YAMAMOTO YASUHIRO (JP)
YAMAMOTO KAZUSHIGE (JP)
FUJITA KINYA (JP)
MORI MASAYUKI (JP)
YAMAMOTO YASUHIRO (JP)
YAMAMOTO KAZUSHIGE (JP)
FUJITA KINYA (JP)
JP2005139340A | 2005-06-02 | |||
JP2004210919A | 2004-07-29 |
メチル・メタ・アクリレート(MMA)を含むと共にガラス転移点(Tg)が-30℃以上かつ100℃以下であることを特徴とする非造膜通気性エマルジョン。 |
請求項1のエマルジョンに機能性粒子を含有させたことを特徴とするエマルジョン組成物。 |
機能性粒子は、アルミナ、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、光触媒含有物、炭酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、カオリンクレー、珪藻土、タルク、ベントナイト、シリカ、活性アルミナ、ジルコニア、モンモリナイト、セピオライト、ヒドロキシアパタイト、L-アスコルビン酸鉄配合体、燐酸ジルコニウム、珪酸亜鉛、酸化澱粉、ジメチルアミノポリブテンスルホン酸ソーダ、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシフェニルエーテル、2-(4-チアゾル)-ベンツイミダゾール、5-メチル-2-イソプロピル-1-フェノール、樟脳、ナフタリン、安息香酸、安息香酸の誘導体、2-ピリジンチオール-1-オキサイドナトリウム塩、カテキン、キトサン、EMセラミックス、トルマリンのいずれかであることを特徴とする請求項2のエマルジョン組成物。 |
機能性粒子の粒径の中央値が0.001μm~300μmであることを特徴とする請求項2のエマルジョン組成物。 |
請求項2~4のいずれか1項のエマルジョン組成物を乾燥固化してなるシート状体。 |
請求項1の非造膜通気性エマルジョン又は請求項2のエマルジョン組成物を有するアンモニアガス吸着剤。 |
本発明は、非造膜通気性エマルジョン、 マルジョン組成物、シート状体、および、 ンモニアガス吸着剤に関する。更に詳しく 、消臭機能、抗菌機能または光触媒機能等 有する機能性粒子の機能を増大させる非造 通気性エマルジョン、エマルジョン組成物 シート状体、および、アンモニアガス吸着 に関する。
従来、消臭機能を有する活性炭、抗菌機能
有する炭酸カルシウム、光触媒機能を有す
酸化チタン等の機能性粒子を、繊維シート
の担持体にバインダーで付着させて高機能
する技術が提案されている。例えば、機能
粒子の微粉末をバインダーに含有させてド
ト加工する方法が提案されている(特許文献
1参照)。
特許文献1の方法によれば、繊維シート状 基材に塗布された機能性粒子の大部分はそれ を固定するためのバインダー内に被覆された 状態で固定される。実際にバインダー表層に 露出して機能を発現する機能性粒子は極わず かである。更に、表層に露出している極わず かの機能性粒子も、バインダーの乾燥と共に 形成される薄膜で覆われる。このため、機能 性粒子は分解あるいは吸着すべき分子と直接 接触できず、その機能が十分発揮されない。
このように、従来は機能性粒子の露出度 限定的であり、高機能化をさらに追求する めに、機能性粒子の露出度増大が懸案とな ていた。
本発明は、斯かる実情に鑑み、機能性粒 を担持体の表層部だけでなくその内部にお ても露出させることにより機能性粒子の露 度ないし機能の発現を飛躍的に向上させる とができる非造膜通気性エマルジョンおよ エマルジョン組成物を提供しようとするも である。
前記課題を解決するため、請求項1の発明は
、メチル・メタ・アクリレート(MMA)を含むと
にガラス転移点(Tg)が-30℃以上、かつ、100℃
以下であることを特徴とする。
このようなエマルジョンは、乾燥状態で造
性がなくそれ自体が通気性を有する(非造膜
通気性)。
請求項2の発明は、請求項1の非造膜通気 エマルジョンに機能性粒子を含有させたこ を特徴とする。
