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Title:
TETRA- OR PENTA-CYCLIC LIQUID CRYSTALLINE COMPOUND HAVING LATERAL FLUORINE, LIQUID CRYSTAL COMPOSITION, AND LIQUID CRYSTAL DISPLAY ELEMENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/031437
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a liquid crystalline compound which has stability to heat, light and the like, exhibits a nematic phase in a wide temperature range, has a low viscosity, adequate optical anisotropy and an adequate elastic coefficient K33, and also has adequate negative dielectric anisotropy and excellent compatibility with other liquid crystalline compound. Also disclosed is a liquid crystal composition comprising the compound, which has stability to heat, light and the like, has a low viscosity, large optical anisotropy, adequate negative dielectric anisotropy and an adequate elastic coefficient K33, also has a low threshold voltage, and exhibits a nematic phase having a high upper-limit temperature (i.e., a nematic-to-isotropic phase transition temperature) and a low lower-limit temperature. Specifically disclosed is a liquid crystalline compound which has a fluorine in the lateral position, and which has a specific structure having a phenylene in which a hydrogen on the benzene ring is substituted by a fluorine. Also specifically disclosed is a liquid crystal composition comprising the compound.

Inventors:
KOBAYASHI MASAHIDE (JP)
SHIMADA TERU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/065187
Publication Date:
March 12, 2009
Filing Date:
August 26, 2008
Export Citation:
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Assignee:
CHISSO CORP (JP)
CHISSO PETROCHEMICAL CORP (JP)
KOBAYASHI MASAHIDE (JP)
SHIMADA TERU (JP)
International Classes:
C07C43/225; C07D309/06; C07D319/06; C09K19/30; C09K19/34; G02F1/13; G02F1/139
Domestic Patent References:
WO1998023564A11998-06-04
WO1989002425A11989-03-23
WO1991010936A11991-07-25
Foreign References:
JP2006328395A2006-12-07
JPH024725A1990-01-09
JPH02501071A1990-04-12
DE3839213A11990-05-23
JP2003286208A2003-10-10
JP2004531508A2004-10-14
JP2008088165A2008-04-17
JPH02503441A1990-10-18
JPH11116512A1999-04-27
JP2003286208A2003-10-10
JP2007002132A2007-01-11
US5576867A1996-11-19
Other References:
See also references of EP 2206695A4
"ORGANIC SYNTHESES", JOHN WILEY & SONS
"ORGANIC REACTIONS", JOHN WILEY & SONS, INC
"COMPREHENSIVE ORGANIC SYNTHESIS", PERGAMON PRESS
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M. IMAI ET AL., MOLECULAR CRYSTALS AND LIQUID CRYSTALS, vol. 259, 1997, pages 37
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Claims:
 式(a)で表される化合物。

式(a)において、R 1 およびR 2 は独立して、水素、炭素数1~10のアルキル、または炭素数2~10のアルケニルであり、これらにおいて、相隣接しない-CH 2 -は-O-または-S-で置き換えられていてもよく、水素はフッ素で置き換えられていてもよく;
環A 1 および環A 2 は独立して、トランス-1,4-シクロへキシレン、シクロヘキセン-1,4-ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル、ピリミジン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル、または1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイルであり、これらの環において水素はフッ素で置き換えられていてもよく;
環A 3 はトランス-1,4-シクロへキシレン、シクロヘキセン-1,4-ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル、ピリミジン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、1,4-フェニレン、ナフタレン-2,6-ジイル、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル、または1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイルであり、これらの環において水素はフッ素で置き換えられていてもよく;
L 1 およびL 2 は独立して、水素またはフッ素であり、これらのうち少なくとも一方はフッ素であり;
Z 1 、Z 2 およびZ 3 は独立して、単結合、-(CH 2 ) 2 -、-(CH 2 ) 4 -、-CH=CH-、-C≡C-、-CH 2 O-、-OCH 2 -、-COO-、-OCO-、-CF 2 O-、または-OCF 2 -であり;
lおよびmは独立して、0、1または2であり、nは1または2であり、l+m+nは2または3である。
 式(a)において、R 1 が水素、炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアルケニル、炭素数1~9のアルコキシ、炭素数2~9のアルコキシアルキル、または炭素数2~9のアルケニルオキシであり;
R 2 が、炭素数1~10のアルキル、炭素数1~9のアルコキシまたは炭素数2~9のアルケニルオキシである請求項1に記載の化合物。
 式(a-1)で表される請求項1に記載の化合物。

式(a-1)において、R 3 は、炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアルケニル、炭素数1~9のアルコキシ、炭素数2~9のアルコキシアルキル、または炭素数2~9のアルケニルオキシであり;
R 4 は、炭素数1~9のアルコキシまたは炭素数2~9のアルケニルオキシであり;
環A 4 およびA 5 は独立して、トランス-1,4-シクロへキシレン、シクロヘキセン-1,4-ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル、またはピリミジン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイルであり;
L 3 およびL 4 は独立して、水素またはフッ素であり、これらのうち少なくとも一方はフッ素であり;
Z 4 およびZ 5 は独立して、単結合、-(CH 2 ) 2 -、-(CH 2 ) 4 -、-CH=CH-、-C≡C-、-CH 2 O-、-OCH 2 -、-COO-、または-OCO-であり;
oおよびpは独立して、0または1であり、o+pは1または2である。
 式(a-2)で表される請求項3に記載の化合物。

式(a-2)において、R 5 は、炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアルケニル、炭素数1~9のアルコキシ、炭素数2~9のアルコキシアルキル、または炭素数2~9のアルケニルオキシであり;
R 6 は、炭素数1~9のアルコキシまたは炭素数2~9のアルケニルオキシであり;
環A 6 は、トランス-1,4-シクロへキシレン、シクロヘキセン-1,4-ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、またはテトラヒドロピラン-2,5-ジイルであり;
L 5 およびL 6 は独立して、水素またはフッ素であり、これらのうち少なくとも一方はフッ素であり;
Z 6 は単結合、-(CH 2 ) 2 -、-CH 2 O-、-OCH 2 -、-COO-、または-OCO-である。
 式(a-3)で表される請求項3に記載の化合物。

式(a-3)において、R 7 は、炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアルケニル、炭素数1~9のアルコキシ、炭素数2~9のアルコキシアルキル、または炭素数2~9のアルケニルオキシであり;
R 8 は、炭素数1~9のアルコキシまたは炭素数2~9のアルケニルオキシであり;
環A 7 およびA 8 は独立して、トランス-1,4-シクロへキシレン、シクロヘキセン-1,4-ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、またはテトラヒドロピラン-2,5-ジイルであり;
L 7 およびL 8 は、共にフッ素、または一方が水素で他方がフッ素である。
 式(a-4)~(a-6)で表される請求項4に記載の化合物。

式(a-4)~(a-6)において、R 9 は、炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアルケニル、炭素数1~9のアルコキシ、炭素数2~9のアルコキシアルキル、または炭素数2~9のアルケニルオキシであり;
R 10 は、炭素数1~9のアルコキシまたは炭素数2~9のアルケニルオキシであり;
環A 9 は、トランス-1,4-シクロへキシレン、シクロヘキセン-1,4-ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、またはテトラヒドロピラン-2,5-ジイルである。
 式(a-7)~(a-9)で示される請求項6に記載の化合物。

式(a-7)~(a-9)において、R 11 は、炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアルケニルまたは炭素数1~9のアルコキシであり;
R 12 は、炭素数1~9のアルコキシまたは炭素数2~9のアルケニルオキシである。
 式(a-10)~(a-12)で示される請求項6に記載の化合物。

式(a-10)~(a-12)において、R 13 は、炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアルケニルまたは炭素数1~9のアルコキシであり;
R 14 は、炭素数1~9のアルコキシまたは炭素数2~9のアルケニルオキシである。
 式(a-13)~(a-18)で示される請求項6に記載の化合物。


式(a-13)~(a-18)において、R 15 は、炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアルケニルまたは炭素数1~9のアルコキシであり;
R 16 は、炭素数1~9のアルコキシまたは炭素数2~9のアルケニルオキシである。
 式(a-19)~(a-24)で示される請求項6に記載の化合物。


式(a-19)~(a-24)において、R 17 は、炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアルケニルまたは炭素数1~9のアルコキシであり:
R 18 は、炭素数1~9のアルコキシまたは炭素数2~9のアルケニルオキシである。
 請求項1~10のいずれか1項に記載される化合物から選択される少なくとも1つの化合物である第一成分と、式(e-1)、式(e-2)、および式(e-3)で表される化合物群から選択される少なくとも1つの化合物である第二成分とを含有する誘電率異方性が負である液晶組成物。

式中、Ra 11 、およびRb 11 は独立して、炭素数1~10のアルキルであるが、このアルキル中において、相隣接しない-CH 2 -は-O-で置き換えられていてもよく、相隣接しない-(CH 2 ) 2 -は-CH=CH-で置き換えられていてもよく、水素はフッ素で置き換えられていてもよく;
環A 11 、環A 12 、環A 13 、および環A 14 は、独立して、トランス-1,4-シクロへキシレン、1,4-フェニレン、2-フルオロ-1,4-フェニレン、3-フルオロ-1,4-フェニレン、ピリミジン-2,5-ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、またはテトラヒドロピラン-2,5-ジイルであり;
Z 11 、Z 12 、およびZ 13 は、独立して、単結合、-CH 2 -CH 2 -、-CH=CH-、-C≡C-、-COO-、または-CH 2 O-である。
 請求項6に記載の化合物群から選択される少なくとも1つの化合物である第一成分と請求項11に記載された式(e-1)、式(e-2)、および式(e-3)で表される化合物群から選択される少なくとも1つの化合物である第二成分とを含有する誘電率異方性が負である液晶組成物。
 液晶組成物の全重量に基づいて、第一成分の含有割合が5~60重量%の範囲であり、第二成分の含有割合が40~95重量%の範囲である、請求項12に記載の液晶組成物。
 第一成分、および第二成分に加えて、式(g-1)~(g-6)で表される化合物群から選択される少なくとも1つの化合物である第三成分を含有する請求項11または12に記載の液晶組成物。

式(g-1)~(g-6)において、Ra 21 、およびRb 21 は独立して、水素、または炭素数1~10のアルキルであり、このアルキル中において、相隣接しない-CH 2 -は-O-で置き換えられていてもよく、相隣接しない-(CH 2 ) 2 -は-CH=CH-で置き換えられていてもよく、水素はフッ素で置き換えられていてもよく;
環A 21 、環A 22 、および環A 23 は独立して、トランス-1,4-シクロへキシレン、1,4-フェニレン、2-フルオロ-1,4-フェニレン、3-フルオロ-1,4-フェニレン、2,3-ジフルオロ-1,4-フェニレン、ピリミジン-2,5-ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、またはテトラヒドロピラン-2,5-ジイルであり;
Z 21 、Z 22 、およびZ 23 は独立して、単結合、-CH 2 -CH 2 -、-CH=CH-、-C≡C-、-OCF 2 -、-CF 2 O-、-OCF 2 CH 2 CH 2 -、-CH 2 CH 2 CF 2 O-、-COO-、-OCO-、-OCH 2 -、または-CH 2 O-であり;
Y 1 、Y 2 、Y 3 、およびY 4 は、独立して、フッ素または塩素であり;
q、r、およびsは、独立して0、1、または2であり、q+rは1または2であり、q+r+sは1、2、または3であり;
tは0、1、または2である。
 第一成分、および第二成分に加えて、式(h-1)~(h-7)で表される化合物群から選択される少なくとも1つの化合物である第三成分を含有する請求項11または12に記載の液晶組成物。

式(h-1)~(h-7)において、Ra 22 およびRb 22 は独立して、炭素数1~8の直鎖アルキル、炭素数2~8の直鎖アルケニルまたは炭素数1~7のアルコキシであり;
Z 24 、Z 25 、およびZ 26 は、単結合、-CH 2 CH 2 -、-CH 2 O-、または-OCH 2 -であり;
Y 1 、およびY 2 は、共にフッ素、または一方がフッ素で他方が塩素である。
 請求項6に記載される化合物から選択される少なくとも1つの化合物である第一成分と、請求項11に記載される式(e-1)、式(e-2)、および式(e-3)で表される化合物群から選択される少なくとも1つの化合物である第二成分と、請求項15に記載される式(h-1)~(h-7)で表される化合物群から選択される少なくとも1つの化合物である第三成分を含有する誘電率異方性が負である液晶組成物。
 液晶組成物の全重量に基づいて、第一成分の含有割合が5~60重量%の範囲であり、第二成分の含有割合が20~75重量%の範囲であり、第三成分の含有割合が20~75重量%の範囲である、請求項14~16のいずれか1項に記載の液晶組成物。
 請求項11~17のいずれか1項に記載の液晶組成物を含有する液晶表示素子。
 液晶表示素子の動作モードが、VAモードまたはIPSモードであり、液晶表示素子の駆動方式がアクティブマトリックス方式である、請求項18に記載の液晶表示素子。
Description:
ラテラルフッ素を有する4、5環 晶性化合物、液晶組成物および液晶表示素

 本発明は液晶性化合物、液晶組成物およ 液晶表示素子に関する。さらに詳しくは液 性化合物であるラテラル位にフッ素を有す フルオロベンゼン誘導体、この化合物を含 したネマチック相を有する液晶組成物、お びこの組成物を含有する液晶表示素子に関 る。

 液晶表示パネル、液晶表示モジュール等 代表される液晶表示素子は、液晶性化合物( 本発明では、ネマチック相、スメクチック相 などの液晶相を有する化合物、および液晶相 を有しないが液晶組成物の成分として有用な 化合物の総称を意味する。)が有する光学異 性、誘電率異方性などを利用したものであ が、この液晶表示素子の動作モードとして 、PC(phase change)モード、TN(twisted nematic)モー 、STN(super twisted nematic)モード、BTN(bistable t wisted nematic)モード、ECB(electrically controlled bi refringence)モード、OCB(optically compensated bend)モ ード、IPS(in-plane switching)モード、VA(vertical al ignment)モードなどの様々なモードが知られて る。

 これら動作モードの中でもECBモード、IPS ード、VAモードなどは、液晶分子の垂直配 性を利用した動作モードであり、特にIPSモ ドおよびVAモードは、TNモード、STNモード等 従来の表示モードの欠点である視野角の狭 を改善可能であることが知られている。

 そして、従来からこれら動作モードの液 表示素子に使用可能な、負の誘電率異方性 有する液晶組成物の成分として、ベンゼン 上の水素がフッ素で置き換えられた液晶性 合物が数多く検討されてきている(例えば、 特許文献1~6参照。)。

 例えばベンゼン環上の水素がフッ素で置 換えられた化合物(A)および(B)が検討されて る(特許文献1および2参照)。しかし、このよ うな化合物は高い透明点を示さない。

 また、ラテラル位にフッ素を有するター ェニル化合物(C)が検討されている(特許文献 3参照)。しかし、この化合物は融点が高く、 明点が低い。

 また、ラテラル位にフッ素を有するクオ ーフェニル化合物(D)が検討されている(特許 文献4参照)。しかし、化合物(D)は相溶性に乏 く、ネマチック転移温度が高い。

 また、結合基とラテラル位フッ素を持つ 合物(E)が検討されている(特許文献5参照)。 かし、化合物(E)は結合基を持つため透明点 低い。

特表平02-503441号公報

国際公開第89/02425号パンフレット

特開平11-116512号公報

特開2003-286208号公報

特開2007-002132号公報

 したがって、IPSモードおよびVAモード等 動作モードの液晶表示素子であっても、CRT 比較すれば表示素子としてはいまだ問題が り、例えば、応答速度の向上、コントラス の向上、駆動電圧の低下が望まれている。

 上述したIPSモード、あるいはVAモードで動 する表示素子は、主として、負の誘電率異 性を有する液晶組成物から構成されている 、これらの特性等をさらに向上させるため は、この液晶組成物に含まれる液晶性化合 が、以下(1)~(8)で示す特性を有することが必 である。すなわち、
(1)化学的に安定であること、および物理的に 安定であること、
(2)高い透明点(液晶相-等方相の転移温度)を有 すること、
(3)液晶相(ネマチック相、スメクチック相等) 下限温度、特にネマチック相の下限温度が いこと、
(4)粘度が小さいこと、
(5)適切な光学異方性を有すること、
(6)適切な負の誘電率異方性を有すること、
(7)適切な弾性定数K 33 (K 33 :ベンド弾性定数)を有すること、および
(8)他の液晶性化合物との相溶性に優れること 、
である。

 (1)のように化学的、物理的に安定な液晶性 合物を含む組成物を表示素子に用いると、 圧保持率を大きくすることができる。
 また、(2)および(3)のように、高い透明点、 るいは液晶相の低い下限温度を有する液晶 化合物を含む組成物ではネマチック相の温 範囲を広げることが可能となり、幅広い温 領域で表示素子として使用することが可能 なる。

 さらに、(4)のように粘度の小さい化合物、 よび(7)のように大きな弾性定数K 33 を有する化合物を含む組成物を表示素子とし て用いると応答速度を向上することができ、 (5)のように適切な光学異方性を有する化合物 を含む組成物を用いた表示素子の場合は、表 示素子のコントラストの向上を図ることがで きる。素子の設計次第では、光学異方性は小 さいものから大きなものまで必要である。最 近ではセル厚を薄くすることにより応答速度 を改善する手法が検討されており、それに伴 い、大きな光学異方性を有する液晶組成物も 必要となっている。

 加えて、液晶性化合物が負に大きな誘電率 方性を有する場合には、この化合物を含む 晶組成物のしきい値電圧を低くすることが きるので、(6)のように適切な負の誘電率異 性を有する化合物を含む組成物を用いた表 素子の場合には、表示素子の駆動電圧を低 し、消費電力も小さくすることができる。 らに(7)のように小さな弾性定数K 33 を有する化合物を含む組成物を表示素子とし て用いることで表示素子の駆動電圧を小さく することができ、消費電力も小さくすること ができる。

 液晶性化合物は、単一の化合物では発揮 ることが困難な特性を発現させるために、 の多くの液晶性化合物と混合して調製した 成物として用いることが一般的である。し がって、表示素子に用いる液晶性化合物は (8)のように、他の液晶性化合物等との相溶 が良好であることが好ましい。また、表示 子は、氷点下を含め幅広い温度領域で使用 ることもあるので、低い温度領域から良好 相溶性を示す化合物であることが好ましい 合もある。

 本発明の第一の目的は、熱、光などに対す 安定性を有し、広い温度範囲でネマチック となり、粘度が小さく、適切な光学異方性 および適切な弾性定数K 33 を有し、さらに、適切な負の誘電率異方性、 および他の液晶性化合物との優れた相溶性を 有する液晶性化合物を提供することである。

 本発明の第二の目的は、熱、光などに対す 安定性を有し、粘度が低く、適切な光学異 性、および適切な負の誘電率異方性を有し 適切な弾性定数K 33 を有し、しきい値電圧が低く、さらに、この 化合物を含有して、ネマチック相の上限温度 (ネマチック相-等方相の相転移温度)が高く、 ネマチック相の下限温度が低いといった諸特 性において、少なくとも1つの特性を充足す 液晶組成物を提供することである。さらに 、少なくとも2つの特性に関して適切なバラ スを有する液晶組成物を提供することであ 。

 本発明の第三の目的は、応答時間が短く 消費電力および駆動電圧が小さく、大きな ントラストを有し、広い温度範囲で使用可 である、上記組成物を含有する液晶表示素 を提供することである。

 本発明者らはこれらの課題に鑑み鋭意研究 行った結果、ベンゼン環上の水素がフッ素 置き換えられたフェニレンを有する特定構 の中において、ラテラル位にフッ素を有す 4、5環液晶性化合物が、熱、光などに対す 安定性を有し、広い温度範囲でネマチック となり、粘度が小さく、適切な光学異方性 および適切な弾性定数K 33 を有し、さらに、適切な負の誘電率異方性、 および他の液晶性化合物との優れた相溶性を 有していること、また、この化合物を含有す る液晶組成物が、熱、光などに対する安定性 を有し、粘度が小さく、適切な光学異方性、 適切な弾性定数K 33 、および適切な負の誘電率異方性を有し、し きい値電圧が低く、さらに、ネマチック相の 上限温度が高く、ネマチック相の下限温度が 低いこと、さらに、この組成物を含有する液 晶表示素子が、応答時間が短く、消費電力お よび駆動電圧が小さく、コントラスト比が大 きく、広い温度範囲で使用可能であることを 見いだし、本発明を完成するに到った。

 すなわち、本発明は、以下〔1〕~〔16〕に記 載された事項などを有している。
 〔1〕:式(a)で表される化合物。

式(a)において、R 1 およびR 2 は独立して、水素、炭素数1~10のアルキル、 たは炭素数2~10のアルケニルであり、これら おいて、相隣接しない-CH 2 -は-O-、-S-で置き換えられていてもよく、水 はフッ素で置き換えられていてもよく;
環A 1 および環A 2 は独立して、トランス-1,4-シクロへキシレン シクロヘキセン-1,4-ジイル、1,3-ジオキサン- 2,5-ジイル、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル、 ピリミジン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル ナフタレン-2,6-ジイル、デカヒドロナフタレ ン-2,6-ジイル、または1,2,3,4-テトラヒドロナ タレン-2,6-ジイルであり、これらの環におい て水素はフッ素で置き換えられていてもよく ;
環A 3 はトランス-1,4-シクロへキシレン、シクロヘ セン-1,4-ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル テトラヒドロピラン-2,5-ジイル、ピリミジン -2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、1,4-フェニ ン、ナフタレン-2,6-ジイル、デカヒドロナ タレン-2,6-ジイル、または1,2,3,4-テトラヒド ナフタレン-2,6-ジイルであり、これらの環 おいて水素はフッ素で置き換えられていて よく;
L 1 およびL 2 は独立して、水素またはフッ素であり、これ らのうち少なくとも一方はフッ素であり;
Z 1 、Z 2 およびZ 3 は独立して、単結合、-(CH 2 ) 2 -、-(CH 2 ) 4 -、-CH=CH-、-C≡C-、-CH 2 O-、-OCH 2 -、-COO-、-OCO-、-CF 2 O-、または-OCF 2 -であり;
lおよびmは独立して、0、1または2であり、nは 1または2であり、l+m+nは2または3である。

 〔2〕:式(a)において、R 1 が水素、炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10の ルケニル、炭素数1~9のアルコキシ、炭素数2 ~9のアルコキシアルキル、または炭素数2~9の ルケニルオキシであり;
R 2 が、炭素数1~10のアルキル、炭素数1~9のアル キシまたは炭素数2~9のアルケニルオキシで る項〔1〕に記載の化合物。

 〔3〕:式(a-1)で表される項〔1〕に記載の化 物。

式(a-1)において、R 3 は、炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアル ニル、炭素数1~9のアルコキシ、炭素数2~9の ルコキシアルキル、または炭素数2~9のアル ニルオキシであり;
R 4 は、炭素数1~9のアルコキシまたは炭素数2~9の アルケニルオキシであり;
環A 4 およびA 5 は独立して、トランス-1,4-シクロへキシレン シクロヘキセン-1,4-ジイル、1,3-ジオキサン- 2,5-ジイル、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル、 またはピリミジン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5- イルであり;
L 3 およびL 4 は独立して、水素またはフッ素であり、これ らのうち少なくとも一方はフッ素であり;
Z 4 およびZ 5 は独立して、単結合、-(CH 2 ) 2 -、-(CH 2 ) 4 -、-CH=CH-、-C≡C-、-CH 2 O-、-OCH 2 -、-COO-、または-OCO-であり;
oおよびpは独立して、0または1であり、o+pは1 たは2である。

〔4〕:式(a-2)で表される項〔3〕に記載の化合 。

式(a-2)において、R 5 は、炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアル ニル、炭素数1~9のアルコキシ、炭素数2~9の ルコキシアルキル、または炭素数2~9のアル ニルオキシであり;
R 6 は、炭素数1~9のアルコキシまたは炭素数2~9の アルケニルオキシであり;
環A 6 は、トランス-1,4-シクロへキシレン、シクロ キセン-1,4-ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイ 、またはテトラヒドロピラン-2,5-ジイルであ り;
L 5 およびL 6 は独立して、水素またはフッ素であり、これ らのうち少なくとも一方はフッ素であり;
Z 6 は単結合、-(CH 2 ) 2 -、-CH 2 O-、-OCH 2 -、-COO-、または-OCO-である。

 〔5〕:式(a-3)で表される項〔3〕に記載の化 物。

式(a-3)において、R 7 は、炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアル ニル、炭素数1~9のアルコキシ、炭素数2~9の ルコキシアルキル、または炭素数2~9のアル ニルオキシであり;
R 8 は、炭素数1~9のアルコキシまたは炭素数2~9の アルケニルオキシであり;
環A 7 およびA 8 は独立して、トランス-1,4-シクロへキシレン シクロヘキセン-1,4-ジイル、1,3-ジオキサン- 2,5-ジイル、またはテトラヒドロピラン-2,5-ジ イルであり;
L 7 およびL 8 は、共にフッ素、または一方が水素で他方が フッ素である。

〔6〕:式(a-4)~(a-6)で表される項〔4〕に記載の 合物。

式(a-4)~(a-6)において、R 9 は、炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアル ニル、炭素数1~9のアルコキシ、炭素数2~9の ルコキシアルキル、または炭素数2~9のアル ニルオキシであり;
R 10 は、炭素数1~9のアルコキシまたは炭素数2~9の アルケニルオキシであり;
環A 9 は、トランス-1,4-シクロへキシレン、シクロ キセン-1,4-ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイ 、またはテトラヒドロピラン-2,5-ジイルであ る。

 〔7〕:式(a-7)~(a-9)で示される項〔6〕に記載 化合物。

式(a-7)~(a-9)において、R 11 は、炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアル ニルまたは炭素数1~9のアルコキシであり;
R 12 は、炭素数1~9のアルコキシまたは炭素数2~9の アルケニルオキシである。

 〔8〕:式(a-10)~(a-12)で示される項〔6〕に記載 の化合物。

式(a-10)~(a-12)において、R 13 は、炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアル ニルまたは炭素数1~9のアルコキシであり;
R 14 は、炭素数1~9のアルコキシまたは炭素数2~9の アルケニルオキシである。

