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Title:
REMEDY AND DIAGNOSTIC FOR MITOCHONDRIAL DYSFUNCTION BRAIN DISEASE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/126693
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to provide a remedy and a diagnostic for a brain disease typified by cerebral infarction. Namely, a remedy for a mitochondrial dysfunction brain disease characterized by comprising a combination of (A) a δ-aminolevulinic acid represented by the following general formula (1), its derivative or a salt thereof with (B) an iron compound: R2R1NCH2COCH2CH2COR3 (1) wherein R1 and R2 independently represent each a hydrogen atom or an alkyl, acyl, alkoxycarbonyl, aryl or aralkyl group; and R3 represents a hydroxy, alkoxy, acyloxy, alkoxycarbonyloxy, aryloxy, aralkyloxy or amino group.

Inventors:
KUROIWA TOSHIHIKO
KAJIMOTO YOSHINAGA
MASUBUCHI TAKAHIRO
ISHIZUKA MASAHIRO
TANAKA TOHRU
Application Number:
PCT/JP2008/055959
Publication Date:
October 23, 2008
Filing Date:
March 27, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SBI ALAPROMO CO LTD (JP)
KUROIWA TOSHIHIKO
KAJIMOTO YOSHINAGA
MASUBUCHI TAKAHIRO
ISHIZUKA MASAHIRO
TANAKA TOHRU
International Classes:
A61K33/26; A61K31/197; A61K49/00; A61P9/00; A61P9/10; A61P21/00; A61P25/00; A61P25/06; A61P25/16; A61P25/24; A61P25/28; A61P43/00
Domestic Patent References:
WO2006117885A12006-11-09
WO2005105022A12005-11-10
Foreign References:
JPH11116446A1999-04-27
EP0704209A11996-04-03
JPH11501914A1999-02-16
JPH049360A1992-01-14
JPH11501914A1999-02-16
JP2006182753A2006-07-13
JP2005314361A2005-11-10
JP2005314360A2005-11-10
JP2007099508A2007-04-19
Other References:
NOU SHINKEI GEKA, vol. 29, no. 11, 2001, pages 1019 - 1031
See also references of EP 2135613A4
Attorney, Agent or Firm:
OGURI, Shohei et al. (7-13 Nishi-Shimbashi 1-chome,Minato-k, Tokyo 03, JP)
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Claims:
(A)一般式(1)
  R 2 R 1 NCH 2 COCH 2 CH 2 COR 3    (1)
(式中、R 1 及びR 2 は各々独立に、水素原子、アルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリール基又はアラルキル基を示し;R 3 はヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基又はアミノ基を示す。)
で表されるδ-アミノレブリン酸、その誘導体又はそれらの塩、と(B)鉄化合物を含むミトコンドリア障害脳疾患治療剤。
(B)鉄化合物が、塩化第二鉄、三二酸化鉄、鉄クロロフィリンナトリウム、フェリチン鉄、クエン酸第一鉄、クエン酸鉄ナトリウム、クエン酸鉄アンモニウム、フマル酸第一鉄、ピロリン酸第一鉄、ピロリン酸第二鉄、含糖酸化鉄、酢酸鉄、シュウ酸鉄、コハク酸第一鉄、コハク酸クエン酸鉄ナトリウム、ヘム鉄、デキストラン鉄、乳酸鉄、グルコン酸第一鉄、ジエチレントリアミン五酢酸鉄ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸鉄アンモニウム、ジエチレンジアミン四酢酸鉄ナトリウム、ジエチレンジアミン五酢酸鉄アンモニウム、トリエチレンテトラアミン鉄、ジカルボキシメチルグルタミン酸鉄ナトリウム、ジカルボキシメチルグルタミン酸鉄アンモニウム、クエン酸鉄コリン、蟻酸第一鉄、蟻酸第二鉄、シュウ酸カリウム第二鉄アンモニウム、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硫酸鉄アンモニウム、炭酸第二鉄、塩化第一鉄及び酸化鉄から選ばれる1種又は2種以上の化合物である請求項1記載のミトコンドリア障害脳疾患治療剤。
 ミトコンドリア障害脳疾患が、筋萎縮性側索硬化症、ミトコンドリア脳筋症、片頭痛、パーキンソン病、低酸素脳症、脳動脈硬化症、躁うつ病、慢性疲労症候群、頭蓋内圧亢進症、正常圧水頭症、クモ膜下出血後の脳血管攣縮、手術及び血管内手術時の脳虚血の防止、アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞、心原性脳塞栓症、又はアルツハイマー症である請求項1又は2記載のミトコンドリア障害脳疾患治療剤。
 一般式(1)
  R 2 R 1 NCH 2 COCH 2 CH 2 COR 3    (1)
(式中、R 1 及びR 2 は各々独立に、水素原子、アルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリール基又はアラルキル基を示し;R 3 はヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基又はアミノ基を示す。)
で表されるδ-アミノレブリン酸、その誘導体又はそれらの塩を含むミトコンドリア障害脳疾患診断剤。
 ミトコンドリア障害脳疾患が、筋萎縮性側索硬化症、ミトコンドリア脳筋症、片頭痛、パーキンソン病、低酸素脳症、脳動脈硬化症、躁うつ病、慢性疲労症候群、頭蓋内圧亢進症、正常圧水頭症、クモ膜下出血後の脳血管攣縮、手術及び血管内手術時の脳虚血の防止、アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞、心原性脳塞栓症、又はアルツハイマー症である請求項4記載のミトコンドリア障害脳疾患診断剤。
Description:
ミトコンドリア障害脳疾患治療 及び診断剤

