Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
PROCESS FOR PRODUCING CERAMIC MOLDED PRODUCT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/075206
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a process for producing a ceramic molded product, which, while satisfactorily ensuring a shrinkage inhibiting effect in a firing step, can easily remove a constrained layer after firing and can reliably and efficiently produce a ceramic molded product with a high dimensional accuracy without damage to an object fired product in the step of removing the constrained layer. A constrained layer (31) comprising a burning-out material that does not burn out upon firing in a low-oxygen atmosphere and burns out upon firing under an increased oxygen partial pressure, and a ceramic powder that does not sinter at the sintering temperature of the base material layer, is provided. The constrained layer is provided on at least one main surface of a base material layer (A'), which is converted to a ceramic substrate (a ceramic molded product) upon firing. In a first firing step, firing (constraining firing) is carried out under a low-oxygen atmosphere to fire the base material layer (A'). In a second firing step, firing is carried out under higher oxygen partial pressure conditions than the first firing step to allow the burning-out material constituting the constrained layer (31) to burn out and thus to facilitate the removal of the constrained layer (31).

Inventors:
CHIKAGAWA OSAMU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/071930
Publication Date:
June 18, 2009
Filing Date:
December 03, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
MURATA MANUFACTURING CO (JP)
CHIKAGAWA OSAMU (JP)
International Classes:
B28B11/00; C04B35/64; H05K3/46
Domestic Patent References:
WO2008020534A12008-02-21
Foreign References:
JPH1095677A1998-04-14
JP2002353624A2002-12-06
JPH05279132A1993-10-26
JP2001291959A2001-10-19
JP2005347674A2005-12-15
Attorney, Agent or Firm:
NISHIZAWA, Hitoshi (Daido SeimeiMinami-kan, 1-2-11 Edobori,Nishi-ku, Osaka-sh, Osaka 02, JP)
Download PDF:
Claims:
 セラミック粉末とガラス材料とを含有する基材層と、
 低酸素雰囲気で焼成した場合には焼失しないが、前記低酸素雰囲気よりも酸素分圧を高くして焼成した場合には焼失する焼失材料と、前記基材層の焼結温度では焼結しないセラミック粉末とを含有し、前記基材層の少なくとも一方主面に接するように配置された拘束層と、
 を備える未焼成積層体を作製する積層体作製工程と、
 前記未焼成積層体を焼成して前記基材層を焼結させる焼成工程と、
 前記拘束層を除去する工程と、を備え、
 前記焼成工程は、
 前記低酸素雰囲気において、前記拘束層を備えた状態で焼成を行って前記基材層を焼結させる第1焼成工程と、
 前記第1焼成工程より酸素分圧の高い条件で焼成を行って前記拘束層を構成する前記焼失材料を焼失させる第2焼成工程と、を含むこと
 を特徴とする、セラミック成形体の製造方法。
 前記セラミック成形体がセラミック基板であることを特徴とする請求項1記載のセラミック成形体の製造方法。
 前記第1焼成工程において、前記基材層に含まれる前記ガラス材料が前記拘束層に浸透するように焼成を行うことを特徴とする、請求項1または2記載のセラミック成形体の製造方法。
 前記焼失材料の粒径が、前記拘束層に含まれるセラミック粉末の粒径よりも大きいことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のセラミック成形体の製造方法。
 前記焼失材料がカーボン粉末であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のセラミック成形体の製造方法。
 前記拘束層に含まれるセラミック粉末が、前記基材層に含まれるセラミック粉末と同一材質であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のセラミック成形体の製造方法。
 前記基材層がバインダを含み、かつ、
 前記焼成工程における前記第1焼成工程の前に前記基材層に含まれる前記バインダを除去する脱バインダ工程を備え、
 前記脱バインダ工程は、酸素含有雰囲気中で、かつ、前記焼失材料が焼失しない温度で実施されること
 を特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のセラミック成形体の製造方法。
 前記積層体作製工程において、前記拘束層は、前記焼失材料と前記セラミック粉末を含有するシートを、前記基材層の少なくとも一方主面に接するように配置することにより形成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のセラミック成形体の製造方法。
 前記積層体作製工程において、前記拘束層は、前記焼失材料と前記セラミック粉末を含有するペーストを、前記基材層の少なくとも一方主面に塗布することにより形成されていることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載のセラミック成形体の製造方法。
 前記基材層が、前記セラミック粉末と前記ガラス材料とを含有する層を複数備えた複数層構造を有していることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載のセラミック成形体の製造方法。
 前記基材層が、少なくとも一方の主面に配線パターンを備えていることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載のセラミック成形体の製造方法。
 前記焼成工程で焼成された後の基材層の外表面上に電子部品を実装する工程をさらに備えることを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載のセラミック成形体の製造方法。
Description:
セラミック成形体の製造方法

 本発明は、セラミック基板をはじめとす セラミック成形体の製造方法に関し、詳し は、被焼成体に拘束層を配設し、被焼成体 平面方向の収縮を抑制しつつ焼成を行う、 わゆる拘束焼成の工程を経て製造されるセ ミック基板などのセラミック成形体の製造 法に関する。

 セラミック電子部品の中でも、高い平面 法精度が要求されるセラミック基板などに いては、焼成工程における平面方向の焼成 縮や、該収縮のばらつきなどが製品の品質 大きく影響する。

