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Title:
HAIR GROWTH-INHIBITING AGENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/102782
Kind Code:
A1
Abstract:
An endogenous factor having an inhibitory activity on the growth of hair is identified. A substance having a similar activity of that of the endogenous factor or a substance capable of enhancing the activity or expression of the endogenous factor is screened. By utilizing the physiological activities of the substance, it is possible to provide a hair-removing agent or a hair growth-inhibiting agent. It is found that FGF18 can inhibit the growth of hair. Disclosed is a method for screening a substance having a FGF18-like activity, a substance capable of enhancing the FGF18 activity or a substance capable of enhancing the expression of FGF18 gene and employing the substance as a candidate for a hair growth-inhibiting agent or a hair-removing agent. Also disclosed is a hair growth-inhibiting agent or a hair-removing agent comprising, as an active ingredient, FGF18 and/or a substance having a FGF18-like activity (e.g., a partial peptide of FGF18, an extract from a seaweed Digenea simplex) and/or a substance capable of enhancing the activity or expression of FGF18.

Inventors:
IMAMURA TORU (JP)
KIMURA MIHO (JP)
KAWANO MITSUKO (JP)
TSUJINO NOZOMI (JP)
KURAMOCHI AKIKO (JP)
ODA YUKO (JP)
MOTOMURA KAORI (JP)
SUZUKI MASASHI (JP)
ASADA MASAHIRO (JP)
KAMEYAMA AZUSA (JP)
TOGAYACHI SUMIE (JP)
OKA SYUICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/052778
Publication Date:
August 28, 2008
Filing Date:
February 19, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NAT INST OF ADVANCED IND SCIEN (JP)
IMAMURA TORU (JP)
KIMURA MIHO (JP)
KAWANO MITSUKO (JP)
TSUJINO NOZOMI (JP)
KURAMOCHI AKIKO (JP)
ODA YUKO (JP)
MOTOMURA KAORI (JP)
SUZUKI MASASHI (JP)
ASADA MASAHIRO (JP)
KAMEYAMA AZUSA (JP)
TOGAYACHI SUMIE (JP)
OKA SYUICHI (JP)
International Classes:
A61K8/84; A61K8/64; A61K8/97; A61Q9/04; C07K14/435; C12N15/09; C12Q1/02; C12Q1/68
Domestic Patent References:
WO2006030693A12006-03-23
Foreign References:
JPH04224522A1992-08-13
JP2006083082A2006-03-30
Other References:
KAWANO M. ET AL.: "Comprehensive analysis of FGF and FGFR expression in skin: FGF18 is highly expressed in hair collicles and capable of inducing anagen from telogen stage hair follicles", J. INVEST. DERMATOL., vol. 124, no. 5, 2005, pages 877 - 885, XP003005530
ZHANG X. ET AL.: "Receptor specificity of the fibroblast growth factor family. The complete mammalian FGF family", J. BIOL. CHEM., vol. 281, no. 23, 2006, pages 15694 - 15700, XP008121923
JID, vol. 124, 2005, pages 877 - 885
See also references of EP 2138158A4
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Claims:
 FGF18及び/又はFGF18様活性物質及び/又はFGF18の活性もしくは発現を促進する物質を有効成分として含有する毛髪成長阻害剤又は脱毛剤。
 前記FGF18及び/又はFGF18様活性物質及び/又はFGF18の活性もしくは発現を促進する物質を毛包部に持続的に存在させるように投与することを特徴とする請求項1に記載の毛髪成長阻害剤又は脱毛剤。
 FGF18をコードするDNAを組み込んだ発現ベクターを有効成分として含有する毛髪成長阻害剤及び脱毛剤であって、FGF18を毛包部で持続的に発現させるように投与することを特徴とする毛髪成長阻害剤又は脱毛剤。
 前記FGF18が、配列番号2のアミノ酸配列の全長もしくはFGF18様活性を有する部分ペプチドである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の毛髪成長阻害剤又は脱毛剤。
 前記FGF18様活性物質が海人草の抽出物である請求項1又は2に記載の毛髪成長阻害剤又は脱毛剤。
 他の毛髪成長阻害剤及び脱毛剤をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の毛髪成長阻害剤又は脱毛剤。
 請求項1又は2に記載のFGF18様活性物質をスクリーニングし、被検物質を毛髪成長阻害剤又は脱毛剤の候補とするための方法であって、以下の(a)~(c)の工程を含む方法、
(a)FGFR1c、FGFR2c、FGFR3c及びFGFR4から選ばれた少なくとも1つのFGF受容体遺伝子を用いて遺伝子操作により細胞表面に強制的に発現させ、当該細胞を培養する工程、
(b)(a)工程で得られた、細胞表面にFGF受容体を有する細胞系に披検物質を接触させる工程、
(c)(b)工程において、FGF18と同様の細胞増殖促進活性を観察した披検物質を選択する工程。
 請求項1又は2に記載のFGF18様活性物質をスクリーニングし、被検物質を毛髪成長阻害剤又は脱毛剤の候補とするための方法であって、以下の(a)~(c)の工程を含む方法、
(a)FGFR1c、FGFR2c、FGFR3c及びFGFR4の4種のFGF受容体遺伝子を用いて遺伝子操作によりそれぞれを細胞表面に強制的に発現させ、4種の当該細胞を培養する工程、
(b)(a)工程で得られた、細胞表面にFGF受容体を有する4種の細胞系に披検物質を接触させる工程、
(c)(b)工程において、FGF18と同様に、同濃度においてFGFR3c発現細胞と FGFR4発現細胞に対する細胞増殖促進活性がFGFR1c発現細胞とFGFR2c発現細胞に対する細胞増殖促進活性よりも格段に強い細胞増殖促進活性を観察した披検物質を選択する工程。
 前記FGF受容体を細胞表面に強制的に発現させるための細胞がマウスIL-3依存性Ba/F3細胞株である請求項7又は8に記載の方法。
 請求項1又は2に記載のFGF18の活性を促進する物質をスクリーニングし、被検物質を毛髪成長阻害剤又は脱毛剤の候補とするための方法であって、以下の(a)~(c)の工程を含む方法、
(a)FGFR1c、FGFR2c、FGFR3c及びFGFR4から選ばれた少なくとも1つのFGF受容体遺伝子を用いて遺伝子操作により細胞表面に強制的に発現させ、当該細胞を培養する工程、
(b)(a)工程で得られた、細胞表面にFGF受容体を有する細胞系にFGF18と共に披検物質を接触させる工程、
(c)(b)工程において、FGF18を単独で作用させた場合と比較して高い細胞増殖促進活性を観察した系を選択する工程。
 前記FGF受容体がFGFR3cである請求項10に記載の方法。
 前記FGF受容体がFGFR4である請求項10に記載の方法。
 前記FGF受容体を細胞表面に強制的に発現させるための細胞がマウスIL-3依存性Ba/F3細胞株である請求項10ないし12のいずれか1項に記載の方法。
 請求項1又は2に記載のFGF18の発現を促進する物質をスクリーニングし、被検物質を毛髪成長阻害剤又は脱毛剤の候補とするための方法であって、以下の(a)~(d)の工程を含む方法。
(a)FGF18遺伝子を観察可能な程度に発現しうる実験動物又は動物培養細胞を用意する工程、
(b)実験動物に披検物質を接触もしくは投与するか、又は動物培養細胞に披検物質を接触させる工程、
(c)(b)工程後の実験動物又は動物培養細胞におけるFGF18遺伝子の発現をモニターする工程、
(d)FGF18遺伝子の発現を促進する機能を有する被検物質を選択する工程。
 前記(c)工程において、前記(b)工程後の実験動物又は動物培養細胞から、mRNAを抽出し、発現されたFGF18のmRNA量を解析することによりFGF18遺伝子の発現をモニターし、前記(d)工程において、披検物質を作用させない場合と比較して高いレベルのFGF18のmRNA量を観察した系を選択することにより、FGF18遺伝子の発現を促進する機能を有する被検物質を選択することを特徴とする、請求項14に記載の方法。
Description:
毛髪成長阻害剤

