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Title:
ORALLY DISINTEGRATING TABLET
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/066773
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an orally disintegrating tablet which has both of proper tablet hardness and rapid disintegrating performance in an oral cavity, which shows less reduction in hardness when stored under humidified conditions, and which can keep its good orally disintegrating performance. Specifically disclosed is an orally disintegrating tablet comprising: (a) a crystalline cellulose; (b) a dibasic calcium phosphate component; (c) a natural starch; and (d) a lubricant agent, wherein the components (a) to (d) are contained in the disintegrating tablet in amounts of (a) 9-60 wt%, (b) 16-60 wt%, (c) 3-40 wt% and (d) 0.01-1.8 wt%, respectively, relative to 100 wt% of the disintegrating tablet.

Inventors:
IKEDA YUKI (JP)
OCHIAI YASUSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/071254
Publication Date:
May 28, 2009
Filing Date:
November 21, 2008
Export Citation:
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Assignee:
DAINIPPON SUMITOMO PHARMA CO (JP)
IKEDA YUKI (JP)
OCHIAI YASUSHI (JP)
International Classes:
A61K9/20; A61K31/166; A61K47/04; A61K47/12; A61K47/14; A61K47/36; A61K47/38
Domestic Patent References:
WO2007018190A12007-02-15
WO2003075918A12003-09-18
WO2005123040A12005-12-29
WO2007018192A12007-02-15
WO2007018190A12007-02-15
Foreign References:
JP2001069961A2001-03-21
JP2002505269A2002-02-19
JP2007238451A2007-09-20
JP2002505269A2002-02-19
JPH0532627A1993-02-09
JP2001069961A2001-03-21
Other References:
See also references of EP 2218443A4
Attorney, Agent or Firm:
TAKASHIMA, Hajime (1-1 Fushimimachi 4-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 44, JP)
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Claims:
 (a)結晶セルロース、(b)リン酸水素カルシウム類、(c)天然デンプン類及び(d)滑沢剤を含有する口腔内崩壊錠であって、該崩壊錠100重量%に対する配合割合が(a) 9~60重量%、(b) 16~60重量%、(c) 3~40重量%及び(d) 0.01~1.8重量%である口腔内崩壊錠。
 結晶セルロース(a)の配合割合が9~53重量%であり、天然デンプン類(c)の配合割合が3~30重量%である請求項1に記載の口腔内崩壊錠。
 さらに、薬効成分(e)を0.01~60重量%の配合割合で含有する請求項1又は2に記載の口腔内崩壊錠。
 さらに、賦形剤、結合剤、甘味剤、矯味剤・嬌臭剤、香料、流動化剤、帯電防止剤、着色剤及びコーティング剤からなる群から選択される1以上の添加剤を含有する請求項1~3のいずれか一項に記載の口腔内崩壊錠。
 実質的に結晶セルロース(a)、リン酸水素カルシウム類(b)、天然デンプン類(c)、滑沢剤(d)及び薬効成分(e)からなる請求項3又は4に記載の口腔内崩壊錠。
 粉末状又は粒状の、結晶セルロース(a)、リン酸水素カルシウム類(b)及び天然デンプン類(c)、並びに薬効成分(e)を混合して得られる組成物に、滑沢剤(d)を添加して圧縮成形することにより得られる請求項3に記載の口腔内崩壊錠。
 直接打錠で圧縮成形することにより製造される請求項1~5のいずれか一項に記載の口腔内崩壊錠。
 結晶セルロース(a)の配合割合が20~53重量%である請求項1~7のいずれか一項に記載の口腔内崩壊錠。
 リン酸水素カルシウム類(b)の配合割合が30~60重量%である請求項1~8のいずれか一項に記載の口腔内崩壊錠。
 天然デンプン類(c)の配合割合が9~30重量%である請求項1~9のいずれか一項に記載の口腔内崩壊錠。
 滑沢剤(d)の配合割合が0.01~1.0重量%である請求項1~10のいずれか一項に記載の口腔内崩壊錠。
 上記添加剤の配合割合が0.01~40重量%である請求項4に記載の口腔内崩壊錠。
 天然デンプン類(c)がトウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン及びバレイショデンプンからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1~12のいずれか一項に記載の口腔内崩壊錠。
 天然デンプン類(c)がトウモロコシデンプンである請求項13に記載の口腔内崩壊錠。
 滑沢剤(d)がステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、軽質無水ケイ酸及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1~14のいずれか一項に記載の口腔内崩壊錠。
 滑沢剤(d)がステアリン酸マグネシウムである請求項15に記載の口腔内崩壊錠。
Description:
口腔内崩壊錠

 本発明は、少量の水又は水なしで服用し も口腔内で速やかに崩壊する口腔内崩壊錠 あって、特に加湿条件下でも錠剤の硬度低 が少なく、かつ良好な崩壊性を維持する口 内崩壊錠に関する。

 口腔内崩壊錠は、水なしで服用しても口腔 で速やかに崩壊する錠剤であり、嚥下能の 下した高齢者にも服用しやすい製剤である
 近年、病院や調剤薬局では患者が複数の薬 服用する場合には、患者が薬を呑み忘れた 、呑み間違えたりするのを防ぐために、服 する時間帯ごとに複数の薬を一つのパッケ ジに納めた一包化による服薬コンプライア ス改善の取り組みが盛んとなっている。こ ため、患者が薬を服用する以前に薬剤がパ ケージやPTPシートから取り出され加湿条件 に曝露されることがある。特に口腔内崩壊 は、一般に錠剤硬度が低いため、加湿条件 に曝露され錠剤の硬度が低下すると、服用 に錠剤が破損したり、崩壊時間が遅延する れがある。このため医療現場では、加湿条 下で保存しても錠剤の硬度低下が小さく、 た崩壊性が維持されるような口腔内崩壊錠 創出が望まれている。

 また、口腔内崩壊錠は、崩壊性を確保する めに賦形剤として糖アルコールを用いるこ が多い。しかし、口腔内崩壊錠に含まれる 剤成分に糖アルコールと反応し、不純物を じさせるような物質が含まれる場合には、 剤成分は糖アルコールを実質的に含まない とが望ましい。
 このような中、糖アルコールを必須成分と ず、賦形剤として結晶セルロース及び無水 ン酸水素カルシウムを含有する口腔内崩壊 に関して後記特許文献1~5及び非特許文献1が 知られている。

 特許文献1に記載の口腔内崩壊錠は、実質 的に、活性成分、結晶セルロース及び無水リ ン酸水素カルシウムなどの無機賦形剤からな り、崩壊剤を含まないことを特徴としている 。さらに特許文献1の口腔内崩壊錠は、クロ ポビドンやクロスカルメロースナトリウム どの崩壊剤を含む口腔内崩壊錠に比べ、加 条件下において硬度低下や崩壊時間の遅延 生じないことが記載されている(実施例5及び 比較例5~9)。また「崩壊剤は吸湿によって錠 硬度の低下や錠剤表面の荒れを引き起こし り、唾液を吸収してぱさつき感を与えて口 たりを悪くするなど錠剤の品質を悪化させ 側面があるため、崩壊剤を含まない本発明 優位である。」との記載がある。

 特許文献2には、活性成分、結晶セルロー ス、無水リン酸水素カルシウムなどの無機賦 形剤、カルメロース及び0.8重量%以下の滑沢 を含有する口腔内崩壊錠が記載されている 該口腔内崩壊錠は崩壊剤にカルメロースを いることが必須であり、崩壊剤として天然 ンプン類のような崩壊剤を使用することに いては一切記載されていない。

 特許文献3は、水に不溶な無機賦形剤、崩壊 剤、実質的に水に可溶な賦形剤を含有する急 速崩壊錠剤に関するものであり、無水リン酸 水素カルシウム、トウモロコシデンプン、結 晶セルロース及びステアリン酸マグネシウム を含有する口腔内崩壊錠が開示されている。 しかしながら、該口腔内崩壊錠の無水リン酸 水素カルシウムの配合割合及びステアリン酸 マグネシウムの配合割合が、後記本発明の口 腔内崩壊錠のリン酸水素カルシウム類の配合 割合及び滑沢剤の配合割合と相違する。ちな みに特許文献3に記載の口腔内崩壊錠の絶対 度(直径方向の押潰しにより測定された引っ り強度)は0.7N/mm 2 以下である。