 本発明は、脳梗塞に代表されるミトコン リア障害脳疾患の治療剤及び診断剤に関す 。

 ミトコンドリアは、ほぼ全ての真核細胞 存在する細胞内小器官で、一般に1細胞当た り数百から数千個が含まれている。ミトコン ドリアは、外膜と内膜の2層によって囲まれ 細長い楕円状構造をしている。主要な役割 、クエン酸回路と電子伝達系及び両者に共 する酸化的リン酸化によって細胞のエネル ー源であるアデノシン三リン酸(ATP)を産生す るほか、細胞死の制御においても中心的な役 割を果たしている。ミトコンドリアから活性 酸素が放出され細胞機能の低下や細胞死を引 き起こすと言われており、老齢動物では、ミ トコンドリアからの活性酸素の産生が増加す ることも報告されている。

 アルツハイマー病の発症機構はいまだ不 だが、ミトコンドリアの機能低下がアルツ イマー病の神経脱落に密接に関わっている とを示唆する知見も得られてきている。こ まで、ミトコンドリア障害による脳疾患と ては、アルツハイマー症の他に、筋萎縮性 索硬化症(ALS)、ミトコンドリア脳筋症など ミトコンドリア病、片頭痛、パーキンソン 、アルツハイマー病、脳梗塞や低酸素脳症 脳動脈硬化症などの虚血性脳障害、躁うつ 、慢性疲労症候群、水頭症や頭部外傷など 頭蓋内圧亢進症、正常圧水頭症、クモ膜下 血後の脳血管攣縮、手術及び血管内手術時 脳虚血の防止などが知られている。

 なかでも、脳梗塞は、脳卒中の約70%を占 、脳卒中は、2004年の統計では、悪性新生物 (がん)、心疾患に次いで第3位であり、死亡総 数の12.5%を占めている。脳梗塞は、血管の詰 り方によって2種類に分けられている。血管 が動脈硬化を起こし、内腔がだんだんと狭く なり詰まる脳血栓症、心臓や大血管で血栓が でき脳まで血栓が運ばれて脳の血管に詰まる 脳塞栓症がある。脳細胞は、血流が完全に遮 断されると数分で完全に死んでしまい、回復 は不可能である。但し、通常は1本の血管が まっても、他の血管からある程度の血液の れが残っているため、血液が急に完全に遮 されることはない。脳細胞は、血管が詰ま てから数時間の間は、血液の流れが悪い部 から徐々に死んでいくが、脳血栓症は、症 がゆっくり進行し、2~3日たって完成する場 があり、脳塞栓症は突然症状が完成し、脳 栓症よりも一般的に重症といわれている。 梗塞は、さらに大きく3つのタイプに分ける 合がある。(1)動脈硬化により頸部や頭の中 大きな血管が詰まるアテローム血栓性脳梗 、(2)脳内の細い血管が詰まるラクナ梗塞、( 3)心房細動(不整脈の一種)、心筋梗塞、心臓 膜症、心筋症などで心臓内に血栓ができ脳 到達する心原性脳塞栓症の3つがある。

 脳梗塞を診察するには、その神経症状を 確に把握して、病変部位を正確に診断する とが大切で、医師によって5分以内に大まか な神経学的な検査が行えるが、その診断を補 助して、適切な治療方針を決定するために、 CT検査(コンピューター断層撮影)、MRI検査(磁 共鳴画像)、超音波ドプラー検査、脳血管撮 影検査、脳血流検査などの検査が行われてい る。これらは全て治療を施す前の術前診断で あり、手術を行いながら疾患部位を判断でき る検査方法は存在していないのが現状である 。

 脳梗塞の治療は、アテローム血栓性脳梗塞 ラクナ梗塞、心原性脳塞栓症のどのタイプ 脳梗塞か、発症後の時間、重症かどうかに って異なっている。特殊な治療としては、 のむくみをとる治療、血管内の血栓に対す 治療と神経細胞を保護する治療などがある 最も効果のある治療法としては、血栓溶解 法(組織プラスミノーゲンアクチベーター) 海外で使用されているが、血栓溶解剤は脳 塞発症後3時間以内に投与する必要がある。 栓溶解療法には、脳血管の詰まっている場 を脳血管撮影という検査で見つけ、その部 にカテーテルを送り込み血栓を溶かす方法 あるが、やはり脳梗塞発症後3~6時間以内に 行する必要がある。また、血栓溶解療法が きない場合には、抗血小板剤、あるいは血 凝固抑制剤を投与する治療法もある。
 しかし、これらの治療法を施行しても、施 が遅れたり、施行の誤認により、何らかの 遺症(意識障害、運動知覚障害、高次脳機能 障害、記銘力障害、情動症障害)が残る場合 あり、血栓溶解治療と同時に疾患部位を治 する薬剤は存在していないのが現状である