 〔9〕:式(a-13)~(a-18)で示される項〔6〕に記載 の化合物。

式(a-13)~(a-18)において、R 15 は、炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアル ニルまたは炭素数1~9のアルコキシであり;
R 16 は、炭素数1~9のアルコキシまたは炭素数2~9の アルケニルオキシである。

 〔10〕:式(a-19)~(a-24)で示される項〔6〕に記 の化合物。

式(a-19)~(a-24)において、R 17 は、炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアル ニルまたは炭素数1~9のアルコキシであり:
R 18 は、炭素数1~9のアルコキシまたは炭素数2~9の アルケニルオキシである。

〔11〕:項〔1〕~〔10〕のいずれか1項に記載 れる化合物から選択される少なくとも1つの 化合物である第一成分と、式(e-1)、式(e-2)、 よび式(e-3)で表される化合物群から選択され る少なくとも1つの化合物である第二成分と 含有する誘電率異方性が負である液晶組成 。

式中、Ra 11 、およびRb 11 は独立して、炭素数1~10のアルキルであるが このアルキル中において、相隣接しない-CH 2 -は-O-で置き換えられていてもよく、相隣接 ない-(CH 2 ) 2 -は-CH=CH-で置き換えられていてもよく、水素 フッ素で置き換えられていてもよく;
環A 11 、環A 12 、環A 13 、および環A 14 は、独立して、トランス-1,4-シクロへキシレ 、1,4-フェニレン、2-フルオロ-1,4-フェニレ 、3-フルオロ-1,4-フェニレン、ピリミジン-2,5 -ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、または トラヒドロピラン-2,5-ジイルであり;
Z 11 、Z 12 、およびZ 13 は、独立して、単結合、-CH 2 -CH 2 -、-CH=CH-、-C≡C-、-COO-、または-CH 2 O-である。

〔12〕:項〔6〕に記載の化合物群から選択 れる少なくとも1つの化合物である第一成分 請求項11に記載された式(e-1)、式(e-2)、およ 式(e-3)で表される化合物群から選択される なくとも1つの化合物である第二成分とを含 する誘電率異方性が負である液晶組成物。

〔13〕:液晶組成物の全重量に基づいて、第 一成分の含有割合が5~60重量%の範囲であり、 二成分の含有割合が40~95重量%の範囲である 項〔12〕に記載の液晶組成物。

〔14〕:第一成分、および第二成分に加えて、 式(g-1)~(g-6)で表される化合物群から選択され 少なくとも1つの化合物である第三成分を含 有する項〔11〕または〔12〕に記載の液晶組 物。

式(g-1)~(g-6)において、Ra 21 、およびRb 21 は独立して、水素、または炭素数1~10のアル ルであり、このアルキル中において、相隣 しない-CH 2 -は-O-で置き換えられていてもよく、相隣接 ない-(CH 2 ) 2 -は-CH=CH-で置き換えられていてもよく、水素 フッ素で置き換えられていてもよく;
環A 21 、環A 22 、および環A 23 は独立して、トランス-1,4-シクロへキシレン 1,4-フェニレン、2-フルオロ-1,4-フェニレン 3-フルオロ-1,4-フェニレン、2,3-ジフルオロ-1, 4-フェニレン、ピリミジン-2,5-ジイル、1,3-ジ キサン-2,5-ジイル、またはテトラヒドロピ ン-2,5-ジイルであり;
Z 21 、Z 22 、およびZ 23 は独立して、単結合、-CH 2 -CH 2 -、-CH=CH-、-C≡C-、-OCF 2 -、-CF 2 O-、-OCF 2 CH 2 CH 2 -、-CH 2 CH 2 CF 2 O-、-COO-、-OCO-、-OCH 2 -、または-CH 2 O-であり;
Y 1 、Y 2 、Y 3 、およびY 4 は、独立して、フッ素または塩素であり;
q、r、およびsは、独立して0、1、または2であ り、q+rは1または2であり、q+r+sは1、2、または 3であり;
tは0、1、または2である。

〔15〕:第一成分、および第二成分に加えて 、式(h-1)~(h-7)で表される化合物群から選択さ る少なくとも1つの化合物である第三成分を 含有する項〔11〕または〔12〕に記載の液晶 成物。

式(h-1)~(h-7)において、Ra 22 およびRb 22 は独立して、炭素数1~8の直鎖アルキル、炭素 数2~8の直鎖アルケニルまたは炭素数1~7のアル コキシであり;
Z 24 、Z 25 、およびZ 26 は、単結合、-CH 2 CH 2 -、-CH 2 O-、または-OCH 2 -であり;
Y 1 、およびY 2 は、共にフッ素、または一方がフッ素で他方 が塩素である。

〔16〕:項〔6〕に記載される化合物から選 される少なくとも1つの化合物である第一成 と、請求項11に記載される式(e-1)、式(e-2)、 よび式(e-3)で表される化合物群から選択さ る少なくとも1つの化合物である第二成分と 請求項15に記載される式(h-1)~(h-7)で表される 化合物群から選択される少なくとも1つの化 物である第三成分を含有する誘電率異方性 負である液晶組成物。

〔17〕:液晶組成物の全重量に基づいて、第 一成分の含有割合が5~60重量%の範囲であり、 二成分の含有割合が20~75重量%の範囲であり 第三成分の含有割合が20~75重量%の範囲であ 、項〔14〕~〔16〕のいずれか1項に記載の液 組成物。

〔18〕:項〔11〕~〔17〕のいずれか1項に記載の 液晶組成物を含有する液晶表示素子。
〔19〕:液晶表示素子の動作モードが、VAモー またはIPSモードであり、液晶表示素子の駆 方式がアクティブマトリックス方式である 項〔18〕に記載の液晶表示素子。

 本発明の液晶性化合物は、熱、光などに対 る安定性を有し、広い温度範囲でネマチッ 相となり、粘度が小さく、適切な光学異方 、および適切な弾性定数K 33 (K 33 :ベンド弾性定数)を有し、さらに、適切な負 誘電率異方性、および他の液晶性化合物と 優れた相溶性を有している。また、本発明 液晶性化合物は、ネマチック相の上限温度 低下せず、しかも、粘度が大きくなること く、光学異方性が大きくなる傾向にある点 特に優れている。

 また、本発明の液晶組成物は、粘度が小さ 、適切な光学異方性、適切な弾性定数K 33 、および適切な負の誘電率異方性を有し、し きい値電圧が低く、さらに、ネマチック相の 上限温度が高く、ネマチック相の下限温度が 低い。特に、本発明の液晶組成物は適切な光 学異方性を有するため、適切な光学異方性が 必要な素子に有効である。

 さらに、本発明の液晶表示素子はこの液 組成物を含有することを特徴とし、応答時 が短く、消費電力および駆動電圧が小さく コントラスト比が大きく、広い温度範囲で 用可能であり、PCモード、TNモード、STNモー ド、ECBモード、OCBモード、IPSモード、VAモー などの表示モードの液晶表示素子に好適に 用することができ、特に、IPSモード、VAモ ドの液晶表示素子に好適に使用することが きる。

 以下、本発明をさらに具体的に説明する。
 なお、以下説明中では、特に断りのない限 、百分率で表した化合物の量は組成物の全 量に基づいた重量百分率(重量%)を意味する
〔液晶性化合物(a)〕
 本発明の液晶性化合物は、式(a)で示される 造を有する(以下、これら化合物を「化合物 (a)」ともいう。)。

 式(a)中、R 1 およびR 2 は独立して、水素、炭素数1~10のアルキル、 たは炭素数2~10のアルケニルであるが、これ において、-CH 2 -は-O-、-S-で置き換えられていてもよいが、-O -、-S-が連続することはなく、水素はフッ素 置き換えられていてもよい。

 環A 1 および環A 2 は、トランス-1,4-シクロへキシレン、シクロ キセン-1,4-ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイ 、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル、ピリミジ ン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、ナフタ ン-2,6-ジイル、デカヒドロナフタレン-2,6-ジ ルまたは1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6- ジイルであり、これらの環において水素はフ ッ素で置き換えられていてもよい。
環A 3 はトランス-1,4-シクロへキシレン、シクロヘ セン-1,4-ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル テトラヒドロピラン-2,5-ジイル、ピリミジン -2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、1,4-フェニ ン、ナフタレン-2,6-ジイル、デカヒドロナ タレン-2,6-ジイルまたは1,2,3,4-テトラヒドロ フタレン-2,6-ジイルであり、これらの環に いて水素はフッ素で置き換えられていても い。

 L 1 およびL 2 はそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原 子を示すが、これらのうち少なくとも1つは ッ素原子であり;
Z 1 、Z 2 およびZ 3 は、独立して、単結合、-(CH 2 ) 2 -、-(CH 2 ) 4 -、-CH=CH-、-C≡C-、-CH 2 O-、-OCH 2 -、-COO-、-OCO-、-CF 2 O-、または-OCF 2 -であり;
lおよびmは、独立して、0、1または2であり、n は1または2であるが、l+m+nは2または3である。

 化合物(a)は、上述のように、1,4-フェニレン 以外の環と、2位または3位の水素がフッ素で き換えられた1,4-フェニレンと、2位および3 の水素がフッ素で置き換えられた1,4-フェニ レンとを有する。このような構造を有するこ とで、広い温度範囲でネマチック相となり、 小さな粘度、適切な光学異方性、適切な弾性 定数K 33 、適切な負の誘電率異方性、および他の液晶 性化合物との優れた相溶性を示す。特に、ネ マチック相の上限温度が低下せず、しかも、 粘度が大きくなることなく、光学異方性が大 きい点で特に優れている。

 式中、R 1 、およびR 2 は、水素、炭素数1~10のアルキル、または炭 数2~10のアルケニルであり、例えば、アルキ がCH 3 (CH 2 ) 3 -であった場合には、-CH 2 -を-O-で、あるいは-(CH 2 ) 2 -を-CH=CH-で置き換えた、CH 3 (CH 2 ) 2 O-、CH 3 -O-(CH 2 ) 2 -、CH 3 -O-CH 2 -O-;H 2 C=CH-(CH 2 ) 2 -、CH 3 -CH=CH-CH 2 -、またはCH 3 -CH=CH-O-であってもよい。

 しかし、化合物の安定性を考慮すると、CH 3 -O-O-CH 2 -などの酸素と酸素とが隣接した基やCH 3 -CH=CH-CH=CH-などの二重結合部位が隣接した基 好ましくない。

 R 1 、およびR 2 としては、より具体的には、水素、アルキル 、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコ キシアルコキシ、アルケニル、アルケニルオ キシ、アルケニルオキシアルキル、およびア ルコキシアルケニルが挙げられる。

 また、これら基中の1つ以上の水素が、フッ 素で置き換えられていてもよい。
 これら基中の炭素-炭素結合の鎖は、直鎖で あることが好ましい。炭素-炭素結合の鎖が 直鎖であると、液晶相の温度範囲を広くす ことができ、粘度を小さくすることができ 。また、R 1 、およびR 2 のいずれかが光学活性基である場合には、キ ラルドーパントとして有用であり、該化合物 を液晶組成物に添加することにより、液晶表 示素子に発生するリバース・ツイスト・ドメ イン(Reverse twisted domain)を防止することがで る。

 これらR 1 、およびR 2 としては、アルキル、アルコキシ、アルコキ シアルキル、アルケニル、フルオロアルキル 、およびフルオロアルコキシが好ましく、
アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル 、アルケニル、-CH 2 F、-OCH 2 Fがより好ましく、アルキル、アルコキシ、 よびアルケニルがさらに好ましい。

 R 1 、およびR 2 がアルキル、アルコキシ、およびアルケニル である場合には、液晶性化合物の液晶相の温 度範囲を広げることができる。
 アルケニルには、アルケニル中の二重結合 位置に依存して、-CH=CH-の好ましい立体配置 がある。

 -CH=CHCH 3 、-CH=CHC 2 H 5 、-CH=CHC 3 H 7 、-CH=CHC 4 H 9 、-C 2 H 4 CH=CHCH 3 、-C 2 H 4 CH=CHC 2 H 5 などのように奇数位に二重結合を有するアル ケニルでは、立体配置はトランス配置が好ま しい。

 一方、-CH 2 CH=CHCH 3 、-CH 2 CH=CHC 2 H 5 、-CH 2 CH=CHC 3 H 7 などのように偶数位に二重結合を有するアル ケニルでは、立体配置はシス配置が好ましい 。上述のような好ましい立体配置を有するア ルケニル化合物は、液晶相の温度範囲が広く 、大きな弾性定数比K 33 /K 11 (K 33 :ベンド弾性定数、K 11 :スプレイ弾性定数)を有し、化合物の粘度を さくすることができ、さらに、この液晶性 合物を液晶組成物に添加すると、ネマチッ 相の上限温度(T NI )を高くすることができる。

 アルキルの具体例としては、-CH 3 、-C 2 H 5 、-C 3 H 7 、-C 4 H 9 、-C 5 H 11 、-C 6 H 13 、-C 7 H 15 、-C 8 H 17 、-C 9 H 19 、および-C 10 H 21 を挙げることができ;
アルコキシの具体例としては、-OCH 3 、-OC 2 H 5 、-OC 3 H 7 、-OC 4 H 9 、-OC 5 H 11 、-OC 6 H 13 、-OC 7 H 15 、-OC 8 H 17 、および-OC 9 H 19 を挙げることができ;
アルコキシアルキルの具体例としては、-CH 2 OCH 3 、-CH 2 OC 2 H 5 、-CH 2 OC 3 H 7 、-(CH 2 ) 2 OCH 3 、-(CH 2 ) 2 OC 2 H 5 、-(CH 2 ) 2 OC 3 H 7 、-(CH 2 ) 3 OCH 3 、-(CH 2 ) 4 OCH 3 、および-(CH 2 ) 5 OCH 3 を挙げることができ;
アルケニルの具体例としては、-CH=CH 2 、-CH=CHCH 3 、-CH 2 CH=CH 2 、-CH=CHC 2 H 5 、-CH 2 CH=CHCH 3 、-(CH 2 ) 2 CH=CH 2 、-CH=CHC 3 H 7 、-CH 2 CH=CHC 2 H 5 、-(CH 2 ) 2 CH=CHCH 3 、および-(CH 2 ) 3 CH=CH 2 を挙げることができ;
アルケニルオキシの具体例としては、-OCH 2 CH=CH 2 、-OCH 2 CH=CHCH 3 、および-OCH 2 CH=CHC 2 H 5 を挙げることができる。

 また、水素をハロゲンで置き換えたアルキ の具体例としては、-CH 2 F、-CHF 2 、-CF 3 、-(CH 2 ) 2 F、-CF 2 CH 2 F、-CF 2 CHF 2 、-CH 2 CF 3 、-CF 2 CF 3 、-(CH 2 ) 3 F、-(CF 2 ) 2 CF 3 、-CF 2 CHFCF 3 、および-CHFCF 2 CF 3 を挙げることができ;
水素をハロゲンで置き換えたアルコキシの具 体例としては、-OCF 3 、-OCHF 2 、-OCH 2 F、-OCF 2 CF 3 、-OCF 2 CHF 2 、-OCF 2 CH 2 F、-OCF 2 CF 2 CF 3 、-OCF 2 CHFCF 3 、および-OCHFCF 2 CF 3 を挙げることができ;
水素をハロゲンで置き換えたアルケニルの具 体例としては、-CH=CHF、-CH=CF 2 、-CF=CHF、-CH=CHCH 2 F、-CH=CHCF 3 、および-(CH 2 ) 2 CH=CF 2 を挙げることができる。

 よって、R 1 およびR 2 の具体例の中でも、-CH 3 、-C 2 H 5 、-C 3 H 7 、-C 4 H 9 、-C 5 H 11 、-OCH 3 、-OC 2 H 5 、-OC 3 H 7 、-OC 4 H 9 、-OC 5 H 11 、-CH 2 OCH 3 、-(CH 2 ) 2 OCH 3 、-(CH 2 ) 3 OCH 3 、-CH 2 CH=CH 2 、-CH 2 CH=CHCH 3 、-(CH 2 ) 2 CH=CH 2 、-CH 2 CH=CHC 2 H 5 、-(CH 2 ) 2 CH=CHCH 3 、-(CH 2 ) 3 CH=CH 2 、-(CH 2 ) 3 CH=CHCH 3 、-(CH 2 ) 3 CH=CHC 2 H 5 、-(CH 2 ) 3 CH=CHC 3 H 7 、-OCH 2 CH=CH 2 、-OCH 2 CH=CHCH 3 、-OCH 2 CH=CHC 2 H 5 、-CF 3 、-CHF 2 、-CH 2 F、-OCF 3 、-OCHF 2 、-OCH 2 F、-OCF 2 CF 3 、-OCF 2 CHF 2 、-OCF 2 CH 2 F、-OCF 2 CF 2 CF 3 、-OCF 2 CHFCF 3 、および-OCHFCF 2 CF 3 が好ましく、-CH 3 、-C 2 H 5 、-C 3 H 7 、-OCH 3 、-OC 2 H 5 、-OC 3 H 7 、-OC 4 H 9 、-(CH 2 ) 2 CH=CH 2 、-(CH 2 ) 2 CH=CHCH 3 、および-(CH 2 ) 2 CH=CHC 3 H 7 がより好ましい。

 環A 1 および環A 2 は、トランス-1,4-シクロへキシレン、シクロ キセン-1,4-ジイル、トランス-1,3-ジオキサン -2,5-ジイル、トランス-テトラヒドロピラン-2, 5-ジイル、ピリミジン-2,5-ジイル、ピリジン-2 ,5-ジイル、ナフタレン-2,6-ジイル、デカヒド ナフタレン-2,6-ジイルまたは1,2,3,4-テトラヒ ドロナフタレン-2,6-ジイルであり、これらの において水素はフッ素で置き換えられてい もよい。

 環A 1 、および環A 2 としては、トランス-1,4-シクロヘキシレン、 クロヘキセン-1,4-ジイル、トランス-1,3-ジオ キサン-2,5-ジイル、トランス-テトラヒドロピ ラン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、6-フル オロピリジン-2,5-ジイルが好ましい。

 これら環の中でも、トランス-1,4-シクロへ シレン、シクロヘキセン-1,4-ジイル、トラン ス-1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、トランス-テト ヒドロピラン-2,5-ジイルがより好ましく、
トランス-1,4-シクロヘキシレン、およびシク ヘキセン-1,4-ジイルが最も好ましい。

 中でも、これら環のうち少なくとも一つの が、トランス-1,4-シクロヘキシレンである きには、粘度を小さくすることができ、さ に、この液晶性化合物を液晶組成物に添加 ると、ネマチック相の上限温度(T NI )を高くすることができる。

 環A 3 はトランス-1,4-シクロへキシレン、シクロヘ セン-1,4-ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル テトラヒドロピラン-2,5-ジイル、1,4-フェニ ン、ピリミジン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジ ル、ナフタレン-2,6-ジイル、デカヒドロナ タレン-2,6-ジイルまたは1,2,3,4-テトラヒドロ フタレン-2,6-ジイルであり、これらの環に いて水素はフッ素で置き換えられていても い。

 環A 3 としては、トランス-1,4-シクロヘキシレン、 クロヘキセン-1,4-ジイル、1,4-フェニレン、 リミジン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、 ナフタレン-2,6-ジイル、1,4-フェニレン、ピリ ジン-2,5-ジイル、6-フルオロピリジン-2,5-ジイ ルが好ましい。

 これら環の中でも、1,4-フェニレン、ピリ ミジン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、ナ タレン-2,6-ジイルがより好ましく、1,4-フェ レンが最も好ましい。

 また、環A 3 が、1,4-フェニレンのときは、粘度を小さく ることができ、光学異方性(δn)をより大きく できる傾向にあり、配向秩序パラメーター(or ientational order parameter)を大きくすることがで きる。

 L 1 およびL 2 はそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原 子を示すが、これらのうち少なくとも1つは ッ素原子である。

 L 1 およびL 2 のうち、一方が水素で他方がフッ素であるこ とが化合物の融点を下げることができるため 好ましい。

 Z 1 、Z 2 およびZ 3 は、独立して、単結合、-(CH 2 ) 2 -、-(CH 2 ) 4 -、-CH=CH-、-C≡C-、-CH 2 O-、-OCH 2 -、-COO-、-OCO-、-CF 2 O-、または-OCF 2 -である。

 Z 1 、Z 2 およびZ 3 が、単結合、-(CH 2 ) 2 -、または-CH=CH-である場合は、化合物の粘度 小さくすることができるため好ましい。
 化合物の安定性を考慮すると単結合、-(CH 2 ) 2 -、および-CH=CH-が好ましく、単結合および-(CH 2 ) 2 -がさらに好ましい。

 Z 1 、Z 2 およびZ 3 が、-CH=CH-の場合には、二重結合に対する他 基の立体配置は、トランス配置が好ましい このような立体配置であることにより、こ 液晶性化合物の液晶相の温度範囲を広げる とができ、さらに、この液晶性化合物を液 組成物に添加すると、ネマチック相の上限 度(T NI )を高くすることができる。

 また、Z 1 、Z 2 、およびZ 3 中に-CH=CH-が含まれている場合には、液晶相 温度範囲を広げること、弾性定数比K 33 /K 11 (K 33 :ベンド弾性定数、K 11 :スプレイ弾性定数)を大きくすること、およ 化合物の粘度を小さくすることができ、さ に、この液晶性化合物を液晶組成物に添加 たときにはネマチック相の上限温度(T NI )を高くすることができる。

 なお、化合物の物性に大きな差異がないの 、液晶性化合物(a)は 2 H(重水素)、 13 Cなどの同位体を天然存在比の量より多く含 でもよい。
 これら液晶性化合物(a)では、R 1 、R 2 、環A 1 、環A 2 、環A 3 、Z 1 、Z 2 およびZ 3 を適宜選択することにより、誘電率異方性な どの物性を所望の物性に調整することが可能 である。

 化合物(a)で表される化合物の中で好ましい 合物の例として化合物(a-1)が挙げられる。

 式(a-1)において、R 3 は、炭素数1~10のアルキル、または炭素数2~10 アルケニル、炭素数1~9のアルコキシ、炭素 2~9のアルコキシアルケニルまたは炭素数2~9 アルケニルオキシであり;
R 4 は、炭素数1~9のアルコキシまたは炭素数2~9の アルケニルオキシであり;
環A 4 およびA 5 は独立して、トランス-1,4-シクロへキシレン シクロヘキセン-1,4-ジイル、1,3-ジオキサン- 2,5-ジイル、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル、 またはピリミジン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5- イルであり;
L 3 およびL 4 は独立して、水素またはフッ素であり、これ らのうち少なくとも一方はフッ素であり;
Z 4 およびZ 5 は独立して、単結合、-(CH 2 ) 2 -、-(CH 2 ) 4 -、-CH=CH-、-C≡C-、-CH 2 O-、-OCH 2 -、-COO-、または-OCO-であり;
oおよびpは独立して、0または1であり、o+pは1 たは2である。

 化合物(a-1)で示される液晶性化合物は大き 負の誘電率異方性を有し、熱や光に対する 定性を有し、広い温度範囲でネマチック相 なり、適切な光学異方性および適切な弾性 数K 33 を有する。このうち、Z 4 およびZ 5 が単結合であり、o+pが1である化合物は、液 相の下限温度をより低く、ネマチック相の 限温度をより高く、粘度をより小さくでき という観点でより好ましい。さらに、o+pが2 ある化合物は非常に広い温度範囲でネマチ ク相を有し、適切な光学異方性および適切 弾性定数K 33 を有する。特にネマチック相の上限温度をさ らに高くできるという観点でより好ましい。

 化合物(a-1)で示される化合物の中でもさ に好ましい化合物の例として化合物(a-7)~(a-24 )が挙げられる。

 式(a-7)~(a-9)において、R 11 は、炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアル ニルまたは炭素数1~9のアルコキシであり;
R 12 は、炭素数1~9のアルコキシまたは炭素数2~9の アルケニルオキシである。

 化合物(a-7)~(a-9)で示される液晶性化合物は ランス-1,4-シクロへキシレン基を持つため、 熱や光に対する安定性を有し、液晶相の下限 温度をより低く、ネマチック相の上限温度を より高く、適切な光学異方性および適切な弾 性定数K 33 を有し、粘度を小さくできるという観点でよ り好ましい。

 式(a-10)~(a-12)において、R 13 は、炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアル ニルまたは炭素数1~9のアルコキシであり;
R 14 は、炭素数1~9のアルコキシまたは炭素数2~9の アルケニルオキシである。

 化合物(a-10)~(a-12)で示される液晶性化合物 はシクロヘキセン-1,4-ジイル基を持つため、 マチック相の上限温度をほとんど下げるこ なく、低い粘度を有するという観点でより ましい。

 式(a-13)~(a-18)において、R 15 は、炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアル ニルまたは炭素数1~9のアルコキシであり;
R 16 は、炭素数1~9のアルコキシまたは炭素数2~9の アルケニルオキシである。

 化合物(a-13)~(a-18)で示される液晶性化合物 はテトラヒドロピラン-2,5-ジイル基を持つた 、スメクチック相の発現を抑制することが き、ネマチック相の上限温度をほとんど下 ることなく、液晶相の下限温度をより低く き、より高い相溶性が得られるという観点 より好ましい。

 式(a-19)~(a-24)において、R 17 は、炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアル ニルまたは炭素数1~9のアルコキシであり;
R 18 は、炭素数1~9のアルコキシまたは炭素数2~9の アルケニルオキシである。

 化合物(a-19)~(a-24)で示される液晶性化合物 は1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基を持つため、特 異的な誘電率異方性を有するという観点でよ り好ましい。

 液晶性化合物がこれら液晶性化合物(a-7)~(a-2 4)で示される構造を有する場合には、適切な の誘電率異方性を有し、他の液晶性化合物 の相溶性が極めてよい。さらに、熱、光な に対する安定性を有し、広い温度範囲でネ チック相となり、粘度が小さく、適切な光 異方性、および適切な弾性定数K 33 を有している。また、この液晶性化合物(a)を 含有する液晶組成物は、液晶表示素子が通常 使用される条件下で安定であり、低い温度で 保管してもこの化合物が結晶(またはスメク ック相)として析出することがない。

