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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR GROWING GALLIUM NITRIDE CRYSTAL AND METHOD FOR PRODUCING GALLIUM NITRIDE SUBSTRATE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/090840
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for growing gallium nitride crystals, which comprises the following steps. A step wherein a base substrate is prepared (Step S1). A step wherein a first gallium nitride layer is grown on the base substrate (Step S2). A step wherein a second gallium nitride layer which is less brittle than the first gallium nitride layer is grown (Step S3).

Inventors:
TAKEYAMA TOMOHARU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/073432
Publication Date:
July 23, 2009
Filing Date:
December 24, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO ELECTRIC INDUSTRIES (JP)
TAKEYAMA TOMOHARU (JP)
International Classes:
C30B29/38; C30B25/16
Foreign References:
JP2002299267A2002-10-11
JP2006143581A2006-06-08
JP2005213075A2005-08-11
JP2006193422A2006-07-27
JP2007063121A2007-03-15
JP2000044400A2000-02-15
JP2002373864A2002-12-26
Attorney, Agent or Firm:
FUKAMI, Hisao et al. (Nakanoshima Central Tower22nd Floor, 2-7, Nakanoshima,2-chome, Kita-ku, Osaka-shi, Osaka 05, JP)
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Claims:
 下地基板(11)を準備する工程(S1)と、
 前記下地基板(11)上に、第1の窒化ガリウム層(12)を成長する工程(S2)と、
 前記第1の窒化ガリウム層(12)よりも脆性の低い第2の窒化ガリウム層(13)を成長する工程(S3)とを備えた、窒化ガリウムの結晶成長方法。
 前記第1の窒化ガリウム層(12)は、第1のドーパントとしての酸素を含み、
 前記第2の窒化ガリウム層(13)は、第2のドーパントとしての酸素を含み、
 前記第1のドーパントを構成する酸素濃度が前記第2のドーパントを構成する酸素濃度よりも高い、請求の範囲第1項に記載の窒化ガリウムの結晶成長方法。
 前記第1の窒化ガリウム層(12)は、第1のドーパントとしてのシリコンを含み、
 前記第2の窒化ガリウム層(13)は、第2のドーパントとしてのシリコンを含み、
 前記第1のドーパントを構成するシリコン濃度が前記第2のドーパントを構成するシリコン濃度よりも高い、請求の範囲第1項に記載の窒化ガリウムの結晶成長方法。
 前記第1の窒化ガリウム層(12)は、第1のドーパントとしての酸素を含み、
 前記第2の窒化ガリウム層(13)は、第2のドーパントとしてのシリコンを含み、
 前記第1のドーパントを構成する酸素濃度が前記第2のドーパントを構成するシリコン濃度の33/50以上である、請求の範囲第1項に記載の窒化ガリウムの結晶成長方法。
 前記第1の窒化ガリウム層(12)は、第1のドーパントとしての酸素とシリコンとを含み、
 前記第2の窒化ガリウム層(13)は、第2のドーパントとしてのシリコンを含み、
 前記第1の窒化ガリウム層(12)において前記第1のドーパントを構成する酸素濃度は前記第1のドーパントを構成するシリコン濃度と同等以上であり、かつ前記第1のドーパントを構成する酸素濃度とシリコン濃度との和が前記第2のドーパントを構成するシリコン濃度と同等以上である、請求の範囲第1項に記載の窒化ガリウムの結晶成長方法。
 前記下地基板(11)は、窒化ガリウムと異なる材料である、請求の範囲第1項に記載の窒化ガリウムの結晶成長方法。
 前記準備する工程(S1)と前記第1の窒化ガリウム層(12)を成長する工程(S2)との間に、前記下地基板(11)上に開口部(14a)を有するマスク層(14)を形成する工程(S5)をさらに備えた、請求の範囲第1項に記載の窒化ガリウムの結晶成長方法。
 前記準備する工程(S1)と前記第1の窒化ガリウム層(12)を成長する工程(S2)との間に、
 前記下地基板(11)上にバッファ層(15)を形成する工程(S6)と、
 前記バッファ層(15)上に開口部(14a)を有するマスク層(14)を形成する工程(S5)とをさらに備えた、請求の範囲第1項に記載の窒化ガリウムの結晶成長方法。
 前記マスク層(14)を構成する材料は、二酸化珪素、窒化珪素、チタン、クロム、鉄および白金からなる群より選ばれた少なくとも一種の物質を含む、請求の範囲第7項に記載の窒化ガリウムの結晶成長方法。
 請求の範囲第1項に記載の窒化ガリウムの結晶成長方法により、前記第1および第2の窒化ガリウム層(12、13)を成長させる工程と、
 前記第2の窒化ガリウム層(13)から、前記下地基板(11)および前記第1の窒化ガリウム層(12)を除去する工程(S4)とを備えた、窒化ガリウム基板の製造方法。
Description:
窒化ガリウムの結晶成長方法お び窒化ガリウム基板の製造方法

 本発明は、窒化ガリウムの結晶成長方法 よび窒化ガリウム基板の製造方法に関する

 3.4eVのエネルギーバンドギャップおよび い熱伝導率を有するGaN(窒化ガリウム)基板は 、短波長の光デバイスやパワー電子デバイス などの半導体デバイス用の材料として注目さ れている。このような窒化ガリウム基板の製 造方法は、特開2000-44400号公報(特許文献1)お び特開2002-373864号公報(特許文献2)などに開示 されている。