 一方、δ-アミノレブリン酸(ALA)又はその誘 体を投与すると、誘導されるプロトポルフ リンIXが腫瘍に集積して術中診断や治療に効 果を発揮することが知られている(特許文献1 非特許文献1)。また、δ-アミノレブリン酸(A LA)又はその誘導体と鉄化合物を併用して頭部 に経皮投与すると、育毛効果があることが知 られている(特許文献2)。しかしながら、δ-ア ミノレブリン酸又はその誘導体の脳疾患に対 する作用については報告されていない。

特表平11-501914号公報

WO2005/105022公報 脳神経外科,29(11):1019-1031,2001

 本発明の目的は、脳梗塞に代表されるミ コンドリア障害脳疾患の治療剤及び診断剤 提供することにある。

 そこで本発明者は、脳梗塞の実験モデル ある中大脳動脈閉塞モデルラットを作成し 脳梗塞部位とミトコンドリア活性との関係 ついて検討した。その結果、脳梗塞部位に いてはミトコンドリア活性が消失しており 脳梗塞等の脳虚血による脳細胞障害とミト ンドリア活性との間に相関関係があると推 した。

 ところで、δ-ALAを脳梗塞等の脳疾患の治 に使用するには、δ-ALAが血液脳関門(BBB)を 過するか否かを検討する必要がある。δ-ALA 脳腫瘍においてBBBを通過することは知られ いるが、正常の場合や脳梗塞の場合に通過 るか否かは知られていない。そこで、本発 者は、正常ラットと脳梗塞モデルラットに けるδ-ALAがBBBを通過するか否か検討したと ろ、脳梗塞モデルラットではδ-ALA投与によ 、脳梗塞部位特異的にδ-ALAの代謝物である ロトポルフィリンIXが確認された。一方、正 常ラットではプロトポルフィリンIXは観察さ なかった。このことから、δ-ALAは正常時に BBBの通過は認められず、脳梗塞等の脳疾患 にBBBを通過し、脳組織内の脳梗塞部位にお てのみプロトポルフィリンIXに代謝される とから、脳梗塞等のミトコンドリア障害脳 患の診断に使用できることを見出した。

 さらに、δ-ALAと鉄化合物とを脳梗塞モデ ラットにおいて中大脳動脈閉塞後に投与し ところ、脳梗塞後遺症の指標である神経重 度スコア(NSS)が顕著に改善されることから 当該化合物の併用がミトコンドリア障害脳 患治療薬として有用であることを見出し、 発明を完成するに至った。

 すなわち、本発明は、下記の態様を含む。
1.(A)一般式(1)
  R 2 R 1 NCH 2 COCH 2 CH 2 COR 3    (1)
(式中、R 1 及びR 2 は各々独立に、水素原子、アルキル基、アシ ル基、アルコキシカルボニル基、アリール基 又はアラルキル基を示し;R 3 はヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキ シ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリ ールオキシ基、アラルキルオキシ基又はアミ ノ基を示す。)
で表されるδ-アミノレブリン酸、その誘導体 又はそれらの塩、と(B)鉄化合物を含むミトコ ンドリア障害脳疾患治療剤。

2.(B)鉄化合物が、塩化第二鉄、三二酸化鉄 鉄クロロフィリンナトリウム、フェリチン 、クエン酸第一鉄、クエン酸鉄ナトリウム クエン酸鉄アンモニウム、フマル酸第一鉄 ピロリン酸第一鉄、ピロリン酸第二鉄、含 酸化鉄、酢酸鉄、シュウ酸鉄、コハク酸第 鉄、コハク酸クエン酸鉄ナトリウム、ヘム 、デキストラン鉄、乳酸鉄、グルコン酸第 鉄、ジエチレントリアミン五酢酸鉄ナトリ ム、ジエチレントリアミン五酢酸鉄アンモ ウム、ジエチレンジアミン四酢酸鉄ナトリ ム、ジエチレンジアミン五酢酸鉄アンモニ ム、トリエチレンテトラアミン鉄、ジカル キシメチルグルタミン酸鉄ナトリウム、ジ ルボキシメチルグルタミン酸鉄アンモニウ 、クエン酸鉄コリン、蟻酸第一鉄、蟻酸第 鉄、シュウ酸カリウム第二鉄アンモニウム 硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硫酸鉄アンモニ ム、炭酸第二鉄、塩化第一鉄及び酸化鉄か 選ばれる1種又は2種以上の化合物である上 1記載のミトコンドリア障害脳疾患治療剤。

