YAMADA MASANORI (JP)
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JP2003104996A | 2003-04-09 | |||
JP2000086694A | 2000-03-28 | |||
JPS5278834A | 1977-07-02 | |||
JPH05310413A | 1993-11-22 |
LIU X.D. ET AL: "Functional Materials Derived from DNA", ADVANCES IN POLYMER SCIENCE, vol. 209, 2007, pages 149 - 178, XP003027195
DATABASE CAPLUS [online] LIU J. ET AL: "Charge transfer and assembly of bio-inorganic hybrids", XP003027196, accession no. STN Database accession no. 2005:735579
EDITED BY THE CHEMICAL SOCIETY OF JAPAN: "Jikken Kagaku Koza 2 Kihon Sosa II", 1990, MARUZEN CO., LTD, pages: 335, XP003027197
DNAと無機物とが結合したことを特徴とする機能性素材。 |
請求項1に記載した機能性素材において、無機物と結合する前記DNAが生物由来のDNAであることを特徴とする機能性素材。 |
請求項1または請求項2に記載した機能性素材において、前記無機物が無機性のカップリング剤由来であることを特徴とする機能性素材。 |
請求項3に記載した機能性素材において、前記無機性のカップリング剤がシランカップリング剤または金属アルコキシドであることを特徴とする機能性素材。 |
請求項4に記載した機能性素材において、無機性のカップリング剤である前記シランカップリング剤が、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンまたはビス[3‐(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンであることを特徴とする機能性素材。 |
請求項4に記載した機能性素材において、無機性のカップリング剤である前記金属アルコキシドの金属種が、ゲルマニウム、鉛、スズ、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、バナジウム、タングステン、マンガン及びホウ素から選ばれる金属アルコキシドであることを特徴とする機能性素材。 |
請求項3から請求項6の何れかに記載した機能性素材において、前記DNAに対して前記無機性のカップリング剤を5~60質量%混合して得られることを特徴とする機能性素材。 |
請求項3から請求項6の何れかに記載した機能性素材において、前記DNAに対して前記無機性のカップリング剤を10~50質量%混合して得られることを特徴とする機能性素材。 |
請求項3から請求項6の何れかに記載した機能性素材において、前記DNAに対して前記無機性のカップリング剤を20~40質量%混合して得られることを特徴とする機能性素材。 |
本発明は、DNAを含有する機能性素材に関 、環境浄化材料、医療材料、電子材料、光 料、衣料用素材等として利用できる有機無 ハイブリッド材料に関する。
デオキシリボ核酸(DNA)は、生体内で遺伝子
報を司る物質であり、遺伝子解析やゲノム
究等の研究が盛んに行われてきた。一方、DN
Aを別の視点から見ると超高分子物質として
らえることができる。DNAは自然界に大量に
在し、また二重らせんという特殊な構造に
り様々な物質と特異的、選択的に相互作用
する機能性材料でもある。
機能性材料としてのDNAは、環境ホルモンや
金属を選択的に除去するといった環境浄化
料、医療材料、電子材料、光材料、衣料用
材などへの利用が期待されている(非特許文
献1~3)。また、無機物でDNAをカプセル化する(
特許文献4)といったことも行われている。
前述したようなDNAの機能性材料としての適
にあたって、いくつかの問題点が指摘され
いる。
例えば、DNAは水へ容易に溶解し、自然界に
在するDNA分解酵素により分解されてしまう
いった欠点のため材料化は難しいとされて
る(非特許文献1)。
また、DNAを機能性材料として利用する多く
ハイブリッド体は、DNAと有機物(非特許文献
2ではアルギン酸、非特許文献3ではコラーゲ