 上記特許文献1には、以下の方法によりGaN 単結晶基板を製造する方法が開示されている 。具体的には、GaAs(ガリウム砒素)基板上に開 口部を有するマスクを設ける。次に、マスク の開口部に、HVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy:ハイ ドライド気相成長)法またはMOCVD(Metal Organic C hemical Vapor Deposition:有機金属気相成長)法に りGaNバッファ層を形成する。次に、HVPE法ま はMOCVD法によりマスクを覆うようにGaNエピ キシャル層を形成する。次に、GaAs基板をエ チングにより除去し、マスクを研磨により 去する。

 上記特許文献2には、以下の方法によりGaN単 結晶層を製造する方法が開示されている。具 体的には、GaN種結晶の上にHVPE法によって、Ga N結晶を成長させる。その後、GaN種結晶を研 により除去する。

特開2000-44400号公報

特開2002-373864号公報

 GaN単結晶基板を製造するためには、下地 板およびマスクを除去する必要がある。上 特許文献1ではマスクを除去するために研磨 を、上記特許文献2では下地基板を除去する めに研削を行なっている。研磨および研削 行なうと、製造するGaN単結晶層に機械的な 撃が加えられることにより、GaN単結晶層に ラックが発生するという問題があった。

 したがって、本発明は、製造過程におい クラックの発生を抑制できる窒化ガリウム 結晶成長方法および窒化ガリウム基板の製 方法を提供する。

 本発明の窒化ガリウムの結晶成長方法は 以下の工程が実施される。まず、下地基板 準備される。そして、下地基板上に、第1の 窒化ガリウム層が成長される。そして、第1 窒化ガリウム層よりも脆性の低い第2の窒化 リウム層が成長される。

 本発明の窒化ガリウムの結晶成長方法に れば、第2の窒化ガリウム層よりも脆性の高 い第1の窒化ガリウム層を成長しているので 下地基板上に、脆い第1の窒化ガリウム層と 第2の窒化ガリウム層とを成長させることが できる。この状態で下地基板を除去するため に下地基板側から衝撃を加えると、第2の窒 ガリウム層よりも第1の窒化ガリウム層が脆 ので、衝撃により第1の窒化ガリウム層が第 2の窒化ガリウム層よりも先に破壊され、第1 窒化ガリウム層が第2の窒化ガリウム層から 容易に剥離する。また、下地基板を除去する ために第1の窒化ガリウム層に衝撃を加える 、小さな衝撃で第1の窒化ガリウム層は第2の 窒化ガリウム層から剥離する。第2の窒化ガ ウム層から第1の窒化ガリウム層が剥離した に第2の窒化ガリウム層に第1の窒化ガリウ 層が付着している場合には、第2の窒化ガリ ム層から第1の窒化ガリウム層を小さな衝撃 で除去できるので、第2の窒化ガリウム層に じるクラックを低減できる。したがって、 造過程においてクラックの発生を抑制した 化ガリウムを結晶成長することができる。

 上記窒化ガリウムの結晶成長方法におい 好ましくは、第1の窒化ガリウム層は、第1 ドーパントとしての酸素を含み、第2の窒化 リウム層は、第2のドーパントとしての酸素 を含み、第1のドーパントを構成する酸素濃 が第2のドーパントを構成する酸素濃度より 高い。

 また上記窒化ガリウムの結晶成長方法に いて好ましくは、第1の窒化ガリウム層は、 第1のドーパントとしてのシリコンを含み、 2の窒化ガリウム層は、第2のドーパントとし てのシリコンを含み、第1のドーパントを構 するシリコン濃度が第2のドーパントを構成 るシリコン濃度よりも高い。

 また上記窒化ガリウムの結晶成長方法に いて好ましくは、第1の窒化ガリウム層は、 第1のドーパントとしての酸素を含み、第2の 化ガリウム層は、第2のドーパントとしての シリコンを含み、第1のドーパントを構成す 酸素濃度が第2のドーパントを構成するシリ ン濃度の33/50以上である。

 また上記窒化ガリウムの結晶成長方法に いて好ましくは、第1の窒化ガリウム層は、 第1のドーパントとしての酸素とシリコンと 含み、第1の窒化ガリウム層において第1のド ーパントを構成する酸素濃度は第1のドーパ トを構成するシリコン濃度と同等以上であ 、かつ第2の窒化ガリウム層は、第2のドーパ ントとしてのシリコンを含み、第1のドーパ トを構成する酸素濃度とシリコン濃度との が第2のドーパントを構成するシリコン濃度 同等以上である。

 本発明者は第1の窒化ガリウム層が第2の 化ガリウム層よりも脆性が低くなる条件を 意研究した結果、上記条件を見出した。第1 よび第2の窒化ガリウム層のドーパントの条 件を上記いずれかにすることにより、第1の 化ガリウム層が第2の窒化ガリウム層よりも 子歪みが高くなるので、第1の窒化ガリウム 層が第2の窒化ガリウム層よりも脆性が高く る。そのため、第2の窒化ガリウム層から第1 の窒化ガリウム層を容易に剥離できる。

 上記窒化ガリウムの結晶成長方法におい 好ましくは、下地基板は、窒化ガリウムと なる材料である。

 下地基板が異種基板であっても、第1の窒 化ガリウム層の脆性を低くすることにより、 製造過程において第2の窒化ガリウム層に発 するクラックを抑制できる。

 上記窒化ガリウムの結晶成長方法におい 好ましくは、準備する工程と第1の窒化ガリ ウム層を成長する工程との間に、下地基板上 に開口部を有するマスク層を形成する工程を さらに備えている。

 これにより、マスク層の開口部から露出 ている下地基板の面積を低減できるので、 地基板に形成されている転位を第1の窒化ガ リウム層へ引き継ぐことを抑制できる。この ため、第2の窒化ガリウム層に発生する転位 抑制できる。