3. ミトコンドリア障害脳疾患が、筋萎縮 側索硬化症、ミトコンドリア脳筋症、片頭 、パーキンソン病、低酸素脳症、脳動脈硬 症、躁うつ病、慢性疲労症候群、頭蓋内圧 進症、正常圧水頭症、クモ膜下出血後の脳 管攣縮、手術及び血管内手術時の脳虚血の 止、アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞 心原性脳塞栓症、又はアルツハイマー症で る上記1又は2記載のミトコンドリア障害脳疾 患治療剤。

4. 一般式(1)
  R 2 R 1 NCH 2 COCH 2 CH 2 COR 3    (1)
(式中、R 1 及びR 2 は各々独立に、水素原子、アルキル基、アシ ル基、アルコキシカルボニル基、アリール基 又はアラルキル基を示し;R 3 はヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキ シ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリ ールオキシ基、アラルキルオキシ基又はアミ ノ基を示す。)
で表されるδ-アミノレブリン酸、その誘導体 又はそれらの塩を含むミトコンドリア障害脳 疾患診断剤。
5. ミトコンドリア障害脳疾患が、筋萎縮性 索硬化症、ミトコンドリア脳筋症、片頭痛 パーキンソン病、低酸素脳症、脳動脈硬化 、躁うつ病、慢性疲労症候群、頭蓋内圧亢 症、正常圧水頭症、クモ膜下出血後の脳血 攣縮、手術及び血管内手術時の脳虚血の防 、アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞、 原性脳塞栓症、又はアルツハイマー症であ 上記4記載のミトコンドリア障害脳疾患診断 。

 また、本発明は、下記のような態様を含む
6.(A)一般式(1)
  R 2 R 1 NCH 2 COCH 2 CH 2 COR 3    (1)
(式中、R 1 及びR 2 は各々独立に、水素原子、アルキル基、アシ ル基、アルコキシカルボニル基、アリール基 又はアラルキル基を示し;R 3 はヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキ シ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリ ールオキシ基、アラルキルオキシ基又はアミ ノ基を示す。)
で表されるδ-アミノレブリン酸、その誘導体 又はそれらの塩、と(B)鉄化合物とを有効量投 与することを含むミトコンドリア障害脳疾患 の治療方法。
7. 一般式(1)
  R 2 R 1 NCH 2 COCH 2 CH 2 COR 3    (1)
(式中、R 1 及びR 2 は各々独立に、水素原子、アルキル基、アシ ル基、アルコキシカルボニル基、アリール基 又はアラルキル基を示し;R 3 はヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキ シ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリ ールオキシ基、アラルキルオキシ基又はアミ ノ基を示す。)
で表されるδ-アミノレブリン酸、その誘導体 又はそれらの塩を有効量投与することを含む ミトコンドリア障害脳疾患の診断方法。

8. 一般式(1)
  R 2 R 1 NCH 2 COCH 2 CH 2 COR 3    (1)
(式中、R 1 及びR 2 は各々独立に、水素原子、アルキル基、アシ ル基、アルコキシカルボニル基、アリール基 又はアラルキル基を示し;R 3 はヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキ シ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリ ールオキシ基、アラルキルオキシ基又はアミ ノ基を示す。)
で表されるδ-アミノレブリン酸、その誘導体 又はそれらの塩、と(B)鉄化合物、とを投与し 、検体の脳から一部を取り出し、該脳の一部 分をミトコンドリア活性染色剤を用いて処理 し、染色状態により、ミトコンドリア活性を 評価すること、を含むミトコンドリア脳障害 脳疾患の診断方法。
9.ミトコンドリア活性染色剤が、TTC(2,3,5-triphe nyltetraolium hydorochloride)である上記7記載のミ コンドリア障害脳疾患の診断方法。
10.(A)一般式(1)
  R 2 R 1 NCH 2 COCH 2 CH 2 COR 3    (1)
(式中、R 1 及びR 2 は各々独立に、水素原子、アルキル基、アシ ル基、アルコキシカルボニル基、アリール基 又はアラルキル基を示し;R 3 はヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキ シ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリ ールオキシ基、アラルキルオキシ基又はアミ ノ基を示す。)
で表されるδ-アミノレブリン酸、その誘導体 又はそれらの塩、と(B)鉄化合物のミトコンド リア障害脳疾患の治療剤の製造のための使用 。
尚、本発明のミトコンドリア障害脳疾患治療 剤は、ミトコンドリア障害脳疾患治療用組成 物を包含する。

 本発明のミトコンドリア障害脳疾患診断 によれば、脳梗塞等の脳疾患の緊急時、例 ば手術中に励起光をあてて赤色光の有無を 察することにより、疾患部位を明確に診断 ることができる。また本発明のミトコンド ア障害脳疾患治療剤によれば、脳梗塞発症 に投与することにより、特に血栓溶解療法 と併用することにより、意識障害、運動知 障害、高次脳機能障害、記銘力障害、情動 障害等の後遺症を改善することができる。

