Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
MEDICAL GUIDEWIRE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/041359
Kind Code:
A1
Abstract:
A medical guidewire having enhanced insertability and radiopacity. The medical guidewire has a medical guidewire body having a body and a distal end having a smaller diameter than the body, and also has a coil and a cap that are arranged at the distal end. A wire used for the coil is a clad wire constructed from a core containing at least one of tungsten and molybdenum as a main component and from a cladding covering the core and containing titanium as a main component.

More Like This:
Inventors:
ARAI TOMOHISA (JP)
YOSHIMURA FUMIHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/066980
Publication Date:
April 02, 2009
Filing Date:
September 19, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
TOSHIBA KK (JP)
TOSHIBA MATERIALS CO LTD (JP)
ARAI TOMOHISA (JP)
YOSHIMURA FUMIHIKO (JP)
International Classes:
A61M25/01
Foreign References:
JP2002095755A2002-04-02
JP2604117Y22000-04-17
JP3723451B22005-12-07
JP2004290466A2004-10-21
JP2004337361A2004-12-02
Attorney, Agent or Firm:
YOSHITAKE, Kenji et al. (Room 323 Fuji Bldg., 2-3, Marunouchi 3-chom, Chiyoda-ku Tokyo 05, JP)
Download PDF:
Claims:
 胴体部およびその胴体部よりも線径の細い先端部を備えた医療用ガイドワイヤ本体部と、前記先端部に設けられたコイル部およびキャップ部と、を具備する医療用ガイドワイヤであって、
 前記コイル部に使用されるワイヤが、タングステンまたはモリブデンの少なくとも一種を主成分とする芯材部と、その芯材部を被覆するチタンを主成分とする被覆部とからなるクラッドワイヤであることを特徴とする、医療用ガイドワイヤ。
 前記芯材部と前記被覆部との境界に、タングステンまたはモリブデンの少なくとも一種とチタンとを含む固溶体が存在する、請求項1記載の医療用ガイドワイヤ。
 前記芯材部と前記被覆部との境界に、タングステンまたはモリブデンの少なくとも一種とチタンとを含む固溶体層が存在する、請求項1記載の医療用ガイドワイヤ。
 前記固溶体層の厚さが、コイル部の線径に対して3/1000以上である、請求項3記載の医療用ガイドワイヤ。
 前記コイル部は、前記クラッドワイヤを3回以上巻回したものである、請求項1~4のいずれか1項に記載の医療用ガイドワイヤ。
 前記芯材部が、レニウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウムのうち少なくとも1種を含有するタングステン合金からなる、請求項1~5のいずれか1項に記載の医療用ガイドワイヤ。
 前記被覆部は、超弾性チタン合金、αチタン合金、α+βチタン合金、またはβ-チタン合金の少なくとも1種からなるチタン合金である、請求項1~6のいずれか1項に記載の医療用ガイドワイヤ。
 チタンを主成分とする前記被覆部のヤング率が、140GPa以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の医療用ガイドワイヤ。
 タングステンもしくはモリブデンを主成分とする前記芯材部のヤング率が、327GPa以上である、請求項1~8のいずれか1項に記載の医療用ガイドワイヤ。
 前記コイル部の線径をD1としたとき、線径D1が0.05mm以下である、請求項1~9のいずれか1項に記載の医療用ガイドワイヤ。
 前記コイル部の線径をD1、芯材部の線径をD2としたとき、線径比(D2/D1)が0.1~0.9の範囲内である、請求項1~10のいずれか1項に記載の医療用ガイドワイヤ。
 前記胴体部の線径が0.5mm以下である、請求項1~11のいずれか1項に記載の医療用ガイドワイヤ。
 前記胴体部の長さが30cm以上である、請求項1~12のいずれか1項に記載の医療用ガイドワイヤ。
 前記胴体部が、タングステンまたはモリブデンの少なくとも一種を主成分とする芯材部と、その芯材部を被覆するチタンを主成分とする被覆部とからなるクラッドワイヤを備える、請求項1~13のいずれか1項に記載の医療用ガイドワイヤ。
Description:
医療用ガイドワイヤ

 本発明は、主に血管等にカテーテルを導 する際に用いる医療用ガイドワイヤに関す 。

 血管造影、冠状動脈の治療等では、血管 治療箇所にカテーテルを挿入し、様々な治 が行われている。カテーテルには極細管形 やバルーン形状のものなどがある。カテー ルを血管等の治療部に安全に挿入するため 医療用ガイドワイヤ(以下、「ガイドワイヤ 」と表記したものは「医療用ガイドワイヤ」 を示す)が使用されている。カテーテルは柔 性に富む材料で形成されているため、複雑 屈曲している血管等にカテーテルのみで挿 することは困難である。そのため医療用ガ ドワイヤを血管等に挿入し、その医療用ガ ドワイヤに沿ってカテーテルを挿入する方 が用いられている。