 上記窒化ガリウムの結晶成長方法におい 好ましくは、準備する工程と第1の窒化ガリ ウム層を成長する工程との間に、異種基板上 にバッファ層を形成する工程と、バッファ層 上に開口部を有するマスク層を形成する工程 とをさらに備えている。

 これにより、マスク層の開口部から露出 ている下地基板の面積を低減できるので、 地基板に形成されている転位を第1の窒化ガ リウム層へ引き継ぐことを抑制できる。この ため、第2の窒化ガリウム層に発生する転位 抑制できる。また、バッファ層を形成する とにより、第2の窒化ガリウム層の結晶性を り向上できる。

 上記窒化ガリウムの結晶成長方法において ましくは、上記マスク層を構成する材料は 二酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(Si 3 N 4 )、チタン(Ti)、クロム(Cr)、鉄(Fe)および白金(P t)からなる群より選ばれた少なくとも一種の 質を含む。

 これらの材料は開口部を均一に形成しや いため、下地基板に形成されている転位を 1の窒化ガリウム層へ引き継ぐことを抑制で きる。このため、第2の窒化ガリウム層に発 する転位をより抑制できる。

 本発明の窒化ガリウム基板の製造方法は 上記いずれかに記載の窒化ガリウムの結晶 長方法により、第1および第2の窒化ガリウ 層を成長させる工程と、第2の窒化ガリウム から、下地基板および第1の窒化ガリウム層 を除去する工程とを備えている。

 本発明の窒化ガリウム基板の製造方法に れば、第2の窒化ガリウム層よりも脆い第1 窒化ガリウム層が成長されているので、下 基板を除去するために衝撃を加えると、第1 窒化ガリウム層が第2の窒化ガリウム層より も先に破壊され、第1の窒化ガリウム層が第2 窒化ガリウム層から容易に剥離する。剥離 に第1の窒化ガリウム層に第2の窒化ガリウ 層が付着している場合には、第2の窒化ガリ ム層から第1の窒化ガリウム層を小さな衝撃 で除去できるので、第2の窒化ガリウム層に じるクラックを低減できる。したがって、 ラックの発生を抑制した窒化ガリウム基板 製造することができる。

 本発明の窒化ガリウムの結晶成長方法お び窒化ガリウム基板の製造方法によれば、 造過程においてクラックの発生を抑制する とができる。

本発明の実施の形態1における窒化ガリ ウム基板の製造方法を示すフローチャートで ある。 本発明の実施の形態1における下地基板 を示す概略断面図である 本発明の実施の形態1における剥離層を 成長した状態を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態1におけるGaN層を成 長した状態を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態1における剥離層と GaN層とを切断した状態を示す概略断面図であ る。 本発明の実施の形態1におけるGaN基板を 示す概略断面図である。 本発明の実施の形態2におけるGaN基板の 製造方法を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2におけるマスク層 を形成した状態を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態2における剥離層を 成長した状態を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態2におけるGaN層を 長した状態を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態3におけるGaN基板 製造方法を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態3におけるバッフ 層を形成した状態を示す概略断面図である 本発明の実施の形態3におけるマスク を形成した状態を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態3における剥離層 形成した状態を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態3におけるGaN層を 長した状態を示す概略断面図である。 本実施例において、GaN層に6×10 18 cm -3 の濃度でシリコンをドーピングした試料4、7 よび9~11の剥離層中の酸素濃度とシリコン濃 度との関係を示す図である。

符号の説明

 10 GaN基板、11 下地基板、12 剥離層、13  GaN層、14 マスク層、14a 開口部、15 バッフ 層。

 以下、本発明の実施の形態について図に基 いて説明する。
 (実施の形態1)
 図1は、本実施の形態におけるGaN基板の製造 方法を示すフローチャートである。図1を参 して、本実施の形態におけるGaN層の結晶成 方法およびGaN基板の製造方法を説明する。

 図2は、本実施の形態における下地基板11を す概略断面図である。図1および図2に示す うに、まず、下地基板11を準備する(ステッ S1)。準備される下地基板11は、GaNであっても GaNと異なる材料であってもよいが、GaNと異な る材料よりなる異種基板であることが好まし い。異種基板としては、たとえばガリウム砒 素(GaAs)、サファイヤ(Al 2 O 3 )、酸化亜鉛(ZnO)、炭化珪素(SiC)などを用いる とができる。

 図3は、本実施の形態における剥離層12を 長した状態を示す概略断面図である。次に 図1および図3に示すように、下地基板11の表 面上に、第1の窒化ガリウム層としての剥離 12を成長する(ステップS2)。剥離層12はGaNより なる。このとき剥離層12の成長表面は下地基 12の表面と平行ではなく、複数の傾いた凹 面で成長することが好ましい。剥離層12の成 長方法は特に限定されず、昇華法、HVPE法、MO CVD法、MBE(Molecular Beam Epitaxy:分子線エピタキ )法などの気相成長法、液相成長法などを採 用でき、HVPE法を採用することが好ましい。

 剥離層12の厚みは200nm以上750nm以下である とが好ましい。200nm以上の場合、後述する 地基板11を除去する際に、GaN層13(図4参照)に えられる衝撃を抑制できる。750nm以下の場 、後述するGaN層13を成長させたときに、GaN層 13(図4参照)の結晶性を向上できる。

 図4は、本実施の形態におけるGaN層を成長 した状態を示す概略断面図である。次に、図 1および図4に示すように、剥離層12よりも脆 の低い第2の窒化ガリウム層としてのGaN層13 成長する(ステップS3)。GaN層13の成長方法は に限定されないが、剥離層12およびGaN層13を 長させるステップS2およびS3を簡略化する観 点から、剥離層12と同様の成長方法を採用す ことが好ましい。