脳梗塞モデルラットの神経重症度スコ (NSS score)の変化を示す図である。 脳梗塞モデルラットの脳のTTC染色結果 示す図である。 脳梗塞モデルラットを用いたδ-ALAと鉄 合物投与群と生理食塩水投与群の神経重症 スコアの変化を示す図である。 脳梗塞モデルラットを用いたδ-ALAと鉄 合物投与群と生理食塩水投与群の体重変化 示す図である。

 本発明の脳疾患治療剤及び診断剤に用いら る(A)δ-ALA又はその誘導体は、前記一般式(1) 表される。一般式(1)中、R 1 及びR 2 で示されるアルキル基としては、炭素数1~24 直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましく、 り好ましくは炭素数1~18のアルキル基、特に 素数1~6のアルキル基が好ましい。炭素数1~6 アルキル基としては、メチル基、エチル基 n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基 、sec-ブチル基等が挙げられる。アシル基と ては、炭素数1~12の直鎖又は分岐鎖のアルカ イル基、アルケニルカルボニル基又はアロ ル基が好ましく、特に炭素数1~6のアルカノ ル基が好ましい。当該アシル基としては、 ルミル基、アセチル基、プロピオニル基、 チリル基等が挙げられる。アルコキシカル ニル基としては、総炭素数2~13のアルコキシ カルボニル基が好ましく、特に炭素数2~7のア ルコキシカルボニル基が好ましい。当該アル コキシカルボニル基としては、メトキシカル ボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポ シカルボニル基、イソプロポキシカルボニ 基等が挙げられる。アリール基としては、 素数6~16のアリール基が好ましく、例えば、 フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。ア ラルキル基としては、炭素数6~16のアリール と上記炭素数1~6のアルキル基とからなる基 好ましく、例えば、ベンジル基等が挙げら る。

 R 3 で示されるアルコキシ基としては、炭素数1~2 4の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基が好まし 、より好ましくは炭素数1~16のアルコキシ基 特に炭素数1~12のアルコキシ基が好ましい。 当該アルコキシ基としては、メトキシ基、エ トキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ 、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブト シ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオ キシ基、ネオペンチルオキシ基、tert-ペンチ オキシ基、2-メチルブチルオキシ基、n-ヘキ シルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、3-メ ルペンチルオキシ基、エチルブチルオキシ 、シクロヘキシルオキシ基、オクチルオキ 基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基等 挙げられる。アシルオキシ基としては、炭 数1~12の直鎖又は分岐鎖のアルカノイルオキ シ基が好ましく、特に炭素数1~6のアルカノイ ルオキシ基が好ましい。当該アシルオキシ基 としては、アセトキシ基、プロピオニルオキ シ基、ブチリルオキシ基等が挙げられる。ア ルコキシカルボニルオキシ基としては、総炭 素数2~13のアルコキシカルボニルオキシ基が ましく、特に総炭素数2~7のアルコキシカル ニルオキシ基が好ましい。当該アルコキシ ルボニルオキシ基としては、メトキシカル ニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ 、n-プロポキシカルボニルオキシ基、イソプ ロポキシカルボニルオキシ基等が挙げられる 。アリールオキシ基としては、炭素数6~16の リールオキシ基が好ましく、例えば、フェ キシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる アラルキルオキシ基としては、前記アラル ル基を有するものが好ましく、例えば、ベ ジルオキシ基等が挙げられる。

 一般式(1)中、R 1 及びR 2 としては水素原子が好ましい。R 3 としてはヒドロキシ基、アルコキシ基又はア ラルキルオキシ基が好ましく、より好ましく はヒドロキシ基又は炭素数1~12のアルコキシ 、特にメトキシ基又はヘキシルオキシ基が ましい。

 δ-ALA誘導体としては、δ-アミノレブリン メチルエステル、δ-アミノレブリン酸エチ エステル、δ-アミノレブリン酸プロピルエ テル、δ-アミノレブリン酸ブチルエステル δ-アミノレブリン酸ペンチルエステル、δ- ミノレブリン酸ヘキシルエステル等がより ましく、特にδ-アミノレブリン酸メチルエ テル又はδ-アミノレブリン酸ヘキシルエス ルが好ましい。

 δ-ALA又はその誘導体の塩としては、特に 限されないが、薬学的に許容される無機酸 は有機酸の酸付加塩が好ましい。無機酸の 加塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫 塩、硝酸塩、リン酸塩等、有機酸の付加塩 しては、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酒 酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル 塩、アスコルビン酸塩等が挙げられ、特に -アミノレブリン酸塩酸塩又はδ-アミノレブ ン酸リン酸塩が好ましい。

