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Patent Searching and Data


Title:
WIRE DRAWING DIE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/088048
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a wire drawing die having excellent strength and wear resistance. The wire drawing die has, as its core, a highly hard polycrystalline diamond which is produced by converting a raw material composition comprising a non-diamond carbon material directly into a diamond under ultra-high pressure/high temperature conditions without adding any sintering aid or catalyst, and which comprises substantially only a diamond. The polycrystalline diamond has a mixed structure composed of a fine diamond crystal having the largest crystal diameter of 100 nm or less and an average crystal diameter of 50 nm or less and a sheet-like or particulate coarse diamond crystal having the smallest crystal diameter of 50 nm or greater and the largest crystal diameter of 10000 nm or less.

Inventors:
SUMIYA HITOSHI (JP)
YUKAWA MAKOTO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/050621
Publication Date:
July 24, 2008
Filing Date:
January 18, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO ELECTRIC INDUSTRIES (JP)
ALMT CORP (JP)
SUMIYA HITOSHI (JP)
YUKAWA MAKOTO (JP)
International Classes:
B21C3/02
Domestic Patent References:
WO2007011019A12007-01-25
Foreign References:
JP2003033810A2003-02-04
JP2002066302A2002-03-05
Other References:
See also references of EP 2127769A4
F. P. BUNDY, J. CHEM. PHYS., vol. 38, 1963, pages 631 - 643
M. WAKATSUKI; K. ICHINOSE; T. AOKI, JAPAN. J. APPL. PHYS., vol. 11, 1972, pages 578 - 590
S. NAKA ET AL., NATURE, vol. 259, 1976, pages 38 - 8
S. NAKA ET AL., NATURE, vol. 259, 1976, pages 38
T. IRIFUNE; H. SUMIYA, NEW DIAMOND AND FRONTIER CARBON TECHNOLOGY, vol. 14, 2004, pages 313
SUMIYA; IRIFUNE, SEI TECHNICAL REVIEW, vol. 165, 2004, pages 68
Attorney, Agent or Firm:
FUKAMI, Hisao et al. (Nakanoshima Central Tower 22nd Floor,2-7, Nakanoshima 2-chome,Kita-ku, Osaka-shi, Osaka 05, JP)
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Claims:
 非ダイヤモンド型炭素物質を出発物質として、超高圧高温下で焼結助剤や触媒の添加なしに直接的にダイヤモンドに変換焼結された、実質的にダイヤモンドのみからなる多結晶ダイヤモンドをコアとした伸線ダイスであり、前記多結晶ダイヤモンドが、最大粒径が100nm以下、平均粒径が50nm以下の微粒のダイヤモンドと、最小粒径50nm以上、最大粒径10000nm以下の板状もしくは粒状の粗粒ダイヤモンドの混合組織を持ち、前記多結晶ダイヤモンドには伸線加工される線材を通過させる孔が設けられる、伸線ダイス。
 前記微粒のダイヤモンドの最大粒径が50nm以下で、平均粒径が30nm以下である請求の範囲第1項に記載の伸線ダイス。
 前記粗粒のダイヤモンドの最小粒径が50nm以上、最大粒径が1000nm以下である請求の範囲第1項に記載の伸線ダイス。
 前記多結晶ダイヤモンドに形成された孔のうち、少なくとも加工に作用する面の面あらさがRaで0.001μm以上0.2μm以下である請求の範囲第1項に記載の伸線ダイス。
 前記多結晶ダイヤモンドに形成された孔のうち、ベアリング部の断面を見た時の前記孔の真円度が0.01μm以上0.2μm以下である請求の範囲第1項に記載の伸線ダイス。
 伸線加工される線材は金線であり、前記孔の形状のうちリダクション角度は8~16°である請求の範囲第1項に記載の伸線ダイス。
 伸線加工される線材は銅線であり、前記孔の形状のうちリダクション角度は8~16°である請求の範囲第1項に記載の伸線ダイス。
 伸線加工される線材はタングステン線であり、前記孔の形状のうちリダクション角度は6~14°である請求の範囲第1項に記載の伸線ダイス。
 伸線加工される線材はステンレス線であり、前記孔の形状のうちリダクション角度は6~14°である請求の範囲第1項に記載の伸線ダイス。
 伸線加工される線材はスチールコードであり、前記孔の形状のうちリダクション角度は6~14°である請求の範囲第1項に記載の伸線ダイス。
Description:
伸線ダイス

 本発明は、金属線などの伸線用ダイヤモ ドダイスに関するもので、特に銅や金など 極細線、あるいはステンレス線、スチール ードなどの高硬度線伸線用のダイスに関す ものである。

