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Patent Searching and Data


Title:
THERMOSETTING RESIN COMPOSITION AND CURED PRODUCT THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/028170
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a thermosetting resin composition containing (i) a reactive hydroxy group-containing polyamide resin, (ii) at least one epoxy resin selected from the group consisting of epoxy resins having a polycondensate skeleton of dicyclopentadiene and phenol, a phenol aralkyl skeleton or a biphenol aralkyl skeleton, and (iii) at least one epoxy resin curing agent selected from the group consisting of phenol compounds having the same skeleton as the above-mentioned epoxy resins. This thermosetting resin composition can be cured at a low heat treatment temperature, and a cured product thereof has high heat resistance, while exhibiting high bonding strength over a wide temperature range. Consequently, the resin composition is useful as adhesives used for electrical/electronic members such as flexible wiring boards and laminates, insulating protective members and the like.

Inventors:
MOTEKI SHIGERU (JP)
UCHIDA MAKOTO (JP)
KAWAI KOICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/002306
Publication Date:
March 05, 2009
Filing Date:
August 26, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON KAYAKU KK (JP)
MOTEKI SHIGERU (JP)
UCHIDA MAKOTO (JP)
KAWAI KOICHI (JP)
International Classes:
C08G59/62; C09D5/25; C09D163/00; C09D177/06; C09J163/00; C09J177/06; H05K1/03
Domestic Patent References:
WO2004048436A12004-06-10
Foreign References:
JP2004269615A2004-09-30
JP2001049082A2001-02-20
JP2008138191A2008-06-19
JP2004091735A2004-03-25
Attorney, Agent or Firm:
SAEKI, Norio (Aminosan Kaikan Building15-8, Nihonbashi 3-chome,Chuo-k, Tokyo 27, JP)
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Claims:
 3,4″-ジアミノジフェニルエーテルとイソフタル酸及び5-ヒドロキシイソフタル酸を脱水縮合反応させて得られる反応性水酸基含有ポリアミド樹脂、
下記式(2)、式(3)又は式(4)
(式中、nは平均値であり、0を越えて10以下の数を、Gはグリシジル基を表す)
で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂、及び
下記式(5)、式(6)又は式(7)
(式中、nは平均値であり0を超えて10以下の数を表す)
で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂硬化剤を含む熱硬化性樹脂組成物。
 式(2)、式(3)及び式(4)で表されるエポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂の含量が、反応性水酸基含有ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤の総質量に対して、2~50質量%である請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
 請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物を含むフィルム。
 請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物を適用したフレキシブル配線基板。
 請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物を適用した積層板。
 請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物を適用した絶縁保護材。
 請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物を含む接着剤。
 請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物。
 式(2)で表されるエポキシ樹脂又は式(5)で表されるエポキシ樹脂硬化剤の少なくともいずれか一方を含む請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
 下記(a)又は(b)
(a)式(2)で表されるエポキシ樹脂と、式(6)又は式(7)で表されるエポキシ樹脂硬化剤の少なくともいずれか一方との組合せ、又は
(b)式(5)で表されるエポキシ樹脂硬化剤と、式(3)又は(4)で表されるエポキシ樹脂の少なくともいずれか一方との組合せ、
のいずれか一方の組合せを含む請求項9に記載の熱硬化性樹脂組成物。
 反応性水酸基含有ポリアミド樹脂の両末端がアミノ基である請求項9に記載の熱硬化性樹脂組成物。
 (i)反応性水酸基含有ポリアミド樹脂、(ii)式(2)、式(3)及び式(4)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂、及び(iii) 式(5)、式(6)及び式(7)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂硬化剤の総量が、熱硬化性樹脂組成物中における樹脂成分の総量に対して、85~100質量%である請求項2又は9に記載の熱硬化性樹脂組成物。
 更に、硬化促進剤を含有する請求項2又は9に記載の熱硬化性樹脂組成物。
 硬化促進剤がイミダゾール化合物である請求項13に記載の熱硬化性樹脂組成物。
 請求項2又は9に記載の熱硬化性樹脂組成物と溶剤を含む熱硬化性樹脂組成物溶液。
 溶剤がジメチルスルホオキシドである請求項15に記載の樹脂組成物。
 熱硬化性樹脂組成物中の、式(2)、式(3)及び式(4)で表されるエポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つのエポキシ樹脂中、又は、他のエポキシ樹脂を併用する場合は両者の総量中のエポキシ基1当量に対する、式(5)、式(6)及び式(7)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂硬化剤及び反応性水酸基含有ポリアミド樹脂の総量中の平均活性水素量、又は、他のエポキシ樹脂硬化剤を併用する場合は、他のエポキシ樹脂硬化剤を含めたエポキシ樹脂硬化剤の総量と反応性水酸基含有ポリアミド樹脂との総量中の平均活性水素量が0.6~1.2当量である請求項2又は9に記載の熱硬化性樹脂組成物。
 請求項9に記載の熱硬化性樹脂組成物を適用したフレキシブル配線基板、積層板又は絶縁保護材、又は、請求項9に記載の熱硬化性樹脂組成物を含む接着剤。
Description:
熱硬化性樹脂組成物及びその硬 物

 本発明は、電気・電子材料に使用される 導体封止材、フレキシブル配線基板、積層 、絶縁保護材等の用途に適した熱硬化性樹 組成物、それらの用途に適した該熱硬化性 脂組成物からなるフィルム、該熱硬化性樹 組成物からなる接着剤及び、それらの硬化 に関するもので、該熱硬化性樹脂組成物、 びそれからなるフィルム又は接着剤は耐熱 、接着性、及び誘電特性に優れた硬化物を える。