 本発明は、毛包(毛根と同義)の成長を阻 する物質を含有する毛髪成長阻害剤及び脱 剤及びそれらのスクリーニング方法に関す 。

 繊維芽細胞増殖因子(以下FGFと称する)とい た様々なポリペプチド増殖因子が皮膚組織 おいて発現していることが知られている。 ウス及びヒトにおいては、FGFは22種類の異な る遺伝子によってコードされる(非特許文献1) 。特に、FGF1、FGF2、FGF5、FGF7、FGF10、FGF13及びF GF22は、皮膚細胞及び毛包細胞において発現 、毛髪成長及び皮膚再生を制御しているこ が報告されている(非特許文献2~17、特許文献 1参照)。
 上掲した非特許文献2~17を含む他の文献から 、FGFが皮膚細胞の増殖及び分化に重要な役割 を担っていることが示唆される。しかしなが ら、毛包の成長を促進もしくは抑制する作用 、それに伴う毛髪成長促進作用もしくは毛髪 成長阻害作用に対して、FGF群がどのように関 与するのかといった知見は依然として不明の ままである。
 上記の背景にあって発明者らは以前、FGF18 マウス休止期皮膚に単回投与することによ 、発毛を誘導することを見いだし、FGF18を毛 包の成長期を誘導して毛髪の成長を促進する 物質として報告した(非特許文献19、特許文献 2)。
Ornitz DM, Itoh N: Fibroblast growth factors. G enome Biol2:REVIEWS3005, 2001 du Cros DL: Fibroblast growth factor and epider mal growth factor inhair development. J Invest Dermat ol 101:106S-113S. 1993 du Cros DL, Isaacs K, Moore GP: Distribution o f acidic and basicfibroblast growth factorsin ovine s kin during follicle morphogenesis.  J Cell Sci 105:6 67-674, 1993 Hebert JM, Rosenquist T, Gotz J, Martin GR: FG F5 as a regulator ofthe hair growth cycle: Evidence from targeted and spontaneous mutations. Cell78:1017-1 025, 1994 Danilenko DM, Ring BD, Yanagihara D, Benson W, Wiemann B, StarnesCO, Pierce GF: Keratinocyte growth factor is an important endogenous mediatorof hair fo llicle growth, development, and differentiation. Americ an J Pathol147:145-154, 1995 Marchese C, Chedid M, Dirsch OR, et al: Modula tion of keratinocytegrowth factor and its receptor in  reepithelializing human skin. J Exp Med182:1369-1376,  1995 Guo L, Degenstein L, Fuchs E: Keratinocyte grow th factor is requiredfor hair development but not fo r wound healing. Genes Dev 10:165-175, 1996 Rosenquist TA, Martin GR: Fibroblast growth fact or signalling in thehair growth cycle: Expression of the fibroblast growth factor receptor andligand genes  in the murine hair follicle. Developmental Dynamics 205:379-386,1996 Petho-Schramm A, Muller HJ, Paus R: FGF5 and t he murine hair cycle.Arch Dermatol Res 288:264-266, 1 996 Mitsui S, Ohuchi A, Hotta M, Tsuboi R, Ogawa  H: Genes for a range ofgrowth factors and cyclin-dep endent kinase inhibitors are expressed by isolatedhuma n hair follicles. Br J Dermatol 137:693-698, 1997 Ortega S, Ittmann M, Tsang SH, Ehrlich M, Basi lico C: Neuronaldefects and delayed wound healing in mice lacking fibroblast growth factor-2.Proc  Natl  Acad  Sci USA  95:5672-5677, 1998 Suzuki S, Kato T, Takimoto H, et al: Localizat ion of rat FGF-5protein in skin macrophage-like cells  and FGF-5S protein in hair follicle:Possible involve ment of two Fgf-5 gene products in hair growth cycl eregulation. J Invest Dermatol 111:963-972, 1998 Suzuki S, Ota Y, Ozawa K, Imamura T: Dual-mode  regulation of hairgrowth cycle by two Fgf-5 gene p roducts. J Invest Dermatol 114:456-463, 2000 Nakatake Y, Hoshikawa M, Asaki T, Kassai Y, It oh N: Identificationof a novel fibroblast growth fact or, FGF-22, preferentially expressed in theinner root sheath of the hair follicle. Biochem Biophys Acta 1 517:460-463, 2001 Stenn KS, Paus R: Controls of hair follicle cy cling. Physiol Rev81:449-494, 2001 Beyer TA, Werner S, Dickson C, Grose R: Fibrob last growth factor 22and its potential role during s kin development and repair. Exp Cell Res287:228-236,  2003 Kawano M, Suzuki S, Suzuki M, Oki J, Imamura  T: Bulge- and basallayer-specific expression of fibrob last growth factor 13 (FHF-2) in mouse skin.J Invest  Dermatol 122:1084-1090, 2004 Suzuki S, Ota Y, Ozawa K, Imamura T: Dual-mode  regulation of hairgrowth cycle by two Fgf-5 gene p roducts. J Invest Dermatol 114:456-463, 2000 Kawano M, Komi-Kuramochi A, Asada M, Suzuki M, Oki J, Jiang J,Imamura T. Comprehensive analysis of FGF and FGFR expression in skin: FGF18 ishighly exp ressed in hair follicles and capable of inducing ana gen from telogenstage hair follicles. J Invest Dermat ol. 2005, 124(5):877-885 ZhangX, Ibrahimi OA, Olsen SK, Umemori H, Moham madi M, Ornitz DM. ReceptorSpecificity of the Fibrobl ast Growth Factor Family: THE COMPLETE MAMMALIAN FGFF AMILY. J Biol Chem 2006, 281(23):15694-15700

特開平4-224522号公報

特開2006-83082号公報

 むだ毛に悩む人は多い。その処置として化 物質利用や物理的方法による毛軸の除去な が盛んに行われているが、その効果は、自 の毛包成長によってすぐに失われてしまう そこで本発明は、毛髪成長を制御する内在 因子の作用機構を解明して、毛髪の成長を 害する内在性因子を決定し、当該内在性因 を用いた毛髪成長阻害剤及び脱毛剤を提供 ることを目的とする。さらにその内在性因 の活性もしくは発現を促進する物質、及び の内在性因子と類似作用を有する物質をス リーニングし、内在性因子と同様の毛髪成 阻害作用を呈する物質を提供することを目 としている。
 また、そのためのスクリーニング方法も本 明の他の目的である。

 前記したように、FGF18は、休止期毛包を有 る皮膚に単回投与すると数週間の反応期間 経てから毛成長が促進されることが確認さ ていたことから、毛髪の成長促進作用を有 る物質であると考えられていた。
 しかしながら、今回、休止期にあるマウス 部毛包において、抜毛によって強制的に毛 の成長期を誘導した後に、FGF18を1日1回、8 間、背部皮下に投与し、毛包部に持続的に 在させた状態での毛髪の成長状態を観察し ところ、予想もしなかった驚くべき知見が られた。
 すなわち、対照群として同様な条件下で投 したリン酸緩衝生理食塩水の場合は、9日目 に毛の成長が順調に進んで毛包の肥大化が起 きたのに対して、FGF18投与群では毛の成長は しく阻害された。
 さらに、本発明者等は、FGF18に関する詳細 機能解析を行ったところ、毛包成長の司令 と考えられる毛乳頭細胞において、FGF18の存 在する環境下で培養することにより、毛包成 長にとって重要であるとされる増殖因子VEGF 発現レベルが減少することを見出した。
 本発明者らは、従来毛髪の成長を促進する 質であると考えられていた「FGF18」が持続 に投与された場合には「毛髪成長に抑制的 働く」という予想外の新規な知見に基づい 、本発明を完成するに至った。

 FGF18が毛包内にもともと存在している内在 子であることを考慮すれば、毛包に対してFG F18と類似の活性を有する物質、FGF18自身の活 を促進する物質、もしくはFGF18遺伝子の発 を活性化する物質もまた明らかに毛髪成長 害剤及び脱毛剤として用いることができる
 FGF18遺伝子の発現を活性化する物質は、動 培養細胞又は実験動物を用いてFGF18遺伝子の 発現を促進するか否かをモニターすることで スクリーニングすることができる。
 FGF18自身の活性を促進する物質は、披検物 をFGF18と共に細胞表面のFGFレセプターに接触 させ、FGFレセプターに対するFGF18自身の活性 促進するか否かをモニターすることでスク ーニングできる。
 具体的には、以下の(a)~(c)の工程を含むスク リーニング方法により得ることができる。
(a)FGFR1c、FGFR2c、FGFR3c及びFGFR4から選ばれた少 くとも1つのFGF受容体遺伝子を用いて遺伝子 操作により細胞表面に強制的に発現させ、当 該細胞を培養する工程、
(b)(a)工程で得られた、細胞表面にFGF受容体を 有する細胞系にFGF18と共に披検物質を接触さ る工程、
(c)(b)工程において、FGF18を単独で作用させた 合と比較して高い細胞増殖促進活性を観察 た系を選択する工程。
 
