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Patent Searching and Data


Title:
PROCESS FOR PRODUCING MOLTEN IRON
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/119604
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a process for producing a molten iron, comprising dissolving an iron source as a raw material using an iron bath-type melting furnace comprising a top blown lance provided at the upper part of the furnace, a bottom blown tuyere provided at the bottom of the furnace, and a tap hole provided at the lower part on the side of the furnace. The process comprises a melting step. In the melting step, the iron source as the raw material, a carbon material, and a slag-making material are charged into the melting furnace while blowing an inert gas through the bottom blown tuyere into a molten metal present within the melting furnace to stir the molten metal, and an oxygen-containing gas is top-blown through the top-blown lance, whereby the iron source as the raw material is melted by combustion heat produced by burning the carbon material and/or the carbon in the molten iron to produce the molten iron and slag. The melting step comprises at least one iron tapping slag step. In the iron tapping slag step, the molten iron and the slag are discharged through the tap hole in such a state that the melting furnace retains a posture taken in the production of the molten iron. In the iron tapping slag step, the production of the molten iron is continued or interrupted, and the top blowing of the oxygen-containing gas is continued to maintain the molten iron within the furnace at a temperature at or above a preset lowest molten iron temperature.

Inventors:
TATEISHI MASATAKA
SUGITATSU HIROSHI
FUJIMOTO HIDEAKI
Application Number:
PCT/JP2009/055852
Publication Date:
October 01, 2009
Filing Date:
March 24, 2009
Export Citation:
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Assignee:
KOBE STEEL LTD (JP)
TATEISHI MASATAKA
SUGITATSU HIROSHI
FUJIMOTO HIDEAKI
International Classes:
C21B11/00
Foreign References:
JPH10280020A1998-10-20
JPH04246114A1992-09-02
JPS63137114A1988-06-09
JPH1152049A1999-02-26
JPS6223848U1987-02-13
JPH10330813A1998-12-15
Attorney, Agent or Firm:
KOTANI, Etsuji et al. (JP)
Etsuji Kotani (JP)
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Claims:
 炉の上部に上吹きランスを、炉底に底吹き羽口を、炉側の下部にタップホールを備えた鉄浴式溶解炉を用いて原料鉄源を溶解して溶鉄を製造する方法であって、
 前記溶解炉内に存在する溶湯に前記底吹き羽口から不活性ガスを吹き込んで前記溶湯を攪拌しつつ、前記溶解炉に前記原料鉄源、炭材および造滓材を装入し、前記上吹きランスから酸素含有ガスを上吹きすることにより、前記炭材および/または前記溶鉄中の炭素を燃焼させた燃焼熱で、前記原料鉄源を溶解して前記溶鉄およびスラグを生成する溶解工程を有し、
 前記溶解工程は、前記溶解炉が前記溶鉄を生成するときの姿勢を保ったままで前記タップホールから前記溶鉄および前記スラグを排出する出銑滓工程を少なくとも1つ有し、
 前記出銑滓工程は、前記溶鉄の生成を継続または中断し、前記酸素含有ガスの上吹きを継続することにより炉内の溶鉄温度を予め設定した最低溶鉄温度以上に保持する溶鉄製造方法。
 前記溶解工程において、前記溶解炉内に蓄えられた前記溶鉄および前記スラグの合計量が所定量に達したときに、前記出銑滓工程が開始する請求項1に記載の溶鉄製造方法。
 前記出銑滓工程において、さらに、前記炭材の装入を継続する請求項1または2に記載の溶鉄製造方法。
 前記出銑滓工程において、さらに、前記造滓材の装入を継続する請求項1~3のいずれか1項に記載の溶鉄製造方法。
 前記出銑滓工程において、さらに、前記原料鉄源の装入を継続することにより、前記原料鉄源の溶解を継続する請求項1~4のいずれか1項に記載の溶鉄製造方法。
 前記溶解工程において、前記出銑滓工程における前記原料鉄源の装入速度が、当該出銑滓工程より前に装入された前記原料鉄源の装入速度より小さい請求項5に記載の溶鉄製造方法。
 前記上吹きランスはその下端部に噴射口を備えており、
 前記出銑滓工程において、前記溶解炉内の湯面の高さ位置の変化に追随するように、前記上吹きランスの下端の高さ位置を制御する請求項1~6のいずれか1項に記載の溶鉄製造方法。
 予め測定した前記出銑滓工程における出銑滓量と出銑滓を開始した時刻からの経時時間との関係および前記溶解炉の炉内形状から算出した、湯面の高さ位置の経時変化に基づいて、前記上吹きランス下端の高さ位置を制御する請求項7に記載の溶鉄製造方法。
 前記出銑滓工程において、前記溶解炉内の湯面の高さ位置をレベル計で測定し、この測定された湯面の高さ位置に基づいて前記上吹きランス下端の高さ位置を制御する請求項7に記載の溶鉄製造方法。
 前記上吹きランスはその下端部に噴射口を備えており、
 前記出銑滓工程において、前記溶解炉からの排ガスの組成に基づいて、前記上吹きランス下端の高さ位置を制御する請求項1~6のいずれか1項に記載の溶鉄製造方法。
 
Description:
溶鉄製造方法

 本発明は、固体還元鉄やスクラップなど 原料鉄源を鉄浴式溶解炉で溶解して溶鉄(溶 銑)を製造する方法に関する。

 鉄浴式溶解炉では、溶銑中の炭素および/ または炉内に供給された炭材を酸素吹錬によ り燃焼させることで、原料鉄源を溶解して溶 鉄が製造される。炉内に蓄銑された溶鉄を炉 外に取り出す方式には、バッチ式と連続式と があるが、いずれの方式とも以下のような問 題点が残されており、いまだ確立された方式 は存在しない。