 そこで、このような焼成工程における収 を抑制しつつ、セラミック成形体を焼成す 方法として、例えば、図4に示すように、セ ラミック成形体51の両主面に、セラミック成 体51の焼成温度では実質的に焼結しない、 ルミナなどの難焼結性材料を主たる成分と る層(拘束層)52a,52bを形成した状態で焼成(拘 焼成)を行うことにより、実質的に、平面方 向の焼成収縮が生じないように焼成を行うこ とができるようにした焼成方法が提案されて いる(特許文献1参照)。

 そして、上記従来の焼成方法において、拘 層が発揮する拘束力を高めるためには難焼 性材料の粒径を小さくすることが必要にな 。
 しかしながら、粒径を小さくすると、基材 と拘束層とが強固に接着されるため、焼成 に拘束層を除去することが困難になり、基 層表面及び電極にダメージを与えるという 題点がある。例えば、セラミック層や電極 の薄層化、多層化を図った多層セラミック 板を製造するような場合、拘束層の除去工 において、基板に割れが発生したり、電極 剥離したりするというような問題点がある

特開平4-243978号公報

 本発明は、上記課題を解決するものであ 、焼成工程が終了した後に、拘束層を容易 除去することが可能で、拘束層を除去する 程において被焼成体にダメージを与えるこ なく、寸法精度の高いセラミック成形体を 実に、しかも効率よく製造することが可能 セラミック成形体の製造方法を提供するこ を目的とする。

 上記課題を解決するために、本願請求項1の セラミック成形体の製造方法は、
 セラミック粉末とガラス材料とを含有する 材層と、
 低酸素雰囲気で焼成した場合には焼失しな が、前記低酸素雰囲気よりも酸素分圧を高 して焼成した場合には焼失する焼失材料と 前記基材層の焼結温度では焼結しないセラ ック粉末とを含有し、前記基材層の少なく も一方主面に接するように配置された拘束 と、
 を備える未焼成積層体を作製する積層体作 工程と、
 前記未焼成積層体を焼成して前記基材層を 結させる焼成工程と、
 前記拘束層を除去する工程と、を備え、
 前記焼成工程は、
 前記低酸素雰囲気において、前記拘束層を えた状態で焼成を行って前記基材層を焼結 せる第1焼成工程と、
 前記第1焼成工程より酸素分圧の高い条件で 焼成を行って前記拘束層を構成する前記焼失 材料を焼失させる第2焼成工程と、を含むこ
 を特徴としている。

 また、請求項2のセラミック成形体の製造 方法は、前記セラミック成形体がセラミック 基板であることを特徴としている。

 また、請求項3のセラミック成形体の製造 方法は、前記第1焼成工程において、前記基 層に含まれる前記ガラス材料が前記拘束層 浸透するように焼成を行うことを特徴とし いる。

 また、請求項4のセラミック成形体の製造 方法は、前記焼失材料の粒径が、前記拘束層 に含まれるセラミック粉末の粒径よりも大き いことを特徴としている。

 また、請求項5のセラミック成形体の製造 方法は、前記焼失材料がカーボン粉末である ことを特徴としている。

 また、請求項6のセラミック成形体の製造 方法は、前記拘束層に含まれるセラミック粉 末が、前記基材層に含まれるセラミック粉末 と同一材質であることを特徴としている。

 また、請求項7のセラミック成形体の製造 方法は、前記焼成工程における前記第1焼成 程の前に前記基材層に含まれる前記バイン を除去する脱バインダ工程を備え、前記脱 インダ工程は、酸素含有雰囲気中で、かつ 前記焼失材料が焼失しない温度で実施され ことを特徴としている。

 また、請求項8のセラミック成形体の製造 方法は、前記積層体作製工程において、前記 拘束層は、前記焼失材料と前記セラミック粉 末を含有するシートを、前記基材層の少なく とも一方主面に接するように配置することに より形成されていることを特徴としている。

 また、請求項9のセラミック成形体の製造 方法は、前記積層体作製工程において、前記 拘束層は、前記焼失材料と前記セラミック粉 末を含有するペーストを、前記基材層の少な くとも一方主面に塗布することにより形成さ れていることを特徴としている。

 また、請求項10のセラミック成形体の製 方法は、前記基材層が、前記セラミック粉 と前記ガラス材料とを含有する層を複数備 た複数層構造を有していることを特徴とし いる。

 また、請求項11のセラミック成形体の製 方法は、前記基材層が、少なくとも一方の 面に配線パターンを備えていることを特徴 している。

 また、請求項12のセラミック成形体の製 方法は、前記焼成工程で焼成された後の基 層の外表面上に電子部品を実装する工程を らに備えることを特徴としている。

 本願請求項1のセラミック成形体の製造方法 においては、拘束層として、低酸素雰囲気で 焼成した場合には焼失しないが、該低酸素雰 囲気よりも酸素分圧を高くして焼成した場合 には焼失する焼失材料と、基材層の焼結温度 では焼結しないセラミック粉末とを含有する 拘束層が用いられていることから、第1焼成 程において、焼失材料が焼失することのな 低酸素雰囲気下で拘束焼成を行い、基材層 平面方向に収縮させることなく焼結させた 、第2焼成工程で、第1焼成工程より酸素分圧 の高い条件で焼成を行い、拘束層を構成する 焼失材料を焼失させることにより、拘束層中 の焼失材料が焼失した部分にポアを生じさせ て、拘束層を除去しやすい状態とすることが 可能になる。その結果、被焼成体に割れや欠 けなどのダメージを与えるおそれの少ない穏 やかな方法で、効率よく拘束層を除去するこ とが可能になる。
 したがって、本発明によれば、複雑な製造 程を必要とすることなく、寸法精度の高い ラミック成形体を、歩留まりよく製造する とができる。