 特許文献4には、結晶セルロース、リン酸 水素カルシウム、トウモロコシデンプン、ス テアリン酸マグネシウムを含有する錠剤が開 示されているが、リン酸水素カルシウムの配 合割合及びステアリン酸マグネシウムの配合 割合が、後記本発明の口腔内崩壊錠のリン酸 水素カルシウム類の配合割合及び滑沢剤の配 合割合と相違する。

 特許文献5は、苦味抑制製剤に関するもの であり、その実施例34には、薬効成分、トウ ロコシデンプン及びヒドロキシプロピルメ ルセルロースを攪拌造粒することにより得 れる顆粒、結晶セルロース、リン酸水素カ シウム及びステアリン酸マグネシウムを含 する製剤が開示されている。

 非特許文献1には、結晶セルロース、無水 リン酸水素カルシウム、及び崩壊剤としてク ロスカルメロースナトリウム又はカルメロー スを含有する口腔内崩壊錠が記載されている 。しかしながら、後記本発明に用いられてい る天然デンプン類を崩壊剤として用いること は一切記載されていない。また後記本発明が 課題としている加湿条件下において、硬度低 下や崩壊時間の遅延を抑制することについて は何ら記載されていない。

 また、特許文献6には、リン酸水素カルシ ウムとエリスリトールの噴霧乾燥組成物、う ま味成分を含有する苦みマスキング用組成物 、及び該組成物を含有する口腔内崩壊錠が記 載されている。明細書中の実施例には、結晶 セルロース、リン酸水素カルシウム、トウモ ロコシデンプン、1重量%以下の滑沢剤を含有 る口腔内崩壊錠が開示されているが、該口 内崩壊錠は、リン酸水素カルシウムとエリ リトールの懸濁液を噴霧乾燥することが必 であるのに対し、後記本発明はエリスリト ルを必須成分としない点において相違する さらに特許文献6に記載の発明は苦味成分の 苦味をマスキングすることを課題としており 、後記本発明が課題としている加湿条件下に おいて、硬度低下や崩壊時間の遅延を抑制す ることについては何ら記載されていない。

国際公開第2005/123040号パンフレット

国際公開第2007/018192号パンフレット

特表2002-505269号公報

特開平5-32627号公報

国際公開第2007/018190号パンフレット

特開2001-69961号公報 協和化学工業株式会社パンフレット(無 リン酸水素カルシウム GSリポート)

 適度な硬度と口腔内での速やかな崩壊性 兼ね備え、かつ加湿による硬度低下が小さ 、良好な口腔内崩壊性が維持される口腔内 壊錠を提供する。

 本発明者らは、上記課題を解決するため 意検討を行った結果、結晶セルロース、リ 酸水素カルシウム類に加え、崩壊剤として 然デンプン類、及び1.8重量%以下の滑沢剤を 含有する口腔内崩壊錠が、従来より知られて いた口腔内崩壊錠に比して、適度な硬度を有 し、加湿による硬度低下が小さく、良好な口 腔内崩壊性を維持することを見出した。

 すなわち、本発明は、以下のものに関する
項1:(a)結晶セルロース、(b)リン酸水素カルシ ム類、(c)天然デンプン類及び(d)滑沢剤を含 する口腔内崩壊錠であって、該崩壊錠100重 %に対する配合割合が(a) 9~60重量%、(b) 16~60 量%、(c) 3~40重量%及び(d) 0.01~1.8重量%である 口腔内崩壊錠。

項2:結晶セルロース(a)の配合割合が9~53重量 %であり、天然デンプン類(c)の配合割合が3~30 量%である項1に記載の口腔内崩壊錠。

項3:さらに、薬効成分(e)を0.01~60重量%の配 割合で含有する項1又は2に記載の口腔内崩壊 錠。

項4:さらに、賦形剤、結合剤、甘味剤、矯 剤・嬌臭剤、香料、流動化剤、帯電防止剤 着色剤及びコーティング剤からなる群から 択される1以上の添加剤を含有する項1~3のい ずれか一項に記載の口腔内崩壊錠。

項5:実質的に結晶セルロース(a)、リン酸水 カルシウム類(b)、天然デンプン類(c)、滑沢 (d)及び薬効成分(e)からなる項3又は4に記載 口腔内崩壊錠。

項6:粉末状又は粒状の、結晶セルロース(a) リン酸水素カルシウム類(b)及び天然デンプ 類(c)、並びに薬効成分(e)を混合して得られ 組成物に、滑沢剤(d)を添加して圧縮成形す ことにより得られる項3に記載の口腔内崩壊 錠。

項7:直接打錠で圧縮成形することにより製 される項1~5のいずれか一項に記載の口腔内 壊錠。

項8:結晶セルロース(a)の配合割合が20~53重 %である項1~7のいずれか一項に記載の口腔内 壊錠。

項9:リン酸水素カルシウム類(b)の配合割合 30~60重量%である項1~8のいずれか一項に記載 口腔内崩壊錠。

項10:天然デンプン類(c)の配合割合が9~30重 %である項1~9のいずれか一項に記載の口腔内 壊錠。

項11:滑沢剤(d)の配合割合が0.01~1.0重量%であ る項1~10のいずれか一項に記載の口腔内崩壊 。

項12:上記添加剤の配合割合が0.01~40重量%で る項4に記載の口腔内崩壊錠。

項13:天然デンプン類(c)がトウモロコシデン プン、コムギデンプン、コメデンプン及びバ レイショデンプンからなる群から選択される 少なくとも1種である項1~12のいずれか一項に 載の口腔内崩壊錠。

項14:天然デンプン類(c)がトウモロコシデン プンである項13に記載の口腔内崩壊錠。

項15:滑沢剤(d)がステアリン酸、ステアリン 酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウ ム、タルク、軽質無水ケイ酸及びステアリン 酸マグネシウムからなる群から選択される少 なくとも1種である項1~14のいずれか一項に記 の口腔内崩壊錠。

項16:滑沢剤(d)がステアリン酸マグネシウム である項15に記載の口腔内崩壊錠。

 本発明によれば、適度な硬度と口腔内での やかな崩壊性を兼ね備え、かつ加湿条件下 も硬度低下が小さく、良好な口腔内崩壊性 維持される口腔内崩壊錠が得られる。
 このため医療現場や流通過程において加湿 件下に錠剤が曝露された場合でも、十分な 剤硬度と口腔内における良好な崩壊性を具 する口腔内崩壊錠を提供することができる

 以下、本発明につき、さらに詳しく説明す 。
(a)結晶セルロース
 本発明に使用される結晶セルロースとして 、経口投与が可能なものであれば特に限定 れない。結晶セルロースの平均粒子径が大 いと口腔内で崩壊した後に、ザラツキを感 るため、服用感の観点において原料とする 晶セルロースの平均粒子径は150μm以下が好 しく、より好ましくは130μm以下であり、さ に好ましくは120μm以下である。また、原料 する結晶セルロースのかさ密度が小さいと 加湿後の口腔内崩壊時間が延長する傾向が ることから、結晶セルロースのかさ密度は 好ましくは0.1~0.5 g/cm 3 であり、より好ましくは0.25~0.5 g/cm 3 である。かさ密度は、Scott Volumeterを用いた るめ見掛け密度により測定される。
 本発明に使用される結晶セルロースの配合 合は、硬度及び崩壊時間の観点から、錠剤 重量に対し9~60重量%であり、好ましくは9~59 量%であり、より好ましくは9~53重量%であり さらに好ましくは20~53重量%である。
 本明細書において、配合割合とは、錠剤全 量を100重量%としたときの錠剤全重量に対す る各成分の割合を表す。

 本発明に使用される結晶セルロースとして 、例えば、セオラス(CEOLUS、登録商標、PH-101 、PH-102、PH-301、PH-302、PH-F20J、KG-800、KG-1000、S T-02:旭化成ケミカルズ社製)、アビセル(AVICEL 登録商標、PH-101、PH-102、PH-301、PH-302、FD-101 FD-301、FD-F20:FMC BioPolymer社製)、セルフィアSCP (旭化成ケミカルズ)、ファーマセル(ファーマ セル101, 102:五協産業)が挙げられる。
 これらの結晶セルロースは単独で用いても いが、二種以上を併用することもできる。