<従来技術1>
 鉄浴式溶解炉として転炉型の炉を用いた方 が従来から多数提案されている(例えば、特 許文献1参照)。しかしながら、転炉型の鉄浴 溶解炉を用いた場合は、酸素吹錬を停止し (すなわち、溶鉄の製造を中止して)炉体を 動させて溶鉄と溶融スラグ(以下、単に「ス グ」ともいう。)を排出するため、この吹錬 停止により溶鉄の生産性が低下する問題があ る。さらに、出銑中に炉体表面から外気への 熱ロスにより炉内の溶湯温度が低下するため 、次の吹錬において、原料鉄源装入前に、該 温度低下分を回復させる昇温操作を行う必要 があり、溶鉄の生産性がさらに低下する問題 もある。

<従来技術2>
 一方、鉄浴式溶解炉として、炉底側部に出 滓口が形成されるとともに、この出銑滓口 前面に所謂前炉と称される耐火物構造体が けられ、この耐火物構造体(前炉)内部に前 出銑滓口から出銑樋への出銑位置まで通じ 連続出銑用の通路が形成された連続出銑式 溶解炉が開示されている(特許文献2参照)。 かしながら、このような連続出銑式の溶解 では、前炉から出銑樋の間での熱ロスが大 く、補助バーナでの加熱などが必要になる え、例えば原料供給設備や酸素供給設備な で発生した設備トラブルが原因で溶解吹錬 中断した場合には、前炉から出銑樋の間で 溶銑や溶融スラグが固まって閉塞してしま 、復旧に多大な時間と費用を要する問題が る。また、溶銑がバッチではなく連続的に 出されるため、バッチ工程である後段の製 工程で使用するために必要な量の溶銑を取 が受けるには時間がかかり、初期に排出さ た溶銑の温度降下が無視できず、最悪の場 には取鍋内で溶銑が固まってしまうおそれ ある。

特公平3-49964号公報

特開2001-303114号公報

 本発明は、上記問題を鑑みてなされたも であり、鉄浴式溶解炉を用いて、酸素含有 スによる溶銑中の炭素および/または炉内に 供給された炭材の燃焼熱で原料鉄源を溶解し て溶鉄を製造する方法であって、出銑滓時に おける温度低下による溶鉄や溶融スラグの固 化などのトラブルを防止しつつ、溶鉄の生産 性を安定して向上しうる溶鉄製造方法を提供 することを目的とする。

 本発明者らは、上記問題を解決するため 、出銑滓は、上記従来技術1の転炉型のよう に出銑滓時に炉体を傾動させて行うのではな く、出銑滓時においても炉体を溶鉄生成時と 同じ姿勢を保ったままで行うこととした。し かしながら、連続的な出銑滓は、上記従来技 術2で述べたように、技術的課題が多く、実 化が困難と判断されることから、高炉で行 れているような、間欠的な出銑滓の方式を 用することとした。そして、出銑滓時にお る温度低下による溶鉄や溶融スラグの固化 どのトラブルを防止しつつ、溶鉄の生産性 向上させるには、出銑滓中にも酸素含有ガ の吹き込み(吹錬)を継続することが有効と考 え、実験炉を用いた溶解実験による検証を経 て、以下の発明を完成するに至った。

 本発明は、炉の上部に上吹きランスを、 底に底吹き羽口を、炉側の下部にタップホ ルを備えた鉄浴式溶解炉を用いて原料鉄源 溶解して溶鉄を製造する方法であって、前 溶解炉内に存在する溶湯に前記底吹き羽口 ら不活性ガスを吹き込んで前記溶湯を攪拌 つつ、前記溶解炉に前記原料鉄源、炭材お び造滓材を装入し、前記上吹きランスから 素含有ガスを上吹きすることにより、前記 材および/または前記溶鉄中の炭素を燃焼さ せた燃焼熱で、前記原料鉄源を溶解して前記 溶鉄およびスラグを生成する溶解工程を有し 、前記溶解工程は、前記溶解炉が前記溶鉄を 生成するときの姿勢を保ったままで前記タッ プホールから前記溶鉄および前記スラグを排 出する出銑滓工程を少なくとも1つ有し、前 出銑滓工程は、前記溶鉄の生成を継続また 中断し、前記酸素含有ガスの上吹きを継続 ることにより炉内の溶鉄温度を予め設定し 最低溶鉄温度以上に保持する溶鉄製造方法 ある。

 本発明の目的、特徴、局面および利点は 以下の詳細な説明および図面によって、よ 明白となる。

図1は、実施形態に係る鉄浴式溶解炉の 概略構成を示す縦断面図である。 図2は、鉄浴式溶解炉内のスラグ層近傍 における炭材の分布状況を模式的に示す縦断 面図である。 図3は、出銑滓中における炉内での溶銑 湯面の高さ位置の経時変化を示すグラフ図で ある。

 以下、本発明の実施の形態を図面に基づ て詳細に説明する。なお、本発明は、本実 形態により何ら制限されるものではない。

〔鉄浴式溶解炉の構成〕
 図1に、本発明の一実施形態に係る鉄浴式溶 解炉の概略構成を示す。本実施形態に係る鉄 浴式溶解炉1は竪型反応炉であり、鉄浴式溶 炉1の上部に設けられた炉口2には排ガスダク ト3が接続されている。鉄浴式溶解炉1は、原 装入シュート4と、吹錬時に炉口2から炉内 挿入される上吹きランス5とを備えている。 た、炉底6には複数の底吹き羽口7が設けら 、炉側8の下部にはタップホール9が設けられ ている。原料装入シュート4は、原料である 料鉄源B、炭材Cおよび/または造滓材Dの装入 用いられる。上吹きランス5は酸素含有ガス Eの供給に、底吹き羽口7は不活性ガスAの供給 に用いられる。タップホール9は溶鉄の排出( なわち、出銑)およびスラグの排出(すなわ 、出滓)に用いられる。

 鉄浴式溶解炉(以下、単に「炉」というこ ともある。)1の炉口2と排ガスダクト3の接続 、該排ガスダクト3の下端部に昇降可能に設 たスカート10で、前記炉口2と密着させるこ なく該炉口2の上方を覆うことにより行うこ とが好ましい。これにより、炉内圧が変動し たときは、スカート10を昇降させて炉口2との 隙間を調整することで、該隙間から炉内ガス の一部を大気中へ排出し、または、大気を吸 引することにより炉内圧の変動を抑制するこ とができるので、炉内圧変動に影響を及ぼす スラグフォーミングの発生をより確実に防止 することができる。なお、後述するように、 排ガスを燃料ガスとして有効利用する場合に は、大気を吸引すると排ガスのカロリが低下 することが懸念されるが、大気の吸引により 炉内圧が直ぐに安定化して排ガス中への空気 のまき込み量が自動的に減少するように制御 することで、排ガスのカロリの低下は実質的 に問題とならず、高カロリの排ガスを安定し て回収することができる。

