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Title:
MASS ANALYTICAL DATA PROCESSING APPARATUS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/054024
Kind Code:
A1
Abstract:
A product ion spectrum is prepared based on data obtained by MS2 analysis for each of a parent compound and a metabolite (S1, S2). Further, a neutral loss spectrum is prepared using, instead of mass, a difference in mass between each product ion and a precursor ion (S3). A peak common in mass to the parent compound and the metabolite is extracted (S4), and a complementary peak at a position of a difference in mass between the common peak and the precursor ion, which appears on a neutral loss spectrum for a common peak on a product ion spectrum and appears on a product ion spectrum for a common peak on a neutral loss spectrum, corresponding to each common peak is extracted (S5). In integrated display of four spectra, the common peak, the complementary peak, and other peaks are rendered different from each other in display color for easy identification (S6 to S9).

Inventors:
YAMAGUCHI SHINICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/001152
Publication Date:
April 30, 2009
Filing Date:
October 22, 2007
Export Citation:
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Assignee:
SHIMADZU CORP (JP)
YAMAGUCHI SHINICHI (JP)
International Classes:
G01N27/62
Foreign References:
JP2007218692A2007-08-30
JPH08124519A1996-05-17
JPH1164285A1999-03-05
JPH10293120A1998-11-04
JPH03165445A1991-07-17
JPS6120856A1986-01-29
Other References:
SHIN'ICHI YAMAGUCHI ET AL.: "Ion Trap Hiko Jikan Gata Shitsuryo Bunsekikei o Riyo shita Ekitai Chromatography Tandem Shitsuryo Bunseki Date o Mochiiru Bubun Saisho 2-joho ni yoru Taishabutsu Jido Kenshutsuho", J.MASS SPECTROM. SOC. JPN, vol. 55, no. 2, 12 January 2007 (2007-01-12), pages 83 - 89, XP008134026
GABRIELA ZUREK ET AL.: "Novel Strategies for Metabolite Identification Using HPLC-Ion Trap Mass Spectrometry", LC GC NORTH AMERICA, June 2003 (2003-06-01), pages 13 - 14, XP003022678
See also references of EP 2208990A4
Attorney, Agent or Firm:
KOBAYASI, Ryohei (7th Floor Hougen-Sizyokarasuma Building, 37, Motoakuozi-tyo, Higasinotouin Sizyo-sagaru, Simogyo-ku, Kyoto-s, Kyoto 91, JP)
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Claims:
 MS n 分析(nは2以上の整数)可能な質量分析装置を用いて収集された、少なくとも第1、第2なる2つの成分についてそれぞれ特定の質量を有するイオンをプリカーサイオンとしたMS n 分析を行って得られる質量分析データを処理するデータ処理装置において、
  a)第1成分及び第2成分について得られた質量分析データに基づいてそれぞれMS n スペクトルを作成するMS n スペクトル作成手段と、
  b)前記両MS n スペクトルのそれぞれについて当該スペクトルに現れる全て又は一部のピークの質量とプリカーサイオンの質量との差を求め、この質量差の位置にピークを有するMS n 質量差スペクトルを作成するMS n 質量差スペクトル作成手段と、
  c)第1成分と第2成分についての両MS n スペクトル、及び/又は、第1成分と第2成分についての両MS n 質量差スペクトルにおいて質量が同一のピークを抽出する共通ピーク抽出手段と、
  d)第1成分及び/又は第2成分についてのMS n 分析時のプリカーサイオンの質量と前記共通ピークの質量との差に対応した相補ピークを、その第1成分及び/又は第2成分についてのMS n スペクトル及び/又はMS n 質量差スペクトル上で抽出する相補ピーク抽出手段と、
  e)第1成分及び/又は第2成分についてのMS n スペクトル及び/又はMS n 質量差スペクトルに現れる前記相補ピークをそのほかのピークと視覚的に識別可能な態様として、前記MS n スペクトル及び/又はMS n 質量差スペクトルを表示画面上に表示する表示制御手段と、
 を備えることを特徴とする質量分析データ処理装置。
 請求項1に記載の質量分析データ処理装置であって、前記視覚的に識別可能な態様は、ピークの描線の色、太さ、又は線種を相違させたものであることを特徴とする質量分析データ処理装置。
 請求項1又は2に記載の質量分析データ処理装置であって、前記表示制御手段は、第1成分についてのMS n スペクトル及びMS n 質量差スペクトル、並びに第2成分についてのMS n スペクトル及びMS n 質量差スペクトルを同一表示画面上に表示するように各スペクトルの配置を決めことを特徴とする質量分析データ処理装置。
Description:
質量分析データ処理装置