 医療用ガイドワイヤは、複雑に屈曲した 管内に挿入されるため柔軟性と操作性が必 である。また、10cmから、場合によっては100 cm以上の長尺で使用されることから細線であ ても断線しない強度が求められている。つ り、複雑形状の血管内に挿入できる柔軟性 、細線形状としたときに断線しない強度と 求められている。また、当然ではあるが人 に悪影響がないことも重要である。また、 イドワイヤは回転と前後動を加えながら複 に屈曲した血管内に挿入されて行くため、 ルク伝達性とプッシャビリティが要求され 。

 従来、医療用ガイドワイヤには、ステン ス鋼からなる細線あるいはNi-Ti系超弾性合 からなる細線が用いられていた。しかしな ら、ステンレス鋼細線では、プッシャビリ ィが良好ではあるが、複雑形状の血管内を したとき、例えば、曲率半径の小さな箇所 通した後に歪が残る、曲率半径の小さい箇 を通す時の抵抗が大きい等の問題が生じ、 ずしも柔軟性が満足いくものではなかった

 またNi-Ti系超弾性合金では柔軟性があり 曲率半径の小さい箇所を通す時の抵抗が小 いという長所はあるものの、ヤング率が低 ぎること、応力-歪曲線のヒステリシスが大 いため、トルク伝達性が必ずしも良好とは えなかった。

 このような問題を解決するために、特開2 003-111849号公報(以下、特許文献1)では、Ni-Ti合 金からなる超弾性チタン合金線とステンレス 線とを一緒に編み込んだ複合細線が提供され ている。また、特開2004-337361号公報(以下、特 許文献2)では、超弾性合金からなるコアワイ の周囲に塑性的金属を被覆したガイドワイ が提案されている。具体的には、Ni-Ti合金 コアワイヤとし、銅めっき等により被覆し ものである。

 特許文献1および特許文献2は、共に超弾 合金をコア材(芯材)として用いるタイプであ る。超弾性合金は材料を大きく変形させても 、力の負荷を止めると直ちに元の形状に戻り 、変形時の応力が小さいため、柔軟性に富ん だガイドワイヤが製造できる。

 しかしながら、特許文献1のように編み込 んだタイプではガイドワイヤとしての線径を 細くすることに限界があった。また、超弾性 合金をコア材(芯材)とすることにより柔軟性 向上するものの、操作性という点では必ず も十分ではなかった。また、超弾性合金の 力-歪曲線は一般的にヒステリシスを持ち、 トルク伝達性が十分とはいえなかった。つま り、回転操作として逆回転させた場合に回転 角に遊びが生じるという欠点があった。また チタン系の合金の場合、X線透過性があり、 管内の挿入位置をX線透過像で確認すること できなかった。

 また、複雑形状の血管内を通すと言うこ は、ガイドワイヤは屈曲と形状復元の両方 繰り返しながら挿入されていくことになる 従来のガイドワイヤでは、その長さが20cm未 満のときは問題なかったが、長さが長くなる につれて操作性が不十分になり、屈曲と形状 復元との両方を繰り返しながら挿入すること がスムーズに行えなくなるといった問題が生 じていた。

 また、医療用ガイドワイヤは細い血管等 挿入されることから挿入性が良いことが重 である。特許文献2では、挿入性を向上させ るために、その先端部にコイル部(スプリン コイル)とキャップ部(ボール部)を設けるこ が提案されている。コイル部とキャップ部 を設けることにより、挿入性は向上するが 必ずしも満足いく特性は得られていなかっ 。

 Ni-Ti合金で形成するとX線透過像で観察し い。そのため、医療用ガイドワイヤを人体 に挿入し、X線透過像で観察したとしてもそ の位置を特定するのは難しかった。

特開2003-111849号公報

特開2004-337361号公報

 以上のように、従来の医療用ガイドワイ は挿入性が不十分であった。また、X線透過 像での先端部の位置を特定するのが困難であ った。また、従来の医療ガイドワイヤは柔軟 性を向上することを優先するあまり、トルク 伝達性が不十分であった。また、ガイドワイ ヤが長くなるにつれて、そのプッシャビリテ ィ、トルク伝達性、共に必ずしも十分とは言 えなかった。

 本発明は、このような問題を解決するた のもので、医療用ガイドワイヤの先端部に 定のクラッドワイヤからなるコイル部を設 ることにより、挿入性が向上した医療用ガ ドワイヤを提供することを目的とするもの ある。