 なお、本発明のセラミック成形体の製造 法では、第1焼成工程(拘束焼成工程)におい 、拘束層は基材層に対して、平面方向(主面 と平行な方向)の収縮を抑制する拘束力を発 する。そして、この拘束力により、基材層 平面方向における焼結収縮が抑制され、被 成体は実質的に厚み方向にのみ焼結収縮す ことになるため、平面方向の寸法精度の高 セラミック成形体を確実に製造することが きる。

 また、本発明において、低酸素雰囲気とは 大気などに比べて酸素分圧が相当に低い雰 気を指すものであり、具体的には、常圧下 酸素分圧が、10 -2 atm程度以下(すなわち、雰囲気中の酸素濃度 1vol%程度以下)であるような雰囲気が例示さ る。

 この低酸素雰囲気のより好ましい条件とし は、例えば、常圧下で酸素分圧が、10 -3 ~10 -6 atm(酸素濃度0.1~0.0001vol%)というような条件が 示される。
 また、第2焼成工程における、第1焼成工程 り酸素分圧の高い条件とは、上記焼失材料 燃焼させて焼失させることができるような 素分圧の雰囲気を指すものであり、具体的 は、常圧下で酸素分圧が10 -1 atm以上(すなわち、雰囲気中の酸素濃度が10vol %以上)であるような雰囲気が例示される。

 また、請求項2のように、本発明はセラミ ック成形体の中でも、平面方向の寸法精度お よび形状精度が高いことが望ましいセラミッ ク基板の製造方法に適用するのに好適な発明 であり、本発明を用いることにより、寸法精 度が高いセラミック基板を効率よく製造する ことができる。

 また、請求項3のセラミック成形体の製造方 法の場合、第1焼成工程において、基材層に まれるガラス材料が拘束層に浸透し、浸透 が形成される。そして、この浸透層を介し 拘束層と基材層とが強く接合されるととも 、浸透層により第1焼成工程における基材層 平面方向の収縮が確実に抑制、防止される
 なお、拘束力をより確実に得るためには、 材層のガラス材料が確実に拘束層に浸透す ことが望ましい。そして、そのためには、 束層は基材層に密着するように配設するこ が望ましい。

 また、請求項4のセラミック成形体の製造 方法のように、焼失材料の粒径を、拘束層に 含まれるセラミック粉末の粒径よりも大きく することにより、拘束層をセラミック粉末と バインダのみで構成した従来の場合と比較し て、拘束層に含有させる有機バインダの量を 減らすことが可能になり、脱バインダが容易 になる。

 また、請求項5のセラミック成形体の製造 方法において、焼失材料として用いられてい るカーボン粉末は、第1焼成工程で、低酸素 圧雰囲気において焼成した場合、燃焼せず しかも収縮もしないため、基材層の焼成収 を抑制する機能を十分に発揮し、また、第2 成工程で、酸素分圧の高い条件で焼成を行 た場合は、燃焼して焼失するため、残留す セラミックを主成分とする拘束層中にポア 形成させ、拘束層を崩壊しやすく、除去し すい状態とすることができる。また、カー ン粉末の粒径を適切に選択することにより 拘束層用セラミック粉末の粒径を小さくし 場合にも、拘束層の構成材料全体としての 均比表面積の増大を抑制することが可能に り、使用する有機バインダ量を減らすこと できる。

 なお、カーボン粉末としては、粒径が1~5 mの範囲のものを用いることが望ましい。こ は、粒径が5μmを超えると拘束力が不十分に なること、すなわち、粒径が5μm以下の場合 大きな拘束力が得られること、また、粒径 1μm以上とすることにより、第1焼成工程で焼 失してしまうことを防止できる一方で、第2 成工程における焼失しやすさを確保できる とによる。

 また、請求項6のように、拘束層に含まれ るセラミック粉末として、基材層に含まれる セラミック粉末と同一材質のものを用いるこ とにより、基材層から拘束層にガラスが浸透 しやすくなり、拘束力を向上させることが可 能になる。

 また、請求項7のセラミック成形体の製造方 法では、第1焼成工程の前に脱バインダ工程 、酸素含有雰囲気中で、かつ、前記焼失材 が焼失しない温度で実施されることから、 材層に含まれるバインダを確実に除去して その後の拘束焼成を行う第1焼成工程、およ 、拘束層を構成する焼失材料を焼失させる 2焼成工程を、円滑に実施することが可能に なる。
 なお、脱バインダ工程を行う場合の酸素含 雰囲気とは、大気雰囲気や、不活性ガスに 気を導入した雰囲気などが例示される。通 は、大気雰囲気のような、酸素分圧の高い 件下で実施する方が効率よく脱バインダを うことができる。