 本発明は、MS n (但しnは2以上の整数)分析可能な質量分析装 で得られたデータを処理するための質量分 データ処理装置に関する。

 イオントラップ型質量分析装置などを用 た質量分析においては、従来よりMS/MS分析( ンデム分析)という手法が知られている。一 般的なMS/MS分析では、まず分析対象物から目 とする特定の質量(厳密には質量電荷比m/z) 有するイオンをプリカーサイオンとして選 し、その選別したプリカーサイオンをCID(Coll usion Induced Dissociation:衝突誘起分解)によって 開裂させることでプロダクトイオン(フラグ ントイオンともいう)を生成する。その後、 のプロダクトイオンを質量分析することに って、プロダクトイオンや開裂により脱離 たイオン或いは中性分子などの質量に関す 情報を取得し、これに基づいて目的とする 料分子の組成や化学構造を推定する。

 近年、こうした装置で分析しようとする試 はますます分子量が大きくなり、構造(組成 )も複雑になる傾向にある。そのため、試料 性質によっては、一段階の開裂操作だけで 十分に小さな質量までイオンが開裂しない 合がある。そうした場合には、開裂の操作 複数回繰り返し、最終的に生成したプロダ トイオンを質量分析するMS n 分析が行われることもある(例えば特許文献1 2など参照)。上記MS/MS分析はn=2におけるMS n 分析である。

 一般に質量分析装置では、質量分析の結果 して、横軸に質量電荷比、縦軸に信号強度( 相対強度)をとったマススペクトル(MS n スペクトル)が作成され、これが分析結果の つとしてディスプレイ画面上に表示される MS n 分析可能な質量分析装置の場合、異なる質量 を持つ複数のプリカーサイオンが選別対象と して設定されれば、各プリカーサイオンに対 するMS n スペクトルがそれぞれ得られることになる。 MS n スペクトルに現れる各種ピーク情報は元の化 合物の分子の結合状態を反映するから、類似 した構造を持つ複数の化合物は類似した形状 のMS n スペクトルを示すことが多い。

 ところで、様々な疾病・疾患の診断、医薬 や機能性食品の有効性や安全性の評価、生 習慣や健康に関する研究などの分野におい 、生体内での化学的変化の産物である代謝 を分析することは非常に重要であり、近年 メタボロミクス(Metabolomics)と呼ばれる、代 物を網羅的に解析する手法が注目されてい 。このような代謝物解析において、構造が 知である或る化合物(以下、これを親化合物 いう)から代謝により変化した別の化合物( 下、これを代謝物という)を探索する場合に 上記のMS n スペクトルを利用する手法は有用である。何 故なら、一般に代謝物は親化合物の構造の一 部が修飾されたものであるため、両者のMS n スペクトルには共通部分が多いからである。 したがって、MS n スペクトルを比較することで、代謝物の候補 を多数の化合物の中から抽出することができ る。こうした段階までの解析処理を自動的に 行うソフトウエアは既に提供されている。

 しかしながら、最終的な目的である代謝物 構造の推定・決定のためには分析担当者がM S n 分析データなどを目視で確認して判断を行う 必要があり、スループットの向上にはこうし た際の作業効率の改善が大きな課題となって いる。そうした作業効率の悪さの原因の1つ 、親化合物や代謝物のMS n スペクトルを見ても、どのピークが修飾を受 けた部位に対応するものであるのかをすぐに 、つまり直感的に認識することが困難なこと である。また他の原因の1つは、さらに開裂 作の段数を増やして(MS n 分析のnを大きくして)質量分析を行うのが適 な場合であっても、MS n スペクトルを見ただけでは、次にどのピーク を優先的にプリカーサイオンに設定するのが 適切なのかを容易には判断できないことであ る。

特開平10-142196号公報

特開2001-249114号公報

 本発明は上記課題を解決するために成され ものであり、その目的とするところは、親 合物と代謝物などのように、化学構造が類 した複数の成分のMS n スペクトルを利用して化学構造の推定などの 解析作業を行う際に有用な情報を提供するこ とができる質量分析データ処理装置を提供す ることにある。