 ここで、剥離層12とGaN層13との脆性につい て説明する。「脆性」とは、応力が加えられ ることにより塑性変形を伴わないで破壊する 性質を意味し、「脆性が高い」とは破壊に至 るまでに加えられる応力が小さいことを意味 する。このため、「剥離層12よりもGaN層13の 性が低い」とは、剥離層12が破壊に至るまで に加えられる応力が、GaN層13が破壊に至るま に加えられる応力よりも小さいことを意味 る。すなわち、剥離層12はGaN層13よりも脆い 。この脆性の指標として、たとえば微小圧縮 試験装置などを用いて剥離層12およびGaN層13 破壊するまでに加えられる加重の値を、加 られる応力の値として用いることができる このため、本実施の形態においては「脆性 を評価する値を、たとえば破壊に至るまで 加えられる応力の値としている。これによ 、剥離層12およびGaN層13の各々についてこの 力の値が大きい方を、脆性が低いと判断す ことができる。

 具体的には、以下の工程を実施すること よって、GaN層13よりも脆い剥離層12を成長す ることができる。第1の方法として、剥離層12 を成長させるステップS2では、第1のドーパン トとしての酸素を含む剥離層12を成長させ、G aN層13を成長させるステップS3では、第2のド パントとして酸素を含むGaN層13を成長する。 第1のドーパントを構成する酸素濃度が第2の ーパントを構成する酸素濃度よりも高く、1 0倍以上であることが好ましい。剥離層12およ びGaN層13に酸素をドーピングする場合には、 の濃度が高い程、脆性が低くなる。第1のド ーパントが第2のドーパントの10倍以上の濃度 の場合、剥離層12はGaN層13よりも脆性が非常 低くなる。

 第2の方法として、剥離層12を成長させる テップS2では、第1のドーパントとしてのシ コンを含む剥離層12を成長し、GaN層13を成長 させるステップS3では、第2のドーパントとし てのシリコンを含むGaN層13を成長する。第1の ドーパントを構成するシリコン濃度が第2の ーパントを構成するシリコン濃度よりも高 、10倍以上であることが好ましい。剥離層12 よびGaN層13にシリコンをドーピングする場 には、その濃度が高い程、脆性が低くなる また、剥離層12の成長面は下地基板11の表面 平行ではなく、複数の傾いた凹凸面で成長 ることが剥離層12へのドーピング量が増え ので好ましい。第1のドーパントが第2のドー パントの10倍以上の濃度の場合、剥離層12はGa N層13よりも脆性が非常に低くなる。

 第3の方法として、剥離層12を成長させる テップS2では、第1のドーパントとしての酸 を含む剥離層12を成長し、GaN層13を成長させ るステップS3では、第2のドーパントとしての シリコンを含むGaN層を形成する。第1のドー ントを構成する酸素濃度が第2のドーパント 構成するシリコン濃度の33/50以上であり、 り好ましくは同等以上、さらに好ましくは10 倍以上であることが好ましい。また、剥離層 12の成長面は下地基板11の表面と平行ではな 、複数の傾いた凹凸面で成長することが剥 層12へのドーピング量が増えるので好ましい 。GaN結晶中で酸素は窒素サイトに、シリコン はガリウムサイトに入ると考えられる。ここ で、窒素と酸素との原子半径差は、ガリウム とシリコンとの原子半径差よりも大きいため 、剥離層12はGaN層13よりも格子歪みが大きく るので、第1のドーパントを構成する酸素濃 が第2のドーパントを構成するシリコン濃度 の33/50以上にすることによって、剥離層12はGa N層13よりも脆性がより低くなる。第1のドー ントが第2のドーパントの濃度の10倍以上の 合、剥離層12はGaN層13よりも脆性が非常に低 なる。

 第4の方法として、剥離層12を成長させる テップS2では、第1のドーパントとしての酸 とシリコンとを含む剥離層12を成長し、GaN 13を成長させるステップS3では、第2のドーパ ントとしてのシリコンを含むGaN層13を成長す 。剥離層12において第1のドーパントを構成 る酸素濃度は第1のドーパントを構成するシ リコン濃度と同等以上であり(すなわち剥離 12中の酸素濃度とシリコン濃度のうち、酸素 濃度が1/2以上を占める)、かつ第1のドーパン を構成する酸素濃度とシリコン濃度との和 第2のドーパントを構成するシリコン濃度と 同等以上である。さらに、第1のドーパント 構成する酸素濃度とシリコン濃度との和が 2のドーパントを構成するシリコン濃度より 高いことが好ましく、10倍以上であること より好ましい。また、剥離層12の成長面は下 地基板11の表面と平行ではなく、複数の傾い 凹凸面で成長することが剥離層12へのドー ング量が増えるので好ましい。窒素と酸素 の原子半径差は、ガリウムとシリコンとの 子半径差よりも大きいため、ドーパントと て酸素をシリコンと同等以上含んでいる剥 層12の不純物濃度が高ければGaN層13よりも格 歪みが大きくなるので、剥離層12はGaN層13よ りも脆性が低くなる。第1のドーパントが第2 ドーパントの10倍以上の濃度の場合、剥離 12はGaN層13よりも脆性が非常に低くなる。

 上記第1~第4の方法では、剥離層12およびGa N層13にドーピングするドーパントは、それぞ れ第1のドーパントおよび第2のドーパントの であることが好ましい。この場合、剥離層1 2およびGaN層13の脆性を第1および第2のドーパ トで調整しやすい。

 以上のステップS1~S3を実施することによ GaN層13を成長することができる。このGaN層13 用いてGaN基板を製造する場合には、さらに 下の工程が行なわれる。