 したがって、液晶性化合物(a)は、PC、TN、 STN、ECB、OCB、IPS、VAなどの表示モードの液晶 示素子に用いる液晶組成物に好適に適用す ことができ、IPS、VAなどの表示モードの液 表示素子に用いる液晶組成物に、特に好適 適用することができる。

 〔液晶性化合物(a)の合成〕
 液晶性化合物(a)は、有機合成化学の合成手 を適切に組み合わせることにより合成する とができる。出発物に目的の末端基、環、 よび結合基を導入する方法は、例えば、オ ガニックシンセシス(Organic Syntheses, John Wil ey & Sons, Inc)、オーガニック・リアクシ ンズ(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc) 、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセ シス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press) 新実験化学講座(丸善)などの成書に記載さ ている。

<結合基Z 1 、Z 2 またはZ 3 の形成>
 結合基Z 1 、Z 2 またはZ 3 を形成する方法の一例を示す。結合基を形成 するスキームを以下示す。このスキームにお いて、MSG 1 またはMSG 2 は1価の有機基である。スキームで用いた複 のMSG 1 (またはMSG 2 )は、同一であってもよいし、または異なっ もよい。化合物(1A)から(1H)は液晶性化合物(a) に相当する。

<2重結合の生成>
 一価の有機基MSG 2 を有する有機ハロゲン化合物(a1)とマグネシ ムとを反応させ、グリニャール試薬を調製 る。これら調製したグリニャール試薬ある はリチウム塩と、アルデヒド誘導体(a2)また (a3)とを反応させることにより、対応するア ルコール誘導体を合成する。ついで、p-トル ンスルホン酸等の酸触媒を用いて、得られ アルコール誘導体の脱水反応を行うことに り、対応する化合物(1A)または(a4)を合成す ことができる。

 有機ハロゲン化合物(a1)を、ブチルリチウ ム、もしくはマグネシウムで処理して得られ た化合物を、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)な どのホルムアミドと反応させて、アルデヒド 誘導体(a5)を得る。ついで、得られたアルデ ド(a6)と、ホスホニウム塩(a7)をカリウムt-ブ キシド等の塩基で処理して得られるリンイ ドとを反応させ、対応する2重結合を有する 化合物(1A)を合成することができる。なお、 の反応では、反応条件によってシス体が生 する場合もあるので、トランス体を得る必 がある場合には、必要に応じて公知の方法 よりシス体をトランス体に異性化する。

<-(CH 2 ) 2 -の生成>
 化合物(1A)を炭素担持パラジウム(Pd/C)のよう な触媒の存在下で水素化することにより、化 合物(1B)を合成することができる。

<-(CH 2 ) 4 -の生成>
 アルデヒド誘導体(a5)と、ホスホニウム塩(a7 )とカリウムt-ブトキシド等の塩基で処理して 得られるリンイリドとを反応させ、対応する 2重結合を有する化合物(a4)を合成する。つい 、化合物(a4)をPd/Cのような触媒の存在下で 素化することにより、化合物(1C)を合成する とができる。

<単結合の生成>
 有機ハロゲン化合物(a1)とマグネシウム、ま たはブチルリチウムとを反応させ、グリニャ ール試薬、またはリチウム塩を調製する。こ の調製したグリニャール試薬、またはリチウ ム塩とホウ酸トリメチルなどのホウ酸エステ ルを反応させ、塩酸などの酸で加水分解する ことによりジヒドロキシボラン誘導体(a8)を 成する。そのジヒドロキシボラン誘導体(a8) 有機ハロゲン化合物(a9)とを、例えば、炭酸 塩水溶液とテトラキス(トリフェニルホスフ ン)パラジウム(Pd(PPh 3 ) 4 )とからなる触媒の存在下で反応させること より、化合物(1D)を合成することができる。

 また、一価の有機基MSG 1 を有する有機ハロゲン化合物(a9)にブチルリ ウムを反応させ、さらに塩化亜鉛を反応さ た後、得られた化合物を、例えば、ビスト フェニルホスフィンジクロロパラジウム(Pd(P Ph 3 ) 2 Cl 2 )触媒の存在下で化合物(a1)と反応させること より、化合物(1D)を合成することもできる。

<-CH 2 O-または-OCH 2 -の生成>
 ジヒドロキシボラン誘導体(a8)を過酸化水素 等の酸化剤により酸化し、アルコール誘導体 (a10)を得る。別途、アルデヒド誘導体(a5)を水 素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤で還元し てアルコール誘導体(a10)を得る。得られたア コール誘導体(a10)を臭化水素酸等でハロゲ 化して有機ハロゲン化合物(a12)を得る。この ようにして得られたアルコール誘導体(a10)と 機ハロゲン化合物(a12)とを炭酸カリウムな の存在下反応させることにより化合物(1E)を 成することができる。

<-COO-と-OCO-の生成 >
 化合物(a9)にn-ブチルリチウムを、続いて二 化炭素を反応させてカルボン酸誘導体(a13) 得る。カルボン酸誘導体(a13)と、フェノール 誘導体(a14)とをDDC(1,3-ジシクロヘキシルカル ジイミド)とDMAP(4-ジメチルアミノピリジン) 存在下で脱水させて-COO-を有する化合物(1F) 合成することができる。この方法によって-O CO-を有する化合物も合成することができる。

<-CF 2 O-と-OCF 2 -の生成>
 化合物(1F)をローソン試薬のような硫黄化剤 で処理して化合物(a15)を得る。化合物(a15)を ッ化水素ピリジン錯体とNBS(N-ブロモスクシ イミド)でフッ素化し、-CF 2 O-を有する化合物(1G)を合成する。M. Kuroboshi  et al., Chem. Lett., 1992,827.を参照。化合物(1G) 化合物(a15)を(ジエチルアミノ)サルファート リフルオリド(DAST)でフッ素化しても合成され る。W. H. Bunnelle et al., J. Org. Chem. 1990, 55 , 768.を参照。この方法によって-OCF 2 -を有する化合物も合成する。Peer. Kirsch et a l., Anbew. Chem. Int. Ed. 2001, 40, 1480.に記載の 方法によってこれらの結合基を生成させるこ とも可能である。

<-C≡C-の生成>
 ジクロロパラジウムとハロゲン化銅との触 存在下で、化合物(a9)に2-メチル-3-ブチン-2- ールを反応させたのち、塩基性条件下で脱 護して化合物(a16)を得る。ジクロロパラジ ムとハロゲン化銅との触媒存在下、化合物(a 16)を化合物(a1)と反応させて、化合物(1H)を合 する。

<環A 1 、A 2 またはA 3 の形成>
 トランス-1,4-シクロへキシレン、シクロヘ セン-1,4-ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、 テトラヒドロピラン-2,5-ジイル、1,4-フェニレ ン、ピリミジン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジ ル、ナフタレン-2,6-ジイルなどの環に関して は出発物が市販されているか、または合成法 がよく知られている。

〔液晶性化合物(a)の製造方法〕
 以下、液晶性化合物(a)、すなわち一般式(a) 示される液晶性化合物の製造例を示す。


(これらの式において、R 1 ,R 2 およびlは前記と同一の意味である。)

 化合物(b1)とジヒドロキシボラン誘導体(b2) を炭酸カリウム、Pd(PPh 3 ) 2 Cl 2 等の触媒の存在下、反応させることにより化 合物(b3)を得る。さらに、化合物(b3)とn-BuLiと 反応させリチウム塩を調製する。このリチ ム塩とトリメトキシボランとを反応させて ジヒドロキシボラン誘導体(b4)を得る。別途 、化合物(b5)とn-BuLiとを反応させリチウム塩 調製する。このリチウム塩とカルボニル誘 体(b6)とを反応させて、アルコール誘導体(b7) を得る。p-トルエンスルホン酸等の酸触媒の 在下、得られたアルコール誘導体(b7)の脱水 反応を行い、シクロヘキセン誘導体(b8)を得 。この化合物(b8)を、Pd/C等の触媒存在下、水 素添加反応を行うことにより、化合物(b9)を る。得られた化合物(b9)とsec-BuLiとを反応さ リチウム塩を調製する。このリチウム塩と ウ素とを反応させて、ヨウ素誘導体(b10)を得 る。得られたヨウ素誘導体(b10)とジヒドロキ ボラン誘導体(b4)とを炭酸カリウム等の塩基 、Pd(PPh 3 ) 2 Cl 2 等の触媒の存在下、反応させることにより本 発明の液晶性化合物(a)の一例である(b11)を製 することができる。

 化合物(b12)を水素化リチウムアルミニウム で還元して化合物(b13)を得る。ついで臭化水 素酸等で臭素化することにより(b14)を得る。 途、ジヒドロキシボラン誘導体(b4)と化合物 (b15)とを炭酸カリウム等の塩基、Pd(PPh 3 ) 2 Cl 2 等の触媒の存在下、反応させることにより化 合物(b16)を得る。さらにこの化合物(b16)とn-BuL iとを反応させリチウム塩を調製する。この チウム塩とホウ酸エステルとを反応させ、 性雰囲気で加水分解することによりジヒド キシボラン誘導体(b17)を得る。このジヒドロ キシボラン誘導体(b17)を過酸化水素等の酸化 で酸化反応を行うことによりフェノール誘 体(b18)を得る。上述の操作で得られた化合 (b14)とフェノール誘導体(b18)とを炭酸カリウ 等の塩基の存在下、エーテル化反応させる とにより、本発明の液晶性化合物(a)の一例 ある(b19)を製造することができる。

〔液晶組成物〕
 以下、本発明の液晶組成物について説明を る。この液晶組成物の成分は、少なくとも 種の液晶性化合物(a)を含むことを特徴とす が、液晶性化合物(a)を2種以上含んでいても よく、液晶性化合物(a)のみから構成されてい てもよい。また本発明の液晶組成物を調製す るときには、例えば、液晶性化合物(a)の誘電 率異方性を考慮して成分を選択することもで きる。成分を選択した液晶組成物は、粘度が 低く、適切な負の誘電率異方性を有し、適切 な弾性定数K 33 を有し、しきい値電圧が低く、さらに、ネマ チック相の上限温度(ネマチック相-等方相の 転移温度)が高く、ネマチック相の下限温度 が低い。

〔液晶組成物(1)〕
 本発明の液晶組成物は液晶性化合物(a)に加 、第二成分として式(e-1)~(e-3)で表される液 性化合物(以下、それぞれ化合物(e-1)~(e-3)と いう。)の群から選択された少なくとも1つの 化合物をさらに含有する組成物が好ましい( 下、液晶組成物(1)ともいう。)。

 式(e-1)~(e-3)中、Ra 11 、およびRb 11 は、独立して、炭素数1~10のアルキルである 、アルキルにおいて、相隣接しない-CH 2 -は-O-で置き換えられていてもよく、相隣接 ない-(CH 2 ) 2 -は-CH=CH-で置き換えられていてもよく、水素 フッ素で置き換えられていてもよい。

 式(e-1)~(e-3)中、環A 11 、環A 12 、環A 13 、および環A 14 は、独立して、トランス-1,4-シクロへキシレ 、1,4-フェニレン、2-フルオロ-1,4-フェニレ 、3-フルオロ-1,4-フェニレン、ピリミジン-2,5 -ジイル、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル、または トラヒドロピラン-2,5-ジイルである。

 式(e-1)~(e-3)中、Z 11 、Z 12 、およびZ 13 は、独立して、単結合、-CH 2 -CH 2 -、-CH=CH-、-C≡C-、-COO-、またはCH 2 O-である。

 液晶性化合物(a)に、第二成分を含有させ ことにより、その液晶組成物の粘度を小さ することができ、ネマチック相の下限温度 低くすることができる。また、化合物(e-1)~( e-3)の誘電率異方性はほぼ0であるため、それ 含む液晶組成物の誘電率異方性を0に近づく ように調整することができる。

 化合物(e-1)または(e-2)は、それを含有する 液晶組成物の粘度を小さく、電圧保持率を高 くすることに有効な化合物である。さらに、 化合物(e-3)は、それを含有する液晶組成物の マチック相の上限温度を高くし、電圧保持 を高くすることに有効な化合物である。

 環A 11 、環A 12 、環A 13 、および環A 14 において、2つ以上の環がトランス-1,4-シクロ ヘキシレンの場合は、それを含有する液晶組 成物のネマチック相の上限温度を高くするこ とができ、2つ以上の環が1,4-フェニレンの場 は、それを含有する組成物の光学異方性を きくすることができる。

 第二成分の中でもより好ましい化合物は、 (2-1)~(2-74)で示される化合物である(以下、そ れぞれ化合物(2-1)~(2-74)ともいう。)。これら 化合物においてRa 11 、およびRb 11 は、化合物(e-1)~(e-3)の場合と同一の意味であ 。

 第二成分が化合物(2-1)~(2―74)である場合 は、耐熱性、および耐光性に優れ、より高 比抵抗値を有し、ネマチック相の広い液晶 成物を調製することができる。

 特に、第一成分が、式(a-1-1)~(a-1-6)、および (a-2-1)~式(a-2-6)で表される化合物である化合 群から選択される少なくとも1つの化合物で あり、第二成分が化合物(e-1)~(e-3)で表される 合物群から選択される少なくとも1つの化合 物である液晶組成物(1)は、耐熱性、および耐 光性により優れ、より幅広いネマチック相を 有し、より電圧保持率が大きく、より粘度が 小さく、そして、適切な弾性定数K 33 を示す。

 本発明の液晶組成物(1)中の第二成分の含 量は特に制限はないが、粘度を低くする観 からは含有量を多くすることが好ましい。 だし第二成分の含有量を多くすると液晶組 物のしきい値電圧が高くなる傾向にあるの 、例えば、本発明の液晶組成物をVAモード 液晶素子に使用する場合には、第二成分の 有量は、液晶組成物(1)中に含まれる液晶性 合物の全重量に対して、45~95重量%の範囲で り、第一成分の含有量は、液晶組成物(1)中 含まれる液晶性化合物の全重量に対して、5~ 60重量%の範囲がより好ましい。

〔液晶組成物(2)〕
 本発明の液晶組成物としては、第一成分お び第二成分に加えてさらに、第三成分とし 式(g-1)~(g-4)で表される液晶性化合物(以下、 れぞれ化合物(g-1)~(g-4)ともいう。)の群から 択される少なくとも1つの化合物を含有させ た液晶組成物も好ましい(以下、液晶組成物(2 )ともいう。)。

 式(g-1)~(g-6)中、Ra 21 、およびRb 21 は、独立して、水素、または炭素数1~10のア キルであるが、アルキルにおいて、相隣接 ない-CH 2 -は-O-で置き換えられていてもよく、相隣接 ない-(CH 2 ) 2 -は-CH=CH-で置き換えられていてもよく、水素 フッ素で置き換えられていてもよい。

 式(g-1)~(g-6)中、環A 21 、A 22 、およびA 23 は、独立して、トランス-1,4-シクロへキシレ 、1,4-フェニレン、2-フルオロ-1,4-フェニレ 、3-フルオロ-1,4-フェニレン、2,3-ジフルオロ -1,4-フェニレン、ピリミジン-2,5-ジイル、1,3- オキサン-2,5-ジイル、またはテトラヒドロ ラン-2,5-ジイルである。

 式(g-1)~(g-6)中、Z 21 、Z 22 、およびZ 23 は、独立して、単結合、-CH 2 -CH 2 -、-CH=CH-、-C≡C-、-OCF 2 -、-CF 2 O-、-OCF 2 CH 2 CH 2 -、-CH 2 CH 2 CF 2 O-、-COO-、-OCO-、-OCH 2 -、または-CH 2 O-であり、Y 1 、Y 2 、Y 3 、およびY 4 は、独立して、フッ素または塩素である。

 式(g-1)~(g-6)中、q、r、およびsは、独立して0 1、または2であるが、q+rは1または2でありq+r +sは1、2、または3であり、tは0、1、または2で ある。
 第三成分をさらに含有する液晶組成物(2)は 電率異方性が負に大きい。

 また、液晶組成物のネマチック相の温度 囲が広く、粘度が小さく、誘電率異方性が に大きく、比抵抗値が大きな液晶組成物が られ、さらにこれら物性が適切にバランス た液晶組成物が得られる。

 また、第三成分の中でも、低粘性、耐熱 、および耐光性という観点からは、式(h-1)~( h-7)で表される化合物(以下、それぞれ化合物( h-1)~(h-7)ともいう。)の群から選択される少な とも1つの化合物が好ましい。

 式(h-1)~(h-7)において、Ra 22 およびRb 22 は、独立して、炭素数1~8の直鎖アルキル、ま たは炭素数2~8の直鎖アルケニルまたは炭素数 1~7のアルコキシであり、Z 24 、Z 25 、およびZ 26 は、単結合、-CH 2 CH 2 -、-CH 2 O-、-OCH 2 -、-COO-、または-OCO-であり、Y 1 、およびY 2 は、共にフッ素、または一方がフッ素で他方 が塩素である。

 例えば、化合物(h-1)および(h-2)は、それを 含有する液晶組成物の粘度を小さくし、しき い値電圧値をより低くすることができ、ネマ チック相の下限温度を低くすることができる 。化合物(h-2)、(h-3)および(h-4)は、それを含有 する液晶組成物のネマチック相の上限温度を 下げることなく、しきい値電圧値を低くする ことができる。

 化合物(h-3)および(h-6)は、光学異方性を大 きくすることができ、化合物(h-4)および(h-7) 、光学異方性をより大きくすることができ 。

化合物(h-5)、(h-6)および(h-7)は、それを含有 する液晶組成物のネマチック相の下限温度を 低くすることができる。

 特に、液晶組成物(2)の中でも、式(a-1-1)~(a-1- 6)、および式(a-2-1)~(a-2-6)である化合物群から 択される少なくとも1つの化合物である第一 成分と、式(e-1)~(e-3)からなる化合物群から選 される少なくとも1つの化合物である第二成 分と、式(h-1)~(h-7)で表される化合物群から選 される少なくとも1つの化合物である第三成 分を含有する液晶組成物は、耐熱性および耐 光性に優れ、ネマチック相の温度範囲が広く 、粘度が小さく、電圧保持率が高く、適切な 光学異方性、適切な誘電率異方性、適切な弾 性定数K 33 を示す。さらにこれら物性が適切にバランス した液晶組成物という点で好ましい。

 第三成分の中でもより好ましい化合物は、 合物(3-1)~(3-118)である。これらの化合物にお いてRb 22 、およびRb 22 は、化合物(h-1)~(h-7)の場合と同一の意味であ 。

 例えば、化合物(g-3)~(g-6)のような縮合環を する化合物は、しきい値電圧値を低くする とができ、耐熱性、または耐光性といった 点から、化合物(3-119)~(3-143)が好ましい。こ らの化合物においてRa 22 、およびRb 22 は、化合物(g-3)~(g-6)の場合と同一の意味であ 。

 本発明の液晶組成物における第三成分の含 量に特に制限はないが、負の誘電率異方性 絶対値を小さくしないといった観点からは 含有量を多くすることが好ましい。
 本発明に係る液晶組成物(2)の第一成分、第 成分、および第三成分の含有割合は特に制 はされないが、液晶組成物(2)の全重量に基 いて、液晶性化合物(a)の含有割合が5~60重量 %の範囲、第二成分の含有割合が20~75重量%の 囲、第三成分の含有割合が20~75重量%の範囲 あることが好ましい。

 液晶組成物(2)の第一成分、第二成分、およ 第三成分の含有割合がこの範囲にある場合 は、耐熱性、耐光性に優れ、ネマチック相 温度範囲が広く、粘度が小さく、電圧保持 が高く、適切な光学異方性、適切な誘電率 方性、適切な弾性定数K 33 を示す。さらにこれら物性がより適切にバラ ンスした液晶組成物が得られる。

〔液晶組成物の態様等〕
 本発明に係る液晶組成物では、第一成分、 二成分、および必要に応じて添加する第三 分を構成する液晶性化合物に加えて、例え 液晶組成物の特性をさらに調整する目的で さらに他の液晶性化合物を添加して使用す 場合がある。また、例えばコストの観点か 、本発明の液晶組成物では、第一成分、第 成分、および必要に応じて添加する第三成 を構成する液晶性化合物以外の液晶性化合 は添加せずに使用する場合もある。

 また本発明に係る液晶組成物には、さらに 光学活性化合物、色素、消泡剤、紫外線吸 剤、酸化防止剤等の添加物を添加してもよ 。
 光学活性化合物を本発明に係る液晶組成物 添加した場合には、液晶にらせん構造を誘 して、ねじれ角を与えることなどができる

光学活性化合物として、公知のキラルド- 剤を添加する。このキラルド-プ剤は液晶の せん構造を誘起して必要なねじれ角を調整 、逆ねじれを防ぐといった効果を有する。 ラルド-プ剤の例として光学活性化合物(Op-1) ~(Op-13)を挙げることができる。

 色素を本発明に係る液晶組成物に添加した 合には、液晶組成物をGH(Guest host)モードを する液晶表示素子に適用することなどが可 となる。
 消泡剤を本発明に係る液晶組成物に添加し 場合には、液晶組成物の運搬中、あるいは 液晶組成物から液晶表示素子を製造工程中 、発泡を抑制することなどが可能となる。

 紫外線吸収剤、あるいは酸化防止剤を本 明に係る液晶組成物に添加した場合には、 晶組成物や該液晶組成物を含む液晶表示素 の劣化を防止することなどが可能となる。 えば酸化防止剤は、液晶組成物を加熱した きに比抵抗値の低下を抑制することが可能 ある。

 紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系 外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤 トリアゾール系紫外線吸収剤などを挙げる とができる。
 ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例は 2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン である。

 ベンゾエート系紫外線吸収剤の具体例は、2 ,4-ジ-t-ブチルフェニル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒド キシベンゾエートである。
 トリアゾール系紫外線吸収剤の具体例は、2 -(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリ ゾール、2-[2-ヒドロキシ-3-(3,4,5,6-テトラヒ ロキシフタルイミド-メチル)-5-メチルフェニ ル]ベンゾトリアゾール、および2-(3-t-ブチル- 2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-5-クロロベン ゾトリアゾールである。

 酸化防止剤としては、フェノール系酸化防 剤、有機硫黄系酸化防止剤などを挙げるこ ができる。
 特に、液晶組成物の物性値を変化させずに 化防止効果が高いという観点からは、式(I) 表される酸化防止剤が好ましい。


式(I)中、wは1から15の整数を示す。

 フェノール系酸化防止剤の具体例は、2,6-ジ -t-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチ -4-エチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-プロ ルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-ブチルフェ ノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-ペンチルフェノー 、2,6-ジ-t-ブチル-4-ヘキシルフェノール、2,6- ジ-t-ブチル-4-ヘプチルフェノール、2,6-ジ-t- チル-4-オクチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル- 4-ノニルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-デシル フェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-ウンデシルフ ノール、2,
6-ジ-t-ブチル-4-ドデシルフェノール、2,6-ジ-t- ブチル-4-トリデシルフェノール、2,6-ジ-t-ブ ル-4-テトラデシルフェノール、2,6-ジ-t-ブチ -4-ペンタデシルフェノール、2,2’-メチレン ビス(6-t-ブチルー4-メチルフェノール)、4,4’- ブチリデンビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノー )、2,6-ジ-t-ブチル-4-(2-オクタデシルオキシ ルボニル)エチルフェノール、およびペンタ リスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4 -ヒドロキシフェニル)プロピオネート]である 。

 有機硫黄系酸化防止剤の具体例は、ジラ リル-3,3’-チオプロピオネート、ジミリス ル-3,3’-チオプロピオネート、ジステアリル -3,3’-チオプロピオネート、ペンタエリスリ ールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネ ト)、および2-メルカプトベンズイミダゾー である。

 紫外線吸収剤、酸化防止剤などに代表さ る添加物の添加量は、本発明の目的を損な ず、かつ添加物を添加する目的を達成でき 量の範囲で添加して用いることができる。

 例えば、紫外線吸収剤、あるいは酸化防 剤を添加する場合には、その添加割合は、 発明に係る液晶組成物の全重量に基づいて 通常10ppm~500ppmの範囲、好ましくは30~300ppmの 囲、より好ましくは40~200ppmの範囲である。

 なお、本発明に係る液晶組成物は、液晶 成物を構成する各化合物の合成工程、液晶 成物の調製工程等において混入する合成原 、副生成物、反応溶媒、合成触媒等の不純 を含んでいる場合もある。

〔液晶組成物の製造方法〕
 本発明に係る液晶組成物は、例えば、各成 を構成する化合物が液体の場合には、それ れの化合物を混合し振とうさせることによ 、また固体を含む場合には、それぞれの化 物を混合し、加熱溶解によってお互い液体 してから振とうさせることにより調製する とができる。また、本発明に係る液晶組成 はその他の公知の方法により調製すること 可能である。

〔液晶組成物の特性〕
 本発明に係る液晶組成物では、ネマチック の上限温度を70℃以上とすること、ネマチ ク相の下限温度は-20℃以下とすることがで 、ネマチック相の温度範囲が広い。したが て、この液晶組成物を含む液晶表示素子は い温度領域で使用することが可能である。

 本発明に係る液晶組成物では、組成等を適 調整することで、光学異方性を通常、~0.05~0 .18の範囲、好ましくは0.10~0.13の範囲とするこ ともできる。
 また、本発明に係る液晶組成物では、通常 -5.0~-2.0の範囲の誘電率異方性、好ましくは -4.5~-2.5の範囲の誘電率異方性を有する液晶 成物を得ることができる。-4.5~-2.5の範囲の 電率異方性を有する液晶組成物は、IPSモー 、およびVAモードで動作する液晶表示素子 して好適に使用することができる。

〔液晶表示素子〕
 本発明に係る液晶性 組成物は、PCモード、 TNモード、STNモード、OCBモード等の動作モー を有し、AM方式で駆動する液晶表示素子だ でなく、PCモード、TNモード、STNモード、OCB ード、VAモード、IPSモード等の動作モード 有しパッシブマトリクス(PM)方式で駆動する 晶表示素子にも使用することができる。