 また、FGF18と類似の活性を有する物質であ ば、同様の毛髪成長阻害効果があるとの推 をもとに、毛包細胞に存在するFGF受容体に するFGF18の反応性に着目した。すなわち、FGF 18はFGF受容体サブクラスのうちFGFR1c、FGFR2c、F GFR3c、FGFR4と反応するので、当該反応性に基 くFGF18様活性物質のスクリーニング系を開発 した(非特許文献20)。
 そして、当該スクリーニング系としてFGF4受 容体を用い、自然界に存在する植物その他の 天然物由来物質を広く探索した結果、FGF4受 体を活性化するいくつかの天然物由来物質 見出し、FGF18様活性物質に係る本発明も完成 させた。

 すなわち、本発明は以下を包含する。
(1) FGF18及び/又はFGF18様活性物質及び/又はFGF1 8の活性もしくは発現を促進する物質を有効 分として含有する毛髪成長阻害剤又は脱毛 。
(2) 前記FGF18及び/又はFGF18様活性物質及び/又 FGF18の活性もしくは発現を促進する物質を 包部に持続的に存在させるように投与する とを特徴とする(1)の毛髪成長阻害剤又は脱 剤。
(3) FGF18をコードするDNAを組み込んだ発現ベ ターを有効成分として含有する毛髪成長阻 剤及び脱毛剤であって、FGF18を毛包部で持続 的に発現させるように投与することを特徴と する毛髪成長阻害剤又は脱毛剤。
(4) 前記FGF18が、配列番号2のアミノ酸配列の 長もしくはFGF18様活性を有する部分ペプチ である前記(1)ないし(3)のいずれかに記載の 髪成長阻害剤又は脱毛剤。
(5) 前記FGF18様活性物質が海人草の抽出物で る前記(1)又は(2)に記載の毛髪成長阻害剤又 脱毛剤。
(6) 他の毛髪成長阻害剤又は脱毛剤をさらに むことを特徴とする前記(1)ないし(5)のいず か1項に記載の毛髪成長阻害剤又は脱毛剤。
(7) 前記(1)又は(2)に記載のFGF18様活性物質を クリーニングし、被検物質を毛髪成長阻害 又は脱毛剤の候補とするための方法であっ 、以下の(a)~(c)の工程を含む方法、
(a)FGFR1c、FGFR2c、FGFR3c及びFGFR4から選ばれた少 くとも1つのFGF受容体遺伝子を用いて遺伝子 操作により細胞表面に強制的に発現させ、当 該細胞を培養する工程、
(b)(a)工程で得られた、細胞表面にFGF受容体を 有する細胞系に披検物質を接触させる工程、
(c)(b)工程において、FGF18と同様の細胞増殖促 活性を観察した披検物質を選択する工程。
(8) 前記(1)又は(2)に記載のFGF18様活性物質を クリーニングし、被検物質を毛髪成長阻害 又は脱毛剤の候補とするための方法であっ 、以下の(a)~(c)の工程を含む方法、
(a)FGFR1c、FGFR2c、FGFR3c及びFGFR4の4種のFGF受容体 遺伝子を用いて遺伝子操作によりそれぞれを 細胞表面に強制的に発現させ、4種の当該細 を培養する工程、
(b)(a)工程で得られた、細胞表面にFGF受容体を 有する4種の細胞系に披検物質を接触させる 程、
(c)(b)工程において、FGF18と同様に、同濃度に いてFGFR3c発現細胞と FGFR4発現細胞に対する 細胞増殖促進活性がFGFR1c発現細胞とFGFR2c発現 細胞に対する細胞増殖促進活性よりも格段に 強い細胞増殖促進活性を観察した披検物質を 選択する工程。
(9) 前記FGF受容体を細胞表面に強制的に発現 せるための細胞がマウスIL-3依存性Ba/F3細胞 である前記(7)又は(8)に記載の方法。
(10) 前記(1)又は(2)に記載のFGF18の活性を促進 る物質をスクリーニングし、被検物質を毛 成長阻害剤又は脱毛剤の候補とするための 法であって、以下の(a)~(c)の工程を含む方法 、
(a)FGFR1c、FGFR2c、FGFR3c及びFGFR4から選ばれた少 くとも1つのFGF受容体遺伝子を用いて遺伝子 操作により細胞表面に強制的に発現させ、当 該細胞を培養する工程、
(b)(a)工程で得られた、細胞表面にFGF受容体を 有する細胞系にFGF18と共に披検物質を接触さ る工程、
(c)(b)工程において、FGF18を単独で作用させた 合と比較して高い細胞増殖促進活性を観察 た系を選択する工程。
(11) 前記FGF受容体がFGFR3cである前記(10)に記 の方法。
(12) 前記FGF受容体がFGFR4である前記(10)に記載 の方法。
(13) 前記FGF受容体を細胞表面に強制的に発現 させるための細胞がマウスIL-3依存性Ba/F3細胞 株である前記(10)ないし(12)のいずれかに記載 方法。
(14) 前記(1)又は(2)に記載のFGF18の発現を促進 る物質をスクリーニングし、被検物質を毛 成長阻害剤又は脱毛剤の候補とするための 法であって、以下の(a)~(d)の工程を含む方法 。
(a)FGF18遺伝子を観察可能な程度に発現しうる 験動物又は動物培養細胞を用意する工程、
(b)実験動物に披検物質を接触もしくは投与す るか、又は動物培養細胞に披検物質を接触さ せる工程、
(c)(b)工程後の実験動物又は動物培養細胞にお けるFGF18遺伝子の発現をモニターする工程、
(d)FGF18遺伝子の発現を促進する機能を有する 検物質を選択する工程。
(15) 前記(c)工程において、前記(b)工程後の実 験動物又は動物培養細胞から、mRNAを抽出し 発現されたFGF18のmRNA量を解析することによ FGF18遺伝子の発現をモニターし、前記(d)工程 において、FGF18を作用させない場合と比較し 高いレベルのFGF18のmRNA量を観察した系を選 することにより、FGF18遺伝子の発現を促進 る機能を有する被検物質を選択することを 徴とする、請求項14に記載の方法。
 

 本発明によれば、毛包の成長を阻害してい 内在性の因子を利用または模倣することに る毛髪成長阻害剤及び脱毛剤を提供するこ ができる。
 また、本発明に係るスクリーニング方法に れば、毛髪成長阻害剤及び脱毛剤として有 な物質をスクリーニングすることができる

毛乳頭細胞の放出する毛包成長促進因 のmRNA数が、FGF18が存在し続けると、低く抑 られていることを示す図である。 FGF18を連続投与することによって、毛 の成長を抑制できることをin vivoにおいて実 証する図である。図中、Aは対照液PBSを投与 たマウスの皮膚切片、BはFGF18を投与したマ スの皮膚切片の顕微鏡写真である。 FGF18のN末側を欠失させた部分ペプチド FGF受容体刺激作用を有することを示す図で る。(FGF受容体発現細胞を約100ng/mlの試料で 激した場合のDNA合成量)図中、R1c、R2c、R3c、 R4はそれぞれFGFR1c発現細胞、FGFR2c発現細胞、F GFR3c発現細胞、FGFR4発現細胞であり、カラム1, 9,16,26は試料添加なし(対照)、カラム2,10,17,27 (d4)、カラム3,18,28は(d12)、カラム19,29は(d16)、 カラム4,20,30は(d18)、カラム5,11,21,31は(d22)、カ ラム6,22,32は(d37)、カラム12は(d48)、カラム13,23 ,33は(d67)、カラム7,14,24,34は(d77)、カラム8,15,95 は(d95)である。 FGF18のC末側を欠失させた部分ペプチド FGF受容体刺激作用を有することを示す図で る。(FGF受容体発現細胞を種々の濃度の試料 で刺激した場合のDNA合成量) 海人草抽出液のR4/Ba/F3 細胞増殖促進作 用:FGF18存在下、非存在下での海人草抽出液0.0 83%、0.83%及び8.3%の添加によるR4/Ba/F3 細胞の 殖率を示す。 海人草抽出液のin vivo 解析:海人草抽 液を毛周期の休止期にあるC3H/HeN マウス背 に2回皮下投与後のマウス背部の発毛状態の 化を示す。

発明の実施するための最良の形態

 以下、本発明を詳細に説明する。
 本発明を適用することによって、新規な毛 成長阻害剤及び脱毛剤を提供することがで る。これら毛髪成長阻害剤及び脱毛剤は、 続的高濃度のFGF18が毛包(毛根と呼ばれる場 もある)の成長を抑制する作用を利用する点 で共通する。