 次に、GaN層13から、下地基板11および剥離 層12を除去する(ステップS4)。除去する方法は 、特に限定されず、たとえば切断、研削など の方法を用いることができる。

 ここで、切断とは、電着ダイヤモンドホ ールの外周刃を持つスライサー、ワイヤー ーなどで、GaN層13と剥離層12との界面を機械 的に分割(スライス)すること、レーザパルス 水分子をGaN層13と剥離層12との界面に照射ま たは噴射すること、剥離層12の結晶格子面に ってへき開することなどによりGaN層13と剥 層12とを機械的に分割することをいう。この 場合、剥離層12は脆いので、小さな衝撃で剥 層12はGaN層13から剥離する。

 また研削とは、ダイヤモンド砥石を持つ 削設備などで、下地基板11および剥離層12を 機械的に削り取ることをいう。この場合、GaN 層13よりも剥離層12は脆いので、加えられる 械的衝撃により剥離層12がGaN層13よりも先に れるなど先に破壊される。このため、剥離 12がGaN層13から容易に剥離する。

 図5は、本実施の形態における剥離層12とG aN層13とを切断した状態を示す概略断面図で る。切断、研削などの際に、図5に示すよう 、GaN層13に剥離層12が付着することがある。 この場合には、GaN層13に付着している剥離層1 2を研磨等により除去する。この剥離層12は脆 いため、研磨等をする際に加える機械的衝撃 を小さくして、GaN層13から剥離層12を除去で る。

 なお、下地基板11および剥離層12を除去す る方法は、エッチングなどの化学的方法を採 用してもよい。この場合には、剥離層12がGaN 13よりもヤング率が低く化学結合が弱くな ており、化学的強度が弱い。そのため、GaN 13への化学的衝撃を抑制できる。

 図6は、本実施の形態におけるGaN基板10を す概略断面図である。以上のステップS1~S4 実施することにより、図6に示すGaN基板10を 造することができる。

 次に、GaN層13において剥離層12が形成され ていた面側から研磨を行なう。この研磨は、 GaN基板10の表面を鏡面とする場合に効果的な 法であり、またGaN基板10の表面に形成され 加工変質層を除去するのに効果的な方法で る。なお、この研磨は省略されてもよい。

 以上説明したように、本実施の形態にお るGaN層13の結晶成長方法およびGaN基板10の製 造方法は、下地基板11とGaN層13との間に、GaN 13よりも脆性の低い剥離層12を形成している( ステップS2)。このため、GaN層13から下地基板1 1および剥離層12を除去するまでにGaN層13に加 られる衝撃を低減することによって、GaN層1 3に発生するクラックを防止できる。GaN層13か ら下地基板11および剥離層12を除去する際にGa N層13および下地基板11よりも剥離層12が最初 破壊するため、剥離層12は下地基板11およびG aN層13よりも脆性が低いことが好ましい。

 本実施の形態におけるGaN層13の結晶成長 法において好ましくは、剥離層12のドーパン トを構成する酸素濃度がGaN層13のドーパント 構成する酸素濃度よりも高い。また剥離層1 2のドーパントを構成するシリコン濃度がGaN 13のドーパントを構成するシリコン濃度より も高い。また剥離層12を構成する酸素濃度がG aN層13のドーパントを構成するシリコン濃度 33/50以上である。また剥離層12のドーパント 構成する酸素濃度は剥離層12のドーパント 構成するシリコン濃度と同等以上であり、 つ剥離層12のドーパントを構成する酸素濃度 とシリコン濃度との和がGaN層13のドーパント 構成するシリコン濃度と同等以上である。

 このように剥離層12に不純物をドーピン することにより、GaN層13よりも剥離層12に大 な格子歪みを生じさせることにより、GaN層1 3の脆性よりも高い脆性を有する剥離層12を形 成できる。これにより、剥離層12が脆いため 小さな衝撃でGaN層から剥がれやすくなる。 たがって、GaN層13に発生するクラックを防 できる。

 (実施の形態2)
 図7は、本実施の形態におけるGaN基板の製造 方法を示すフローチャートである。図7に示 ように、本実施の形態におけるGaN基板の製 方法は、基本的には実施の形態1におけるGaN 板の製造方法と同様の構成を備えているが マスク層をさらに形成している点において なる。

 具体的には、まず、図2に示すように、実 施の形態1と同様に、下地基板11を準備する( テップS1)。

 図8は、本実施の形態におけるマスク層14 形成した状態を示す概略断面図である。次 、図7および図8に示すように、準備するス ップS1と剥離層12を成長するステップS2との に、下地基板11上に開口部14aを有するマスク 層14を形成する(ステップS5)。

 マスク層14を構成する材料は、二酸化珪 、窒化珪素、チタン、クロム、鉄および白 からなる群より選ばれた少なくとも一種の 質を含むことが好ましい。

 開口部を有するマスク層14を形成する方 は、特に限定されず、たとえばフォトリソ ラフィなどを採用できる。本実施の形態で 、金属粒子よりなる金属層を蒸着法により 成し、熱処理を行なって多孔質のマスク層14 を形成している。この金属粒子の径は、小角 散乱測定装置により測定される値が1nm以上50n m以下であることが好ましい。1nm以上の場合 熱処理温度を低くしても多孔質のマスク層14 を形成できるので、熱処理による下地基板11 ダメージを抑制できる。50nm以下の場合、金 属粒子が熱処理の際に脱離してしまうことを 防止できるので、多孔質のマスク層14を形成 きる。また、熱処理は、常圧下で800℃以上1 300℃以下であることが好ましい。