 これらAM方式、およびPM方式の液晶表示素子 は、反射型、透過型、半透過型、いずれの液 晶ディスプレイ等にも適用ができる。
 また、本発明に係る液晶組成物は、導電剤 添加させた液晶組成物を用いたDS(dynamic scat tering)モード素子や、液晶組成物をマイクロ プセル化して作製したNCAP(nematic curvilinear al igned phase)素子や、液晶組成物中に三次元の 目状高分子を形成させたPD(polymer dispersed)素 、例えばPN(polymer network)素子にも使用でき 。

 中でも本発明に係る液晶組成物では、上 のような特性を有するので、VAモード、IPS ードなどの負の誘電率異方性を有する液晶 成物を利用した動作モードで駆動するAM方式 の液晶表示素子に好適に用いることができ、 特に、VAモードで駆動するAM方式の液晶表示 子に好適に用いることができる。

 なお、TNモード、VAモード等で駆動する液晶 表示素子においては、電場の方向は、液晶層 に対して垂直である。一方、IPSモード等で駆 動する液晶表示素子においては、電場の方向 は、液晶層に対して平行である。なお、VAモ ドで駆動する液晶表示素子の構造は、K. Ohm uro, S. Kataoka, T. Sasaki and Y. Koike, SID '97 D igest of Technical Papers, 28, 845 (1997)に報告さ ており、IPSモードで駆動する液晶表示素子 構造は、国際公開第91/10936号パンフレット( ァミリー:US5576867)に報告されている。
 [実施例]

〔液晶性化合物(a)の実施例〕
 以下、実施例により本発明をさらに詳しく 明するが、本発明はこれら実施例によって 制限されない。なお特に断りのない限り、 %」は「重量%」を意味する。

 得られた化合物は、 1 H-NMR分析で得られる核磁気共鳴スペクトル、 スクロマトグラフィー(GC)分析で得られるガ スクロマトグラムなどにより同定したので、 まず分析方法について説明をする。

1 H-NMR分析
 測定装置は、DRX-500(ブルカーバイオスピン( )社製)を用いた。測定は、実施例等で製造 たサンプルを、CDCl 3 等のサンプルが可溶な重水素化溶媒に溶解し 、室温で、500MHz、積算回数32回の条件で行っ 。なお、得られた核磁気共鳴スペクトルの 明において、sはシングレット、dはダブレ ト、tはトリプレット、qはカルテット、mは ルチプレット、brはブロードであることを意 味する。また、化学シフトδ値のゼロ点の基 物質としてはテトラメチルシラン(TMS)を用 た。

GC分析
 測定装置は、島津製作所製のGC-14B型ガスク マトグラフを用いた。カラムは、島津製作 製のキャピラリーカラムCBP1-M25-025(長さ25m、 内径0.22mm、膜厚0.25μm);固定液相はジメチルポ リシロキサン;無極性)を用いた。キャリアー スとしてはヘリウムを用い、流量は1ml/分に 調整した。試料気化室の温度を280℃、検出器 (FID)部分の温度を300℃に設定した。

 試料はトルエンに溶解して、1重量%の溶液 なるように調製し、得られた溶液1μlを試料 化室に注入した。
 記録計としては島津製作所製のC-R6A型Chromato pac、またはその同等品を用いた。得られたガ スクロマトグラムには、成分化合物に対応す るピークの保持時間およびピークの面積値が 示されている。

 なお、試料の希釈溶媒としては、例えば クロロホルム、ヘキサンを用いてもよい。 た、カラムとしては、Agilent Technologies Inc. のキャピラリカラムDB-1(長さ30m、内径0.32mm 膜厚0.25μm)、Agilent Technologies Inc.製のHP-1(長 30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、Restek Corporation のRtx-1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、SGE  International Pty.Ltd製のBP-1(長さ30m、内径0.32mm、 膜厚0.25μm)などを用いてもよい。

 ガスクロマトグラムにおけるピークの面 比は成分化合物の割合に相当する。一般に 、分析サンプルの成分化合物の重量%は、分 析サンプルの各ピークの面積%と完全に同一 はないが、本発明において上述したカラム 用いる場合には、実質的に補正係数は1であ ので、分析サンプル中の成分化合物の重量% は、分析サンプル中の各ピークの面積%とほ 対応している。成分の液晶性化合物におけ 補正係数に大きな差異がないからである。 スクロクロマトグラムにより液晶組成物中 液晶性化合物の組成比をより正確に求める は、ガスクロマトグラムによる内部標準法 用いる。一定量正確に秤量された各液晶性 合物成分(被検成分)と基準となる液晶性化合 物(基準物質)を同時にガスクロ測定して、得 れた被検成分のピークと基準物質のピーク の面積比の相対強度をあらかじめ算出する 基準物質に対する各成分のピーク面積の相 強度を用いて補正すると、液晶組成物中の 晶性化合物の組成比をガスクロ分析からよ 正確に求めることができる。

〔液晶性化合物等の物性値の測定試料〕
 液晶性化合物の物性値を測定する試料とし は、化合物そのものを試料とする場合、化 物を母液晶と混合して試料とする場合の2種 類がある。

 化合物を母液晶と混合した試料を用いる 者の場合には、以下の方法で測定を行う。 ず、得られた液晶性化合物15重量%と母液晶8 5重量%とを混合して試料を作製する。そして 得られた試料の測定値から、下記式に示す に示す外挿法にしたがって、外挿値を計算 る。この外挿値をこの化合物の物性値とす 。

 〈外挿値〉=(100×〈試料の測定値〉-〈母液 の重量%〉×〈母液晶の測定値〉
)/〈液晶性化合物の重量%〉
液晶性化合物と母液晶との割合がこの割合で あっても、スメクチック相、または結晶が25 で析出する場合には、液晶性化合物と母液 との割合を10重量%:90重量%、5重量%:95重量%、 1重量%:99重量%の順に変更をしていき、スメク チック相、または結晶が25℃で析出しなくな た組成で試料の物性値を測定しこの式にし がって外挿値を求めて、これを液晶性化合 の物性値とする。

 本測定に用いる母液晶としては様々な種類 存在するが、例えば、母液晶iの組成(重量%) は以下のとおりである。
 母液晶i:

 なお、液晶組成物の物性値を測定する試料 しては、液晶組成物そのものを用いた。
〔液晶性化合物等の物性値の測定方法〕
 物性値の測定は後述する方法で行った。こ ら測定方法の多くは、日本電子機械工業会 格(Standard of Electric Industries Association of J apan)EIAJ・ED-2521Aに記載された方法、またはこ を修飾した方法である。また、測定に用い TN素子またはVA素子には、TFTを取り付けなか った。

 測定値のうち、液晶性化合物単体そのも を試料として得られた値と、液晶組成物そ ものを試料として得られた値は、そのまま 値を実験データとして記載した。化合物を 液晶に混合し試料として得られた場合には 外挿法で得られた値を外挿値とした。

相構造および転移温度(℃)
 以下(1)、および(2)の方法で測定を行った。
(1)偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホット プレート(メトラー社FP-52型ホットステージ) 化合物を置き、3℃/分の速度で加熱しながら 相状態とその変化を偏光顕微鏡で観察し、相 の種類を特定した。
(2)パーキンエルマー社製走査熱量計DSC-7シス ム、またはDiamond DSCシステムを用いて、3℃ /分速度で昇降温し、試料の相変化に伴う吸 ピーク、または発熱ピークの開始点を外挿 より求め(on set)、転移温度を決定した。

 以下、結晶はCと表した。結晶の区別がつく 場合は、それぞれC 1 またはC 2 と表した。また、スメクチック相はS、ネマ ック相はNと表した。液体(アイソトロピック )はIと表した。スメクチック相の中で、スメ チックB相、またはスメクチックA相の区別 つく場合は、それぞれS B 、またはS A と表した。転移温度の表記として、例えば、 「C 50.0 N 100.0 I」とは、結晶からネマチッ 相への転移温度(CN)が50.0℃であり、ネマチ ク相から液体への転移温度(NI)が100.0℃であ ことを示す。他の表記も同様である。

ネマチック相の上限温度(T NI ;℃)
 偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホット レート(メトラー社FP-52型ホットステージ)に 、試料(液晶性組成物、または液晶性化合物 母液晶との混合物)を置き、1℃/分の速度で 熱しながら偏光顕微鏡を観察した。試料の 部がネマチック相から等方性液体に変化し ときの温度をネマチック相の上限温度とし 。以下、ネマチック相の上限温度を、単に 上限温度」と略すことがある。

低温相溶性
 母液晶と液晶性化合物とを、液晶性化合物 、20重量%、15重量%、10重量%、5重量%、3重量% 、および1重量%の量となるように混合した試 を作製し、試料をガラス瓶に入れる。この ラス瓶を、-10℃または-20℃のフリーザー中 一定期間保管したあと、結晶もしくはスメ チック相が析出しているかどうか観察をし 。

粘度(η;20℃で測定;mPa・s)
 E型回転粘度計を用いて測定した。

回転粘度(γ1;25℃で測定;mPa・s)
 測定はM. Imai et al., Molecular Crystals and Liq uid Crystals, Vol. 259, 37 (1995) に記載された 法に従った。2枚のガラス基板の間隔(セルギ ャップ)が20μmのVA素子に試料(液晶性組成物、 または液晶性化合物と母液晶との混合物)を れた。この素子に30ボルトから50ボルトの範 で1ボルト毎に段階的に印加した。0.2秒の無 印加のあと、ただ1つの矩形波(矩形パルス;0.2 秒)と無印加(2秒)の条件で印加を繰り返した この印加によって発生した過渡電流(transient current)のピーク電流(peak current)とピーク時間 (peak time)を測定した。これらの測定値とM. Im aiらの論文、40頁の計算式(8)とから回転粘度 値を得た。なお、この計算に必要な誘電率 方性は、下記誘電率異方性で測定した値を いた。

光学異方性(屈折率異方性;25℃で測定;δn)
 測定は、25℃の温度下で、波長589nmの光を用 い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折 計により行なった。主プリズムの表面を一方 向にラビングしたあと、試料(液晶性組成物 または液晶性化合物と母液晶との混合物)を プリズムに滴下した。屈折率(n∥)は偏光の 向がラビングの方向と平行であるときに測 した。屈折率(n⊥)は偏光の方向がラビング 方向と垂直であるときに測定した。光学異 性(δn)の値は、δn=n∥-n⊥の式から計算した

誘電率異方性(δε;25℃で測定)
 誘電率異方性は以下の方法によって測定し 。
 よく洗浄したガラス基板にオクタデシルト エトキシシラン(0.16mL)のエタノール(20mL)溶 を塗布した。ガラス基板をスピンナーで回 させたあと、150℃で1時間加熱した。2枚のガ ラス基板から、間隔(セルギャップ)が20μmで るVA素子を組み立てた。

 同様の方法で、ガラス基板にポリイミド 配向膜を調製した。得られたガラス基板の 向膜にラビング処理をした後、2枚のガラス 基板の間隔が9μmであり、ツイスト角が80度で あるTN素子を組み立てた。

 得られたVA素子に試料(液晶性組成物、ま は液晶性化合物と母液晶との混合物)を入れ 、0.5V(1kHz、サイン波)を印加して、液晶分子 長軸方向における誘電率(ε∥)を測定した。

 また、得られたTN素子に試料(液晶性組成物 または液晶性化合物と母液晶との混合物)を 入れ、0.5V(1kHz、サイン波)を印加して、液晶 子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定し 。
 誘電率異方性の値は、δε=ε∥-ε⊥の式から 計算した。

電圧保持率(VHR;25℃で測定;%)
 測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を し、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャ ップ)は6μmである。この素子は試料(液晶性組 成物、または液晶性化合物と母液晶との混合 物)を入れたあと紫外線によって重合する接 剤で密閉した。このTN素子にパルス電圧(5Vで 60マイクロ秒)を印加して充電した。減衰する 電圧を、高速電圧計で16.7ミリ秒のあいだ測 し、単位周期における電圧曲線と横軸との の面積Aを求めた。面積Bは減衰しなかったと きの面積である。電圧保持率は面積Bに対す 面積Aの百分率(%)で表現したものである。

弾性定数(K 11 、K 33 ;25℃で測定)
 測定には株式会社東陽テクニカ製のEC-1型弾 性定数測定器を用いた。2枚のガラス基板の 隔(セルギャップ)が20μmである垂直配向セル 試料を入れた。このセルに20ボルトから0ボ ト電荷を印加し、静電容量および印加電圧 測定した。測定した静電容量(C)と印加電圧( V)の値を『液晶デバイスハンドブック』(日刊 工業新聞社)、75頁にある式(2.98)、式(2.101)を いてフィッティングし、式(2.100)から弾性定 の値を得た。

 4-エトキシ-2,3,2’’-トリフルオロ-4’’-( トランス-4-プロピルシクロヘキシル)-1,1’-タ ーフェニル(No.12)の合成

第1工程
 窒素雰囲気下、反応器へ4-ブロモヨードベ ゼン(1) 20.0g、4-エトキシ-2,3-ジフルオロフェ ニルボロン酸(2) 14.4g、炭酸カリウム 29.3g、P d(Ph 3 P) 2 Cl 2  1.49g、トルエン100ml、ソルミックスA-11 100ml よび水 100mlを加え、2時間加熱還流させた 反応液を25℃まで冷却後、水 500mlおよびト エン 500mlへ注ぎ込み、混合した。その後、 置して有機層と水層の2層に分離させて、有 機層への抽出操作を行った。得られた有機層 を分取して、水で洗浄し、無水硫酸マグネシ ウムで乾燥した。得られた溶液を減圧下、濃 縮し、得られた残渣を、トルエンを展開溶媒 とし、シリカゲルを充填剤として用いたカラ ムクロマトグラフィーによる分取操作で精製 した。さらにソルミックスA-11からの再結晶 より精製し、乾燥させ、4-エトキシ-4’-ブロ モ-2,3-ジフルオロ-1,1'-ビフェニル(3) 20.8gを得 た。化合物(1)からの収率は94.0%であった。

第2工程
 窒素雰囲気下の反応器へ、4-プロピル-1-(3- ルオロフェニル)-シクロヘキサン(4) 10.0gとTH F 100mlとを加えて、-74℃まで冷却した。そこ 、1.00M sec-ブチルリチウム,n-ヘキサン、シ ロヘキサン溶液  49.9ml を-74℃から-70℃の 度範囲で滴下し、さらに2時間攪拌した。続 て、ホウ酸トリメチル 5.2gのTHF 50ml溶液に- 74℃から-65 ℃の温度範囲で滴下し、25 ℃に しつつ、さらに8時間攪拌した。その後、反 応混合物を1N塩酸 100ml氷水 500 mlとが入った 容器中に注ぎ込み、混合した。酢酸エチル 3 00mlを加えて、有機層と水層とに分離させ抽 操作を行った。得られた有機層を分取し、 、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水 順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥 た。その後、減圧下、溶媒を留去し、2-フル オロ-4-(4-プロピルシクロヘキシル)-ボロン酸( 5) 11.9gを得た。化合物(4)からの収率は99.0%で った。

第3工程
 窒素雰囲気下、反応器へ化合物(3) 7.2g、ボ ン酸誘導体(5) 6.0g、炭酸カリウム 7.8g、Pd(P h 3 P) 2 Cl 2  0.4g、トルエン 100ml、ソルミックスA-11 100ml および水 100mlを加え、2時間加熱還流させた 反応液を25 ℃まで冷却後、水  500mlおよび トルエン 500mlへ注ぎ込み、混合した。その 、静置して有機層と水層の2層に分離させて 有機層への抽出操作を行った。得られた有 層を分取して、水で洗浄し、無水硫酸マグ シウムで乾燥した。得られた溶液を減圧下 濃縮し、得られた残渣を、トルエンとヘプ ンとの混合溶媒(体積比 トルエン:ヘプタン =1:1)を展開溶媒とし、シリカゲルを充填剤と て用いたカラムクロマトグラフィーによる 取操作で精製した。さらに酢酸エチル/ソル ミックスA-11の混合溶媒(体積比 酢酸エチル: ルミックスA-11=2:1)からの再結晶により精製 、乾燥させ、4-エトキシ-2,3,2’’-トリフル ロ-4’’-(トランス-4-プロピルシクロヘキシ ル)-1,1’-ターフェニル(No.12) 5.5gを得た。化 物(3)からの収率は53.1%であった。

  1 H-NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであ り、得られた化合物が、4-エトキシ-2,3,2’’- トリフルオロ-4’’-(トランス-4-プロピルシ ロヘキシル)-1,1’-ターフェニルであること 同定できた。なお、測定溶媒はCDCl 3 である。

 化学シフトδ(ppm);7.58(dd,4H),7.38(t,1H),7.13(td,1 H),7.06(dd,1H),7.01(dd,1H),6.80(t,1H),4.17(q,2H),2.51(dd,1H) ,1.90(dd,4H),1.52-1.42(m,5H),1.41-1.27(m,3H),1.27-1.20(m,2H) ,1.13-1.02(m,2H),0.91(t,3H).

 転移温度は化合物自体の測定値とし、上限 度(T NI )、誘電率異方性(δε)、および光学異方性(δn) は、化合物を母液晶(i)に混合した試料の測定 値を、上記外挿法に従って換算した外挿値と した、化合物(No. 12)の物性値は以下の通りで あった。
転移温度 :C 118.1 N 304.9 I
T NI =238.6℃,δε=-7.22,δn=0.271.

 4-エトキシ-2,3,2’’-トリフルオロ-4’’-( トランス-4-ペンチルシクロヘキシル)-1,1’-タ ーフェニル(No.32)の合成

第1工程
 窒素雰囲気下の反応器へ、化合物(3) 10.0gと THF 100mlとを加えて、-74℃まで冷却した。そ へ、1.57M n-ブチルリチウム,n-ヘキサン溶液   22.4ml を-74℃から-70℃の温度範囲で滴下し さらに2時間攪拌した。続いて、ホウ酸トリ チル 4.0gのTHF 50ml溶液に-74 ℃から-65℃の 度範囲で滴下し、25℃に戻しつつ、さらに8 間攪拌した。その後、反応混合物を1N塩酸 1 00ml、氷水 500mlとが入った容器中に注ぎ込み 混合した。酢酸エチル 300mlを加えて、有機 層と水層とに分離させ抽出操作を行った。得 られた有機層を分取し、水、飽和炭酸水素ナ トリウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、無水 硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、減圧 下、溶媒を留去し、4-エトキシ-2,3-ジフルオ -1,1'-ビフェニル-4’-ボロン酸(6) 11.7gを得た 化合物(3)からの収率は81.1%であった。

 第2工程
 窒素雰囲気下の反応器へ、4-ペンチル-1-(3- ルオロ-4-ヨードフェニル)-シクロヘキサン(7)  3.0g、ジヒドロキシボラン誘導体(6) 2.7g、炭 酸カリウム 3.3 g、パラジウムカーボン触媒( 5%Pd/CのNXタイプ(50%湿潤品);エヌ・イー・ケム ャット製;以下、Pd/C(NXタイプ)という)0.03g、 ルエン 100 ml、ソルミックスA-11 100mlおよ 水 100mlを加え、2時間加熱還流させた。反応 液を25℃まで冷却後、水 300mlおよびトルエン  300 mlへ注ぎ込み、混合した。その後、静置 して有機層と水層の2層に分離させて、有機 への抽出操作を行った。得られた有機層を 取して、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウ で乾燥した。得られた溶液を減圧下で濃縮 、得られた残渣を、トルエンとヘプタンと 混合溶媒(体積比 トルエン:ヘプタン=1:1)を 開溶媒とし、シリカゲルを充填剤として用 たカラムクロマトグラフィーによる分取操 で精製した。さらに酢酸エチル/ソルミック A-11の混合溶媒(体積比 酢酸エチル:ソルミ クスA-11=2:1)からの再結晶により精製し、乾 させ、4-エトキシ-2,3,2’’-トリフルオロ-4’ ’-(トランス-4-ペンチルシクロヘキシル)-1,1 -ターフェニル(No.32) 3.5gを得た。化合物(7)か らの収率は90.9%であった。

  1 H-NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであ り、得られた化合物が、4-エトキシ-2,3,2’’- トリフルオロ-4’’-(トランス-4-ペンチルシ ロヘキシル)-1,1’-ターフェニルであること 同定できた。なお、測定溶媒はCDCl 3 である。

 化学シフトδ(ppm);7.59(dd,4H),7.39(t,1H),7.14(td,1 H),7.07(dd,1H),7.02(dd,1H),6.81(t,1H),4.17(q,2H),2.51(dd,1H) ,1.92(dd,4H),1.53-1.42(m,5H),1.37-1.20(m,9H),1.10-1.01(m,2H) ,0.90(t,3H).

 転移温度は化合物自体の測定値とし、上限 度(T NI )、誘電率異方性(δε)、および光学異方性(δn) は、化合物を母液晶(i)に混合した試料の測定 値を、上記外挿法に従って換算した外挿値と した、化合物(No. 32)の物性値は以下の通りで あった。
転移温度 :C 107.8 N 299.3 I
T NI =238.6℃,δε=-5.54,δn=0.257.

 4-エトキシ-2,3,2’’-トリフルオロ-4’’-( トランス-4-ヘプチルシクロヘキシル)-1,1’-タ ーフェニル(No.52)の合成

第1工程
 窒素雰囲気下の反応器へ、良く乾燥させた グネシウム 8.3gとTHF 20mlとを加えて、50℃ で加熱した。そこへ、THF 300mlに溶解した3- ルオロブロモベンゼン(8) 60.0gを、40℃から60 ℃の温度範囲でゆっくり滴下し、さらに60分 拌した。その後、THF 150mlに溶解した4-ヘプ ルシクロヘキサノン(9)50.0gを、50℃から60℃ 温度範囲でゆっくり滴下し、さらに60分攪 した。得られた反応混合物を30℃まで冷却し た後、1N HCl水溶液 900mlと酢酸エチル 500mlと が入った容器中に添加して混合した後、静置 して、有機層と水層とに分離させ抽出操作を 行った。得られた有機層を分取し、水、飽和 重曹水、および水で洗浄し、無水硫酸マグネ シウムで乾燥した。その後、減圧下、溶媒を 留去し、4-ヘプチル-1-(3-フルオロフェニル)- クロヘキサノール(10) 80.0gを得た。得られた 化合物(10)は黄色液状物であった。

第2工程
 化合物(10) 80.0g、p-トルエンスルホン酸 2.4g 、およびトルエン 250mlを混合し、この混合 を、留出する水を抜きながら2時間加熱還流 せた。反応混合物を30℃まで冷却した後、 られた液に水 500mlとトルエン 900mlとを加え 混合した後、静置して有機層と水層の2層に 離させて、有機層への抽出操作を行った。 られた有機層を分取して、飽和重曹水、お び水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾 した。得られた溶液を、ヘプタンを展開溶 とし、シリカゲルを充填剤として用いたカ ムクロマトグラフィーによる分取操作で精 し、乾燥させ、4-ヘプチル-1-(3-フルオロフェ ニル)-3-シクロヘキセン(11) 70.3gを得た。化合 物(11)からの収率は94.0%であった。

第3工程
 トルエン 150ml、ソルミックスA-11 150mlとの 合溶媒に化合物(11)を溶解させ、さらにPd/C(N Xタイプ)を0.86g加え、水素雰囲気下、水素を 収しなくなるまで室温で攪拌した。反応終 後、Pd/Cを除去して、さらに溶媒を留去して 得られた残渣を、ヘプタンを展開溶媒とし シリカゲルを充填剤として用いたカラムク マトグラフィーによる分取操作で精製し、 らにソルミックスA-11からの再結晶により精 製し、乾燥させ、4-ヘプチル-1-(3-フルオロフ ニル)-シクロヘキサン(12) 44.7gを得た。化合 物(12)からの収率は75.8%であった。

第4工程
 窒素雰囲気下の反応器へ、化合物(12) 5.0gと THF 100mlとを加えて、-74℃まで冷却した。そ へ、1.00M sec-ブチルリチウム,n-ヘキサン、シ クロヘキサン溶液 20.0ml を-74℃から-70℃の 度範囲で滴下し、さらに2時間攪拌した。続 てヨウ素 5.1gのTHF 20ml溶液を-75℃から-70℃ 温度範囲で滴下し、25℃に戻しつつ8時間攪 した。得られた反応混合物をチオ硫酸ナト ウム水溶液 500mlに注ぎ込み、混合した。ト ルエン 300 mlを加え有機層と水層とに分離さ せ抽出操作を行い得られた有機層を分取し、 続いて食塩水で洗浄して、無水硫酸マグネシ ウムで乾燥した。得られた溶液を、減圧下で 濃縮し、得られた残渣を、ヘプタンを展開溶 媒とし、シリカゲルを充填剤として用いたカ ラムクロマトグラフィーによる分取操作で精 製した。溶媒を留去し乾燥させ、4-ヘプチル- 1-(4-ヨード-3-フルオロフェニル)-シクロヘキ ン(13)5.7 gを得た。化合物(12)からの収率は78. 3%であった。

第5工程
 窒素雰囲気下の反応器へ、化合物(13) 5.7g、 ジヒドロキシボラン誘導体(6) 4.7g、炭酸カリ ウム 5.9g、Pd/C(NXタイプ) 0.05g、トルエン 100 ml、ソルミックスA-11 100mlおよび水 100mlを加 え、2時間加熱還流させた。反応液を25℃まで 冷却後、水 300mlおよびトルエン 300mlへ注ぎ み、混合した。その後、静置して有機層と 層の2層に分離させて、有機層への抽出操作 を行った。得られた有機層を分取して、水で 洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。 得られた溶液を減圧下で濃縮し、得られた残 渣を、トルエンとヘプタンとの混合溶媒(体 比 トルエン:ヘプタン=1:1)を展開溶媒とし、 シリカゲルを充填剤として用いたカラムクロ マトグラフィーによる分取操作で精製した。 さらに酢酸エチル/ソルミックスA-11の混合溶 (体積比 酢酸エチル:ソルミックスA-11=2:1)か らの再結晶により精製し、乾燥させ、4-エト シ-2,3,2’’-トリフルオロ-4’’-(トランス-4 -ヘプチルシクロヘキシル)-1,1’-ターフェニ (No.52) 4.6gを得た。化合物(13)からの収率は63. 6%であった。 


  1 H-NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであ り、得られた化合物が、4-エトキシ-2,3,2’’- トリフルオロ-4’’-(トランス-4-ヘプチルシ ロヘキシル)-1,1’-ターフェニルであること 同定できた。なお、測定溶媒はCDCl 3 である。

 化学シフトδ(ppm);7.59(dd,4H),7.39(t,1H),7.15(td,1 H),7.07(dd,1H),7.02(dd,1H),6.82(t,1H),4.17(q,2H),2.51(dd,1H) ,1.91(dd,4H),1.52-1.42(m,5H),1.37-1.20(m,13H),1.10-1.01(m,2H ),0.89(t,3H).