 また、本発明においては、拘束層を形成 る方法として、請求項8のように、焼失材料 とセラミック粉末を含むシートを予め作製し ておき、基材層の少なくとも一方主面に接す るように配置する方法や、請求項9のように 焼失材料とセラミック粉末を含むペースト 、基材層の少なくとも一方主面に塗布する 法などが挙げられる。これらの方法を用い ことにより、基材層の少なくとも一方主面 効率よく拘束層を配設することができる。

 なお、拘束力を確実に得るためには、上 のように、基材層のガラス材料が確実に拘 層に浸透して浸透層が形成されるように、 束層が基材層に密着していることが望まし 。そして、そのためには、例えば、複数枚 拘束層用シートを積層して拘束層を形成す 場合に、複数枚の拘束層用シートを基材層 圧着しながら積層して拘束層を形成したり 拘束層用ペーストを塗布して拘束層を形成 る場合に、一定の圧力をかけて拘束層用ペ ストを基材層に密着させながら塗布したり ることが望ましい。

 また、請求項10のセラミック成形体の製 方法のように、基材層を複数層構造とする とにより、平面形状精度に優れた、セラミ ク基板をはじめとする種々のセラミック成 体を効率よく製造することができる。

 また、請求項11のセラミック成形体の製 方法においては、基材層の少なくとも一方 主面に配線パターンが形成されるため、こ 方法で製造されるセラミック成形体を用い ことにより、請求項12のように、焼成工程で 焼成された後の基材層に電子部品を実装して 、外表面上に電子部品が搭載された構造を有 する、セラミック基板をはじめとするセラミ ック成形体を効率よく製造することができる 。

本発明の実施例(実施例1)にかかるセラ ック成形体(セラミック基板)の製造方法に り製造されたセラミック基板(多層セラミッ 基板)を示す図である。 図1のセラミック基板に実装部品を搭載 した状態を示す図である。 図1および図2のセラミック基板を製造 る工程で作製した、拘束層を備えた未焼成 層体を示す図である。 従来の、難焼結性材料を主たる成分と る拘束層を用いてセラミック成形体を拘束 成する方法を示す図である。

符号の説明

1      絶縁性セラミック層 
1a     基板用セラミックグリーンシート 
2      導体部 
3a,3b  実装電子部品 
12     貫通孔 
21     表面導体(外部導体) 
21a    未焼結の外部導体 
22     層間導体(内部導体) 
22a    未焼結の内部導体 
23     ビアホール導体 
23a    未焼結のビアホール導体 
31     拘束層 
32     未焼成積層体 
A      セラミック基板(多層セラミック基 ) 
A’     基材層(未焼成のセラミック基板) 
B      セラミック基板(多層セラミック基 )

 以下、本発明の実施例を示して、本発明 特徴とするところをさらに詳しく説明する

 (1)セラミック粉末とガラス材料とを含有す 基材層の作製
 セラミック基板の主要部を構成する基材層 形成するにあたっては、まず、セラミック 末とガラス材料とを混合した混合粉末に、 インダ、分散剤、可塑剤および有機溶剤な を各々適量添加し、これらを混合すること より、セラミックスラリーを作製する。

 セラミック粉末としては、種々のものを用 ることが可能であるが、好ましい材料の一 として、アルミナ(Al 2 O 3 )粉末が挙げられる。

 ガラス材料は、当初からガラス粉末とし 含有されていても、焼成工程においてガラ 質を析出するものであってもよい。また、 のようなガラス材料は、焼成工程の少なく も最終段階において、結晶質を析出させ、 れによって結晶化するものであってもよい ガラス材料として、たとえば、フォルステ イト、アケルマナイトまたはディオプサイ といった誘電損失の小さい結晶質を析出さ 得るホウケイ酸ガラス系のガラス粉末を有 に用いることができる。

 次いで、このセラミックスラリーをドクタ ブレード法などの方法によってシート状に 形し、基材層用のグリーンシート(基板用セ ラミックグリーンシート)1a(図3)を作製する。
 なお、より具体的には、ガラス粉末として CaO:l0~55重量%、SiO 2 :45~70重量%、Al 2 O 3 :0~30重量%、不純物:0~10重量%、B 2 O 3 :5~20重量%の割合で含有する組成のガラス粉末 (平均粒径1.5μm)50~64重量%と、セラミック粉末 して、Al 2 0 3 粉末(平均粒径1.0μm)35~50重量%とを混合し、こ 混合物を有機溶剤、可塑剤などからなる有 ビヒクル中に分散させてスラリーを調製す 。それからこのスラリーをドクターグレー 法やキャスティング法でシート状に成形す ことにより、基板用セラミックグリーンシ トを作製する。なお、セラミック粉末とし のAl 2 O 3 粉末は、不純物を0~10重量%含有するものであ てもよい。

 また、基板(基材層)は、通常、複数枚の ラミックグリーンシートを積層することに り形成されるが、一枚のセラミックグリー シートで構成してもよい。また、基板用セ ミックグリーンシートは、上述したシート 形法により形成したセラミックグリーンシ トであることが好ましいが、厚膜印刷法に り形成した未焼結の厚膜印刷層であっても い。また、セラミック粉末には上述した絶 体材料のほか、フェライトなどの磁性体材 、チタン酸バリウムなどの誘電体材料を使 することもできる。

 また、基板用セラミックグリーンシート しては、1050℃以下の温度で焼結する低温焼 結セラミックグリーンシートを用いることが 好ましい。そして、そのためには、上述した ガラス粉末として、750℃以下の軟化点を有す るものを用いることが望ましい。