 また、上記昇降可能なスカート10を用い 接続方式を採用することで、万が一、スラ が異常にフォーミングして炉口2から溢れ出 ようなことがあっても、スカート10と炉口2 隙間から炉外に漏れるだけですむので、例 ば排ガス系統の閉塞や損傷などのより深刻 設備ダメージを回避することができる効果 得られる。

 なお、排ガスダクトには、例えば図示し い廃熱ボイラを設置して高温排ガスの顕熱 回収し、顕熱回収後の排ガスは高濃度に一 化炭素ガス(以下、「COガス」ということが る。)を含有するので除塵後に燃料ガスとし て有効利用するのが好ましい。

 以下、この鉄浴式溶解炉1を用いて、原料 鉄源Bを溶解して溶鉄とスラグを生成する溶 工程と、溶解工程で生成した溶鉄とスラグ 炉から排出する出銑滓工程とに分けて順次 明を行う。

〔溶解工程〕
 鉄浴式溶解炉1内の溶鉄層11中に複数の底吹 羽口7から例えば窒素ガスなどの不活性ガス Aを吹き込んで溶鉄層11を攪拌しつつ、例えば 固体還元鉄などの原料鉄源B、例えば石炭な の炭材C、および例えば生石灰、軽焼ドロマ トなどの造滓材Dを、例えば重力を利用した 落とし込み方式の原料装入シュート4を介し 、鉄浴式溶解炉1の上方より炉内に装入し、 吹きランス5の下端部に設けられた噴射口か ら例えば酸素ガスなどの酸素含有ガスEを上 きすることにより、溶鉄11中の炭素および/ たは炭材Cを燃焼させる。この燃焼熱で、固 還元鉄(原料鉄源B)が溶解して溶鉄11が生成 る。その際、スラグも生成する。

 不活性ガスAとして、窒素ガスの他、例えば 、アルゴンガス(Ar)、一酸化炭素ガス(CO)、二 化炭素ガス(CO 2 )などが挙げられる。各不活性ガスAは単独で いてもよいし、2種以上を組み合わせた混合 ガスを用いてもよい。

 底吹き用の窒素ガス(不活性ガスA)の流量は 溶鉄層11を十分に攪拌して固体還元鉄(原料 源B)の溶解速度を確保するため、0.02~0.20Nm 3 /(min・t-溶鉄層)の範囲で調整することが好ま い。

 原料鉄源Bとして、固体還元鉄の他、例え ば、スクラップ、ミルスケールなどが挙げら れる。各原料鉄源Bは単独で用いてもよいし 2種以上を組み合わせて用いてもよい。

 上記固体還元鉄として、例えば、鉄鉱石 製鉄所ダストなどの酸化鉄源と例えば石炭 どの炭素質還元剤とからなる粉状混合物を 成化した炭材内装酸化鉄塊成化物を例えば 転炉床炉、直線炉、ロータリキルンなどの 動式加熱還元炉で加熱還元して得られた固 還元鉄や、従来の天然ガスベースの固体還 鉄などが挙げられる。これら固体還元鉄は 還元直後の高温のものを実質的に冷却する となく、熱いまま鉄浴式溶解炉1に装入して もよいし、一旦常温まで冷却した後に鉄浴式 溶解炉1に装入してもよい。鉄浴式溶解炉1の 材消費量を低減する観点から、金属化率が6 0%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは クラップの溶解熱量に近い90%以上に高めた 体還元鉄を使用するのが望ましい。

 炭材Cとして、石炭の他、例えば、コーク ス、オイルコークス、木炭、木材チップ、廃 プラスチック、古タイヤや、回転炉床炉で使 用した床敷炭材(チャー化したものを含む)な が挙げられる。各炭材Cは単独で用いてもよ いし、2種以上を併用してもよい。

 炭材Cは、炉内での異常なスラグフォーミ ングを防止し、かつ、出銑滓時に、溶解炉を 溶鉄生成時と同じ姿勢のまま傾動させること なく確実にスラグを排出する観点から、その 装入時期および装入量を調整して、図2の模 図に示すように、溶鉄層11上に形成された溶 融スラグ層12の上層部に、炭材Cの一部を懸濁 させた炭材懸濁スラグ層13と、さらにこの炭 懸濁スラグ層13の上に炭材Cのみからなる炭 被覆層14とを形成させることが好ましい。

 上記のように、スラグ層12の上層部に炭 懸濁スラグ層13が形成されたことで、炭材懸 濁スラグ層13中のスラグの(FeO)濃度が低下し 、フォーミングの原因となるCOガス気泡の生 成速度が低下するとともに、スラグ中に存在 する炭材によりスラグ層12から該COガス気泡 抜けやすくなり、フォーミングが起こりに くなる。

 さらに、炭材懸濁スラグ層13の上方に炭 被覆層14が形成されたことで、スラグ層12が 材被覆層14によって保温されるので、出滓 にタップホール9内でスラグが冷えて固まる とがより確実に防止される。そのため、下 出銑滓工程における溶鉄温度の保持作用と まって、炉体を傾動することなく溶鉄生成 と同じ姿勢のまま、炭材懸濁スラグ層13の 方に形成された炭材被覆層14中の炭材Cを流 させずに、円滑で迅速な出滓作業が行える うになる。