)との組み合わせであった。
さらに、無機物でDNAをカプセル化する研究(
非特許文献4)であっても、無機物中に低分子D
NAを閉じ込めるというものであった。
このように、DNA(有機物)の機能を保持し、
機物の強さを有した有機無機ハイブリッド
料は未だ知られていない。
本発明の目的は、DNAの機能を保持し、無 物の強さを有した有機無機ハイブリッド材 として利用できる機能性素材を提供するこ にある。
本発明は以下の(1)~(9)に関する。
(1) DNAと無機物とが結合したことを特徴とす
機能性素材。
(2) 上記(1)に記載した機能性素材において、
機物と結合する前記DNAが生物由来のDNAであ
ことを特徴とする機能性素材。
(3) 上記(1)または上記(2)に記載した機能性素
において、前記無機物が無機性のカップリ
グ剤由来であることを特徴とする機能性素
。
(4) 上記(3)に記載した機能性素材において、
記無機性のカップリング剤がシランカップ
ング剤または金属アルコキシドであること
特徴とする機能性素材。
(5) 上記(4)に記載した機能性素材において、
機性のカップリング剤である前記シランカ
プリング剤が、ビス(トリメトキシシリルプ
ロピル)アミンまたはビス[3‐(トリメトキシ
リル)プロピル]エチレンジアミンであること
を特徴とする機能性素材。
(6) 上記(4)に記載した機能性素材において、
機性のカップリング剤である前記金属アル
キシドの金属種が、ゲルマニウム、鉛、ス
、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、
ナジウム、タングステン、マンガン及びホ
素から選ばれる金属アルコキシドであるこ
を特徴とする機能性素材。
(7) 上記(3)から上記(6)の何れかに記載した機
性素材において、前記DNAに対して前記無機
のカップリング剤を5~60質量%混合して得ら
ることを特徴とする機能性素材。
(8) 上記(3)から上記(6)の何れかに記載した機
性素材において、前記DNAに対して前記無機
のカップリング剤を10~50質量%混合して得ら
ることを特徴とする機能性素材。
(9) 上記(3)から上記(6)の何れかに記載した機
性素材において、前記DNAに対して前記無機
のカップリング剤を20~40質量%混合して得ら
ることを特徴とする機能性素材。
本発明によれば、DNAの機能を保持し、無 物の強さを有した有機無機ハイブリッド材 を提供することができる。
本発明は、機能性素材であって、DNAと無機
とが結合したことを特徴とする。
このような本発明では、DNAと無機物とが結
した機能性素材(DNA-無機ハイブリッド体)と
ることで、DNAの機能を保持しつつ、無機物
強さを有する、そのような材料を提供する
とができる。
本発明で用いるデオキシリボ核酸(DNA)とし
は、生物由来DNA、組換えDNA、合成DNAのいず
であってもよい。
DNAとしては、一本鎖のものおよび二本鎖の
ののいずれも用いることができるが、二本
のものが好ましい。
本発明において、DNAが生物由来のDNAである
とが望ましい。
生物由来のDNAとしては生物由来であればと
に限定されず、例えばサケ、ニシン、タラ
の魚類の白子(精巣)から得られるDNA、ウシ
ブタ、ニワトリ等の哺乳動物あるいは鳥類
胸腺から得られるDNA等をあげることができ
。
これらDNAをそのまま用いることができるが
ハイブリッド体作製に適するように化学修
したDNAを用いてもよい。
本発明において、無機物として無機性のカ
プリング剤を用い、無機性のカップリング
とDNAとを混合して機能性素材とすることが
ましい。
本発明の機能性素材(DNA-無機ハイブリッド
)を作製するために用いることのできるカッ
リング剤は、無機性のカップリング剤であ
ばいずれも用いることができる。
なかでも、前記無機性のカップリング剤と
ては、シランカップリング剤または金属ア
コキシドをあげることができる。
シランカップリング剤としては、シランカ
プリング剤であればいずれも用いることが
き、例えばビス(トリメトキシシリルプロピ
ル)アミン(SiNSi)
あるいは、ビス[3‐(トリメトキシシリル) ロピル]エチレンジアミン(SiNNSi)
等をあげることができる。
このほか、シランカップリング剤として、
末端にトリメトキシシリル基やトリエトキ
シリル基等のアルコキシ基を有したシラン
ップリング剤やトリクロロシリル基のよう
加水分解するとシラノール基を生成するシ
ンカップリング剤を用いることができる。