 近年の電気・電子分野の発展は目覚まし 、フレキシブル配線基板や積層板等の分野 は耐熱性、信頼性、薄型化、精密加工性、 撓性等の向上が求められている。現在これ の要求に応じるため、フレキシブル配線基 、積層板等の構成材料としてポリイミド樹 、又はポリアミド樹脂等が多用されている 一般的にポリイミド樹脂やポリアミド樹脂 耐熱性が高く可撓性も有るが、接着剤やフ ルム等として、上記用途に適用した場合、 化時に300℃前後の高温での熱処理が必要と る。電気・電子部品への直接の適用を容易 するために、該熱処理温度の低減が要望さ ている。また、これら樹脂組成物の硬化物 は難燃性、高耐熱性、高接着性、熱時信頼 、低誘電率、破壊靭性等の諸特性の更なる 上が求められている。これらの課題を解決 るために数多くの提案がなされている。例 ば特許文献1及び2には、ポリイミド樹脂と ポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤を含む耐 性フィルム、接着剤、樹脂組成物等が開示 れている。該文献に開示されているそれら 加工温度を低下させるという目的を達成し いるが、硬化物の耐熱性が低下するという 題は解決されていない。

特開平8-27430号公報

特開2006-348086号公報

 本発明は硬化時の熱処理温度が低く、し も、高い耐熱性及び、室温から高温までの い温度範囲で高い接着強度を有する硬化物 得ることが出来る熱硬化性樹脂組成物、及 その硬化物を提供するものである。

 本発明者らは前記した課題について鋭意研 を重ねた結果、ポリアミド樹脂、特定の骨 を有するエポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬 剤を含む熱硬化性樹脂組成物は、低い熱処 温度で硬化させることが出来、その硬化物 高い耐熱性と広い温度範囲で高い接着強度 持つことを見出し、本発明を完成した。
 即ち本発明は、
(1)3,4″-ジアミノジフェニルエーテルとイソ タル酸及び5-ヒドロキシイソフタル酸を脱水 縮合反応させて得られる反応性水酸基含有ポ リアミド樹脂、
下記式(2)、式(3)又は式(4)

(式中、nは平均値であり、0を越えて10以下の を、Gはグリシジル基を表す)
で表される化合物からなる群から選ばれる少 なくとも1種のエポキシ樹脂、及び
下記式(5)、式(6)又は式(7)

(式中、nは平均値であり0を超えて10以下の数 表す)
で表される化合物からなる群から選ばれる少 なくとも1種のエポキシ樹脂硬化剤を含む熱 化性樹脂組成物。
(2) 式(2)、式(3)及び式(4)で表されるエポキシ 脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の エポキシ樹脂の含量が、反応性水酸基含有ポ リアミド樹脂、エポキシ樹脂及びエポキシ樹 脂硬化剤の総質量に対して、2~50質量%である 記(1)に記載の熱硬化性樹脂組成物。
(3)上記(1)又は(2)に記載の熱硬化性樹脂組成物 を含むフィルム、
(4)上記(1)又は(2)に記載の熱硬化性樹脂組成物 を適用したフレキシブル配線基板、
(5)上記(1)又は(2)に記載の熱硬化性樹脂組成物 を適用した積層板、
(6)上記(1)又は(2)に記載の熱硬化性樹脂組成物 を適用した絶縁保護材、
(7)上記(1)又は(2)に記載の熱硬化性樹脂組成物 を含む接着剤、
(8)上記(1)又は(2)に記載の熱硬化性樹脂組成物 の硬化物、

(9) 式(2)で表されるエポキシ樹脂又は式(5)で されるエポキシ樹脂硬化剤の少なくともい れか一方を含む上記(1)又は(2)に記載の熱硬 性樹脂組成物、
(10) 下記(a)又は(b)
(a)式(2)で表されるエポキシ樹脂と、式(6)又は 式(7)で表されるエポキシ樹脂硬化剤の少なく ともいずれか一方との組合せ、又は
(b)式(5)で表されるエポキシ樹脂硬化剤と、式 (3)又は(4)で表されるエポキシ樹脂の少なくと もいずれか一方との組合せ、
のいずれか一方の組合せを含む上記(1)、(2)又 は(9)のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組 物、
(11) 反応性水酸基含有ポリアミド樹脂の両末 端がアミノ基である上記(1)、(2)、(9)又は(10) いずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物、
(12) (i)反応性水酸基含有ポリアミド樹脂、(ii )式(2)、式(3)及び式(4)で表される化合物から る群から選ばれる少なくとも1種のエポキシ 脂、及び(iii) 式(5)、式(6)及び式(7)で表され る化合物からなる群から選ばれる少なくとも 1種のエポキシ樹脂硬化剤の総量が、熱硬化 樹脂組成物中における樹脂成分の総量に対 て、85~100質量%である上記(1)、(2)、(9)~(11)の ずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物、
(13) 更に、硬化促進剤を含有する上記(1)、(2) 、(9)~(12)のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂 組成物、
(14) 硬化促進剤がイミダゾール化合物である 上記(13)に記載の熱硬化性樹脂組成物、
(15) 上記(1)、(2)、(9)~(14)のいずれか1項に記載 の熱硬化性樹脂組成物と溶剤を含む熱硬化性 樹脂組成物溶液、
(16) 溶剤がジメチルスルホオキシドである上 記(15)に記載の樹脂組成物。
(17) 熱硬化性樹脂組成物中の、式(2)、式(3)及 び式(4)で表されるエポキシ樹脂からなる群か ら選ばれる少なくとも1つのエポキシ樹脂中 又は、他のエポキシ樹脂を併用する場合は 者の総量中のエポキシ基1当量に対する、式( 5)、式(6)及び式(7)で表される化合物からなる から選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂 硬化剤及び反応性水酸基含有ポリアミド樹脂 の総量中の平均活性水素量、又は、他のエポ キシ樹脂硬化剤を併用する場合は、他のエポ キシ樹脂硬化剤を含めたエポキシ樹脂硬化剤 の総量と反応性水酸基含有ポリアミド樹脂と の総量中の平均活性水素量が0.6~1.2当量であ 上記(1)、(2)、(9)~(16)のいずれか1項に記載の 硬化性樹脂組成物、
(18) 上記(9)~(16)のいずれか1項に記載の熱硬化 性樹脂組成物を適用したフレキシブル配線基 板、積層板又は絶縁保護材、又は、(9)~(16)の ずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を含 む接着剤、
に関するものである。

