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Title:
LUBRICANT COMPOSITION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/120599
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a lubricant composition to be used in an internal combustion engine which uses a fuel containing at least one material selected from natural fats and oils, hydrogenated products of natural fats and oils, ester-exchanged products of natural fats and oils, and hydrogenated ester-exchanged products of natural fats and oils. This lubricant composition contains more than 0.35% by mass but not more than 2% by mass of an alkaline earth metal cleaning agent (A) in terms of the alkaline earth metal based on the total amount of the composition.

Inventors:
KAMANO HIDEKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/055432
Publication Date:
October 09, 2008
Filing Date:
March 24, 2008
Export Citation:
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Assignee:
IDEMITSU KOSAN CO (JP)
KAMANO HIDEKI (JP)
International Classes:
C10M159/20; C10M129/10; C10M133/12; C10M139/00; C10M163/00; C10N30/04; C10N40/25
Domestic Patent References:
WO2005090532A12005-09-29
WO2006065958A22006-06-22
Foreign References:
JP2003252887A2003-09-10
JP3022438B22000-03-21
JP2004002866A2004-01-08
Other References:
See also references of EP 2154231A4
Attorney, Agent or Firm:
KINOSHITA & ASSOCIATES (Ogikubo TM building26-13, Ogikubo 5-chom, Suginami-ku Tokyo 51, JP)
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Claims:
 天然油脂、天然油脂の水素化処理物、天然油脂のエステル交換物、および天然油脂のエステル交換物の水素化処理物の中から選ばれた少なくとも1種を含む燃料を用いる内燃機関で使用される潤滑油組成物であって、
 (A)アルカリ土類金属系清浄剤を、
 組成物全量基準でアルカリ土類金属換算量において0.35質量%を越え、2質量%以下含有することを特徴とする潤滑油組成物。
 請求項1に記載の潤滑油組成物において、
 前記(A)成分が、アルカリ土類金属スルフォネート、アルカリ土類金属フェネート、およびアルカリ土類金属サリシレートの中から選ばれる少なくとも1種の清浄剤であることを特徴とする潤滑油組成物。
 請求項1または請求項2に記載の潤滑油組成物において、
 前記(A)成分の塩基価が10~600mgKOH/gであることを特徴とする潤滑油組成物。
 請求項1~請求項3のいずれかに記載の潤滑油組成物において、
 さらに、(B)数平均分子量200~5000のアルキル基またはアルケニル基で置換されたコハク酸イミド化合物のホウ素誘導体を、ホウ素換算量で0.01~0.2質量%含有することを特徴とする潤滑油組成物。
 請求項4に記載の潤滑油組成物において、
 前記(B)成分におけるホウ素(B)と窒素(N)の質量比(B/N)が0.5以上であることを特徴とする潤滑油組成物。
 請求項1~請求項5のいずれかに記載の潤滑油組成物において、
 フェノール系酸化防止剤および/またはアミン系酸化防止剤を、組成物全量基準で0.3質量%以上含むことを特徴とする潤滑油組成物。
Description:
潤滑油組成物

 本発明は、天然油脂由来の燃料を用いる 燃機関に使用される潤滑油組成物に関する

 現在、地球規模での環境規制はますます厳 くなり、特に自動車を取り巻く状況は、燃 規制、排ガス規制等ますます厳しくなって る。この背景には地球温暖化等の環境問題 、石油資源の枯渇に対する懸念からの資源 護がある。
 一方、地球上に存在する植物は、大気中の 酸化炭素、水および太陽光を吸収して光合 を行い、炭水化物および酸素を生成する。 れ故、植物を原料とした植物油から製造さ るいわゆるバイオ燃料は、地球温暖化の主 因である二酸化炭素の削減、さらには自動 から排出される大気汚染物質の低減効果な の点で大きく注目されている。また、植物 イオマスの燃焼によって生成する二酸化炭 は、地球温暖化ガスの増加にカウントされ いカーボンニュートラルという考え方もあ 、今後炭化水素系の燃料へのバイオ燃料の 合比率は増加すると予想される(例えば、非 特許文献1参照)。

山根浩二著「バイオディーゼル 天ぷら から燃料タンクへ」東京図書出版会、2006年 5月発行

 しかしながら、バイオ燃料はその物性から ンジン油に蓄積し易いことと、バイオ燃料 劣化分解した時に極性化合物が生じること ら、エンジン部品(ピストン等)の清浄性へ 悪影響が大きい。そして、このような不良 象は、内燃機関で用いられる潤滑油の性状 よって大きく左右される。
 そこで、本発明の主な目的は、バイオ燃料 バイオ燃料を混合した燃料をディーゼルエ ジン等の内燃機関に用いても、潤滑性やエ ジン部品の清浄性に優れ、さらに環境への 影響が少ない潤滑油組成物を提供すること ある。

 前記した課題を解決すべく、本発明は、以 に示す潤滑油組成物を提供するものである
(1)天然油脂、天然油脂の水素化処理物、天然 油脂のエステル交換物、および天然油脂のエ ステル交換物の水素化処理物中から選ばれた 少なくとも1種を含む燃料を用いる内燃機関 使用される潤滑油組成物であって、(A)アル リ土類金属系清浄剤を、組成物全量基準で ルカリ土類金属換算量において0.35質量%を越 え、2質量%以下含有することを特徴とする潤 油組成物。

(2)前述した本発明の潤滑油組成物において、 前記(A)成分が、アルカリ土類金属スルフォネ ート、アルカリ土類金属フェネート、および アルカリ土類金属サリシレートの中から選ば れる少なくとも1種の清浄剤であることを特 とする潤滑油組成物。
(3)前述した本発明の潤滑油組成物において、 前記A成分の塩基価が10~600mgKOH/gであることを 徴とする潤滑油組成物。