(2)拘束層
本発明のセラミック成形体の製造方法におい て、拘束層は、
(a)基材層を構成する低温焼結セラミック材料 が焼結するまでは、すなわち、低酸素雰囲気 において焼成を行う第1焼成工程では、基材 の収縮を抑制する拘束層本来の機能を果た 、
(b)その後の、第1焼成工程よりも酸素分圧の い条件で焼成を行う第2焼成工程では焼失す
という2つの性質を備えていることが必要で る。

上記の性質を備えた拘束層として、本発明 では、低酸素雰囲気で焼成した場合には焼失 しないが、低酸素雰囲気よりも酸素分圧を高 くして焼成した場合には焼失する焼失材料と 、基材層の焼結温度では焼結しないセラミッ ク粉末とを主たる成分として含有するものを 用いる。

この拘束層の好ましい例としては、上述の焼 失材料としてカーボン粉末を含み、基材層の 焼結温度では焼結しないセラミック粉末とし てアルミナ粉末を含むものが例示される。
具体的には、上記基板用セラミックグリーン シートの焼成温度では実質的に焼結しないア ルミナ粉末などのセラミック粉末とカーボン 粉末の混合粉末を有機バインダ、有機溶剤、 可塑剤などからなる有機ピヒクル中に分散さ せてスラリーを調製し、得られたスラリーを シート状に成形して、拘束層用セラミックグ リーンシートを作製し、これを必要に応じて 積層して拘束層とする。

アルミナ粉末は、性状や特性の安定した粉末 を得ることが容易で、基材層の焼結温度では 焼結せず、拘束力を発揮するセラミック粉末 として、望ましい条件を備えている。
なお、アルミナ粉末とカーボン粉末を用いた 拘束層用セラミックグリーンシートの焼結温 度は1400~1600℃であり、基板用セラミックグリ ーンシートの焼結温度では実質的に焼結する ことはない。 
なお、この拘束層も、上述の拘束層用セラミ ックグリーンシート一枚で構成してもよいが 、複数枚の拘束層用セラミックグリーンシー トを積層することにより構成してもよい。 

セラミック粉末としては平均粒径が0.1~5.0μ mのものを用いることが好ましい。セラミッ 粉末の平均粒径が0.1μm未満であると、基材 であるセラミック層の表層近傍に含有して るガラスと焼成中に激しく反応して、焼成 にセラミック層と拘束層が密着し、焼成後 拘束層の除去ができなくなったり、小粒径 ためにシート中のバインダなどの有機成分 焼成工程で分解飛散しにくく、基材層中に ラミネーションが発生したりする場合があ 。他方、5.0μmを超えると焼成収縮の抑制力 低下し、基材層が必要以上に平面方向(xy方 )に収縮したりうねったりし易くなる。

なお、拘束層を構成するセラミック粉末は 、基材層の焼成工程で実質的に焼結しないセ ラミック粉末であればよく、アルミナの他に も、ジルコニアやマグネシアなどの種々のセ ラミック粉末を使用することが可能である。 ただし、基材層の表層領域にガラスを多く存 在させるためには、基材層と拘束層がある程 度の親和性を有し、基材層の表層と拘束層の 接触している境界で、基材層の表層のガラス が拘束層を適度に濡らすことが望ましい。そ して、そのためには、拘束層を構成するセラ ミック粉末として、基材層を構成するセラミ ック粉末と同種のセラミック粉末を用いるこ とが好ましい。 

また、焼失材料としてのカーボン粉末は大 気中でも燃焼速度が遅く、酸素分圧によって は基材層の焼成温度域でも消失することがな いため、無収縮焼成用の拘束層材料として使 用することが可能である。したがって、カー ボン粉末は、焼成工程で基材層の収縮が終了 する時点まで(すなわち、第1焼成工程が終了 るまで)は焼失せず拘束機能を維持し、収縮 終了後には燃焼、消失させることができる。 そして、カーボン粉末を燃焼させて消失させ ることにより、残留するセラミックを主たる 成分とする拘束層中にポアを生じさせて、拘 束層を崩壊しやすく、除去しやすい状態とす ることができる。また、カーボン粉末の粒径 を適当に選択することにより、拘束層用のセ ラミック粉末の粒径を小さくしても、平均比 表面積の増大を抑制することが可能になり、 拘束層の構成材料全体としての平均比表面積 の増大を抑制することができる。 

そして、そのためには、カーボン粉末として 、拘束層に使用するアルミナなどのセラミッ ク粉末よりも粒径が大きく、かつ粒径が2~20μ mの範囲にあるものを用いることが好ましい  
カーボン粉末の粒径がセラミック粉末の粒径 より小さく、かつ、2μm未満になると、使用 る有機バインダの量が、拘束層をセラミッ 粉末とバインダのみで構成した従来の場合( ーボン粉末を含有させない場合)よりも多く なって脱バインダ工程に要する時間が長くな り、また、カーボン粉末の比表面積が大きく なって、基材層の収縮が終了する前に燃焼・ 消失して拘束力の低下を招くため好ましくな い。 
また、カーボン粉末の粒径が20μmを超えると 束層の表面の平滑性が悪くなり、基材層(基 板)の表面にその凹凸が転写されてしまうた 好ましくない。 
また、拘束層中のカーボン粉末の割合は10~50v ol%の範囲とすることが好ましい。これは、カ ーボン粉末の割合が10vol%より少ないと拘束層 の除去を容易にする効果が小さく、50vol%より 多いと焼成工程における拘束力が低下するこ とによる。 