シランカップリング剤以外の無機性カッ リング剤としては、例えば両末端にトリメ キシシリル基やトリエトキシシリル基等の ルコキシ基を有したゲルマニウム、鉛、ス 、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、 ナジウム、タングステン、マンガン、ホウ をあげることができる。
金属アルコキシドとしては、金属アルコ シドであればいずれも用いることができ、 えば金属アルコキシドの金属種が、ゲルマ ウム、鉛、スズ、チタン、ジルコニウム、 ルミニウム、バナジウム、タングステン、 ンガン及びホウ素から選ばれる金属アルコ シドをあげることができる。
本発明の機能性素材は、前述したDNAおよび
機性のカップリング剤を適切な比率で混合
ることにより作製することができる。
DNAと無機性のカップリング剤との最適重量
は、使用する無機性のカップリング剤に応
て好ましい重量比より決定すればよい。
本発明においては、DNA(例えば10mg/mLのDNA溶
)に対して無機性のカップリング剤を5~60質量
%混合することが望ましい。なかでも、10~50質
量%混合することが更に望ましく、20~40質量%
合するものが最も好ましい。
DNAと無機性のカップリング剤との混合に たり、DNAを水に完全溶解させたDNA溶液を用 ることが好ましい。通常、DNAを水に混合し 室温で12時間以上放置することにより、DNA 完全に溶解した溶液とすることができる。 のようなDNA水溶液を用いることで、適切な 分比率のもとで無機物との混合を確実に行 ことができる。
DNAと無機物との混合液は、テフロン(登録商
標)板上等に滴下し、室温で12時間放置するこ
とにより乾燥させることができる。
このようにして作製されたDNA-無機ハイブリ
ッド体は、その素材内にDNAの構造や機能を保
持し、かつ無機物の強さを有した機能性素材
であり、環境浄化材料、医療材料、電子材料
、光材料、衣料用素材等として用いることが
できる。
以下、具体的な実施例により本発明をよ 具体的に説明する。なお、本発明は以下に べる実施例の内容に何ら限定されるもので ない。
本発明に基づく機能性素材(DNA-無機ハイブ
ッド体)を次の手順で作製した。
まず、サケ白子由来のDNA(分子量500万以上、
二本鎖)に純水を添加し、12時間、室温で放置
し、10mg/mLのDNA溶液を調製した。
次に、当該DNA溶液に、SiNSi(ビス(トリメトキ
シシリルプロピル)アミン、Gelest社製)またはS
iNNSi(ビス[3‐(トリメトキシシリル)プロピル]
チレンジアミン、Gelest社製)を5質量%,9質量%,
23質量%,33質量%または50質量%となるように添
した。
各々の添加液については、タッチミキサー(
ボルテックス)で30秒以上激しく攪拌、混合し
た。
そして、得られた各混合溶液を、テフロン
上に滴下し、室温で12時間乾燥させ、各混
比率のDNA-無機ハイブリッド体を作製した。
このようにして得られたDNA-無機ハイブリッ
ド体の各々に対して、以下に示す試験を行い
、その特定を確認した。
[試験例1]水への安定性に関する試験
先に作製したDNA-無機ハイブリッド体を純水
中(20mL)に浸漬させ、時間経過ごとに260nmのAbs(
吸光度)を測定し、溶出するDNA量を求めるこ
で、DNA-無機ハイブリッド体の水への安定性
確認した。
試験例1の結果を図1及び図2に示す。
図1及び図2から明らかなように、DNA-無機(SiN
Si、SiNNSi)ハイブリッド体を形成させることに
より、DNAの溶出量を大幅に減少させることが
でき、無機物の濃度を濃くすることによりそ
の効果を高めることができた。
[試験例2]生化学的な安定性に関する試験
先に作製したDNA-無機ハイブリッド体を20ml
緩衝溶液(20mM Tris-HCl、5mM NaCl、2.5mM CaCl 2
pH7.4)に浸漬させ、15unit/μlのマイクロコッカ
ルヌクレアーゼを13.3μl添加し、37℃で反応さ
せた。当該反応液を経時的にサンプリングし
、260nmのAbsを測定し、溶出したDNA量を求める
とで、DNA-無機ハイブリッド体の生化学的な
安定性を確認した。
試験例2の結果を図3に示す。
図3から解るように、DNAのみの場合ではわず
か20分でほぼ完全に分解されてしまうが、DNA-
無機ハイブリッド体では、分解時間を大幅に
増加させることができた。
このことより、DNA-無機ハイブリッド体は、
ヌクレアーゼ耐性を有していることが解る。
[試験例3]膨潤性に関する試験
実施例1で作製したDNA-無機ハイブリッド体
エタノール濃度0~100体積%の水溶液中に5分間