 また、本発明は、ガイドワイヤの胴体部 所定のクラッドワイヤを用いることにより トルク伝達性に優れ、かつ、優れたプッシ ビリティを可能とする医療用ガイドワイヤ 提供することを目的とするものである。

 本発明による医療用ガイドワイヤは、胴体 およびその胴体部よりも線径の細い先端部 備えた医療用ガイドワイヤ本体部と、前記 端部に設けられたコイル部およびキャップ と、を具備する医療用ガイドワイヤであっ 、
 前記コイル部に使用されるワイヤが、タン ステンまたはモリブデンの少なくとも一種 主成分とする芯材部と、その芯材部を被覆 るチタンを主成分とする被覆部とからなる ラッドワイヤであることを特徴とするもの ある。

 また、芯材部と被覆部の境界には、タン ステンまたはモリブデンの少なくとも一種 チタンを含む固溶体が存在することが好ま い。

 また、芯材部と被覆部の境界にはタング テンまたはモリブデンの少なくとも一種と タンを含む固溶体層が存在することが好ま い。

 また、固溶体層の厚さは、コイル部線径 対して3/1000以上であることが好ましい。

 また、コイル部はクラッドワイヤを3回以上 巻回したものであることが好ましい。
 また、芯材部がレニウム、イリジウム、ロ ウム、ルテニウムのうち少なくとも1種を含 有するタングステン合金からなることが好ま しい。

 また、被覆部は、超弾性チタン合金、α タン合金、α+βチタン合金またはβ-チタン合 金の少なくとも1種からなるチタン合金であ ことが好ましい。

 また、チタンを主成分とする被覆部のヤ グ率が140GPa以下であることが好ましい。ま 、タングステンもしくはモリブデンを主成 とする芯材部のヤング率が327GPa以上である とが好ましい。

 また、コイル部の線径をD1としたとき、 径D1が0.05mm以下であることが好ましい。また 、コイル部の線径をD1、芯材部の線径をD2と たとき線径比(D2/D1)が0.1~0.9の範囲内であるこ とが好ましい。

 また、胴体部の線径が0.5mm以下であるこ 、胴体部の長さが30cm以上であることが好ま い。

 また、胴体部が、芯材部はタングステン たはモリブデンの少なくとも一種を主成分 し、被覆部はチタンを主成分とするクラッ ワイヤを具備することが好ましい。

 本発明によれば、先端部に所定のクラッ ワイヤからなるコイル部が設けられている め、医療用ガイドワイヤの挿入性が改善さ る。また、コイル部を構成するクラッドワ ヤにタングステンまたはモリブデンを用い いることから、X線透過像で位置を特定し易 い。

 さらに、胴体部に所定のクラッドワイヤ 用いることにより、トルク伝達性およびプ シャビリティの優れた医療用ガイドワイヤ 提供することができる。これにより、細い および/または長いガイドワイヤを製造した としても優れた特性を示すことができる。

本発明の医療用ガイドワイヤの一例を す面である。 本発明のコイル部の一例を示す断面で る。 本発明のコイル部の他の一例を示す断 である。 本発明の医療用ガイドワイヤ胴体部の 例を示す面である。 本発明の医療用ガイドワイヤ本体部の 例を示す面である。 本実施例の試験評価装置の一例を示す である。 実施例8のトルク伝達性評価結果の一例 を示す図である。 実施例24のトルク伝達性評価結果の一 を示す図である。

符号の説明

 1…医療用ガイドワイヤ
 2…胴体部
 3…先端部
 4…コイル部
 5…キャップ部
 6…被覆部
 7…芯材部
 8…固溶体層
 9…樹脂チューブ
 10…入力部
 11…出力部

 本発明の医療用ガイドワイヤは、胴体部 よびその胴体部よりも線径の細い先端部を えた医療用ガイドワイヤ本体部と、前記先 部に設けられたコイル部およびキャップ部 、を具備する医療用ガイドワイヤであって 前記コイル部に使用されるワイヤが、タン ステンまたはモリブデンの少なくとも一種 主成分とする芯材部と、その芯材部を被覆 るチタンを主成分とする被覆部とからなる ラッドワイヤであることを特徴とするもの ある。

 図1に本発明の医療用ガイドワイヤの一例 を示す断面図を示す。図中、1は医療用ガイ ワイヤ、2は胴体部、3は先端部、4はコイル 、5はキャップ部である。

 本発明による医療用ガイドワイヤは、胴 部と胴体部よりも線径の細い先端部からな ガイドワイヤ本体部を具備している。また 先端部にはコイル部4とキャップ部5とが設 られている。図1ではキャップ部の断面が台 状の例を示したが、半円状、円錐状等であ てもよい。また、キャップ部は樹脂やゴム の有機物系や金属部材などが好ましい。