(b)リン酸水素カルシウム類
 本発明に使用されるリン酸水素カルシウム には、リン酸水素カルシウム(第二リン酸カ ルシウム)、無水リン酸水素カルシウム(無水 二リン酸カルシウム)、及びリン酸二水素カ ルシウム(第一リン酸カルシウム)が含まれる これらリン酸水素カルシウム類は経口投与 可能であれば特に限定されることはない。 発明に使用されるリン酸水素カルシウム類 配合割合は、硬度及び崩壊時間の観点から 錠剤全重量に対し16~60重量%であり、好まし は30~60重量%である。

 本発明に使用されるリン酸水素カルシウ としては、例えば、リン酸水素カルシウム( 標準、FF:協和化学工業社製)が挙げられる。 発明に使用される無水リン酸水素カルシウ としては、例えば、無水リン酸水素カルシ ム(GS、GSH、重質、標準、軽質:協和化学工業 製)、フジカリン(FUJICARIN、登録商標、富士 学工業社製)が挙げられる。

 原薬が水に不安定な場合には無水リン酸 素カルシウムを用いるのが好ましい。また 原料の混合末を直接打錠して錠剤を製造す 場合には、直接打錠用のリン酸水素カルシ ムや無水リン酸水素カルシウムが有効であ 。直接打錠用のリン酸水素カルシウムとし は、例えば、リン酸水素カルシウム(FF:協和 化学工業社製)が挙げられる。また直接打錠 の無水リン酸水素カルシウムとしては、例 ば、無水リン酸水素カルシウム(GS、GSH:協和 学工業社製)が挙げられる。

 本発明に使用されるリン酸二水素カルシウ としては、例えば、第一リン酸カルシウム( 東北化学工業社製)、リン酸二水素カルシウ (国産化学社製、純正化学社製、太平化学産 社製、林純薬工業社製、米山化学工業社製) が挙げられる。
 上記リン酸水素カルシウム類は、リン酸水 カルシウム、無水リン酸水素カルシウム及 リン酸二水素カルシウムからなる群より選 される一又は二以上のものを用いることが きる。

(c)天然デンプン類
 本発明に使用される天然デンプン類として 、トウモロコシデンプン(コーンスターチ) バレイショデンプン、コメデンプン、コム デンプン、甘藷デンプン、緑豆デンプン、 ピオカデンプンなどの天然デンプン類が挙 られる。これらの天然デンプン類は単独で いてもよいが、二種以上併用することもで る。これらのうち、トウモロコシデンプン バレイショデンプン、コムギデンプン、コ デンプンは、加湿後の崩壊遅延の抑制効果 高いことから好ましい。トウモロコシデン ンが、加湿後の硬度と崩壊性の観点からよ 好ましい。
 天然デンプン類の配合割合は、硬度及び崩 時間の観点から、錠剤全重量に対し3~40重量 %であり、好ましくは3~30重量%であり、さらに 好ましくは9~30重量%である。

 上記天然デンプン類の例としては、トウ ロコシデンプン(コーンスターチ(XX16)W:日本 品化工社製、トウモロコシデンプン:三栄源 エフ・エフ・アイ社製、純正化学社製、日澱 化学社製、松谷化学工業社製)、コムギデン ン(松谷菊:松谷化学工業社製)、コメデンプ (うるち米でん粉(ミクロパール)、もち粉で 粉(モチールB):島田化学工業社製)、バレイシ ョデンプン(松谷ひまわり:松谷化学工業社製 純正化学社製、日澱化学社製)、甘藷デンプ ン(松谷化学工業社製)、緑豆デンプン(松谷化 学工業社製)、タピオカデンプン(松谷桜:松谷 化学工業社製)が挙げられる。

(d)滑沢剤
 本発明に使用される滑沢剤としては、ステ リン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシ ム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナ リウム、タルク、軽質無水ケイ酸、ショ糖 肪酸エステル、ポリエチレングリコールが げられ、好ましくは、ステアリン酸マグネ ウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリ 酸、フマル酸ステアリルナトリウム、タル 、軽質無水ケイ酸であり、より好ましくは ステアリン酸マグネシウムである。これら 滑沢剤は単独で用いてもよいが、二種以上 用することもできる。
 本発明において該滑沢剤は、外部滑沢法及 内部滑沢法のいずれの方法を用いて配合し も良い。

 滑沢剤の配合割合としては、錠剤全重量 対して0.01~1.8重量%であり、好ましくは0.01~1. 0重量%であり、さらに好ましくは0.01~0.8重量% あり、特に好ましくは0.1~0.5重量%である。 沢剤が少ないほど、加湿後に低湿度環境に したときには硬度が回復し易く、硬度維持 が高くなる傾向が見られた。滑沢剤が多い 、加湿後の崩壊時間は遅延する傾向にあり 特に、滑沢剤の配合割合が2重量%を超えると 、加湿後の崩壊時間は30秒以上となった。一 滑沢剤が0.01%より少なくなると打錠障害が じ易い。上記滑沢剤は、0.25~0.95重量%の配合 合で用いることもできる。

(e)薬効成分
 本発明の口腔内崩壊錠において使用される 効成分は、いかなる薬効成分も使用するこ ができる。経口投与可能な薬効成分であれ 特に限定されない。例えば、滋養強壮保健 ;解熱鎮痛消炎薬;抗精神病薬;催眠鎮静薬;鎮 痙薬;中枢神経作用薬;脳代謝改善薬;脳循環改 善薬;抗てんかん薬;交感神経興奮剤;健胃消化 剤;抗潰瘍剤;消化管運動機能改善剤;制酸剤; 咳去痰剤;腸運動抑制薬;鎮吐剤;呼吸促進剤; 管支拡張剤;アレルギー用薬;抗ヒスタミン ;強心剤;不整脈用剤;利尿剤;ACE阻害剤;Ca拮抗 ;AII拮抗薬;血管収縮剤;冠血管拡張剤;血管拡 張薬;末梢血管拡張薬;高脂血症用剤;利胆剤; フェム系抗生物質;経口抗菌薬;化学治療剤; ルフォニル尿素薬;αグルコシダーゼ阻害薬; ンスリン抵抗性改善薬;速効性インスリン分 泌促進剤;DPPIV阻害薬;糖尿病合併症治療薬;骨 しょう症剤;抗リウマチ剤;骨格筋弛緩剤;ア カロイド系麻薬;サルファ剤;痛風治療剤;血 凝固阻止剤;抗悪性腫瘍剤などが挙げられる 。

