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Title:
PROCESS FOR PRODUCING FLAME RETARDANT SILANE-CROSSLINKED OLEFIN RESIN, ELECTRIC INSULATED WIRE, AND PROCESS FOR MANUFACTURING ELECTRIC INSULATED WIRE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/146921
Kind Code:
A1
Abstract:
A process for producing a flame retardant silane-crosslinked olefin resin excelling in extrudate appearance; an electric insulated wire; and a process for manufacturing an electric insulated wire. The resin production process comprises blending together a silane graft batch consisting of a silane-grafted olefin resin obtained by graft polymerization of a silane coupling agent to an olefin resin, a flame retarder batch obtained by adding a flame retarder of metal hydroxide to an olefin resin and a catalyst batch obtained by adding a silane crosslinking catalyst to an olefin resin, molding the blend and carrying out water crosslinking thereof. Preferably, the weight ratio of flame retarder batch to silane graft batch is in the range of 60/40 to 90/10, and the amount of catalyst batch per 100 parts by weight of the sum of silane graft batch and flame retarder batch is in the range of 3 to 10 parts by weight. The electric insulated wire is produced by coating the circumference of a conductor with the thus produced flame retardant silane-crosslinked olefin resin.

Inventors:
INAGAKI TOMONORI (JP)
YOSHIMURA MASANOBU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/060051
Publication Date:
December 04, 2008
Filing Date:
May 30, 2008
Export Citation:
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Assignee:
AUTONETWORKS TECHNOLOGIES LTD (JP)
SUMITOMO WIRING SYSTEMS (JP)
SUMITOMO ELECTRIC INDUSTRIES (JP)
INAGAKI TOMONORI (JP)
YOSHIMURA MASANOBU (JP)
International Classes:
C08L51/06; C08J3/24; C08K3/20; C08L23/00; H01B3/44; H01B7/295; H01B13/14
Foreign References:
JP2000212291A2000-08-02
JPS60101129A1985-06-05
JPS60147463A1985-08-03
JP2003522267A2003-07-22
Attorney, Agent or Firm:
UENO, Noboru (21-23 Sakae 3-chom, Naka-ku Nagoya-shi Aichi 08, JP)
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Claims:
 オレフィン系樹脂にシランカップリング剤をグラフト重合させたシラングラフトオレフィン系樹脂よりなるシラングラフトバッチと、
 オレフィン系樹脂に金属水酸化物よりなる難燃剤を配合してなる難燃剤バッチと、
 オレフィン系樹脂にシラン架橋触媒を配合してなる触媒バッチとを混練し、成形した後、水架橋することを特徴とする難燃性シラン架橋オレフィン系樹脂の製造方法。
 前記シラングラフトバッチに対する前記難燃剤バッチの重量比は、60/40~90/10の範囲内にあり、
 前記触媒バッチは、前記シラングラフトバッチと前記難燃剤バッチとを合わせた成分100重量部に対して、3~10重量部の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の難燃性シラン架橋オレフィン系樹脂の製造方法。
 前記シラングラフトバッチは、オレフィン系樹脂100重量部に、シランカップリング剤0.5~5重量部と、遊離ラジカル発生剤0.025~0.1重量部とを加熱混合してなり、
 前記難燃剤バッチは、オレフィン系樹脂100重量部に、金属水酸化物100~500重量部を配合してなり、
 前記触媒バッチは、オレフィン系樹脂100重量部に、シラン架橋触媒0.5~5重量部を配合してなることを特徴とする請求項1または2に記載の難燃性シラン架橋オレフィン系樹脂の製造方法。
 請求項1から3のいずれかに記載の方法により製造された難燃性シラン架橋オレフィン系樹脂を導体の外周に被覆してなることを特徴とする絶縁電線。
 オレフィン系樹脂にシランカップリング剤をグラフト重合させたシラングラフトオレフィン系樹脂よりなるシラングラフトバッチと、
 オレフィン系樹脂に金属水酸化物よりなる難燃剤を配合してなる難燃剤バッチと、
 オレフィン系樹脂にシラン架橋触媒を配合してなる触媒バッチとを混練し、導体の外周に押出被覆した後、水架橋することを特徴とする絶縁電線の製造方法。
Description:
難燃性シラン架橋オレフィン系 脂の製造方法および絶縁電線ならびに絶縁 線の製造方法