 本発明の熱硬化性樹脂組成物及び該樹脂 成物からなるフィルムは、160~200℃程度の低 い熱処理温度で硬化させることが可能で、し かもその硬化物は高い耐熱性と、広い温度範 囲での高い接着強度を有する。従って、該樹 脂組成物又は、該樹脂組成物からなるフィル ムは、フレキシブル配線基板、積層板等の電 気、電子材料に使用される接着剤、絶縁保護 材料等として有用である。

 以下本発明について詳細に説明する。
 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、3,4″-ジア ミノジフェニルエーテル(A)とイソフタル酸(B) 及び5-ヒドロキシイソフタル酸(C)を脱水縮合 応させて得られる反応性水素基含有ポリア ド樹脂(以下「反応性ポリアミド樹脂」と言 う)を含有する。
 本発明で使用する反応性ポリアミド樹脂の ましい合成方法は後述の合成例1に記載した 。合成によって得られる反応性ポリアミド樹 脂の末端構造は、合成に用いる(A)のジアミン 成分と、(B)及び(C)のイソフタル酸類成分の合 計とのモル比率に依存する。具体的には、合 成に用いる(A)、(B)及び(C)成分のモル数をそれ ぞれa、b及びcとした時、a>b+cであれば反応 ポリアミド樹脂の末端はアミノ基となり、a <b+cであれば末端はカルボキシル基となる この時、a/(b+c)の値が0.5~2の範囲であること 好ましく、0.7~1.5の範囲であることがより好 しい。末端がカルボキシル基のものは組成 にした際の保存安定性に劣る為、本発明の 硬化性樹脂組成物に用いる反応性ポリアミ 樹脂としては、末端がアミノ基のものが好 しい。即ち、a/(b+c)の値が1より大きく、1.5 下が好ましく、より好ましくは1より大きく 1.2以下、更に好ましくは、1より大きく、1.1 5以下である。尚、(B)成分と(C)成分の使用比 については、ヒドロキシル基を有する(C)成 が増えると硬化後の耐熱性が向上すると同 に可撓性が低下する傾向があるので、両特 のバランスからc/(b+c)の値が0.01~0.5の範囲、 り好ましくは0.01~0.1の範囲であり、場合によ り、0.02~0.5の範囲が好ましい。

 反応性ポリアミド樹脂は、下記式(1)で代表 れる構造を有するものと推定される。
式(1)

(式中、nとmの比率は合成に用いる(B)のイソフ タル酸及び(C)の5-ヒドロキシイソフタル酸の ル数をそれぞれb及びcとした場合のbとcの比 率に相当し、n+mが10~60の範囲が好ましい)
 n+mの値が10よりも小さい場合は反応性ポリ ミド樹脂の分子量が小さすぎることで硬化 の耐熱性の低下を引き起こす可能性があり 60よりも大きい場合には合成時にポリアミド 樹脂の粘度が高くなりすぎることで取り扱い が困難になる恐れがある。n+mのより好ましい 範囲は40~60、更に好ましくは45~55である。

 本発明の熱硬化性樹脂組成物中における 応性ポリアミド樹脂の使用量は、熱硬化性 脂組成物中の(i)反応性ポリアミド樹脂、(ii) エポキシ樹脂及び(iii)エポキシ樹脂硬化剤の 質量に対して40~95質量%が好ましく、40~70質 %がより好ましく、更に好ましくは40~65質量% ある。

 本発明の熱硬化性樹脂組成物は式(2)、式( 3)又は式(4)で表される化合物から選ばれる1種 以上のエポキシ樹脂を含有する。

 式(2)で表されるエポキシ樹脂は、フェノ ルとジシクロペンタジエンの重合体である ェノール化合物と、エピクロルヒドリンを 塩酸反応させることにより合成可能である 市販品としてはXD-1000(日本化薬株式会社製) が入手可能であるが、式(2)中のnの値が0を えて10以下のものであればこれに限定される ものではない。好ましいnは平均値で1~8程度 より好ましくは2~5程度である。

 式(3)で表されるエポキシ樹脂は、フェノ ルとジアルコキシメチルベンゼン等との反 物であるフェノールアラルキル化合物と、 ピクロルヒドリンを脱塩酸反応させること より合成可能である。該フェノールアラル ル樹脂としてはザイロック3L(三井化学株式 社製)等が市販品として入手可能なので、後 述の合成例2にも記載されているように、こ とエピクロルヒドリンとのエポキシ化反応 よって合成することも出来るが、式(3)中のn 値が0を超えて10以下のものであればこれに 定されるものではない。好ましいnは平均値 で、1~8程度、より好ましくは3~8程度、更に好 ましくは4~6程度である。

 式(4)で表されるエポキシ樹脂は、フェノ ルとビスアルコキシメチルベンゼン等との 応物であるフェノールアラルキル化合物と エピクロルヒドリンを脱塩酸反応させるこ により合成可能である。市販品としてはNC-3 000(日本化薬株式会社製)等が入手可能である 、式(3)中のnの値が0を超えて10以下のもので あればこれに限定されるものではない。好ま しいnは平均値で、1~6程度、より好ましくは1~ 4程度、更に好ましくは1~3程度である。

 本発明の熱硬化性樹脂組成物中における式( 2)、式(3)又は式(4)で表される化合物から選ば る1種以上のエポキシ樹脂の使用量は、熱硬 化性樹脂組成物中の反応性ポリアミド樹脂、 エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤の総質 量に対して通常2~50質量%、好ましくは15~50質 %、より好ましくは20~40質量%程度、更に好ま くは25~40質量%程度、最も好ましくは25~35質 %程度である。
 尚、式(2)、式(3)及び式(4)中のnの値はそれぞ れのエポキシ樹脂のゲルパーミエーションク ロマトグラフィー(GPC)の測定で求められた数 均分子量の値から算出することが出来る。