(4)前述した本発明の潤滑油組成物において、 さらに、(B)数平均分子量200~5000のアルキル基 たはアルケニル基で置換されたコハク酸イ ド化合物のホウ素誘導体を、ホウ素換算量 0.01~0.2質量%含有することを特徴とする潤滑 組成物。
(5)前述した本発明の潤滑油組成物において、 前記(B)成分におけるホウ素(B)と窒素(N)の質量 比(B/N)が0.5以上であることを特徴とする潤滑 組成物。
(6)前述した本発明の潤滑油組成物において、 フェノール系酸化防止剤および/またはアミ 系酸化防止剤を、組成物全量基準で0.3質量% 上含むことを特徴とする潤滑油組成物。

 本発明の潤滑油組成物によれば、天然油脂 からなるいわゆるバイオ燃料を用いる内燃 関において、エンジン油中にバイオ燃料が 入しても、ピストン等のエンジン部品に対 て優れた清浄性を示す。特にエンジンが高 となった際の高温清浄性に優れる。
 なお、本発明における天然油脂には、植物 源のものに限られず、動物起源のものも含 れる。

 以下、本発明について、一実施形態を詳細 説明する。
 本発明は、天然油脂、天然油脂の水素化処 物、天然油脂のエステル交換物、および天 油脂のエステル交換物の水素化処理物の中 ら選ばれた少なくとも1種を含む燃料を用い る内燃機関で使用される潤滑油組成物である 。

 ここで、天然油脂としては、天然界に広く 在する各種の動植物油脂を用いることがで るが、脂肪酸とグリセリンとのエステルを 成分とする植物油、例えばサフラワー油、 豆油、菜種油、パーム油、パーム核油、綿 油、ヤシ油、米糠油、ゴマ油、ヒマシ油、 麻仁油、オリーブ油、桐油、椿油、落花生 、カポック油、カカオ油、木蝋、ヒマワリ 、コーン油などが好適に使用される。
 天然油脂の水素化処理物とは、前記した油 を適当な水素化触媒の存在下でいわゆる水 したものである。
 ここで、水素化触媒としてはニッケル系触 、白金族(Pt,Pd,Rh,Ru)系触媒、コバルト系触媒 、酸化クロム系触媒、銅系触媒、オスミウム 系触媒、イリジウム系触媒、モリブデン系触 媒などが挙げられる。また、水素化触媒とし ては上記触媒を2つ以上組み合わせて使用す ことも好ましい。

 天然油脂のエステル交換物とは、適当なエ テル合成触媒の存在下で、天然油脂を構成 るトリグリセリドに対してエステル交換反 を行って得られたエステルである。例えば 低級アルコールと油脂とを、上記エステル 成触媒の存在下でエステル交換反応させる とにより、バイオ燃料となる脂肪酸エステ が製造される。低級アルコールは、エステ 化剤として使用されるものであり、メタノ ル、エタノール、プロパノール、ブタノー 、ペンタノール等の炭素数5以下のアルコー ルを挙げることができるが、反応性の点でも コストの点でもメタノールが好ましい。この ような低級アルコールは、一般に油脂に対し て当量以上の量で用いられる。
 また、天然油脂のエステル交換物の水素化 理物とは、前記したエステル交換物を適当 水素化触媒の存在下で水添したものである
 なお、天然油脂、天然油脂の水素化処理物 天然油脂のエステル交換物、および天然油 のエステル交換物の水素化処理物は、軽油 どの炭化水素で構成される燃料に添加する とで、混合燃料としても好適に使用するこ ができる。

 本発明の潤滑油組成物に用いられる潤滑油 油については特に制限はなく、従来、内燃 関用潤滑油の基油として使用されている鉱 や合成油の中から任意のものを適宜選択し 用いることができる。
 鉱油としては、例えば、原油を常圧蒸留し 得られる常圧残油を減圧蒸留して得られた 滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素 分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精 等の1つ以上の処理を行って精製した鉱油、 あるいはワックス、GTL WAXを異性化すること よって製造される鉱油等が挙げられる。

 一方、合成油としては、例えば、ポリブテ 、ポリオレフィン[α-オレフィン単独重合体 や共重合体(例えばエチレン-α-オレフィン共 合体)など]、各種のエステル(例えば、ポリ ールエステル、二塩基酸エステル、リン酸 ステルなど)、各種のエーテル(例えば、ポ フェニルエーテルなど)、ポリグリコール、 ルキルベンゼン、アルキルナフタレンなど 挙げられる。これらの合成油のうち、特に リオレフィン、ポリオールエステルが好ま い。
 本発明においては、基油として、上記鉱油 1種用いてもよく、2種以上を組み合わせて いてもよい。また、上記合成油を1種用いて よく、2種以上を組み合わせて用いてもよい 。さらには、鉱油1種以上と合成油1種以上と 組み合わせて用いてもよい。

 基油の粘度については特に制限はなく、潤 油組成物の用途に応じて異なるが、通常100 における動粘度が、好ましくは2~30mm 2 /s、より好ましくは3~15mm 2 /s、特に好ましくは4~10mm 2 /sである。100℃における動粘度が2mm 2 /s以上であると蒸発損失が少なく、また30mm 2 /s以下であると、粘性抵抗による動力損失が 制され、燃費改善効果が得られる。