メチル・メタ・アクリレート(MMA)は、い ゆるアクリル樹脂であって、アクリル酸エ テルあるいはメタクリル酸エステルの重合 である。クロロホルムやアセトンなど種々 有機溶媒に可溶であり、エマルジョンとし 利用できる。このMMAの単独重合体はガラス 移点が103℃であるが、MMAを含むエマルジョ 、例えばMMAに対してEA(エチルアクリレート) BA(ブチルアクリレート)を所定モル分率で混 合したエマルジョンであってそのガラス転移 点を-30℃以上に調整したものは、通常の樹脂 では一般的である造膜性がまったくない(非 膜性)。このため、接着剤や塗料として使用 能であり、実用用途では殆ど注目されなか た。
本発明者らは、このMMA含有エマルジョン 非造膜性を積極的に利用することができな か鋭意検討した結果、一つの利用法として 機能性粒子の基材として利用可能であるこ を見出した。すなわち、ラテックス等のエ ルジョン系のバインダ-や水溶性の高分子糊 剤などの従来の基材は、前述したように造膜 性がある。この造膜性のため、機能性粒子が 基材でほとんど被覆され、その機能発現が大 きく阻害されていた。ところが、ガラス転移 点をEA、BAなどの混合により-30℃以上で100℃ 下に調整したMMA含有エマルジョンは、EA-MMA-B Aが、バラバラの離れた個片のまま存在する このため、造膜性がまったくなく、機能性 子が被覆されることがない。機能性粒子が 見して被覆されているように見えても、実 は粒子の周囲に微小隙間が存在しているこ が分かった。このため、機能性粒子の機能 現が阻害されることがなく、ほとんど100%の 能発現が得られる。なお、MMA含有エマルジ ンのガラス転移点が-30℃以下又は100℃以上 なると、EA-MMA-BAが個片分散状態から集塊傾 が強まり、前述の非造膜性の利点が低減す ことがわかった。
請求項3の発明は、機能性粒子を以下の物 質のいずれかとしたものである。機能性粒子 は一種類だけを含有させるのでなく、複数種 の機能性粒子を混合して含有させてもよい。
(機能性粒子の例示)
アルミナ、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、
触媒含有物、炭酸カルシウム、ゼオライト
カオリナイト、カオリンクレー、珪藻土、
ルク、ベントナイト、シリカ、活性アルミ
、ジルコニア、モンモリナイト、セピオラ
ト、ヒドロキシアパタイト、L-アスコルビ
酸鉄配合体、燐酸ジルコニウム、珪酸亜鉛
酸化澱粉、ジメチルアミノポリブテンスル
ン酸ソーダ、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシ
フェニルエーテル、2-(4-チアゾル)-ベンツイ
ダゾール、5-メチル-2-イソプロピル-1-フェノ
ール、樟脳、ナフタリン、安息香酸、安息香
酸の誘導体、2-ピリジンチオール-1-オキサイ
ナトリウム塩、カテキン、キトサン、EMセ
ミックス、トルマリン。
請求項4の発明は、機能性粒子の粒径の中 央値を0.001μm~300μmとしたことを特徴とする。 この範囲内の粒径であれば、この範囲外の粒 径の機能性粒子を使用した場合より、消臭機 能、抗菌機能または光触媒機能等が良好に発 揮される。
請求項5の発明は、請求項2~4のいずれかの エマルジョン組成物を乾燥固化したシート状 体である。
請求項6の発明は、請求項1の非造膜通気性
マルジョン又は請求項2のエマルジョン組成
を使用してアンモニアガス吸着剤としたも
である。
本発明者は、MMAが優れたアンモニアガス除
機能を有することを見出し、従来、活性炭
では困難であったアンモニアガスの除去を
能にした。
本発明の非造膜通気性エマルジョンおよ エマルジョン組成物によれば、エマルジョ 組成物の表層部はもとよりその内部におい も機能性粒子の露出度を高めることができ 機能性粒子の機能発現を向上させることが きる、という優れた効果を奏し得る。
以下、本発明の実施の形態を添付図面を 照して説明する。
図1は本発明に係る非造膜通気性エマルジ ョンに機能性粒子としての活性炭を含有させ たエマルジョン組成物を乾燥固化させたシー ト状体の断面の顕微鏡写真を模式的に示す図 である。同図で1は樹脂、2は亀裂、3は活性炭 である。樹脂は、メチル・メタ・アクリレー ト(MMA)に2エチルヘキシル(2EHA)を添加してTgを1 0℃に低下させたものを固化したものである MMA単独重合体のTgは103℃、2EHA単独重合体のTg は-76℃であるから、下記0018段の式からMMAと2E HAのモル分率が計算される。このモル分率に づいてMMAと2EHAを混合する。2EHAを使用した は、そのガラス転移点が-76℃と十分に低い め、低モル分率の2EHAによりMMA含有エマルジ ンのガラス転移点を容易に調製可能だから ある。