漬させ、浸漬させる前と後での重量を測定
た。
試験例3の結果を図4に示す。
図4から明らかなように、使用するカップリ
ング剤によりDNA-無機ハイブリッド体の膨潤
をコントロールできることが解る。本試験
おいて、SiNSiハイブリッド体よりSiNNSiハイブ
リッド体で膨潤性の大きいことが解る。
[試験例4]熱的安定性に関して
先に作製したDNA-無機ハイブリッド体を用い
、示差熱分析(Differential Thermal Analysis、DTA)及
び熱重量分析(Thermo Gravimetric Analysis、TGA)を
った。
試験例4の結果を図5及び図6に示す。
図5に示すように、DNAのみ及びDNA-無機ハイ
リッド体においては、DNAの水分蒸発による65
℃付近の吸熱ピーク及びDNAの燃焼による235℃
付近での発熱ピークが認められた。しかしな
がらカップリング剤のみではこれらのピーク
は認められなかった。
図6に示すように、DNAのみ及びDNA-無機ハイ
リッド体においては235℃付近でのDNA重量の
少が認められたが、カップリング剤のみで
これらのピークは認められなかった。
以上、DNA-無機ハイブリッド体はDNAの物性に
近いことが解る。つまり、元のDNAの物性を保
持しつつ、無機物の強さを併せ持つ機能性素
材とすることができることが解る。
[試験例5]電子材料としての物性に関して
アガロースをTAE溶液17mL中で1%になるように
整し、アガロースゲルを作製し、通常の方
で電気泳動を行った。
レーン1(図中では丸付き数字1で表示)にマー
カー(マイクロチューブにTAE溶液9μL、染色液B
PB-XCを2μL、Marker6を1μL加え攪拌し作製)を入れ
た。
レーン2(図中では丸付き数字2で表示)に標準
サンプル(TAE溶液9μL、染色液BPB-XCを2μL、pBR322
プラスミドDNAを1μL加え作製)を入れた。
レーン3(図中では丸付き数字3で表示)にDNA-
機(SiNSi)ハイブリッド体サンプル(pBR322プラス
ミドDNAを9μL、SiNSiを1μL、TAE溶液を8μL加え攪
し、風乾させた後、TAE溶液で洗浄し作製)を
入れた。
前述したマーカー、標準サンプル、DNA-無機
ハイブリッド体サンプルを入れた後、電気泳
動を行った。
電気泳動を終えたアガロースゲルを0.5μg/mL
臭化エチジウム溶液に入れ、染色した後、
外線照射によりバンドを検出した。
試験例5の結果を図7に示す。
図7から明らかなように、SiNSiでハイブリッ
化したDNA-無機ハイブリッド体サンプルは電
気泳動を行い、電気を流しても、DNAが溶出し
ていないことが解る。
以上より、DNA-無機ハイブリッド体は電子材
料としての利用も期待することができる。
[試験例6]インターカレート機能に関して
実施例1で作製したDNA-無機ハイブリッド体(2
3質量%SiNSi)をDNAが溶出しなくなるまで純水に
漬させた後、風乾させた。当該DNA-無機ハイ
ブリッド体を、インターカレートすることの
知られている臭化エチジウム5μM,10μM,20μM,30μ
Mまたは50μMの溶液中に24時間浸漬させた後、
該ハイブリッド体の480nmにおけるAbs(吸収ス
クトル)を測定した。以下の式(1)~式(3)によ
集積量を測定し、DNAに対する臭化エチジウ
の結合定数を決定した。
試験例6の結果を図8に示す。
図8から明らかなように、DNA-無機ハイブリ
ド体は臭化エチジウムにより赤色に染色さ
たことより、DNAのみと同様に集積能を保持
ていることが確認された。
更に、DNA-無機ハイブリッド体による集積量
を示した図8及び式(1)~式(3)を用いて非線形最
二乗法により臭化エチジウムの結合定数を
定した。
その結果、結合定数Kは、8.5×10 4
M -1
であり、DNAの塩基対2.7個につき臭化エチジウ
ムが1個インターカレートすることが解った
NMR(各磁気共鳴)測定、蛍光測定、UV/Vis(紫外
/可視光)測定より求められた二重らせんDNAに
対する臭化エチジウムの結合定数Kは6.0~12.0×1
0 4
M -1
であり、DNAの塩基対2.0~2.8個につき臭化エチ
ウム(EB)が1個インターカレートすることが知
られている。
従って、前述した結合定数とn(EB1個に対す
DNA塩基対の個数)がほぼ一致していることよ
、DNA-無機ハイブリッド体はDNAと同等のイン
ターカレート機能を有していることが解る。
本発明は、DNAを含有する機能性素材であ 、有機無機ハイブリッド材料として環境浄 材料、医療材料、電子材料、光材料、衣料 素材等に利用できる。