 炭材懸濁スラグ層13と炭材被覆層14を形成 してその効果をより確実に奏させるために、 酸素含有ガスEの上吹き開始前に、原料鉄源B よび造滓材Dの装入に先立ち炭材Cを種湯と ての溶鉄が炉内に蓄えられている鉄浴式溶 炉1に装入することが好ましい。原料鉄源Bの 溶解初期段階から、溶鉄層11の上に存在する 材Cが、すぐに溶融スラグ層12の上層で懸濁 て、炭材懸濁スラグ層13をより確実に形成 るからである。また、酸素含有ガスEの上吹 を継続中でも、炭材懸濁スラグ層13と炭材 覆層14の炭材を効果的に補充するために、原 料鉄源Bおよび造滓材Dの装入量を減らすか、 たは停止して炭材Cを装入することもできる 。

 炭材懸濁スラグ層13と炭材被覆層14を形成 してその効果をより確実に奏させるために、 溶鉄の排出(出銑)開始時において、炭材懸濁 ラグ層13中の炭材と炭材被覆層14の炭材の合 計量(すなわち、炉内残留炭材量)を、溶融ス グ層12中のスラグ1000kgあたり100~1000kgとする とも好ましい。100kg以上であれば、炭材懸 スラグ層13中の炭材量が多くなるとともに、 炭材被覆層14が厚くなるため、上記フォーミ グ防止効果および出滓作業の円滑・迅速化 効果が大きくなり、一方、1000kg以下であれ 、炭材被覆層14の炭材によるスラグの巻き みや加熱による炭材(炭材被覆層14)の一体化 抑制されて、スラグ層12が十分に攪拌され ので、固体還元鉄Bの溶鉄層11中への溶解速 が低下しないからである。上記炭材の合計 は、溶融スラグ層12中のスラグ1000kg当り、よ り好ましくは150~500kg、特に好ましくは200~300kg である。

 ここに、炉内残留炭材量は、例えば、炉 へ装入された炭材量から、固体還元鉄中の 還元酸化鉄の還元に使用された炭材量と、 成した溶鉄への浸炭に使用された炭材量と 上吹き酸素ガスにより燃焼した炭材量と、 ガス中へダストとして飛散した炭材量との 計量を差し引くことで算出できる。また、 融スラグ層12中のスラグ量は、例えば、炉 へ装入された、固体還元鉄中の脈石量と、 材中の灰分量と、造滓材量から生成スラグ を算出し、この生成スラグ量から、出滓さ たスラグ量を差し引くことで算出できる。

 なお、鉄浴式溶解炉1に装入する炭材Cの 度は、平均粒径で2~20mmの範囲が好ましい。2m m以上であれば、排ガス中への飛散を抑制し すくなり、一方、20mm以下であれば、スラグ 12の(FeO)濃度が十分に低下し、また溶鉄層11 への浸炭速度が上昇するからである。排ガ 中への飛散をさらに抑制する観点から、平 粒径で3mm以上がより好ましく、スラグ層12 酸化鉄濃度をさらに低下させ、溶鉄層11中へ の浸炭速度をさらに上昇をさせる観点から、 平均粒径で15mm以下がより好ましい。

 なお、スラグ層12の流動性を確保するとと に溶鉄からの脱硫を促進するため、スラグ 12の塩基度CaO/SiO 2 (質量比)は0.8~2.0の範囲で調整するのが好まし く、1.0~1.6の範囲で調整するのがより好まし 。

 酸素含有ガスEとして、酸素ガスの他、例 えば、酸素富化空気が挙げられる。酸素含有 ガスEは、炭材Cおよび/または溶鉄層11中の炭 を燃焼させて、その燃焼熱で原料鉄源を溶 できる程度に酸素を含有するガスであれば い。

 上吹きランス5から供給される酸素ガス( 素含有ガスE)の流量は、炭材Cおよび/または 鉄層11中の炭素を燃焼させ、その燃焼熱で 体還元鉄(原料鉄源B)を十分に溶解して溶鉄 よびスラグを生成するように調整すること 好ましい。

 また、単純化した計算式では、CO 2 /(CO+CO 2 )で表される二次燃焼率は、上吹き酸素ガス 流量および/または上吹きランス5の高さを調 節することで、推奨値(40%以下、より好まし は10~35%、さらに好ましくは15~30%)に制御する とができ、これにより、鉄浴式溶解炉1の耐 火物への熱負荷を過大とすることなく、炭材 消費量を低減することができる。

 なお、酸素ガス(酸素含有ガスE)を上方か 吹き付けることにより、スラグ層12が攪拌 用を受け、底吹き窒素ガス(不活性ガスA)に る溶鉄層11の攪拌作用とあいまって、溶鉄層 11とスラグ層12の界面で、固体還元鉄Bの溶鉄 11中への溶解および炭材Cの溶鉄層11中への 炭が促進されることとなる。ここで、炭材 濁スラグ層13と炭材被覆層14を形成する溶鉄 造方法では、炭材懸濁スラグ層13の存在に り浸炭が促進されて、酸素吹錬による溶鉄 脱炭が溶鉄への浸炭より優先されることが いため、炭材懸濁スラグ層13および炭材被覆 層14を形成しない溶鉄製造方法と比べて、炭 濃度が高い溶鉄の製造が可能になる。

 炭材懸濁スラグ層13と炭材被覆層14を形成 する溶鉄製造方法では、溶鉄中の炭素含有量 は3質量%以上が好ましく、3.5~4.5質量%がより ましい。これにともない、スラグ層12中の鉄 含有量が10質量%程度以下、より好ましくは5 量%程度以下、さらに好ましくは3質量%程度 下に低下させるのが望ましい。スラグ層12中 の鉄含有量を低下させることで、溶鉄層11か の脱硫が促進されるとともに、溶融FeOによ 炉内張り耐火物の溶損も抑えられるからで る。

〔出銑滓工程〕
 上記のようにして溶解操作を所定時間継続 、鉄浴式溶解炉1内で所定量(例えば、1タッ 分)の蓄銑滓を行う。その後、出銑滓を行う (すなわち、間欠的な出銑滓を行う)。具体的 は、高炉での出銑滓作業と同じく、鉄浴式 解炉1の炉体を傾動することなく溶鉄生成時 の姿勢を保ったまま(例えば、直立させたま )、タップホール9をドリルで開孔し、先ず溶 鉄を、その浴面がタップホール9のレベルに るまで排出する。引き続いてスラグの排出 行う。