 基油としては、環分析による%CAが3以下で硫 黄分の含有量が50質量ppm以下のものが好まし 用いられる。ここで、環分析による%CAとは 環分析n-d-M法により算出した芳香族分の割 (百分率)を示す。また、硫黄分はJIS(Japanese I ndustrial Standard、以下同) K 2541に準拠して測 した値である。
 %CAが3以下で、硫黄分が50質量ppm以下の基油 、良好な酸化安定性を示し、酸価の上昇や ラッジの生成を抑制しうると共に、金属に する腐食性の少ない潤滑油組成物を提供す ことができる。より好ましい硫黄分は30質 ppm以下である。また、より好ましい%CAは1以 であり、さらに好ましくは0.5以下である。
 さらに、基油の粘度指数は、70以上が好ま く、より好ましくは100以上、さらに好まし は120以上である。この粘度指数が70以上の基 油は、温度の変化による粘度変化が小さい。

 本発明の潤滑油組成物を構成する(A)成分は アルカリ土類金属系清浄剤である。特に、 ルカリ土類金属スルフォネート、アルカリ 類金属フェネートおよびアルカリ土類金属 リシレートの中から選ばれる少なくとも1種 が好適に挙げられる。
 アルカリ土類金属スルフォネートとしては 分子量300~1,500、好ましくは400~700のアルキル 芳香族化合物をスルフォン化することによっ て得られるアルキル芳香族スルフォン酸のア ルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩およ び/またはカルシウム塩等が挙げられ、中で カルシウム塩が好ましく用いられる。
 アルカリ土類金属フェネートとしては、ア キルフェノール、アルキルフェノールサル ァイド、アルキルフェノールのマンニッヒ 応物のアルカリ土類金属塩、特にマグネシ ム塩および/またはカルシウム塩等が挙げら れ、中でもカルシウム塩が特に好ましく用い られる。
 アルカリ土類金属サリシレートとしては、 ルキルサリチル酸のアルカリ土類金属塩、 にマグネシウム塩および/またはカルシウム 塩等が挙げられ、中でもカルシウム塩が好ま しく用いられる。前記アルカリ土類金属系清 浄剤を構成するアルキル基としては、炭素数 4~30のものが好ましく、より好ましくは6~18の 鎖または分枝アルキル基であり、これらは 鎖でも分枝でもよい。これらはまた1級アル キル基、2級アルキル基または3級アルキル基 もよい。

 また、アルカリ土類金属スルフォネート アルカリ土類金属フェネートおよびアルカ 土類金属サリシレートとしては、前記のア キル芳香族スルフォン酸、アルキルフェノ ル、アルキルフェノールサルファイド、ア キルフェノールのマンニッヒ反応物、アル ルサリチル酸等を直接、マグネシウムおよ /またはカルシウムのアルカリ土類金属の酸 化物や水酸化物等のアルカリ土類金属塩基と 反応させたり、または一度ナトリウム塩やカ リウム塩等のアルカリ金属塩としてからアル カリ土類金属塩と置換させること等により得 られる中性アルカリ土類金属スルフォネート 、中性アルカリ土類金属フェネートおよび中 性アルカリ土類金属サリシレートだけでなく 、中性アルカリ土類金属スルフォネート、中 性アルカリ土類金属フェネートおよび中性ア ルカリ土類金属サリシレートと過剰のアルカ リ土類金属塩やアルカリ土類金属塩基を水の 存在下で加熱することにより得られる塩基性 アルカリ土類金属スルフォネート、塩基性ア ルカリ土類金属フェネートおよび塩基性アル カリ土類金属サリシレートや、炭酸ガスの存 在下で中性アルカリ土類金属スルフォネート 、中性アルカリ土類金属フェネートおよび中 性アルカリ土類金属サリシレートをアルカリ 土類金属の炭酸塩またはホウ酸塩を反応させ ることにより得られる過塩基性アルカリ土類 金属スルフォネート、過塩基性アルカリ土類 金属フェネートおよび過塩基性アルカリ土類 金属サリシレートも含まれる。

 本発明においては、前記したように、(A)成 であるアルカリ土類金属系清浄剤としては 中性アルカリ土類金属塩、塩基性アルカリ 類金属塩、過塩基性(超塩基性)アルカリ土 金属塩、あるいはこれらの混合物を用いる とができるが、その全塩基価は任意である ただし、全塩基価としては、600mgKOH/g以下が ましく、10~600mgKOH/gがより好ましく、10~500mgK OH/gであることがさらに好ましい。
 なお、ここで全塩基価は、JIS K2501(1992)の「 石油製品及び潤滑油-中和価試験方法」の7.に 準拠して測定される過塩素酸法による全塩基 価を意味する。アルカリ土類金属系清浄剤は 、軽質潤滑油基油等で希釈された状態で市販 されており、入手可能であるが、その金属含 有量としては、好ましくは1~20質量%、より好 しくは2~16質量%である。

 本発明において、(A)成分であるアルカリ 類金属系清浄剤の含有量は、組成物全量基 でアルカリ土類金属換算量において0.35質量 を越え、2質量%以下であり、好ましくは0.4~1.8 質量%である。アルカリ土類金属系清浄剤の 有量が0.35質量%以下であると、硫黄分が0.05 量%を超える軽油(高硫黄軽油)とバイオ燃料 併用した場合に、酸中和性及び塩基価維持 能が不十分なものになる。一方、アルカリ 類金属系清浄剤の含有量が2質量%を越えても 、含有量に見合うだけの効果が得られないた め、好ましくない。

 本発明の潤滑油組成物を構成する(B)成分は 数平均分子量200~5000のアルキル基またはア ケニル基で置換されたコハク酸イミド化合 のホウ素誘導体である。
 このようなコハク酸イミド化合物のホウ素 導体は、例えば、(a)数平均分子量200~5,000の ルキル基またはアルケニル基で置換された ハク酸若しくはその無水物、(b)ポリアルキ ンポリアミン、および(c)ホウ素化合物とを 応させて得られる。