 上記課題を解決するために成された本発明 、MS n 分析(nは2以上の整数)可能な質量分析装置を いて収集された、少なくとも第1、第2なる2 の成分についてそれぞれ特定の質量を有す イオンをプリカーサイオンとしたMS n 分析を行って得られる質量分析データを処理 するデータ処理装置において、
  a)第1成分及び第2成分について得られた質 分析データに基づいてそれぞれMS n スペクトルを作成するMS n スペクトル作成手段と、
  b)前記両MS n スペクトルのそれぞれについて当該スペクト ルに現れる全て又は一部のピークの質量とプ リカーサイオンの質量との差を求め、この質 量差の位置にピークを有するMS n 質量差スペクトルを作成するMS n 質量差スペクトル作成手段と、
  c)第1成分と第2成分についての両MS n スペクトル、及び/又は、第1成分と第2成分に ついての両MS n 質量差スペクトルにおいて質量が同一のピー クを抽出する共通ピーク抽出手段と、
  d)第1成分及び/又は第2成分についてのMS n 分析時のプリカーサイオンの質量と前記共通 ピークの質量との差に対応した相補ピークを 、その第1成分及び/又は第2成分についてのMS n スペクトル及び/又はMS n 質量差スペクトル上で抽出する相補ピーク抽 出手段と、
  e)第1成分及び/又は第2成分についてのMS n スペクトル及び/又はMS n 質量差スペクトルに現れる前記相補ピークを そのほかのピークと視覚的に識別可能な態様 として、前記MS n スペクトル及び/又はMS n 質量差スペクトルを表示画面上に表示する表 示制御手段と、
 を備えることを特徴としている。

 ここで、MS n 分析可能な質量分析装置とは、例えば三次元 四重極型イオントラップを典型とするイオン トラップを利用したイオントラップ型質量分 析装置などである。プリカーサイオンを開裂 させる手法として一般的には衝突誘起解離が 利用されることが多いが、それ以外の手法に よりプリカーサイオンを開裂させてもよい。

 また、第1成分及び第2成分として任意の 分を選択することができるが、化学構造が く相違する2つの成分に本発明を適用しても 意な結果は得られないから、実質的に、類 した化学構造を持つ成分が対象となる。例 ば、或る化合物と、該化合物が生体内等で 謝を受けて生成された代謝物とを第1成分と 第2成分とにすることができる。

 また、上記視覚的に識別可能な態様とは 例えばピークの描線の色、太さ、又は線種 相違させたもの、或いはそれらの組み合わ とすることができる。またピークを描く線 はなく、各ピークの質量情報等を数値で表 するマスラベル表示の色などを相違するも としてもよい。

 ここで、MS n スペクトルは、実際に質量分析装置の検出器 で検出されたプロダクトイオン(又は開裂さ ずに残ったプリカーサイオン)の強度を反映 たマススペクトルである。一方、MS n 質量差スペクトルは、プリカーサイオンが1 である場合においては、開裂によりプリカ サイオンから脱離して排除されてしまった 性分子(ニュートラルロス)の強度を反映した マススペクトルであるから、実際には検出さ れていない物質についての仮想的なマススペ クトルであるとみなすことができる。なお、 プリカーサイオンが多価である場合には、MS n 質量差スペクトルにも実際に検出される脱離 イオンの強度が反映される。

 例えば第1成分についてのMS n 質量差スペクトル上の相補ピークは、第1成 及び第2成分についてのMS n スペクトル上での共通ピークの質量Maと第1成 分をMS n 分析した際のそのプリカーサイオンの質量Mb( 但しMb>Ma)との差Mb-Maの質量の位置に出現す ピークである。一方、例えば第1成分につい てのMS n スペクトル上の相補ピークは、第1成分及び 2成分についてのMS n 質量差スペクトル上での共通ピークの質量Mc 第1成分をMS n 分析した際のそのプリカーサイオンの質量Mb( 但しMb>Mc)との差Mb-Mcの質量の位置に出現す ピークである。

 また第2成分についてのMS n 質量差スペクトル上の相補ピークは、第1成 及び第2成分についてのMS n スペクトル上での共通ピークの質量Maと第2成 分をMS n 分析した際のそのプリカーサイオンの質量Md( 但しMd>Ma)との差Md-Ma、の質量の位置に出現 るピークである。一方、第2成分についての MS n スペクトル上の相補ピークは、第1成分及び 2成分についてのMS n 質量差スペクトル上での共通ピークの質量Mc 第1成分をMS n 分析した際のそのプリカーサイオンの質量Md( 但しMd>Mc)との差Md-Mc、の質量の位置に出現 るピークである。