 図9は、本実施の形態における剥離層12を 長した状態を示す概略断面図である。次に 図7および図9に示すように、下地基板11上に 剥離層12を成長させる。本実施の形態では、 スク層14の開口部14aから露出している下地 板11上に剥離層12を成長し、さらにマスク層1 4を覆うように剥離層12を成長する。このとき 剥離層12の表面は下地基板11の表面と平行で なく、複数の傾いた凹凸面で成長すること 剥離層12へのドーピング量が増えるので好ま しい。

 図10は、本実施の形態におけるGaN層13を成 長した状態を示す概略断面図である。次に、 図7および図10に示すように、実施の形態1と 様にGaN層13を成長する(ステップS3)。これに り、GaN層13を結晶成長することができる。

 GaN基板を製造する場合には、実施の形態1 と同様に、さらにGaN層13から、下地基板11お び剥離層12を除去する(ステップS4)。

 なお、これ以外のGaN層13の結晶成長方法 よびGaN基板の製造方法は、実施の形態1にお るGaN層13の結晶成長方法およびGaN基板の製 方法の構成と同様であるので、同一の部材 は同一の符号を付し、その説明は繰り返さ い。

 以上説明したように、本実施の形態にお るGaN層13の結晶成長方法およびGaN基板の製 方法は、準備するステップS1と剥離層12を成 するステップS2との間に、下地基板11上に開 口部14aを有するマスク層14を形成するステッ S5をさらに備えている。

 本実施の形態によれば、転位を含む下地 板11を準備した場合であっても、剥離層12と 下地基板11とが接触する面積を小さくするこ ができるので、下地基板11に存在する転位 剥離層12に引き継がれることを抑制できる。 そのため、剥離層12上に成長するGaN層13に引 継がれる転位を抑制できるので、GaN層13の転 位を低減できる。したがって、このGaN層13を いて製造されるGaN基板は、クラックの発生 抑制できるとともに、転位を低減できる。

 特に、下地基板11を準備するステップS1で は、下地基板11としてGaNと異なる材料よりな 異種基板を準備することが好ましい。下地 板11がGaNと異なる材料よりなる異種基板で る場合には、この下地基板11上にGaNよりなる 剥離層12を形成すると、格子定数の違いから 離層12に転位が発生する。このため、本実 の形態のようにマスク層14を形成することに より、剥離層12に生じる転位を低減できるの 、下地基板11が異種基板である場合に特に 果的である。

 (実施の形態3)
 図11は、本実施の形態におけるGaN基板の製 方法を示すフローチャートである。図11に示 すように、本実施の形態におけるGaN基板の製 造方法は、基本的には実施の形態1におけるGa N基板の製造方法と同様の構成を備えている 、バッファ層およびマスク層を形成してい 点において異なる。

 具体的には、まず、図2に示すように、実 施の形態1と同様に下地基板11を準備する(ス ップS1)。

 図12は、本実施の形態におけるバッファ 15を形成した状態を示す概略断面図である。 次に、図11および図12に示すように、準備す ステップS1と剥離層12を成長するステップS2 の間に、下地基板11上にバッファ層15を形成 る(ステップS6)。

 バッファ層15を形成する方法は特に限定 れないが、たとえば剥離層12およびGaN層13の 長方法と同様の方法で成長されることによ 形成することができる。バッファ層15は、 好な結晶性の剥離層12およびGaN層13を成長す 観点から、GaNよりなることが好ましい。

 図13は、本実施の形態におけるマスク層14 を形成した状態を示す概略断面図である。次 に、図11および図13に示すように、実施の形 2と同様に、バッファ層15上に開口部14aを有 るマスク層14を形成する(ステップS5)。

 図14は、本実施の形態における剥離層12を 形成した状態を示す概略断面図である。次に 、図11および図14に示すように、下地基板11上 に形成されたバッファ層15上に開口部14aを有 るマスク層14を形成する。本実施の形態で 、開口部14aから露出しているバッファ層15上 に、マスク層14を覆うように、剥離層12を形 している点が異なり、マスク層14を構成する 材料およびマスク層14の形成方法は実施の形 2と同様である。また、剥離層12の成長表面 下地基板の表面と平行ではなく、複数の傾 た凹凸面で成長することが剥離層12へのド ピング量が増えるので好ましい。

 図15は、本実施の形態におけるGaN層13を成 長した状態を示す概略断面図である。次に、 図11および図15に示すように、実施の形態1と 様にGaN層13を成長する(ステップS3)。これに り、GaN層13を結晶成長することができる。

 GaN基板を製造する場合には、実施の形態1 と同様に、さらにGaN層13から、下地基板11お び剥離層12を除去する(ステップS4)。

 なお、これ以外のGaN層13の結晶成長方法 よびGaN基板の製造方法は、実施の形態1また 2におけるGaN層13の結晶成長方法およびGaN基 の製造方法の構成と同様であるので、同一 部材には同一の符号を付し、その説明は繰 返さない。

 以上説明したように、本実施の形態にお るGaN層13の結晶成長方法およびGaN基板の製 方法は、準備するステップS1と剥離層12を成 するステップS3との間に、下地基板11上にバ ッファ層15を形成するステップS6と、バッフ 層15上に開口部14aを有するマスク層14を形成 るステップS7とをさらに備えている。

 本実施の形態によれば、転位を含む下地 板11を準備した場合であっても、剥離層12と バッファ層15とが接触する面積を小さくする とができる。下地基板11に存在する転位を ッファ層15が引き継いだ場合であっても、下 地基板11に存在する転位が剥離層12に引き継 れることを抑制できる。そのため、剥離層12 上に成長するGaN層13に引き継がれる転位を抑 できるので、GaN層13の転位を低減できる。