 毛包とは、毛を作る器官である。毛包の 長周期は、成長期(anagen)、退行期(catagen)、 行期に続く休止期(telogen)からなり、休止期 後に成長期に入るというサイクルである。 般に、マウスの実験系では、成長期は脱毛 1~19日目の期間であり、退行期は20~21日目の 間である。また、脱毛後、21~22日目に休止期 に入ることが知られている。成長期において は、新しい毛の成長(伸長)が活発化するとと に、皮膚内では毛包の成長が活発化して、 の底部が皮膚の下部近傍に到達する。一方 休止期においては、毛包は皮膚の浅いとこ に小さい状態で存在する。また、成長期と 止期とでは皮膚の厚さも全く異なる。さら 有色体毛を持つマウスでは、成長期の初期 はメラニン色素が合成され、皮膚が青くな ているのを視認することができる。したが て、皮膚の外側から青い色を見て毛包の成 周期の進行を評価することもできる。また 成長期に皮膚を切開して裏側から見ると、 ラニン色素を多量に含んだ毛包が高い密度 並ぶこととなるため、皮膚の裏側が黒なっ いるのを視認することができる。これに対 て休止期においては、皮膚の裏側は白いま であることを視認することができる。例え 、マウスの実験系では、生後7~8週齢のマウ の背中の毛は全て休止期にあり、また、生 ている毛を抜くことにより、同調して成長 が開始する。

 1. FGF18
 FGF18は、ヒトとマウスでは産生細胞の細胞 で207アミノ酸のポリペプチドとして合成さ 、それが細胞外に分泌される際にN末端のシ ナルペプチドが切断され、181アミノ酸より る分泌体として生理作用を発揮する。そし 、7種類あるFGF受容体サブクラス(FGFR1c、FGFR1 b、FGFR2c、FGFR2b、FGFR3c、FGFR3b、FGFR4)のうち少 くとも4つ、すなわちFGFR1c、FGFR2c、FGFR3c、FGFR 4と反応することが確認されている(非特許文 20)。
 本発明に係る新規な毛髪成長促進剤、発毛 進剤及び脱毛症治療剤に含まれるFGF18とし は、例えば配列番号2に示すアミノ酸配列か なるヒト由来のFGF18を使用することができ 。他の使用可能なFGF18としては、ヒト由来に 限定されず、例えば、他の哺乳動物由来のFGF 18を使用することができる。他の哺乳動物と ては、マウス、ラット、ニワトリ、七面鳥 ウシ、ブタ、ヒツジ及びウサギ等を挙げる とができるが、これらに限定されない。例 ば、配列番号1に示すヒト由来FGF18の塩基配 に基づいて作製したプローブを定法に従っ 用いれば、ヒトを除く他の哺乳動物からFGF1 8をコードする遺伝子を単離することができ 。
 分泌シグナル配列を除去したヒト由来FGF18 塩基配列及びアミノ酸配列をそれぞれ配列 号1及び2に示す。分泌シグナル配列を除去し たマウス由来FGF18の塩基配列及びアミノ酸配 をそれぞれ配列番号3及び14に示す。これら 列番号2及び14に示すアミノ酸配列を比較す と判るように、哺乳動物においてFGF18は非 に高い相同性を有しており、哺乳動物にお るFGF18の機能はほぼ同様であると理解するこ とができる。

 本願発明において、N末端の欠失アミノ酸の 数をいうときは、組み換えタンパク質生産に おける翻訳開始のために導入されたメチオニ ン残基を除いた欠失アミノ酸の数を意味する 。配列番号2及び14に示すアミノ酸配列のうち 、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換及び付 されたアミノ酸配列からなり、毛包の成長 制作用があるタンパク質であれば、本願に けるFGF18に含まれる。ここで、数個のアミノ 酸とは、例えば2~37個、好ましくは2~22個、よ 好ましくは2~18個、さらに好ましくは2~12個 最も好ましくは2~4個を意味する。
 そして、配列番号14に示すアミノ酸配列に ける32~151番目の領域は、様々なFGFに共通す コア部分であると考えられており、受容体 ヘパリンに結合することが観察されている( 特許文献1)。したがって、配列番号14に示す アミノ酸配列における32~151番目を含む部分ペ プチド、もしくは、当該32~151番目の領域以外 の領域に1又は数個のアミノ酸が欠失、置換 び付加された変異ペプチドであっても、FGF18 の有する毛包の成長抑制作用を発揮する限り において、本願におけるFGF18として使用する とができる。
 実際に、配列番号14に示すN末端からメチオ ン残基を除いた4~95個のアミノ酸を除去した 場合(d4~d95)のFGF18活性への影響を測定した実 結果によれば(図3)、d95の場合でもFGF18様のFGF R3c刺激活性を弱いながらも有している。
 したがって、配列番号14に示すN末側からメ オニン残基を除いた1~95番目のアミノ酸につ いては、すべて欠失しても本発明におけるFGF 18として用いることができる。好ましくはN末 側から1~77番目のアミノ酸を欠失した部分ペ チドが用いられ、好ましくは1~37番目、より ましくは1~22番目、さらに好ましくは1~12番 、最も好ましくは1~4番目のアミノ酸を欠失 た部分ペプチドが用いられる。また、N末側 ミノ酸配列の1~95番目のアミノ酸の1部を置 してもよく、好ましくは、24~182番目のアミ 酸配列を含む部分ペプチドであり、より好 しくは、6~182番目のアミノ酸配列を含む部分 ペプチドが用いられる。
 また、C末側に関しては、実際に、配列番号 14に示すC末端から8~25番目のアミノ酸を除去 た場合(dc8~dc25)のFGF18活性への影響を測定し 実験結果によれば、dc25の場合でもFGF18様のFG FR2c, FGFR3c, FGFR4刺激活性を強く有している( 4)。したがって、配列番号14に示すC末側から 1~25番目のアミノ酸については、すべて欠失 ても本発明におけるFGF18として用いることが できる。
 以上のとおり、本願発明においてFGF18とい ときは、ヒト、マウスをはじめとする哺乳 物由来FGF18の全長ポリペプチドのみならず、 FGF18様活性を有するFGF18部分ペプチド及びFGF18 変異ペプチドも包含する。
 

 2. FGF18様活性物質、FGF18活性化物質及びそ スクリーニング方法について
 〔1〕FGF18様活性物質
 FGF18様活性物質という表現は、FGF18と同様の 受容体に結合して同様の細胞内情報伝達系を 作動させる物質を意味するが、FGF18は、上述 ように、7種類あるFGF受容体サブクラスのう ちの少なくともFGFR1c、FGFR2c、FGFR3c、FGFR4と反 するので、本発明における「FGF18様活性物 」とは、細胞表面のFGFR1c、FGFR2c、FGFR3c、FGFR4 のいずれかの受容体に結合して、その細胞に FGF18と同様に細胞内情報伝達系を作動させる 質をいう。(ただし、FGF18様活性物質のうち FGF18の部分ペプチド及び変異ペプチドの場 は、本発明においては「FGF18」に含める。)FG F受容体を表面に有する細胞での細胞内情報 達系を作動させるか否かを具体的に確認す ためには、細胞内のセカンドメッセンジャ (Caイオン,cAMPなど)の量を測定してもよいが 典型的にはこれらFGF受容体発現細胞に投与 た場合、又は遺伝子導入して発現させた場 に、当該細胞の増殖性が観察されることを う。
 特に、FGF18はこれら受容体の中でもとりわ FGFR3c発現細胞と FGFR4発現細胞に細胞内情報 達系を作動させる活性が強いので、FGF18様 性物質とは、FGFR3c発現細胞またはFGFR4発現細 胞に対する活性が強い物質として選択するこ ともできる。さらにFGF18様活性物質とは、同 度においてFGFR3c発現細胞と FGFR4発現細胞に 対する細胞増殖促進活性がFGFR1c発現細胞とFGF R2c発現細胞に対する細胞増殖促進活性よりも 格段に(2倍以上、好ましくは3倍以上)強い細 増殖促進活性を有するものとして選択する ともできる。