 転移温度は化合物自体の測定値とし、上限 度(T NI )、誘電率異方性(δε)、および光学異方性(δn) は、化合物を母液晶(i)に混合した試料の測定 値を、上記外挿法に従って換算した外挿値と した、化合物(No. 52)の物性値は以下の通りで あった。
転移温度 :C 116.6 S A  175.0 N 281.2 I
T NI =236.6℃,δε=-4.88,δn=0.227.

 4-(4-エトキシ-2,3,3’’-トリフルオロ-1,1’ -ターフェニル)-1-プロピルシクロヘキシル-3- ン(No.652)の合成

第1工程
 窒素雰囲気下、反応器へ4-エトキシ-4’-ブ モ-2,3-ジフルオロ-1,1'-ビフェニル(3) 10.0g、3- フルオロフェニルボロン酸(14) 4.5g、炭酸カ ウム 13.2 g、Pd(Ph 3 P) 2 Cl 2  0.7g、トルエン 100ml、ソルミックスA-11 100ml および水 100mlを加え、2時間加熱還流させた 反応液を25℃まで冷却後、水  500mlおよび ルエン 500mlへ注ぎ込み、混合した。その後 静置して有機層と水層の2層に分離させて、 有機層への抽出操作を行った。得られた有機 層を分取して、水で洗浄し、無水硫酸マグネ シウムで乾燥した。得られた溶液を減圧下で 濃縮し、得られた残渣を、トルエンとヘプタ ンとの混合溶媒(体積比 トルエン:ヘプタン=1 :1)を展開溶媒とし、シリカゲルを充填剤とし て用いたカラムクロマトグラフィーによる分 取操作で精製した。さらに酢酸エチル/ソル ックスA-11の混合溶媒(体積比 酢酸エチル:ソ ルミックスA-11=2:1)からの再結晶により精製し 、乾燥させ、4-エトキシ-2,3,3’’-トリフルオ ロ-1,1’-ターフェニル(15) 9.3gを得た。化合物 (3)からの収率は88.7%であった。

第2工程
 窒素雰囲気下の反応器へ、化合物(15) 5.0gと THF 100mlとを加えて、-74℃まで冷却した。そ へ、1.00M sec-ブチルリチウム,n-ヘキサン、シ クロヘキサン溶液 16.8mlを-74℃から-70℃の温 範囲で滴下し、さらに2時間攪拌した。続い て4-プロピルシクロヘキサノン(16)を2.4g含ん THF 20ml溶液を-75℃から-70℃の温度範囲で滴 し、25℃に戻しつつ8時間攪拌した。得られ 反応混合物を1N HCl水溶液 200mlと酢酸エチル  300mlとが入った容器中に添加して混合した 、静置して、有機層と水層とに分離させ抽 操作を行った。得られた有機層を分取し、 、飽和重曹水、および水で洗浄し、無水硫 マグネシウムで乾燥した。その後、減圧下 溶媒を留去し、4-(4-エトキシ-2,3,3’’-トリ ルオロ-1,1’-ターフェニル)-1-プロピルシク ヘキサノール(17) 7.0gを得た。得られた化合 (17)は白色固形物であった。

第3工程
 化合物(17) 7.0 g、p-トルエンスルホン酸 0.2 g、およびトルエン 250mlを混合し、この混合 を、留出する水を抜きながら2時間加熱還流 させた。反応混合物を30℃まで冷却した後、 られた液に水 300mlとトルエン 500mlとを加 混合した後、静置して有機層と水層の2層に 離させて、有機層への抽出操作を行った。 られた有機層を分取して、飽和重曹水、お び水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾 した。得られた溶液を減圧下で濃縮し、得 れた残渣を、トルエンとヘプタンとの混合 媒(体積比 トルエン:ヘプタン=1:1)を展開溶 とし、シリカゲルを充填剤として用いたカ ムクロマトグラフィーによる分取操作で精 した。さらに酢酸エチル/ソルミックスA-11 混合溶媒(体積比 酢酸エチル:ソルミックスA -11=2:1)からの再結晶により精製し、乾燥させ 4-(4-エトキシ-2,3,3’’-トリフルオロ-1,1’- ーフェニル)-1-プロピルシクロヘキシル-3-エ (No.652) 6.0gを得た。化合物(17)からの収率は8 9.1%であった。

  1 H-NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであ り、得られた化合物が、4-(4-エトキシ-2,3,3’ -トリフルオロ-1,1’-ターフェニル)-1-プロピ ルシクロヘキシル-3-エンであることが同定で きた。なお、測定溶媒はCDCl 3 である。

 化学シフトδ(ppm);7.62(dd,4H),7.38-7.28(m,3H),7.14 (td,1H),6.82(t,1H),6.01(m,1H),4.17(q,2H),2.56-2.47(m,1H),2.4 7-2.38(m,1H),2.34(dt,1H),1.93-1.80(m,2H),1.70-1.61(m,1H),1.5 0(t,3H),1.45-1.35(m,3H),1.35-1.28(m,2H),0.94(t,3H).

 転移温度は化合物自体の測定値とし、上限 度(T NI )、誘電率異方性(δε)、および光学異方性(δn) は、化合物を母液晶(i)に混合した試料の測定 値を、上記外挿法に従って換算した外挿値と した、化合物(No. 652)の物性値は以下の通り あった。
転移温度 :C 102.1 S A  136.8 N 299.0 I
T NI =247.6℃,δε=-5.12,δn=0.298.

 4-(4-エトキシ-2,3,3’’-トリフルオロ-1,1’ -ターフェニル)-1-プロピルシクロヘキサン(No. 172)の合成

第1工程
 トルエン 150ml、ソルミックスA-11 150mlとの 合溶媒に化合物(No.652) 3.3gを溶解させ、さ にPd/C(NXタイプ)を0.02g加え、水素雰囲気下、 素を吸収しなくなるまで室温で攪拌した。 応終了後、Pd/Cを除去して、さらに溶媒を留 去して、得られた残渣をヘプタンを展開溶媒 とし、シリカゲルを充填剤として用いたカラ ムクロマトグラフィーによる分取操作で精製 し、さらにソルミックスA-11からの再結晶に り精製し、乾燥させ、4-(4-エトキシ-2,3,3’’ -トリフルオロ-1,1’-ターフェニル)-1-プロピ シクロヘキサン(No.172) 0.6gを得た。化合物(No .652)からの収率は19.0%であった。

  1 H-NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであ り、得られた化合物が、4-(4-エトキシ-2,3,3’ -トリフルオロ-1,1’-ターフェニル)-1-プロピ ルシクロヘキサンであることが同定できた。 なお、測定溶媒はCDCl 3 である。

 化学シフトδ(ppm);7.59(dd,4H),7.38-7.27(m,3H),7.13 (td,1H),6.81(t,1H),4.17(q,2H),2.85(dd,1H),1.90(dd,4H),1.58-1 .45(m,5H),1.42-1.28(m,3H),1.28-1.20(m,2H),1.16-1.05(m,2H),0. 91(t,3H).

 転移温度は化合物自体の測定値とし、上限 度(T NI )、誘電率異方性(δε)、および光学異方性(δn) は、化合物を母液晶(i)に混合した試料の測定 値を、上記外挿法に従って換算した外挿値と した、化合物(No. 172)の物性値は以下の通り あった。
転移温度 :C 129.1 N 311.7 I
T NI =246.6℃,δε=-6.62,δn=0.271.

 4-(4-エトキシ-2,3,2’’-トリフルオロ-1,1’ -ターフェニル)-1-プロピルシクロヘキシル-3- ン(No.492)の合成

第1工程
 窒素雰囲気下の反応器へ、3-フルオロブロ ベンゼン(8) 10.0gとTHF 100mlとを加えて、-74℃ まで冷却した。そこへ、1.57M n-ブチルリチウ ム,n-ヘキサン溶液 40.0mlを-74℃から-70℃の温 範囲で滴下し、さらに2時間攪拌した。続い て、4-プロピルシクロヘキサノン(16)12.0gのTHF 50ml溶液に-74℃から-65℃の温度範囲で滴下し 25℃に戻しつつ、さらに8時間攪拌した。得 れた反応混合物を1N HCl水溶液 500mlと酢酸 チル 300mlとが入った容器中に添加して混合 た後、静置して、有機層と水層とに分離さ 抽出操作を行った。得られた有機層を分取 、水、飽和重曹水、および水で洗浄し、無 硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、減 下、溶媒を留去し、4-プロピル-1-(3-フルオ フェニル)-シクロヘキサノール(18) 13.5gを得 。得られた化合物(18)は黄色液状物であった 。

第2工程
 化合物(18) 13.5g、p-トルエンスルホン酸 0.4g 、およびトルエン 250mlを混合し、この混合 を、留出する水を抜きながら2時間加熱還流 せた。反応混合物を30℃まで冷却した後、 られた液に水 300mlとトルエン 500mlとを加え 混合した後、静置して有機層と水層の2層に 離させて、有機層への抽出操作を行った。 られた有機層を分取して、飽和重曹水、お び水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾 した。得られた溶液を、ヘプタンを展開溶 とし、シリカゲルを充填剤として用いたカ ムクロマトグラフィーによる分取操作で精 し、乾燥させ、4-プロピル-1-(3-フルオロフェ ニル)-3-シクロヘキセン(19) 7.7gを得た。化合 (18)からの収率は61.7%であった。

第3工程
 窒素雰囲気下の反応器へ、4-プロピル-1-(3- ルオロフェニル)-3-シクロヘキセン(19) 7.7gと THF 100mlとを加えて、-74 ℃まで冷却した。そ こへ、1.00M sec-ブチルリチウム,n-ヘキサン、 クロヘキサン溶液 42.3mlを-74℃から-70℃の 度範囲で滴下し、さらに2時間攪拌した。続 て、ホウ酸トリメチル 5.5gのTHF 50ml溶液に- 74℃から-65℃の温度範囲で滴下し、25 ℃に戻 しつつ、さらに8時間攪拌した。その後、反 混合物を1N塩酸 100ml氷水 500mlとが入った容 中に注ぎ込み、混合した。酢酸エチル 300ml を加えて、有機層と水層とに分離させ抽出操 作を行った。得られた有機層を分取し、水、 飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で順 次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した 。その後、減圧下、溶媒を留去し、2-フルオ -4-(4-プロピル-3-シクロヘキセニル)-ボロン (20) 6.4gを得た。化合物(19)からの収率は69.2% あった。

第4工程
 窒素雰囲気下、反応器へ4-エトキシ-4’-ブ モ-2,3-ジフルオロ-1,1'-ビフェニル(3) 2.0g、ボ ロン酸誘導体(20) 2.5g、炭酸カリウム 2.7g、Pd (Ph 3 P) 2 Cl 2  0.1g、トルエン 100ml、ソルミックスA-11 100ml および水 100mlを加え、2時間加熱還流させた 反応液を25℃まで冷却後、水 500mlおよびト エン 500mlへ注ぎ込み、混合した。その後、 静置して有機層と水層の2層に分離させて、 機層への抽出操作を行った。得られた有機 を分取して、水で洗浄し、無水硫酸マグネ ウムで乾燥した。得られた溶液を減圧下で 縮し、得られた残渣を、トルエンとヘプタ との混合溶媒(体積比 トルエン:ヘプタン=1:1 )を展開溶媒とし、シリカゲルを充填剤とし 用いたカラムクロマトグラフィーによる分 操作で精製した。さらに酢酸エチル/ソルミ クスA-11の混合溶媒(体積比 酢酸エチル:ソ ミックスA-11=2:1)からの再結晶により精製し 乾燥させ、4-(4-エトキシ-2,3,2’’-トリフル ロ-1,1’-ターフェニル)-1-プロピルシクロヘ シル-3-エン(No.492) 2.5gを得た。化合物(3)から の収率は85.1%であった。

  1 H-NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであ り、得られた化合物が、4-(4-エトキシ-2,3,2’ -トリフルオロ-1,1’-ターフェニル)-1-プロピ ルシクロヘキシル-3-エンであることが同定で きた。なお、測定溶媒はCDCl 3 である。

 化学シフトδ(ppm);7.60(dd,4H),7.40(t,1H),7.26(dd,1 H),7.19(dd,1H),7.14(td,1H),6.81(t,1H),6.22(br,1H),4.16(q,2H) ,2.46(br,2H),2.35(dt,1H),1.94(m,1H),1.85(m,1H),1.67-1.57(m,1 H),1.49(t,3H),1.44-1.25(m,5H),0.93(t,3H).

 転移温度は化合物自体の測定値とし、上限 度(T NI )、誘電率異方性(δε)、および光学異方性(δn) は、化合物を母液晶(i)に混合した試料の測定 値を、上記外挿法に従って換算した外挿値と した、化合物(No.92)の物性値は以下の通りで った。
転移温度 :C 117.6 N 294.9 I
T NI =252.6℃,δε=-6.29,δn=0.307.

 4-(4-エトキシ-2,3,2’’-トリフルオロ-1,1’ -ターフェニル)-1-ペンチルシクロヘキシル-3- ン(No.512)の合成

第1工程
 窒素雰囲気下、反応器へ4-ブロモ-2-フルオ ヨードベンゼン(21) 5.0g、4-エトキシ-2,3-ジフ ルオロ-1,1'-ビフェニル-4’-ボロン酸(6) 4.7g、 炭酸カリウム 6.9g、Pd(Ph 3 P) 2 Cl 2  0.4g、トルエン 100ml、ソルミックスA-11 100ml および水 100mlを加え、2時間加熱還流させた 反応液を25℃まで冷却後、水 500mlおよびト エン 500mlへ注ぎ込み、混合した。その後、 静置して有機層と水層の2層に分離させて、 機層への抽出操作を行った。得られた有機 を分取して、水で洗浄し、無水硫酸マグネ ウムで乾燥した。得られた溶液を減圧下で 縮し、得られた残渣を、トルエンとヘプタ との混合溶媒(体積比 トルエン:ヘプタン=1:1 )を展開溶媒とし、シリカゲルを充填剤とし 用いたカラムクロマトグラフィーによる分 操作で精製した。さらに酢酸エチル/ソルミ クスA-11の混合溶媒(体積比 酢酸エチル:ソ ミックスA-11=2:1)からの再結晶により精製し 乾燥させ、4’-ブロモ-4-エトキシ-2,3,2’’- リフルオロ-1,1’-ターフェニル(22) 5.6 gを得 た。化合物(21)からの収率は82.8%であった。 

第2工程
 窒素雰囲気下の反応器へ、化合物(22) 10.0g THF 100mlとを加えて、-74℃まで冷却した。そ へ、1.57M n-ブチルリチウム,n-ヘキサン溶液 17.2mlを-74℃から-70℃の温度範囲で滴下し、 らに2時間攪拌した。続いて4-ペンチルシク ヘキサノン(23)を6.2g含んだTHF 50 ml溶液を-75 ℃から-70 ℃の温度範囲で滴下し、25℃に戻 つつ8時間攪拌した。得られた反応混合物を 1N HCl水溶液 200mlと酢酸エチル 300 mlとが入 た容器中に添加して混合した後、静置して 有機層と水層とに分離させ抽出操作を行っ 。得られた有機層を分取し、水、飽和重曹 、および水で洗浄し、無水硫酸マグネシウ で乾燥した。その後、減圧下、溶媒を留去 、4-(4-エトキシ-2,3,2’’-トリフルオロ-1,1’ -ターフェニル)-1-ペンチルシクロヘキサノー (23)12.0gを得た。得られた化合物(23)は白色固 形物であった。

第3工程
 化合物(23) 12.0g、p-トルエンスルホン酸 0.4g 、およびトルエン 250 mlを混合し、この混合 物を、留出する水を抜きながら2時間加熱還 させた。反応混合物を30℃まで冷却した後、 得られた液に水 300mlとトルエン 500mlとを加 混合した後、静置して有機層と水層の2層に 分離させて、有機層への抽出操作を行った。 得られた有機層を分取して、飽和重曹水、お よび水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾 燥した。得られた溶液を減圧下で濃縮し、得 られた残渣を、トルエンとヘプタンとの混合 溶媒(体積比 トルエン:ヘプタン=1:1)を展開溶 媒とし、シリカゲルを充填剤として用いたカ ラムクロマトグラフィーによる分取操作で精 製した。さらに酢酸エチル/ソルミックスA-11 混合溶媒(体積比 酢酸エチル:ソルミックス A-11=2:1)からの再結晶により精製し、乾燥させ 、4-(4-エトキシ-2,3,2’’-トリフルオロ-1,1’- ーフェニル)-1-ペンチルシクロヘキシル-3-エ ン(No.512)7.2 gを得た。化合物(23)からの収率は 62.2%であった。

  1 H-NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであ り、得られた化合物が、4-(4-エトキシ-2,3,2’ -トリフルオロ-1,1’-ターフェニル)-1-ペンチ ルシクロヘキシル-3-エンであることが同定で きた。なお、測定溶媒はCDCl 3 である。

 化学シフトδ(ppm);7.60(dd,4H),7.42(t,1H),7.26(dd,1 H),7.19(dd,1H),7.14(td,1H),6.81(t,1H),6.22(br,1H),4.16(q,2H) ,2.46(br,2H),2.35(dt,1H),1.94(m,1H),1.86(m,1H),1.65-1.54(m,1 H),1.49(t,3H),1.43-1.24(m,9H),0.91(t,3H).

 転移温度は化合物自体の測定値とし、上限 度(T NI )、誘電率異方性(δε)、および光学異方性(δn) は、化合物を母液晶(i)に混合した試料の測定 値を、上記外挿法に従って換算した外挿値と した、化合物(No. 512)の物性値は以下の通り あった。
転移温度 :C 94.7 N 289.8 I
T NI =250.6℃,δε=-6.43,δn=0.287.

 4-(4-エトキシ-2,3,2’’-トリフルオロ-1,1’ -ターフェニル)-1-ヘプチルシクロヘキシル-3- ン(No.532)の合成

第1工程
 窒素雰囲気下の反応器へ、4-ヘプチル-1-(3- ルオロフェニル)-3-シクロヘキセン(11) 10.0g THF 100mlとを加えて、-74℃まで冷却した。そ へ、1.00M sec-ブチルリチウム,n-ヘキサン、 クロヘキサン溶液 40.1mlを-74 ℃から-70℃の 度範囲で滴下し、さらに2時間攪拌した。続 いてヨウ素 9.3gのTHF 100ml溶液を-75℃から-70 の温度範囲で滴下し、25℃に戻しつつ8時間 拌した。得られた反応混合物をチオ硫酸ナ リウム水溶液 500mlに注ぎ込み、混合した。 ルエン 500mlを加え有機層と水層とに分離さ せ抽出操作を行い得られた有機層を分取し、 続いて食塩水で洗浄して、無水硫酸マグネシ ウムで乾燥した。得られた溶液を、減圧下で 濃縮し、得られた残渣を、ヘプタンを展開溶 媒とし、シリカゲルを充填剤として用いたカ ラムクロマトグラフィーによる分取操作で精 製した。溶媒を留去し乾燥させ、4-ヘプチル- 1-(4-ヨード-3-フルオロフェニル)-シクロヘキ ル-3-エン(24)13.8 gを得た。化合物(11)からの 率は85.9%であった。

第2工程
窒素雰囲気下の反応器へ、化合物(24) 5.0g、 ヒドロキシボラン誘導体(6) 4.2g、炭酸カリ ム 5.2g、Pd/C(NXタイプ) 0.05g、トルエン 100 m l、ソルミックスA-11 100mlおよび水 100mlを加 、2時間加熱還流させた。反応液を25℃まで 却後、水 300mlおよびトルエン300mlへ注ぎ込 、混合した。その後、静置して有機層と水 の2層に分離させて、有機層への抽出操作を った。得られた有機層を分取して、水で洗 し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。得 れた溶液を減圧下で濃縮し、得られた残渣 、トルエンとヘプタンとの混合溶媒(体積比  トルエン:ヘプタン=1:1)を展開溶媒とし、シ カゲルを充填剤として用いたカラムクロマ グラフィーによる分取操作で精製した。さ に酢酸エチル/ソルミックスA-11の混合溶媒( 積比 酢酸エチル:ソルミックスA-11=2:1)から 再結晶により精製し、乾燥させ、4-(4-エト シ-2,3,2’’-トリフルオロ-1,1’-ターフェニ )-1-ヘプチルシクロヘキシル-3-エン(No.532) 2.8 gを得た。化合物(11)からの収率は43.5%であっ 。

  1 H-NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであ り、得られた化合物が、4-(4-エトキシ-2,3,2’ -トリフルオロ-1,1’-ターフェニル)-1-ヘプチ ルシクロヘキシル-3-エンであることが同定で きた。なお、測定溶媒はCDCl 3 である。

 化学シフトδ(ppm);7.60(dd,4H),7.42(t,1H),7.26(dd,1 H),7.19(dd,1H),7.14(td,1H),6.81(t,1H),6.21(m,1H),4.17(q,2H), 2.51-2.42(m,2H),2.35(dt,1H),1.98-1.90(m,1H),1.89-1.80(m,1H), 1.64-1.54(m,1H),1.49(t,3H),1.43-1.23(m,13H),0.90(t,3H).

 転移温度は化合物自体の測定値とし、上限 度(T NI )、誘電率異方性(δε)、および光学異方性(δn) は、化合物を母液晶(i)に混合した試料の測定 値を、上記外挿法に従って換算した外挿値と した、化合物(No. 532)の物性値は以下の通り あった。
転移温度 :C 95.0 S A  208.6 N 275.2 I
T NI =244.6℃,δε=-5.81,δn=0.294.

 4-(4-エトキシ-2,3,3’’-トリフルオロ-1,1’ -ターフェニル)-1-ペンチルシクロヘキシル-3- ン(No.672)の合成

第1工程
 窒素雰囲気下の反応器へ、化合物(15) 10.0g THF 100mlとを加えて、-74℃まで冷却した。そ へ、1.00M sec-ブチルリチウム,n-ヘキサン、 クロヘキサン溶液  36.6 mlを-74℃から-70℃ 温度範囲で滴下し、さらに2時間攪拌した。 いて4-ペンチルシクロヘキサノン(16)を5.1g含 んだTHF 50ml溶液を-75℃から-70℃の温度範囲で 滴下し、25℃に戻しつつ8時間攪拌した。得ら れた反応混合物を1N HCl水溶液 200mlと酢酸エ ル 300mlとが入った容器中に添加して混合し た後、静置して、有機層と水層とに分離させ 抽出操作を行った。得られた有機層を分取し 、水、飽和重曹水、および水で洗浄し、無水 硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、減圧 下、溶媒を留去し、4-(4-エトキシ-2,3,3’’-ト リフルオロ-1,1’-ターフェニル)-1-ペンチルシ クロヘキサノール(25) 13.4gを得た。得られた 合物(25)は白色固形物であった。

第2工程
 化合物(17) 13.4g、p-トルエンスルホン酸 0.4g 、およびトルエン 250mlを混合し、この混合 を、留出する水を抜きながら2時間加熱還流 せた。反応混合物を30℃まで冷却した後、 られた液に水 300mlとトルエン 500mlとを加え 混合した後、静置して有機層と水層の2層に 離させて、有機層への抽出操作を行った。 られた有機層を分取して、飽和重曹水、お び水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾 した。得られた溶液を減圧下で濃縮し、得 れた残渣を、トルエンとヘプタンとの混合 媒(体積比 トルエン:ヘプタン=1:1)を展開溶 とし、シリカゲルを充填剤として用いたカ ムクロマトグラフィーによる分取操作で精 した。さらに酢酸エチル/ソルミックスA-11の 混合溶媒(体積比 酢酸エチル:ソルミックスA- 11=2:1)からの再結晶により精製し、乾燥させ 4-(4-エトキシ-2,3,3’’-トリフルオロ-1,1’-タ ーフェニル)-1-ペンチルシクロヘキシル-3-エ (No.672) 10.8gを得た。化合物(25)からの収率は8 3.6%であった。

  1 H-NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであ り、得られた化合物が、4-(4-エトキシ-2,3,3’ -トリフルオロ-1,1’-ターフェニル)-1-ペンチ ルシクロヘキシル-3-エンであることが同定で きた。なお、測定溶媒はCDCl 3 である。

 化学シフトδ(ppm);7.61(dd,4H),7.38-7.28(m,3H),7.14 (td,1H),6.80(td,1H),6.00(m,1H),4.18(q,2H),2.54-2.38(m,2H),2. 33(dt,1H),1.94-1.80(m,2H),1.70-1.58(m,1H),1.49(t,3H),1.43-1. 25(m,9H),0.91(t,3H).

 転移温度は化合物自体の測定値とし、上限 度(T NI )、誘電率異方性(δε)、および光学異方性(δn) は、化合物を母液晶(i)に混合した試料の測定 値を、上記外挿法に従って換算した外挿値と した、化合物(No. 672)の物性値は以下の通り あった。
転移温度 :C 88.3 S A  196.9 N 287.3 I
T NI =245.3℃,δε=-5.23,δn=0.294.