 ここで、出銑滓中は、上吹き酸素ガス(酸 素含有ガスE)の供給を継続し、炉内の溶鉄温 を、予め設定した最低溶鉄温度以上に保持 るようにする。上吹き酸素ガス(酸素含有ガ スE)の流量は、溶鉄の組成、温度および蓄銑 などによって異なるが、炉内の溶鉄温度が 記設定温度以上を確保できるように、適宜 整すればよい。例えば、出銑滓前と同じ流 にすることができる。また、出銑滓時間の 過に従い、炉内に残った蓄銑量に対応させ 流量を減少させたり、炉内に残った溶鉄の 度低下に対応させて流量を増加させたりす ことができる。

 上吹き酸素ガス(酸素含有ガスE)の供給を 続することで、石炭(炭材C)および/または溶 鉄中の炭素を燃焼させた燃焼熱によって出銑 滓中における炉内の溶湯の温度降下を抑制す ることができる。

 上記最低溶鉄温度としては、出銑滓や製 設備などへの溶鉄の搬送などによる温度降 を考慮して、例えば1450℃、好ましくは1480 、さらに好ましくは1500℃に設定することが ましい。

 上記出銑滓中において、上吹き酸素ガス( 酸素含有ガスE)の供給を継続することに加え 、さらに、石炭(炭材C)の装入をも継続する が好ましい。

 石炭(炭材C)の装入を継続することで、溶 中の炭素濃度およびスラグ層12中に懸濁す 炭材量を維持できる。これにより、出銑滓 においてスラグ層の温度低下を抑制するこ ができ、タップホール9のスラグ固化による 塞をより確実に防止することができる。ま 、出銑滓後の固体還元鉄(原料鉄源B)の溶解 おいて、炭材懸濁スラグ層13と炭材被覆層14 の形成が容易になる。

 上記出銑滓中において、上吹き酸素ガス( 酸素含有ガスE)の供給と、石炭(炭材C)の装入 を継続することに加えて、さらに、固体還 鉄(原料鉄源B)の装入をも継続するのがさら 好ましい。

 固体還元鉄(原料鉄源B)の装入を継続する とで、出銑滓中においても溶鉄を製造する とができる。すなわち、出銑滓中に固体還 鉄(原料鉄源B)を装入しないときには、溶鉄 生成が中断することがあるが、出銑滓前か の固体還元鉄(原料鉄源B)の装入を出銑滓中 継続することで、出銑滓中も溶鉄の生成を 続することができる。これにより、溶鉄の 産性をさらに向上させることができる。

 上記出銑滓中において、上吹き酸素ガス( 酸素含有ガスE)の供給と、石炭(炭材C)の装入 を継続することに加えて、造滓材Dの装入を 継続することも好ましい。さらに、上記出銑 滓中において、上吹き酸素ガス(酸素含有ガ E)の供給と、石炭(炭材C)の装入と、固体還元 鉄(原料鉄源B)の装入とを継続することに加え て、さらに、溶解工程からの造滓材Dの装入 も継続することがより一層好ましい。

 造滓材Dの装入を継続することで、溶融ス ラグの組成を維持することができる。これに より、スラグ流動度の確保、耐火物溶損の抑 制やスラグフォーミングの発生防止をより確 実に行うことができる。

 ここで、出銑滓中も固体還元鉄(原料鉄源 B)の装入を継続する場合において、上記最低 鉄温度を例えば1450℃以上に設定することで 、出銑滓中の固体還元鉄の装入速度を出銑滓 前の固体還元鉄の装入速度に維持したまま出 銑滓を行うことができるが、最低溶鉄温度が より低い場合や、蓄銑量が小さい場合には、 上記出銑滓中における固体還元鉄(原料鉄源B) の装入速度は、当該出銑滓前の固体還元鉄( 料鉄源B)の装入速度より小さいことが好まし い。

 出銑滓中は炉内に保持される溶湯量が急 に減少していくので、出銑滓中の固体還元 (原料鉄源B)の装入速度を出銑滓前と同じに 持していると、熱容量が小さくなった溶湯 、この溶湯と比べて温度が大幅に低い還元 (原料鉄源B)が多く装入されることとなり、 湯の温度が急速に低下する傾向を示す(なお 、出銑滓中も上吹き酸素ガスの供給と石炭の 装入を継続しているのでその燃焼熱により溶 湯温度は元の温度に回復すると考えられるが 、ガスから溶融物への伝熱速度は、固体から 溶融物への伝熱速度に比べて小さいため、溶 湯温度の回復には時間がかかるものと想定さ れる)。このため、出銑滓中における固体還 鉄(原料鉄源B)の装入速度を、出銑滓を行っ いないときにおける固体還元鉄(原料鉄源B) 装入速度より低下させて、溶鉄層の温度が 下するのを防止することが好ましい。上記 銑滓中における固体還元鉄(原料鉄源B)の装 速度の低下度合いは、鉄浴式溶解炉1内の溶 保持量や出銑滓速度などに応じて、適宜調 すればよく、例えば、出銑滓を行っていな ときにおける固体還元鉄(原料鉄源B)の装入 度の75%以下の装入速度とするとよい(後記実 施例1、2参照)。

 なお、底吹き羽口7からは、不活性ガスA 吹き込みを行う。

 また、出銑滓工程において、鉄浴式溶解 1内の湯面の高さ位置の変化に追随するよう に、上吹きランス5下端の高さ位置(ランス高 )を制御することが好ましい。ランス高さは 、連続的に変化させてもよいし、ステップ的 に変化させてもよい。

 すなわち、出銑滓により湯面の高さ位置 下降していくため、上吹きランス5下端の高 さ位置(ランス高さ)を固定していると、上吹 ランス5下端と湯面との距離が大きくなり、 炉内における酸素吹錬状況や燃焼状態が変化 して燃焼熱の発生量や溶湯への伝熱量が変化 してしまい、溶湯の温度が変動してしまうこ ととなる。そこで、上吹きランス5下端の高 位置(ランス高さ)を湯面の高さ位置の変化に 追随させて下降させ、上吹きランス5下端と 面との距離を一定に維持して酸素吹錬状況 燃焼状態をできるだけ変化させないように ることが好ましい。なお、出銑滓工程にお て、原料鉄源を装入して溶鉄を製造してい 場合には、湯面の高さ位置が上昇または下 するのに追随させて、上吹きランス5下端の さ位置を上昇または下降させればよい。