 具体的には、本発明における薬効成分と ては、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸 生薬、乳酸菌などの滋養強壮保健薬;アスピ リン、アセトアミノフェン、エテンザミド、 イブプロフェン、カフェイン、インドメタシ ンなどの解熱鎮痛消炎薬;ブロナンセリン、 ラシドン塩酸塩、クエン酸タンドスピロン 塩酸ペロスピロン、レセルピン、ジアゼパ 、フルジアゼパム、ハロペリドール、アリ プラゾール、塩酸ノルトリプチリンなどの 精神病薬;ニトラゼパム、ジアゼパム、トリ ゾラム、ブロチゾラム、ゾルピデム、ニメ ゼパムなどの催眠鎮静薬;臭化水素酸スコポ ラミンなどの鎮痙薬;ゾニサミド、ドロキシ パ、シチコリン、塩酸ビペリデン、塩酸ド ペジルなどの中枢神経作用薬;塩酸メクロフ ニキレートなどの脳代謝改善薬;ビンポセチ ンなどの脳循環改善薬;ゾニサミド、フェニ イン、クロナゼパム、プリミドン、バルプ 酸ナトリウム、カルバマゼピン、ジアゼパ 、エイトトイン、アセチルフェネトライド どの抗てんかん薬;塩酸イソプロテレノール どの交感神経興奮剤;ジアスターゼ、ロート エキス、パンクレアチンなどの健胃消化剤; メチジン、ランソプラゾール、ファモチジ 、スルピリド、ゲファルナートなどの抗潰 剤;クエン酸モサプリドなどの消化管運動機 改善剤;メタケイ酸アルミン酸マグネシウム などの制酸剤;塩酸クロペラスチン、塩酸エ ェドリン、クエン酸ペントキシベリンなど 鎮咳去痰剤;塩酸ロペラミドなどの腸運動抑 薬;塩酸ジフェニドールなどの鎮吐剤;酒石 レバロルファンなどの呼吸促進剤;テオフィ ンなどの気管支拡張剤;エバスチンなどのア レルギー用薬;塩酸ジフェンヒドラミンなど 抗ヒスタミン剤;カフェイン、ジゴキシンな の強心剤;塩酸プロカインアミド、塩酸アロ チノロールなどの不整脈用剤;イソソルビド どの利尿剤;塩酸デラプリル、カプトプリル アラセプリルなどのACE阻害剤;ニフェジピン 、塩酸ジルチアゼム、塩酸マニジピン、ベシ ル酸アムロジピンなどのCa拮抗剤;カンデサル タン、オルメサルタン、バルサルタンなどの AII拮抗薬;塩酸フェニレフリンなどの血管収 剤;塩酸カルボクロメンなどの冠血管拡張剤; リマプロストアルファデクスなどの血管拡張 薬;シンナリジンなどの末梢血管拡張薬;シン スタチン、プラバスタチンナトリウムなど 高脂血症用剤;デヒドロコール酸などの利胆 剤;セフェレキシン、セファクロルなどのセ ェム系抗生物質;ガチフロキサシン、スパル ロキサシンなどの経口抗菌薬;スルファメチ ゾール、ピペミド酸三水和物などの化学治療 剤;グリクラジド、グリベンクラミド、グリ ピリドなどのスルフォニル尿素薬;アカルボ ス、ボグリボース、ミグリトールなどのα ルコシダーゼ阻害薬;塩酸ピオグリタゾン、 シグリタゾンなどのインスリン抵抗性改善 ;メトホルミン、ブホルミン、フェンホルミ ンなどのビグアナイド薬;ナテグリニド、ミ グリニドカルシウム水和物などの速効性イ スリン分泌促進剤;シタグリプチンなどのDPPI V阻害薬;ラニレスタット、エパレルスタット どの糖尿病合併症治療薬;エチドロン酸二ナ トリウムなどの骨粗しょう症剤;メトトレキ ートなどの抗リウマチ剤;メトカルバモール どの骨格筋弛緩剤;塩酸メクリジンなどの鎮 うん剤(鎮暈剤);塩酸モルヒネ、アヘンなどの アルカロイド系麻薬;スルフィソミジンなど サルファ剤;アロプリノールなどの痛風治療 ;ジクマロールなどの血液凝固阻止剤;5-フル オロウラシル、マイトマイシンなどの抗悪性 腫瘍剤などが挙げられる。

 本発明における薬効成分として、インド タシン、ブロナンセリン、ルラシドン塩酸 、クエン酸タンドスピロン、塩酸ペロスピ ン、フルジアゼパム、ハロペリドール、塩 ノルトリプチリン、ニメタゼパム、ゾニサ ド、ドロキシドパ、塩酸ビペリデン、フェ トイン、クロナゼパム、プリミドン、バル ロ酸ナトリウム、エイトトイン、アセチル ェネトライド、パンクレアチン、シメチジ 、スルピリド、ゲファルナート、クエン酸 サプリド、塩酸エフェドリン、クエン酸ペ トキシベリン、塩酸アロチノロール、アラ プリル、ベシル酸アムロジピン、ガチフロ サシン、スパルフロキサシン、ピペミド酸 水和物、グリクラジド、ミグリトール、ラ レスタット、エチドロン酸二ナトリウム、 ロプリノールなどから選んでもよい。

 以上に挙げた薬効成分は、薬学上許容され 限り、上記に記載した以外の塩又はフリー の形であってもよい。また、アルコール和 などの溶媒和物、又は水和物などの形であ てもよい。本明細書における薬効成分の配 割合には、上記薬効成分に含まれる塩、溶 和物の溶媒、及び/又は水和物の水分も含ま れるものとする。さらに、以上に挙げた薬効 成分は、単独で用いても、又は二種以上を組 み合わせて用いてもよい。また、薬効成分の 苦味などの不快な味をマスキング処理したも のを用いてもよい。マスキングの例としては 、薬効成分の被覆が挙げられる。
 本明細書において被覆とは、薬効成分の表 の全部又は一部を被覆成分で覆うことであ 。被覆するための装置としては、一般的な 動層造粒機(転動流動層造粒機、ワースター 型流動層造粒機などを含む)が挙げられるが 工程中の粒子の粗大化を抑えるために、側 からの強制循環装置を備えるワースター法 改良した流動層造粒機(例えばパウレック社  SPCなど)や整粒解砕機構(スクリーン・イン ペラ方式やブレード・ステータ方式、クロス スクリュー、ランプブレーカなど)付き複合 流動層造粒機(例えば、パウレック社製 微 子コーティング・造粒装置SFP-01など)、回転 動層造粒機(例えば、奈良機械製作所製 オ ニテックスなど)が好ましい。噴霧乾燥する ための装置としては、一般的なスプレードラ イヤー(大川原製作所製、大川原化工機製、 マト社製、ニロ社製など)を用いることがで る。

 糖アルコールと配合変化が生じる物質を 腔内崩壊錠に用いる場合、錠剤内において 純物が生じることが懸念されるが、糖アル ールを必須としない本発明の口腔内崩壊錠 、このような配合変化が生じるおそれがな 該物質でも薬効成分や添加剤として有効に いることができる。例えば、カルボキシル を有する薬物は、糖アルコールと脱水反応 起こし不純物を生じさせることが懸念され が、本発明の口腔内崩壊錠の場合、糖アル ールを必須としないためこのような脱水反 が生じるおそれがない。また本発明の口腔 崩壊錠は、従前の糖アルコールを主体とし 口腔内崩壊錠に比べて、低打圧で打錠して 適度な硬度が得られることから、打錠時の 力で被膜が破壊されやすい被覆薬物を薬効 分として用いる場合にも有効である。

 薬効成分の配合割合としては、硬度及び 壊時間の観点から錠剤全重量に対して通常0 .01~60重量%であり、好ましくは0.01~50重量%であ り、さらに好ましくは0.01~25重量%であり、特 好ましくは0.01~10重量%である。

添加剤
 本発明の錠剤は、さらに必要であれば錠剤 製造に一般に用いられる種々の添加剤を含 でいてもよい。本発明の口腔内崩壊錠の崩 性や成形性を損なわない範囲で該添加剤を 用することができるが、添加剤の配合割合 しては、通常0.01~40重量%であり、好ましく 0.01~20重量%であり、さらに好ましくは0.01~10 量%である。
 添加剤としては、例えば、賦形剤、結合剤 甘味剤、矯味剤・嬌臭剤、香料、流動化剤 帯電防止剤、着色剤、コーティング剤が挙 られる。また天然デンプン類に加えて、本 明の効果に影響しない崩壊剤を添加剤とし 加えてもよい。上記添加剤は、単独で、又 2種以上を任意の割合で混合して使用しても よい。

 上記賦形剤としては、例えば、キシリト ル、ソルビトール、トレハロース、ブドウ 、白糖、乳糖水和物、硫酸カルシウム、炭 カルシウムが挙げられる。

 上記結合剤としては、例えば、アラビア ム、アラビアゴム末、部分アルファー化デ プン、ゼラチン、カンテン、デキストリン プルラン、ポビドン、ポリビニルアルコー 、エチルセルロース、カルボキシメチルエ ルセルロース、カルメロース、カルメロー ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒド キシプロピルセルロース、ヒドロキシプロ ルメチルセルロースが挙げられる。

 上記甘味剤としては、例えば、アスパル ーム、アセスルファムカリウム、果糖、還 麦芽糖水アメ、グリチルリチン酸二カリウ 、サッカリン、サッカリンナトリウム、ス ラロース、ステビア、ソーマチンが挙げら る。

 上記矯味剤・嬌臭剤としては、例えば、 スパラギン酸ナトリウム、アラニン、アル ニン、グリシン、グルタミン、グルタミン アルギニン、グルタミン酸塩酸塩、グルタ ン酸ナトリウムなどのアミノ酸及びその塩 アジピン酸、アスコルビン酸、クエン酸、 ハク酸、酒石酸、リンゴ酸などの有機酸、 ンゾウ、クエン酸トリエチル、タウリン、 ンニン酸が挙げられる。