 本発明に係る質量分析データ処理装置では なくとも、第1成分についてのMS n スペクトル、第1成分についてのMS n 質量差スペクトル、第2成分についてのMS n スペクトル、及び第2成分についてのMS n 質量差スペクトル、の4つのマススペクトル( 準的には横軸が質量、縦軸が相対強度であ グラフ)が作成されるが、必ずしもその全て を同一の表示画面上に表示しなくてもよい。

 但し、第1成分と第2成分との比較や共通ピ クとそれに対応する相補ピークの関係の把 を一目で行えるようにするには、上記全て マススペクトルを同一表示画面上に表示す ほうがよい。そのために、上記表示制御手 は、第1成分についてのMS n スペクトル及びMS n 質量差スペクトル、並びに第2成分について MS n スペクトル及びMS n 質量差スペクトルを同一表示画面上に表示す るように各スペクトルの配置を決める構成と することができる。

 その場合、例えば第1成分のMS n スペクトルと第2成分のMS n スペクトルとを質量軸を挟んで上下対称に配 置し、第1成分のMS n 質量差スペクトルと第2成分のMS n 質量差スペクトルとを同じく質量軸を挟んで 上下対称に配置すれば、同一質量を持つ共通 ピークが質量軸を貫通して略垂直方向に延伸 するように描出されるので、共通ピークの存 在を把握し易くなる。

 第1成分と第2成分の化学構造が類似してい 場合、両成分のMS n スペクトル又はMS n 質量差スペクトルに現れる共通ピークは、第 1成分と第2成分とに共通に存在する部位(化学 構造)のイオン又は中性分子を反映している 逆に、相補ピークは第1成分と第2成分とに共 通しない、つまり、第1成分と第2成分とを互 に特徴付ける、或いは特異性を示す部位を 映している。特に、プリカーサイオンの開 に伴ってこの特徴的な部位が中性分子とし 脱離する場合には、その中性分子に対応す ピークは通常のMS n スペクトルには現れないが、本発明に係るデ ータ処理装置によれば、そうしたピークがMS n 質量差スペクトルには現れ、しかも他のピー クとは容易に識別できるように表示されるの で、分析担当者は一目でそうした部位を認識 することができる。それにより、化学構造の 解析作業の効率を改善することができる。

 また、MS n スペクトルに現れる相補ピークに対応する質 量がまだ大きい場合には、この相補ピークに 対応したイオンを次の、つまりn+1段目の開裂 操作のプリカーサイオンに設定してMS n+1 分析を行うとよいが、本発明に係るデータ処 理装置では、MS n スペクトル上でも相補ピークが一目で確認で きるので、そうした分析作業のパラメータ設 定や指示を効率良く行うことができる。

本発明に係るデータ処理装置を備える 量分析システムの一実施例の全体構成図。 本実施例の質量分析システムにおける ペクトル表示処理の動作を示すフローチャ ト。 本実施例の質量分析システムで表示される2 のMS n スペクトルの一例を示す図。 本実施例の質量分析システムでのMS n スペクトルの表示方法を説明するための模式 図。 本実施例の質量分析システムのMS n スペクトルの表示方法を説明するための図。 本実施例の質量分析システムのMS n スペクトルの表示方法を説明するための図。

符号の説明

1…質量分析部
2…イオン源
3…イオン光学系
4…イオントラップ
5…飛行時間型質量分離器(TOF)
6…検出器
10…中央制御部
11…分析制御部
12…データ処理部
13…操作部
14…表示部

 本発明に係るデータ処理装置を備える質 分析システムの一実施例について図面を参 して説明する。図1はこの質量分析システム の全体構成図である。

 質量分析部1は、試料分子をイオン化する イオン源2、イオンをその内部空間に一時的 蓄積するとともにその内部空間においてイ ンの衝突誘起解離を促進させる、三次元四 極型のイオントラップ4、イオン源2で生成さ れたイオンを上記イオントラップ4まで案内 るイオン光学系3、イオントラップ4から放出 されたイオンを質量(厳密には質量電荷比m/z) 応じて分離する飛行時間型質量分離器(TOF)5 TOF5により分離されたイオンを検出する検出 器6、を含む。