 以下、(a)、(b)および(c)の各原料とその合成 法について説明する。
 原料(a)としては、アルキル基またはアルケ ル基で置換されたコハク酸若しくはその無 物を用いる。このアルキル基またはアルケ ル基の数平均分子量(以下、分子量またはMn 略することがある。)は、200~5,000であるが、 好ましくは500~2,000である。このアルキル基ま たはアルケニル基の分子量が200未満であると 、最終的に得られるコハク酸イミド化合物の ホウ素誘導体が潤滑油基油などに充分溶解し ないことがあり、また、分子量が5,000を越え と、コハク酸イミド化合物が高粘度になり その取扱いが困難になることがある。

 このような分子量を有するアルキル基ま はアルケニル基としては、通常、炭素数2~16 のモノオレフィンやジオレフィンの重合体ま たは共重合体、若しくはそれらを水素化した ものが使用される。モノオレフィンの具体例 としては、例えばエチレン、プロピレン、ブ テン、ブタジエン、デセン、ドデセン、ヘキ サデセンなどなどが挙げられる。これらのモ ノオレフィンの中で、本発明においては、高 温におけるエンジン部品の清浄性を高め、か つ入手し易い点で、特にブテンが好ましく、 その重合体であるポリブテニル基、さらにそ れを水素化したアルキル基である水素化ポリ ブテニル基が好ましい。

 原料(a)としてのアルキル基またはアルケ ル基で置換されたコハク酸若しくはその無 物は、上記のアルキル基またはアルケニル の分子量に該当するポリブテンなどと無水 レイン酸などを公知の方法で反応させれば い。

 原料(b)としては、ポリアルキレンポリアミ を用いるが、全体の5モル%以上が末端に環 造を有するポリアルキレンポリアミンを用 ることが好ましい。原料(b)全体が末端に環 造を有するポリアルキレンポリアミンであ てもよいし、または、末端に環構造を有す ポリアルキレンポリアミンと末端に環構造 もたないポリアルキレンポリアミンとの混 物であってもよい。末端に環構造を有する リアルキレンポリアミンの割合が5モル%以上 であると、本発明の目的であるエンジン部品 の清浄性がより優れる。ポリアルキレンポリ アミンの割合は、10モル%以上、さらには20モ %以上であれば、さらに清浄性が向上し、特 に高温下における清浄性に優れる。
 本発明では、この末端に環構造を有するポ アルキレンポリアミンの割合の上限が、95 ル%以下であることが好ましく、90モル%以下 より好ましい。この割合が95モル%を超える 、製造されるホウ素化コハク酸イミド化合 が高粘度化して、この化合物の製造効率を 下させることがあり、また、この生成物の 滑油基油に対する溶解性が低下することが るからである。したがって、末端に環構造 有するポリアルキレンポリアミンの割合は 5~95モル%がより好ましく、10~90モル%がさら 好ましい。
 また、末端に環構造を有するポリアルキレ ポリアミンの末端の環構造については、下 式(1)に示されるものが好ましい。

 ここで、式(1)中、p,qは2~4の整数を表す。 でも、p,qのいずれもが2であるもの、すなわ ち、ピペラジニル基が特に好ましい。末端が 環構造を有するポリアルキレンポリアミンの 代表例としては、例えば、アミノエチルピペ ラジン、アミノプロピルピペラジン、アミノ ブチルピペラジン、アミノ(ジエチレンジア ノ)ピペラジン、アミノ(ジプロピルジアミノ )ピペラジンなど末端にピペラジニル構造を するアミノアルキルピペラジンが挙げられ 。これらの中でも、アミノエチルピペラジ が、入手が容易である点で特に好ましい。

 一方、末端に環構造を有しないポリアル レンポリアミンとしては、環構造を有しな 非環構造のポリアルキレンポリアミンと末 以外に環構造を有するポリアルキレンポリ ミンがある。非環構造のポリアルキレンポ アミンの代表例としては、例えば、エチレ ジアミン、ジエチレントリアミン、トリエ レンテトラミン、テトラエチレンペンタミ 、ペンタエチレンヘキサミンなどのポリエ レンポリアミン類や、プロピレンジアミン ジブチレントリアミン、トリブチレントリ ミンなどが挙げられる。また、末端以外に 構造を有するポリアルキレンポリアミンの 表例としては、例えば、ジ(アミノエチル) ペラジンなどのジ(アミノアルキル)ピペラジ ンなどが挙げられる。

 これら、環構造を含んでもよいポリアル レンポリアミンの中で、トリエチレンテト ミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタ チレンヘキサミンなどのポリエチレンポリ ミンとの混合物が、エンジン部品に対する 温清浄性を高め、入手も容易である点で特 好ましい。

 原料(c)としては、ホウ素化合物を用いる このホウ素化合物としては、例えば、ホウ ,ホウ酸無水物,ホウ酸エステル、酸化ホウ ,ハロゲン化ホウ素などが挙げられる。中で 、ホウ酸が特に好ましい。

 本発明における(B)成分は、上記原料(a)と 料(b)および原料(c)を反応させて得ることが きる。この反応方法は、特に制限は無く公 の方法で行えばよい。例えば、以下の方法 反応させて、目的物を得ることができる。 ず、原料(a)と原料と(b)を反応させ、次いで の反応生成物と原料(c)とを反応させる。原 (a)と原料(b)の反応における原料(a)と(b)の配 割合については、(a):(b)が0.1~10:1(モル比)が ましく、0.5~2:1(モル比)がより好ましい。ま 、原料(a)と原料(b)の反応温度については、 80~250℃が好ましく,約100~200℃がより好ましい 。反応を行うに際しては、原料の取扱上、ま たは反応を調整するために必要に応じて溶剤 、例えば炭化水素油等の有機溶剤を使用する こともできる。