 上記香料としては、例えば、オレンジエ センス、オレンジ油、カラメル、カンフル ケイヒ油、スペアミント油、ストロベリー ッセンス、チョコレートエッセンス、チェ ーフレーバー、トウヒ油、パインオイル、 ッカ油、バニラフレーバー、ビターエッセ ス、フルーツフレーバー、ペパーミントエ センス、ミックスフレーバー、ミントフレ バー、メントール、レモンパウダー、レモ 油、ローズ油が挙げられる。

 上記流動化剤としては、例えば、含水二 化ケイ素、軽質無水ケイ酸、重質無水ケイ 、酸化チタンが挙げられる。

 上記帯電防止剤としては、例えば、含水 酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、タルクが挙 られる。

 上記着色剤としては、例えば、食用赤色3 号、食用黄色5号、食用青色1号などの食用色 、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、褐色酸化 、黒酸化鉄、銅クロロフィル、銅クロロフ ルナトリウム、リボフラビン、抹茶末が挙 られる。

 上記コーティング剤としては、例えば、 クリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポ マー分散液、アミノアルキルメタクリレー コポリマー、アラビアゴム末、エチルセル ース、オパドライ、カルナウバロウ、カル キシビニルポリマー、カルボキシメチルエ ルセルロース、カルメロースナトリウム、 燥メタクリル酸コポリマー、ステアリルア コール、セタノール、セラック、ゼラチン ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキ プロピルメチルセルロースアセテートサク ネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロ ス、プルラン、ポビドン、ポリビニルアル ール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒド キシエチルメチルセルロース、ポリビニル ルコールコポリマー、ジメチルアミノエチ メタアクリレート・メチルメタアクリレー コポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセ ロースフタレート、フマル酸・ステアリン ・ポリビニルアセタールジエチルアミノア テート・ヒドロキシプロピルメチルセルロ ス混合物、ポリビニルアセタールジエチル ミノアセテート、メタクリル酸コポリマー 2-メチル-5-ビニルピリジンメチルアクリレ ト・メタクリル酸コポリマーが挙げられる

口腔内崩壊錠
 本発明において口腔内崩壊錠とは、水なし 服用しても口腔内で速やかに崩壊する錠剤 意味し、通常口腔内の唾液のみで30秒以内( ましくは28秒以内、さらに好ましくは25秒以 内)に崩壊する錠剤を意味する。また、口腔 崩壊錠としては、PTP取出し時において、割 ・欠けを生じない程度の錠剤硬度を有する のがよい。本発明の口腔内崩壊錠は、具体 には、絶対硬度が1.0N/mm 2 以上、好ましくは1.5N/mm 2 以上、さらに好ましくは2.0N/mm 2 以上である。なお絶対硬度とは、錠剤硬度計 で計測した押し割り硬度と錠剤断面積(=直径 厚み)により、以下のとおり計算される値で る。
 絶対硬度[N/mm 2 ]=硬度[N]í(錠剤径[mm]×錠剤厚み[mm])

 さらに本発明の口腔内崩壊錠は、加湿条件 で保存しても、硬度低下が小さい口腔内崩 錠である。例えば、40℃相対湿度75%の条件 で3日間保存しても、絶対硬度が1.0N/mm 2 以上、好ましくは1.5N/mm 2 以上、さらに好ましくは2.0N/mm 2 以上である。
 なお本明細書において、加湿前の硬度が維 される度合いを表す指標(加湿後の硬度低下 抑制の度合いを表す指標)として下記式によ 示される硬度維持率を使用した。
 硬度維持率(%)=加湿後の絶対硬度í加湿前の 対硬度×100
 本発明において硬度維持率は、例えば、加 条件が、40℃相対湿度75%の条件下で3日間保 である場合、通常50%以上、好ましくは53%以 、さらに好ましくは55%以上、最も好ましく 60%以上である。

 本発明において、「実質的に(a)結晶セル ース、(b)リン酸水素カルシウム類、(c)天然 ンプン類、(d)滑沢剤及び(e)薬効成分からな 口腔内崩壊錠」とは、(a)結晶セルロース、( b)リン酸水素カルシウム類、(c)天然デンプン 、(d)滑沢剤及び(e)薬効成分の他に本発明の 果に影響しない範囲で上記添加剤を含んで ても良い口腔内崩壊錠を意味する。具体的 は、該添加剤の配合割合は通常0.01~40重量% あり、好ましくは0.01~20重量%であり、さらに 好ましくは0.01~10重量%である。ただし、該添 剤が天然デンプン類以外の崩壊剤を含む場 は、天然デンプン類以外の崩壊剤の配合割 は0.01~5重量%である。

 本発明において、「粉末状又は粒状の、 晶セルロース(a)、リン酸水素カルシウム類( b)及び天然デンプン類(c)」とは、結晶セルロ ス(a)、リン酸水素カルシウム類(b)、天然デ プン類(c)の各成分が、他の成分と造粒する となく単一の成分からなる粉末状又は粒状 ある結晶セルロース(a)、リン酸水素カルシ ム類(b)及び天然デンプン類(c)を意味する。

 また調剤薬局などの医療現場においては、 内環境の変化が想定される。特に、湿度に しては、空調が作動していない時間帯に、 候の影響により加湿環境下に薬剤が曝露さ る可能性がある。
 このような状況下の医療現場においてはPTP 装や薬剤パッケージから取り出された後も 錠剤物性が維持される口腔内崩壊錠の創出 望まれるが、そのためには、「加湿後硬度 が一定の基準を満たすだけではなく、加湿 よる変化が少ない、すなわち「硬度維持率 が高いことが望ましい。「硬度維持率」が いということは、加湿時に錠剤内部環境の 化が大きいことを意味し、錠剤の割れ・欠 が生じる原因になりやすい。
 また医療現場の業務時間外に加湿環境下に 露されたとしても、業務時間内に湿度が低 制御された状態により、硬度が回復すれば 錠剤分包機による一包化作業中に割れ・欠 が生じにくく、実質上、問題とならない。
 本発明において、例えば、加湿条件が、加 と乾燥を繰り返すサイクル保存(25℃相対湿 75%の条件下で3日間、25℃相対湿度11%の条件 で1日間、25℃相対湿度75%の条件下で3日間、 25℃相対湿度11%の条件下で1日間)である場合 硬度維持率は、好ましくは70%以上であり、 らに好ましくは75%以上であり、最も好まし は80%以上である。

 本発明の特徴は、加湿前のみならず加湿後 あっても高い錠剤硬度と適度な崩壊時間を し、かつ加湿前と加湿後の錠剤硬度の差が さいこと、すなわち硬度維持率が高いこと ある。具体的に本発明の口腔内崩壊錠は、 湿前及び加湿後の絶対硬度が1.0N/mm 2 以上、加湿前及び加湿後の口腔内崩壊時間が 30秒以内であり、硬度維持率が50%以上の基準 満たすものである。より好ましくは、加湿 及び加湿後の絶対硬度が1.5N/mm 2 以上、加湿前及び加湿後の口腔内崩壊時間が 30秒以内であり、硬度維持率が55%以上の基準 満たすものである。さらに好ましくは加湿 及び加湿後の絶対硬度が2.0N/mm 2 以上、加湿前及び加湿後の口腔内崩壊時間が 28秒以内であり、硬度維持率が60%以上の基準 満たすものである。最も好ましくは加湿前 び加湿後の絶対硬度が2.0N/mm 2 以上、加湿前及び加湿後の口腔内崩壊時間が 25秒以内であり、硬度維持率が60%以上の基準 満たすものである。上記加湿条件としては 例えば、40℃相対湿度75%の条件下で3日間保 が挙げられる。