 本発明は、難燃性シラン架橋オレフィン 樹脂の製造方法および絶縁電線ならびに絶 電線の製造方法に関し、さらに詳しくは、 動車、電気・電子機器等に配線される絶縁 線の被覆材として好適に用いられる難燃性 ラン架橋オレフィン系樹脂の製造方法およ 絶縁電線ならびに絶縁電線の製造方法に関 るものである。

 従来、自動車部品などの車両部品、電気 電子機器部品などの配線に用いられる絶縁 線としては、一般に、導体の外周に、ハロ ン系難燃剤を添加した塩化ビニル樹脂組成 を被覆したものが広く用いられてきた。

 しかしながら、この種の塩化ビニル樹脂 成物は、ハロゲン元素を含有しているため 車両の火災時や電気・電子機器の焼却廃棄 などの燃焼時に有害なハロゲン系ガスを大 中に放出し、環境汚染の原因になるという 題があった。

 そのため、地球環境への負荷を抑制する どの観点から、近年では、ポリエチレンな のオレフィン系樹脂を含有するオレフィン 樹脂組成物への代替が進められている。こ オレフィン系樹脂は燃えやすいことから、 分な難燃性を確保するため、オレフィン系 脂組成物には、難燃剤として、水酸化マグ シウムなどの金属水酸化物が添加されてい 。

 このような絶縁電線が、例えば、自動車 どでの高温雰囲気の環境下で使用される場 には、耐熱性が要求される。絶縁電線の耐 性を向上させるためには、絶縁電線の絶縁 に架橋処理を施されることが多い。

 上記架橋処理の方法としては、例えば、 子線照射架橋法、化学架橋法、水架橋法な が知られている。このうち、電子線照射架 法及び化学架橋法は、高価で大型な特殊架 設備等が必要であり、コストが増大すると った難点があった。そこで、近年では、こ ような難点がなく、簡便に架橋することが 能な水架橋法が広く用いられている。

 例えば、特開2000-1578号公報には、オレフ ン系樹脂に金属水酸化物、シランカップリ グ剤、架橋剤、シロキサン縮合触媒などを 括混練してコンパウンドを形成して加熱成 する難燃性シラン架橋ポリオレフィン組成 の製造方法が開示されている。

 また、特許第3457560号公報には、オレフィ ン系樹脂にシランカップリング剤をグラフト 重合させたコンパウンドに金属水酸化物を配 合してなるA成分と、オレフィン系樹脂に架 触媒、架橋剤を配合してなるB成分とを混練 熱架橋して成形する難燃性シラン架橋ポリ レフィン組成物の製造方法が開示されてい 。

 しかしながら、特開2000-1578号公報の方法 、オレフィン系樹脂に金属水酸化物とシラ カップリング剤とを同時に配合したコンパ ンドを形成している。そのため、金属水酸 物中の水分がシランカップリング剤と反応 てシランカップリング剤が加水分解し、シ ンカップリング剤のグラフト反応が阻害さ る。この際、加水分解により生成したゲル 物質が成形品の表面に現れ、凹凸を形成し 、外観が悪くなるという問題があった。

 また、特許第3457560号公報の方法では、オ レフィン系樹脂にシランカップリング剤をグ ラフト重合させたコンパウンドを含むA成分 、金属水酸化物を配合している。このとき A成分中に金属水酸化物を分散させるために 、これらを加熱混合する。そのため、A成分 とB成分とを混練加熱する前において、A成分 調製する際に、金属水酸化物中の水分が、 レフィン系樹脂にグラフトされているシラ カップリング剤と反応して、シランカップ ング剤が加水分解される。これにより、ゲ 状物質が生成して成形品の表面に現れ、凹 を形成して押出外観が悪くなるという問題 あった。

 本発明が解決しようとする課題は、押出 観に優れる難燃性シラン架橋オレフィン系 脂の製造方法および絶縁電線ならびに絶縁 線の製造方法を提供することにある。

 上記課題を解決するために本発明に係る 燃性シラン架橋オレフィン系樹脂の製造方 は、オレフィン系樹脂にシランカップリン 剤をグラフト重合させたシラングラフトオ フィン系樹脂よりなるシラングラフトバッ と、オレフィン系樹脂に金属水酸化物より る難燃剤を配合してなる難燃剤バッチと、 レフィン系樹脂にシラン架橋触媒を配合し なる触媒バッチとを混練し、成形した後、 架橋することを要旨とするものである。