 本発明の熱硬化性樹脂組成物は式(5)、式( 6)又は式(7)で表される化合物から選ばれる1種 以上のエポキシ樹脂硬化剤を含有する。

 式(5)で表されるエポキシ樹脂硬化剤は、後 の合成例3にも記載されているように、フェ ノールとジシクロペンタジエンとを重合反応 させることにより合成可能である。重合反応 の際にジシクロペンタジエンに対して用いる フェノールの量を増減させることで、式(5)中 のnの値をコントロールすることが出来る。
式(5)中のnの値は通常0を超えて、10以下であ 。例えばシクロペンタジエンに対して、フ ノールをモル比で、4~6倍モル程度用いて、 えば40~80℃程度の温度で、反応が完結するま で、通常は0.5~2時間程度、反応させることに り、得ることが出来る。

 式(6)で表されるエポキシ樹脂硬化剤は、 ェノールとジアルコキシメチルベンゼン等 を反応させることにより合成可能である。 販品としてはザイロック3L(三井化学株式会 製)等が入手可能であるが、式(6)中のnの値 0を超えて10以下のものであればこれに限定 れるものではない。好ましいnは平均値で、1 ~8程度、より好ましくは2~5程度である。

 式(7)で表されるエポキシ樹脂硬化剤は、 ェノールとビスアルコキシメチルベンゼン とを反応させることにより合成可能である 市販品としてはGPH-65(日本化薬株式会社製) が入手可能であるが、式(7)中のnの値が0を超 えて10以下のものであればこれに限定される のではない。好ましいnは平均値で、1~6程度 、より好ましくは1~4程度、更に好ましくは1~2 程度である。

 本発明の熱硬化性樹脂組成物には、上記式( 2)、式(3)及び式(4)で表されるエポキシ樹脂の 、特性を損なわない範囲で他のエポキシ樹 を併用する事が出来る。併用できるエポキ 樹脂は特に限定されるものではなく、例え ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールア ルキル型エポキシ樹脂、ポリフェノール型 ポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環 エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノールエポ シ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂 グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙 られる。これらエポキシ樹脂は2種以上を併 用することもできる。
 これら併用し得る他のエポキシ樹脂の使用 は、熱硬化性樹脂組成物中におけるエポキ 樹脂成分の総質量に対して20質量%以下が好 しい。
 尚、式(5)、式(6)及び式(7)中のnの値はそれぞ れのエポキシ樹脂硬化剤のゲルパーミエーシ ョンクロマトグラフィー(GPC)の測定で求めら た数平均分子量の値から算出することが出 る。

 本発明の熱硬化性樹脂組成物には、上記 (5)、式(6)及び式(7)で表されるエポキシ樹脂 化剤の他、特性を損なわない範囲で種々の ポキシ樹脂硬化剤を併用する事が出来る。 用できる硬化剤は特に限定されるものでは く、例えばフェノールノボラック樹脂やフ ノールアラルキル樹脂、ポリフェノール樹 等のフェノール系硬化剤、ナフトール変性 ェノールノボラックやジシクロペンタジエ 変性ポリフェノール等の変性フェノール系 化剤、フタル酸無水物やトリメリット酸無 物等の酸無水物系硬化剤、ジアミノジフェ ルメタンやジシアンジアミド等のアミン系 化剤等が挙げられる。また、これら硬化剤 2種以上を併用しても良い。

 本発明の熱硬化性樹脂組成物中におけるエ キシ樹脂硬化剤の使用量は、組成物中の式( 2)、式(3)及び式(4)で表される化合物からなる から選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂 及び、他の併用し得るエポキシ樹脂を併用し ている場合はそれを含めた総エポキシ樹脂の エポキシ基1当量に対して、式(5)、式(6)及び (7)で表される化合物からなる群から選ばれ 少なくとも1種のエポキシ樹脂硬化剤及び前 反応性ポリアミド樹脂の総量中、又は、他 エポキシ樹脂硬化剤を併用する場合は、他 エポキシ樹脂硬化剤を含めたエポキシ樹脂 化剤の総量と反応性水酸基含有ポリアミド 脂との総量中の平均活性水素量が0.2~1.5当量 の範囲になる量を用いるのが好ましく、特に 0.6~1.2当量の範囲になる量を用いることが好 しい。ここでいう反応性ポリアミド樹脂中 活性水素とは、水酸基の有する水素及びア ノ基の有する水素のことである。
 また、段落0028に記載した併用し得る硬化剤 の使用量は、熱硬化性樹脂組成物中における エポキシ樹脂硬化剤成分の総質量中に20質量% 以下を占める量が好ましい。

 本発明における熱硬化性樹脂組成物は、(i) 応性ポリアミド樹脂、(ii)式(2)、式(3)及び式 (4)で表される化合物からなる群から選ばれる 少なくとも1種のエポキシ樹脂、及び(iii) 式( 5)、式(6)及び式(7)で表される化合物からなる から選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂 硬化剤、の3種の樹脂成分(以下本樹脂成分と 言う)を必須成分とする樹脂組成物であり、 前記のように、上記本樹脂成分に含まれない エポキシ樹脂又はエポキシ硬化剤等の樹脂成 分を、本発明の効果を達成する限りにおいて 、含有していても良いが、通常、その含量は 本発明における熱硬化性樹脂組成物における 樹脂成分の総量に対して0~15質量%程度が好ま く、より好ましくは、0~10質量%程度であり 更に好ましくは、0~5質量%程度であり、最も ましくは0%であり、本樹脂成分含量は、熱 化性樹脂組成物中における樹脂成分の総量 対して、好ましくは85~100質量%、より好まし は90~100質量%、更に好ましくは95~100質量%で り、最も好ましくは100%である。
 反応性水酸基含有ポリアミド樹脂としては 上記本発明で使用する反応性ポリアミド以 に、反応性水酸基含有ゴム変性ポリアミド 脂等も知られているが、本発明においては まない方が好ましい。