 トランス-2-(4-エトキシ-2,3,2’’-トリフル オロ-1,1’-ターフェニル)-5-ペンチルテトラヒ ドロピラン(No.992)の合成

第1工程
 窒素雰囲気下の反応器へ、化合物(22) 3.0gと THF 100mlとを加えて、-74℃まで冷却した。そ へ、1.57M n-ブチルリチウム,n-ヘキサン溶液  5.2mlを-74 ℃から-70℃の温度範囲で滴下し、 らに2時間攪拌した。その後、THF 20 mlに溶 した4-ペンチル-テトラヒドロ-2-ピロン(26) 1. 4gを、-74℃から-70℃の温度範囲でゆっくり滴 し、25℃に戻しつつ8時間攪拌した。得られ 反応混合物を氷水 200mlと酢酸エチル 100ml が入った容器中に添加して混合した後、静 して、有機層と水層とに分離させ抽出操作 行った。得られた有機層を分取し、水、飽 重曹水、および水で洗浄し、無水硫酸マグ シウムで乾燥した。その後、減圧下、溶媒 留去し、2-(4-エトキシ-2,3,2’’-トリフルオ -1,1’-ターフェニル)-2-ヒドロキシ-5-ペンチ テトラヒドロピラン(27) 3.6gを得た。得られ 化合物(27)は白色固形物であった。

第2工程
 窒素雰囲気下の反応器へ、化合物(27) 3.6g、 三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体 1.8ml 塩化メチレン 100mlとを加えて、-60℃まで冷 した。そこへ、トリエチルシラン 2.3mlを-60 ℃から-58℃の温度範囲で滴下し、同温度で2 間攪拌した。さらに25℃に戻しつつ8時間攪 した。得られた反応混合物を氷水 200mlと酢 エチル 100mlとが入った容器中に添加して混 合した後、静置して、有機層と水層とに分離 させ抽出操作を行った。得られた有機層を分 取し、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで 乾燥した。その後、減圧下、溶媒を留去し、 得られた残渣を、トルエンを展開溶媒とし、 シリカゲルを充填剤として用いたカラムクロ マトグラフィーによる分取操作で精製した。 さらに酢酸エチル/ソルミックスA-11の混合溶 (体積比 酢酸エチル:ソルミックスA-11=2:1)か らの再結晶により精製し、乾燥させ、トラン ス-2-(4-エトキシ-2,3,2’’-トリフルオロ-1,1’- ターフェニル)-5-ペンチルテトラヒドロピラ (No.992) 0.81gを得た。化合物(27)からの収率は2 3.2%であった。

  1 H-NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであ り、得られた化合物が、トランス-2-(4-エトキ シ-2,3,2’’-トリフルオロ-1,1’-ターフェニル )-5-ペンチルテトラヒドロピランであること 同定できた。なお、測定溶媒はCDCl 3 である。

 化学シフトδ(ppm);7.60(dd,4H),7.44(t,1H),7.21(m,1H ),7.19(dd,1H),7.14(td,1H),6.82(td,1H),4.30(d,1H),4.17(q,2H), 4.10(dd,1H),3.23(t,1H),2.01(m,1H),1.92(m,1H),1.72-1.57(m,2H) ,1.49(t,3H),1.40-1.24(m,7H),1.24-1.09(m,2H),0.90(t,3H).

 転移温度は化合物自体の測定値とし、上限 度(T NI )、誘電率異方性(δε)、および光学異方性(δn) は、化合物を母液晶(i)に混合した試料の測定 値を、上記外挿法に従って換算した外挿値と した、化合物(No.992)の物性値は以下の通りで った。
転移温度 :C 97.3 N 282.0 I
T NI =232.6℃,δε=-4.62,δn=0.247.

 トランス-2-(4-エトキシ-2,3,3’’-トリフル オロ-1,1’-ターフェニル)-5-ペンチルテトラヒ ドロピラン(No.1152)の合成

第1工程
 窒素雰囲気下の反応器へ、化合物(15) 3.0gと THF 100mlとを加えて、-74℃まで冷却した。そ へ、1.00M sec-ブチルリチウム,n-ヘキサン、シ クロヘキサン溶液 11.0mlを-74℃から-70℃の温 範囲で滴下し、さらに2時間攪拌した。その 後、THF 20mlに溶解した4-ペンチル-テトラヒド ロ-2-ピロン(14) 1.7gを、-74℃から-70℃の温度 囲でゆっくり滴下し、25℃に戻しつつ8時間 拌した。得られた反応混合物を氷水 200mlと 酸エチル 100mlとが入った容器中に添加して 混合した後、静置して、有機層と水層とに分 離させ抽出操作を行った。得られた有機層を 分取し、水、飽和重曹水、および水で洗浄し 、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後 、減圧下、溶媒を留去し、2-(4-エトキシ-2,3,3 ’-トリフルオロ-1,1’-ターフェニル)-2-ヒド ロキシ-5-ペンチルテトラヒドロピラン(28) 4.5 gを得た。得られた化合物(28)は白色固形物で った。

第3工程
 窒素雰囲気下の反応器へ、化合物(28) 4.5g、 三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体 1.7ml 塩化メチレン 100mlとを加えて、-60℃まで冷 した。そこへ、トリエチルシラン 2.1mlを-60 ℃から-58℃の温度範囲で滴下し、同温度で2 間攪拌した。さらに25 ℃に戻しつつ8時間攪 拌した。得られた反応混合物を氷水  200mlと 酢酸エチル 100 mlとが入った容器中に添加し て混合した後、静置して、有機層と水層とに 分離させ抽出操作を行った。得られた有機層 を分取し、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウ ムで乾燥した。その後、減圧下、溶媒を留去 し、得られた残渣を、トルエンを展開溶媒と し、シリカゲルを充填剤として用いたカラム クロマトグラフィーによる分取操作で精製し た。さらに酢酸エチル/ソルミックスA-11の混 溶媒(体積比 酢酸エチル:ソルミックスA-11=2 :1)からの再結晶により精製し、乾燥させ、ト ランス-2-(4-エトキシ-2,3,3’’-トリフルオロ-1 ,1’-ターフェニル)-5-ペンチルテトラヒドロ ラン(No.1152) 0.45gを得た。化合物(28)からの収 率は10.3%であった。

  1 H-NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであ り、得られた化合物が、トランス-2-(4-エトキ シ-2,3,3’’-トリフルオロ-1,1’-ターフェニル )-5-ペンチルテトラヒドロピランであること 同定できた。なお、測定溶媒はCDCl 3 である。

 化学シフトδ(ppm);7.61(dd,4H),7.56(t,1H),7.42(dd,1 H),7.28(dd,1H),7.14(td,1H),6.82(td,1H),4.63(d,1H),4.17(q,2H) ,4.11(dd,1H),3.26(t,1H),2.00(td,1H),1.95(td,1H),1.75-1.64(m, 1H),1.64-1.58(m,1H),1.49(t,3H),1.40-1.24(m,7H),1.24-1.09(m,2 H),0.90(t,3H).

 転移温度は化合物自体の測定値とし、上限 度(T NI )、誘電率異方性(δε)、および光学異方性(δn) は、化合物を母液晶(i)に混合した試料の測定 値を、上記外挿法に従って換算した外挿値と した、化合物(No.1152)の物性値は以下の通りで あった。
転移温度 :C 89.1 N 278.3 I
T NI =224.6℃,δε=-4.28,δn=0.257.

 4-エトキシ-2,3,2’’-トリフルオロ-4’’-( トランス-4-エテニルシクロヘキシル)-1,1’-タ ーフェニル(No.72)の合成

第1工程
 窒素雰囲気下の反応器へ、良く乾燥させた グネシウム 9.3gとTHF 20mlとを加えて、50℃ で加熱した。そこへ、THF 300mlに溶解した3- ルオロブロモベンゼン(8) 67.2gを、40℃から60 ℃の温度範囲でゆっくり滴下し、さらに60分 拌した。その後、THF 150mlに溶解した1,4-ジ キサスピロ[4.5]デカン-8-オン(31)50.0gを、50℃ ら60℃の温度範囲でゆっくり滴下し、さら 60分攪拌した。得られた反応混合物を30℃ま 冷却した後、NH 4 Cl水溶液 900mlと酢酸エチル 500mlとが入った 器中に添加して混合した後、静置して、有 層と水層とに分離させ抽出操作を行った。 られた有機層を分取し、水、飽和重曹水、 よび水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで 燥した。その後、減圧下、溶媒を留去し、8- (3-フルオロフェニル)-1,4-ジオキサスピロ[4.5] カ-8-オール(32) 73.5gを得た。得られた化合 (32)は黄色液状物であった。

第2工程
 化合物(32) 73.5g、p-トルエンスルホン酸 2.2g 、エチレングリコール 3.7gおよびトルエン 2 50mlを混合し、この混合物を、留出する水を きながら2時間加熱還流させた。反応混合物 30℃まで冷却した後、得られた液に水 200ml トルエン 500mlとを加え混合した後、静置し て有機層と水層の2層に分離させて、有機層 の抽出操作を行った。得られた有機層を分 して、飽和重曹水、および水で洗浄し、無 硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶 を、ヘプタンを展開溶媒とし、シリカゲル 充填剤として用いたカラムクロマトグラフ ーによる分取操作で精製し、乾燥させ、8-(3- フルオロフェニル)-1,4-ジオキサスピロ[4.5]デ ン(33) 60.2gを得た。化合物(8)からの収率は80 .0%であった。

第3工程
 トルエン 150ml、ソルミックスA-11 150mlとの 合溶媒に化合物(33)60.2gを溶解させ、さらにP d/C(NXタイプ)を0.7g加え、水素雰囲気下、水素 吸収しなくなるまで室温で攪拌した。反応 了後、Pd/Cを除去して、さらに溶媒を留去し て、得られた残渣を、トルエンを展開溶媒と し、シリカゲルを充填剤として用いたカラム クロマトグラフィーによる分取操作で精製し 、乾燥させ、8-(3-フルオロフェニル)-1,4-ジオ サスピロ[4.5]デカン(34) 52.3gを得た。化合物 (33)からの収率は86.1%であった。

第4工程
 化合物(34) 52.3g、87%蟻酸 58.6ml、およびトル エン 200mlを混合し、この混合物を、2時間加 還流させた。反応混合物を30℃まで冷却し 後、得られた液に水 200mlとトルエン 300mlと を加え混合した後、静置して有機層と水層の 2層に分離させて、有機層への抽出操作を行 た。得られた有機層を分取して、水、飽和 曹水、および水で洗浄し、無水硫酸マグネ ウムで乾燥した。その後、ヘプタンからの 結晶により精製し、乾燥させ、1-(3-フルオロ フェニル)-シクロヘキサン-4-オン(35)41.9gを得 。化合物(34)からの収率は98.5%であった。

第5工程
 窒素雰囲気下、良く乾燥させたメトキシメ ルトリフェニルホスホニウムクロリド 112.1 gとTHF 1000mlを混合し、-30℃まで冷却した。そ の後、カリウムt-ブトキシド(t-BuOK) 36.7gを-30 ~-20℃の温度範囲で、2回に分けて投入した -20℃で30分攪拌した後、THF 200mlに溶解した 合物(35) 41.9gを-30~-20℃の温度範囲で滴下し 。-10℃で30分攪拌した後、反応液を水 500ml トルエン 500mlの混合液へ注ぎ込み、混合し 後、静置して有機層と水層の2層に分離させ て、有機層への抽出操作を行った。得られた 有機層を分取して、水で洗浄し、無水硫酸マ グネシウムで乾燥した。得られた溶液を減圧 下、濃縮し得られた残渣をトルエンを展開溶 媒、シリカゲルを充填剤として用いたカラム クロマトグラフィーによる分取操作で精製し た。得られた溶離液を減圧下、濃縮し、1-(3- ルオロフェニル)-4-メトキシメチレンシクロ ヘキサン(36)45.0gを得た。化合物(35)からの収 は93.7%であった。

第6工程
 化合物(36) 45.0g、87%蟻酸 54.0g、およびトル ン 250mlを混合し、この混合物を、2時間加 還流させた。反応混合物を30℃まで冷却した 後、得られた液に水 200mlとトルエン 200mlと 加え混合した後、静置して有機層と水層の2 層に分離させて、有機層への抽出操作を行っ た。得られた有機層を分取して、水、飽和重 曹水、および水で洗浄し、無水硫酸マグネシ ウムで乾燥した。その後、減圧下、溶媒を留 去し、淡黄色固体を得た。この残渣をトルエ ン50mlに溶解し、7℃に冷却した95%水酸化ナト ウム 5.0gとソルミックスA-11 200mlの混合液 添加し、10℃で2時間攪拌した。その後、2N  酸化ナトリウム水溶液 100mlを添加し、5℃ 2時間攪拌した。得られた反応液を水 200mlと トルエン 200mlの混合液へ注ぎ込み、混合し 後、静置して有機層と水層の2層に分離させ 、有機層への抽出操作を行った。得られた 機層を分取して、水で洗浄し、無水硫酸マ ネシウムで乾燥した。その後、減圧下、溶 を留去し、得られた残渣を濃縮し、トルエ を展開溶媒、シリカゲルを充填剤として用 たカラムクロマトグラフィーによる分取操 で精製し、乾燥させ、1-(3-フルオロフェニ )-トランス-4-シクロヘキサンカルボアルデヒ ド(37)39.8gを得た。化合物(36)からの収率は94.5% であった。

第7工程
 窒素雰囲気下、良く乾燥させたメトキシト フェニルホスホニウムブロミド 26.0gとTHF 2 00mlを混合し、-30℃まで冷却した。その後、 リウムt-ブトキシド(t-BuOK) 8.2gを-30℃~-20℃の 温度範囲で、2回に分けて投入した。-20℃で30 分攪拌した後、THF 50mlに溶解した化合物(37)  10.0gを-30~-20℃の温度範囲で滴下した。-10℃で 30分攪拌した後、反応液を水 200mlとトルエン  200mlの混合液へ注ぎ込み、混合した後、静 して有機層と水層の2層に分離させて、有機 への抽出操作を行った。得られた有機層を 取して、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウ で乾燥した。得られた溶液を減圧下、濃縮 得られた残渣をトルエンを展開溶媒、シリ ゲルを充填剤として用いたカラムクロマト ラフィーによる分取操作で精製した。得ら た溶離液を減圧下、濃縮し、1-(3-フルオロ ェニル)-トランス-4-エテニルシクロヘキサン (38)9.0gを得た。化合物(37)からの収率は90.9%で った。

第8工程
 窒素雰囲気下の反応器へ、化合物(38) 9.0gと THF 100mlとを加えて、-74℃まで冷却した。そ へ、1.00M sec-ブチルリチウム,n-ヘキサン、シ クロヘキサン溶液 20.0ml を-74℃から-70℃の 度範囲で滴下し、さらに2時間攪拌した。続 てトリメトキシボラン 5.5gのTHF 20ml溶液を- 75℃から-70℃の温度範囲で滴下し、25℃に戻 つつ8時間攪拌した。得られた反応混合物を1 N HCl水溶液 200mlに注ぎ込み、混合した。ト エン 200 mlを加え有機層と水層とに分離さ 抽出操作を行い得られた有機層を分取し、 いて食塩水で洗浄して、無水硫酸マグネシ ムで乾燥した。得られた溶液を、ヘプタン 洗浄し、乾燥させ、トランス-4-(4-エテニル クロヘキシル)-3-フルオロフェニルボロン酸( 39)4.9gを得た。化合物(38)からの収率は44.8%で った。

第9工程
 窒素雰囲気下、反応器へ4-エトキシ-4’-ブ モ-2,3-ジフルオロ-1,1'-ビフェニル(3) 2.8g、ボ ロン酸誘導体(39) 2.0g、炭酸カリウム 3.4g、Pd (Ph 3 P) 2 Cl 2  0.15g、トルエン 100ml、ソルミックスA-11 100m lおよび水 100mlを加え、2時間加熱還流させた 。反応液を25℃まで冷却後、水 500mlおよびト ルエン 500mlへ注ぎ込み、混合した。その後 静置して有機層と水層の2層に分離させて、 機層への抽出操作を行った。得られた有機 を分取して、水で洗浄し、無水硫酸マグネ ウムで乾燥した。得られた溶液を減圧下で 縮し、得られた残渣を、トルエンとヘプタ との混合溶媒(体積比 トルエン:ヘプタン=1: 1)を展開溶媒とし、シリカゲルを充填剤とし 用いたカラムクロマトグラフィーによる分 操作で精製した。さらに酢酸エチル/ソルミ ックスA-11の混合溶媒(体積比 酢酸エチル:ソ ミックスA-11=2:1)からの再結晶により精製し 乾燥させ、4-エトキシ-2,3,2’’-トリフルオ -4’’-(トランス-4-エテニルシクロヘキシル )-1,1’-ターフェニル(No.72) 1.4gを得た。化合 (39)からの収率は40.6%であった。

1 H-NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであ り、得られた化合物が、4-エトキシ-2,3,2’’- トリフルオロ-4’’-(トランス-4-エテニルシ ロヘキシル)-1,1’-ターフェニル(No.72)である とが同定できた。なお、測定溶媒はCDCl 3 である。

 化学シフトδ(ppm);7.59(dd,4H),7.40(t,1H),7.14(td,1 H),7.07(dd,1H),7.02(dd,1H),6.81(td,1H),5.83(ddd,1H),5.02(d,1 H),4.94(d,1H),4.17(q,2H),2.53(td,1H),2.10-1.89(m,5H),1.58-1. 44(m,6H),1.29(qd,1H).

 転移温度は化合物自体の測定値とし、上限 度(T NI )、誘電率異方性(δε)、および光学異方性(δn) は、化合物を母液晶(i)に混合した試料の測定 値を、上記外挿法に従って換算した外挿値と した、化合物(No.72)の物性値は以下の通りで った。
転移温度 :C 127.6 N 302.8 I
T NI =238.6℃,δε=-5.60,δn=0.227.

 4-エトキシ-2,3,2’’-トリフルオロ-4’’-{ トランス-4-(1-ペンテニルシクロヘキシル)}-1,1 ’-ターフェニル(No.112)の合成

第1工程
 窒素雰囲気下、良く乾燥させたブトキシト フェニルホスホニウムブロミド 58.1gとTHF 2 00mlを混合し、-30℃まで冷却した。その後、 リウムt-ブトキシド(t-BuOK) 16.3gを-30℃~-20℃ 温度範囲で、2回に分けて投入した。-20℃で3 0分攪拌した後、THF 100mlに溶解した化合物(37)  20.0gを-30~-20℃の温度範囲で滴下した。-10℃ 30分攪拌した後、反応液を水 400mlとトルエ  400mlの混合液へ注ぎ込み、混合した後、静 置して有機層と水層の2層に分離させて、有 層への抽出操作を行った。得られた有機層 分取して、水で洗浄し、無水硫酸マグネシ ムで乾燥した。得られた溶液を減圧下、濃 し得られた残渣をトルエンを展開溶媒、シ カゲルを充填剤として用いたカラムクロマ グラフィーによる分取操作で精製した。得 れた溶離液を減圧下、濃縮した。これに、 ンゼンスルホン酸ナトリウム 二水和物 31.0 g、ソルミックスA-11 100mlを混合した。この混 合物を、8時間加熱還流させた。反応混合物 30℃まで冷却した後、得られた液に水 200ml トルエン 200mlとを加え混合した後、静置し 有機層と水層の2層に分離させて、有機層へ の抽出操作を行った。得られた有機層を分取 して、水、飽和重曹水、および水で洗浄し、 無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、 得られた溶液を減圧下で濃縮し、得られた残 渣を、トルエンとヘプタンとの混合溶媒(体 比 トルエン:ヘプタン=1:1)を展開溶媒とし、 シリカゲルを充填剤として用いたカラムクロ マトグラフィーによる分取操作で精製した。 さらにソルミックスA-11からの再結晶により 製し、乾燥させ、1-(3-フルオロフェニル)-ト ンス-4-(1-ペンテニル)シクロヘキサン(40)15.8g を得た。化合物(37)からの収率は66.2%であった 。

第2工程
 窒素雰囲気下の反応器へ、化合物(40) 15.8g THF 100mlとを加えて、-74℃まで冷却した。そ へ、1.00M sec-ブチルリチウム,n-ヘキサン、 クロヘキサン溶液 70.5ml を-74℃から-70℃の 度範囲で滴下し、さらに2時間攪拌した。続 いてトリメトキシボラン 7.3gのTHF 40ml溶液を -75℃から-70℃の温度範囲で滴下し、25℃に戻 つつ8時間攪拌した。得られた反応混合物を 1N HCl水溶液 200mlに注ぎ込み、混合した。ト エン 200 mlを加え有機層と水層とに分離さ 抽出操作を行い得られた有機層を分取し、 いて食塩水で洗浄して、無水硫酸マグネシ ムで乾燥した。得られた溶液を、ヘプタン 洗浄し、乾燥させ、トランス-4-(1-ペンテニ シクロヘキシル)-3-フルオロフェニルボロン 酸(41)5.5gを得た。化合物(40)からの収率は29.6% あった。

第3工程
 窒素雰囲気下、反応器へ4-エトキシ-4’-ブ モ-2,3-ジフルオロ-1,1'-ビフェニル(3) 3.0g、ボ ロン酸誘導体(41) 3.1g、炭酸カリウム 4.0g、Pd (Ph 3 P) 2 Cl 2  0.20g、トルエン 100ml、ソルミックスA-11 100m lおよび水 100mlを加え、2時間加熱還流させた 。反応液を25℃まで冷却後、水 500mlおよびト ルエン 500mlへ注ぎ込み、混合した。その後 静置して有機層と水層の2層に分離させて、 機層への抽出操作を行った。得られた有機 を分取して、水で洗浄し、無水硫酸マグネ ウムで乾燥した。得られた溶液を減圧下で 縮し、得られた残渣を、トルエンとヘプタ との混合溶媒(体積比 トルエン:ヘプタン=1: 1)を展開溶媒とし、シリカゲルを充填剤とし 用いたカラムクロマトグラフィーによる分 操作で精製した。さらに酢酸エチル/ソルミ ックスA-11の混合溶媒(体積比 酢酸エチル:ソ ミックスA-11=2:1)からの再結晶により精製し 乾燥させ、4-エトキシ-2,3,2’’-トリフルオ -4’’-{トランス-4-(1-ペンテニルシクロヘキ シル)}-1,1’-ターフェニル(No.112) 2.9gを得た。 化合物(3)からの収率は62.8%であった。

  1 H-NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであ り、得られた化合物が、4-エトキシ-2,3,2’’- トリフルオロ-4’’-{トランス-4-(1-エテニル クロヘキシル)}-1,1’-ターフェニル(No.112)で ることが同定できた。なお、測定溶媒はCDCl 3 である。

 化学シフトδ(ppm);7.59(dd,4H),7.39(t,1H),7.14(td,1 H),7.07(dd,1H),7.02(dd,1H),6.81(td,1H),5.42(m,2H),4.17(q,2H) ,2.51(td,1H),2.04-1.93(m,5H),1.93-1.84(m,2H),1.56-1.44(m,5H) ,1.38(sixtet,2H),1.29(qd,2H),0.90(t,3H).

 転移温度は化合物自体の測定値とし、上限 度(T NI )、誘電率異方性(δε)、および光学異方性(δn) は、化合物を母液晶(i)に混合した試料の測定 値を、上記外挿法に従って換算した外挿値と した、化合物(No. 112)の物性値は以下の通り あった。
転移温度 :C 110.6 S A  162.5 N 328.2 I
T NI =253.3℃,δε=-5.07,δn=0.260.

 トランス-4’-[4-エトキシ-2,3,2’’-トリフ ルオロ-4’’-1,1’-ターフェニル]-トランス-4- プロピルビシクロヘキシル(No.2892)の合成

第1工程
 窒素雰囲気下の反応器へ、トランス-4’-(3- ルオロフェニル)-トランス-4-プロピルビシ ロヘキシル(29) 10.0gとTHF 100mlとを加えて、-7 4 ℃まで冷却した。そこへ、1.00 M sec-ブチ リチウム、n-ヘキサン、シクロヘキサン溶液  33.1mlを-74 ℃から-70 ℃の温度範囲で滴下し 、さらに2時間攪拌した。続いて、ホウ酸ト メチル 5.2gのTHF 50ml溶液に-74℃から-65℃の 度範囲で滴下し、25℃に戻しつつ、さらに8 間攪拌した。その後、反応混合物を1N塩酸 1 00ml氷水 500mlとが入った容器中に注ぎ込み、 合した。酢酸エチル 300mlを加えて、有機層 と水層とに分離させ抽出操作を行った。得ら れた有機層を分取し、水、飽和炭酸水素ナト リウム水溶液、食塩水で順次洗浄し、無水硫 酸マグネシウムで乾燥した。その後、減圧下 、溶媒を留去し、2-フルオロ-トランス-4’-( ランス-4-プロピルビシクロヘキシル)-フェニ ルボロン酸(30) 8.5gを得た。化合物(29)からの 率は74.2%であった。

第2工程
 窒素雰囲気下、反応器へ4-エトキシ-4’-ブ モ-2,3-ジフルオロ-1,1'-ビフェニル(3) 5.0g、ボ ロン酸誘導体(30) 6.7g、炭酸カリウム 6.6g、Pd (Ph 3 P) 2 Cl 2  0.3 g、トルエン 100 ml、ソルミックスA-11 1 00mlおよび水 100mlを加え、2時間加熱還流させ た。反応液を25℃まで冷却後、水  500mlおよ トルエン 500mlへ注ぎ込み、混合した。その 後、静置して有機層と水層の2層に分離させ 、有機層への抽出操作を行った。得られた 機層を分取して、水で洗浄し、無水硫酸マ ネシウムで乾燥した。得られた溶液を減圧 で濃縮し、得られた残渣を、トルエンとヘ タンとの混合溶媒(体積比 トルエン:ヘプタ =1:1)を展開溶媒とし、シリカゲルを充填剤 して用いたカラムクロマトグラフィーによ 分取操作で精製した。さらに酢酸エチル/ソ ミックスA-11の混合溶媒(体積比 酢酸エチル :ソルミックスA-11=2:1)からの再結晶により精 し、乾燥させ、トランス-4’-[4-エトキシ-2,3, 2’’-トリフルオロ-4’’-1,1’-ターフェニル ]-トランス-4-プロピルビシクロヘキシル(No.289 2) 6.8gを得た。化合物(3)からの収率は79.1%で った。

  1 H-NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであ り、得られた化合物が、トランス-4’-[4-エト キシ-2,3,2’’-トリフルオロ-4’’-1,1’-ター ェニル]-トランス-4-プロピルビシクロヘキ ルであることが同定できた。なお、測定溶 はCDCl 3 である。

 化学シフトδ(ppm);7.59(dd,4H),7.39(t,1H),7.15(td,1 H),7.07(dd,1H),7.02(dd,1H),6.82(t,1H),4.17(q,2H),2.50(td,1H) ,1.97(d,2H),1.87(m,2H),1.76(t,4H),1.49(t,3H),1.47-1.42(m,2H) ,1.36-1.27(m,2H),1.22-1.12(m,6H),1.10-0.96(m,3H),0.92-0.82(m ,2H),0.88(t,3H).