 この場合、前記シラングラフトバッチに する前記難燃剤バッチの重量比は、60/40~90/1 0の範囲内にあり、前記触媒バッチは、前記 ラングラフトバッチと前記難燃剤バッチと 合わせた成分100重量部に対して、3~10重量部 範囲内にあることが望ましい。

 そして、前記シラングラフトバッチは、 レフィン系樹脂100重量部に、シランカップ ング剤0.5~5重量部と、遊離ラジカル発生剤0. 025~0.1重量部とを加熱混合してなり、前記難 剤バッチは、オレフィン系樹脂100重量部に 金属水酸化物100~500重量部を配合してなり、 記触媒バッチは、オレフィン系樹脂100重量 に、シラン架橋触媒0.5~5重量部を配合して ることが望ましい。

 一方、本発明に係る絶縁電線は、上記方 により製造された難燃性シラン架橋オレフ ン系樹脂を導体の外周に被覆してなること 要旨とするものである。

 さらに、本発明に係る絶縁電線の製造方 は、オレフィン系樹脂にシランカップリン 剤をグラフト重合させたシラングラフトオ フィン系樹脂よりなるシラングラフトバッ と、オレフィン系樹脂に金属水酸化物より る難燃剤を配合してなる難燃剤バッチと、 レフィン系樹脂にシラン架橋触媒を配合し なる触媒バッチとを混練し、導体の外周に 出被覆した後、水架橋することを要旨とす ものである。

 本発明に係る難燃性シラン架橋オレフィ 系樹脂の製造方法は、難燃剤を含んでいな オレフィン系樹脂にシランカップリング剤 配合してシランカップリング剤をグラフト 合させている。そのため、シランカップリ グ剤のグラフト反応は十分に進行し、難燃 に含まれる水分によりシランカップリング が加水分解されてグラフト反応が阻害され のを回避することができる。これにより、 ランカップリング剤の加水分解に起因する ル状物質の発生は抑えられ、成形品の押出 観に優れる。

 また、成形前にシラングラフトバッチに 燃剤を配合するのではなく、成形の際に、 ラングラフトバッチと、難燃剤バッチと、 媒バッチとを混練するので、成形前にシラ グラフトバッチにおいて、オレフィン系樹 にグラフトされているシランカップリング が加水分解されるのを回避することができ 。これにより、シランカップリング剤の加 分解に起因するゲル状物質の発生は抑えら 、成形品の押出外観に優れる。

 この場合、シラングラフトバッチ、難燃 バッチ、および触媒バッチが、上記組成お び配合比よりなると、確実に、押出外観に れる。

 また、シラングラフトバッチと、難燃剤 ッチと、触媒バッチの混合重量比が上記範 内にあると、押出外観に一層優れる。

 一方、本発明に係る絶縁電線は、上記難 性シラン架橋オレフィン系樹脂が、導体の 周に被覆されてなる。そのため、押出外観 優れる。

 さらに、本発明に係る絶縁電線の製造方 は、上記シラングラフトバッチと、上記難 剤バッチと、上記触媒バッチとを別々に調 し、調製された各バッチを混練し、導体の 周に押出被覆した後、水架橋するものであ 。そのため、押出外観に優れる。

 次に、本発明の実施形態について詳細に 明する。

 本発明に係る難燃性シラン架橋オレフィ 系樹脂の製造方法は、オレフィン系樹脂に ランカップリング剤をグラフト重合させた ラングラフトオレフィン系樹脂よりなるシ ングラフトバッチと、オレフィン系樹脂に 属水酸化物よりなる難燃剤を配合してなる 燃剤バッチと、オレフィン系樹脂にシラン 橋触媒を配合してなる触媒バッチとを混練 、成形した後、水架橋するようにしたもの ある。

 シラングラフトバッチと、難燃剤バッチ 、触媒バッチは、それぞれ成形前に別々に 製される。調製された各バッチは、それぞ ペレット状に押出される。成形前ではシラ グラフトバッチと、難燃剤バッチと、触媒 ッチの3つの成分に分けておき、成形工程で 3成分をはじめて混練する。すなわち、最終 成形工程ではじめて、シラングラフトバッ のシラングラフトオレフィン系樹脂が、難 剤バッチの金属水酸化物と混練されること なる。