 従来、孔径50μm以下の極細線の伸線用ダ スには、天然単結晶ダイヤモンド、あるい 合成単結晶ダイヤモンドを素材として、図1 ような形状のものが使用されていた。しか 、単結晶ダイヤモンドは、伸線を長時間行 と図2Bのような偏摩耗が生じて、線肌が悪 するという問題があった。ダイヤモンド単 晶は、結晶格子面の間隔が方位によって異 り、また、各格子面によって面内の原子密 が異なる。このため、耐摩耗性に顕著な方 依存性があり、伸線後に偏摩耗が生じ、線 が悪化するのである。

 また、ステンレス線、スチールコードな の高硬度線伸線用のダイスは、線引き時に イスに過度の応力が加わり、劈開によるク ックが生じるという問題がある。このため このような用途には、現状は、一般に多結 ダイヤモンドが用いられている。

 現在、工具用に市販されている多結晶ダ ヤモンドは、すべて焼結助剤あるいは結合 としてCo、Ni、Feなどの鉄族金属や、SiCなど セラミックスが用いられている。これらは ダイヤモンドの粉末を焼結助剤や結合剤と もにダイヤモンドが熱力学的に安定な高圧 温条件下(通常、圧力5~6GPa、温度1300~1500℃) 焼結することにより得られる。しかし、10体 積%前後の焼結助剤あるいは結合材を含むた 高精度な孔面が得られず、極細線の伸線に 適用できない。天然に産出する多結晶ダイ モンド(カーボナードやバラス)も知られ、一 部掘削ビットとして使用されているが、欠陥 が多く、材質のバラツキも大きいため、ダイ ス用途には使用されていない。

 一方、黒鉛(グラファイト)やグラッシー ーボン、アモルファスカーボンなどの非ダ ヤモンド炭素を超高圧高温下で、触媒や溶 なしに直接的にダイヤモンドに変換させ、 時に焼結させることで結合材のないダイヤ ンド単相の多結晶体が得られる。

 このような多結晶体としてたとえば、J.Ch em.Phys.,38(1963)631-643[F.P.Bundy](非特許文献1)やJapa n.J.Appl.Phys.,11(1972)578-590[M.Wakatsuki,K.Ichinose,T.Aoki ](非特許文献2)、Nature 259(1976)38[S.Naka,K.Horii,Y.T akeda,T.Hanawa](非特許文献3)には、グラファイト を出発物質として14-18GPa、3000K以上の超高圧 温下の直接変換により多結晶ダイヤモンド 得られることが開示されている。

 また、特開2002-66302号公報(特許文献1)には カーボンナノチューブを10GPa以上、1600℃以上 に加熱して、微細なダイヤモンドを合成する 方法が記載されている。

 さらに、New Diamond and Frontier Carbon Technolog y,14(2004)313[T.Irifune,H.Sumiya](非特許文献4)やSEIテ クニカルレビュー165(2004)68[角谷、入舩](非特 文献5)には、高純度グラファイトを出発物 として、12GPa以上、2200℃以上の超高圧高温 で間接加熱による直接変換焼結により緻密 高純度な多結晶ダイヤモンドを得る方法が 示されている。

特開2002-66302号公報 J.Chem.Phys.,38(1963)631-643[F.P.Bundy] Japan.J.Appl.Phys.,11(1972)578-590[M.Wakatsuki,K.Ichin ose,T.Aoki] Nature 259(1976)38[S.Naka,K.Horii,Y.Takeda,T.Hanawa] New Diamond and Frontier Carbon Technology,14(200 4)313[T.Irifune,H.Sumiya] SEIテクニカルレビュー165(2004)68[角谷、入 舩]

 しかし、非特許文献1や非特許文献2、非 許文献3に記載の多結晶ダイヤモンドはいず もグラファイトなどの導電性のある非ダイ モンド炭素に直接電流を流すことで加熱す 直接通電加熱法によっているため、未変換 ラファイトが残留することは避けられない また、ダイヤモンド粒子径が不均一であり また、部分的に焼結が不十分となりやすい このため、硬度や強度などの機械的特性が 十分で、しかも欠片状の多結晶体しか得ら ず、伸線ダイスとして使用できるものは得 れなかった。

 また、特許文献1に開示されている方法は カーボンナノチューブをダイヤモンドアンビ ルで加圧し、炭酸ガスレーザーで集光加熱し ているため、伸線ダイスに適用できるサイズ の均質な多結晶ダイヤモンドの製造は不可能 である。