すなわち、拘束層の基本的な拘束力は、粒 径の小さいアルミナ粉末などのセラミック粉 末によって確保される一方、カーボン粉末は 基材層の収縮が終了するまで拘束層中に無機 材料として存在するため、収縮終了時まで拘 束層が緻密に保たれ、拘束力が低下すること はない。そして、収縮終了後にカーボンを焼 失させることにより拘束層中にポアが生じる ため、セラミック粉末として粒径の小さいも のが用いられている場合にも、焼成後の拘束 層はポーラスになり、除去することが容易に なる。また、セラミック粉末よりも粒径の大 きいカーボン粉末を用いることにより平均比 表面積が小さくなり、粒径の小さいセラミッ ク粉末を使用した場合にも、使用する有機バ インダ量を少なくすることが可能になり、脱 バインダ工程を速やかに終了させることがで きる。 

また、拘束層の厚みは25~500μmであることが 好ましい。これは、厚みが25μm未満になると 焼成収縮の抑制力が小さくなって基板が必 以上に平面方向(xy方向)に収縮したり、うね ったりする場合があり、また、500μmを超える と、基板用セラミックグリーンシート中のバ インダなどの有機成分が焼成中に分解、飛散 しにくくなり、基板中にデラミネーションが 発生するなどの問題が生じる場合があること による。 

(3)基材層に形成する導体およびそれに用いる 導電材料について 
基材層には、未焼成の段階で、ビアホール導 体、スルーホール導体、外部導体および内部 導体となる導体パターンなどが形成されるが 、それに用いられる導電材料としては、低抵 抗で難酸化性材料の金属材料(例えば、Ag)を 成分とするものを用いることが好ましい。 
ただし、導電材料としては、他の材料を用い ることも可能であり、例えば、Ag-Pd、Au、Ptな どを用いることもできる。 

また、セラミックとの接合強度が必要な場合 には、導電材料にAl 2 O 3 などの添加物を1種類以上添加することも可 である。 
また、上記の主成分(導電材料)に対して、所 の割合で有機ビヒクルを加え、撹拌、混練 ることにより導体性ペーストを作製し、こ を用いてビアホール導体、スルーホール導 、外部導体および内部導体となる導体パタ ンなどを形成することができる。 
ただし、導電性ペーストを構成する主成分、 添加成分、有機ビヒクルなどの種類や配合割 合には特別の制約はない。 

また、有機ビヒクルは、バインダ樹脂と溶剤 を混合したものであり、バインダ樹脂として は、例えばエチルセルロース、アクリル樹脂 、ポリビニルブチラール、メタクリル樹脂な どを使用することが可能である。また、溶剤 としては、例えばターピネオール、ジヒドロ ターピネオール、ジヒドロターピネオールア セテート、ブチルカルビトール、ブチルカル ビトールアセテート、アルコール類などを使 用することが可能である。さらに、必要に応 じて、各種の分散剤、可塑剤、活性剤などを 添加してもよい。 
また、導体性ペーストの粘度は、印刷性を考 慮して、50~700Pa・sとすることが望ましい。 
さらに、基材層の表面の導体パターンには、 上下の層間の導体パターンどうしを接続する ためのビアホール導体やスルーホール導体な どの貫通導体が表面に露出した部分も含まれ る。これら貫通導体は、パンチング加工など によりガラスセラミックグリーンシートに形 成した貫通孔に、上記ペーストを印刷により 埋め込むなどの方法によって形成することが できる。 

(4)脱バインダ工程 
脱バインダ工程は、通常、大気中で室温から バインダの分解または燃焼温度まで昇温し、 一定時間保持することにより実施する。 
例えば、大気中で、室温から400℃に昇温し、 60分間保持することにより脱バインダを行う とができる。 

なお、本発明のセラミック成形体の製造方 法において、脱バインダ工程は、大気中など の酸素分圧の高い雰囲気中で行うことが、高 い効率を得る上で望ましい。ただし、大気よ りも酸素分圧が低い条件下でも脱バインダを 行うことが可能であり、場合によっては、大 気よりもかなり酸素分圧の低い低酸素雰囲気 で行うことも可能である。 

(5)焼成条件 
(a)第1焼成工程は、脱バインダ工程後に窒素 導入して基材層の焼結温度、例えば、400℃ ら950℃まで昇温することにより行う。 
本発明において、第1焼成工程における低酸 雰囲気とは大気よりも酸素分圧が低い雰囲 を指すが、特に酸素分圧を10 -3 ~10 -6 atmとした場合、拘束層中のカーボン粉末など の焼失材料が焼失することなく、確実に基材 層を拘束することができるため好ましい。 
(b)第2焼成工程は、第1焼成工程より酸素分圧 高い条件で実施し、拘束層中の焼失材料を 失させて、その後の拘束層の除去性を向上 せる。 
例えば、第1焼成工程の終了後に、大気を導 して、常圧下、酸素分圧0.21atm、950℃の条件 で10分間保持して、拘束層中のカーボンを 失させる。 