 出銑滓中の湯面の高さ位置の変化は、例 ば、過去の出銑滓工程において測定した出 滓量と出銑滓を開始した時刻からの経過時 との関係に基づいて、予測することができ 。

 図3は、出銑滓工程において、炉内の溶銑 湯面の高さ位置についての経時変化を示した グラフである。具体的には、本発明に係る溶 鉄製造方法を後記実施例の実験炉を用いて行 った際に、出銑滓工程において、出湯開始時 間からの出湯量(容量)を経時的に測定し、こ 測定で得られた出湯量と出湯開始からの所 時間との関係および実験炉の炉内形状から 炉内の溶銑湯面の高さ位置について時間的 変化を計算して、炉内の湯面レベルを縦軸 、経過時間を横軸にとってプロットしたグ フである。これに基づいて上吹きランス5下 端の高さ位置(ランス高さ)を制御することが きる。

 上記出湯量の容量測定に代えて、出湯量 ロードセルにて測定する重量測定を行って よい。

 あるいは、出銑滓中の湯面の高さ位置(湯 面レベル)を、マイクロ波レベル計などのレ ル計を用いて直接測定し、この測定値に基 いて前記上吹きランス下端の高さ位置を制 してもよい。

 あるいは、出銑滓中における鉄浴式溶解 からの排ガスの組成に基づいて、上吹きラ ス下端の高さ位置(ランス高さ)を制御して よい。

 すなわち、上吹きランス5下端と湯面との距 離が変化すると炉内の吹錬状況や燃焼状態が 変化し、排ガス組成、例えばCOおよびCO 2 濃度が変化する。したがって、例えば、排ガ ス中のCO濃度および/またはCO 2 濃度が所定範囲(例えば、CO濃度が20~25%)にな ようにランス高さを制御することで炉内の 錬状況や燃焼状態をできるだけ変化させな ようにすることができる。CO濃度および/ま はCO 2 濃度に代えて、二次燃焼率に基づいてランス 高さを制御してもよい。

 以上のようにして、出銑滓中においても 炉内の溶鉄温度が高く維持され、しかも先 熱容量の大きい溶鉄が排出されるので、タ プホール9が十分に温められ、その後にスラ グを引き続いて排出してもスラグは冷却され にくく、スラグの固化によるタップホール9 閉塞を確実に防止することができる。

 なお、スラグの排出は、タップホール9か らスラグに混じって炭材が排出され始めたこ と、すなわち、炭材懸濁スラグ層13が排出さ 始めたことをもって終了とし、タップホー 9をマッドで閉塞すればよい。

 なお、タップホール9から炉内ガスが噴出 することを防止するため、炉内の圧力は常圧 (例えば、ゲージ圧で-1kPa~+1kPa、好ましくは-50 0Pa~+500Pa、より好ましくは-100Pa~+100Paの範囲)と するのが好ましい。

 以上のようにして、溶解工程と出銑滓工 とを繰り返すことで、すなわち、溶解と間 的な出銑滓を行うことで、スラグフォーミ グを防止しつつ、炉を傾動することなく直 させたまま円滑で迅速な出銑滓作業を行え 出銑滓作業中においても、吹練を継続する とが可能となり、さらに各種原料を溶解す ことで溶鉄の生産性を安定して高くできる

 なお、溶鉄の製造を終了する際には、溶 工程で所定量の蓄銑滓を行った後に、酸素 有ガスの上吹きを中止してタップホール9か ら溶鉄の排出およびスラグの排出(出銑滓)を ってもよい。

(変形例)
 上記実施形態では、鉄浴式溶解炉1としては 、非密閉構造のものを例示したが、これに限 定されるものではなく、密閉構造のものを用 いてもよい。

 上記実施形態では、タップホール9は1箇 だけ設けた例を示したが、炉耐火物の溶損 伴って、炉内底面のレベルが低下していく で、炉の高さ方向に複数箇所設けておくの 好ましい。また、タップホール9は、炉の水 円周方向に複数箇所、例えば180°の方向、90 °の方向、120°の方向に設けてもよい。また タップホール9は、溶鉄と溶融スラグの排出 兼用するもののみを例示したが、溶融スラ の生成量が多い場合には、溶融スラグの排 専用のものを設けてもよい。

 上記実施形態では、鉄浴式溶解炉1内に蓄 えられた溶鉄とスラグの合計量(蓄銑滓量)が 定量に達したときに、出銑滓を行う例を示 たが、鉄浴式溶解炉1内に蓄えられた溶鉄( 銑量)が所定量に達したときに、出銑滓を行 てもよいし、鉄浴式溶解炉1内に蓄えられた スラグ(蓄滓量)が所定量に達したときに、出 滓を行ってもよい。

 上記実施形態では、炭材Cおよび造滓材D 炉への装入は、重力による落とし込み方式 例示したが、例えばこれらを微粉砕してス グ層中へ直接吹き込むことも可能である。 だし、設備コストおよび操業コストを抑制 る観点から、重力による落とし込み方式が ましい。

 上記実施形態では、上吹きランス5は1本 み設置する例を示したが、炉の規模や形状 どに応じて複数本設置することも可能であ 。

 上記実施形態および下記実施例では、湯 として溶鉄層11の上面を採用した例を示し が、溶鉄層11の上面に代えて溶融スラグ層12 上面を採用してもよい。

 以下に、本発明について実施例を挙げて 体的に説明する。なお、本発明は、本実施 により何ら限定されるものではない。

 本発明の効果を確証するため、炉底に底 き羽口を、炉頂に上吹きランスを、炉側の 底から高さ0.4mの位置にタップホールを備え 、耐火物内径が2mで、炉内有効高さが2.6mであ る竪型反応炉を用いて固体還元鉄を溶解する 試験を実施した。