 本発明の口腔内崩壊錠を製造する方法につ ては特に限定することなく任意のものであ てよい。例えば、結晶セルロース、リン酸 素カルシウム類、天然デンプン類、任意の 効成分、滑沢剤、及び必要に応じて添加剤 混合し、その後、直接圧縮成形すること(即 ち、直接打錠)で錠剤を得ることができる。 体的には、粉末状又は粒状の、結晶セルロ ス(a)、リン酸水素カルシウム類(b)及び天然 ンプン類(c)、並びに薬効成分(e)を混合して られる組成物に、滑沢剤(d)を添加して圧縮 形する方法が挙げられる。薬効成分(e)は苦 マスキング、徐放化などの薬物の放出制御 薬物の安定化、及び製造性の改善(例えば、 動性の改善、混合性の改善、打錠障害の防 )などを目的として自体公知の方法によって 被覆して用いても良い。使用する各成分が凝 集性であったり、結晶が大きなものであるな ど、薬効成分の含量均一性が阻害される場合 は、各錠剤成分を混合前又は混合後に粉砕な どの手法を利用して、含量均一性を保証でき る粒子径に整えても良い。また、必要に応じ て、混合物を結合剤にて造粒した後、圧縮成 形しても良い。
 一般に、錠剤を作製する際、薬物の安定性 考慮し、錠剤の水分値が低くなるように製 することが多い。本発明では、打錠直後の 剤の水分値を高くすると、錠剤の硬度維持 が高く維持できる傾向がみられた。打錠後 錠剤の水分値は、特に限定されないが水分 性値として0.3~0.9awが好ましく、より好まし は0.6~0.8awである。ここで言う水分活性値と 、組成物を入れた密閉容器の水蒸気圧(P)と の温度における純水の蒸気圧(P 0 )の比から、次式のように表される。
 水分活性値=PíP 0  
 水分活性値は、例えばポータブル水分活性 (デカゴン製、Pawkit)などの装置で測定でき 。打錠直後の錠剤の水分値を調整するため 、圧縮成形する工程以前に組成物を加湿す 工程を加えてもよい。

 錠剤の成形方法については、特に限定され いが、ロータリー式打錠機、単発打錠機又 油圧プレス機などを用いた圧縮成形法が用 られる。圧縮成形圧力は、錠剤に十分な強 を与える程度であれば特に限定されない。
 本発明で得られる錠剤の形状は、特に限定 れず、円形錠、円形R錠、円形すみ角錠や各 種異形錠などいずれの形状でもよく、また分 割錠としても良い。
 本発明の口腔内崩壊錠は、原料を混合した に直接打錠したり、造粒などの簡便な方法 より製造することが可能であり、噴霧乾燥 どの特殊な工程を必須としないことから、 造の操作面において簡便であり、製造コス の面において経済的である。

 以下、実施例及び比較例を挙げて、本発 をさらに具体的に説明するが、本発明はこ らに限定されるものではない。

 本実施例において、無水リン酸水素カルシ ム、トウモロコシデンプン、ステアリン酸 グネシウム、カルメロースは、特に明示し い限り以下のものを使用した。
 無水リン酸水素カルシウム(GS:協和化学社製 )、ステアリン酸マグネシウム(軽質、植物性: 太平化学産業社製)、トウモロコシデンプン( ーンスターチ(XX16)W:日本食品化工社製)、カ メロース(NS-300:五徳薬品社製)。
 結晶セルロースは、以下のような種々の標 かさ密度のものを使用し、以下の実施例に いてはその商品名を記載した。セオラスPH-1 01(0.29g/cm 3 )、セオラスPH-102(0.30g/cm 3 )、セオラスPH-301(0.41g/cm 3 )、セオラスPH-302(0.43g/cm 3 )、セオラスKG-802(0.21g/cm 3 )、セオラスPH-F20J(0.23g/cm 3 )(いずれも旭化成ケミカルズ社製である。括 内の数字は標準かさ密度を表す。)。
 また錠剤を打錠する際に用いる油圧プレス は、簡易成形機TB-20H(エヌピーエーシステム 社製)を使用した。

 実施例及び比較例で得られた錠剤の錠剤 度及び口腔内崩壊時間は、下記の試験法に 測定した。

 錠剤硬度:錠剤硬度計(TH-203MP:富山産業製)を いて、直径方向に押し潰すために必要な力 測定した。錠剤硬度計で計測した押し割り 度の値を用いて、絶対硬度を以下の式によ 計算した。
 絶対硬度[N/mm 2 ]=硬度[N]í(錠剤径[mm]×錠剤厚み[mm])

 口腔内崩壊時間:口腔内に錠剤を含み、錠 剤が完全に崩壊するまでの時間を測定した。 試験後は内容物を吐き出し、清浄な水で口腔 内を洗浄した。

比較例1
<崩壊剤を含まない処方>
 表1に示す割合で、結晶セルロース(セオラ PH-101)、無水リン酸水素カルシウム及びステ リン酸マグネシウムを混合した。得られた 合物を油圧プレス機を用いて錠剤を作製し (打錠条件:打錠圧6kN、120mg/錠、直径7mm、円 すみ角錠)。

 得られた錠剤を用いて、加湿前及び40℃相 湿度75%の条件下で3日間加湿後に、錠剤硬度 び口腔内崩壊時間を測定し、得られた結果 表2に示す。加湿前の錠剤は硬度1.0N/mm 2 以上、崩壊時間30秒以内と良好であったのに し、加湿後の錠剤は口腔内崩壊時間が100秒 超え、良好な崩壊性を維持できなかった。

実施例1及び比較例2
<崩壊剤の種類(1)>
 表3に示す割合で、結晶セルロース(セオラ PH-101)、無水リン酸水素カルシウム及び各崩 剤を混合し、混合末にステアリン酸マグネ ウムを加えさらに混合した。得られた混合 を油圧プレス機を用いて錠剤を作製した(打 錠条件:打錠圧6kN、120mg/錠、直径7mm、円形す 角錠)。
 崩壊剤としては、トウモロコシデンプン、 ロスポビドン(コリドンCL:BASFジャパン社製) カルメロース、カルボキシメチルスターチ トリウム(EXPLOTAB:木村産業社製)、クロスカ メロースナトリウム(アクジゾル:五協産業社 製)、カルメロースカルシウム(ECG-505:五徳薬 社製)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロ ス(LH-11:信越化学工業社製)を使用した。

 得られた錠剤を用いて、加湿前及び40℃相 湿度75%の条件下で3日間加湿後に、錠剤硬度 び口腔内崩壊時間を測定し、得られた結果 表4に示す。
 崩壊剤としてトウモロコシデンプンを添加 た場合、加湿前及び加湿後において、絶対 度が1.0N/mm 2 以上、かつ、口腔内崩壊時間が30秒以内を維 し、硬度維持率が50%以上と高く維持するこ ができた(実施例1)。
 一方、他の崩壊剤を用いた場合、加湿前及 加湿後の絶対硬度が1.0N/mm 2 以上、加湿前及び加湿後の口腔内崩壊時間が 30秒以内、硬度維持率が50%以上の全ての基準 満たすものはなかった。

実施例2及び比較例3
<崩壊剤の種類(2)>
 表5に示す割合で、結晶セルロース(セオラ PH-101)、無水リン酸水素カルシウム及び各崩 剤を混合し、混合末にステアリン酸マグネ ウムを加えさらに混合した。得られた混合 を油圧プレス機を用いて錠剤を作製した(打 錠条件:打錠圧6kN、120mg/錠、直径7mm、円形す 角錠)。
 崩壊剤としては、トウモロコシデンプン又 カルメロースを使用した。比較のため崩壊 を使用しない場合についても同様にして錠 を作製した。

 得られた錠剤を用いて、加湿前及び40℃相 湿度75%の条件下で所定の期間加湿後に、錠 硬度及び口腔内崩壊時間を測定し、得られ 結果を表6に示す。
 トウモロコシデンプンを添加した場合、14 間加湿後にも、絶対硬度が1.0N/mm 2 以上、口腔内崩壊時間が30秒以内を維持し、 度維持率が50%以上と良好であった。
 一方、カルメロースを添加した場合、3日間 加湿後にはすでに硬度維持率が50%を下回り、 加湿による錠剤物性の変化が大きかった。加 湿保存を14日まで延長すると、硬度維持率は4 0%に低下した。その際、錠剤表面に僅かでは るが凹凸が認められた。また、崩壊剤を添 しない場合、加湿期間の延長に伴い、口腔 崩壊時間が遅延し、14日間加湿後には、口 内崩壊時間が115秒と著しく遅かった。
 崩壊剤が天然デンプン類である本発明の口 内崩壊錠は、崩壊剤がカルメロースである 腔内崩壊錠に比べ、加湿条件下で保存後の 度が維持される点において優れている。