 3成分を混練するには、バンバリミキサー 、加圧ニーダー、混練押出機、二軸押出機、 ロールなどの通常の混練機を用いることがで きる。混練前には、通常のタンブラーなどで ドライブレンドすることもできる。混練時の 加熱温度は、樹脂が流動する温度であれば良 く、通常実施される加熱温度、例えば、100~25 0℃の範囲内であれば良い。混練時間は、0.1~1 5分間の範囲内で行なわれる。

 3成分を混練して得られた組成物を、混練 後すぐに成形して、成形後に水架橋する。水 架橋するには、成形体を水蒸気あるいは水に さらすことにより行なうと良い。このとき、 常温~90℃の温度範囲内で、48時間の範囲内で なうことが好ましい。より好ましくは、温 が60~80℃の範囲内であり、12~24時間の範囲内 である。

 水架橋により得られるオレフィン系樹脂 架橋度は、耐熱性の観点から、50%以上であ ことが好ましい。すなわち、ゲル分率が50% 上であることが好ましい。より好ましくは 60%以上である。架橋度は、オレフィン系樹 へのシランカップリング剤のグラフト量や シラン架橋触媒の種類や量、水架橋条件(温 度や時間)などにより調整することができる

 混練において、シラングラフトバッチと 燃剤バッチの混合重量比は、難燃剤バッチ/ シラングラフトバッチ比で、60/40~90/10の範囲 にあることが好ましい。より好ましくは、6 0/40~70/30の範囲内である。シラングラフトバ チの量が10重量%未満では、水架橋させたと の架橋度が低くなりやすく、耐熱性が低下 やすい。一方、難燃剤バッチが60重量%未満 は、難燃性が低下しやすい。

 また、触媒バッチの配合量は、シラング フトバッチと難燃剤バッチとを合わせた成 100重量部に対して、3~10重量部の範囲内にあ ることが好ましい。より好ましくは、5~8重量 部の範囲内である。触媒バッチの量が3重量 未満では、水架橋させたときの架橋度が低 なりやすく、耐熱性が低下しやすい。一方 触媒バッチの量が10重量部を超えると、架橋 が進みすぎ、ゲル化が起こり製品に凹凸が発 生する。

 シラングラフトバッチは、シラングラフ オレフィン系樹脂よりなり、シラングラフ オレフィン系樹脂は、オレフィン系樹脂に ランカップリング剤をグラフト重合させた のである。シラングラフトオレフィン系樹 を形成するには、例えば、オレフィン系樹 にシランカップリング剤と遊離ラジカル発 剤とを添加し、押出機などを用いて加熱混 押出しながら、シランカップリング剤をオ フィン系樹脂にグラフト重合させる。加熱 度は、遊離ラジカル発生剤の分解温度以上 すれば良く、用いる遊離ラジカル発生剤の 類により、適宜定められる。

 シラングラフトバッチのオレフィン系樹 としては、ポリエチレン、ポリプロピレン どのポリオレフィンや、エチレン-αオレフ ン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体 、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、 チレン-メタクリル酸エステル共重合体など エチレン系共重合体、プロピレン-αオレフ ン共重合体、プロピレン-酢酸ビニル共重合 体、プロピレン-アクリル酸エステル共重合 、プロピレン-メタクリル酸エステル共重合 などのプロピレン系共重合体などを例示す ことができる。これらは、単独で用いても いし、併用しても良い。

 好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピ ン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレ ン-アクリル酸エステル共重合体、エチレン- タクリル酸エステル共重合体である。

 ポリエチレンとしては、高密度ポリエチ ン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度 リエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレ (LLDPE)、超低密度ポリエチレン、メタロセン 超低密度ポリエチレンなどを例示することが できる。これらは、単独で用いても良いし、 併用しても良い。好ましくは、メタロセン超 低密度ポリエチレンである。

 シラングラフトバッチのオレフィン系樹脂 密度としては、柔軟性に優れる観点から、0 .901g/cm 3 以下であることが好ましい。もっとも、密度 が低くなるにつれて樹脂の結晶化度が低くな るため、シラングラフト化された樹脂がガソ リンに対して膨潤するのを抑え、耐ガソリン 性が向上する観点から、0.880g/cm 3 以上であることが好ましい。