 また、マスク層14となるべき層を形成し その後に熱処理することによりマスク層14を 形成する場合には、下地基板11上にバッファ 15が形成されているので、熱処理の際にバ ファ層15により下地基板11を保護することが きる。そのため、結晶性の良好な剥離層12 成長できるので、剥離層12上に良好な結晶性 のGaN層13を成長することができる。

 したがって、このGaN層13を用いて製造さ るGaN基板はクラックの発生を抑制できると もに、転位を低減できる。

 また、実施の形態2と同様に、本実施の形 態においても、下地基板11を準備するステッ S1では、下地基板11としてGaNと異なる材料よ りなる異種基板を準備することが好ましい。

 [実施例1]
 本実施例では、脆性の低い第1の窒化ガリウ ム層(剥離層12)を成長することによる効果に いて調べた。具体的には、上述した実施の 態1におけるGaN層の結晶成長方法にしたがっ GaN層13を結晶成長させ、GaN層13から下地基板 11および剥離層12を除去したときのクラック 発生について調べた。

 まず、直径2インチのGaAsよりなる下地基板11 を準備した(ステップS1)。
 次に、下地基板11上に、HVPE法により剥離層1 2を成長し(ステップS2)、その後剥離層12上に HVPE法によりGaN層13を成長した(ステップS3)。

 詳細には、剥離層12およびGaN層13の原料とし て、アンモニア(NH 3 )ガスと、塩化水素(HCl)ガスと、ガリウム(Ga) を準備し、ドーピングガスとして酸素ガス 準備し、キャリアガスとして純度が99.999%以 の水素を準備した。そして、塩化水素ガス ガリウムとを、Ga+HCl→GaCl+1/2H 2 のように反応させることにより、塩化ガリウ ム(GaCl)ガスを生成した。この塩化ガリウムガ スとアンモニアガスとを下地基板11の剥離層1 2およびGaN層13を成長させる表面に当たるよう にキャリアガスおよびドーピングガスととも に流して、その表面上で、1050℃で、GaCl+NH 3 →GaN+HCl+H 2 のように反応させた。ドーピングガスの流量 を調整することによって、6.0×10 19 cm -3 の酸素濃度を有し、500nmの厚みを有する剥離 12と、5.0×10 18 cm -3 の酸素濃度を有し、500μmの厚みを有するGaN層 13とを成長した。なお、不純物分析はSIMS分析 を用いて行なった。さらに、剥離層12およびG aN層13には酸素以外の不純物をドーピングし おらず、SIMSによる不純物分析でも酸素濃度 1/10以上存在する不純物は検出されなかった 。

 次に、GaN層13から下地基板11および剥離層 12を除去した(ステップS4)。詳細には、剥離層 12にレーザパルスを照射してGaN層13から剥離 12を剥離させることにより、GaN層13から剥離 12および下地基板11を除去した。これにより 、GaN層13よりなる2インチのGaN基板10を製造し 。

 (測定方法)
 JIS R1607に準拠して、剥離層12およびGaN層13 ビッカーズ硬度をそれぞれ測定した。その 果を下記の表1に記載する。

 また、剥離層12およびGaN基板13について、 微小圧縮試験装置を用いてそれぞれ加重を加 え、剥離したときの加重をそれぞれ測定した 。その結果を下記の表1に記載する。

 また、得られたGaN基板10について、クラ クの発生の有無を測定した。具体的には、 分干渉式光学顕微鏡の対物レンズ20倍を用い て観察し、外周5mmを除く2インチのGaN基板10の 全面において、長さが500μm以上のクラックが 発生したかを観察した。

 (測定結果)
 表1に示すように、剥離層12が下地基板11か 剥離したときの加重は、GaN層13が剥離層12か 剥離したときの加重よりも非常に小さかっ 。このことから、剥離層12およびGaN層13のキ ャリア濃度を調整することによって、GaN層13 りも脆性の高い剥離層12を形成できたので ビッカーズ硬度には影響を与えず、剥離す 加重に大きな影響を与えることができたこ がわかった。また、下地基板11を除去する際 に剥離層12に大きな加重を加える必要がなか たので、本実施例におけるGaN基板10には、 ラックが発生していなかった。

 以上より、本実施例によれば、GaN層13よ も高い酸素濃度の酸素をドーピングした剥 層12を成長することにより、脆性の低い剥離 層12を形成できたので、下地基板および剥離 12を除去する際に、GaN層13にクラックを発生 することを防止できることが確認できた。

 [実施例2]
 本実施例では、脆性の低い第1の窒化ガリウ ム層(剥離層12)を成長することによる効果に いて調べた。具体的には、上述した実施の 態1におけるGaN層の結晶成長方法にしたがっ GaN層13を結晶成長させ、GaN層13から下地基板 11および剥離層12を除去したときのクラック 発生について調べた。

 (試料1~14)
 試料1は、上述した実施例1と同様の方法でGa N基板を製造した。試料2~14は、基本的には実 例1と同様の方法でGaN基板を製造したが、剥 離層12およびGaN層13に下記の表2に記載の不純 をドーピングして、下記の表2に記載のキャ リア濃度を有するように剥離層12およびGaN層1 3を成長させた点においてのみ異なる。

 具体的には、試料2では、剥離層12は、第1 のドーパントとしてのシリコンを含み、GaN層 13は、第2のドーパントとしてのシリコンを含 み、第1のドーパントを構成するシリコン濃 が第2のドーパントを構成するシリコン濃度 りも高かった。

 試料3では、剥離層12は、第1のドーパント としての酸素を含み、GaN層13は、第2のドーパ ントとしてのシリコンを含み、第1のドーパ トを構成する酸素濃度が第2のドーパントを 成するシリコン濃度よりも高かった。