 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、式(2)で表 れるエポキシ樹脂又は式(5)で表されるエポ シ樹脂硬化剤の少なくともいずれか一方を むものが好ましい。式(2)で表されるエポキ 樹脂を含む場合、その含量は前記エポキシ 脂の項で述べた含量で良いが、好ましくは 本樹脂成分の総量に対して、20~40質量%程度 より好ましくは25~40質量%程度、更に好まし は25~35質量%程度である。また、式(5)で表さ るエポキシ樹脂硬化剤を含む場合、その含 は前記エポキシ樹脂硬化剤の項で述べた含 で良く、通常、本樹脂成分の総量に対して 該総量から、(i)の反応性ポリアミド樹脂及 (ii)のエポキシ樹脂の含量を差し引いた残部 であるが、好ましくは10~30質量%程度、より好 ましくは15~30質量%程度、更に好ましくは15~25 量%程度である。場合により式(2)で表される エポキシ樹脂及び式(5)で表されるエポキシ樹 脂硬化剤の両者を併用しても良く、その場合 は、両者の合計含量が上記20~40質量%程度にな るようにして、それぞれの成分の不足分を、 本発明で必須成分とする他のエポキシ樹脂又 は他のエポキシ樹脂硬化剤で補充して、エポ キシ樹脂含量が、20~40質量%程度、より好まし くは25~40質量%程度、更に好ましくは25~35質量% 程度、エポキシ樹脂硬化剤含量が好ましくは 10~30質量%程度、より好ましくは15~30質量%程度 、更に好ましくは15~25質量%程度となるように それぞれを併用すれば良い。
 (i)の反応性ポリアミド樹脂の含量は、本樹 成分の総量に対して、30~70質量%程度、より ましくは40~70質量%程度、更に好ましくは40~6 5質量%程度である。

 本発明の熱硬化性樹脂組成物には必要に じて、樹脂成分以外の添加剤、例えば硬化 進剤、充填剤、イオン捕捉剤等を添加して 用する事が出来る。

 硬化促進剤はエポキシ樹脂と活性水素基含 ポリアミド樹脂や硬化剤との反応を促進さ るもので有れば特に限定されるものではな 。例えば有機リン化合物、イミダゾール化 物、三級アミン、スルホニウム塩、四級ア モニウム塩等が用いられる。これら硬化促 剤は使用するエポキシ樹脂や硬化剤の種類 また成形条件や要求特性等により適宜選択 れる。本発明においては、イミダゾール化 物が好ましい。例えば、2-メチルイミダゾ ル、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチ イミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシ メチルイミダゾール(2PHZ)、2-フェニル-4-メチ -5-ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミ ゾ-ル化合物を挙げることができ、2-フェニ -4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾールがよ 好ましい。
 本発明の熱硬化性樹脂組成物には硬化促進 を含む方が好ましい。硬化促進剤を用いる 合、その使用量はエポキシ樹脂100質量部に して15質量部以下が好ましく、10質量部以下 がより好ましく、通常0.5~5質量部程度である

 充填剤としては、例えばシリカ、アルミナ タルク、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム 水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、炭 バリウム、硫酸バリウム、窒化ケイ素、窒 ホウ素、カーボン、カーボン繊維、ガラス 維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、 リコンカーバイト繊維等の無機系充填剤、 リエステル繊維、セルロース繊維、アラミ 繊維、また種々のポリマービーズ等の有機 充填剤を挙げることが出来る。
 本発明の熱硬化性樹脂組成物は充填剤を添 せずにそのまま使用しても、充填剤を添加 て使用しても何れでもよい。充填剤を添加 る場合、その添加量は、本発明の効果が発 される限り、特に限定はなく、充填剤を含 熱硬化性樹脂組成物の総量(質量)に対して 最大95質量%まで添加することが出来る。
 硬化促進剤及び充填剤以外のシランカップ ング剤や難燃性付与剤、酸化安定剤、離型 、顔料等の添加剤を配合することが出来る これらの添加剤も添加しなくても良いが、 要に応じて添加することが出来る。これら 添加剤の使用量は本発明の熱硬化性樹脂組 物の特性を損なわない範囲であれば特に限 されるものではなく、熱硬化性樹脂組成物 に0~20質量%の範囲で使用することが出来る

 イオン捕捉剤は熱硬化性樹脂組成物中の 純物イオン、特に電子回路の信頼性を低下 せる種々のイオンを吸着固定させるもので れば特に限定されるものではないが、ハイ ロタルサイト系、リン酸ジルコニウム系、 ン酸チタン系、酸化アンチモン系、酸化ビ マス系等のイオン捕捉剤等が使用できる。 れらイオン捕捉剤としては、DHT-4A(協和化学 工業株式会社製)、キョーワードKW-2000(協和化 学工業株式会社製)、IXE-100(東亞合成株式会社 製)、IXE-300(東亞合成株式会社製)、IXE-400(東亞 合成株式会社製)、IXE-500(東亞合成株式会社製 )、IXE-600(東亞合成株式会社製)等が市販され いる。これらのイオン捕捉剤は単独で用い も良く、2種以上を併用しても良い。イオン 捉剤の使用量は通常熱硬化性樹脂組成物中 0~10質量%の範囲で用いられる。

 以上から、本発明の好ましい熱硬化性樹脂 成物は下記の通りである。
 好ましい本熱硬化性樹脂組成物の一つは、
(I)上記本樹脂成分(前記(i)、(ii)及び(iii)の成 )85~100質量%、好ましくは90~100質量%及び
(II)上記本樹脂成分以外の樹脂成分0~15質量%、 好ましくは0~10質量%
からなり、且つ、(ii)の成分の式(2)で表され エポキシ樹脂又は(iii)の成分の式(5)で表され るエポキシ樹脂硬化剤の少なくともいずれか 一方を含む熱硬化性樹脂組成物である。
この場合、上記本樹脂成分が、下記の場合よ り好ましい。
(i)の反応性ポリアミド樹脂:上記本樹脂成分( 記(i)、(ii)及び(iii)の成分)の総質量に対して 40~95質量%が好ましく、40~70質量%がより好まし く、更に好ましくは40~65質量%、
(ii)のエポキシ樹脂:上記本樹脂成分の総質量 対して、15~50質量%、より好ましくは20~40質 %、更に好ましくは25~40質量%、最も好ましく 25~35質量%、及び
(iii) のエポキシ樹脂硬化剤:残部、好ましく 10~30質量%、より好ましくは15~30質量%、更に ましくは15~25質量%。