 また、図2および図3に、コイル部を構成 るクラッドワイヤの一例を示す断面図を示 。図中、6は被覆部、7は芯材部、8は固溶体 である。また、D1はコイル部を構成するクラ ッドワイヤの線径(外径)、D2は芯材部の線径( 径)である。

 コイル部を構成するクラッドワイヤは、 材部7と被覆部6とを有するものであり、芯 部の周囲を被覆部で覆った構造を具備して る。芯材部はタングステン(W)またはモリブ ン(Mo)の少なくとも1種を主成分とし、被覆部 はチタン(Ti)を主成分とする。即ち、芯材部 高ヤング率の材料を、被覆部には低ヤング の材料を用いたクラッドワイヤとする。芯 部と被覆部とのヤング率の差、および構成 率を適宜選択することにより、径方向と軸 向との機械的異方性が任意に設定されたワ ヤを製造することができる。

 芯材部を構成する材料としてはタングス ンまたはモリブデンの少なくとも一種を主 分とするものが挙げられ、タングステン単 、ドープタングステンまたはタングステン 金もしくは、モリブデン単体、ドープモリ デンまたはモリブデン合金が挙げられる。 お、本発明の「タングステンを主成分」と 重量比で最も多くタングステンを含有して ることを示すものである。「モリブデンを 成分」も同様である。タングステン合金と てはレニウムを含有したタングステン合金( Re-W合金)が好ましく、Re含有量0.2~30wt%のRe-W合 が好ましい。Re-W合金はタングステン単体よ りも延性に優れることから強度を向上させる ことができる。延性向上という点ではRe含有 2~27wt%がより好ましい。また、これ以外のタ ングステン合金としてはイリジウム(Ir)、ロ ウム(Rh)、ルテニウム(Ru)の少なくとも一種を 0.2~30wt%含有したものが挙げられる。イリジウ ム、ロジウム、ルテニウムのうち少なくとも 1種は弾性率を向上させることができる。こ ら成分は30wt%を越えると加工性を損なうおそ れがある。

 また、ドープタングステンは、Al(アルミ ウム),Si(ケイ素),K(カリウム)等のドープ剤を 含有したタングステンのことであり、高温で の耐久性が向上するため、後述する線引き加 工等の細線化加工が容易である。なお、タン グステンを主成分とするものとしては、不可 避不純物が1wt%以下含有されていてもよいも とする。

 また、モリブデン合金としては錫(Sn)やコ バルト(Co)等の遷移金属の少なくとも一種を0. 05~1wt%含有したものが挙げられる。また、ド プモリブデンはK(カリウム)等のドープ剤を 有したモリブデンのことで高温での耐久性 優れ、再結晶熱処理を施すことにより延性 向上する。なお、モリブデンを主成分とす ものとしては、不可避不純物が0.05wt%未満含 されていても良いものとする。

 また、タングステンとモリブデンの両方 含む合金も適用可能である。タングステン モリブデンの両方を含有する場合は、その 計が50wt%以上となることが好ましい。

 被覆部を構成する材料としてはチタンを 成分とするものが挙げられ、チタン単体、 タン合金が挙げられる。なお、本発明の「 タンを主成分」とは重量比で最も多くチタ を含有していることを示すものである。チ ン合金としては、超弾性チタン合金または α-チタン合金、β-チタン合金、α+β-チタン 金の少なくとも1種が挙げられる。超弾性チ タン合金としてはニッケルを含有するチタン 合金(Ni-Ti合金)が挙げられ、α-チタン合金、β -チタン合金、α+β-チタン合金としては、Al(6a t%)-V(4at%)-Ti(残部)などのチタン合金が一例と て示される。また、チタンを主成分とする のとしては、不可避不純物が1wt%以下含有さ ていてもよいものとする。

 好ましいチタン合金としては、Ni-Ti合金 またはβ-チタン合金が挙げられる。いずれ 優れた加工性を有し、芯材部とのクラッド 工が容易である。Ni-Ti合金はTiを主成分とし 残部Ni(10~50wt%未満)の2元系、さらにMg(マンガ ン),Co(コバルト),Cu(銅)等を1~20wt%添加した3元 などが挙げられる。また、β-チタン合金はβ 相を主とする合金のことである。

 Ni-Ti合金と一部のβ-チタン合金は超弾性 示すチタン合金である。「超弾性」とは、 る特定の温度域で応力によって変形しても 応力を除荷すると原形にもどる現象のこと ある(「岩波理化学辞典(第5版)」参照)。超弾 性合金は一般的に弾性率(ヤング率)が100GPa以 と低く、被覆部の材質として好ましい素材 あるが、その応力-歪曲線に大きなヒステリ シスを持つことから、トルク伝達性に悪影響 を与えるため、被覆部の相対厚みをあまり大 きくすることは好ましくない。