なお、第1焼成工程と、第2焼成工程は、上 のように同じ焼成温度で実施してもよいが 第1焼成工程と第2焼成工程における温度を ならせることも可能である。また、第1焼成 程と、第2焼成工程とは連続して行ってもよ く、また、第1焼成工程を行った後、一旦炉 ら取り出し、再度炉に入れて第2焼成工程を ってもよい。 

以下に本発明の実施例を示して、本発明の 特徴とするところをさらに詳しく説明する。

図1は、本発明の実施例(実施例1)にかかる ラミック基板の製造方法により製造された ラミック基板(多層セラミック基板)を示す図 、図2は、図1のセラミック基板に実装部品を 載した状態を示す図、図3は、図1および図2 セラミック基板を製造する工程で作製した 拘束層を備えた未焼成積層体を示す図であ 。 

図1に示すセラミック基板Aは、セラミック 末とガラス材料とを含有する低温焼結セラ ック原料組成物を焼成してなる絶縁性セラ ック層1と、絶縁性セラミック層1に配設さ た導体部2とを備えている。なお、この実施 1のセラミック基板Aは、絶縁性セラミック 1が複数枚積層された複数層構造を有する多 基板となっている。 

絶縁性セラミック層1を構成する低温焼結 ラミック組成物としては、アルミナ系のセ ミック粉末と、ホウケイ酸ガラス系のガラ 粉末を配合した低温焼結セラミック組成物 用いられている。

また、導体部2は、セラミック基板Aの表面 位置する表面導体(外部導体)21、互いに接合 された複数の絶縁性セラミック層1,1の間に配 設された層間導体(内部導体)22と、層間導体22 どうし、あるいは、表面導体21と層間導体22 を接続するビアホール導体23とから構成され ている。 

表面導体21,層間導体22は、導電性ペースト( 例えば、銀系導電性ペースト)を印刷するこ により形成した外部導体膜および内部導体 を焼成することにより形成されている。ま 、ビアホール導体23は、例えば、貫通孔に導 電性ペーストや導体粉末を充填し、焼成する ことによって形成されている。 

また、図2の電子部品を搭載したセラミッ 基板(多層セラミック基板)Bは、図1のセラミ ク基板(多層セラミック基板)Aに半導体素子 チップコンデンサなどの実装電子部品3a,3b 配設することにより形成されている。 

次に、この多層セラミック基板AおよびBの 造方法について説明する。 

以下、図1~図3を参照しつつ、説明を行う。 
(1)まず、セラミック粉末とガラス材料とを混 合した混合粉末に、バインダ、分散剤、可塑 剤および有機溶剤などを各々適量添加し、こ れらを混合することにより、セラミックスラ リーを作製した。 

(2)次いで、このセラミックスラリーをドクタ ーブレード法などの方法によってシート状に 成形し、基板用セラミックグリーンシート1a( 図3)を作製した。 
なお、ここでは、 
(a)ガラス粉末として、CaOを43重量%、SiO 2 を44重量%、Al 2 O 3 を7重量%、B 2 O 3 を6重量%の割合で含有する組成のガラス粉末5 0重量%と、 
(b)セラミック粉末として、Al 2 O 3 粉末50重量%と、 
を混合し、この混合物を有機溶剤、可塑剤な どからなる有機ビヒクル中に分散させてスラ リーを調製した。
それからこのスラリーをドクターブレード法 やキャスティング法でシート状に成形するこ とにより、基板用セラミックグリーンシート を作製した。なお、この基板用セラミックグ リーンシートの焼結温度は1050℃以下である  

(3)次いで、得られた基板用セラミックグリ ーンシート1aに、必要に応じて、ビアホール 体を形成するための貫通孔12(図3)を形成し この貫通孔12に、導電性ペーストまたは導体 粉末を充填することにより未焼結のビアホー ル導体23a(図3)を形成した(なお、この実施例1 は、貫通孔12にAgを導電成分とする導電性ペ ーストを充填した)。 

(4)また、基板用セラミックグリーンシート 1a上に、必要に応じて、例えば、銀系導電性 ーストを印刷することにより、未焼結の外 導体21a、内部導体22aを形成した(図3参照)。

(5)また、拘束層を形成するための拘束層用セ ラミックグリーンシートを以下の手順で作製 した。まず、上記基板用セラミックグリーン シートの焼成温度では実質的に焼結しないセ ラミック粉末(この実施例1ではアルミナ粉末) とカーボン粉末の混合粉末を有機バインダ、 有機溶剤、可塑剤などからなる有機ピヒクル 中に分散させてスラリーを調製した。 
そして、得られたスラリーをシート状に成形 して、拘束層用セラミックグリーンシートを 作製した。 
なお、この実施例1では、スラリー中のカー ン粉末の割合を20vol%とした。また、セラミ ク粉末として平均粒径が1μmのアルミナ粉末 用い、カーボン粉末として平均粒径が3μmの カーボン粉末を使用した。 
この拘束層用セラミックグリーンシートの焼 結温度は、1400~1600℃であり、基板用セラミッ クグリーンシートの焼結温度では実質的に焼 結しないものである。 
お、この実施例1では、十分な拘束力を確保 ることができるように、拘束層セラミック リーンシートの厚みを300μmとした。 

