用 たこと以外は、実施例1と同様にして、反応 行なった。その結果、脂肪酸メチルエステ の収率は、反応時間0.5時間で0%、1時間で0% 1.5時間で0.8%、2時間で1.9%、3時間で6.0%であっ た。

 図6に、実施例1、実施例2、比較例1及び比較 例2での脂肪酸メチルエステル収率の経時変 を示す。
 図6の結果から、油脂とメタノールとのエス テル交換反応用触媒として、本発明に従うカ ルシウムメトキシド分散液を用いた場合は、 脂肪酸メチルエステルの収率が反応時間1時 では40%以上、反応時間2時間では90%以上に達 ており(実施例1、2)、活性化した酸化カルシ ウム分散液を用いた場合(比較例1)やカルシウ ムメトキシドの製造原料として使用した酸化 カルシウム粉末を用いた場合(比較例2)と比べ て、脂肪酸メチルエステルの生成速度が非常 に速く、脂肪酸メチルエステルを短時間かつ 高収率で製造できることが分かる。即ち、本 発明に従うカルシウムメトキシド分散液は、 油脂とメタノールとのエステル交換反応用触 媒としての活性が高いことが分かる。

[実施例3]
(1)カルシウムメトキシド分散液の調製
 酸化カルシウム粉末の量を2.63gに変えたこ 以外は、実施例1と同様にして分散液を調製 た。得られた分散液中の粒子の平均粒子径 1.3μmであった。

 得られた分散液を室温下で減圧乾燥して粉 を得た。得られた粉末のX線回折パターンは 実施例1のX線回折パターンに一致しており、 られた粉末はカルシウムメトキシド粉末で ること、即ち上記分散液はカルシウムメト シド分散液であることが確認された。なお カルシウムメトキシド粉末のBET比表面積は4 0.8m 2 /gで、直径2~100nmの細孔の全細孔容積は0.231mL/g 、直径10~100nmの細孔の全細孔容積は0.187mL/gで った。

(2)脂肪酸メチルエステルの製造
 カルシウムメトキシド分散液の代わりに、 記(1)と同様にして別途調製したカルシウム トキシド分散液32.63g(酸化カルシウム換算の 触媒量として菜種油1000gに対して3.5g)を使用 たこと以外は実施例1と同様にして反応を行 った。その結果、脂肪酸メチルエステルの 率は、反応時間0.5時間で20.0%、1時間で59.2% 1.5時間で87.9%、2時間で96.9%、3時間で99.1%であ った。

[実施例4]
(1)カルシウムメトキシド分散液の調製
 酸化カルシウム粉末の量を1.88gに変えたこ 以外は、実施例1と同様にして分散液を調製 た。得られた分散液中の粒子の平均粒子径 1.3μmであった。

 この分散液を室温下で減圧乾燥して粉末を た。得られた粉末のX線回折パターンは実施 例1のX線回折パターンに一致しており、得ら た粉末はカルシウムメトキシド粉末である と、即ち上記分散液はカルシウムメトキシ 分散液であることが確認された。なお、カ シウムメトキシド粉末のBET比表面積は42.7m 2 /gで、直径2~100nmの細孔の全細孔容積は0.309mL/g 、直径10~100nmの細孔の全細孔容積は0.256mL/gで った。

(2)脂肪酸メチルエステルの製造
 カルシウムメトキシド分散液の代わりに、 記(1)と同様にして別途調製したカルシウム トキシド分散液31.88g(酸化カルシウム換算の 触媒量として菜種油1000gに対して2.5g)を使用 たこと以外は実施例1と同様にして反応を行 った。その結果、脂肪酸メチルエステルの 率は、反応時間0.5時間で16.8%、1時間で41.0% 1.5時間で82.1%、2時間で93.3%、3時間で98.3%であ った。

 図7に、実施例1、実施例3及び実施例4での脂 肪酸メチルエステル収率の経時変化を示す。
 図7の結果から、菜種油1000gに対するカルシ ムメトキシドの使用量を酸化カルシウム換 量として5.0gとした場合(実施例1)、3.5gとし 場合(実施例3)、2.5gとした場合(実施例4)のい れの場合においても、脂肪酸メチルエステ の収率は反応時間1時間では40%以上、反応時 間2時間では90%以上に達していることが分か 。

本発明の脂肪酸メチルエステルの製造 法の工業的な実施を想定したシステム図の である。 実施例1でカルシウムメトキシドのカル シウム原料として使用した酸化カルシウム粉 末のX線回折パターンである。 実施例1で得られたカルシウムメトキシ ド粉末のX線回折パターンである。 実施例2で得られたカルシウムメトキシ ド粉末のX線回折パターンである。 比較例1で得られた活性化した酸化カル シウム粉末のX線回折パターンである。 実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2 における脂肪酸メチルエステル収率の経時変 化を示すグラフである。 実施例1、実施例3及び実施例4における 肪酸メチルエステルの収率の経時変化を示 グラフである。

符号の説明

1 油脂貯留タンク
2 メタノール貯留タンク
3 酸化カルシウム粉末貯留タンク
4 粉砕装置
5 反応容器
6 分離塔
7 蒸留塔
8 精製カラム
9 脂肪酸メチルエステル貯留タンク