 δ-ALA、その誘導体及びそれらの塩は、化 合成、微生物や酵素を用いる方法のいずれ 方法によっても製造できる。例えば、特開 4-9360号公報、特表平11-501914号公報、特開2006 -182753号明細書、特開2005-314361号明細書、特開 2005-314360号明細書記載の方法によって製造で る。

 本発明の脳疾患治療剤は、(A)前記δ-ALA、 の誘導体又はそれらの塩と(B)鉄化合物とが み合せて用いられるが、脳疾患診断剤には 該鉄化合物は含んでいてもよい。(B)鉄化合 としては、特に制限されず、例えば、塩化 二鉄、三二酸化鉄、鉄クロロフィリンナト ウム、フェリチン鉄、クエン酸第一鉄、ク ン酸鉄ナトリウム、クエン酸鉄アンモニウ 、フマル酸第一鉄、ピロリン酸第一鉄、ピ リン酸第二鉄、含糖酸化鉄、酢酸鉄、シュ 酸鉄、コハク酸第一鉄、コハク酸クエン酸 ナトリウム、ヘム鉄、デキストラン鉄、乳 鉄、グルコン酸第一鉄、ジエチレントリア ン五酢酸鉄ナトリウム、ジエチレントリア ン五酢酸鉄アンモニウム、ジエチレンジア ン四酢酸鉄ナトリウム、ジエチレンジアミ 五酢酸鉄アンモニウム、トリエチレンテト アミン鉄、ジカルボキシメチルグルタミン 鉄ナトリウム、ジカルボキシメチルグルタ ン酸鉄アンモニウム、クエン酸鉄コリン、 酸第一鉄、蟻酸第二鉄、シュウ酸カリウム 二鉄アンモニウム、硫酸第一鉄、硫酸第二 、硫酸鉄アンモニウム、炭酸第二鉄、塩化 一鉄、酸化鉄が挙げられる。特に医療用に 用されているクエン酸第一鉄、フマル酸第 鉄、ピロリン酸第二鉄、含糖酸化鉄、デキ トラン鉄が好ましい。

 本発明の脳疾患診断剤においては、(A)前 δ-ALA、その誘導体又はそれらの塩を含有し いればよく、(B)鉄化合物を併用してもよい また、本発明の脳疾患治療剤においては、 該成分(A)と成分(B)が組み合せてなることを 徴とする。これらの成分(A)及び成分(B)は、 の組成物(製剤)中に含まれていてもよいが 成分(A)を含む組成物(製剤)と、成分(B)を含む 組成物(製剤)との2種の製剤としてもよい。

 本発明の脳疾患診断剤及び治療剤は、(A) -ALA、その誘導体又はそれらの塩に薬学的に 容される担体を配合して、常法により調製 ることができる。剤形としては、顆粒剤、 粒剤、錠剤等の経口投与用剤;液剤、用時溶 解型粉末剤等の注射用剤;軟膏、液剤、クリ ム剤、ゲル剤等の経皮用剤;坐剤等が挙げら る。(B)鉄化合物の剤形としては、顆粒剤、 粒剤、錠剤、カプセル剤等の経口投与用剤; 液剤、用時溶解型粉末剤等の注射用剤;軟膏 液剤、クリーム剤、ゲル剤等の経皮用剤;坐 等が挙げられる。また、これら成分(A)及び 分(B)を含有する、上記の剤形であってもよ 。

 本発明の脳疾患診断剤及び治療剤の適用 象となる脳疾患は、ミトコンドリア障害性 あればよいが、例えば筋萎縮性側索硬化症 ミトコンドリア脳筋症、片頭痛、パーキン ン病、低酸素脳症、脳動脈硬化症、躁うつ 、慢性疲労症候群、頭蓋内圧亢進症、正常 水頭症、クモ膜下出血後の脳血管攣縮、手 及び血管内手術時の脳虚血の防止、アテロ ム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞、心原性脳塞 症、アルツハイマー症が挙げられる。この ち、特にアテローム血栓性脳梗塞、ラクナ 塞、心原性脳塞栓症、アルツハイマー症が ましい。ミトコンドリア活性が低下してい 状態ほど有用である。特に脳梗塞の急性期 使用するのが好ましい。

 本発明の脳疾患診断剤及び治療剤のδ-ALA はその誘導体の塩の投与方法としては、経 投与、静脈投与、筋肉内投与、患部局所投 、腹腔投与、経皮投与、経直腸投与等が挙 られ、腹腔投与、経口投与、患部局所投与 は静脈投与が好ましい。本発明の脳疾患診 剤及び治療剤の(B)鉄化合物の投与方法とし は、経口投与、静脈投与、筋肉内投与、患 局所投与、腹腔投与、経皮投与、経直腸投 等が挙げられ、腹腔投与、経口投与、患部 所投与又は静脈投与が好ましい。