 また、上記(i)、(ii)及び(iii)の成分の好まし 組成割合の組合せとしては下記の場合を挙 ることが出来る。
(i)の反応性ポリアミド樹脂:上記本樹脂成分 総質量に対して40~95質量%、
(ii)のエポキシ樹脂:上記本樹脂成分の総質量 対して、15~50質量%、より好ましくは20~40質 %、更に好ましくは25~40質量%、最も好ましく 25~35質量%、及び
(iii) のエポキシ樹脂硬化剤:残部、
又は、
(i)の反応性ポリアミド樹脂:上記本樹脂成分 総質量に対して40~70質量%、
(ii)のエポキシ樹脂:上記本樹脂成分の総質量 対して、15~50質量%、より好ましくは20~40質 %、更に好ましくは25~40質量%、最も好ましく 25~35質量%、及び
(iii) のエポキシ樹脂硬化剤:残部、
である。

また、別の上記(i)、(ii)及び(iii)の成分の好ま しい組成割合の組合せとしては下記の場合を 挙げることが出来る。
(i)の反応性ポリアミド樹脂:上記本樹脂成分( 記(i)、(ii)及び(iii)の成分)の総質量に対して 40~95質量%が好ましく、40~70質量%がより好まし く、更に好ましくは40~65質量%、
(ii)のエポキシ樹脂:上記本樹脂成分の総質量 対して、15~50質量%、及び
(iii) のエポキシ樹脂硬化剤:残部、
又は
(i)の反応性ポリアミド樹脂:上記本樹脂成分( 記(i)、(ii)及び(iii)の成分)の総質量に対して 40~95質量%が好ましく、40~70質量%がより好まし く、更に好ましくは40~65質量%、
(ii)のエポキシ樹脂:上記本樹脂成分の総質量 対して、20~40質量%、及び
(iii) のエポキシ樹脂硬化剤:残部、
である。

 上記本熱硬化性樹脂組成物は、更に、硬 促進剤を含む場合、より好ましい。この場 、硬化促進剤の含量は、エポキシ樹脂100質 部に対して0.5~5質量部程度である。硬化促 剤としてイミダゾール化合物が好ましい。

 本発明の熱硬化性樹脂組成物は通常、溶剤 溶解又は分散させた樹脂液、好ましくは溶 した樹脂溶液として種々の電気・電子材料 使用される(又は適用される)。
 本発明においては、通常、本発明の熱硬化 樹脂組成物を、例えば、下記するように、 ィルムに成形して使用するのが好ましい。
 本発明の熱硬化性樹脂組成物を含む上記樹 液(好ましくは樹脂溶液)を金属箔や樹脂フ ルム(以下基材フィルム)に塗布し、次いで乾 燥して、熱硬化性樹脂組成物のコーティング 層を有する基剤フィルムとして、そのまま使 用するか、若しくは、離型フィルム(離型処 を施したフィルム)上に、上記と同様にして 硬化性樹脂組成物の乾燥コーティング層を 成させ、それをそのまま使用するか、更に 、該離型フィルムから、上記の乾燥コーテ ング層を剥離して、熱硬化性樹脂組成物フ ルムとして使用することも出来る。なお、 記樹脂液は、多くの場合、充填剤を含まな 形で利用されるが、必要に応じて、前記し 充填剤などを配合して使用しても良い。ま 、後記するように、フィルム状の基材に本 明の樹脂組成物を含浸及び乾燥させ、プリ レグなどとして利用することも出来る。
 本発明において、本発明の熱硬化性樹脂組 物を含むフィルムといった場合、上記の何 のフィルム成型品をも含むものである。該 ィルム成型品の場合、充填剤を含むもので っても、充填剤を含まないものであっても い。

 基材フィルムへの塗布はロールコーター又 マルチコーター等を用いて、常法により行 ことが出来る。又、基材フィルムとしては 箔又はアルミニウム箔等の金属箔や、ポリ ミドフィルム、アラミドフィルム、ポリエ レンテレフタレートフィルム、ポリエステ フィルム、ポリエーテルイミドフィルム、 リエーテルケトンフィルム又はポリフェニ ンスルファイドフィルム等の電気絶縁性樹 フィルム等が使用される。
 熱硬化性樹脂組成物のコーティング層の乾 は、インラインドライヤー等の乾燥装置を いて、該樹脂組成物の硬化反応が進行しな 又は進行しても接着剤等の使用に支障を生 ない程度に硬化反応が抑制される温度、例 ば120~140℃程度の温度で、1~30分間程度、好 しくは1~15分間程度行うことにより、溶剤が 去された熱硬化性樹脂組成物からなる層(以 下単に該樹脂層とも言う)を有するフィルム 得ることが出来る。
 また、用いられる基材フィルムは、用途に せて離型処理や接着性を付与するためブラ ト処理又はコロナ放電処理等を施されてい ものが好ましい。

 熱硬化性樹脂組成物は、直接接着剤として 用することも出来るが、通常は上記の様に 該樹脂層を有するフィルム若しくは後記す 該樹脂層を剥離フィルムからはがした該樹 組成物フィルムにして、接着剤として利用 れる。
 本発明の樹脂組成物を適用したフレキシブ 配線基板、積層板、絶縁材、又は保護材(例 えば絶縁保護材など)は、以下のようにして ることが出来る。
例えば離型処理を施した基材フィルム上に熱 硬化性樹脂組成物の層を有するフィルムの場 合、電子基板等に圧着させた後にフィルムを 取り除き、必要な場合は更に他のフィルムや 金属箔等を積層して加圧加熱硬化させること で、該樹脂層を接着剤若しくは保護膜などと して利用した、フレキシブル配線基板、積層 板、絶縁材、保護材等を得ることができる。
 また、離型処理を施した基材フィルムから ぎ取った熱硬化性樹脂組成物フィルムを種 の電子部品に適用して、トランスファーモ ルド、インジェクションモールド等の成型 を用いて、成形し、更に後硬化を行う事に り種々の電子部品を封口及び/又は封止する ことも出来る。
 また、前記樹脂液、好ましくは樹脂溶液を ガラス繊維、カ-ボン繊維、ポリエステル繊 維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維又は紙な どの基材に含浸させた後に加熱乾燥して得た プリプレグを、熱プレス等で成形及び硬化さ せることで積層板等を得ることもできる。