 次に、上記のようにして得られた原料(a)と( b)の反応生成物を原料(c)と反応させる。この 応原料(c)であるホウ素化合物の配合割合は ポリアルキレンポリアミンに対して、通常 ル比で1:0.05~10が好ましく、1:0.5~5がより好ま しい。また、反応温度については、通常好ま しくは約50~250℃,より好ましくは100~200℃であ 。また、反応を行うに際して、原料(a)と(b) 反応と同様に、取扱上および反応を調整す ために、必要に応じて溶剤、例えば炭化水 油等の有機溶剤を使用することもできる。
 上述した反応により生成物として(B)成分で る数平均分子量200~5000のアルキル基または ルケニル基で置換されたコハク酸イミド化 物のホウ素誘導体が得られる。本発明にお ては、(B)成分は、1種を単独で用いてもよく 2種以上を組み合わせて用いてもよい。

 本発明の潤滑油組成物における(B)成分の含 量は、組成物全量基準で、ホウ素(原子)換 で含有量が0.01~0.2質量%であり、好ましくは 0.01~0.15質量%であり、より好ましくは0.01~0.1 量%である。(B)成分に含まれるホウ素が一定 以上存在することで、潤滑油組成物中にバ オ燃料が混入しても、高温の内燃機関にお て高いピストン清浄性が得られる。ホウ素 有量が、0.01質量%未満では、十分な高温清 性は得られない。また、ホウ素含有量が0.2 量%を超えても高温清浄性についてさらなる 上が顕れず、実用性に乏しい。
 また、(B)成分におけるホウ素(B)と窒素(N)の 量比(B/N)は、0.5以上であることが好ましく より好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0. 8以上である。B/Nが0.5以上であると、高温下 おけるエンジン部品の清浄性が大きく向上 る。
 なお、ホウ素化コハク酸イミド系化合物は 上記のように原料(a)と(b)を反応し、次いで の反応生成物を原料(c)と反応させて得るこ ができるが、反応順序を変えて、まず原料( a)と(c)を反応させ、その後、その反応生成物 (b)を反応させても同様に目的のホウ素化コ ク酸イミド化合物を得られる。

 本発明の潤滑油組成物には、酸化防止剤と て、フェノール系酸化防止剤および/または アミン系酸化防止剤を配合することが好まし い。
 フェノール系酸化防止剤としては、例えば オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert―ブチル-4-ヒドロ キシフェニル)プロピオネート、4,4’-メチレ ビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール);4,4’-ビス(2 ,6-ジ-t-ブチルフェノール);4,4’-ビス(2-メチル -6-t-ブチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4- チル-6-t-ブチルフェノール);2,2’-メチレン ス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール);4,4’-ブチ リデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール);4, 4’-イソプロピリデンビス(2,6-ジ-t-ブチルフ ノール);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-ノニ フェノール);2,2’-イソブチリデンビス(4,6-ジ メチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4-メチ ル-6-シクロヘキシルフェノール);2,6-ジ-t-ブチ ル-4-メチルフェノール;2,6-ジ-t-ブチル-4-エチ フェノール;2,4-ジメチル-6-t-ブチルフェノー ル;2,6-ジ-t-アミル-p-クレゾール;2,6-ジ-t-ブチ -4-(N,N’-ジメチルアミノメチルフェノール);4 ,4’-チオビス(2-メチル-6-t-ブチルフェノール) ;4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノー );2,2’-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノー ル);ビス(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルベ ジル)スルフィド;ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒド キシベンジル)スルフィド;n-オクチル-3-(4-ヒ ドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネ ート、n-オクタデシル-3-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t -ブチルフェニル)プロピオネート;2,2’-チオ[ エチル-ビス-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ ェニル)プロピオネート]などが挙げられる これらの中で、特にビスフェノール系およ エステル基含有フェノール系のものが好適 ある。

 また、アミン系酸化防止剤としては、例 ばモノオクチルジフェニルアミン;モノノニ ルジフェニルアミンなどのモノアルキルジフ ェニルアミン系、4,4’-ジブチルジフェニル ミン;4,4’-ジペンチルジフェニルアミン;4,4 -ジヘキシルジフェニルアミン;4,4’-ジヘプ ルジフェニルアミン;4,4’-ジオクチルジフェ ニルアミン;4,4’-ジノニルジフェニルアミン どのジアルキルジフェニルアミン系、テト ブチルジフェニルアミン;テトラヘキシルジ フェニルアミン;テトラオクチルジフェニル ミン;テトラノニルジフェニルアミンなどの リアルキルジフェニルアミン系、およびナ チルアミン系のもの、具体的にはα-ナフチ アミン;フェニル-α-ナフチルアミン;さらに ブチルフェニル-α-ナフチルアミン;ペンチ フェニル-α-ナフチルアミン;ヘキシルフェニ ル-α-ナフチルアミン;ヘプチルフェニル-α-ナ フチルアミン;オクチルフェニル-α-ナフチル ミン;ノニルフェニル-α-ナフチルアミンな のアルキル置換フェニル-α-ナフチルアミン どが挙げられる。これらの中でジアルキル フェニルアミン系およびナフチルアミン系 ものが好適である。