 調剤薬局などにおいては、業務時間内外の 度変化が想定される。そこで、実施例2及び 比較例3-1で作製した錠剤を、25℃においてサ クル保存(相対湿度75%に3日間、その後相対 度11%に1日間のサイクルを2回繰り返し)した 保存前及び保存後の錠剤硬度及び口腔内崩 時間を測定し、得られた結果を表7に示す。
 トウモロコシデンプンを添加した場合、硬 維持率は95%であり、ほとんど硬度が低下し いなかった。一方、カルメロースを添加し 場合は、硬度が30%以上低下していた。

 以上の結果から、トウモロコシデンプン 添加した場合は、医療現場において加湿環 に曝露されても、その後低湿度環境になれ 、加湿前に近い硬度に戻ることがわかった

実施例3及び比較例4
<天然デンプン類の種類>
 表8に示す割合で、結晶セルロース(セオラ PH-101)、無水リン酸水素カルシウム及び各デ プン類を混合し、混合末にステアリン酸マ ネシウムを加えさらに混合した。得られた 合物を油圧プレス機を用いて錠剤を作製し (打錠条件:打錠圧 バレイショデンプン(4kN) バレイショデンプン以外(6kN)、120mg/錠、直 7mm、円形すみ角錠)。
 デンプン類には、トウモロコシデンプン、 ムギデンプン(松谷菊:松谷化学工業社製)、 メデンプン(うるち米でん粉:島田化学工業 製)、バレイショデンプン(松谷ひまわり:松 化学工業社製)、アルファー化デンプン(アミ コールC:日澱化学社製)、部分アルファー化デ ンプン(スターチ1500:日本カラコン社製)を使 した。

 得られた錠剤を用いて、加湿前及び40℃相 湿度75%の条件下で3日間加湿後に、錠剤硬度 び口腔内崩壊時間を測定し、得られた結果 表9に示す。崩壊剤としてコムギデンプン、 コメデンプン、バレイショデンプンを添加し た場合、加湿前及び加湿後の絶対硬度が1.0N/m m 2 以上、口腔内崩壊時間が30秒以内、硬度維持 が50%以上の基準を満たしていることから、 ウモロコシデンプンと同様の効果を発揮し 。
 一方、アミコールCやスターチ1500の加工デ プンを添加した場合、加湿後の崩壊遅延を 制できず、口腔内崩壊時間が30秒を超えた。

実施例4
<結晶セルロースの種類>
 表10に示す割合で、各種結晶セルロース、 水リン酸水素カルシウム及びトウモロコシ ンプンを混合し、混合末にステアリン酸マ ネシウムを加えさらに混合した。得られた 合物を油圧プレス機を用いて錠剤を作製し (打錠条件:打錠圧 セオラスKG-802及びPH-F20J ( 4kN)、セオラスKG-802及びPH-F20J 以外(6kN)、120mg/ 錠、直径7mm、円形すみ角錠)。

 得られた錠剤を用いて、加湿前及び40℃相 湿度75%の条件下で3日間加湿後に、錠剤硬度 び口腔内崩壊時間を測定し、得られた結果 表11に示す。いずれの結晶セルロースを用 た場合も、加湿前及び加湿後の絶対硬度が1. 0N/mm 2 以上、口腔内崩壊時間が30秒以内、及び硬度 持率が50%以上の条件を満たした。
 加湿後の口腔内崩壊時間の観点から、セオ スPH-101(0.29g/cm 3 )、セオラスPH-102(0.30g/cm 3 )、セオラスPH-301(0.41g/cm 3 )、セオラスPH-302(0.43g/cm 3 )が好ましく、これらの結晶セルロースのか 密度は0.29~0.43 g/cm 3 であった。

実施例5
<滑沢剤の種類>
 表12に示す割合で、結晶セルロース(セオラ PH-101)、無水リン酸水素カルシウム及びトウ モロコシデンプンを混合し、混合末に滑沢剤 を加えさらに混合した。得られた混合物を油 圧プレス機を用いて、打錠圧6kNにて、1錠あ り120mg、直径7mm、円形すみ角錠を作製した。 滑沢剤には、ステアリン酸(ステアリン酸A:日 本精化社製)、ステアリン酸カルシウム(太平 学産業社製)、フマル酸ステアリルナトリウ ム(プルーブ:木村産業社製)、タルク(林化成 製)、軽質無水ケイ酸(アエロジル200:日本ア ロジル社製)を使用した。

 得られた錠剤を用いて、加湿前及び40℃ 対湿度75%の条件下で3日間加湿後に、錠剤硬 及び口腔内崩壊時間を測定し、得られた結 を表13に示す。いずれの滑沢剤を用いた場 も、加湿前及び加湿後の絶対硬度、口腔内 壊時間、及び硬度維持率のすべての基準を たしており、滑沢剤の種類によらず、同様 効果を発揮した。

実施例6及び比較例5
<無水リン酸水素カルシウムの 合割合>
 表14に示す割合で、結晶セルロース(セオラ PH-101)、無水リン酸水素カルシウム及びトウ モロコシデンプンを混合し、混合末にステア リン酸マグネシウムを加えさらに混合した。 得られた混合物を油圧プレス機を用いて、打 錠圧6kNにて、1錠あたり120mg、直径7mm、円形す み角錠を作製した。

 得られた錠剤を用いて、加湿前及び40℃相 湿度75%の条件下で3日間加湿後に、錠剤硬度 び口腔内崩壊時間を測定し、得られた結果 表15に示す。
 無水リン酸水素カルシウムの配合割合が30~6 0重量%のとき、加湿前及び加湿後の絶対硬度 1.0N/mm 2 以上、口腔内崩壊時間が30秒以内、硬度維持 が50%以上の基準を満たしており、良好な錠 が得られた。無水リン酸水素カルシウムの 合割合が20重量%のとき、及び70重量%以上の き、加湿後の絶対硬度及び硬度維持率は基 を満たしていたが、加湿後の口腔内崩壊時 が30秒を超え基準を満たさなかった。

実施例7及び比較例6
<トウモロコシデンプンの配合 合>
 表16に示す割合で、薬効成分としてエテン ミド、結晶セルロース(セオラスPH-101)、無水 リン酸水素カルシウム及びトウモロコシデン プンを混合し、混合末にステアリン酸マグネ シウムを加えさらに混合した。得られた混合 物を油圧プレス機を用いて、1錠あたり120mg、 直径7mm、円形すみ角錠を作製した。打錠圧は 、トウモロコシデンプンの配合割合が1~3重量 %のとき4kN、トウモロコシデンプンの配合割 が5~20重量%のとき6kN、トウモロコシデンプン の配合割合が25~40重量%のとき10kNとした。

 得られた錠剤を用いて、加湿前及び40℃相 湿度75%の条件下で3日間加湿後に、錠剤硬度 び口腔内崩壊時間を測定し、得られた結果 表17に示す。
 トウモロコシデンプンの配合割合が錠剤中 3~40重量%の範囲において、加湿前及び加湿 の絶対硬度が1.0N/mm 2 以上、口腔内崩壊時間が30秒以内、硬度維持 が50%以上の基準を満たしており、良好な錠 が得られた。トウモロコシデンプンの配合 合が2重量%以下のとき、加湿後の口腔内崩 時間が30秒を超え、基準を満たさなかった。

実施例8及び比較例7
<滑沢剤の量>
 表18に示す割合で、結晶セルロース(セオラ PH-101)、無水リン酸水素カルシウム及びトウ モロコシデンプンを混合し、混合末にステア リン酸マグネシウムを加えさらに混合した。 得られた混合物を油圧プレス機を用いて、打 錠圧6kNにて、1錠あたり120mg~122mg、直径7mm、円 形すみ角錠を作製した。

 得られた錠剤を用いて、加湿前及び40℃相 湿度75%の条件下で3日間加湿後に、錠剤硬度 び口腔内崩壊時間を測定し、得られた結果 表19に示す。
 ステアリン酸マグネシウムの配合割合の増 に伴い、特に加湿後の崩壊時間が遅延した ステアリン酸マグネシウムの配合割合が0.01 ~1.8重量%の範囲において、加湿前及び加湿後 絶対硬度が1.0N/mm 2 以上、口腔内崩壊時間が30秒以内、硬度維持 が50%以上の基準を満たしており、良好な錠 が得られた。ステアリン酸マグネシウムの 合割合が2重量%以上のとき、加湿後の硬度 下は小さかったが、加湿後の崩壊時間が遅 し、口腔内崩壊時間が30秒を超えた。