 したがって、シラングラフトバッチのオレ ィン系樹脂としては、密度が0.880~0.901g/cm 3 の範囲内にあるメタロセン超低密度ポリエチ レンが、特に好ましい。このようなメタロセ ン超低密度ポリエチレンを単独で用いても良 いし、このようなメタロセン超低密度ポリエ チレンの2種以上を併用しても良い。

 シランカップリング剤としては、例えば ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエ キシシラン、ビニルトリブトキシシランな のビニルアルコキシシランやノルマルヘキ ルトリメトキシシラン、ビニルアセトキシ ラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメト シシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチ ジメトキシシランなどを例示することがで る。これらは、1種または2種以上併用して 良い。

 シランカップリング剤の配合量は、オレ ィン系樹脂100重量部に対して、0.5~5重量部 範囲内であることが好ましい。より好まし は、3~5重量部の範囲内である。シランカッ リング剤の配合量が0.5重量部未満では、シ ンカップリング剤のグラフト量が少なく、 分な架橋度が得られにくい。一方、5重量部 超えると、混練時に架橋反応が進みすぎて ル状物質が発生しやすい。そうすると、製 表面に凹凸が発生しやすく、量産性が悪く りやすい。また、溶融粘度も高くなりすぎ 押出機に過負荷がかかり、作業性が悪化し すくなる。

 シランカップリング剤のグラフト量は、0 .1~5重量%の範囲内にあることが好ましい。ま 、架橋度は、50%以上であることが好ましい

 遊離ラジカル発生剤としては、ジクミル ーオキサイド(DCP)、ベンゾイルパーオキサ ド、ジクロロベンゾイルパーオキサイド、 -tert-ブチルパーオキサイド、ブチルパーア テート、tert-ブチルパーベンゾエート、2,5- メチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサ などの有機過酸化物などを例示することが きる。

 より好ましくは、ジクミルパーオキサイ (DCP)である。例えば、遊離ラジカル発生剤 ジクミルパーオキサイド(DCP)を用いる場合に は、シランカップリング剤をグラフト重合さ せるために、シラングラフトバッチを調製す る温度を200℃以上にすると良い。

 遊離ラジカル発生剤の配合量は、オレフ ン系樹脂100重量部に対して、0.025~0.1重量部 範囲内であることが好ましい。

 遊離ラジカル発生剤の量が0.025重量部未 であると、シランカップリング剤のグラフ 化反応が十分進行しにくく、所望のゲル分 が得られにくい。一方、遊離ラジカル発生 の量が0.1重量部を超えると、オレフィン系 脂の分子を切断する割合が多くなり、目的 しない過酸化物架橋が進行しやすい。そう ると、オレフィン系樹脂の架橋反応が進み ぎて、難燃剤バッチや触媒バッチと混練す 際に、製品表面に凹凸が発生しやすい。こ により、加工性や外観が悪化しやすくなる

 難燃剤バッチは、オレフィン系樹脂に金 水酸化物よりなる難燃剤を配合してなる。 燃剤バッチを形成するには、例えば、オレ ィン系樹脂に金属水酸化物を添加し、押出 などを用いて加熱混練する。

 難燃剤バッチには、必要に応じて、酸化 止剤、滑剤、加工助剤、着色剤、無機充填 、銅害防止剤などを適宜添加しても良い。 化防止剤を配合すると、さらに耐熱性が向 する。また、滑剤を配合すると、難燃剤の 合による加工性の低下を改善して、加工性 向上する。

 難燃剤バッチのオレフィン系樹脂としては 上記シラングラフトバッチのオレフィン系 脂の例として示したものと同様のものを用 ることができる。好ましくは、上記シラン ラフトバッチのオレフィン系樹脂と同種の のである。難燃剤バッチのオレフィン系樹 の密度は、0.880~0.901g/cm 3 の範囲内にあることが好ましい。

 難燃剤バッチには、耐ガソリン性を向上 せる観点から、融点が140℃以上のポリオレ ィンを含有させることができる。融点が140 以上のポリオレフィンとしては、ポリプロ レン系エラストマーなどが挙げられる。

 融点が140℃以上のポリオレフィンの配合 は、難燃剤バッチの樹脂成分100重量部に対 て、5~20重量部の範囲内にあることが好まし い。配合量が5重量部未満では、耐ガソリン の向上効果が低下しやすい。一方、配合量 20重量部を超えると、柔軟性が低下しやすい 。