 原料鉄源としては、製鉄所ダストを酸化 原料とする炭材内装酸化鉄ペレットを回転 床炉で加熱還元してその後常温まで冷却し 、表1に示す成分組成の固体還元鉄を用いた 。表1の粒径の行において、「+3.35mm、64%」は 目開き3.35mmの篩で篩分けしたときに、篩上 残った還元鉄の質量比率が還元鉄全体の64% 占めることを示し、「+6.7mm、75%」は、目開 6.7mmの篩で篩分けしたときに、篩上に残っ 還元鉄の質量比率が還元鉄全体の75%を占め ことを示し、「+6.7mm、93%」は、目開き6.7mmの 篩で篩分けしたときに、篩上に残った還元鉄 の質量比率が還元鉄全体の93%を占めることを 示す。炭材としては表2に示す成分組成のコ クス粉を用いた。表2の粒度の行の「+12mm」 、表2のコークス粉が目開き12mmの篩で篩分け したときに、篩上に残ったものであることを 指す。造滓材としては生石灰およびドロマイ トを用いた。また、底吹き羽口から供給する 不活性ガスとしては窒素ガスを用い、上吹き ランスから供給する酸素含有ガスとしては酸 素ガスを用いた。

〔実施例1〕
 先ず、縦型反応炉に立ち上げ用の種湯を装 した後、底吹き羽口から窒素ガスを流量15Nm 3 /hrで供給して種湯を攪拌しながら炭材50kgを 入した。そして、窒素ガスの供給を継続し 種湯を攪拌させた状態で、原料(表1に示す固 体還元鉄(1)、炭材、造滓材)の装入と、上吹 ランスから流量450Nm 3 /hrの酸素ガスの供給(吹練)とを開始し、固体 元鉄の溶解を行った。これにより、炉内に 鉄とスラグが生成し、スラグ層の上層部に 炭材懸濁スラグ層および炭材被覆層が形成 れた。なお、溶解時の二次燃焼率は上記単 化した計算式CO 2 /(CO+CO 2 )を用いて20~30%に制御した。

 次に、蓄銑滓量が1タップ分になった後に 、タップホールから出銑滓を開始した。出銑 滓中は、固体還元鉄の装入速度を出銑滓前の 約35%に低下させて、造滓材の装入量を出銑滓 前の約50%に減らした。一方、出銑滓前と同じ 装入速度で炭材の装入を継続した。又、出銑 滓前と等しい単位時間当たりのガス供給量で 酸素ガスと窒素ガスの供給を継続した。

 出銑滓中は、図3に示す湯面の高さ位置( 面レベル)の経時変化に基づいて、上吹きラ ス下端と溶銑湯面との距離が400~600mmとなる うに、30秒ごとにランス高さを調整した。 れによって、炉内の湯面の高さ位置(湯面レ ル)の変化に追随させて、上吹きランス下端 と湯面との距離が所定の範囲内に入るように 、ランス高さの制御を行った。なお、30秒ご にランス高さを調整したのは、ランス高さ 更による炉内燃焼状態の変化に対する応答 を考慮したからである。

 出銑滓に要した時間(タップホールの開孔 からマッド閉塞までの時間)は8分間であり、 銑滓中における溶湯温度は1504℃であった。

 なお、出銑滓中は、炉内の圧力をゲージ で-60Pa程度に制御したので、溶解中だけで く、出銑滓中においてもタップホールから 内ガスが噴出することはなかった。

〔実施例2〕
 実施例1の出銑滓後に炉内に残った溶鉄を種 湯として、実施例1と同様に、窒素ガスの供 と炭材の装入を行い、続いて各原料(表1に示 す固体還元鉄(3)、炭材、造滓材)の装入と吹 とを開始して、固体還元鉄の溶解を行った これにより、炉内に溶鉄とスラグが生成し スラグ層の上層部には炭材懸濁スラグ層お び炭材被覆層が形成された。実施例2におけ 溶解時の二次燃焼率も、上記単純化した計 式CO 2 /(CO+CO 2 )を用いて20~30%に制御した。

 そして、蓄銑滓量が1タップ分になった後 に、タップホールから出銑滓を開始した。出 銑滓中は、装入する固体還元鉄を表1に示す 体還元鉄(2)に変更し、その装入速度を出銑 前の約75%に変更した以外は、実施例1と同様 、他の原料の装入と吹練を継続した。

 また、出銑滓中における排ガス中のCO濃 が、予め設定したCO濃度範囲、具体的には溶 解中のCO濃度に対して95~105%となるように、30 ごとにランス高さを調整した。これによっ 、出銑滓中における鉄浴式溶解炉からの排 スの組成に基づいて、ランス高さの制御を った。なお、30秒ごとにランス高さを調整 たのは、実施例1と同様に、ランス高さ変更 よる炉内燃焼状態の変化に対する応答性を 慮したからである。

 出銑滓に要した時間(タップホールの開孔 からマッド閉塞までの時間)は8分間であり、 銑滓中における溶湯温度は1493℃であった。

 なお、出銑滓中は、実施例1と同様に、炉 内の圧力をゲージ圧で-60Pa程度に制御したの 、溶解中だけでなく、出銑滓中においても ップホールから炉内ガスが噴出することは かった。

〔比較例〕
 実施例2の出銑滓後に炉内に残った溶鉄を種 湯とした以外は、実施例1と同様に、窒素ガ の供給と炭材の装入を行い、続いて各原料( 1に示す固体還元鉄(1)、炭材、造滓材)の装 と吹錬とを開始して、固体還元鉄の溶解を った。これにより、炉内に溶鉄とスラグが 成し、スラグ層の上層部には炭材懸濁スラ 層および炭材被覆層が形成された。比較例 おける溶解時の二次燃焼率も、上記単純化 た計算式CO 2 /(CO+CO 2 )を用いて20~30%に制御した。

 蓄銑滓量が1タップ分になった時点で、原 料(表1に示す固体還元鉄(1)、炭材、造滓材)の 装入と吹練を停止した。そして、出銑滓を行 った。出銑滓に要した時間(タップホールの 孔からマッド閉塞までの時間)は約12分間で ったが、その間に溶湯温度が約1500℃から約1 400℃まで約100℃低下した。このため、次の溶 鉄製造用の原料を装入するには、溶湯温度を 1450℃以上に昇温させる必要が生じた。