 さらに、非特許文献4や非特許文献5に開 された方法で得られるダイヤモンドは非常 高い硬度を有する場合があるが、その再現 が十分でなく、機械的特性が安定しないた 、伸線ダイスとして使用すると試料によっ 性能がばらつくという問題があった。

 本発明は、以上の従来の技術の問題点を 決するためになされたものであり、直接変 焼結により得られる多結晶ダイヤモンドの 性を伸線ダイス用に最適化して、従来の単 晶ダイヤモンドにおける偏摩耗や、劈開ワ の問題がなく、従来から市販されている結 材を含む多結晶ダイヤモンドよりも高強度 耐熱性に優れ、特に極細線やステンレス線 スチールコードの伸線で非常に優れた性能 有する伸線ダイスを提供することを目的と る。

 本発明者らは、上記の問題点の原因を調 るため、直接変換で得られる多結晶ダイヤ ンドの微細構造と機械的特性や耐摩耗特性 の関係を詳しく調査したところ、層状構造 微細な均質構造の混ざった複合組織を持つ 合があり、これらが適切な割合で分布して るものは、高硬度で耐摩耗性に優れること わかった。また、従来の方法では、層状構 と微細な均質構造の比率は、出発物質のグ ファイトの状態や昇温時間、圧力条件の微 な違いによってバラつき、これが機械的特 、耐摩耗特性の安定しない原因であること わかった。

 そこで、本発明者らは、上記のような問 を解決するため、超高圧高温下で非ダイヤ ンド炭素をダイヤモンドに直接変換させる 法において、比較的粗い板状グラファイト るいは比較的粗いダイヤモンドに、非グラ ァイト型炭素物質もしくは低結晶性あるい 微粒のグラファイトを添加したものを出発 質としたところ、微粒のダイヤモンドのマ リックスの中に層状のもしくは比較的粗い イヤモンド結晶が分散した組織の多結晶ダ ヤモンドが得られ、この層状もしくは粗粒 イヤモンドでの塑性変形、微細クラックの 展阻止効果により、非常に硬くて強靱な多 晶ダイヤモンドが極めて安定して得られる とを見出した。また、グラファイトからで 昇温時間、圧力条件により微細構造の制御 可能で、上記のような適切な組織とするこ も見出した。

 そして、この素材を用いてダイスを作製 て、伸線テストを行ったところ、出発物質 合成条件によっては耐摩耗性が高く、偏摩 や劈開ワレも少ないダイスが得られること 判り、出発物質の最適化によって多結晶ダ ヤモンドの微細構造を最適化することで、 来材質の3倍以上の耐久性をもつ、非常に優 れた伸線ダイスが得られることを見出し、本 発明に至った。

 すなわち、本発明の特徴は、非ダイヤモ ド型炭素物質を出発物質として、超高圧高 下で焼結助剤や触媒の添加なしに直接的に イヤモンドに変換焼結された、実質的にダ ヤモンドのみからなり、ダイヤモンドが、 大粒径が100nm以下、平均粒径が50nm以下の微 のダイヤモンドと、最小粒径50nm以上、最大 粒径10000nm以下の板状もしくは粒状の粗粒ダ ヤモンドの混合組織を持つ多結晶ダイヤモ ドを使ったダイスとしたことを特徴とする 多結晶ダイヤモンドには伸線加工される線 を通過させる孔が設けられる。

 また、微粒のダイヤモンドの最大粒径を5 0nm以下で、平均粒径を30nm以下とするのが好 しく、粗粒のダイヤモンドの最小粒径を50nm 上、最大粒径を1000nm以下とするのが好まし 。

 この多結晶ダイヤモンドをダイスに使用 るにあたり、ダイヤモンドに形成された孔 うち、少なくとも加工に作用する面の面あ さをRaで0.001μm以上0.2μm以下とするのが好ま しく、ダイヤモンドに形成された孔のうち、 ベアリング部の断面を見た時の孔の真円度を 0.01μm以上0.2μm以下とするのが好ましい。な 、本願において真円度は、孔の径を360°の各 方向で見た時の最大の径と最小の径との差で ある。

 また、伸線加工される線材により孔の形 のうちリダクション角度を適切な大きさに るのが好ましい。具体的な大きさとして、 線を伸線加工する場合には8~16°、銅線を伸 加工する場合には8~16°、タングステン線を 線加工する場合には6~14°、ステンレス線を 線加工する場合には6~14°、スチールコード 伸線加工する場合には6~14°とするのが好ま い。