 分析制御部11は中央制御部10からの指示に基 づいて、上記質量分析部1の各部の動作を制 することでMS n 分析を実行する。またデータ処理部12は検出 6で得られた検出信号を受けてデジタル化し 、後述するような表示処理を含めて所定のデ ータ処理を実行する。中央制御部10にはユー ーインターフェースとしての操作部13及び 示部14が接続されている。なお、中央制御部 10、分析制御部11、及びデータ処理部12の大部 分は所定の制御/処理ソフトウエアを搭載し パーソナルコンピュータにより具現化する とができる。

 上記構成の質量分析システムの基本的な動 を概略的に説明する。開裂操作を伴わない 常の質量分析(=MS 1 分析)を実行する際には、分析制御部11の制御 の下に、イオン源2は試料分子をイオン化し それにより発生した各種イオンがイオン光 系3を経てイオントラップ4の内部に導入され る。イオントラップ4では、図示しない電源 り各電極に印加される高周波電圧により形 される四重極電場によって、イオンは一旦 捉される。イオントラップ4の内部に捕捉さ たイオンは、所定のタイミングで一斉に運 エネルギーを付与されてイオントラップ4か ら放出され、TOF5に導入される。つまり、イ ントラップ4がTOF5に対するイオンの飛行の出 発点となる。TOF5の飛行空間を飛行する間に 量に応じて各イオンには時間差が生じ、順 に検出器6に到達して検出される。

 この検出信号を受けたデータ処理部12は、TO F5における飛行時間を質量に換算して、横軸 質量、縦軸を相対強度とするマススペクト を作成し、中央制御部10を介して表示部14の 画面上にマススペクトルを表示させる。この 質量分析結果に基づいて、分析担当者は1段 開裂操作を伴うMS 2 (=MS/MS)分析の対象となるプリカーサイオンを 定する。

 分析担当者が例えばプリカーサイオンの質 を操作部13より入力した上でMS 2 分析の実行を指示すると、分析制御部11の制 の下に、イオン源2は試料分子をイオン化し 、発生した各種イオンはイオン光学系3を経 イオントラップ4に導入される。イオントラ プ4では上述したような四重極電場によって イオンが一旦捕捉されるが、その直後に、先 に設定されたプリカーサイオンを除く他の不 所望のイオンが発散するような電圧が各電極 に印加される。これにより、プリカーサイオ ンのみがイオントラップ4の内部に残される( リカーサイオンの選別)。さらにそこに外部 より所定のCIDガスが導入され、プリカーサイ オンはCIDガスと衝突することで開裂し、開裂 の態様によって各種のプロダクトイオンが生 成される。

 開裂により生じたプロダクトイオン(及びプ リカーサイオンが残っている場合には該イオ ンも)は所定のタイミングで一斉にイオント ップ4から放出され、TOF5に導入される。そし て、通常の質量分析と同様に、TOF5の飛行空 を飛行する間に質量に応じて各イオンには 間差が生じ、順番に検出器6に到達して検出 れる。この検出信号を受けたデータ処理部1 2は、TOF5における飛行時間を質量に換算してM S 2 スペクトルを作成し、中央制御部10を介して 示部14の画面上にMS 2 スペクトルを表示させる。

 イオントラップ4内で開裂して生成したプロ ダクトイオンの1つを再びプリカーサイオン して選別した後に、該プリカーサイオンをCI Dにより開裂させる、という開裂操作を複数 繰り返すことで、n=3以上のMS n 分析を実行することができる。理論的には開 裂操作の繰り返しの段数には制限はないが、 実際上はnの最大値は3~6程度の範囲である。

 本実施例の質量分析システムにおけるデー 処理部12では、上述のようにMS n 分析による検出信号を受けて表示部14に表示 べき表示情報を作成する際に特徴的な動作 行う。この点について図2~図6を参照して説 する。

 ここでは一例として、化学構造が既知で る親化合物Aに由来する代謝物Bの構造解析 する場合について説明する。図2は本実施例 質量分析システムにおける特徴的なスペク ル表示処理の動作を示すフローチャートで る。