 また、後述するようにチタンと、タング テンもしくはモリブデンの固溶体を形成す 場合は、チタン合金としてチタンとタング テンもしくはモリブデンの固溶体を用いて 良い。固溶体はチタンが主成分でなくても タン合金の一種とし、被覆部の一部として ウントするものとする。

 以上のようにタングステンまたはモリブ ンを主成分とする芯材部とチタンを主成分 する被覆部を有することにより、挿入性が 上する。また、タングステンまたはモリブ ンを芯材部に用いているのでX線透過像では っきりと確認できる。そのため、人体等に挿 入されているときに医療用ガイドワイヤの先 端部がどの位置にあるのかをX線透過像によ 確認しやすい。

 また、純タングステンのヤング率は403GPa 純モリブデンのヤング率は327GPaであり、純 タンのヤング率は114GPaである。弾性率の高 タングステンもしくはモリブデンもしくは の合金を芯材部とし、弾性率の低いチタン 被覆部とすることによりスプリング効果が られ挿入性が向上する。望ましくは芯材部 ヤング率300GPa以上、被覆部のヤング率は140G Pa以下が好ましく、芯材部と被覆部のヤング の差が120GPa以上あった方が効果的である。 り好ましくは200GPa以上あった方が効果的で る。

 また、芯材部と被覆部の境界にはタング テンまたはモリブデンもしくはその両方と タンを含む固溶体が存在することが好まし 。また固溶体はβ相となっていることが好 しい。β相となることで弾性変形能が改善さ れ、接合部の信頼性が向上する。また、その 固溶体が固溶体層として存在することが好ま しい。

 タングステンまたはモリブデンとチタン 全率固溶する金属である。WとTi、MoとTiの状 態図は「The Moffatt Collection Handbook of Binary  Phase Diagrams(Genium Publishing Corporation出版)」を 参照。

 クラッドワイヤを製造する際に一定温度 保持することにより固溶体を形成すること できる。固溶体を形成すると、より延性が すので強度及び加工性が向上する。また、 溶体が層状に形成され、実質的に芯材部/固 溶体層/被覆部の3層構造を具備していると傾 組成となり、より延性が向上される。

 固溶体層の厚さは特に限定されるもので ないが、その厚さは0.1~100μmの範囲内、また はクラッドワイヤ外径に対して固溶体層の厚 さが3/1000以上であることが好ましい。最終線 径に加工する前に、芯材部と被覆部の接合を 行うが、工程の途中でワイヤ外径が0.5mmの時 少なくとも固溶体層の厚さが1μm未満では界 面の接合強度が小さく、好ましくない。固溶 体層の厚さが100μmを超えても良いが、芯材部 の表面の凹凸が大きくなり、強度と信頼性が 低下し、また固溶体層を形成するための製造 工程の管理が煩雑になるという点では100μm以 下が好ましい。また、線径D1を0.05mm以下にす と、それに応じて固溶体層の厚さも薄くな ていく。そのため、線径D1を0.05mm以下にす 場合は固溶体層の厚さが線径D1の3/1000以上で あることが好ましい。

 また、クラッドワイヤを製造する際に被 部として純チタンもしくは低ヤング率チタ 合金を用い、クラッド加工をした後、熱処 により純チタンもしくは低ヤング率チタン 金層に芯材部のタングステンもしくはモリ デンを拡散、合金化させ、被覆部の一部も くは全部をβ相に変態させることでも本発 の機能を持つガイドワイヤ用芯線を作製す ことが出来る。

 また、固溶体の組成は、α-Ti、β-Tiなど様 々なものがあるが、好ましくはβ-Ti単相であ 。β-Ti単相であると化学的にも安定であり 延性に優れた固溶体となる。また、固溶体 有無はクラッドワイヤの断面をEPMAにより面 析することにより特定可能である。なお、 溶体が形成された場合、芯材部の外径D2は 線の線径方向の断面をEPMA面分析することに り、チタンの存在しない領域を特定し、そ 最も長い対角線を芯材部の外径D2とするも とする。

 以上の構成を具備するクラッドワイヤは コイリングして医療用ガイドワイヤの先端 に接合することによりコイル部となる。コ ル部とする場合には、線径D1を0.05mm以下に ることが好ましい。また、先端部で3回以上 回することが好ましい。コイル部はスプリ グ機能を具備させることにより挿入性を向 させることができる。そのためには、細い イヤで複数回巻回することが好ましい。な 、線径D1の下限は特に限定されるものでは いが、線引き加工の効率を考慮すると0.002mm 上が好ましい。