 本発明の脳疾患診断剤及び治療剤の(A)δ-A LA又はその誘導体の塩の投与量としては、投 方法、投与経路、症状、体重によっても異 るが、経口投与の場合、1回に体重1kg当たり 0.001mg~10gであり、0.01~1000mgが好ましく、特に1~ 300mgが好ましい。本発明の脳疾患診断剤及び 療剤の(B)鉄化合物の投与量としては、投与 法、投与経路、症状、体重によっても異な が、経口投与の場合、1回に体重1kg当たり0.0 01mg~10gであり、0.01~1000mgが好ましく、特に0.1~1 00mgが好ましい。

 本発明の脳疾患治療剤の投与期間は、治 効果が発揮される限り特に限定されず、脳 患の種類、性別、体重、症状、投与方法を みて適宜設定できる。例えば、本発明の脳 患治療剤を脳梗塞の急性期に適用する場合 は、投与期間は特に限定されないが、発症 ら24時間以内に投与することが好ましく、 症から6時間以内に投与することが更に好ま く、3時間以内に投与することが特に好まし い。また、本発明の脳疾患治療剤を脳梗塞の 慢性期に適用する場合には、発症からできる だけ早期に投与開始することが好ましく、一 日に1回、回復状態によっては、2日以上連続 て投与することが好ましい。

 本発明の脳疾患診断剤は、前記の如く(A)δ-A LA、その誘導体又はその塩が脳疾患時におい は血液脳関門(BBB)を通過し、脳細胞のミト ンドリアに集積し、その部位でプロトポル ィリンIXに変化することを本発明者が見出し たことに基づいている。プロトポルフィリン IXは励起光により励起され、赤色光を発する とが知られている。従って、成分(A)を投与 た後、手術中に励起光を照射して赤色が観 された部位は脳疾患部位であると診断でき 。一方、脳疾患のない部位は赤色にならな 。手術中に脳疾患部位が診断できれば、脳 患部位選択的な治療を施すことができる。
 ここで、励起光としては、疾患部位からプ トポルフィリンIXの励起に基づく赤色光が 察される波長であれば良いが、350~500nmの波 の光が好ましく、390~420nmの波長の光が更に ましい。
 観察される赤色光の波長は、500~800nmであり 好ましくは600~700nmである。
 励起光により励起されたプロトポルフィリ IXから発せられる赤色光の検知方法は、特 限定されず、例えば、目視より行うことが きる。また、検出器により赤色光を検知す ことも可能である。

 本発明の脳疾患診断剤の投与後、手術中 励起光をあてる時間としては、投与方法や 織状態によって異なるが、ポルフィリン類 存在量が最大となる約0.1~10時間が好ましく 特に約0.5~5時間が好ましい。

 本発明の脳疾患治療剤において、(A)δ-ALA その誘導体又はそれらの塩と、(B)鉄化合物 を併用することによりミトコンドリア障害 疾患が治療できる理由は明らかではないが 脳疾患部位にδ-ALAが集積してプロトポルフ リンIXに変化し、当該プロトポルフィリンIX が当該脳疾患部位において鉄と錯体を形成し 、ヘモグロビンやチトクロームとして機能す ることによるものと考えられる。これにより ミトコンドリア活性が顕著に向上し、その結 果として脳疾患部位の細胞障害が改善される ものと考えられる。

 従って、本発明の脳疾患治療剤を脳梗塞 急性期に適用する場合には、脳梗塞急性期 治療に用いられる薬剤と併用するのが好ま い。このような薬剤としては、組織プラス ノーゲンアクチベータ(t-PA)、ウロキナーゼ ストレプトキナーゼ等の血栓溶解剤;ヘパリ ン、ワーファリン等の抗血液凝固剤;アスピ ン、チクロピジン、オザグレルナトリウム シロスタゾール等の抗血小板剤;低分子デキ トラン等の血液希釈剤;アルガトロバン等の 抗トロンビン剤;グリセオール、マンニトー 等の抗脳浮腫剤;エダラボン等の脳保護剤等 挙げられる。このうち、血栓溶解剤との併 は、脳梗塞部位の血流再開と、脳梗塞部位 の本発明脳疾患治療剤の到達を考えると、 に有用である。

 また、本発明では、ミトコンドリア活性染 剤であるTTC(2,3,5-triphenyltetrazolium hydrochloride) 溶液を使用して、染色することにより
ミトコンドリア障害脳疾患を診断することが できる。
 具体的には、検体の脳の一部を取り出して その切片をTTC溶液にて染色して、割面の写 を撮影し、赤く染色されたミトコンドリア 性を有するところ及び白くなる(赤く染色さ れない)ミトコンドリア活性がないところを 断することにより、ミトコンドリア障害脳 患の部位を特定することができる。
染色可能な一部分を取り出すこととしては、 通常、切片を作成することが好ましい。切片 は、通常の方法にて作成することができる。
 ミトコンドリア障害脳疾患の診断におけるT TC溶液の濃度、染色時間、温度は、通常の診 が可能となるように適宜設定されれば良い 、例えば、TTC溶液の濃度は、0.1~5%、好まし は0.5~3%、特に好ましくは1.5~2.5%である。
 TTC溶液に染色(インベキュート)させる時間 、0.1~4時間、好ましくは、10~60分、特に、好 しくは、20~40分である。
 また、TTC溶液に染色させる温度は、25~50℃ 好ましくは30~45℃、特に好ましくは35~39℃で る。
赤色、及び白色(赤く染色されない)の検知方 は、特に限定されず、例えば、目視より行 ことができる。