 まず、図1に示した質量分析システムを用い て、親化合物Aに対するMS 2 分析と代謝物Bに対するMS 2 分析とをそれぞれ実行し、MS 2 スペクトルデータを収集する(ステップS1)。 のとき、親化合物Aに対するMS 2 分析ではプリカーサイオンの質量が475、代謝 物Bに対するMS 2 分析ではプリカーサイオンの質量が455である 。図3は親化合物Aと代謝物Bとに対するそれぞ れのMS 2 スペクトルの一例を示す図である。プリカー サイオンに対応するピークは実際には存在し ないが、ここでは後述の説明の理解を容易に するために点線で示している。図3に示したMS 2 スペクトルはプロダクトイオンの強度を示す マススペクトルであるので、以下の説明では プロダクトイオンスペクトルと呼ぶ。

 上述のようにデータが収集され、データ 理が開始されると、データ処理部12では、 集したデータに基づいて、図3に示したよう 、プロダクトイオンスペクトルをそれぞれ 成する(ステップS2)。この際に、質量と強度 とを対応付けたピークリストが作成される。 つまり、このピークリストに挙げられたピー クを、横軸が質量、縦軸が強度であるグラフ 上に描出したものがプロダクトイオンスペク トルである。

 次に、親化合物Aと代謝物Bのそれぞれにつ て、プロダクトイオンスペクトルに現れる( 記ピークリストに挙げられている)各プロダ クトイオンの質量とプリカーサイオンの質量 との質量差を順番に計算し、この質量差とそ の質量差の由来となったプロダクトイオンの 強度とを対応付けた質量差ピークリストを作 成する。例えば図3(a)の例で説明すると、プ カーサイオンの質量は475であるから、質量 150であるプロダクトイオンに対応する質量 は325であり、この質量差と質量が150である ロダクトイオンピークの強度とを対応付け ものが、質量差ピークリストに挙げられる プロダクトイオンスペクトルに現れている ピークについて同様の処理が行われること 、質量差ピークリストができあがり、その ークリストに挙げられたピークを、横軸が 量、縦軸が強度であるグラフ上に描出した のがMS 2 質量差スペクトルである。上記質量差は開裂 によってプリカーサイオンから脱離した断片 の質量に相当し、プリカーサイオンが1価で る場合を想定すると、脱離する断片は中性 子である。そこで、ここでは、MS 2 質量差スペクトルをニュートラルロススペク トルと呼ぶ(ステップS3)。

 ステップS2、S3の処理により、親化合物A ついてのプロダクトイオンスペクトル及び ュートラルロススペクトルと、代謝物Bにつ てのプロダクトイオンスペクトル及びニュ トラルロススペクトルとが作成される。次 で、親化合物Aについてのピークリストと代 謝物Bについてのピークリストとを比較する ともに、親化合物Aについての質量差ピーク ストと代謝物Bについての質量差ピークリス トとを比較し、それぞれ同一の質量を有する ピークを共通ピークとして抽出する(ステッ S4)。

 次いで、代謝物Bのプロダクトイオンスペ クトルに現れる1乃至複数の共通ピークと対 なす相補ピークの質量を求める。ここで「 をなす」との意味は、共通ピークの質量と 補ピークの質量とを加算したものがプリカ サイオンの質量となることであり、プリカ サイオンの質量からその共通ピークの質量 差し引くことで、対となる相補ピークの質 を求めることができる。例えば、図3(b)にお て、質量150のピークは共通ピークであるが これの相補ピークは、ニュートラルロスス クトルにおいて、プリカーサイオンの質量4 55から150を差し引いた305を質量とするピーク ある。また、代謝物Bのニュートラスロスス ペクトルに現れる1乃至複数の共通ピークと をなす相補ピークの質量も同様にして求め 。こうして、相補ピークの質量を求めたな ば、ピークリスト及び質量差ピークリスト おいて相補ピークを抽出する(ステップS5)。

 続いて、ステップS2、S3で作成された4つ マススペクトル(プロダクトイオンスペクト 及びニュートラルロススペクトル)を同一表 示画面内に表示するためにスペクトルの表示 統合処理を行う(ステップS6)。ここでは、図4 示すように、代謝物Bのプロダクトイオンス ペクトルP1と親化合物Aのプロダクトイオンス ペクトルP4とを水平な質量軸を中心に上下対 配置とし、代謝物Bのニュートラルロススペ クトルP2と親化合物Aのニュートラルロススペ クトルP3とを同じく水平な質量軸を中心に上 対称配置とし、さらに水平方向に隣接する ロダクトイオンスペクトルとニュートラル ススペクトルとは垂直な強度軸を中心に左 対称配置とする。