 また、上記芯材部と被覆部を具備するク ッドワイヤは医療用ガイドワイヤの胴体部 も好適である。胴体部の線径を0.5mm以下の 線、さらには0.3mm以下の極細線としたとして も優れたトルク伝達性及びプッシャビリティ を示すことができる。言い換えれば、線径が 0.5mm以下の細線状、さらには0.3mm以下の極細 状のガイドワイヤに有効である。

 また、同様にガイドワイヤの長さLが30cm 上、さらには100cm以上と長尺のガイドワイヤ に適用した場合であっても、優れたトルク伝 達性及びプッシャビリティを示すことができ る。

 図4本発明の医療用ガイドワイヤ胴体部の 一例を示す。また、図4には医療用ガイドワ ヤ本体部の一例を示す。図4は先端部を先細 型に加工したものである。図4のように先端 部を先細り型にした方が血管等の細い穴に通 し易いので好ましい。また、先端部は芯線( 体部)とは異なる材料で形成しても良い。先 部の材質としては、チタン、チタン合金、 テンレス鋼などの金属部材や親水性樹脂な の樹脂部材も適用できる。

 また、ガイドワイヤの長さLの上限は特に 限定されるものではないが、体内に入れるこ とおよび製造性の観点から3m以下が好ましい

 また、クラッドワイヤの線径をD1、芯材 の線径をD2としたとき線径比(D2/D1)が0.1~0.9の 囲内であることが好ましい。本発明による イドワイヤは、前述のようにタングステン しくはモリブデンもしくはその両方を主と る芯材部と、チタンを主とする被覆部を具 するものである。ヤング率の高いタングス ン部(またはモリブデン部)と、ヤング率の さいチタン部との比率により、操作性に影 する剛性と柔軟性である形状追従性を向上 せるものである。言い換えれば、主成分を ングステンもしくはモリブデンもしくはそ 両方からなる芯材部と主成分をチタンから る被覆部との割合により、剛性と形状追従 を制御することができる。つまり、弾性率 高いタングステン部の割合を多くすれば剛 がより向上し、チタン部の割合を多くすれ 柔軟性が向上する。そのため、ガイドワイ の線径D1と芯材部の線径D2の割合(D2/D1)を調整 することにより、剛性を向上させることがで きスプリング機能が向上する。

 剛性をより向上させるには(D2/D1)が0.3を超 えて0.9以下の範囲が好ましく、形状追従性を より向上させるには(D2/D1)が0.1以上0.7未満の 囲が好ましい。また、強度が優れたものを るためには(D2/D1)が0.3~0.7の範囲が好ましい。 なお、本発明においては、前述のチタンとタ ングステンまたはモリブデンとの固溶体は、 被覆部の一部を構成するものとする。

 D2/D1が、0. 1未満もしくは0.9を超える場合 、本来の柔軟性と操作性が十分には確保でき ず、またワイヤを製造する際に歩留が低下す る。

 また、ガイドワイヤ本体部は、必要に応 、その表面に樹脂被膜を設けても良い。

 医療用ガイドワイヤは、コイル部を設け 側から血管等に挿入される。複雑に屈曲し 血管等に入り込んで行くには先端部はより 入性に富む必要がある。そこでコイル部を けることにより、先端部にスプリング機能( 弾力性)を付与することができ、先端部の操 性を向上させることができる。

 次に医療用ガイドワイヤの製造方法につ て説明する。本発明による医療用ガイドワ ヤは、前述の構成を具備していれば製造方 は限定されるものではないが、好ましい製 方法としては以下のものが挙げられる。

 まず、所定の線径を有するタングステン しくはモリブデンもしくはその両方を主成 とした棒を用意する。次に、タングステン しくはモリブデンもしくはその両方を主成 とした棒を挿入可能なチタン管もしくはチ ン合金管を用意する。

 チタン管もしくはチタン合金管内にタン ステンもしくはモリブデンもしくはその両 を主成分とした棒を挿入し、熱間スエージ 工工程により、チタン管とタングステン棒 一体化する。このときロータリースエージ グマシンを用いると一体化と細線化の両方 工程を行うことができる。また、タングス ン棒の外径は1~5mm、チタン管の内径はタン ステン棒の外径に対して+0.1~2mm程度が好まし い。また、チタン管の肉厚は、最終的な芯材 部と被覆部の厚さ比に応じて選択するものと する。スエージ加工工程により外径D1が0.8~1.5 mm程度のワイヤを形成することが好ましい。 エージ加工工程により外径0.5mm以下、さら は0.05mm以下まで加工しても良いが、スエー 加工のみで細線化していくと断線が発生し くなるので歩留が低下する。