 他の酸化防止剤としては、モリブデンアミ 錯体系酸化防止剤を用いてもよい。モリブ ンアミン錯体系酸化防止剤としては、6価の モリブデン化合物、具体的には三酸化モリブ デンおよび/またはモリブデン酸とアミン化 物とを反応させてなるもの、例えば特開2003- 252887号公報に記載の製造方法で得られる化合 物を用いることができる。6価のモリブデン 合物と反応させるアミン化合物としては特 制限されないが、具体的には、モノアミン ジアミン、ポリアミンおよびアルカノール ミンが挙げられる。より具体的には、メチ アミン、エチルアミン、ジメチルアミン、 エチルアミン、メチルエチルアミン、メチ プロピルアミン等の炭素数1~30のアルキル基( これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でも よい)を有するアルキルアミン;エテニルアミ 、プロペニルアミン、ブテニルアミン、オ テニルアミン、およびオレイルアミン等の 素数2~30のアルケニル基(これらのアルケニ 基は直鎖状でも分枝状でもよい)を有するア ケニルアミン;メタノールアミン、エタノー ルアミン、メタノールエタノールアミン、メ タノールプロパノールアミン等の炭素数1~30 アルカノール基(これらのアルカノール基は 鎖状でも分枝状でもよい)を有するアルカノ ールアミン;メチレンジアミン、エチレンジ ミン、プロピレンジアミン、およびブチレ ジアミン等の炭素数1~30のアルキレン基を有 るアルキレンジアミン;ジエチレントリアミ ン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレ ンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等 のポリアミン;ウンデシルジエチルアミン、 ンデシルジエタノールアミン、ドデシルジ ロパノールアミン、オレイルジエタノール ミン、オレイルプロピレンジアミン、ステ リルテトラエチレンペンタミン等の上記モ アミン、ジアミン、ポリアミンに炭素数8~20 アルキル基またはアルケニル基を有する化 物やイミダゾリン等の複素環化合物;これら の化合物のアルキレンオキシド付加物;およ これらの混合物等が例示できる。また、特 平3-22438号公報および特開2004-2866公報に記載 れているコハク酸イミドの硫黄含有モリブ ン錯体等が例示できる。
 上述した酸化防止剤の含有量は、組成物全 基準で、0.3質量%以上が好ましく0.5質量%以 であることがより好ましい。一方、2質量%を 越えると、潤滑油基油に不溶となるおそれが ある。従って、酸化防止剤の配合量は、組成 物全量基準で0.3~2質量%の範囲が好ましい。

 本発明の潤滑油組成物には、本発明の効 を損なわない範囲で、必要に応じて他の添 剤、例えば粘度指数向上剤、流動点降下剤 耐摩耗剤、無灰系摩擦低減剤、防錆剤、金 不活性化剤、界面活性剤、および消泡剤等 配合してもよい。

 粘度指数向上剤としては、例えば、ポリ タクリレート、分散型ポリメタクリレート オレフィン系共重合体(例えば、エチレン- ロピレン共重合体など)、分散型オレフィン 共重合体、スチレン系共重合体(例えば、ス チレン-ジエン共重合体、スチレン-イソプレ 共重合体など)などが挙げられる。これら粘 度指数向上剤の配合量は、配合効果の点から 、組成物全量基準で、0.5~15質量%程度であり 好ましくは1~10質量%である。

 流動点降下剤としては、例えば重量平均分 量が5000~50,000程度のポリメタクリレートな が挙げられる。
 耐摩耗剤としては、ジチオリン酸亜鉛、ジ オカルバミン酸亜鉛、リン酸亜鉛、ジスル ィド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類、 化エステル類、チオカーボネート類、チオ ーバメート類(例えば、Mo-DTC)等の硫黄含有 合物;亜リン酸エステル類、リン酸エステル 、ホスホン酸エステル類、およびこれらの ミン塩または金属塩等のリン含有化合物;チ オ亜リン酸エステル類、チオリン酸エステル 類(例えば、Mo-DTP)、チオホスホン酸エステル 、およびこれらのアミン塩または金属塩等 硫黄およびリン含有摩耗防止剤が挙げられ 。

 無灰系摩擦低減剤としては、潤滑油用の 灰系摩擦低減剤として通常用いられている 意の化合物が使用可能であり、例えば炭素 6~30のアルキル基またはアルケニル基を分子 中に少なくとも1個有する、脂肪酸、脂肪族 ルコール、脂肪族エーテル、脂肪酸エステ 、脂肪族アミンおよび脂肪族アミド等が挙 られる。

 防錆剤としては、石油スルホネート、ア キルベンゼンスルホネート、ジノニルナフ レンスルホネート、アルケニルコハク酸エ テル、多価アルコールエステル等が挙げら る。これら防錆剤の配合量は、配合効果の から、組成物全量基準で、通常0.01~1質量%程 度であり、好ましくは0.05~0.5質量%である。

 金属不活性化剤(銅腐食防止剤)としては 例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルト アゾール系、チアジアゾール系、イミダゾ ル系およびピリミジン系化合物等が挙げら る。この中でベンゾトリアゾール系化合物 好ましい。金属不活性化剤を配合すること エンジン部品の金属腐食および酸化劣化を 制することができる。これら金属不活性化 の配合量は、配合効果の点から、組成物全 基準で、好ましくは0.01~0.1質量%、より好ま くは0.03~0.05質量%である。

 界面活性剤としては、ポリオキシエチレ アルキルエーテル、ポリオキシエチレンア キルフェニルエーテルおよびポリオキシエ レンアルキルナフチルエーテル等のポリア キレングリコール系非イオン性界面活性剤 が挙げられる。