従来の単結晶ダイヤモンドダイスの断 を見た概略図である。 従来の単結晶ダイヤモンドダイスの摩 耗状態を示す写真で、摩耗する前の状態の写 真である。 従来の単結晶ダイヤモンドダイスの摩 耗状態を示す写真で、摩耗した後の状態の写 真である。 本発明のダイヤモンドダイスと従来の 天然単結晶ダイヤモンドダイスの、孔径の変 化する状況を確認した試験結果であり、この 試験で使用したダイスの概略形状を示したグ ラフである。 本発明のダイヤモンドダイスと従来の 天然単結晶ダイヤモンドダイスの、孔径の変 化する状況を確認した試験結果であり、本発 明のダイヤモンドダイスの孔径の変化する結 果を示したグラフである。 本発明のダイヤモンドダイスと従来の 天然単結晶ダイヤモンドダイスの、孔径の変 化する状況を確認した試験結果であり、従来 の天然単結晶ダイヤモンドダイスの孔径の変 化する結果を示したグラフである。

符号の説明

  1 単結晶ダイヤモンド
  2 ケース

 粒径50nm以上の板状グラファイトあるいは ダイヤモンドに非グラファイト型炭素物質を 適当量添加し、これを出発物質として、ダイ ヤモンドが熱力学的に安定である圧力条件下 で直接的にダイヤモンドに変換焼結させると 、平均粒径がたとえば10-20nmの非常に微細な イヤモンドのマトリックスに、たとえば100-2 00nmの比較的粗いダイヤモンドが分散した組 の多結晶ダイヤモンドが得られる。塑性変 やクラックの進展が比較的粗いダイヤモン 部で阻止されるため、非常に強靱で高い硬 特性を示し、試料による特性バラツキも大 に小さくなる。

 ここで、粒径50nm以上の板状グラファイト あるいはダイヤモンドに添加される非グラフ ァイト型炭素物質の添加量は10体積%以上、95 積%以下が好ましい。10体積%より少ないと層 状もしくは粗粒のダイヤモンド同士が接触し 、その界面で応力集中してワレやキレツが発 生しやすくなるため好ましくない。また、95 積%を超えると層状もしくは粗粒のダイヤモ ンドによる塑性変形や微細クラックの進展阻 止効果が十分でなくなる。

 また、上記非グラファイト型炭素物質と て、グラッシーカーボン、アモルファスカ ボン、フラーレン、カーボンナノチューブ どが上げられる。また、グラファイトを遊 ボールミル等で機械的に粉砕された粒径50nm 以下の微細な炭素も用いることができる。

 以上の混合物を、Moなどの金属カプセル 充填する。粉砕された微細炭素を用いる場 は、充填作業を高純度な不活性ガス中で行 必要がある。次に、マルチアンビル型超高 装置やベルト型超高圧装置などの等方加圧 静水圧加圧が可能な超高圧高温発生装置を いて、温度1500℃以上で、かつダイヤモンド 熱力学的に安定な圧力で所定時間保持する 非グラファイト型炭素はダイヤモンドに直 変換され、同時に焼結される。粒径50nmの板 状グラファイトを用いる場合は、これを完全 にダイヤモンドに変換させるために、2000℃ 上の高温で処理する必要がある。

 こうして、微粒のダイヤモンドのマトリ クスの中に層状のもしくは比較的粗いダイ モンド結晶が分散した組織の多結晶ダイヤ ンドが安定して得られる。

 また、グラファイトを出発物質として、 記の高圧高温処理する際に、加熱速度を100~ 1000℃/分とすることでも同様の組織の多結晶 イヤモンドが得られる。

 この層状もしくは粗粒ダイヤモンドでの 性変形、微細クラックの進展阻止効果によ 、多結晶体の硬度は120GPa以上と非常に高く そのため耐摩耗性に非常に優れ、特性のバ つきも少ない。

 この多結晶ダイヤモンドをコアにしてレ ザなどにより孔を形成し、孔の面を研磨す 。研磨された孔の面の面あらさはRaで0.001μm 以上0.2μm以下とする。このような面あらさに すると、伸線加工を行う場合に、伸線抵抗が 低く抑えられて摩耗量も少なくなるので寿命 が向上し、しかも耐摩耗性の高い多結晶ダイ ヤモンドにも関わらず比較的研磨が容易で短 時間に加工が行える。

 また、このようなレーザ加工と研磨加工 よりベアリング部の断面を見た時の孔の真 度が0.01μm以上0.2μm以下となるように加工す れば、高精度で高品質の線材が得られ長寿命 のダイスとすることができる。