 溶湯温度の昇温操作として、上吹きラン から酸素ガスの供給を約14分間行い、その 引き続いて、酸素ガスの供給を継続したま 炭材のみの装入を約19分間行うことで、溶湯 温度がようやく約1450℃まで回復し、固体還 鉄と造滓材を装入できる状態になった。

 実施例1、2および比較例からわかるよう 、出銑滓前からの各原料の装入と吹錬とを 銑滓中も継続した場合(実施例1、2)は、出銑 前に各原料の装入と吹錬とを停止した場合( 比較例)と比較して、出銑滓に要した時間が 8分間(比較例で要した時間の約2/3)に短縮さ 、出銑滓中における溶湯温度は1480℃以上を 持できた。また、溶湯温度の昇温操作が不 となった。

 以上、詳述したように、本発明は、炉の 部に上吹きランスを、炉底に底吹き羽口を 炉側の下部にタップホールを備えた鉄浴式 解炉を用いて原料鉄源を溶解して溶鉄を製 する方法であって、前記溶解炉内に存在す 溶湯に前記底吹き羽口から不活性ガスを吹 込んで前記溶湯を攪拌しつつ、前記溶解炉 前記原料鉄源、炭材および造滓材を装入し 前記上吹きランスから酸素含有ガスを上吹 することにより、前記炭材および/または前 記溶鉄中の炭素を燃焼させた燃焼熱で、前記 原料鉄源を溶解して前記溶鉄およびスラグを 生成する溶解工程を有し、前記溶解工程は、 前記溶解炉が前記溶鉄を生成するときの姿勢 を保ったままで前記タップホールから前記溶 鉄および前記スラグを排出する出銑滓工程を 少なくとも1つ有し、前記出銑滓工程は、前 溶鉄の生成を継続または中断し、前記酸素 有ガスの上吹きを継続することにより炉内 溶鉄温度を予め設定した最低溶鉄温度以上 保持する溶鉄製造方法である。

 本発明では、出銑滓工程においても、酸 含有ガスの上吹きを継続することにより、 内の溶鉄温度を、予め設定した最低溶鉄温 以上に保持するようにしたことで、出銑滓 に炉内の溶鉄温度が高く維持されて、炉か 排出された溶鉄および溶融スラグの固化が 止されるととともに、出銑滓終了後ただち 原料鉄源の溶解および/または溶鉄の増産が 可能となり、溶鉄の生産性を安定して向上で きる。

 前記溶解工程において、前記溶解炉内に えられた前記溶鉄および前記スラグの合計 が所定量に達したときに、前記出銑滓工程 開始することが好ましい。これにより、出 時に所定の熱容量を有する溶鉄をタップホ ルから排出することで、タップホールが十 に温められるので、出滓中のタップホール スラグ固化による閉塞をより確実に防止す ことができ、所定量の溶鉄を安定して次工 に供給することができる。

 前記出銑滓工程において、さらに、前記 材の装入を継続することが好ましい。炭材 装入を継続することで、溶鉄中の炭素濃度 よびスラグ層中に懸濁する炭材量を維持で る。これにより、出滓中においてスラグ層 温度低下を抑制することができ、タップホ ルのスラグ固化による閉塞をより確実に防 することができる。また、出銑滓後の溶解 おいて、炭材懸濁スラグ層と炭材被覆層の 成が容易になる。

 前記出銑滓工程において、さらに、前記 滓材の装入を継続することが好ましい。造 材の装入を継続することで、溶融スラグの 成を調整して、スラグの流動度の確保、耐 物溶損の抑制やスラグフォーミングの発生 止をより確実に行うことができる。

 前記出銑滓工程において、さらに、前記 料鉄源の装入を継続することにより、前記 料鉄源の溶解を継続することが好ましい。 銑滓工程において、原料鉄源の装入をも継 することで、出銑滓中においても連続して 料鉄源の溶解が可能となり、溶鉄の生産性 さらに向上できる。

 前記出銑滓工程において、前記原料鉄源 装入を継続する場合には、前記出銑滓工程 おける前記原料鉄源の装入速度が、当該出 滓工程より前に装入された前記原料鉄源の 入速度より小さいことが好ましい。これに り、出銑滓中の溶湯温度の急激な低下を防 することができる。

 出銑滓時の溶湯温度の変動を抑制する観点 ら、前記上吹きランスはその下端部に噴射 を備えており、前記出銑滓工程において、 記鉄浴式溶解炉内の湯面の高さ位置の変化 追随するように、前記上吹きランスの下端 高さ位置を制御することが好ましい。より ましくは、前記出銑滓工程における前記鉄 式溶解炉内の湯面の高さ位置の変化を、過 の出銑滓時における出銑滓量の時間変化に づいて予測する。例えば、予め測定した前 出銑滓工程における出銑滓量と出銑滓を開 した時刻からの経時時間との関係および前 溶解炉の炉内形状から算出した、湯面の高 位置の経時変化に基づいて、前記上吹きラ ス下端の高さ位置を制御する。
また、より好ましくは、前記出銑滓工程にお いて、前記鉄浴式溶解炉内の湯面の高さ位置 をレベル計で測定し、この測定された湯面の 高さ位置に基づいて前記上吹きランス下端の 高さ位置を制御する。

 出銑滓時の溶湯温度の変動を抑制する観 から、前記上吹きランスはその下端部に噴 口を備えており、前記出銑滓工程において 前記鉄浴式溶解炉からの排ガスの組成に基 いて、前記上吹きランス下端の高さ位置を 御することが好ましく、前記鉄浴式溶解炉 らの排ガス中の所定ガスの濃度が所定の範 内に入るように、前記上吹きランス下端の さ位置を調整することがより好ましい。

 本発明の溶鉄製造方法を用いれば、出銑 時における温度低下による溶鉄や溶融スラ の固化などのトラブルを防止しつつ、効率 く溶鉄を生産することができる。




 
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