〔2〕FGF18様活性物質のスクリーニング方法
 被検物質が、このようなFGF18類似の活性が る物質かどうかを検索することにより、毛 成長抑制或いは脱毛といった機能を有する 能性のある物質をスクリーニングすること できる。
 具体的には、下記の(a)~(c)の工程を含む方法 、
(a)FGFR1c、FGFR2c、FGFR3c及びFGFR4から選ばれた少 くとも1つのFGF受容体遺伝子を用いて遺伝子 操作により細胞表面に強制的に発現させ、当 該細胞を培養する工程、
(b)(a)工程で得られた、細胞表面にFGF受容体を 有する細胞系に披検物質を接触させる工程、
(c)(b)工程において、FGF18と同様の細胞増殖促 活性を観察した披検物質を選択する工程。
 又は下記の(a’)~(c’)の工程を含む方法であ る。
(a’)FGFR1c、FGFR2c、FGFR3c及びFGFR4の4種のFGF受容 体遺伝子を用いて遺伝子操作によりそれぞれ を細胞表面に強制的に発現させ、4種の当該 胞を培養する工程、
(b’)(a’)工程で得られた、細胞表面にFGF受容 体を有する4種の細胞系に披検物質を接触さ る工程、
(c’)(b’)工程において、FGF18と同様に、同濃 においてFGFR3c発現細胞と FGFR4発現細胞に対 する細胞増殖促進活性がFGFR1c発現細胞とFGFR2c 発現細胞に対する細胞増殖促進活性よりも格 段に強い細胞増殖促進活性を観察した披検物 質を選択する工程。
 
 ここで、FGF受容体遺伝子としては、FGF18が 合し、かつ細胞表面に受容体を有する細胞 対するFGF18の細胞増殖作用が確認されている FGFR1c、FGFR2c、FGFR3c及びFGFR4の受容体遺伝子の なくとも1つを用いる。好ましくは、FGFR3cま たはFGFR4遺伝子を用いる。被検物質を細胞に 触させる場合に、典型的には、細胞培養液 被検物質を直接投与するが、特に被検物質 タンパク質の場合などは、当該被検物質を ードする遺伝子をFGF受容体発現細胞中に導 することも可能である。
 また、FGF受容体を細胞表面に強制的に発現 せるための細胞は、培養可能な細胞であれ どのような細胞でもよいが、好ましくはマ スIL-3依存性Ba/F3細胞株である。
 そして、FGF受容体遺伝子を導入していない 細胞は対照試験に用いることができ、披検 質を用いて(b)工程と同様の操作を行い、披 物質がこれら親細胞に対しては細胞増殖促 活性を起こさないことを確認する工程を設 ることが好ましい。

〔3〕FGF18の活性を促進する物質
 上記(1)のFGF18様活性物質とまではいえなく も、FGF18の受容体結合を促進もしくは増強す ることなどにより、FGF18による毛包の成長抑 作用を助長する物質であれば、毛髪の成長 害作用又は脱毛作用を有するので、これら 物質を本発明では「FGF18の活性を促進する 質」という。これらのFGF18の活性を促進する 物質は、単独で、もしくはFGF18などと共に、 髪成長阻害剤又は脱毛剤として用いること できる。

〔4〕FGF18の活性を促進する物質のスクリーニ ング方法
 FGF18の活性を促進する物質は、披検物質をFG F18と共に細胞表面のFGF受容体に接触させ、FGF 受容体に対するFGF18自身の活性を促進するか かをモニターすることでスクリーニングで る。
 具体的には、以下の(a)~(c)の工程を含むスク リーニング方法により得ることができる。
 以下の(a)~(c)の工程を含むスクリーニング方 法により得ることができる。
(a)FGFR1c、FGFR2c、FGFR3c及びFGFR4から選ばれた少 くとも1つのFGF受容体遺伝子を用いて遺伝子 操作により細胞表面に強制的に発現させ、当 該細胞を培養する工程、
(b)(a)工程で得られた、細胞表面にFGF受容体を 有する細胞系にFGF18と共に披検物質を接触さ る工程、
(c)(b)工程において、FGF18を単独で作用させた 合と比較して高い細胞増殖促進活性を観察 た系を選択する工程。
 当該スクリーニング方法において、FGFR3c又 FGFR4などのFGF受容体発現細胞に対するFGF18の 細胞増殖促進活性を増大させた被検物質は、 毛包細胞におけるFGF18の活性を促進する物質 あると考えられるから、毛髪成長抑制或い 脱毛といった機能を有する可能性があると 断できる。
 したがって、このような工程を経てスクリ ニングされたFGF18の活性促進物質は毛髪成 阻害剤及び脱毛剤の有力な候補となる。そ 際の目安として、FGF18を単独で作用させた場 合に比べて、FGF受容体発現細胞の増殖能を5% 上、好ましくは10%以上、より好ましくは20% 上増大させる物質を選択すればよい。

 3. FGF18の発現促進物質及びそのスクリーニ グ方法
 FGF18は毛包内に存在する内在因子であるの 、毛包細胞内でのFGF18遺伝子の転写及び翻訳 を促進する物質、すなわちFGF18遺伝子の発現 活性化する物質も毛包細胞中のFGF18濃度を 加させて、FGF18による毛髪成長の阻害活性を 引き起こすことができるから、毛髪成長阻害 又は脱毛作用を有する。
 このようなFGF18遺伝子の発現を活性化する 質は、皮膚由来細胞などの動物培養細胞又 実験動物を用いてFGF18遺伝子の発現を促進す るか否かをモニターすることでスクリーニン グすることができる。
 具体的には、先ず、実験動物に被検物質を 触もしくは投与するか、動物培養細胞に被 物質を接触させる。なお、実験動物とは、 トを除く、例えば、マウス、ラット、ニワ リ、七面鳥、ウシ、ブタ、ヒツジ及びウサ 等を意味する。被検物質としては、何ら限 されないが、例えば、植物抽出液、ペプチ 、タンパク質、非ペプチド性化合物、低分 化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽 液、動物組織抽出液等が挙げられる。これ の物質は新規な物質であってもよいし、公 の物質であってもよい。被検物質を細胞も くは動物に接触させる場合に、典型的には 被検物質を細胞培養液に添加するか又は実 動物に投与するが、特に被検物質がタンパ 質の場合などは、当該被検物質をコードす 遺伝子をFGF受容体発現細胞中に導入するこ も可能である。
 次に、当該動物培養細胞又は実験動物にお るFGF18遺伝子の発現をモニターする。動物 養細胞又は実験動物におけるFGF18遺伝子の発 現は、例えば、FGF18抗体を用いたELISA等の常 を用いて解析するか、あるいは該細胞内又 実験動物内におけるFGF18遺伝子のmRNA量を定 的逆転写PCR法やノーザンブロット法等によ 解析するといった方法によりモニターする とができる。
 これらいずれかの解析により、被検物質の 存在下で培養された動物培養細胞内におけ FGF18遺伝子の発現量と比べて、被検物質の 在下で培養された動物培養細胞内又は実験 物内におけるFGF18遺伝子の発現量が増加すれ ば、当該被検物質は毛髪成長抑制或いは脱毛 といった機能を有する可能性があると判断で きる。具体的には、被検物質を作用させない 場合と比較して、mRNA量が20%以上、好ましく 50%以上、より好ましくは80%以上、さらに好 しくは100%以上増加すれば、確実にFGF18の発 促進物質であるといえる。培養角化細胞や 養真皮細胞、培養毛乳頭細胞でのFGF18のmRNA 現量は、培養条件や細胞の種類により様々 あるので、上記の方法などにより個別に測 し、その数値が1.2倍以上に上昇することを 安にスクリーニングすればよい。
 このような工程を経てスクリーニングされ FGF18の発現促進物質は、単独で、もしくはFG F18などと共に、毛髪成長阻害剤又は脱毛剤と して用いることができる。

 4. 毛髪成長阻害剤及び脱毛剤
 本発明において、上記したFGF18、FGF18様活性 物質、FGF18活性化物質及びFGF18発現促進物質( 下、「FGF18など」という。)は、毛包部に持 的に存在させるように投与させる必要があ 。ここで、「持続的に存在させる」とは、 期濃度の1%以上、好ましくは5%以上、より好 ましくは10%以上のFGF18などが、少なくとも1日 間、好ましくは4日間、より好ましくは8日間 包部にとどまっている状態を意味する。そ ためには、インプラント剤又は貼付剤など 皮膚から徐々に吸収させる方法も採用でき が、1~3日ごとに、もしくは1日に2回以上、 要に応じて繰り返し投与すればよい。
 具体的な投与形態としては、単独もしくは 用して、例えば、皮膚適用向けに適合化さ た溶液、クリーム、軟膏、ゲル、ローシヨ 、シャンプー、エアゾール又は貼付剤とい た形態で製剤化され、毛髪成長阻害剤又は 毛剤として提供される。
 特に、毛髪成長阻害剤又は脱毛剤は、局所 与用に適合化された薬理学上許容されるキ リアと共にFGF18などを含んだ医薬組成物の で投与される。FGF18などを含有する毛髪成長 阻害剤又は脱毛剤は、薬学上許容されるキャ リア中に通常約0.01~約100μg/日/cm 2 、好ましくは約0.1~約10μg/日/cm 2 の活性化合物を含有している。言い換えると 、FGF18などの濃度は薬学上許容されるキャリ 中で通常約0.01~約100μg/日/cm 2 、好ましくは約0.1~約10μg/日/cm 2 の活性化合物である。