 図5は、図3に示した親化合物A及び代謝物B のプロダクトイオンスペクトルと、これから 得られるニュートラルスペクトルとを表示統 合処理した場合の一例である。ここで、共通 ピークは質量軸を中心にして垂直方向に上下 に延伸する線で表されるが、代謝物Bのプロ クトイオンスペクトル及びニュートラルロ スペクトルにおいて共通ピークが目立つよ にするために、他のピークとは異なる表示 で以て描出するように表示色を設定する(ス ップS7)。但し、図5では表示色の相違を表現 できないので、共通ピークで表示色を変える 部分を点線で示している。共通ピークは、プ ロダクトイオンスペクトルでは質量150、190、 250の3つであり、ニュートラルロススペクト では質量90、100の2つである。

 さらに、代謝物Bのプロダクトイオンスペ クトル及びニュートラルロススペクトルにお いて相補ピークも目立つようにするために、 通常のピークと共通ピークとのいずれとも異 なる表示色で以て描出するように表示色を設 定する(ステップS8)。例えば、共通ピークは 色、相補ピークは青色、それ以外のピーク 黒色の表示色とすればよい。図6は図5に加え て相補ピークの表示も変更した例である。但 し、図6でも表示色の相違を表現できないの 、相補ピークで表示色を変える部分を一点 線で示している。相補ピークは、プロダク イオンスペクトルでは質量355、365の3つであ 、ニュートラルロススペクトルでは質量205 265,305の3つである。図6では共通ピークと相 ピークとの関係を矢印で示しているが、こ 矢印は表示画面に現れるようにしてもしな てもよい。

 そうして、ステップS6で統合され、ステ プS7、S8で表示色が決められた図6に示したよ うなマススペクトルが表示部14の画面上に表 される(ステップS9)。これにより、この表示 を見た分析担当者は共通ピークを容易に認識 できるので、親化合物Aと代謝物Bに共通する 造についての情報を得ることができる。ま 、代謝物Bに現れる相補ピークも容易に認識 できるので、代謝物Bに特徴的な部位、つま は代謝部位についての情報も直感的に得る とができる。これによって、代謝物Bの化学 造の推定作業が効率的に行える。

 また、代謝物Bのプロダクトイオンスペクト ル上に現れる相補ピークに対応したイオンは 未だ質量が大きく、これをさらに開裂させて 生成したプロダクトイオンの質量を調べるこ とで、その構造がより明らかになる。そこで 、プロダクトイオンスペクトル上に現れる相 補ピークに対応したイオンを次のMS 3 分析のためのプリカーサイオンに設定するよ うにしてもよい。この際にも、プリカーサイ オンの選択が簡単になる。

 なお、共通ピークと相補ピークとを目立 せるために、ピークの表示色を変える以外 、様々な変形が考え得る。例えば、図5、図 6に示したそのもののように線種を変更して よいし、線の太さを変更してもよい。また ピークを描出する線ではなく、質量を示す スラベルの色を変える、或いは、別のマー ーを重畳表示するようにしてもよい。また 図5、図6の例では共通ピークの表示色の変更 は代謝物Bのプロダクトイオンスペクトル及 ニュートラルロススペクトルのみであった 、親化合物Aのプロダクトイオンスペクトル びニュートラルロススペクトルでも同様に てもよい。

 4つのマススペクトルの統合の仕方は図4 ような形式に限らず、単に4つのスペクトル 並べる等の形式でもよい。また、必ずしも てのマススペクトルを表示しなくてもよく 例えば代謝物Bのプロダクトイオンスペクト ル及びニュートラルロススペクトルのみを表 示し、その表示上で共通ピークと相補ピーク とを他のピークと識別できるように明示して もよい。

 また、上記実施例ではMS 2 分析で得られる結果を用いて上記のような表 示処理を実行したが、MS 3 分析、MS 4 分析等、2以上の任意のnに対するMS n 分析で得られる結果に対し上記表示処理を適 用できることは当然である。

 また、実際には、1個の親化合物から他種 類の代謝物が生成されるから、各代謝物につ いて上述したような親化合物のプロダクトス ペクトル及びニュートラルスペクトルとの対 比を示す表示画面を形成し、例えばタブの切 替えなどの簡単な操作で、異なる代謝物につ いての結果を任意に閲覧できるようにすると 好ましい。

 さらにまた、それ以外の点においても、 発明の趣旨の範囲で適宜に変更、修正、追 を行っても本願請求の範囲に包含されるこ は当然である。