 試料4では、剥離層12は、第1のドーパント としての酸素を含み、GaN層13は、第2のドーパ ントとしてのシリコンを含み、第1のドーパ トを構成する酸素濃度は第2のドーパントを 成するシリコン濃度と同等であった。

 試料5では、剥離層12は、第1のドーパント としての酸素を含み、GaN層13は、第2のドーパ ントとしてのシリコンを含み、第1のドーパ トを構成する酸素濃度は第2のドーパントを 成するシリコン濃度の0.7であった。

 試料6では、剥離層12は、第1のドーパント としての酸素を含み、GaN層13は、第2のドーパ ントとしてのシリコンを含み、第1のドーパ トを構成する酸素濃度は第2のドーパントを 成するシリコン濃度の33/50であった。

 試料7では、剥離層12は、第1のドーパント としての酸素とシリコンとを含み、GaN層13は 第2のドーパントとしてのシリコンを含み、 剥離層12において第1のドーパントを構成する 酸素濃度は第1のドーパントを構成するシリ ン濃度よりも高く、かつ第1のドーパントを 成する酸素濃度とシリコン濃度との和が第2 のドーパントを構成するシリコン濃度と同等 であった。

 試料8および10では、第1のドーパントとし ての酸素とシリコンとを含み、GaN層13は、第2 のドーパントとしてのシリコンを含み、剥離 層12において第1のドーパントを構成する酸素 濃度は第1のドーパントを構成するシリコン 度と同等であり、かつ第1のドーパントを構 する酸素濃度とシリコン濃度との和が第2の ドーパントを構成するシリコン濃度と同等で あった。

 試料9では、第1のドーパントとしての酸 とシリコンとを含み、GaN層13は、第2のドー ントとしてのシリコンを含み、剥離層12にお いて第1のドーパントを構成する酸素濃度は 1のドーパントを構成するシリコン濃度より 高く、かつ第1のドーパントを構成する酸素 濃度とシリコン濃度との和が第2のドーパン を構成するシリコン濃度よりも高かった。

 試料11では、第1のドーパントとしての酸 を含み、GaN層13は、第2のドーパントとして 酸素を含み、第1のドーパントを構成する酸 素濃度は第2のドーパントを構成する酸素濃 と同等であった。

 試料12では、第1のドーパントとしてのシ コンを含み、GaN層13は、第2のドーパントと てのシリコンを含み、第1のドーパントを構 成するシリコン濃度は第2のドーパントを構 するシリコン濃度と同等であった。

 試料13では、第1のドーパントとしての酸 を含み、GaN層13は、第2のドーパントとして シリコンを含み、第1のドーパントを構成す る酸素濃度は第2のドーパントを構成する酸 濃度の33/50よりも低かった。

 試料14では、第1のドーパントとしての酸 とシリコンとを含み、GaN層13は、第2のドー ントとしてのシリコンを含み、剥離層12に いて第1のドーパントを構成する酸素濃度は 1のドーパントを構成するシリコン濃度より も低く、かつ第1のドーパントを構成する酸 濃度とシリコン濃度との和が第2のドーパン を構成するシリコン濃度と同等であった。

 なお、試料1~14において、剥離層12およびG aN層13には表2および表3に記載のシリコン、酸 素以外の不純物をドーピングせず、また、SIM S分析による不純物分析でもGaN層13にドーピン グしたシリコン濃度、酸素濃度の1/10以上の の不純物は検出されなかった。

 (測定方法)
 試料1~14について、実施例1と同様にクラッ の発生の有無を調べた。その結果を下記の 2、表3および図16に示す。なお、表2および表 3におけるそれぞれの濃度の単位はcm -3 である。図16は、本実施例において、GaN層13 6×10 18 cm -3 の濃度でシリコンをドーピングした試料4、7 よび9~11の剥離層12中の酸素濃度とシリコン 度との関係を示す図である。

 (測定結果)
 表2および表3に示すように、試料1~10のGaN基 にはクラックが発生しなかった。一方、試 11~14のGaN基板にはクラックが発生した。こ 結果から、クラックの発生を防止すること 、GaN層よりも剥離層の脆性が低かったこと 起因すると考えられる。

 また、表2、表3および図16に示すように、 (i)剥離層12は、第1のドーパントとしての酸素 を含み、GaN層13は、第2のドーパントとしての 酸素を含み、第1のドーパントを構成する酸 濃度が第2のドーパントを構成する酸素濃度 りも高くする、(ii)剥離層12は、第1のドーパ ントとしてのシリコンを含み、GaN層は、第2 ドーパントとしてのシリコンを含み、第1の ーパントを構成するシリコン濃度が第2のド ーパントを構成するシリコン濃度よりも高く する、(iii)剥離層12は、第1のドーパントとし の酸素を含み、GaN層13は、第2のドーパント してのシリコンを含み、第1のドーパントを 構成する酸素濃度が第2のドーパントを構成 るシリコン濃度の33/50以上にする、(iv)剥離 12は、第1のドーパントとしての酸素とシリ ンとを含み、GaN層13は、第2のドーパントと てのシリコンを含み、剥離層12において第1 ドーパントを構成する酸素濃度を第1のドー ントを構成するシリコン濃度と同等以上に 、かつ第1のドーパントを構成する酸素濃度 とシリコン濃度との和が第2のドーパントを 成するシリコン濃度と同等以上にすること よって、GaN層に発生するクラックを効果的 抑制できることが確認できた。

 今回開示された実施の形態および実施例 すべての点で例示であって制限的なもので ないと考えられるべきである。本発明の範 は上記した実施の形態ではなくて請求の範 によって示され、請求の範囲と均等の意味 よび範囲内でのすべての変更が含まれるこ が意図される。