 また、毛髪成長阻害剤又は脱毛剤は、当業 で周知の他の毛髪成長阻害剤又は脱毛剤を 有していても良い、FGF18などによる毛髪成 阻害又は脱毛効果を増加もしくは増強させ 物質としては特に限定されない。
 さらに、毛髪成長阻害剤又は脱毛剤は、当 界で周知の毛髪成長阻害活性又は脱毛活性 示す化合物もしくは薬剤を含んでいても良 。他の毛髪成長阻害剤又は脱毛剤としては 特に限定されない。
 さらにまた、局所投与用に適合化された薬 学上許容されるキャリアとしては、特に限 されないが、親水ワセリン又はポリエチレ グリコール軟膏のような軟膏、キサンゴム ようなゴム等のペースト、アルコール、水 又は緩衝液のような溶液、水酸化アルミニ ム又はアルギン酸ナトリウムゲルのような ル、ヒト又は動物アルブミンのようなアル ミン、ヒト又は動物コラーゲンのようなコ ーゲン、アルキルセルロース、ヒドロキシ ルキルセルロース及びアルキルヒドロキシ ルキルセルロースのようなセルロース、メ ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー 、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキ プロピルメチルセルロース及びヒドロキシ ロピルセルロース、プルロニックF-127で例 されるプルロニック(Pluronic(商標))ポリオ-ル ようなポリマ-;テトロニック1508のようなテ ロニック(tetronic)、アルギン酸ナトリウムの ようなアルギン酸塩を挙げることができる。

 また、本発明に係る毛髪成長阻害剤又は脱 剤は、上記「1.FGF18」で説明したFGF18をコー するDNA(すなわち、ヒトなどの哺乳動物由来 FGF18の全長ポリペプチド又はFGF18様活性を有 るその部分ペプチドもしくはその変異ペプ ドをコードするDNA)を有する発現ベクターを 効成分として含有するものであってもよい すなわち、本発明に係る毛髪成長阻害剤又 脱毛剤は、上記発現ベクターを用いた遺伝 治療に使用することができる。発現ベクタ としては、動物細胞において発現を実現す ためのプロモーターなどの配列を備えるが 特に限定されるものではない。発現ベクタ としては、例えば、プラスミドベクター、 イルスベクターなどが利用可能であるが、 れらに限定されない。
 より具体的には、遺伝子治療においては、 記「1.FGF18」で説明したFGF18をコードするDNA 、例えばウイルスベクターに組み込んで、 組換えウイルスベクターを有するウイルス( 無毒化されたもの)を患者に感染させる。患 体内ではFGF18が産生され、毛包の成長を阻害 することができる。
 遺伝子治療用の毛髪成長阻害剤又は脱毛剤 細胞内に導入する方法としては、ウイルス クターを利用した遺伝子導入方法、非ウイ ス性の遺伝子導入方法(日経サイエンス,1994 4月号,20-45頁、実験医学増刊,12(15)(1994)、実 医学別冊「遺伝子治療 の基礎技術」,羊土 (1996))のいずれの方法も適用することができ 。
 ウイルスベクターによる遺伝子導入方法と ては、例えばレトロウイルス、アデノウイ ス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイル 、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス ポリオウイルス、シンビスウイルス等のDNA イルス又はRNAウイルスに、TR4あるいは変異T R4をコードするDNAを組み込んで導入する方法 挙げられる。このうち、レトロウイルス、 デノウイルス、アデノ関連ウイルス、ワク ニアウイルスを用いた方法が、特に好まし 。非ウイルス性の遺伝子導入方法としては 発現プラスミドを直接筋肉内に投与する方 (DNAワクチン法)、リポソーム法、リポフェ ション法、マイクロインジェクション法、 ン酸カルシウム法、エレクトロポレーショ 法等が挙げられ、特にDNAワクチン法、リポ ーム法が好ましい。
 また遺伝子治療用の毛髪成長阻害剤又は脱 剤を実際に医薬として作用させるには、DNA 直接体内に導入するインビボ法及びヒトか ある種の細胞を取り出し体外でDNAを該細胞 導入し、その細胞を体内に戻すエクスビボ ある(日経サイエンス,1994年4月号,20-45頁、月 刊薬事,36(1),23-48(1994)、実験医学増刊,12(15)(1994 ))。
 例えば、該遺伝子治療 剤がインビボ法に り投与される場合は、疾患、症状等に応じ 静脈、動脈、皮下、皮内、筋肉内等、適当 投与経路により投与される。またインビボ により投与する場合は、該遺伝子治療剤は 般的には注射剤等とされるが、必要に応じ 慣用の担体を加えてもよい。また、リポソ ム又は膜融合リポソーム(センダイウイルス- リポソーム等)の形態にした場合は、懸濁剤 凍結剤、遠心分離濃縮凍結剤等のリポソー 製剤とすることができる。
 

 5. 海人草抽出物
 本発明の前記2.〔2〕のスクリーニング方法 より得られたFGF18様活性物質の1つは海人草 出物であり、その発毛抑制効果も確認され 。
 原料となる海人草は、紅藻類のイギス目フ マツモ科に属し、学名はDigenea simplexであり 、マクリとも呼ばれている。
 海人草からその抽出物を得るに当たっては 植物体の全部位が使用可能であり、各部位 単独に、或いは適宜混合して抽出原料に用 ることができる。また、原料となる植物体 性状は、乾燥状態のもの、非乾燥状態のも 、いずれも用いることができる。

 海人草から、本発明に用いる抽出物を得 には、これらの原料を必要により細切ない 粉砕し、適当な溶媒を用いて、一般に用い れる抽出法で抽出すれば良い。抽出に用い れる溶媒は、特に限定されないが、例えば 、無水或いは含水有機溶媒を例示すること できる。無水或いは含水有機溶媒としては 1価アルコール、多価アルコールまたはその 誘導体、ケトン、エステル、エーテル、石油 エーテル、脂肪族炭化水素、またはハロゲン 化合物、芳香族炭化水素より選択された一種 または二種以上を例示することができる。具 体的な溶媒としては、水、メタノール、エタ ノール、ブタノール、アセトン、酢酸エチル エステルが例示され、これらは一種または二 種以上を組み合わせて用いることができる。 このうち、特に水、或いはメタノールやエタ ノール等の1価アルコールを用いることが好 しい。抽出に当たって、上記溶媒の使用量 特に限定されないが、抽出原料である海人 に対して、0.1-1000重量倍、好ましくは1-100重 倍、更に好ましくは2-50重量倍である。

 上記溶媒による抽出法は、常法に従って なうことができる。例えば抽出温度につい は、室温程度の温度で抽出しても良く、ま 用いられる溶媒の沸点付近の温度で抽出し も良い。また、抽出操作についても、海人 の乾燥粉砕物もしくは粉砕物を室温下で1-30 日間浸漬することにより抽出する方法や、抽 出溶媒の沸点程度の温度において還流抽出す る方法等を用いることができる。

 当該海人草抽出物は、下記の実施例4におい て示されるように、本発明のFGF18様活性物質 スクリーニング方法である、FGFレセプター 1つであるFGFR4を遺伝子発現操作により細胞 面に強制的に発現させた細胞を用いて、FGF1 8様の細胞増殖促進活性を有する物質の1つと て検索された。この海人草抽出物は、FGFR4 現細胞に対してはFGF18と同様の細胞増殖促進 活性を示し、FGFR4を発現していない親株に対 る細胞増殖促進活性は無いことから、FGF18 活性物質であるということができる。
 そして、当該FGF18様活性物質は、推定どお 発毛抑制作用があることが、実施例6により 証された。
 また、FGFR4発現細胞に対する細胞増殖促進 用について、FGF18単独で作用させた場合との 比較実験を行った結果、低濃度の海人草抽出 物には、FGF18活性を促進する作用が確認され 海人草抽出物はFGF18活性の促進物質である いうこともできる。このことから、当該比 実験の手法は、FGF18活性の促進物質をスクリ ーニング法として用いることができることを 示すものであり、この手法が発毛抑制剤の候 補を選択するための有力な手段であることは 明らかである。