 このスエージ加工工程のときに所定の熱 付与することにより、チタンとタングステ もしくはモリブデンもしくはその両方から る固溶体を形成することができる。また、 エージ加工工程後に熱を加えて固溶体を形 する固溶体形成熱処理工程を施してもよい チタンとタングステンもしくはモリブデン しくはその両方からなる固溶体を形成する は高温のほうが成分の拡散が早く短時間で 理ができるため良いが、一方で芯材の脆化 起きやすくなるため、例えば、タングステ を主とする場合は、熱処理温度740~1200℃の 囲、モリブデンを主とする場合は、熱処理 度675~1000℃の範囲、で加熱することが好まし い。また、熱処理前の線径、加工度及び処理 温度にもよるが、この温度で5分以上加熱す ことにより固溶体を層状に形成することが きる。

 次に、スエージ加工工程後または固溶体 成熱処理工程後のワイヤを線引き加工工程 より外径0.5mm以下、さらには0.05mm以下の細 を得ることができる。また、この線引き加 工程は複数のダイスを使用して細線化して よい。

 次に、ガイドワイヤの胴体部となるワイ を用意する。胴体部ワイヤはチタン、チタ 合金、ステンレス等の金属ワイヤであって よいし、本発明のクラッドワイヤを胴体部 して使用しても良い。本発明のクラッドワ ヤを胴体部として用いることにより医療用 イドワイヤのトルク伝達性とプッシャビリ ィが向上するので好ましい。

 次に先端部を設ける。先端部は胴体部の 端を切削加工等により胴体部より細く加工 る方法であってもよいし、予め矩形に加工 た先端部を溶接等により接合する方法であ てもよい。

 先端部と胴体部を具備する医療用ガイド イヤ本体部の先端部にコイル部を設ける。 イル部は予めコイル形状に加工したものを 接や接着剤等により接合してもよいし、本 部に巻き付けてコイリングを行っても良い

 最後にキャップ部を設ける。キャップ部 樹脂や金属部材と特に限定されるものでは いが、親水性のある樹脂で形成した方が好 しい。また、必要に応じ、本体部に樹脂被 や金属めっき被膜を設けても良い。

 以上のような製造方法によれば本発明の 療用ガイドワイヤを歩留まり良く製造する とが可能である。

 図6に試験評価装置を示す。図中、1はガ ドワイヤ、9は内径0.6mmの樹脂チューブ(PTFE製 )、10は入力部、11は出力部である。また、樹 チューブ9は、図に示したように1080mmの直線 部、半径R100mmの円形部、560mmの直線部、半径R 40の曲線部、20mmの直線部を設けたものを試験 装置1とした。また、樹脂チューブ7を200mmの 線部、半径R20mmの円形部、200mmの直線部、半 R20の曲線部、20mmの直線部を設けたものを試 験装置2とした。

 このような試験評価装置を用いて挿入性 試験した。挿入性は、樹脂チューブに後述 る各実施例の医療用ガイドワイヤを挿入し 出力部に到達するまでにかけた応力の少な 順に「良好」、「やや良好」、「不良」と 価した。

 また、造影性についても検討した。造影 は、200mm×200mmの牛肉に医療用ガイドワイヤ 先端を挿入し、X線で透過した際に先端部が 鮮明に確認できたものを「良好」、やや不鮮 明なものを「やや良好」、良く見えなかった ものを「不良」と表示した。以下にその結果 を示す。

実施例1~7、比較例1~2
 芯材部としてドープタングステン(線径0.15mm )を、被覆部として純度99.9%以上の純チタンを 用いた外径0.32mmのクラッドワイヤを用意した 。

 次に、先端を細く加工し先端部を形成し ものを実施例1~5および実施例7、先端に純Ti の矩形状先端部を設けたものを実施例6とし た。次に、巻数10回のコイル部を設けた。コ ル部は芯材部に線径0.0025~0.025mmのドープタ グステンもしくは0.025mmのドープモリブデン 被覆部に純チタンを用いた線径0.1mmのクラ ドワイヤを用いた。また、親水性樹脂から るキャップ部を設けた。

 また、比較例1としてコイル部を設けない もの、比較例2として純チタンのみからなる イル部を設けたものを用意し、同様の測定 行った。以下にその結果を示す。

 表からも明らかなように、本実施例のコ ル部を設けたものは挿入性(試験装置1)が良 であった。また、実施例6および実施例7の うに芯材部の割合が小さいものはコイル部 スプリング機能が低下するためRが小さくな 試験装置2では挿入性が低下した。また、タ ングステンまたはモリブデンを主とする芯材 部があまり細いと造影性が低下することが分 かった。

実施例8~36、比較例3~6
 次に、試験装置1を用いてトルク伝達性およ びプッシャビリティを測定した。形状追従性 の評価としてトルク伝達性及びプッシャビリ ティについて測定した。トルク伝達性は、樹 脂チューブ7にガイドワイヤ1を通し、入力部9 にて90°回転させたとき出力部8でどれだけ回 したかを測定したものである。これを+90° ら-90°の角度で往復回転操作を10回行い、同 の操作を10サンプル(n=10)について行い、そ 平均値、ばらつき(最大値と最小値の差)、不 連続回転の頻度、ヒステリシス幅を測定した 。