 金属水酸化物としては、例えば、水酸化 グネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化 ルシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化バ ウムなどを例示することができる。より好 しくは、水酸化マグネシウム、水酸化アル ニウムである。

 金属水酸化物の配合量は、難燃剤バッチ 樹脂成分100重量部に対して、100~500重量部の 範囲内にあることが好ましい。100重量部未満 では、難燃効果が低下しやすく、一方、500重 量部を超えると、伸びが極端に低下する。

 酸化防止剤としては、フェノール系酸化 止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防 剤などを例示することができる。これらは 1種または2種以上併用しても良い。

 フェノール系酸化防止剤としては、例え 、テトラキス[メチレン-3-(3、5-ジ-t-ブチル-4 -ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン などを例示することができる。

 イオウ系酸化防止剤としては、例えば、 ンタエリスリトール-テトラキス-(β-ラウリ -チオプロピオネート)などを例示すること できる。

 酸化防止剤の配合量は、難燃剤バッチの 脂成分100重量部に対して、0.1~10重量部の範 内にあることが好ましい。より好ましくは 3~5重量部の範囲内である。0.1重量部未満で 、耐熱性を向上させる効果が低下しやすく 10重量部を超えると、酸化防止剤がブルー しやすくなる。

 滑剤としては、例えば、ステアリン酸、 肪酸アミドなどを例示することができる。

 滑剤の配合量は、難燃剤バッチの樹脂成 100重量部に対して、0.1~10重量部の範囲内に ることが好ましい。より好ましくは、0.5~3 量部の範囲内である。0.1重量部未満では、 剤としての導体と絶縁体の密着力低減効果 発揮できない。一方、10重量部を超えると、 酸化防止剤がブルームしやすくなる。

 触媒バッチは、オレフィン系樹脂に、シ ングラフトバッチのシラングラフトオレフ ン系樹脂を架橋させるシラン架橋触媒を配 してなる。触媒バッチを形成するには、例 ば、オレフィン系樹脂にシラン架橋触媒を 加し、押出機などを用いて加熱混練する。

 触媒バッチのオレフィン系樹脂としては 上記シラングラフトバッチのオレフィン系 脂の例として示したものと同様のものを用 ることができる。触媒バッチのオレフィン 樹脂の密度は、特に限定されるものではな 。上記シラングラフトバッチのオレフィン 樹脂、上記難燃剤バッチのオレフィン系樹 と混合しやすいオレフィン系樹脂であれば い。

 具体的には、触媒バッチのオレフィン系 脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエ レン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、メタ ロセン系直鎖状低密度ポリエチレン、メタロ セン超低密度ポリエチレンなどを例示するこ とができる。これらは、単独で用いても良い し、併用しても良い。

 シラン架橋触媒は、シラングラフトバッ のシラングラフトオレフィン系樹脂をシラ 架橋させるシラノール縮合触媒である。例 ば、錫、亜鉛、鉄、鉛、コバルト等の金属 ルボン酸塩や、チタン酸エステル、有機塩 、無機酸、有機酸などを例示することがで る。

 具体的には、ジブチル錫ジラウレート、 ブチル錫ジマレート、ジブチル錫メルカプ ド(ジブチル錫ビスオクチルチオグリコール エステル塩、ジブチル錫β-メルカプトプロピ オン酸塩ポリマーなど)、ジブチル錫ジアセ ート、ジオクチル錫ジラウレート、酢酸第 錫、カプリル酸第一錫、ナフテン酸鉛、ナ テン酸コバルト、ステアリン酸バリウム、 テアリン酸カルシウム、チタン酸テトラブ ルエステル、チタン酸テトラノニルエステ 、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、ピリ ン、硫酸、塩酸、トルエンスルホン酸、酢 、ステアリン酸、マレイン酸などを例示す ことができる。好ましくは、ジブチル錫ジ ウレート、ジブチル錫ジマレート、ジブチ 錫メルカプチドである。

 シラン架橋触媒の量は、触媒バッチの樹 成分100重量部に対して、0.5~5重量部の範囲 にあることが好ましい。より好ましくは、1~ 5重量部の範囲内である。0.5重量部未満では 架橋度が低下しやすく、所望の耐熱性が得 れにくい。一方、5重量部を超えると、被覆 たオレフィン系樹脂の外観が悪くなりやす なる。