 消泡剤としては、シリコーン油、フルオ シリコーン油およびフルオロアルキルエー ル等が挙げられ、消泡効果および経済性の ランスなどの点から、組成物全量に基づき 0.005~0.1質量%程度含有させることが好ましい 。

 本発明の潤滑油組成物においては、硫黄含 量が組成物全量基準で0.5質量%以下であるこ とが好ましく、0.3質量%以下であることがよ 好ましく、さらに好ましくは0.2質量%以下で る。硫黄含有量が0.5質量%以下であると、排 出ガスを浄化する触媒の性能低下を効果的に 抑えることができる。
 本発明の潤滑油組成物においては、リン含 量は組成物全量基準で0.12質量%以下である とが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下 ある。リン含有量が0.12質量%以下であると 排出ガスを浄化する触媒の性能低下を効果 に抑えることができる。

 本発明の潤滑油組成物は、前記した(A)成 を所定量含有しているので、バイオ燃料を 焼させる方式の内燃機関に使用しても、ピ トン等のエンジン部品の清浄性に優れてい 。特に、(A)成分に加えて、(B)成分を所定量 加すると、高温時の清浄性に一層優れる。

 次に、本発明を実施例によりさらに詳細 説明するが、本発明はこれらの例によって んら限定されるものではない。

〔実施例1~6、比較例1〕
 表1に示す配合組成を有する潤滑油組成物を 調製し、以下に示すホットチューブ試験を行 った。なお、潤滑油組成物の調製に用いた各 成分の種類は、次の通りである。
(1)潤滑油基油A:水素化精製基油、40℃動粘度21 mm 2 /s、100℃動粘度4.5mm 2 /s、粘度指数127、%CA0.0、硫黄含有量20質量ppm 満、NOACK蒸発量13.3質量%

(2)金属系清浄剤A(A成分):過塩基性カルシウム リシレート、塩基価(過塩素酸法)225mgKOH/g、 ルシウム含有量7.8質量%、硫黄含有量0.3質量 %
(3)金属系清浄剤B(A成分):過塩基性カルシウム ェネート、塩基価(過塩素酸法)255mgKOH/g、カ シウム含有量9.3質量%、硫黄含有量3.0質量%
(4)金属系清浄剤C(A成分):カルシウムスルホネ ト、塩基価(過塩素酸法)17mgKOH/g、カルシウ 含有量2.4質量%、硫黄含有量2.8質量%

(5)ポリブテニルコハク酸モノイミドA(B成分): リブテニル基の数平均分子量1000、窒素含有 量1.76質量%、ホウ素含有量2.0質量%、B/N=1.1
 なお、このポリブテニルコハク酸モノイミ Aは、以下のようにして製造した。1Lオート レーブ中に、ポリブテン(Mn:980)550g、臭化セ ル1.5g(0.005モル)、無水マレイン酸59g(0.6モル) を入れ、窒素置換し、240℃で5時間反応させ 。215℃に降温し、未反応の無水マレイン酸 臭化セチルを減圧留去し、140℃に降温して 過した。得られたポリブテニルコハク酸無 物の収量は550g、ケン化価は86mgKOH/gであった 1Lセパラブルフラスコ中に、得られたポリ テニルコハク酸無水物500g、アミノエチルピ ラジン(AEP)17.4g(0.135モル)、ジエチレントリ ミン(DETA)10.3g(0.10モル)、トリエチレンテトラ ミン(TETA)14.6g(0.10モル)、鉱油250gを入れ、窒素 気流下150℃で2時間反応させた。200℃に昇温 未反応のAEP、DETA、TETAと生成水を減圧留去し た。得られたポリブテニルコハク酸イミドの 収量は750g、塩基価(過塩素酸法)は51mgKOH/gであ った。500mLのセパラブルフラスコ中に、得ら たポリブテニルコハク酸イミド150gと硼酸20g を入れ、窒素気流下150℃で4時間反応させた 150℃で生成水を減圧留去し、140℃に降温し 濾過した。生成したポリブテニルコハク酸 ノイミドAの収量は165g、ホウ素含有量は2.0質 量%であった。また末端に環構造を有するポ アルキレンポリアミンは、ポリアルキレン リアミン全体の約40モル%であった。

(6)ポリブテニルコハク酸ビスイミドB:ポリ テニル基の数平均分子量2000、窒素含有量0.9 9質量%、B/N=0

(7)ポリブテニルコハク酸モノイミドC(B成分): リブテニル基の数平均分子量1000、窒素含有 量1.95質量%、ホウ素含有量0.67質量%、B/N=0.3
 このポリブテニルコハク酸モノイミドCは、 ポリブテニルコハク酸モノイミドAの製造法 おいて、アミノエチルピペラジン(AEP)17.4g(0.1 35モル)、ジエチレントリアミン(DETA)10.3g(0.10 ル)、トリエチレンテトラミン(TETA)14.6g(0.10モ ル)の代わりに、ジエチレントリアミン(DETA)18 g(0.17モル)、トリエチレンテトラミン(TETA)25g(0 .17モル)を使用し、硼酸の添加量を13gとした 外は同様に反応を行い製造した。生成した リブテニルコハク酸モノイミドCの収量は161g であった。なお、末端に環構造を有するポリ アルキレンポリアミンは含有しない。