 上記で用いられる本発明の熱硬化性樹脂組 物と溶剤を含む樹脂液は、溶剤に本発明の 硬化性樹脂組成物を溶解若しくは分散させ ことにより得ることが出来る。好ましいの 、本発明の熱硬化性樹脂組成物を溶解した 脂溶液である。 溶剤としては、ジメチル ルホキシド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチ ルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド N,N-ジメチルアセトアミド、トルエン、キシ ン、アセトン、メチルエチルケトン又はメ ルイソブチルケトン等の溶剤を挙げること 出来る。これらの溶剤は一種であっても二 以上併用してもよい。これらの中で好まし 溶媒はジメチルスルホキシドであり、ジメ ルスルホキシドに溶解した該樹脂溶液は最 好ましい。これらの溶剤の使用量は、本発 の熱硬化性樹脂組成物と溶剤の総質量に対 て通常10~80質量%、好ましくは15~70質量%を占 る量である。
 該樹脂溶液は、乾燥固形分含量が通常20~90 量%、好ましくは20~70質量%、より好ましくは3 0~60質量%、更に好ましくは、30~50質量%を含み 残部が溶媒である樹脂溶液として調製され 。また、場合により、固形分含量30~85質量% 残部が溶媒である樹脂溶液として調製され も良い。
 該樹脂溶液において、該溶液に含まれる乾 固形分としての本発明の熱硬化性樹脂組成 は、前記した樹脂組成物の何れでも良いが 好ましいのは、式(2)で表されるエポキシ樹 又は式(5)で表されるエポキシ樹脂硬化剤の なくともいずれか一方を含む本発明の熱硬 性樹脂組成物であり、より好ましくは、  記(a)又は(b)、
(a):式(2)で表されるエポキシ樹脂と、式(6)又 式(7)で表されるエポキシ樹脂硬化剤の少な ともいずれか一方との組合せ、又は
(b):式(5)で表されるエポキシ樹脂硬化剤と、 (3)又は(4)で表されるエポキシ樹脂の少なく もいずれか一方との組合せ、
のいずれか一方の組合せ含む本発明の熱硬化 性樹脂組成物である。
これらの樹脂組成物におけるエポキシ樹脂及 びエポキシ硬化剤の含量割合は前記したエポ キシ樹脂とエポキシ硬化剤の組成割合がその まま適用できる。

 以下に本発明を実施例で説明するが、本発 はこれら実施例に限定されるものでは無い 尚、実施例中に記載の物性値は下記の方法 求めたものである。
 ポリアミド樹脂の活性水素当量:水酸基の有 する水素及びアミノ基の有する水素1個あた の化合物の平均質量数であり、原料化合物 仕込み量から算出した理論値。
 エポキシ当量:エポキシ基1個あたりのエポ シ樹脂の平均質量数であり、JIS K-7236に準じ て測定した値。
 水酸基当量:水酸基(OH基)1個あたりの化合物 平均質量数であり、JIS K-0070に準じたアセ ル化法で測定した値。
 ICI粘度:ICI粘度計(株式会社コーディックス )を用いて150℃で測定した値。
 ガラス転移温度:DMA測定装置(東洋精機株式 社製 RHEOLOGRAPH-SOLID)を用い、昇温速度2℃/分 測定を行った時のtanδ最大値における温度 (注;DMA:動的粘弾性測定:Dynamic Mechanical Analysi s)
 接着強度:万能引っ張り試験機(東洋ボール ウィン製)を用いてJIS C-6481に準じて25℃及び 180℃で測定した値。
 弾性率低下点温度:DMA測定での動的弾性率曲 線において、動的弾性率が低下する前のベー スライン接線と低下後に傾きが一定に成った ラインの接線との交点の温度。

 合成例1(反応性ポリアミド樹脂の合成)
 温度計、冷却管、窒素導入菅、撹拌装置を り付けた2リットルの4口フラスコにN-メチル -2-ピロリドン650質量部を仕込み、窒素ガスを 導入しながら3,4″-ジアミノジフェニルエー ル120質量部、イソフタル酸96質量部、5-ヒド キシイソフタル酸2.1質量部、塩化リチウム6 .3質量部、ピリジン139質量部を入れ、35℃で 拌し、それらを溶解させた。次いで液温を90 ℃まで上げ、そこに、亜リン酸トリフェニル 301質量部を、2時間で滴下し、更に5時間反応 行った。反応終了後、反応液にイオン交換 390質量部を2時間掛けて滴下し、得られた液 を静置した。液が2層に分離後上層部を廃棄 た。残った下層のスラリー状樹脂分にジメ ルスルホキシド(DMF)510質量部を加えて60℃で 解後、70℃まで昇温してイオン交換水400質 部を1時間掛けて添加した。添加終了後、得 れた液を冷却及び静置した。液が2層に分離 後上層部を廃棄し、残った下層のスラリー状 樹脂分に樹脂濃度が30質量%となる量のDMFを加 えて溶解し、反応性水酸基含ポリアミド樹脂 溶液を得た。得られた反応性水酸基含有ポリ アミド樹脂の活性水素当量の理論値は5000g/eq あり、式(1)におけるn及びmの値は、平均値 、nが50程度、mが1程度であり、m+nは51程度で った。