 本発明の脳疾患治療剤によれば、後記実 例に示すように脳梗塞が形成された後に投 しても神経重症度スコアが顕著に改善され ことから、特に脳梗塞急性期の投与により の後の神経症状、例えば意識障害、運動知 障害、高次脳機能障害、記銘力障害、情動 障害等を回復させることができると期待さ る。

 以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳 に説明するが、本発明はこれに何ら限定さ ない。

実施例1
(脳梗塞モデルラットの作成)
 Wister7週齢、雄、ラットの右中大脳動脈に直 径1.5mmナイロン糸を留置し、血流を2時間遮断 し、その後ナイロン糸を抜去し、右中大脳動 脈閉塞モデル(脳梗塞モデルラット)を作成し 。

(脳梗塞モデルラットの確認)
 作成した中大脳動脈腹閉塞モデルラットは 作成前、作成直後(0日目)、作成後1日目、3 目、5日目、7日目、10日目、14日目にNSS(Neurolo gical Severity Scores:神経重症度スコア)に従っ 評価した。図1に示すように作成したモデル ット(6匹)が重度の脳梗塞状態を示している とを確認した。

(δ-アミノレブリン酸塩酸塩による脳疾患部 の蛍光観察)
 中大脳動脈腹閉塞モデルラット作成して6時 間、12時間、24時間、42時間後に、それぞれ別 々のモデルラットにδ-アミノレブリン酸塩酸 塩を生理食塩水に溶解しラットの体重1kgあた り100mgとなるように腹腔投与した。投与4時間 後、脳内に405nmの蛍光をあて赤色光部位を全 のモデルラットで観察し、δ-ALAが代謝され プロトポルフィリンIXに変換されたことを 認した。また、赤色光部位が脳梗塞状態で ることも確認した。同様の実験を正常ラッ においても行ったが、脳内に405nmの蛍光をあ てても赤色光部位を確認することはできなか った。従って、本発明の脳疾患診断剤は、術 中に疾患組織と正常組織とを明確に判別でき る診断剤であることが分かった。

(ミトコンドリア活性の確認)
 脳梗塞モデルラットであることをNSSで確認 た後、ラットを断頭し、直ちに脳を取り出 た。脳をカミソリの刃を用いて厚さ2~3mmの 定の断面で切断した。ミトコンドリア活性 色剤であるTTC(2,3,5-triphenyltetrazolium hydrochlorid e)溶液(2%)の中で37℃、30分間インキュベート 、直ちに割面の写真を撮影し、梗塞範囲を 録した。図2により、ミトコンドリア活性を するところは赤く染色され、ミトコンドリ 活性がないところは白くなっていることが かり、右中大脳動脈閉塞を起こしていると ろが白くなっていることを確認した。

実施例2
 実施例1で作成した一過性中大脳動脈閉塞モ デルのラットを用いて、1)閉塞直後に5-ALAを 重1kgあたり100mgとなるように腹腔内投与し、 2時間後含糖酸化鉄(商品名フェジン)を体重1kg あたり2mgを静脈内投与した群(3匹)と、2)閉塞 後に生理食塩水を腹腔内投与し、2時間後に 生理食塩水を静脈内投与した群(3匹)の2群で 較した。
 モデル作成前、作成3時間後、1日後、3日後 5日後、7日後に各々、NSSの評価と体重測定 行った。図3のように、2)群に比べて1)群では 、3日後より6~8点に改善し経過した。また体 については2群で有意な差はみられなかった( 図4)。以上の結果より、δ-アミノレブリン酸 酸塩と鉄化合物によるミトコンドリア障害 疾患治療剤としての効果が確認された。

 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照 て説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱 ることなく様々な変更や修正を加えること できることは当業者にとって明らかである
 本出願は、2007年4月5日出願の日本特許出願( 特願2007-099508)に基づくものであり、その内容 はここに参照として取り込まれる。

 本発明のミトコンドリア障害脳疾患診断 によれば、脳梗塞等の脳疾患の緊急時、例 ば手術中に励起光をあてて赤色光の有無を 察することにより、疾患部位を明確に診断 ることができる。また本発明のミトコンド ア障害脳疾患治療剤によれば、脳梗塞発症 に投与することにより、特に血栓溶解療法 と併用することにより、意識障害、運動知 障害、高次脳機能障害、記銘力障害、情動 障害等の後遺症を改善することができる。