なお、ガラス転移点Tgは、以下の式で計算
れる。
1/Tg=(m 1
/Tg 1
)+(m 2
/Tg 2
)+…… +(m n
/Tg n
)
ここで、Tg 1 、Tg 2 …Tg n は、成分1、成分2…成分nの単独重合体のガラ ス転移点である。m 1 、m 2 …m n は、それぞれの成分のモル分率である。図5 主要な樹脂についてその分子量(MW)、ガラス 移点(Tg℃、TgK)を示す。
MMAに対して、2EHAに代えて、又は2EHAと共 、エチルアクリレート(EA)やブチルアクリレ ト(BA)などの他の樹脂(例えば図5に示す樹脂) を1種又は複数種組み合わせて添加してもよ 。EAのガラス転移点Tgは-27℃、BAのガラス転 点Tgは-57℃であるから、これらを所定モル分 率でMMAに添加して、MMA含有エマルジョンのガ ラス転移点を-30~100℃に調製すればよい。
機能性粒子は活性炭である。亀裂はエマ ジョンの非造膜性の結果として形成された ので、樹脂内のいたるところに無数に存在 る。大半の機能性粒子は亀裂に沿って露出 る。このため、機能性粒子たる活性炭の多 性に基づく機能発現が促進される。具体的 は活性炭の多孔性による消臭機能が100%発現 される。なお、MMAにはアンモニアの吸着機能 ないし中和・除去機能もあることが判明した 。これはMMAの非造膜構造のため、その酸成分 が活性状態に置かれてアンモニアとの中和に 貢献しているものと推測される。これにより 、活性炭では取れないアンモニアも、MMAで吸 収することができる。このアンモニアの吸着 機能は、例えばMMA+EA+BAのエマルジョンでは、 EAに連結するCOOH(酸)の数が多いほど増大する EA、MMA、BAの割合を色々変えることにより、 アンモニアの吸着機能を調整可能である。
図2~図4はMMA含有エマルジョン組成物を乾 固化したシート状体の顕微鏡写真である。 2はシート状体の表面(2000倍)、図3は断面(500 )、図4は断面(2000倍)である。試料は、離型 のある型枠にエマルジョンを流し込み、室 (約20℃)で一日乾燥後、80℃で60分乾燥させた ものである。表面撮影はシート状体を表面か ら撮影し、断面撮影はシート状体に衝撃を与 えて切断し切断面を撮影したものである。試 料の最低造膜温度は、AT2400(台湾、産協企業 限公司の製品名)で約47℃、MS-25KP(台湾、産協 企業有限公司の製品名)で約36℃であった。
図3と図4から分かるように、シート状体 内部には無数の亀裂が存在する。これら亀 によってMMA自体のアンモニア吸着機能と活 炭粒子の多孔性に基づく消臭作用が促進さ る。
図6に消臭の試験結果を示す。消臭試験は 、1)アンモニアガス、2)酢酸ガス、3)硫化水素 ガス、4)メチルメルカプタンガス、5)インド ルガスで行った。
試験片としての原布は、前記MS-25KP樹脂(MM AとEAを所定モル分率で混合しガラス転移点Tg 10℃に調製したもの)を使用した不織布であ 。この不織布の原料樹脂には活性炭を混練 ている。混練割合は、乾燥樹脂(不織布本体 )の乾燥重量100重量%に対して活性炭が22重量% ある。
試験方法は、社団法人繊維評価技術協議 が定める方法による。1)アンモニアガス、2) 酢酸ガス、3)硫化水素ガス、4)メチルメルカ タンガスについては、減少率(%)={(A-B)/A}×100 計算し、5)インドールガスについては、減少 率(%)={(C-D)/C}×100で計算した。ここで、A:空試 の測定値、B:試験片の測定値、C:空試験のピ ーク面積、D:試験片のピーク面積である。
図6から分かるように、アンモニアガス、 酢酸ガス、硫化水素ガス、メチルメルカプタ ンガス、インドールガスのいずれの試験にお いても、きわめて良好なガス除去性能が確認 された。
以上、本発明の実施形態につき説明した 、本発明は上記実施形態に限定されるもの はなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内 おいて種々変更を加え得ることは勿論であ 。
1 樹脂
2 亀裂
3 活性炭