 合成例2(式(3)で表されるエポキシ樹脂の合 )
 温度計、冷却管、撹拌装置を取り付けた2L 4口フラスコにフェノールアラルキル化合物( 樹脂)であるザイロック3L(三井化学株式会社 、水酸基当量173g/eq)を173質量部、エピクロル ヒドリン463質量部、ジメチルスルホキシド(DM SO)116質量部を仕込み、50℃で樹脂を溶解した 次いで、撹拌下に窒素ガスを導入しながら レーク状水酸化ナトリウム(純分99%)42質量部 を得られた溶液に2時間掛けて添加した。添 終了後、60℃で1時間、70℃で1時間及び80℃で 30分間反応させた。反応終了後、得られた反 液に水300質量部及び30質量%リン酸水素2ナト リウム水溶液30質量部を加えて水洗を施した 得られた液を静置し、2層に分離後水層を廃 棄した。残った油層から過剰のエピクロルヒ ドリンを、加熱減圧下で留去した。次いでそ こに600質量部のメチルイソブチルケトン(MIBK) を加えて油層の残留物を溶解させた。このメ チルイソブチルケトンの溶液を70℃に加熱し 撹拌下30質量%の水酸化ナトリウム水溶液7質 量部を添加し、次いで1時間反応させた。得 れた反応液を、水洗後の水層のpHが中性にな るまで水洗、液分離及び水層の廃棄を繰り返 した。得られた樹脂溶液からメチルイソブチ ルケトンを加熱減圧下に留去することにより 、式(3)で表されるエポキシ樹脂(A)230質量部( 黄色液状)を得た。得られたエポキシ樹脂の ポキシ当量は240g/eq、150℃に於けるICI粘度は 0.04Pa・sであった。式(3)のnは平均で5.2であっ 。

 合成例3(式(5)で表されるエポキシ樹脂硬化 の合成)
 温度計、冷却管、撹拌装置を取り付けた2L 4口フラスコにフェノール462.5質量部を仕込 、窒素ガスを導入し充分に系内をパージし 。次いでそこに三フッ化ホウ素フェノール ンプレックスを0.5質量部添加した後、系内 温度を50℃に上げた。次いでそこにジシクロ ペンタジエン132.5質量部を発熱に注意しなが 1時間掛けて滴下し、反応を行った。滴下終 了後、系内の温度を70℃に上げ、更に1時間反 応を行った。反応終了後反応液にメチルイソ ブチルケトン300質量部を加え、更に脱イオン 水200質量部を加えて水洗を施した。該混合液 を静置し、油層と水層に分離後水層を廃棄し た。次いで、残った油層から過剰のフェノー ル及びメチルイソブチルケトンを、加熱減圧 下で留去し、式(5)で表されるエポキシ樹脂硬 化剤(E)301質量部(淡黄色透明液状)を得た。得 れたエポキシ樹脂硬化剤の水酸基当量は170g /eq、150℃に於けるICI粘度は0.05Pa・sであった 式(5)のnの値は 1.8であった。

 実施例1~4、比較例1
 表1に示す組成(質量部)で各成分を配合して 硬化性樹脂組成物溶液を得た。コンマコー ーを用いて、乾燥後の厚みが25μmとなるよ にこれら熱硬化性樹脂組成物を離型PET(ポリ ステル)フィルム(リンテック株式会社製、PE T-38AL5)上に塗布し、130℃にセットしたフロー ィング乾燥炉で15分間掛けて乾燥すること より硬化物前駆体である熱硬化性樹脂組成 の層を有する離型PETフィルムを得た。この 硬化性樹脂組成物層を離型PETフィルムより 離し、熱硬化性樹脂組成物フィルムを作成 た。このフィルムを乾燥オーブンにて160℃× 4hr+200℃×6hrの硬化条件で硬化させて、フィル ム状硬化物(熱硬化性樹脂組成物の硬化物)を た。このフィルム状硬化物のDMA測定から得 れたガラス転移温度及び弾性率低下点温度 表1に示す。
 また、前記熱硬化性樹脂組成物フィルムを 電解銅箔(福田金属箔紛株式会社製、CF-T9-18) の粗面とポリイミドフィルム(宇部興産株式 社製、ユーピレックス25-SGA)の処理面の間に み込み、30kg/cm2の加圧条件下、180℃×1時間 熱硬化することで、熱硬化性樹脂組成物フ ルムの硬化物で接着複合化されたフレキシ リティーを有する接着試験用サンプルを得 。この接着試験用サンプルの電解銅箔とフ ルム状硬化物の界面の接着強度の測定結果 表1に示す。

 表1記載の各成分は下記の通りである。
 ポリアミド樹脂溶液:合成例1より得られた 応性水酸基含有ポリアミド樹脂(活性水素当 5000g/eq)の固形分30重量%DMF溶液
 エポキシ樹脂(A):合成例2より得られた式(3) 表されるエポキシ樹脂(エポキシ当量240g/eq)
 エポキシ樹脂(B):式(2)で表されるエポキシ樹 脂(日本化薬株式会社製、XD-1000、エポキシ当 245g/eq)
 エポキシ樹脂(C):式(4)で表されるエポキシ樹 脂(日本化薬株式会社製、NC-3000、エポキシ当 280g/eq)
 エポキシ樹脂硬化剤(D):式(6)で表されるエポ キシ樹脂硬化剤(三井化学株式会社製、ザイ ック-3L、水酸基当量173g/eq)
 エポキシ樹脂硬化剤(E):合成例3より得られ 式(5)で表されるエポキシ樹脂硬化剤(水酸基 量170g/eq)
 エポキシ樹脂硬化剤(F):式(7)で表されるエポ キシ硬化剤(日本化薬株式会社製、GPH-65、水 基当量173g/eq)
 エポキシ樹脂硬化剤(G):フェノールノボラッ ク樹脂(日本化薬株式会社製、PN-80、水酸基当 量105g/eq)
 硬化促進剤:2PHZ-PW(四国化成株式会社製)
 溶媒:DMF

 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、一般的な リアミド樹脂よりも低い200℃以下の温度条 で硬化させることが可能であり、その硬化 は表1の結果から硬化温度が低いにも係わら ず高い耐熱性を有する。また弾性率低下点温 度が高いことで低温から高温まで幅広い温度 範囲で物性が安定しており、特に高温での接 着特性に優れるものである。
従って本発明の熱硬化性樹脂組成物及びその 硬化物は、製造工程や使用環境で熱的ストレ スの予想される半導体装置や電子機器、自動 車機器などの幅広い分野に有用である。