実施例9及び比較例8
<薬効成分の配合割合(1)>
 表20に示す割合で、エテンザミド、結晶セ ロース(セオラスPH-101)、無水リン酸水素カル シウム及びトウモロコシデンプンを混合し、 混合末にステアリン酸マグネシウムを加えさ らに混合した。得られた混合物を油圧プレス 機を用いて、1錠あたり120mg、直径7mm、円形す み角錠を作製した。打錠圧は、エテンザミド の配合割合が0.01~50重量%のとき6kN、エテンザ ドの配合割合が60重量%以上のとき4kNとした
 薬効成分を除く成分の処方比率を一定とし 薬効成分を0.01~70重量%まで変動させた。

 得られた錠剤を用いて、加湿前及び40℃相 湿度75%の条件下で3日間加湿後に、錠剤硬度 び口腔内崩壊時間を測定し、得られた結果 表21に示す。
 エテンザミドの配合割合が0.01~60重量%の範 において、加湿前及び加湿後の絶対硬度が1. 0N/mm 2 以上、口腔内崩壊時間が30秒以内、硬度維持 が50%以上の基準を満たしており、良好な錠 が得られた。エテンザミドの配合割合が70 量%以上のとき、加湿後の口腔内崩壊時間が3 0秒を超え、基準を満たさなかった。
 以上の結果から、薬効成分のエテンザミド 錠剤全重量に対して60重量%加えても、本発 の効果を発揮することが確認できた。

実施例10及び比較例9
<薬効成分の配合割合(2)>
 表22に示す割合で、エテンザミド、結晶セ ロース(セオラスPH-101)、無水リン酸水素カル シウム及びトウモロコシデンプンを混合し、 混合末にステアリン酸マグネシウムを加えさ らに混合した。得られた混合物を油圧プレス 機を用いて、打錠圧6kNにて、1錠あたり120mg、 直径7mm、円形すみ角錠を作製した。
 無水リン酸水素カルシウムの配合割合は、 効成分を除いた錠剤成分の合計量の40%とし 。

 得られた錠剤を用いて、加湿前及び40℃相 湿度75%の条件下で3日間加湿後に、錠剤硬度 び口腔内崩壊時間を測定し、得られた結果 表23に示す。
 エテンザミドの配合割合が0~50重量%の範囲 おいて、加湿前及び加湿後の絶対硬度が1.0N/ mm 2 以上、口腔内崩壊時間が30秒以内、硬度維持 が50%以上の基準を満たしており、良好な錠 が得られた。エテンザミドの配合割合が70 量%以上のとき、加湿後の口腔内崩壊時間が3 0秒を超え、基準を満たさなかった。
 以上の結果から、薬効成分のエテンザミド 錠剤全重量の50重量%加えても、本発明の効 を発揮することが確認できた。
 また、実施例10-1~10-5の加湿前及び加湿後の 剤において、ザラツキやぱさつきは感じら ず、良好な服用性であった。さらに、加湿 よる錠剤表面の凹凸などの性状変化は認め れなかった。

実施例11
<薬効成分の種類>
 表24に示す割合で、薬効成分、結晶セルロ ス、無水リン酸水素カルシウム及びトウモ コシデンプンを混合し、混合末にステアリ 酸マグネシウムを加えさらに混合した。得 れた混合物を油圧プレス機を用いて、1錠あ り120mg、直径7mm、円形すみ角錠を作製した 打錠圧は、アセトアミノフェンは15kN、アセ アミノフェン以外は6kNとした。薬効成分に 、クエン酸モサプリド・2水和物(大日本住 製薬社製)、アスコルビン酸(ナカライテスク 社製)、インドメタシン粉砕品(大日本住友製 社製)、アセトアミノフェン粉砕品(山本工 社製:平均粒子径17.7μm)を使用した。

 得られた錠剤を用いて、加湿前及び40℃相 湿度75%の条件下で3日間加湿後に、錠剤硬度 び口腔内崩壊時間を測定し、得られた結果 表25に示す。
 薬効成分として、クエン酸モサプリド・2水 和物、アスコルビン酸、インドメタシン、ア セトアミノフェンを含有する場合も、加湿前 及び加湿後の絶対硬度が1.0N/mm 2 以上、口腔内崩壊時間が30秒以内、硬度維持 が50%以上の基準を満たしており、良好な錠 が得られた。
 以上の結果から、薬効成分の種類によらず 本発明における口腔内崩壊錠の効果が発揮 れることが確認できた。

実施例12
薬効成分含有粒子の製造
1)アセトアミノフェン含有粒子
 アセトアミノフェンに被膜量10%となるよう 、コーティングを施し、アセトアミノフェ 含有粒子とした。被膜成分は、アクアコー (旭化成ケミカルズ社製)、トリアセチン、 びマンニトールが100:25:50重量%のものを使用 た。

2)クエン酸モサプリド含有粒子
 精製水567gにポリソルベート80(日局ポリソル ベート80(HX):日本油脂株式会社製)31.5gを加え 十分に混和させた後、タルク(林化成株式会 製)73.5g、クロスカルメロースナトリウム(Ac- Di-Sol:FMC BioPolymer社製)52.5gを加え、十分に攪 した(第1液)。これとは別に、水酸化ナトリ ムを精製水67.65gに溶解させた溶液を、メタ リル酸コポリマーLD(ポリキッドPA-30S:三洋化 工業株式会社製)705gに徐々に加え、攪拌し (第2液)。第1液に第2液を加え懸濁させ、177μm 開口径のメッシュ網で篩過し、被覆コーティ ング分散液とした。

 クエン酸モサプリド・2水和物346.5gと軽質無 水ケイ酸(アエロジール200:日本アエロジル株 会社製)3.5gを500μm開口径のメッシュ網で篩 してポリエチレン袋内で十分に混合し、薬 含有組成物を調製後、強制循環装置付ワー ター型流動層造粒機(改良ワースター型流動 造粒機、MP-01 SPC、株式会社パウレック製) 入れ、上記の被覆コーティング分散液を噴 した。噴霧時は給気温度を約80~90℃、排気温 度を約26~30℃に保ち、ボトムスプレーで噴霧 流量10~12g/分、スプレーエア流量80L/分、ス レーエアー圧力0.2~0.3MPa、サイドエアー圧力0 .2~0.25MPa、給気風量約0.30~0.55m 3 /分で製造を行った。被覆コーティング分散 の噴霧量が約1306gの時点でコーティングを終 了し、排気温度が42℃になるまで乾燥した。 られた粒子を32メッシュ(目開き500μm)の篩で 篩過し、平均粒子径が約98μmの薬物含有粒子 得た。

 表26に示す割合で、上記の方法で製造し 薬効成分含有粒子、結晶セルロース(セオラ PH-101)、無水リン酸水素カルシウム及びトウ モロコシデンプンを混合し、混合末にステア リン酸マグネシウムを加えさらに混合した。 得られた混合物を油圧プレス機を用いて、打 錠圧6kNにて、1錠あたり120mg、直径7mm、円形す み角錠を作製した。

 得られた錠剤を用いて、加湿前及び40℃相 湿度75%の条件下で3日間加湿後に、錠剤硬度 び口腔内崩壊時間を測定し、得られた結果 表27に示す。
 薬効成分が、クエン酸モサプリド含有粒子 及びアセトアミノフェン含有粒子の場合も 加湿前及び加湿後の絶対硬度が1.0N/mm 2 以上、口腔内崩壊時間が30秒以内、硬度維持 が50%以上の基準を満たしており、良好な錠 が得られた。
 以上の結果から、薬効成分を含有する粒子 用いても、本発明における口腔内崩壊錠用 成物の効果が発揮されることが確認できた

 本発明により、加湿前のみならず加湿後 あっても高い錠剤硬度と適度な崩壊時間を わせもつ口腔内崩壊錠が提供される。

 この出願は、日本で出願された特願2007-30 2284を基礎としており、その内容は本明細書 すべて包含されるものである。