 以下、実施例を用いて本発明をより詳細に 明するが、本発明の技術的範囲は以下の実 例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
毛乳頭細胞遺伝子発現に対するFGF 18の影響
 本実施例では、FGF18の毛成長に対する機能 評価するため、毛包成長の司令塔と考えら ている毛乳頭細胞による遺伝子発現につい 、FGF18の影響を調べた。
<材料と方法>
 培養したヒト毛乳頭細胞(HFDP:成人頭皮由来; 東洋紡績株式会社製)はHFDP生育培地(20%ウシ胎 児血清を含む乳頭細胞基礎培地;東洋紡績株 会社製)で継代培養して2継代以内に実験に使 用した。細胞はトリプシン処理してコラーゲ ンコートプレート(Sumilon社製)に、密度が1×10 4 細胞/ウェルで24ウェルに分注してHFDP培地で37 ℃に維持した。次の日に培地にFGF18を添加し 細胞を24時間培養してからFGF18を含まない培 地に交換した。対照群に対しては、FGF18を含 ない培地で培養した。そして細胞を採取し 、そのmRNAを抽出し、精製した。その中に含 まれる、毛包成長促進因子として知られるVEG FのmRNAの発現レベルを解析した。
 
<結果>
 結果を図1に示す。毛乳頭細胞は様々な因子 を放出して毛成長を支えていると考えられて いる。それらの因子の一つとしてVEGFがある 本実験で、毛乳頭細胞によるVEGFのmRNAの発現 レベルが、培地にFGF18を添加することにより 少したことから、毛乳頭細胞による毛成長 ための一つの因子の産生をFGF18が抑制する とを確認した。

〔実施例2〕
FGF18の毛髪成長に対する抑制作用
 本実施例では、毛包成長に対するFGF18のin v ivoでの影響の特徴を調べるため、FGF18の投与 よる影響を毛包成長期に誘導したC3H/HeNマウ スで試験した。
<材料と方法>
 FGF18の毛包成長に対するin vivoでの影響の特 徴を調べるため、毛包成長期に誘導したマウ スに、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に溶解したF GF18タンパク質を投与した。
 すなわち、50日齢のC3H/HeN雄マウスの休止期 ある背部毛を手指によって優しく抜き去り 毛包成長期開始を誘導した。そしてFGF18溶 を尾部近くより背部皮膚に皮下注射した(マ ス1匹あたり1μgのFGF18)。マウスは飼料およ 水を任意に摂取できるようにして飼育した この日から8日間、毎日ほぼ同時刻に8日間、 FGF18溶液を背部皮膚に皮下注射した。対照群 しては、FGF18の代わりにPBSを注射した。9日 にマウスに麻酔をかけて安楽死させた。背 皮膚を全層で切除し、パラフィンで包理し 。包理した皮膚サンプルはミクロトームで4 μm厚の切片にしてヘマトキシリンで染色して 顕微鏡で観察した。
 
<結果>
 結果を図2に示す。図中、Aは対照液PBSを投 したマウスの皮膚切片の顕微鏡写真であり BはFGF18を投与したマウスの皮膚切片の顕微 写真である。なお、A,Bで写真の拡大倍率は 定である。
 写真Aから分かるように、PBS液を皮下投与し たマウスでは、9日後に毛包の自然な成長が められ、毛包が長く成長し、皮膚の下層ま 達している。
 これに対して、写真BのFGF18液を投与したマ スでは毛包が短く、毛成長が強く抑制され いることが示される。
 この結果から、FGF18を連続投与することに って、毛包の成長を抑制できることがin vivo において実証された。

〔実施例3〕
FGF18部分ペプチドのFGF受容体刺激 用
 FGF18の部分ペプチドとして、マウスFGF18のア ミノ酸配列に対応する配列番号14のメチオニ を除くN末端から4番目から95番目のアミノ酸 を除去した部分ポリペプチド(d4~d95:メチオニ を除くN末端から除去したアミノ酸数で表す 。)を作製した。さらに、FGF18の部分ペプチド として、マウスFGF18のアミノ酸配列に対応す 配列番号14のC末端から8番目から25番目のア ノ酸を除去した部分ポリペプチド(dc8~dc25:C 端から除去したアミノ酸数で表す。)を作製 た。
 なお、それぞれの部分ポリペプチドのアミ 酸配列(塩基配列)は、以下の配列番号に対 する。
 d4:配列番号15(配列番号4)
 d12:配列番号16(配列番号5)
 d16:配列番号17(配列番号6)
 d18:配列番号18(配列番号7)
 d22:配列番号19(配列番号8)
 d37:配列番号20(配列番号9)
 d48:配列番号21(配列番号10)
 d67:配列番号22(配列番号11)
 d77:配列番号23(配列番号12)
 d95:配列番号24(配列番号13)
 dc8:配列番号28(配列番号25)
 dc15:配列番号29(配列番号26)
 dc25:配列番号30(配列番号27)
 
 FGF18は4種類のFGFレセプターFGFR1c, FGFR2c, FGFR 3c, FGFR4 を刺激するが、それらを刺激する強 さは異なり、また、これらの受容体への刺激 の総和としての結果として、毛成長抑制をす ると考えられる。
 文献の教示にしたがって、マウスIL-3依存性 proB細胞であるBa/F3細胞株(理研BRCより入手)に 遺伝子発現操作によりFGFレセプターであるF GFR1c, FGFR2c, FGFR3c, FGFR4のいずれかを導入し 、FGFRが細胞表面に強制的に発現されている 胞を作成した(Ornitz, DM., Xu, J., Colvin, JS., McEwen, DG., MacArthur, CA., Coulier, F., Gao, G. a nd Goldfarb, M., 1996. Receptor specificity of the f ibroblast growth factor family. J. Biol. Chem. 271(25 ):15292-15297;Yoneda, A., Asada, M., Oda, Y., Suzuki, M. and Imamura, T., 2000. Engineering of an FGF-pro teoglycan fusion protein with  heparin-independent, mi togenic activity. Nat. Biotec. 18(6):641-644)。
 これらの細胞を用い、それぞれのレセプタ の刺激活性を調べた。その結果を図3に示す 。
 図3の左から、それぞれ、FGFR1c発現細胞(R1c) FGFR2c発現細胞(R2c)、FGFR3c発現細胞(R3c)、FGFR4 現細胞(R4)を用いた試験の結果を示す。
 縦軸はそれぞれにおいて、細胞を何ら刺激 ない場合の基底レベルのDNA合成量を100%とし て、細胞を約100ng/mlの試料で刺激した場合のD NA合成量を表す。
 <R1c>
 カラム1:試料添加なし(対照)。 カラム2:(d4) カラム3 :(d12) 。カラム4:(d18)。カラム5:(d22) 。カラム6:(d37)。カラム7:(d77) 。カラム8 :(d95 )。
 <R2c>
 カラム9:試料添加なし(対照)。カラム10:(d4)  。カラム11:(d22) 。カラム12:(d48)。カラム13:(d6 7)。カラム14:(d77)。カラム15:(d95)。
 <R3c>
 カラム16:試料添加なし(対照)。カラム17:(d4) カラム18:(d12)。カラム19:(d16)。カラム20:(d18) カラム21:(d22)。カラム22:(d37)。カラム23:(d67) カラム24:(d77)。カラム25:(d95)。
 <R4>
 カラム26:試料添加なし(対照)。カラム27:(d4) カラム28:(d12)。カラム29:(d16)。カラム30:(d18) カラム31:(d22)。カラム32:(d37)。カラム33:(d67) カラム34:(d77)。
 
図4の左から、それぞれ、FGFR2c発現細胞(R2c)、 FGFR3c発現細胞(R3c)、FGFR4発現細胞(R4)を用いた 験の結果を示す。
 縦軸はそれぞれにおいて、細胞を何ら刺激 ない場合の基底レベルのDNA合成量を0 CPMと て、細胞を様々な濃度の試料で刺激した場 のDNA合成量をCPMで表す。横軸はそれぞれに いて、細胞を刺激するのに用いた試料の濃 を示す。
 <R2c>
 上図:全長(対照)。中図:(dc8) 。下図:(dc25) 
 <R3c>
 上図:全長(対照)。中図:(dc8) 。下図:(dc25) 
 <R4>
 上図:全長(対照)。中図:(dc8) 。下図:(dc25) 
 