 得られた化合物(No.2892)の転移温度は以下の りである。
転移温度 :C 246.3 S A  194.9 N >400 I

 1-(4-エトキシ-2,3,2’’,3’’-テトラフル ロ-1,1’-ターフェニル)-トランス-4-ペンチル クロヘキシル-3-エン(No.832)の合成

第1工程
 窒素雰囲気下の反応器へ、1,2-ジフルオロベ ンゼン(8) 100.0gとTHF 1000mlとを加えて、-74℃ で冷却した。そこへ、1.57M n-ブチルリチウ ,n-ヘキサン溶液 876.5mlを-74℃から-70℃の温 範囲で滴下し、さらに2時間攪拌した。続い 、4-ペンチルシクロヘキサノン(43)177.0gのTHF 300ml溶液に-74℃から-65℃の温度範囲で滴下し 、25℃に戻しつつ、さらに8時間攪拌した。得 られた反応混合物を1N HCl水溶液 500mlと酢酸 チル 800mlとが入った容器中に添加して混合 した後、静置して、有機層と水層とに分離さ せ抽出操作を行った。得られた有機層を分取 し、水、飽和重曹水、および水で洗浄し、無 水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、減 圧下、溶媒を留去し、4-ペンチル-1-(2,3-ジフ オロフェニル)-シクロヘキサノール(44) 215.1g を得た。得られた化合物(44)は黄色液状物で った。

第2工程
 化合物(44) 215.1g、p-トルエンスルホン酸 6.5 g、およびトルエン 300mlを混合し、この混合 を、留出する水を抜きながら2時間加熱還流 させた。反応混合物を30℃まで冷却した後、 られた液に水 500mlとトルエン 800mlとを加 混合した後、静置して有機層と水層の2層に 離させて、有機層への抽出操作を行った。 られた有機層を分取して、飽和重曹水、お び水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾 した。得られた溶液を、ヘプタンを展開溶 とし、シリカゲルを充填剤として用いたカ ムクロマトグラフィーによる分取操作で精 し、乾燥させ、4-ペンチル-1-(2,3-ジフルオロ フェニル)-シクロヘキシル-3-エン(45) 186.6gを た。化合物(18)からの収率は81.0%であった。

第3工程
 窒素雰囲気下の反応器へ、化合物(45) 10.0g THF 100mlとを加えて、-74 ℃まで冷却した。 こへ、1.00M sec-ブチルリチウム,n-ヘキサン、 シクロヘキサン溶液 43.3mlを-74 ℃から-70℃ 温度範囲で滴下し、さらに2時間攪拌した。 いてヨウ素 12.0gのTHF 100ml溶液を-75℃から-7 0℃の温度範囲で滴下し、25℃に戻しつつ8時 攪拌した。得られた反応混合物をチオ硫酸 トリウム水溶液 500mlに注ぎ込み、混合した トルエン 500mlを加え有機層と水層とに分離 させ抽出操作を行い得られた有機層を分取し 、続いて食塩水で洗浄して、無水硫酸マグネ シウムで乾燥した。得られた溶液を、減圧下 で濃縮し、得られた残渣を、ヘプタンを展開 溶媒とし、シリカゲルを充填剤として用いた カラムクロマトグラフィーによる分取操作で 精製した。溶媒を留去し乾燥させ、4-ペンチ -1-(2,3-ジフルオロフェニル-4-ヨード)-シクロ ヘキシル-3-エン(46)13.6 gを得た。化合物(45)か らの収率は92.1%であった。

第4工程
窒素雰囲気下の反応器へ、化合物(46) 6.0g、 ヒドロキシボラン誘導体(6) 5.2g、炭酸カリ ム 10.6g、Pd/C(NXタイプ) 0.06g、トルエン 100  ml、ソルミックスA-11 100mlおよび水 100mlを加 、2時間加熱還流させた。反応液を25℃まで 却後、水 300mlおよびトルエン300mlへ注ぎ込 、混合した。その後、静置して有機層と水 の2層に分離させて、有機層への抽出操作を 行った。得られた有機層を分取して、水で洗 浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。得 られた溶液を減圧下で濃縮し、得られた残渣 を、トルエンとヘプタンとの混合溶媒(体積  トルエン:ヘプタン=1:1)を展開溶媒とし、シ リカゲルを充填剤として用いたカラムクロマ トグラフィーによる分取操作で精製した。さ らに酢酸エチル/ソルミックスA-11の混合溶媒( 体積比 酢酸エチル:ソルミックスA-11=2:1)から の再結晶により精製し、乾燥させ、1-(4-エト シ-2,3,2’’,3’’-テトラフルオロ-1,1’-タ フェニル)-トランス-4-ペンチルシクロヘキシ ル-3-エン(No.832) 6.0gを得た。化合物(46)からの 収率は78.1%であった。

1 H-NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであ り、得られた化合物が、1-(4-エトキシ-2,3,2’ ,3’’-テトラフルオロ-1,1’-ターフェニル)- トランス-4-ペンチルシクロヘキシル-3-エン(No .832)であることが同定できた。なお、測定溶 はCDCl 3 である。

 化学シフトδ(ppm);7.59(dd,4H),7.15(td,1H),7.14(td, 1H),7.06(td,1H),6.82(td,1H),6.03(br,1H),4.17(q,2H),2.44-2.30 (m,3H),1.94-1.90(m,2H),1.68-1.58(m,1H),1.48(t,3H),1.44-1.25( m,9H),0.91(t,3H).

 転移温度は化合物自体の測定値とし、上限 度(T NI )、誘電率異方性(δε)、および光学異方性(δn) は、化合物を母液晶(i)に混合した試料の測定 値を、上記外挿法に従って換算した外挿値と した、化合物(No. 832)の物性値は以下の通り あった。
転移温度 :C 110.2 N 279.5 I
T NI =192.6℃,δε=-5.24,δn=0.227.

 1-(4-エトキシ-2,3,2’’,3’’-テトラフル ロ-1,1’-ターフェニル)-トランス-4-ペンチル クロヘキサン(No.352)の合成

第1工程
 トルエン 150ml、ソルミックスA-11 150mlとの 合溶媒に化合物(No.832) 3.0gを溶解させ、さ にラネーニッケルを0.30g加え、水素雰囲気下 、水素を吸収しなくなるまで室温で攪拌した 。反応終了後、ラネーニッケルを除去して、 さらに溶媒を留去して、得られた残渣をヘプ タンとトルエンの混合溶媒(体積比 ヘプタン :トルエン=2:3)を展開溶媒、シリカゲルを充填 剤として用いたカラムクロマトグラフィーに よる分取操作で精製し、さらに得られた残渣 を酢酸エチルとソルミックスA-11の混合溶媒( 積比 酢酸エチル:ソルミックス=1:2)からの 結晶により精製し、乾燥させ、1-(4-エトキシ -2,3,2’’,3’’-テトラフルオロ-1,1’-ターフ ニル)-トランス-4-ペンチルシクロヘキサン(N o.352) 2.0gを得た。化合物(No.832)からの収率は6 6.4%であった。

  1 H-NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであ り、得られた化合物が、1-(4-エトキシ-2,3,2’ ,3’’-テトラフルオロ-1,1’-ターフェニル)- トランス-4-ペンチルシクロヘキサン(No.352)で ることが同定できた。なお、測定溶媒はCDCl 3 である。

 化学シフトδ(ppm);7.59(dd,4H),7.16(td,1H),7.14(td, 1H),7.04(td,1H),6.82(td,1H),4.17(q,2H),2.88(td,1H),1.90(m,4H ),1.58-1.45(m,5H),1.48-1.21(m,9H),1.17-1.06(m,2H),0.90(t,3H) .

 転移温度は化合物自体の測定値とし、上限 度(T NI )、誘電率異方性(δε)、および光学異方性(δn) は、化合物を母液晶(i)に混合した試料の測定 値を、上記外挿法に従って換算した外挿値と した、化合物(No. 352)の物性値は以下の通り あった。
転移温度 :C 118.9 N 292.9 I
T NI =228.6℃,δε=-6.14,δn=0.207.

 1-(4-エトキシ-2,3,2’’,3’’-テトラフル ロ-1,1’-ターフェニル)-トランス-4-ブトキシ クロヘキシル-3-エン(No.912)の合成

第1工程
 窒素雰囲気下の反応器へ、1,2-ジフルオロベ ンゼン(42) 57.0gとTHF 1000mlとを加えて、-74℃ で冷却した。そこへ、1.00M sec-ブチルリチウ ム,n-ヘキサン、シクロヘキサン溶液 500.0mlを -74℃から-70℃の温度範囲で滴下し、さらに2 間攪拌した。続いて4-ブトキシシクロヘキサ ノン(22)を85.1g含んだTHF 200ml溶液を-75℃から-7 0℃の温度範囲で滴下し、25℃に戻しつつ8時 攪拌した。得られた反応混合物を1N HCl水溶  500mlと酢酸エチル 500mlとが入った容器中 添加して混合した後、静置して、有機層と 層とに分離させ抽出操作を行った。得られ 有機層を分取し、水、飽和重曹水、および で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し 。その後、減圧下、溶媒を留去し、4-ブトキ シ-(2,3-ジフルオロフェニル)シクロへキサノ ル(47) 130.1gを得た。得られた化合物(47)は黄 油状物であった。

第2工程
 化合物(47) 130.1g、p-トルエンスルホン酸 1.3 g、およびトルエン 500mlを混合し、この混合 を、留出する水を抜きながら2時間加熱還流 させた。反応混合物を30℃まで冷却した後、 られた液に水 500mlとトルエン 500mlとを加 混合した後、静置して有機層と水層の2層に 離させて、有機層への抽出操作を行った。 られた有機層を分取して、飽和重曹水、お び水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾 した。得られた溶液を、トルエンを展開溶 とし、シリカゲルを充填剤として用いたカ ムクロマトグラフィーによる分取操作で精 し、乾燥させ、4-ブトキシ-(2,3-ジフルオロ ェニル)シクロへキセン(48) 71.6gを得た。得 れた化合物(48)は無色液体、沸点は131~132℃/3m mHgであり、化合物(6)からの収率は66.5%であっ 。

第3工程
 窒素雰囲気下の反応器へ、4-ブトキシ-(2,3- フルオロフェニル)シクロへキセン(48) 11.0g THF 200mlとを加えて、-74 ℃まで冷却した。 こへ、1.00M sec-ブチルリチウム,n-ヘキサン、 シクロヘキサン溶液 50.0mlを-74℃から-70℃の 度範囲で滴下し、さらに2時間攪拌した。続 いて、ホウ酸トリメチル 5.2gのTHF 50ml溶液に -74℃から-65℃の温度範囲で滴下し、25 ℃に しつつ、さらに8時間攪拌した。その後、反 混合物を1N塩酸 100ml氷水 500mlとが入った容 器中に注ぎ込み、混合した。酢酸エチル 300m lを加えて、有機層と水層とに分離させ抽出 作を行った。得られた有機層を分取し、水 飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で 次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し 。その後、減圧下、溶媒を留去し、4-(4-ブト キシシクロへキセニル)-2,3-ジフルオロフェニ ル ボロン酸(49) 10.7gを得た。化合物(48)から 収率は83.6%であった。

第4工程
 窒素雰囲気下、反応器へ4-エトキシ-4’-ブ モ-2,3-ジフルオロ-1,1'-ビフェニル(3) 3.0g、ボ ロン酸誘導体(49) 2.2g、炭酸カリウム 2.65g、P d(Ph 3 P) 2 Cl 2  0.13g、トルエン 100ml、ソルミックスA-11 100m lおよび水 100mlを加え、2時間加熱還流させた 。反応液を25℃まで冷却後、水 500mlおよびト ルエン 500mlへ注ぎ込み、混合した。その後 静置して有機層と水層の2層に分離させて、 機層への抽出操作を行った。得られた有機 を分取して、水で洗浄し、無水硫酸マグネ ウムで乾燥した。得られた溶液を減圧下で 縮し、得られた残渣を、トルエンとヘプタ との混合溶媒(体積比 トルエン:ヘプタン=1: 1)を展開溶媒とし、シリカゲルを充填剤とし 用いたカラムクロマトグラフィーによる分 操作で精製した。さらに酢酸エチル/ソルミ ックスA-11の混合溶媒(体積比 酢酸エチル:ソ ミックスA-11=2:1)からの再結晶により精製し 乾燥させ、1-(4-エトキシ-2,3,2’’,3’’-テ ラフルオロ-1,1’-ターフェニル)-トランス-4- トキシシクロヘキシル-3-エン(No.912) 0.91gを た。化合物(3)からの収率は28.7%であった。

  1 H-NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであ り、得られた化合物が、1-(4-エトキシ-2,3,2’ ,3’’-テトラフルオロ-1,1’-ターフェニル)- トランス-4-ブトキシシクロヘキシル-3-エン(No .912)であることが同定できた。なお、測定溶 はCDCl 3 である。

 化学シフトδ(ppm);7.59(dd,4H),7.16(td,1H),7.15(td, 1H),7.04(td,1H),6.81(td,1H)5.97(m,1H),4.17(q,2H),3.66(m,1H), 3.52(m,2H),2.64-2.46(m,3H),2.28-2.20(m,1H),2.11-2.04(m,1H),1 .84-1.74(m,1H),1.64-1.56(m,2H),1.49(t,3H),1.41(sixtet,2H),0. 95(t,3H).

 転移温度は化合物自体の測定値とし、上限 度(T NI )、誘電率異方性(δε)、および光学異方性(δn) は、化合物を母液晶(i)に混合した試料の測定 値を、上記外挿法に従って換算した外挿値と した、化合物(No.912)の物性値は以下の通りで った。
転移温度 :C 121.2 N 250.5 I
T NI =189.6℃,δε=-6.38,δn=0.267.

 1-(4-エトキシ-2,3,2’’-トリフルオロ-1,1’ -ターフェニル)-トランス-4-プロピル-2,6-ジオ サン(No.1952)の合成

第1工程
 窒素雰囲気下の反応器へ、4’’-ブロモ-4- トキシ-2,3,2’’-トリフルオロ-1,1’-ターフ ニル(22) 20.0gとTHF 200mlとを加えて、-74 ℃ま で冷却した。そこへ、1.55M n-ブチルリチウム ,n-ヘキサン溶液 54.0mlを-74℃から-70℃の温度 囲で滴下し、さらに2時間攪拌した。その後 、THF 20mlに溶解したN,N-ジメチルホルムアミ  5.4mlを、50℃から60℃の温度範囲でゆっくり 滴下し、さらに60分攪拌した。得られた反応 合物を30℃まで冷却した後、1N HCl水溶液 20 0mlと酢酸エチル 200mlとが入った容器中に添 して混合した後、静置して、有機層と水層 に分離させ抽出操作を行った。得られた有 層を分取し、水、飽和重曹水、および水で 浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。 の後、減圧下、溶媒を留去し、さらにヘプ ンからの再結晶により精製し、乾燥させ、4 ’-(4-エトキシ-2,3,2’’-トリフルオロ-1,1’- ターフェニル)カルボアルデヒド(50) 11.3gを得 た。化合物(22)からの収率は64.6%であった。

第2工程
 窒素雰囲気下の反応器へ、化合物(50) 6.3g、 2-ペンチルプロピレングリコール 3.7g、p-ト エンスルホン酸 0.34g、およびトルエン 300ml を混合し、この混合物を2時間加熱還流させ 。反応混合物を30℃まで冷却した後、得られ た液に水 300mlとトルエン 500mlとを加え混合 た後、静置して有機層と水層の2層に分離さ せて、有機層への抽出操作を行った。得られ た有機層を分取して、飽和重曹水、および水 で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した 。得られた溶液を、トルエンを展開溶媒とし 、シリカゲルを充填剤として用いたカラムク ロマトグラフィーによる分取操作で精製した 。その後、減圧下、溶媒を留去し、さらに酢 酸エチル/ソルミックスA-11の混合溶媒(体積比  酢酸エチル:ソルミックスA-11=2:1)からの再結 晶により精製し、乾燥させ、1-(4-エトキシ-2,3 ,2’’-トリフルオロ-1,1’-ターフェニル)-ト ンス-4-ペンチル-2,6-ジオキサン(No.1952) 2.1gを 得た。化合物(50)からの収率は24.9%であった。

  1 H-NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであ り、得られた化合物が、1-(4-エトキシ-2,3,2’ ,3’’-トリフルオロ-1,1’-ターフェニル)-ト ランス-4-ペンチル-2,6-ジオキサン(No.1952)であ ことが同定できた。なお、測定溶媒はCDCl 3 である。

 化学シフトδ(ppm);7.59(dd,4H),7.48(td,1H),7.35(td, 1H),7.34(td,1H),7.14(td,1H),6.82(td,1H),5.44(s,1H),4.27(d,1H ),4.24(d,1H),4.17(q,2H),2.14(m,1H),1.56(d,1H),1.49(t,3H),1.3 7-1.24(m,7H),1.15-1.07(m,2H),0.90(t,3H).

 転移温度は化合物自体の測定値とし、上限 度(T NI )、誘電率異方性(δε)、および光学異方性(δn) は、化合物を母液晶(i)に混合した試料の測定 値を、上記外挿法に従って換算した外挿値と した、化合物(No. 1952)の物性値は以下の通り あった。
転移温度 :C 1  86.1 C 2  119.8 N 260.2 I
T NI =233.6℃,δε=-3.96,δn=0.257.

 1-エトキシ-2,3,2’’-トリフルオロ-4’’-( トランス-4-ペンチルシクロヘキシルメトキシ )-1,1’-ターフェニル(No.3921)の合成

第1工程
 窒素雰囲気下、DMF 100mlに4-ブロモ-3-フルオ フェノール(53) 5.7g、およびリン酸三カリウ ム(K 3 PO 4 ) 26.2gを加え、70℃で攪拌した。そこへ、ト ンス-4-クロロメチルペンチルシクロヘキサ (52) 5.0gを加え、70℃で、7時間攪拌した。得 れた反応混合物を30℃まで冷却し、ろ過に って固形物と分離した後、トルエン 100ml、 よび水 100mlを加え混合した。その後、静置 して有機層と水層の2層に分離させて、有機 への抽出操作を行った。得られた有機層を 取して、食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネ ウムで乾燥した。その後、減圧下、溶媒を 去し、得られた残渣をトルエンを展開溶媒 シリカゲルを充填剤として用いたカラムク マトグラフィーによる分取操作で精製した さらにソルミックスA-11からの再結晶により 製し、乾燥させ、4-ブロモ-3-フルオロ-(トラ ンス-4-ペンチルシクロヘキシルメトキシ)ベ ゼン(54)8.0gを得た。化合物(52)からの収率は90 .8%であった。

第2工程
 窒素雰囲気下、反応器へ4-ブロモ-3-フルオ -(トランス-4-ペンチルシクロヘキシルメトキ シ)ベンゼン(54) 5.0g、4-エトキシ-2,3-ジフルオ ロ-1,1'-ビフェニル-4’-ボロン酸(6) 4.3g、炭酸 カリウム 5.8g、Pd(Ph 3 P) 2 Cl 2  0.3g、トルエン 100ml、ソルミックスA-11 100ml および水 100mlを加え、2時間加熱還流させた 反応液を25℃まで冷却後、水 500mlおよびト エン 500mlへ注ぎ込み、混合した。その後、 静置して有機層と水層の2層に分離させて、 機層への抽出操作を行った。得られた有機 を分取して、水で洗浄し、無水硫酸マグネ ウムで乾燥した。得られた溶液を減圧下で 縮し、得られた残渣を、トルエンを展開溶 とし、シリカゲルを充填剤として用いたカ ムクロマトグラフィーによる分取操作で精 した。さらに酢酸エチル/ソルミックスA-11の 混合溶媒(体積比 酢酸エチル:ソルミックスA- 11=2:1)からの再結晶により精製し、乾燥させ 1-エトキシ-2,3,2’’-トリフルオロ-4’’-(ト ンス-4-ペンチルシクロヘキシルメトキシ)-1, 1’-ターフェニル(No.3921) 5.6 gを得た。化合 (54)からの収率は85.4%であった。

  1 H-NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであ り、得られた化合物が、1-エトキシ-2,3,2’’- トリフルオロ-4’’-(トランス-4-ペンチルシ ロヘキシルメトキシ)-1,1’-ターフェニル(No.3 921)であることが同定できた。なお、測定溶 はCDCl 3 である。

 化学シフトδ(ppm);7.56(dd,4H),7.37(t,1H),7.13(td,1 H),6.81(td,1H),6.77(dd,1H),6.70(dd,1H),4.17(q,2H),3.78(d,2H) ,1.90(d,2H),1.82(d,2H),1.76(m,1H),1.48(t,3H),1.35-1.16(m,9H) ,1.12-1.02(m,2H),1.01-0.93(m,2H),0.89(t,3H).

 転移温度は化合物自体の測定値とし、上限 度(T NI )、誘電率異方性(δε)、および光学異方性(δn) は、化合物を母液晶(i)に混合した試料の測定 値を、上記外挿法に従って換算した外挿値と した、化合物(No. 1952)の物性値は以下の通り あった。
転移温度 :C 126.2 N 252.9 I
T NI =217.9℃,δε=-3.43,δn=0.287.

 1-エトキシ-2,3,3’’-トリフルオロ-4’’-( トランス-4-ペンチルシクロヘキシルメトキシ )-1,1’-ターフェニル(No.3922)の合成

第1工程
 窒素雰囲気下、DMF 200mlに4-ブロモ-2-フルオ フェノール(55) 14.1g、およびリン酸三カリ ム(K 3 PO 4 ) 52.3gを加え、70℃で攪拌した。そこへ、ト ンス-4-クロロメチルペンチルシクロヘキサ (52) 10.0gを加え、70℃で、7時間攪拌した。得 られた反応混合物を30℃まで冷却し、ろ過に って固形物と分離した後、トルエン 200ml、 および水 200mlを加え混合した。その後、静 して有機層と水層の2層に分離させて、有機 への抽出操作を行った。得られた有機層を 取して、食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネ ウムで乾燥した。その後、減圧下、溶媒を 去し、得られた残渣をトルエンを展開溶媒 シリカゲルを充填剤として用いたカラムク マトグラフィーによる分取操作で精製した さらにソルミックスA-11からの再結晶により 精製し、乾燥させ、4-ブロモ-2-フルオロ-(ト ンス-4-ペンチルシクロヘキシルメトキシ)ベ ゼン(56)16.5gを得た。化合物(55)からの収率は 93.6%であった。

第2工程
 窒素雰囲気下、反応器へ4-ブロモ-2-フルオ -(トランス-4-ペンチルシクロヘキシルメトキ シ)ベンゼン(56) 3.0g、4-エトキシ-2,3-ジフルオ ロ-1,1'-ビフェニル-4’-ボロン酸(6) 3.4g、炭酸 カリウム 4.0g、Pd(Ph 3 P) 2 Cl 2  0.2g、トルエン 100ml、ソルミックスA-11 100ml および水 100mlを加え、2時間加熱還流させた 反応液を25℃まで冷却後、水 500mlおよびト エン 500mlへ注ぎ込み、混合した。その後、 静置して有機層と水層の2層に分離させて、 機層への抽出操作を行った。得られた有機 を分取して、水で洗浄し、無水硫酸マグネ ウムで乾燥した。得られた溶液を減圧下で 縮し、得られた残渣を、トルエンを展開溶 とし、シリカゲルを充填剤として用いたカ ムクロマトグラフィーによる分取操作で精 した。さらに酢酸エチル/ソルミックスA-11の 混合溶媒(体積比 酢酸エチル:ソルミックスA- 11=2:1)からの再結晶により精製し、乾燥させ 1-エトキシ-2,3,3’’-トリフルオロ-4’’-(ト ンス-4-ペンチルシクロヘキシルメトキシ)-1, 1’-ターフェニル(No.3922) 2.8 gを得た。化合 (56)からの収率は57.6%であった。

  1 H-NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであ り、得られた化合物が、1-エトキシ-2,3,3’’- トリフルオロ-4’’-(トランス-4-ペンチルシ ロヘキシルメトキシ)-1,1’-ターフェニル(No.3 922)であることが同定できた。なお、測定溶 はCDCl 3 である。

 化学シフトδ(ppm);7.59(dd,4H),7.35(dd,1H),7.31(dd, 1H),7.12(td,1H),7.02(t,1H),6.81(td,1H),4.17(q,2H),3.87(d,2H) ,1.97-1.90(m,2H),1.86-1.77(m,3H),1.48(t,3H),1.35-1.16(m,9H), 1.08(qd,2H),1.01-0.92(m,2H),0.89(t,3H).