6)次に、図3に示すように、複数の基板用セラ ミックグリーンシート1aを所定の順序に積層 るとともに、拘束層31を、基板用セラミッ グリーンシート1aを積層することにより形成 される複数層構造を有する基材層(未焼成の ラミック基板)A'の両主面に配置して積層し 静水圧プレスなどの方法により、例えば、5~ 200MPaの圧力でプレスして圧着した。これによ って、基材層(未焼成のセラミック基板)A'の 下両側に、拘束層31が配設された構造を有す る未焼成積層体32を作製した(図3参照)。 
の実施例1では、基材層(未焼成のセラミック 板)A'の厚みが300μm、拘束層31の厚みが300μm なるようにした。 
なお、必要に応じて、この未焼成積層体32を 当な大きさに切断してもよい。 
また、この実施例1では複数の基板用セラミ クグリーンシート1aを積層して、複数層構造 の基材層A'を作製するようにしているが、基 用セラミックグリーンシート1aの枚数を一 として、単層構造の基材層を作製し、単板 のセラミック基板を製造することも可能で る。 
また、この実施例1では基材層(未焼成のセラ ック基板)A'の上下両側に拘束層31を配設す ようにしているが、拘束層31は基材層(未焼 のセラミック基板)A'の一方主面にのみ配設 るように構成することも可能である。 
また、拘束層31は拘束層用セラミックグリー シートを複数枚積層することにより形成し もよく、また、一枚の拘束層用セラミック リーンシートから形成してもよい。 

(7)次に、この未焼成積層体32を、大気中で、 温の脱脂温度(例えば、400℃程度の温度)で 処理を行いバインダなどの有機物を除去し 。 
その後、基材層(未焼成のセラミック基板)A' 焼結するが、拘束層31を構成するセラミック 粉末は焼結せず、かつ、拘束層31を構成する 失材料が焼失しない条件、すなわち、この 施例1では、酸素濃度1vol%以下の低酸素雰囲 中で850~950℃に昇温して焼成し、基材層(未 成のセラミック基板)A'を焼結させた(第1焼成 工程)。 
このとき、拘束層3を構成するセラミック粉 は焼結せず、かつ、カーボン粉末も焼失せ に残るので、拘束層31は基材層A'の平面方向 収縮を抑制する機能を十分に果たす。 

(8)その後、第1焼成工程より酸素分圧の高 条件(この実施例1では酸素濃度10vol%)で焼成 行い(第2焼成工程)、拘束層31を構成する焼失 材料であるカーボン粉末を焼失させた。これ により、拘束層中のカーボン粉末が焼失した 部分にポアが形成され、拘束層がポーラスで 除去の容易な状態となる。 

(9)それから、ポーラスな状態の拘束層31を 去することにより、図1に示すような構造を 有するセラミック基板Aを得た。 

なお、この実施例1の方法によれば、焼成後 複合積層体において、拘束層は実質的に焼 しておらず、また、焼成前に含まれていた ーボン粉末が焼失し、ポーラスな状態とな ているため、従来の焼失材料(この実施例1に おけるカーボン粉末)を含まないセラミック 末とバインダからなる拘束層を用いた場合 比べて、例えば、サンドブラスト法やウェ トブラスト法を用いる場合の吐出圧力を低 することが可能になるとともに、拘束層の 去に要する時間を短くすることが可能にな 。 
その結果、基板表面及び電極表面の平滑性を 損なうことなく拘束層の除去を行って、寸法 精度の高いセラミック成形体を、歩留まりよ く製造することができる。 

上記実施例1により、拘束力の高い、セラ ック粉末(実施例1ではアルミナ粉末)を用い 、収縮抑制用の拘束層を構成した場合にも カーボン粉末を配合することにより、拘束 を確保しつつ、焼成後における拘束層の除 容易性を確保できることが確認された。 

また、副次効果として、カーボン粉末を混 合することにより、拘束層用グリーンシート が着色され、基板用セラミックグリーンシー トとの区別が容易になり、両者を取り違える ミスを防止して、製造工程の信頼性を向上さ せることができるという効果が得られる。な お、通常、セラミックグリーンシートを着色 する場合、遷移金属元素を用いることが多く 、基材層側に拡散して、基材が着色されてし まうことになるが、本発明によれば、基材層 が着色されることはなく、外観品質が劣化す ることはない。 

なお、上記実施例1では、セラミック成形 としてセラミック基板を製造する場合を例 とって説明したが、本発明は、セラミック 板に限らず、セラミックコイル部品、セラ ックLC複合部品などのセラミック電子部品を はじめとする種々のセラミック成形体の製造 方法に適用することが可能である。 

本発明はさらにその他の点においても、上 記実施例1に限定されるものではなく、基材 を構成するセラミック粉末およびガラス材 の具体的な種類や配合割合、拘束層を構成 る焼失材料及びセラミック粉末の具体的な 類、第1および第2の焼成工程における具体的 な条件、脱バインダ工程における処理条件な どに関し、発明の範囲内において、種々の応 用、変形を加えることができる。

上述のように、本発明によれば、焼成工程に おける収縮抑制効果を十分に確保しつつ、焼 成工程の終了後に拘束層を容易に除去するこ とが可能で、拘束層の除去工程においてセラ ミック成形体にダメージを与えることなく、 寸法精度の高いセラミック成形体を確実に、 しかも効率よく製造することが可能になる。  
したがって、本発明は、焼成工程を経て製造 されるセラミック成形体の製造分野に広く利 用することが可能である。