 次に、本発明に係る絶縁電線およびその 造方法について説明する。

 本発明に係る絶縁電線は、導体の外周に 記難燃性シラン架橋オレフィン系樹脂が被 されてなる。導体は、その導体径や導体の 質など、特に限定されるものではなく、用 に応じて適宜定めることができる。また、 縁被覆材の厚さについても、特に制限はな 、導体径などを考慮して適宜定めることが きる。

 本発明に係る絶縁電線において、被覆オ フィン系樹脂の架橋度は、耐熱性の観点か 、50%以上であることが好ましい。より好ま くは、60%以上である。架橋度は、オレフィ 系樹脂へのシランカップリング剤のグラフ 量や、架橋触媒の種類や量、水架橋条件(温 度や時間)などにより調整することができる

 本発明に係る絶縁電線を製造するには、 記シラングラフトバッチと、上記難燃剤バ チと、上記触媒バッチとを加熱混練し、導 の外周に押出被覆した後、水架橋すると良 。

 混練工程では、ペレット形状の各バッチ ミキサーや押出機などを用いてブレンドす 。被覆工程では、通常の押出成形機などを いて押出被覆などを行なうと良い。そして 被覆工程の後、架橋工程では、導体の外周 樹脂を被覆した電線の被覆樹脂を水蒸気あ いは水にさらすことにより行なうと良い。 のとき、常温~90℃の温度範囲内で、48時間 範囲内で行なうことが好ましい。より好ま くは、温度が60~80℃の範囲内であり、12~24時 の範囲内である。

 以下に本発明を実施例により具体的に説 するが、本発明はこれらによって限定され ものではない。

(供試材料および製造元など)
 本実施例および比較例において使用した供 材料を製造元、商品名などとともに示す。

・ポリエチレン<1>[デュポン ダウ エラ トマー ジャパン(株)製、商品名「エンゲー ジ 8003」]
・ポリエチレン<2>[日本ユニカー(株)製、 商品名「DFDJ7540」]
・ポリプロピレン系エラストマー(PP系エラス トマー)[日本ポリプロ(株)製、商品名「ニュ コムNAR6」]
・水酸化マグネシウム[協和化学(株)製、商品 名「キスマ5」]
・シランカップリング剤[東レダウコーニン (株)製、商品名「SZ6300」]
・ジクミルパーオキサイド(DCP)[日本油脂(株) 、商品名「パークミルD」]
・錫触媒(ジブチル錫ジラウレート)[(株)アデ 製、商品名「Mark BT-1」]

(実施例)
(シラングラフトバッチの調製)
 表1に示す配合重量比で、A成分を2軸押出混 機に加え、200℃で0.1~2分間加熱混練した後 レット化して、シラングラフトポリエチレ よりなるシラングラフトバッチを調製した

(難燃剤バッチの調製)
 表1に示す配合重量比で、B成分を2軸押出混 機に加え、200℃で0.1~2分間加熱混練した後 レット化して、難燃剤バッチを調製した。

(触媒バッチの調製)
 表1に示す配合重量比で、C成分を2軸押出混 機に加え、200℃で0.1~2分間加熱混練した後 レット化して、触媒バッチを調製した。

(絶縁電線の作製)
 表1に示すように、シラングラフトバッチ(A 分):難燃剤バッチ(B成分):触媒バッチ(C成分)= 30:70:5の配合重量比で、各バッチを押出機の ッパーで混合して押出機の温度を約180℃~200 に設定して、押出加工を行なう。外径2.4mm 導体上に厚さ0.7mmの絶縁体として押出被覆し た(被覆外径3.8mm)。その後、85℃90%湿度の高湿 高温槽で24時間水架橋処理を施して絶縁電線 作製した。

(比較例1~2)
 表1に示す配合重量比で、表1に示す各成分 、一括仕込みで2軸押出混練機に加え、200℃ 0.1~2分間加熱混練した後、実施例と同様に て、導体上に押出被覆し、水架橋処理を施 て各絶縁電線を作製した。