 得られた化合物(No.3922)の転移温度は以下の りである。
転移温度 :C 143.4 N 259.9 I

 1-エトキシ-2,3,2’’,3’’-テトラフルオ -4’’-(トランス-4-ペンチルシクロヘキシル トキシ)-1,1’-ターフェニル(No.3923)の合成 

第1工程
 窒素雰囲気下、DMF 200mlに2,3-ジフルオロフ ノール(57) 9.6g、およびリン酸三カリウム(K 3 PO 4 ) 52.3gを加え、70℃で攪拌した。そこへ、ト ンス-4-クロロメチルペンチルシクロヘキサ (52) 10.0gを加え、70℃で、7時間攪拌した。得 られた反応混合物を30℃まで冷却し、ろ過に って固形物と分離した後、トルエン 200ml、 および水 200mlを加え混合した。その後、静 して有機層と水層の2層に分離させて、有機 への抽出操作を行った。得られた有機層を 取して、食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネ ウムで乾燥した。その後、減圧下、溶媒を 去し、得られた残渣をトルエンを展開溶媒 シリカゲルを充填剤として用いたカラムク マトグラフィーによる分取操作で精製した さらにソルミックスA-11からの再結晶により 精製し、乾燥させ、2,3-ジフルオロ-4-(トラン -4-ペンチルシクロヘキシルメトキシ)ベンゼ ン(58)13.9gを得た。化合物(52)からの収率は95.1% であった。

第2工程
 窒素雰囲気下の反応器へ、化合物(58) 13.9g THF 200mlとを加えて、-74 ℃まで冷却した。 こへ、1.00M sec-ブチルリチウム,n-ヘキサン、 シクロヘキサン溶液 51.6mlを-74℃から-70℃の 度範囲で滴下し、さらに2時間攪拌した。続 いて、ホウ酸トリメチル 5.6gのTHF 50ml溶液に -74℃から-65℃の温度範囲で滴下し、25 ℃に しつつ、さらに8時間攪拌した。その後、反 混合物を1N塩酸 100ml氷水 500mlとが入った容 器中に注ぎ込み、混合した。酢酸エチル 300m lを加えて、有機層と水層とに分離させ抽出 作を行った。得られた有機層を分取し、水 飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、食塩水で 次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し 。その後、減圧下、溶媒を留去し、2,3-ジフ オロ-4-(トランス-4-ペンチルシクロヘキシル メトキシ)フェニルボロン酸(59) 14.2gを得た。 化合物(58)からの収率は89.0%であった。

第3工程
 窒素雰囲気下、反応器へ4-エトキシ-4’-ブ モ-2,3-ジフルオロ-1,1'-ビフェニル(3) 3.0g、2,3 -ジフルオロ-4-(トランス-4-ペンチルシクロヘ シルメトキシ)フェニルボロン酸(59) 3.6g、 酸カリウム 4.0g、Pd(Ph 3 P) 2 Cl 2  0.2g、トルエン 100ml、ソルミックスA-11 100ml および水 100mlを加え、2時間加熱還流させた 反応液を25℃まで冷却後、水 500mlおよびト エン 500mlへ注ぎ込み、混合した。その後、 静置して有機層と水層の2層に分離させて、 機層への抽出操作を行った。得られた有機 を分取して、水で洗浄し、無水硫酸マグネ ウムで乾燥した。得られた溶液を減圧下で 縮し、得られた残渣を、トルエンを展開溶 とし、シリカゲルを充填剤として用いたカ ムクロマトグラフィーによる分取操作で精 した。さらに酢酸エチル/ソルミックスA-11の 混合溶媒(体積比 酢酸エチル:ソルミックスA- 11=2:1)からの再結晶により精製し、乾燥させ 1-エトキシ-2,3,2’’,3’’-テトラフルオロ-4 ’-(トランス-4-ペンチルシクロヘキシルメ キシ)-1,1’-ターフェニル(No.3923) 0.5 gを得た 。化合物(59)からの収率は9.9%であった。

  1 H-NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであ り、得られた化合物が、1-エトキシ-2,3,2’’, 3’’-テトラフルオロ-4’’-(トランス-4-ペン チルシクロヘキシルメトキシ)-1,1’-ターフェ ニル(No.3923)であることが同定できた。なお、 測定溶媒はCDCl 3 である。

 化学シフトδ(ppm);7.57(s,4H),7.13(qd,2H),6.81(qd,2 H),4.17(q,2H),3.88(d,2H),1.96-1.90(m,2H),1.86-1.77(m,3H),1.4 8(t,3H),1.35-1.17(m,9H),1.08(qd,2H),1.01-0.92(m,2H),0.89(t,3 H).

 得られた化合物(No.3923)の転移温度は以下の りである。
転移温度 :C 186.3 N 251.3 I

 実施例1~21に記載された合成方法と同様の 方法により以下に示す、化合物(No.1)~(No.4040) 合成することができる。付記したデータは 記した手法に従い、測定した値である。

〔比較例1〕
 比較例として、4-(2,3-ジフルオロ-4-エトキシ -1,1’-ビフェニルエチル)-トランス-4-プロピ -(2-フルオロフェニル)シクロヘキサン(E)を合 成した。

  1 H-NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであ り、得られた化合物が、4-(2,3-ジフルオロ-4- トキシ-1,1’-ビフェニルエチル)-トランス-4- ロピル-(2-フルオロフェニル)シクロヘキサ (E)であることが同定できた。なお、測定溶 はCDCl 3 である。
 化学シフトδ(ppm);7.43(d,2H),7.26(t,3H),7.14(t,1H),7. 09(td,1H),6.93(d,1H),6.86(d,1H),6.79(t,1H),4.15(q,2H),2.93(m ,4H),2.79(tt,1H),1.85(m,4H),1.53-1.41(m,5H),1.39-1.18(m,5H), 1.12-1.02(m,2H),0.90(t,3H).

 化合物(E)の転移温度は以下の通りであった
転移温度 :C  81.5 N 209.5 I

 前述した母液晶iとして記載された5つの化 物を混合し、ネマチック相を有する母液晶i 調製した。この母液晶iの物性は以下のとお りであった。
上限温度(T NI )=74.6℃;
粘度(η 20 )=18.9mPa・s;
光学異方性(δn)=0.087;
誘電率異方性(δε)=-1.3。

 この母液晶i 85重量%と、合成した4-(2,3-ジフ ルオロ-4-エトキシ-1,1’-ビフェニルエチル)- ランス-4-プロピル-(2-フルオロフェニル)シク ロヘキサン(E)の15重量%とからなる液晶組成物 iiを調製した。得られた液晶組成物iiの物性 を測定し、測定値を外挿することで比較例 合物(E)の物性の外挿値を算出した。その値 以下のとおりであった。
上限温度(T NI )=195.3℃;
光学異方性(δn)=0.207;
誘電率異方性(δε)=-4.76;

液晶性化合物(No.672)の物性
 母液晶i 85重量%と、実施例9で得られた4-エ キシ-2,3-ジフルオロ-1,1'-ビフェニル安息香 -トランス-4-ペンチルシクロヘキシル-2,3-ジ ルオロフェニル エステル(No.672)の15重量%と らなる液晶組成物iiiを調製した。得られた 晶組成物iiiの物性値を測定し、測定値を外 することで液晶性化合物(No.672)の物性の外 値を算出した。その値は以下のとおりであ た。
上限温度(T NI )=245.3℃;
光学異方性(δn)=0.294;
誘電率異方性(δε)=-5.23;

 このことから液晶性化合物(No.672)は、融点 低く、上限温度(T NI )が高く、光学異方性(δn)を大きく、誘電率異 方性(δε)を負に大きくすることができる化合 物であることがわかった。

 また、比較例化合物(E)と比較して、上限温 (T NI )が高く、光学異方性(δn)が大きく、誘電率異 方性(δε)が負に大きい化合物であることがわ かった。

〔比較例2〕
 比較例としてすべてベンゼン環からなる、4 -エトキシ-4'''-プロピル-2'',2,3-トリフルオロ-1 ,1',4',1'',4'',1'''-クオーターフェニル(F)を合成 た。

  1 H-NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであ り、得られた化合物が、4-エトキシ-4'''-プロ ル-2'',2,3-トリフルオロ-1,1',4',1'',4'',1'''-クオ ーターフェニル(F)であることが同定できた。 なお、測定溶媒はCDCl 3 である。
 化学シフトδ(ppm);7.67(d,2H),7.61(d,2H),7.54(m,3H),7. 46(dd,1H),7.40(dd,1H),7.28(d,2H),7.16(td,1H),6.82(td,1H),4.1 7(q,2H),2.65(t,2H),1.69(sext,2H),1.49(t,3H),0.98(t,3H).

 化合物(F)の転移温度は以下の通りであった
転移温度 :C  148.6 N 325.5 I

 この母液晶i 95重量%と、合成した4-エトキ -4'''-プロピル-2'',2,3-トリフルオロ-1,1',4',1'',4 '',1'''-クオーターフェニル(F)の5重量%とから る液晶組成物ivを調製した。得られた液晶組 成物 ivの物性値を測定し、測定値を外挿す ことで比較例化合物(F)の物性の外挿値を算 した。その値は以下のとおりであった。
上限温度(T NI )=248.6℃;誘電率異方性(δε)=-4.86;
粘度(η)=82.6 mPa・s
 また、液晶組成物ivの弾性定数K 33 は15.18 pNであった。

液晶性化合物(No. 12)の物性
 母液晶i 95重量%と、実施例1で得られた4-エ キシ-2,3-ジフルオロ-2’’-フルオロ-4’’-( ランス-4-プロピル-シクロヘキシル)-1,1’-タ ーフェニル(No. 12)の5重量%とからなる液晶組 物vを調製した。得られた液晶組成物vの物 値を測定し、測定値を外挿することで液晶 化合物(No. 12)の物性の外挿値を算出した。 の値は以下のとおりであった。
上限温度(T NI )=238.6℃;
誘電率異方性(δε)=-7.22;
粘度(η)=73.5 mPa・s
 また、液晶組成物vの弾性定数K 33 は17.07 pNであった。

 このことから液晶性化合物(No. 12)は、融点 低く、上限温度(T NI )が高く、光学異方性(δn)を大きく、誘電率異 方性(δε)を負に大きくすることができる化合 物であることがわかった。

 また、比較例化合物(F)と比較して、上限温 (T NI )は同等であるものの、誘電率異方性(δε)が に大きく、融点が低く、粘度(η)が低く、お び弾性定数K 33 が大きい化合物であることがわかった。

〔比較例3〕
 比較例として、4-エトキシ-2,3-ジフルオロ-4 ’-(トランス-4-ペンチル-シクロヘキシル)-1, 1’-ターフェニル(G)を合成した。

  1 H-NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであ り、得られた化合物が、4-エトキシ-2,3-ジフ オロ-4’’-(トランス-4-ペンチル-シクロヘキ シル)-1,1’-ターフェニル(G)であることが同定 できた。なお、測定溶媒はCDCl 3 である。
 化学シフトδ(ppm);7.65(d,2H),7.56(m,4H),7.30(d,2H),7. 14(td,1H),6.81(t,1H),4.17(q,2H),2.52(tt,1H),1.97-1.85(m,4H), 1.54-1.44(m,5H),1.38-1.20(m,9H),1.12-1.02(m,2H),0.90(t,3H).

 化合物(G)の転移温度は以下の通りであった
転移温度 :C 1  83.9 C 2  95.4 S B  158.5 S A  255.6 N 324.9 I

 母液晶i 90重量%と、4-エトキシ-2,3-ジフルオ ロ-4’’-(トランス-4-ペンチル-シクロヘキシ )-1,1’-ターフェニル(G)の10重量%とからなる 晶組成物viを調製した。得られた液晶組成 viの物性値を測定し、測定値を外挿すること で比較例化合物(G)の物性の外挿値を算出した 。その値は以下のとおりであった。
上限温度(T NI )=263.6℃;
誘電率異方性(δε)=-5.18;
また、液晶組成物viの弾性定数K 33 は17.88 pNであった。
 〔比較例4〕
 比較例としてすべてベンゼン環からなる、4 -エトキシ-4'''-ペンチル-2'',2,3-トリフルオロ-1 ,1',4',1'',4'',1'''-クオーターフェニル(H)を合成 た。

  1 H-NMR分析の化学シフトδ(ppm)は以下の通りであ り、得られた化合物が、4-エトキシ-4'''-ペン ル-2'',2,3-トリフルオロ-1,1',4',1'',4'',1'''-クオ ーターフェニル(H)であることが同定できた。 なお、測定溶媒はCDCl 3 である。
 化学シフトδ(ppm);7.67(d,2H),7.60(d,2H),7.54(m,3H),7. 46(dd,1H),7.40(dd,1H),7.28(d,2H),7.15(td,1H),6.82(t,1H),4.17 (q,2H),2.66(t,2H),1.68(m,2H),1.49(t,3H),1.40-1.32(m,4H),0.91 (t,3H).

 化合物(H)の転移温度は以下の通りであった
転移温度 :C  129.0 S A  163.7 N 303.9 I

 母液晶i 90重量%と、合成した4-エトキシ-4''' -ペンチル-2'',2,3-トリフルオロ-1,1',4',1'',4'',1'' '-クオーターフェニル(H)の10重量%とからなる 晶組成物viiを調製した。得られた液晶組成 viiの物性値を測定し、測定値を外挿するこ で比較例化合物(H)の物性の外挿値を算出し 。その値は以下のとおりであった。
上限温度(T NI )=242.4℃;
誘電率異方性(δε)=-5.35;
 また、液晶組成物vの弾性定数K 33 は17.20 pNであった。

液晶性化合物(No. 32)の物性
 母液晶i 90重量%と、実施例4で得られた4-エ キシ-2,3,2’’-トリフルオロ-4’’-(トラン -4-ペンチル-シクロヘキシル)-1,1’-ターフェ ル(No.32)の10重量%とからなる液晶組成物viii 調製した。得られた液晶組成物viiiの物性値 測定し、測定値を外挿することで液晶性化 物(No. 32)の物性の外挿値を算出した。その は以下のとおりであった。
上限温度(T NI )=238.6℃;
誘電率異方性(δε)=-5.54;
 また、液晶組成物viiiの弾性定数K 33 は18.07 pNであった。
 このことから液晶性化合物(No. 32)は、上限 度(T NI )が高く、誘電率異方性(δε)が負に大きく、 よび弾性定数K 33 が大きくすることができる化合物であること がわかった。

 また、比較例化合物(G)と比較して、上限温 (T NI )はほぼ同等だが、誘電率異方性(δε)が負に きく、および弾性定数K 33 が大きい化合物であることがわかった。

 比較例化合物(H)と比較して、上限温度(T NI )はほぼ同等だが、融点が低く、誘電率異方 (δε)が負に大きく、および弾性定数K 33 が大きい化合物であることがわかった。

〔液晶組成物の実施例〕
 以下、本発明で得られる液晶組成物を実施 により詳細に説明する。なお、実施例で用 る液晶性化合物は、下記表1の定義に基づい て記号により表す。なお、表1中、1,4-シクロ キシレンの立体配置はトランス配置である 各化合物の割合(百分率)は、特に断りのな 限り、液晶組成物の全重量に基づいた重量 分率(重量%)である。各実施例の最後に得ら た液晶組成物の特性値を示す。

 なお、各実施例で使用する液晶性化合物 部分に記載した番号は、上述した本発明の 一成分から第三成分に用いる液晶性化合物 示す式番号に対応をしており、式番号を記 せずに、単に「-」と記載をしている場合に は、この化合物はこれら成分には対応をして いないその他の化合物であることを意味して いる。

 化合物の記号による表記方法を以下に示 。

表1.記号を用いた化合物の表記方法
           R-(A 1 )-Z 1 -……-Z n -(A n )-R'

 特性値の測定は以下の方法にしたがって った。これら測定方法の多くは、日本電子 械工業会規格(Standard of Electric Industries Ass ociation of Japan)EIAJ・ED-2521Aに記載された方法 またはこれを修飾した方法である。

(1)ネマチック相の上限温度(NI;℃)
 偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホット レートに試料を置き、1℃/分の速度で加熱 た。試料の一部がネマチック相から等方性 体に変化したときの温度を測定した。以下 ネマチック相の上限温度を「上限温度」と することがある。

(2)ネマチック相の下限温度(TC;℃)
 ネマチック相を有する試料を0℃、-10℃、-20 ℃、-30℃、および-40℃のフリーザー中に10日 保管したあと、液晶相を観察した。例えば 試料が-20℃ではネマチック相のままであり -30℃では結晶またはスメクチック相に変化 たとき、TCを≦-20℃と記載した。以下、ネ チック相の下限温度を「下限温度」と略す とがある。

(3)光学異方性(δn;25℃で測定)
 波長が589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を り付けたアッベ屈折計により測定した。ま 、主プリズムの表面を一方向にラビングし あと、試料を主プリズムに滴下した。そし 、偏光の方向がラビングの方向と平行であ ときの屈折率(n∥)、および偏光の方向がラ ングの方向と垂直であるときの屈折率(n⊥) 測定した。光学異方性の値(δn)は、(δn)=(n∥) -(n⊥)の式から算出した。

(4)粘度(η;20℃で測定;mPa・s)
 測定にはE型粘度計を用いた。

(5)誘電率異方性(δε;25℃で測定)
 よく洗浄したガラス基板にオクタデシルト エトキシシラン(0.16mL)のエタノール(20mL)溶 を塗布した。ガラス基板をスピンナーで回 させたあと、150℃で1時間加熱した。2枚のガ ラス基板から、間隔(セルギャップ)が20μmで るVA素子を組み立てた。

 同様の方法で、ガラス基板にポリイミド 配向膜を調製した。得られたガラス基板の 向膜にラビング処理をした後、2枚のガラス 基板の間隔が9μmであり、ツイスト角が80度で あるTN素子を組み立てた。

 得られたVA素子に試料(液晶性組成物、ま は液晶化合物と母液晶との混合物)を入れ、 0.5V(1kHz、サイン波)を印加して、液晶分子の 軸方向における誘電率(ε∥)を測定した。

 また、得られたTN素子に試料(液晶性組成物 または液晶化合物と母液晶との混合物)を入 れ、0.5V(1kHz、サイン波)を印加して、液晶分 の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した
 誘電率異方性の値は、δε=ε∥-ε⊥の式から 計算した。
 この値が負である組成物が、負の誘電率異 性を有する組成物である。

(6)電圧保持率(VHR;25℃と100℃で測定;%)
 ポリイミド配向膜を有し、そして2枚のガラ ス基板の間隔(セルギャップ)が6μmであるセル に試料を入れてTN素子を作製した。25℃にお て、このTN素子にパルス電圧(5Vで60マイクロ )を印加して充電した。TN素子に印加した電 の波形を陰極線オシロスコープで観測し、 位周期(16.7ミリ秒)における電圧曲線と横軸 の間の面積を求めた。TN素子を取り除いた と印加した電圧の波形から同様にして面積 求めた。電圧保持率(%)の値は、(電圧保持率) =(TN素子がある場合の面積値)/(TN素子がない場 合の面積値)×100の値から算出した。

 このようにして得られた電圧保持率を「V HR-1」として示した。つぎに、このTN素子を100 ℃、250時間加熱した。このTN素子を25℃に戻 たあと、上述した方法と同様の方法により 圧保持率を測定した。この加熱試験をした に得た電圧保持率を「VHR-2」として示した。 なお、この加熱テストは促進試験であり、TN 子の長時間耐久試験に対応する試験として いた。

3-HB(3F)BB(2F,3F)-O2             5%
5-HB(3F)BB(2F,3F)-O2             5%
7-HB(3F)BB(2F,3F)-O2             5%
2-HH-5                            5%
3-HH-4                          10 %
3-HH-5                            6%
5-HB-O2                         10%
V-HHB-1                         10%
3-H2B(2F,3F)-O2                  5%
5-H2B(2F,3F)-O2                 10%
2-HBB(2F,3F)-O2                  5%
3-HBB(2F,3F)-O2                 12%
5-HBB(2F,3F)-O2                 12%
NI=112.0℃;TC≦-20℃;δn=0.129;η=26.4mPa・s;δε=-3.2.

3-HB(2F)BB(2F,3F)-O2             5%
5-HB(2F)BB(2F,3F)-O2             5%
3-HH-4                            5%
3-HH-5                            5%
3-HH-O1                         10%
3-HB-O2                         10%
V2-HHB-1                        15%
5-H2B(2F,3F)-O2                 10%
5-HHB(2F,3F)-O2                 10%
2-HBB(2F,3F)-O2                  5%
3-HBB(2F,3F)-O2                 10%
5-HBB(2F,3F)-O2                 10%
NI=113.1 ℃;TC≦-20℃;δn=0.121;η=25.4mPa・s;δε=-3.1 .

3-ChB(3F)BB(2F,3F)-O2            5%
5-ChB(3F)BB(2F,3F)-O2            5%
7-ChB(3F)BB(2F,3F)-O2            5%
3-HH-4                          10 %
3-HH-5                            5%
5-HB-3                          10 %
3-HB-O2                         10%
5-HB-O2                         10%
3-H2B(2F,3F)-O2                  6%
5-HHB(2F,3F)-O2                 10%
3-HBB(2F,3F)-O2                 12%
5-HBB(2F,3F)-O2                 12%

3-ChB(2F)BB(2F,3F)-O2            5%
5-ChB(2F)BB(2F,3F)-O2            5%
3-HH-4                          10 %
3-HH-5                            6%
3-HB-O1                          9 %
3-HHB-1                          6 %
3-HHB-3                         10%
3-HB(2F,3F)-O2                  10%
3-H2B(2F,3F)-O2                  5%
5-H2B(2F,3F)-O2                  5%
2-HBB(2F,3F)-O2                  5%
3-HBB(2F,3F)-O2                 12%
5-HBB(2F,3F)-O2                 12%

5-dhB(3F)BB(2F,3F)-O2            5%
5-dhB(2F)BB(2F,3F)-O2            5%
2-HH-3                            5%
2-H2H-3                          5 %
3-HB-O1                         10%
V-HHB-1                          8 %
3-HBB-2                          5 %
3-HB(2F,3F)-O2                   4%
3-H2B(2F,3F)-O2                 10%
2-HBB(2F,3F)-O2                  3%
3-HBB(2F,3F)-O2                 12%
5-HBB(2F,3F)-O2                 12%
3-HBB(2F,3Cl)-O2                 8%
3-HBB(2Cl,3F)-O2                 8%

5-gB(3F)BB(2F,3F)-O2             5%
5-GB(3F)BB(2F,3F)-O2             5%
3-HH-4                          10 %
3-HB-O2                         15%
2-BBB(2F)-3                      5%
2-BBB(2F)-5                      5%
5-HHEBH-3                        5%
5-HHEBH-5                        3%  
5-HB(2F,3F)-O2                   5%
3-H2B(2F,3F)-O2                  7%
5-H2B(2F,3F)-O2                 10%
V-HHB(2F,3F)-O2                 12%
5-HHB(2F,3F)-O2                 13%
 上記組成物100部に光学活性化合物(Op-05)を0.2 5部添加したときのピッチは60.9μmであった。

5-gB(2F)BB(2F,3F)-O2             5%
5-GB(2F)BB(2F,3F)-O2             5%
2-HH-5                            5%
3-HH-4                          10 %
3-HH-5                            5%
1V-HBB-2                         5%
2-BB(3F)B-3                      5%
2-BB(3F)B-5                      5%
3-HB(2F,3F)-O2                  10%
5-HB(2F,3F)-O2                  10%
3-HH2B(2F,3F)-O2                12%
5-HH2B(2F,3F)-O2                12%
3-HBB(2F,3F)-O2                  5%
5-HBB(2F,3F)-O2                  6%

5-HB(2F,3F)BB(2F,3F)-O2          5%
5-ChB(2F,3F)BB(2F,3F)-O2         5%
3-HH-4                          10 %
V-HHB-1                          6 %
V2-BB(3F)B-1                     5%
3-HHEH-3                         5%
3-HHEH-5                         5%
3-HB(2F,3F)-O2                  10%
5-HB(2F,3F)-O2                  10%
5-HB(2F,3Cl)-O2                  5%
3-HB(2Cl,3F)-O2                  5%
5-HHB(2F,3F)-O2                  5%
3-HH2B(2F,3F)-O2                12%
5-HH2B(2F,3F)-O2                12%

V-HB(3F)BB(2F,3F)-O2             5%
3V-HB(3F)BB(2F,3F)-O2            5%
V2-HB(3F)BB(2F,3F)-O2            5%
3-HH-4                          12 %
3-HB-O1                         10%
3-HBB-2                          5 %
1V-HBB-2                         5%
3-HBBH-5                         5%
1O1-HBBH-4                       5%
3-HB(2F,3F)-O2                  10%
3-H2B(2F,3F)-O2                  3%
5-H2B(2F,3F)-O2                 10%
3-HB(2F,3Cl)-O2                  3%
3-HB(2Cl,3F)-O2                  3%
3-HBB(2F,3F)-O2                  4%
5-HBB(2F,3F)-O2                  5%
2-BB(2F,3F)B-3                   5%

V-HB(2F)BB(2F,3F)-O2             5%
3V-HB(2F)BB(2F,3F)-O2            5%
V2-HB(2F)BB(2F,3F)-O2            5%
2-HH-3                          10 %
3-HH-4                            8%
5-HB-O2                         12%
5-HBB(3F)B-2                     5%
5-HBB(3F)B-3                     5%
3-HB(2F,3F)-O2                  10%
3-H2B(2F,3F)-O2                 10%
2-HHB(2F,3F)-1                   5%
3-HHB(2F,3Cl)-O2                 5%
3-HHB(2Cl,3F)-O2                 5%
3-HBB(2F,3Cl)-O2                 5%
3-HBB(2Cl,3F)-O2                 5%

5-DhB(3F)BB(2F,3F)-O2            5%
5-DhB(2F)BB(2F,3F)-O2            5%
2-HH-3                          16 %
3-HH-4                          10 %
3-HHEBH-3                        5%
3-HHEBH-5                        5%
5-HB(2F,3F)-O2                   5%
V-HB(2F,3F)-O2                   5%
5-H2B(2F,3F)-O2                 10%
2-HBB(2F,3F)-O2                  6%
3-HBB(2F,3F)-O2                 10%
5-HBB(2F,3F)-O2                 10%
2-BB(2F,3F)B-3                   8%

3-HB(3F)BB(2F,3F)-O2             5%
7-HB(3F)BB(2F,3F)-O2             5%
3-HH-4                          10 %
5-HB-3                            5%
3-HB-O1                         10%
2-BB(3F)B-3                      5%
5-HBB(3F)B-2                     5%
3-H2B(2F,3F)-O2                 10%
5-H2B(2F,3F)-O2                 10%
V-HHB(2F,3F)-O2                  5%
3-HHB(2F,3F)-O2                 10%
5-HHB(2F,3F)-O2                 10%
5-HBB(2F,3F)-O2                 10%

 熱、光などに対する安定性を有し、広い温 範囲でネマチック相となり、粘度が小さく 適切な光学異方性および適切な弾性定数K 33 を有し、さらに、適切な負の誘電率異方性、 および他の液晶性化合物との優れた相溶性を 有する液晶性化合物であるので、この液晶性 化合物を含有する組成物は、例えば、応答速 度の向上、コントラストの向上、駆動電圧の 低下などの性能を有する液晶パネルに使用で きる。