 粒径0.05~10μm、純度99.95%以上の結晶性の良 いグラファイト粉末もしくは、粒径0.05~3μmの 合成ダイヤモンド粉末に、グラファイトを超 微細粉砕した粉末やグラシーカーボン粉末、 C60粉末、カーボンナノチューブ粉末の各種非 グラファイト型炭素材料を添加し、これをMo プセルに充填、密封し、これを超高圧発生 置を用いて、種々の圧力、温度条件で30分 理した。得られた試料の生成相をX線回折に り同定し、TEM観察により構成粒子の粒径を べた。また、得られた試料の表面を鏡面に 磨し、その研磨面での硬さをマイクロヌー 硬度計で測定した。実験の結果を表1に示す 。

 この結果から、平均粒径50nm以上のグラフ ァイトもしくはダイヤモンドに、微粒粉砕グ ラファイトもしくは非グラファイト型炭素物 質を10体積%以上、95体積%以下添加したものを 出発物質として、超高圧高温下で直接変換焼 結すると、平均粒径50nm以下の微粒のダイヤ ンドのマトリックスの中に、粒径50nm以上の 状ダイヤモンドもしくは比較的粗いダイヤ ンド結晶が分散した組織の多結晶ダイヤモ ドが安定して得られる。得られた多結晶体 硬度は、従来のCoバインダーの焼結体(60~80GP a)よりはるかに高く、またグラファイトを出 物質とした多結晶体に見られる硬度特性の ラツキもないことがわかる。

 次に、上記のダイヤモンドのうち、実施 1のダイヤモンドを使ったダイスと天然単結 晶ダイヤモンドを使ったダイスを製作し、ダ イスの孔径の変化する状況を確認した。試験 条件として、両者のダイスは初期の孔径が僅 かに異なっているため、伸線する線材は初期 の孔径より約2μm大きい径の銅線とし、伸線 度は100mm/sで行い、1m伸線するごとに伸線加 した線の中央部の20cmを切り出し、この重量 元に平均の径を算出した。そして、この作 を30回繰り返し、30回の径のデータの最大値 、最小値、平均値を求めた。従って、これら の値は30m伸線した中での値になる。これを8 繰り返しグラフにしたものが、図3Bと図3Cで る。

 図3Bと図3Cに記載された試験結果の線は、 上側の点線が最大径の変化、下側の点線が最 小径の変化、中央の実線が平均径の変化を示 している。この結果を見ると、孔径の変化す る速度は本発明の多結晶ダイヤモンドのダイ スに比べて従来の天然単結晶ダイヤモンドの ダイスの方が3倍程度速く、本発明のダイス 非常に耐久性に優れることが確認できた。

 さらに比較を行うため、上記のダイヤモ ドのうち実施例1のダイヤモンド(ダイス素 がAのもの)を使ったダイス(本発明1~49)と平均 粒径が1μmのダイヤモンド(ダイス素材がBのも の)からなる従来の多結晶ダイヤモンド(十数% のCoの結合材を含むもの)を使ったダイス(従 例1、2、5、6、11、12、15、16、21、22、25、26、 31、32、35、36、41、42、45、46)と従来の天然単 晶ダイヤモンド(ダイス素材がCのもの)を使 たダイス(従来例3、4、7、13、14、17、23、24 27、33、34、37、43、44、47)で、孔形状が異な 複数の形状のダイスを製作し、5種類の線材 伸線加工を行って、比較を行った。使用し ダイヤモンドの素材、作用面の面あらさ、 円度、リダクション角度は表2~6に記載した のであり、その結果も合わせて表2~6に示す なお、線材がスチールコードのものについ は、他の線材の例とした40μmの径の線材は いため、孔径が200μmのダイスとした。従っ 、スチールコードの結果については他の線 と同じ基準では比較できない結果になって る。表2~6の結果のうち、寿命については指 で表しており、指数に比例して寿命が長く る。また、線表面の傷は50km(スチールコード は20km)の長さを伸線加工した時点での線表面 傷の状態により3通りの評価を行ったもので あり、○は傷が認められないもの、△は浅い 傷が認められたもの、×は線材が削れたよう 深い傷が認められたものである。さらに、 表面の傷を確認すると同時に真円度の測定 行った。

 これらの結果からわかるように、面あら の違い、真円度の違いやリダクション角度 違いにより、本発明のダイスと従来のダイ を比較すると、本発明のダイスが寿命や線 面の傷の発生において優れているのがわか 、真円度の変化も少なく精度の良い伸線加 が長時間にわたって行えることがわかる。