 また、プッシャビリティとして入力部9を 10mm前後させたときの出力部の移動量を測定 た。プッシャビリティについても1サンプル1 0回×10サンプル行い、その平均値を示した。 れら測定には光学式角度検出装置及び光学 位置変位検出装置により行った。

 胴体部として表2に示したガイドワイヤを用 意した。表中、
(1)純W(純タングステン)とはWの割合が99.9wt%以 のタングステンを示す。
(2)ドープW(ドープタングステン)とは、ドープ 剤を30~100ppm含有した純タングステンを示す。
(3)純Mo(純モリブデン)とはMoの割合が99.9wt%以 のモリブデンを示す。
(4)ドープMo(ドープモリブデン)とはドープ剤 50~100ppm含有した純モリブデンを示す。
(5)純Ti(純チタン)として、JIS-H-4600の1種に相当 するものを示す。
(6)タングステン合金、モリブデン合金、チタ ン合金は表1に示した組成(wt%)を具備する合金 を示す。

 また、実施例22~24の被覆部はニチノール(N iTi合金)、実施例25~28の被覆部は13%Ta-29%Nb-4.6%Zr -Ti合金(各数字はwt%)、実施例29の被覆部は6%Al- 4%V-Ti合金(各数字はwt%)である。

 また、実施例25~28のTi合金はβ-Tiを主相と る合金であり、ヤング率は50~80GPaの低ヤン 率合金である。また、実施例29のTi合金はα+ -Tiを主相とする合金であり、ヤング率は113GP aである。また、ニチノールのヤング率は100~1 10GPa、純Tiのヤング率は106GPa程度である。

 また、純W、ドープW、純Mo、ドープMo、各 W合金、Mo合金のヤング率はいずれも380GPa以 であった。

 芯材部(線径1mm)を構成するための棒と被 部を構成するための管を用意し、スエージ 工によりクラッドワイヤを製造した。次に 必要に応じ、熱処理を加えることにより固 体層を形成した。その後、線引き加工を施 ことにより線径D1が0.34mmのガイドワイヤ胴体 部を調製した。その後、先端を細く加工し先 端部を形成した後、実施例1と同様のクラッ ワイヤを用いたコイル部および親水性樹脂 らなるキャップ部を設けることにより医療 ガイドワイヤを設けた。

 また、比較のために、純Wのみからなるも のを比較例3、純Tiのみからなるものを比較例 4、ニチノール(NiTi合金)のみからなるものを 較例5とした。また、ニチノールを芯材部と 銅めっきにより被覆部を形成したものを比 例6とした。

 各実施例および各比較例にかかる医療用ガ ドワイヤのトルク伝達性およびプッシャビ ティを上記方法により測定した。その結果 表2に示す。

 表からも明らかなように、本実施例のガ ドワイヤ用芯線は優れたトルク伝達性およ プッシャビリティを示した。

 また、図7に実施例8のトルク伝達性評価 果、図8に実施例24のトルク伝達性評価結果 示す。

 図7および図8は、横軸を入力部の回転角 、縦軸を出力部の回転角度で示した。図7は 原点O点から回転を行い、入力部の角度が+90 °になるA点まで回転した後、回転方向を逆転 し、B点を通過し、入力部の角度が-90°のC点 で回転し、再度逆回転し、D点を通過し、入 部の角度が+90°のA点間で回転する。図は(1) 力部の角度が90°の時の出力部の角度θ'、(2) 不連続回転の頻度、(3)ヒステリシス幅(図7のB 点とD点の間隔に相当する角度幅)である。

 不連続回転の頻度とは以下のことを言う 入力部に回転が加えられたとき、PTFEチュー ブとガイドワイヤ用芯線との摩擦等によって 回転運動に拘束力が発生すると、入力部の回 転がそのまま出力部に伝達されない場合があ る。入力部の回転によって生じる応力が拘束 力等に勝って初めて回転運動が、出力部に伝 達される。そのため、トルク伝達性が悪いと 出力部は不連続な回転動作となり、図8に示 たようヒステリシス曲線(現象)を示す。不連 続回転であるかどうかの指標は出力角で3°以 上の段差がある場合、1回とカウントし、ヒ テリシス曲線が1サイクルするときに何回不 続回転が起きるかを示したものである。

 なお、図8は不連続回転が6回起きたとき 例である。実施例24は表2で不連続回転の頻 「9」となっているのは10サンプルの平均を したためである。