(比較例3)
(シラングラフトバッチの調製)
 表1に示す配合重量比で、表1に示すD成分の ち、ポリエチレン<1>と、ポリエチレン& lt;2>と、PP系エラストマーと、シランカッ リング剤と、DCPとを2軸押出混練機に加え、2 00℃で0.1~2分間加熱混練してシラングラフト リエチレンを調製し、これを押出した後、 酸化マグネシウムを加えてミキシングロー にて混練した後ペレット化して、シラング フトバッチを調製した。

(触媒バッチの調製)
 表1に示す配合重量比で、E成分を2軸押出混 機に加え、200℃で0.1~2分間加熱混練した後 レット化して、触媒バッチを調製した。

(絶縁電線の作製)
 表1に示すように、シラングラフトバッチ(D 分):触媒バッチ(E成分)=100:5の配合重量比で 各バッチを2軸押出混練機に加え、200℃で0.1~ 2分間加熱混練した後、実施例と同様にして 導体上に押出被覆し、水架橋処理を施して 縁電線を作製した。

 得られた各絶縁電線について、押出時の 線表面の外観状態を評価した。また、併せ 、得られた各絶縁電線について、製品の特 評価、即ち、引張強度、引張伸び、ゲル分 を測定した。その結果を表1に示す。また、 以下に評価、測定方法を示す。

(押出外観の評価)
 製品がきれいな表面状態のものを「○」と 、製品の表面に凹凸およびザラツキが見ら る場合を「×」とした。

(特性評価)
(引張強度および引張伸び)
 JIS C 3005の引張試験に準拠して、引張強度 よび引張伸びを測定した。すなわち、絶縁 線を150mmの長さに切り出し、導体を取り除 て絶縁被覆材のみの管状試験片とした後、23 ±5℃の室温下にて、試験片の両端を引張試験 機のチャックに取り付けた後、引張速度200mm/ 分で引っ張り、試験片の破断時の荷重および 伸びを測定した。

(ゲル分率)
 JASO-D608-92に準拠して、ゲル分率を測定した すなわち、電線の絶縁体試料を約0.1g秤量し これを試験管に入れ、キシレン20mlを加えて 120℃の恒温油槽中で24時間加熱する。その後 試料を取り出し、100℃の乾燥器内で6時間乾 後、常温になるまで放冷してから、その重 を精秤し、試験前の質量に対する質量百分 をもってゲル分率とした。規格は、50%以上 ある。なお、ゲル分率は、水架橋の架橋状 を表す指標として架橋電線には一般的に用 られている。

 表1に示すように、比較例に係る各絶縁電 線は、電線被覆材の押出外観に劣っているこ とが分かる。これは、比較例1および2では、 線被覆材組成物を調製する際に、組成物を 成する各成分を一括仕込みして加熱混練し おり、水酸化マグネシウムとシランカップ ング剤とを同時に配合しているためと考え れる。すなわち、水酸化マグネシウム中の 分により容易にシランカップリング剤が加 分解され、ポリエチレンのグラフト反応が 害され、これにより生成したゲル状物質が 覆材表面に現れて凹凸を形成したためと考 られる。

 一方、比較例3では、ポリエチレンにシラ ンカップリング剤をグラフトした後、これに 水酸化マグネシウムを配合している。しかし ながら、水酸化マグネシウムを配合するのは 、導体上に組成物を押出被覆する最終成形工 程よりも前の段階であり、最終成形工程前に すでに、ポリエチレンにグラフトされたシラ ンカップリング剤が一部加水分解されている と考えられる。そして、これにより、ポリエ チレンの架橋反応が阻害され、生成したゲル 状物質が被覆材表面に現れて凹凸が形成され たためと考えられる。

 これに対し、実施例に係る絶縁電線は、 線被覆材の押出外観に優れていることが確 できた。これは、導体上に組成物を押出被 する最終成形工程で、十分にシラングラフ されたポリエチレンと水酸化マグネシウム が混練されるため、効率よくポリエチレン 架橋が促進され、被覆材表面の押出外観が れいに仕上がるためであると考えられる。

 また、実施例に係る絶縁電線は、特性評 において、引張強度および引張伸びにも優 、ゲル分率の値より架橋度も良好で、製品 質にも問題がないことが確認できた。

 以上、本発明の実施の形態について詳細 説明したが、本発明は上記実施の形態に何 限定されるものではなく、本発明の要旨を 脱しない範囲で種々の改変が可能である。