 図3及び図4から、FGF18部分ペプチド(d4~d95, dc 8~dc25)でも、様々な強さでFGF受容体を刺激し 、細胞によるDNA合成を刺激する活性が認め れた。特に、FGFR3c発現細胞とFGFR4発現細胞を 強く刺激する活性を有していることが示され た。このようなFGF18が有するFGF受容体刺激活 と類似した活性を有している実験結果は、 成長制御においてもFGF18類似活性を有して ることを示している。
 FGF18部分ペプチド中でもd4~d37及び dc8~dc25、 にd4~d22及び dc8~dc25はFGFR3c及びFGFR4dいずれの 受容体刺激活性も強いことから、N末側から チオニンを除く37個以下、特に22個以下のア ノ酸を除いた部分ペプチド、及びC末側から の25個以下のアミノ酸を除いた部分ペプチド が本発明のFGF18として好ましく用いられる

〔実施例4〕
FGFR4発現細胞を用いたFGF18様活性 質のスクリーニング
 作製したFGFR4が細胞表面に強制的に発現さ ている細胞(R4/Ba/F3細胞)を、被験液として種 の植物抽出液と共に培養した。陽性対照と ては市販のFGF18蛋白質を用いた。一定時間 養した後の細胞数を、Cell Counting Kit-8((株) 仁化学研究所製造、和光純薬工業株式会社 売)を用いて、WST-8ホルマザンの産生量に伴 450 nmの発色を測定して求めた。

 その結果、海人草の抽出物が、FGF18様活 物質として作用し、R4/BaF3細胞の増殖を促進 うることが見いだされた。

〔実施例5〕
本発明のFGF18様活性物質の細胞増 促進活性
 乾燥した海人草(琉球海産物加工場、または 、名護海苔商会)2.0gに、70%エタノール水溶液4 0mlを加え、室温で7日間浸漬抽出した。乾燥 た海人草(琉球海産物加工場、または、名護 苔商会)2.0gに、蒸留水40mlを加え、20分間煮 した。以上の様にして得られた抽出液をろ してろ液を取り、抽出液を得た。

 実施例3と同様にして、R4/Ba/F3細胞を用いて 発明のFGF18様活性物質の細胞増殖活性の測 を行った。具体的には、測定は次の様にし 行った。96穴の細胞培養用プレートの各ウエ ルに、1ウエル当たり50μlの10% FBS、1% Antibioti c G-418 Sulfate(プロメガ株式会社、V7983)を含む RPMI1640培地を加えた。次いで、各試料を水で 釈して調製した種々の濃度の被験液 10μl  添加した後、10% FBS、1% Antibiotic G-418 Sulfat eを含むRPMI1640培地中に5 x 10 4 個のR4/Ba/F3細胞が懸濁した細胞懸濁液50μlを 加し、軽く撹拌した。最後に、heparin / 10%  FBS / 1% Antibiotic G-418 Sulfate / RPMI1640培地、 10μl(heparin終濃度5μg/ml) を加え、5%CO2存在下 37℃の炭酸ガスインキュベーターで72時間培 した。R4/Ba/F3細胞の増殖は、72時間培養後の 各ウエルに、Cell Counting Kit-8((株)同仁化学研 究所製造、和光純薬工業株式会社販売)/PBS溶 10μlを加えた後、更に3時間培養し、WST-8ホ マザンの産生量に伴う450 nmの発色を測定し 求めた。
 測定に際しては、陽性対照としては、FGF18( プロテック株式会社、100-28)溶液 10μl(FGF18 濃度3ng/ml)を、また陰性対照としては、被験 作製時に使用した水またはエタノール溶液( エタノール溶液の終濃度は1%以下になるよう 調製)10μl を用いて測定した。細胞増殖率(% )の算定は、被験液添加時に得られる吸光度 ついて、陽性対照として用いたFGF18(終濃度3n g/ml)添加時の吸光度を100%、陰性対照として用 いた水またはエタノール溶液添加時の吸光度 を0%として算出した。
 海人草抽出液についての結果を図5に示す。 終濃度8.3%の海人草抽出液を被験液とした場 、発色量が増加し、FGF18様の細胞増殖促進活 性を有することが確認された。
 図5において、海人草抽出物は、添加濃度0.0 83%、及び、0.83%においてFGF18単独でFGFR4/BaF3株 培養した場合と比較して、より強い細胞増 促進作用を示し、低濃度の海人草抽出物はF GF18活性促進作用を有している。
 すなわち、海人草抽出物はFGF18様活性物質 あり、かつFGF18活性の促進物質でもある。

〔実施例6〕
 FGF18様活性物質の in vivo での作用を見る めに、毛周期の休止期にあるC3H/HeN マウス 試験した。
本発明のFGF18様活性物質の in vivo  解析
 実施例5に準じて、乾燥した海人草(琉球海 物加工場、または、名護海苔商会)2.0gに、蒸 留水30mlを加え、20分間煮沸した。抽出液が室 温に戻った後、12,000回転、10分間遠心し、上 を得た。遠心上清は、更に0.45 mmのマイレ スHV滅菌フィルターを通過させ、被験液とし た。この様にして得られた海人草抽出液につ いて、毛周期の休止期にあるC3H/HeN マウス背 部に皮下投与した。7週齢のC3H/HeN 雄マウス 麻酔をし、背部毛をバリカンにより優しく 毛した。剃毛後、被験液として海人草抽出 、又はPBS(-)(生理的リン酸緩衝液)100ml をそ ぞれ1群5匹に皮下注射した(第0日)。同様にし て、第4日目に、再度皮下注射し、第21日、28 、35日目のマウス背部の発毛状態を目視に り観察し、発毛スコアーを得た。発毛スコ ーは、1)色素沈着:1点、2)短かな毛並み:2点、 3)通常の毛並み:3点とし、それぞれの発毛状 の面積が全剃毛面積に対して占める割合を% 示し、以下の式で求めた。本算出法による 、全剃毛面積が通常の毛並みに回復した場 、100点となる。
 発毛スコアー=(色素沈着面積の割合(%)×1+短 な毛並み面積の割合(%)×2+通常毛並み面積の 割合(%)×3)/3
 第一回の皮下注射後、第21日(3W)、28日(4W)、3 5日(5W)目におけるマウス背部の発毛状態を観 した結果、図6に示す通り、海人草抽出液投 与群は、PBS(-)投与群に比較して発毛スコアー が低く、毛包の成長を抑制できることをin vi voにおいて実証した。
 以上の様に、海人草抽出液は発毛抑制剤と ての作用が実証された。

〔実施例7〕
 本発明である海人草抽出物を用いたヘアシ ンプーの処方及び製造法を示す。
 以下の処方、及び製法に従ってヘアシャン ーを製造した。
(処方)
成 分             重量%
1.実施例5で得られた希釈液   0.1
2.ラウリルエーテル硫酸ナトリウムエタノー  20
3.ラウリル硫酸ナトリウム    10
4.1,3ブチレングリコール     1
5.香料             適量
6.精製水            残量(全量で100とす る)
(製法)
 処方成分を80℃に加熱し、攪拌混合した後 攪拌冷却し本発明のヘアシャンプーを製造 た。

〔実施例8〕
 本発明である海人草抽出物を用いたヘアリ ッドの処方及び製造法を示す。
 以下の処方、及び製法に従ってヘアリキッ を製造した。
(処方)
成 分                重量%
1.実施例5で得られた希釈液   0.1
2.エタノール             40
3.グリセリン              1
4.香料                適量
5.精製水               残量(全量で100 とする)
(製法) 処方成分を加えて攪拌溶解した後、 製水を加えてヘアリキッドを製造した。

〔実施例9〕
 実施例9は、本発明である海人草抽出物を用 いたヘアクリームの処方及び製造法を示すも のである。
 以下の処方、及び製法に従ってヘアクリー を製造した。
(処方)
成 分                重量%
1.実施例5で得られた希釈液   0.1
2.流動パラフィン           40
3.ワセリン               1
4.セトステアリルアルコール     1
5.メチルポリシロキサン        1
6.パラオキシ安息香酸メチル   0.2
7.プロピレングリコール       5
8.香料               適量
9.精製水              残量(全量で100 する)
(製法)
 処方成分を攪拌混合し、本発明のヘアクリ ムを製造した。
 

 本発明により、効果的な毛髪成長阻害剤及 脱毛剤が提供でき、これらを配合すること より、毛髪成長阻害活性を有するシャンプ 、ヘアリキッドの他、皮膚のむだ毛を除去 るための脱毛クリームなどが提供できる。
 




 
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