(8)フェノール系酸化防止剤:オクタデシル-3-(3 ,5-ジ-tert―ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロ ピオネート
(9)アミン系酸化防止剤:ジアルキルジフェニ アミン、窒素含有量4.62質量%
(10)粘度指数向上剤:オレフィンコポリマー、 量平均分子量90,000、樹脂量11.1質量%
(11)流動点降下剤:ポリアルキルメタクリレー 、質量平均分子量6,000
(12)ジアルキルジチオリン酸亜鉛:Zn含有量9.0 量%、リン含有量8.2質量%、硫黄含有量17.1質 %、アルキル基;第2級ブチル基と第2級ヘキシ 基の混合物
(13)銅腐食防止剤:1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル )アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール
(14)その他の添加剤:防錆剤、界面活性剤およ 消泡剤

 各潤滑油組成物の性状測定およびホットチ ーブ試験については、以下のようにして行 た。
(カルシウム含有量)
 JIS-5S-38-92に準拠して測定した。
(ホウ素含有量)
 JIS-5S-38-92に準拠して測定した。
(窒素含有量)
 JIS K2609に準拠して測定した。
(リン含有量)
 JPI-5S-38-92に準拠して測定した。
(硫黄含有量)
 JIS K2541に準拠して測定した。
(亜鉛含有量)
 JIS-5S-38-92に準拠して測定した。
(硫酸灰分)
 JIS K2272に準拠して測定した。

(ホットチューブ試験)
 試験用の潤滑油組成物としては、内燃機関 における燃料と潤滑油との混合割合を想定 て、前記した各潤滑油組成物(新油)に対し バイオ燃料(菜種油をメチルアルコールによ エステル交換して得られた燃料)を5質量%配 した混合油を用いた。試験温度は、300℃に 定し、その他の条件については、JPI-5S-55-99 準拠して測定した。なお、参考として、新 だけを用いて同様に試験を行った。また、 ットチューブ試験は粘度指数向上剤の量が 響する場合もあるので、各実施例・比較例 は粘度指数向上剤の配合量を一定にした。 験後のガラス管への付着物量が少ないほど 清浄性が良好であることを示す。
 各潤滑油組成物の性状およびホットチュー 試験の結果を表1に示す。

 

〔実施例7,8、比較例2〕
 表2に示す配合組成を有する潤滑油組成物を 調製し、以下に示すホットチューブ試験を行 った。なお、潤滑油組成物の調製に用いた各 成分の種類は、次の通りである。
(1)潤滑油基油B:水素化精製基油、40℃動粘度90 .51mm 2 /s、100℃動粘度10.89mm 2 /s、粘度指数107、%CA0.0、硫黄含有量20質量ppm 満、NOACK蒸発量2.9質量%

(2)流動点降下剤:ポリアルキルメタクリレ ト、質量平均分子量6,000

(3)金属系清浄剤A:過塩基性カルシウムサリ レート、塩基価(過塩素酸法)225mgKOH/g、カル ウム含有量7.8質量%、硫黄含有量0.3質量%

(4)ポリブテニルコハク酸モノイミドA:ポリ テニル基の数平均分子量1000、窒素含有量1.7 6質量%、ホウ素含有量2.0質量%

(5)フェノール系酸化防止剤:4,4’-メチレンビ (2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)
(6)アミン系酸化防止剤:ジアルキルジフェニ アミン、窒素含有量4.62質量%
(7)ジアルキルジチオリン酸亜鉛:Zn含有量9.0質 量%、リン含有量8.2質量%、硫黄含有量17.1質量 %、アルキル基;第2級ブチル基と第2級ヘキシ 基の混合物

 各潤滑油組成物の性状測定およびホットチ ーブ試験については、以下のようにして行 た。
(カルシウム含有量)
 JIS-5S-38-92に準拠して測定した。
(ホウ素含有量)
 JIS-5S-38-92に準拠して測定した。
(硫黄含有量)
 JIS K2541に準拠して測定した。
(リン含有量)
 JPI-5S-38-92に準拠して測定した。
(硫酸灰分)
 JIS K2272に準拠して測定した。

(ホットチューブ試験)
 試験用の潤滑油組成物としては、内燃機関 における燃料と潤滑油との混合割合を想定 て、前記した各潤滑油組成物(新油)に対し バイオ燃料(菜種油をメチルアルコールによ エステル交換して得られた燃料)を15質量%配 合した混合油を用いた。試験温度は、320℃に 設定し、その他の条件については、JPI-5S-55-99 に準拠して測定した。なお、参考として、新 油だけを用いて同様に試験を行った。また、 上記実施例7,8および比較例2では粘度指数向 剤および銅腐食防止剤を配合していない。 験後のガラス管への付着物量が少ないほど 清浄性が良好であることを示す。
 各潤滑油組成物の性状およびホットチュー 試験の結果を表2に示す。

 

〔評価結果〕
 表1のホットチューブ試験結果からわかるよ うに、本発明の潤滑油組成物を用いた実施例 1~6では、バイオ燃料を添加しても、新油(バ オ燃料を添加していない潤滑油組成物)にく べて付着物量はほとんど変わらない。一方 比較例1では、本発明における(A)成分の配合 量が少ないため、新油でもやや多かった付着 物量が、バイオ燃料の混合により非常に多く なり、エンジン油としての清浄性がほとんど 期待できないことがわかる。
 また、表2のホットチューブ試験結果からわ かるように、本発明の潤滑油組成物を用いた 実施例7,8では、バイオ燃料の配合割合を15質 %としたが、新油にくらべて付着物量を僅か な増加で抑えることができた。一方、比較例 2では、本発明における(A)成分が配合されて ないため、付着物量が、バイオ燃料の混合 より極端に多くなり、エンジン油としての 浄性がほとんど期待できないことがわかる

 本発明の潤滑油組成物は、バイオ燃料あ いはバイオ燃料を含む燃料を用いる内燃機 に好適に利用できる。